闇の中の光
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#562 [ゆーちん]
チームが襲撃にあってから、ドタバタしすぎて、日にち感覚がなかったかも。
って言ってもほんの2、3日前だけどね。
「年越し蕎麦食ってねぇしー。」
年越し蕎麦か。
もう何年食べてないんだろう。
家族がバラバラになってからの年末年始なんて、ただの苦痛の日々でしかなかった。
:09/01/19 11:08 :SH901iC :ZU.S4G5o
#563 [ゆーちん]
年越し蕎麦もなし。
お雑煮やお節料理だってなし。
もちろん、お年玉も。
年末年始は普段よりも仕事に精を出していた。
父親にも『年末年始は稼げるから、たくさん働け。』と言われる程だもの。
寒い中、懐の緩んだ親父との援助交際に励んでいたんだ。
:09/01/19 11:09 :SH901iC :ZU.S4G5o
#564 [ゆーちん]
いい思い出なんかない大晦日。
もちろん、お正月だって同じ。
いい思い出なんか、全然…。
「蕎麦食わなきゃ年越せねぇっつうの。康呼ぶぞ。」
そう言って哲夫は康孝に電話をかけた。
:09/01/19 11:10 :SH901iC :ZU.S4G5o
#565 [ゆーちん]
「蕎麦3人前買って来て。」
哲夫のその命令に、たった20分で対応した康孝は、なぜか上機嫌で蕎麦を持ってやって来た。
「いぇーい、あけおめイヴ〜。」
「意味わかんねぇし。」
「ヤッちゃん、寒いのにわざわざありがと。こっち座って。」
「おっ、サンキュね。シホちゃん。」
:09/01/19 11:11 :SH901iC :ZU.S4G5o
#566 [ゆーちん]
私が座っていた場所を康孝に譲り、年越し蕎麦を作りにキッチンへ向かった。
ダシを作って、温めた蕎麦にかけるだけ。
こんな簡単な料理なのに、どうして金河家は年越し蕎麦を作ってくれなくなったんだろう。
そんな疑問、考えたって答えは出るはずもないか。
:09/01/19 11:12 :SH901iC :ZU.S4G5o
#567 [ゆーちん]
「出来たよ。」
哲夫、康孝、そして私。
3人で年越し蕎麦を食べた。
「美味い!」
「三玉百円の蕎麦なのに、案外美味いね〜。」
「はぁ?康、お前そんな安物買って来たのかよ。」
「こういうのしかスーパーに置いてねぇんだもん。」
:09/01/19 11:12 :SH901iC :ZU.S4G5o
#568 [ゆーちん]
久しぶりの年越し蕎麦は、本当に美味しくて…安物の蕎麦だろうが何だろうが、私にとってはご馳走だった。
体が温まり、後片付けが済んだ頃、康孝は帰ると言い出した。
:09/01/19 11:13 :SH901iC :ZU.S4G5o
#569 [ゆーちん]
「いればいいじゃん。」
「そうだよ。一緒にカウントダウンしようよ、ヤッちゃん。」
「いやっ、二人の邪魔する気はねぇし。」
邪魔だなんて思わない。
康孝は私のお兄ちゃんみたいな存在なんだもん。
「ねぇヤッちゃん。私、まだお礼言ってなかったよね。」
「お礼?」
:09/01/19 11:13 :SH901iC :ZU.S4G5o
#570 [ゆーちん]
「この前…のんちゃん助けてくれてありがとう。」
「あぁ、その事か。」
「ヤッちゃんが助けに来てくれてなかったら…のんちゃん…」
「お礼なんかいらねぇぞ。仲間を助けるのは当然の事だからさ。」
康孝はニッと笑い、私の頭を撫でた。
:09/01/19 11:14 :SH901iC :ZU.S4G5o
#571 [ゆーちん]
哲夫に撫でられる時より、少し違う感情が私の心臓を跳ね上げさせた。
「テッちゃんから聞いたと思うけど、年明け早々ぶっかまして来るから応援頼むよシホちゃん。」
「あ、うん…気をつけてね。」
「あいよ!んじゃバイバイ。よいお年をー。」
:09/01/19 11:15 :SH901iC :ZU.S4G5o
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