闇の中の光
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#597 [ゆーちん]
「…シホ。」
小さく囁いた哲夫。
「ごめん、起こした?」
「ううん。おはよう。」
「おはよう。ていうか…おかえり。」
「ただいま。」
笑ってる哲夫を見て、浮かんでいた涙は零れてしまった。
:09/01/21 14:24 :SH901iC :FXDa00ZA
#598 [ゆーちん]
「情緒不安定だな、お前。」
「ごめ…なさ…」
「謝んなくていいっつうの。それより消毒して。ズキズキして熟睡できねぇ。」
「あ、うん。」
涙を拭いて、薬箱を取りに向かった。
:09/01/21 14:25 :SH901iC :FXDa00ZA
#599 [ゆーちん]
薬箱の中には、私が以前買って来た薬が入っていた。
シホになって初めて1人で外に出た時、コンビニで買ったんだっけ。
哲夫が熱出して、助けたくて、じっとしてらんなくて…今思えば、きっとあの時から、私は哲夫を好きだったんだ。
:09/01/21 16:15 :SH901iC :FXDa00ZA
#600 [ゆーちん]
「いってぇ!」
「…我慢して。」
「もうちょっと優しくしてよ。」
「優しくしてるよ?」
「殴られるより消毒のが痛いし。」
哲夫は誰かを殴った?
…って、そんな事聞くのはタブーだよね。
:09/01/21 16:16 :SH901iC :FXDa00ZA
#601 [ゆーちん]
「シホ。」
「ん?」
「あの男…萌子に伝えてくれって頭下げに来た。」
心臓が波打った。
あの男って、宗太郎の事だよね。
「…何?」
「萌子がまだ好きだ、ってさ。」
:09/01/21 22:07 :SH901iC :FXDa00ZA
#602 [ゆーちん]
何、それ。
宗太郎、頭おかしいよ。
萌子のどこが好きなの。
嘘だ。
萌子をまだ好きでいてくれてるなんて嘘だよ。
「地元じゃ騒ぎになってるらしい。警察には届けてねぇみたいだけど…萌子を心配してる人もいるんだ。」
:09/01/21 22:07 :SH901iC :FXDa00ZA
#603 [ゆーちん]
「シホ…じゃねぇや。萌子。急かすつもりなんか無かったけど、近々戦ってこいよ。俺も戦ったんだ。次は萌子の番じゃねぇか?」
自信がないとか、まだ恐いとか、そんな甘い事を言ってる場合じゃないって思った。
:09/01/21 22:08 :SH901iC :FXDa00ZA
#604 [ゆーちん]
「前にも言ったけど、俺が味方だから心配なんかいらねぇぞ。萌子がずっと我慢してきた不満を正直に親に伝えろ。勝っても負けても、俺がいる。仲間もいる。帰ってくる家だってある。」
そんな嬉しい事言われちゃ涙腺が緩んじゃう。
でもね、私もう泣かない。
:09/01/21 22:09 :SH901iC :FXDa00ZA
#605 [ゆーちん]
泣いてる場合じゃないもん。
「明日、戻る。萌子に。」
「そ。」
「だから、それまではシホでいたい。」
「おうよ。」
「哲夫の事、信じていいんだよね?」
「当たり前だっつーの。」
「ありがとう。」
:09/01/21 22:10 :SH901iC :FXDa00ZA
#606 [ゆーちん]
誰かの為じゃなく、自分の為に戦わなきゃいけないんだ。
人生60年だとして、残り43年。
まだまだやりたい事がたくさんある。
やりたいって純粋に願ってしまう。
希望とか勇気を学べて、本当によかったよ。
一度死んで、よかった。
シホになれて、本当によかった。
:09/01/21 22:10 :SH901iC :FXDa00ZA
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