WHITE★CANDY
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#691 [ぎぶそん]
それはミサンガだった。
赤と白と黒の三色が、互いを尊重するように艶(あで)やかなコントラストをなす。
「私が寺川さんに提案してみたの。
皆で同じもの着けてた方が、団結力が増すって」
エリがVサインをする。
皆の手首にも、私と同じようにミサンガが着けられていた。
彼女たちの顔は、自然と笑顔がほころんでいた。
ミサンガという古典的な装飾品は、地味な存在だけどどこか温かみがある。
紐が切れると願いが叶うというジンクスがあるが、長い間切れないで欲しいと願った。
:12/04/08 21:22
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:TuwR5MCY
#692 [ぎぶそん]
―そして、文化祭本番。
一日目は主に一年生が行う出店や展示品を楽しむ日である。
昨夜、エリからこんなメールが送られてきていた。
「明日のことだけど、いつものように四人で行動するのも悪くないんだけど、せっかくの文化祭だしここはそれぞれ男女一組ずつにしない?
真希もいい加減優平との距離縮めなさいよ!
それじゃあ、明日二人がうまくいくよう元基と祈ってるから♪」
つまり、私は優平と一日行動を共にすることになったのだ。
嬉しい反面、周りの視線が怖い…。
F組の教師の前で、彼を待つ。
:12/04/08 21:44
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:TuwR5MCY
#693 [ぎぶそん]
「お待たせ」
心臓の動悸もなりやまぬうちに、彼が現れた。
数日会わない間に、彼は少し髪にパーマを掛けたみたいだった。
二人で廊下に立っているだけで、女子からの視線をいくつも感じる。
皆、私たちが付き合っていると思うのだろうか?
もう前みたいに、女子からの非難に遭うのはごめんだ。
かといって、ただの友達ですよ、と言いふらす訳にもいかないし…。
「あれ?桜井君、一緒に行く人いないの?」
「だったら私たちと一緒にいかない?」
私の存在には目もくれず、F組の女子たちが彼を囲うように集まってきた。
彼女たちの身につけてる香水が、ツンと鼻を刺激する。
:12/04/08 22:00
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:TuwR5MCY
#694 [ぎぶそん]
「いや、俺この子と回るから…」
彼が私の肩を強い力で引き寄せた。
「あぁ、確かB組の…」
「えー、つまんない」
不服そうな顔で彼に不満を述べる彼女たち。
一瞬私を見る目が嫌悪感そのものだった。
「ちょっと皆、桜井君の相手はこの子って決まってるんだから、二人に迷惑掛けないでよね」
教室から出て私たちの存在に気がついた竹下さんが、間に割って入ってくれた。
「いいから、早く行って」というような彼女にアイコンタクトを送られたので、私と彼は逃げるようにしてその場を去った。
:12/04/11 22:02
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:mYqUAtI6
#695 [ぎぶそん]
「さっきは嫌な思いさせてごめんな。あの人たち、普段はそんな悪い人じゃないんだけど…」
息も落ち着いた頃、階段を下りながら彼が申し訳なさそうにいう。
「ううん全然。そういえば、パーマ掛けたんだね」
彼の髪の毛を指差す。
「ああ、『星くずロック』の主人公がパーマヘアでさ。でもパーマは校則違反だから、毎日先生たちにおっかない眼で睨まれてる気がするよ…ハハハ。
文化祭終わったら即効で落とさなきゃなー」
彼が髪を弄りながらため息をつく。
こんな髪型の彼はかなり新鮮だ。
普段のさらさらヘアーの方が好きだけど、こんな彼も悪くはないかな。
:12/04/11 22:14
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:mYqUAtI6
#696 [ぎぶそん]
二人で玄関を出て校庭に行くと大勢の生徒でごった返しになっていて、たくさんの出店でどこもかしこも賑わっていた。
「いらっしゃいませー、いかがでしょうかー」
「今フライドポテトが大変お安くなっておりまーす」
