闇の中の光
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#94 [ゆーちん]
死にたかった理由とか、傷の理由を深く聞いて来ないので助かる。


「風呂から出たら、まずは買い物だな。色々必要なんだな、ペット飼うって。」


髪や体を綺麗に洗い終わり、お風呂から出ると、裸のまま部屋中をうろついてやった。

⏰:08/12/30 17:48 📱:SH901iC 🆔:Z9srDs2E


#95 [ゆーちん]
「服着ろよ。」

「汚いもん。」


脱衣所にある脱ぎ捨てた制服しかない私。


「あ、そっか。着替えないんだっけ。」


そう言った哲夫は、クローゼットから上下繋がった服を取り出した。

⏰:08/12/30 17:49 📱:SH901iC 🆔:Z9srDs2E


#96 [ゆーちん]
「何これ。」

「つなぎ服っつーの?見た事ない?」

「工事現場の人みたい。」

「いや?」

「いや。」

「もぉー、ペットのくせに文句言うなよ。」


そう言って哲夫は携帯電話で誰かに電話をかけた。


「お前、戻って来れる?…うん…うん…そう、じゃあ。」


簡単な電話を済ませた哲夫は、服を探すのをやめて、再びつなぎ服を私に手渡した。

⏰:08/12/30 17:50 📱:SH901iC 🆔:Z9srDs2E


#97 [ゆーちん]
「康が来るから車出して貰おう。いるものとか欲しいものとか何でも買ってやるよ。」

「康って…」

「さっきのバカヅラ男。康孝って言って、みんなから康とかヤッちゃんて呼ばれてる。」

「そうなんだ。」

⏰:08/12/30 17:51 📱:SH901iC 🆔:Z9srDs2E


#98 [ゆーちん]
パンツ一枚のまま、哲夫は煙草を吸い始めた。


「康が来るまでに服着ろよ。」

「…何で?」

「何でって…主人の命令だからだよ。」

「ふーん、主人ねぇ。」


下着もつけずに、言われた通りつなぎ服を着た。


「おっきい。」

「仕方ねぇだろ。男物なんだから。」

⏰:08/12/30 17:52 📱:SH901iC 🆔:Z9srDs2E


#99 [ゆーちん]
「普通のTシャツとかないの?」

「あるけど…Tシャツのがいいのか?」

「うん。」

「…わがままな奴だな。買い物行ったら、しつけ本も買わないとなー。」


そう言って笑うだけで、結局哲夫はTシャツも出してくれなかった。

⏰:08/12/30 17:53 📱:SH901iC 🆔:Z9srDs2E


#100 [ゆーちん]
しばらくすると、さっきの男が来た。


康孝だ。


「お待たせ〜。」

「悪いな。ちょっと車出してくれる?」

「えぇ!来ていきなり?」

「シホを飼うのに色々必要でさ。」

「…シホ?犬でも飼うの?」


キョトンとする康孝に、哲夫は言った。


「犬じゃない。人間だ。」

⏰:08/12/30 17:53 📱:SH901iC 🆔:Z9srDs2E


#101 [ゆーちん]
アゴで私をさす哲夫。


「えっ、飼うって…この子?」


哲夫は笑う。


私は何も言わない。


驚いている康孝は私に言った。


「あんた、テッちゃんに飼われんの?」

⏰:08/12/30 17:54 📱:SH901iC 🆔:Z9srDs2E


#102 [ゆーちん]
私は何も言わず、康孝を見た。


「シホってあんたのこと?」

「…。」

「何で?つーか、死んだんじゃないのかよ。」

「死んだよ。」

「え?」


私が口を開くと、康孝はまた驚いていた。


「さっきの汚い女子高生は死んだ。」

「えっ…何言ってんの。」

⏰:08/12/30 17:55 📱:SH901iC 🆔:Z9srDs2E


#103 [ゆーちん]
「私はシホ。哲夫に飼われてんの。ただのペットだよ。」


もう、死のうだなんて考えは1ミリもなかった。


今はただ、哲夫のペットなんだって自分で自分に言い聞かせている。


私はシホなんだ、って。

⏰:08/12/30 17:55 📱:SH901iC 🆔:Z9srDs2E


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