WHITE★CANDY
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#391 [ぎぶそん]
「今日、部活休みだったの?」
放課後、優平が学校に残ってることが珍しい。
「ああ、俺足痛めちゃったみたいでさ、明日も病院通い。」
情けないよな、と歯を見せて笑う。
「え…、それは心配。」
「大丈夫だって。たいしたことないから。」
:09/04/05 21:00
:SH705i
:vgyn5LVM
#392 [ぎぶそん]
「何か私に出来ることがあったら言ってね。」
「そうだなあ、じゃあ今日一緒に帰ろう。」
彼は立ち上がり、勉強道具をカバンにまとめ始めた。
「うん。」
彼からの意外な要求。
すぐに頷いたのは、嬉しさからくるものがあったから。
久しぶりの一緒の下校。
それだけなのに、胸がドキドキするよ。
:09/04/05 21:08
:SH705i
:vgyn5LVM
#393 [ぎぶそん]
私も教室に戻って、荷物をまとめる。
電車通学の彼に合わせて、帰り道のコースは駅まで一緒ということになった。
優平って、結構背が高いんだ。
真横に並ぶ彼を見て、改めて感じた。
異性だと意識し始めてから、様々な視点が変わる。
二人とも、歩幅が自然とゆっくりになる。
いつもの景色が、もっと好きになる。
:09/04/06 17:43
:SH705i
:bVwBHG7I
#394 [ぎぶそん]
「今度、サッカーの試合観に行きたいな。」
街中でこんな台詞を、さりげなく呟いてみた。
「マジ!?じゃあ、練習頑張らないといけないなぁ!」
「足、早く治るといいね。」
写真を撮られたかのように、最大限の笑顔をしてみる。
彼の制服の袖を、小さくつまむ。
こんな仕草や表情、きっとお父さんにも見せたことないだろう。
ううん、恥ずかしくて見せられないや。
:09/04/06 17:46
:SH705i
:bVwBHG7I
#395 [ぎぶそん]
次の週末が明けた月曜日、朝普段どうりに教室に入ってみると、またもやエリや男子たちが一つに集まっていた。
「真希…。」
エリが深刻そうにこちらを見てくる。
「どうしたの?」
いつもと違う雰囲気に、一目散に駆け寄る。
「転校生の村上が、D組の町田とホテルに行く所を、目撃した奴がいるんだよ。」
「えっ…。」
エリの代わりに、一人の男子が説明してくれた。
:09/04/06 17:53
:SH705i
:bVwBHG7I
#396 [ぎぶそん]
「まあ、悪いとは言わないけどさ、村上さんってああいうのがタイプなんだなーって。」
一人の男子が、投げやりな感じで話す。
「まだ転校して間もないのに。意外と遊んでるんだ。」
「俺、いいかもって思ってたのになー。清純そうに見えたのに。」
クラスの皆の弥生に対する印象が、一気に違うものとなった。
:09/04/06 18:02
:SH705i
:bVwBHG7I
#397 [ぎぶそん]
昼休み、一人屋上へと上がる。
ドアを開けてみると、弥生が一人で屋上からの景色を見下ろしていた。
こちらの気配に気がつき、瞬時に振り向く。
「噂、もう広まってるみたいね。」
クラスメートの私だと解った瞬間、やんわりと微笑む。
彼女の赤みがかかった髪と制服のスカートが、秋風になびく。
「町田くんね、評判は悪いみたいだけど、あれでも優しいトコあるのよ。」
現在周りが自分の交友関係のことで話題になっていることを、だいたい把握しているようである。
:09/04/09 23:46
:SH705i
:zwtBDWqQ
#398 [ぎぶそん]
「私は弥生ちゃんが好きになった人なら否定したりはしないよ。
でも、悪いことには巻き込まれないで欲しい。」
町田は日常茶飯事に人に暴力を振るう。
それによって彼女の身に何か降りかかることが、何よりの心配。
彼女は余裕の表情で「そう。」と言うと、それ以上は何も言わずその場を立ち去った。
:09/04/09 23:48
:SH705i
:zwtBDWqQ
#399 [ぎぶそん]
その日の晩、夕飯の席で父が珍しく深刻そうに口を開いた。
「今朝南区の商店街で、自殺があったらしい。
父さんの会社の同僚の人が第一発見者だったみたいでな、警察の人から色々事情聴取を受けて出勤時刻に遅れたそうだ。」
「あそこ、自殺の名所ですもんねぇ。」
東吾兄が理解できるような面持ちでいる。
「日本は年間で約3万人の自殺者がいるらしいぞ。」
持っている箸で、私たちを指す父。
「そんなに…?!」
あまりのその数の多さに、私は驚愕した。
:09/04/10 13:09
:SH705i
:j.4ME3cQ
#400 [ぎぶそん]
「人間はな、どんなに苦しいことがあっても、たった一つの希望さえあれば、生き続けたいと願うもんなんだ。
でも、自ら命を絶とうという人には、全くそれがない状況ということになる。
生きるというそのものが100パーセント絶望にしか感じられなくなった時、人は死ぬんだろうなぁ。」
父は今日あった出来事を通して、何か感じるものがあったようだ。
今日の食卓の空気は、いつものおふざけモードとは一変した。
社会に通じる問題も、こうして家族間でも日々話し合っていきたい。
:09/04/10 13:21
:SH705i
:j.4ME3cQ
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