闇の中の光
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#448 [ゆーちん]
どうしよう。
また苦しい。
「行くぞ?」
小さな声で私に問う哲夫。
「うん。」
哲夫が歩き出す。
すると宗太郎が走ってくる足音が聞こえた。
「おいっ!」
:09/01/13 15:29 :SH901iC :4gcR8RAo
#449 [ゆーちん]
宗太郎が哲夫の肩に手をかけて、私は振り落とされた。
次の瞬間、違う温もりが私を包んでいた。
「会いたかった、萌子。」
離して。
宗太郎になんか抱きしめられたくない。
私は萌子じゃない。
宗太郎じゃなくて、哲夫に抱きしめられたいの。
「やだ…」
:09/01/13 15:30 :SH901iC :4gcR8RAo
#450 [ゆーちん]
「おいっ!」
今度は哲夫が宗太郎の肩に手をかけた。
私は宗太郎の腕から開放され、すぐにま哲夫に抱っこされた。
「ふざけんな!失せろ。」
哲夫が走りだす。
もう宗太郎は追い掛けてこなかった。
:09/01/13 15:30 :SH901iC :4gcR8RAo
#451 [ゆーちん]
どこに逃げたのかわかんない。
ずっと哲夫の腕の中で泣いていたから。
「シホ、おい。大丈夫か?」
「て…おっ…苦し…」
「過呼吸?」
たぶん。
私は頷いた。
:09/01/13 15:31 :SH901iC :4gcR8RAo
#452 [ゆーちん]
すぐに口を塞がれ、哲夫の二酸化炭素を吸った。
この前よりも治るのに時間がかかった。
頭が余計な事を考えているからかな。
さっきの宗太郎の顔と声が忘れらんない。
何で今更現れんのよ。
萌子の事、思い出したくないのに。
苦しいよ…体も心も。
:09/01/13 15:31 :SH901iC :4gcR8RAo
#453 [ゆーちん]
「シホ?」
「もう…大丈夫。」
「本当か?」
「うん。」
やっと落ち着いた。
だけど涙が止まらない。
「もう泣くな。お前、ちょっとここで待ってろ。」
「うん。」
「すぐに戻るから。」
頷く私を抱きしめてから、哲夫は走り去った。
:09/01/13 15:32 :SH901iC :4gcR8RAo
#454 [ゆーちん]
ここ、どこだろう。
寒い。
痛い。
眠い。
少し、横になろう。
冷たい地面に寝転がり、空を見上げた。
汚い空。
今日は星が1つも出ていない。
真っ暗な空だ。
暗闇が広がっている空。
気味悪い。
:09/01/13 15:32 :SH901iC :4gcR8RAo
#455 [ゆーちん]
次の瞬間にはシーンが変わっている。
前にもこんな事あったよね。
空を見ていたはずなのに、次の瞬間には家の天上が映る。
あぁ、そっか。
あれは自殺失敗した時だ。
て、ことはそろそろ哲夫が覗き込んで来るよ。
:09/01/13 15:34 :SH901iC :4gcR8RAo
#456 [ゆーちん]
「あ、起きた。わかるか、シホ?」
ほらね。
「哲夫…」
ベットから体を起こすと、見慣れた景色が広がる。
「家だから安心しろよ。」
哲夫は吸っていた煙草を消すと、私の隣に潜り込んで来た。
「今日は疲れたな。」
:09/01/13 15:35 :SH901iC :4gcR8RAo
#457 [ゆーちん]
時計を見ると、本来ならいつも私達が眠りにつく時間。
「ねぇ哲夫。のんちゃんは?」
「望実なら無事だ。康孝が助けた。」
「本当?」
「意識も戻ったし、普通に元気だったから康孝が家まで送ってった。」
「よかった…」
:09/01/13 15:35 :SH901iC :4gcR8RAo
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