闇の中の光
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#238 [ゆーちん]
「帰りますかシホさん。」

「うん。」

「寒くない?」

「今日は大丈夫。」

「そ。」


肩を抱かれ、帰ろうとする哲夫と私に、残っていた人たちが『お疲れ様っす!』と叫んだ。


哲夫は振り向きもせず手を上げただけだった。

⏰:09/01/03 21:51 📱:SH901iC 🆔:diob1dTs


#239 [ゆーちん]
「楽しかった?」

「うん。」

「わかってきた?仲間の意味。」

「…うーん。」

「まぁそんな簡単にわかるわけないか。ゆっくりでいいからな。また行きたい時に行けばいいよ。」

「うん。」


家につくと日付はとっくに変わっていて、もうすぐ鳥が鳴き始めるような時間だった。

⏰:09/01/03 21:52 📱:SH901iC 🆔:diob1dTs


#240 [ゆーちん]
「長居しすぎた。俺いつもはもうちょっと早く帰るんだよ。」

「そうなんだ。」

「シホは寝てるから知らないよな、俺が帰って来る時間なんて。」

「うん、知らない。」


なんて事を話しながら、私たちは眠りについた。

⏰:09/01/03 21:53 📱:SH901iC 🆔:diob1dTs


#241 [ゆーちん]
私が2回目の集会に行ってから、また一週間が経った。


最近、ようやく生活リズムが出来てきた。


朝、哲夫を起こさないようにベットから抜け出し、洗濯や掃除、昼食の準備をする。

⏰:09/01/03 21:54 📱:SH901iC 🆔:diob1dTs


#242 [ゆーちん]
哲夫が起きてくると一緒にお風呂へ入る。


お風呂から出て、遅めの昼食。


昼食を食べ終えてからの事は、日によってバラバラ。


のんびりと部屋で過ごす事もあれば、買い物行く事もある。


そして夕方、哲夫は私の頬にキスをしてから集会に出掛ける。


私は行かない。

⏰:09/01/03 21:54 📱:SH901iC 🆔:diob1dTs


#243 [ゆーちん]
集会に行かない理由は、特になかった。


この前、私に話し掛けてくれた人たちとも話したいとは思うけど…まだ怖かったんだ。


仲良くなればなるほど、上辺だけだってわかった時の傷はもう付けたくない。


あそこにいるみんなは、上辺だけで近付いてるんじゃないって言ってくれるかもしんない。

⏰:09/01/03 21:56 📱:SH901iC 🆔:diob1dTs


#244 [ゆーちん]
有り難いんだけど、やっぱりまだ怖いんだ。


だから気分がいい時だけ、集会に行く事にした。


哲夫が集会に行き、一人になると残りの家事を済ます。


で、眠くなれば寝る。


起きると哲夫に抱きしめられている。


そんな毎日だった。

⏰:09/01/03 21:56 📱:SH901iC 🆔:diob1dTs


#245 [ゆーちん]
ある朝…じゃなくて、お昼か。


眠そうな顔で起きてきた哲夫は、煙草を吸いながら言った。


「望実がシホに会いたいってさ。」

「…のんちゃん?」


哲夫が言う【望実】と、私が言う【のんちゃん】は同一人物。

⏰:09/01/03 21:58 📱:SH901iC 🆔:diob1dTs


#246 [ゆーちん]
【望実】のあだ名が【のんちゃん】ってわけ。


この前、私に初めて話し掛けてくれた子。


私より2つ年上で、エクボの可愛い女の子。


もしかしたら…仲良くなれるかもしれない子。


「また調子いい時でいいからさ、一度顔出してやったら?」

「うん、そうだね。」

⏰:09/01/03 21:59 📱:SH901iC 🆔:diob1dTs


#247 [ゆーちん]
煙草を消し、立ち上がる時に私の頭を撫でてくれた哲夫。


「慌てんな。」

「…うん。」


わかってる。


慌ててなんかない。


怖くて、一歩足りとも踏み出せないだけ。


だけどそれじゃだめなんだ。

⏰:09/01/03 22:00 📱:SH901iC 🆔:diob1dTs


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