はっぴを着た出店の店員の活気のいい声が、絶え間なく聞こえてくる。
それだけでこちらも陽気な気分になる。
焼きそば、お好み焼き、たこ焼き、フランクフルト、かき氷など。
いかにも『屋台』という感じのメニューの匂いが、こちらの食欲をそそる。
「何か食べたいものあったら言って。俺、奢るから」
彼がポケットから財布を手に取る。
「そんな、悪いよ。私もお金持ってるし」
私も鞄から財布を取り出した。
「いいからいいから。」
「う…それじゃあ、お好み焼き」
左斜め前の店を指差した。
「がっつり行くねー(笑)」
二人でその店の列に並ぶ。
:12/04/11 22:36
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:mYqUAtI6
#697 [ぎぶそん]
「んー、美味しいー」
外の至るところに設置されてある休憩所に二人で腰掛け、購入したお好み焼きを食べる。
濃い目のソース味が食欲を増させ、どんどん箸が進む。
「はい、お茶。食べ物ばっかじゃ喉が渇くだろ?」
彼が自販機で買ったペットボトルのお茶を私に渡してくれた。
「有難う」
早速蓋を開け、イッキ飲みする私。
「優平はお好み焼き食べたことあるの?」
彼に質問をしてみた。お坊ちゃん育ちの彼があの豪華な家でお好み焼きを食べる姿が想像出来ない。
「あるよ。中学の修学旅行の時大阪で食べたし、たまにサッカーの練習試合の帰りに皆でお好み焼き屋に寄ることもあるから」
へえ、そうなんだ、と私は相槌をした。
:12/04/14 22:43
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:SZG3Mcoo
#698 [ぎぶそん]
「よかったら、今度二人でそのお好み焼き屋に行かない?安くて美味いって評判いいしさ」
「うん」
お好み焼きを食べながら、私たちはお好み焼きを食べる約束をした。
以前ならエリと元基合わせて四人で行くだろうけど、段々二人だけで行動することが増えてきた。
「あ、でもやっぱり四人で行くか。
ほら真希、この前サッカーの試合観たいって言ってただろ?
ちょうど一ヶ月後にあるからさ。エリも元基の試合姿見たいだろうし、その帰りに四人で行こう」
「う、うん…」
と思ったが、やっぱりまたいつもの四人で行動することになった。
彼は天然か鈍感か、あるいはどちらともなのか…。
まあ、皆で和気あいあいと食べる方が美味しいか。
:12/04/14 22:58
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:SZG3Mcoo
#699 [ぎぶそん]
この日、私たちは時間を忘れて学校の隅々まで回った。
射的屋ではハワイの実弾射撃訓練の成果が出たのか、次々と色んな商品をゲット出来た。
おばけ屋敷は私は終始怖がりもせず、彼の方がおどおどしていて私に抱きつく始末だった。
メイド喫茶では店員さんと同じ仕草や掛け声をやらされて、耳たぶが真っ赤になるほど二人で緊張した。
美術部や書道部の展示作品に、心を魅了された。
気がつけば夕方となり、ホームルームの時間となった。
「それじゃあまた」
彼が私のクラスまで送ってくれた。
「うん、今日は有難う」
特に今日一日進展した出来事もなく、私たちは解散した。
:12/04/14 23:16
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#700 [ぎぶそん]
いつもの形式的なホームルームが終わると、エリが私の席に一目散に駆け寄ってきた。
椅子に座る私の前に、私を威圧的に見下ろすエリの小柄な上半身が、大きく視界に映る。
「で、どうだった!?優平と今日一日回って。変わったことはあった?」
「へ!?特に何もなかったけど…」
彼女の話に注意を傾けながら、鞄に教科書を坦々と詰める。
「もー!せっかくのチャンスを無駄にしちゃったの!?」
興奮状態の彼女に両方の肩を掴まれた。
「別に楽しかったからいいよ」
その手を払わぬまま、鞄に教科書を詰め続ける私。
「あ、一ヶ月後にサッカーの練習試合があるから観に来ないかって。その後、美味しいお好み焼き屋さんに食べに行こうって」
「本当!?行く行くー!」
彼女がやっと手を離してくれた。
:12/04/14 23:31
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