WHITE★CANDY
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#101 [ぎぶそん]
「雨宮、これ解けるか?」
先輩が、違う参考書の四沢問題のページを開いて、私に示してきた。
「えっとー…答えはAかな?」
「うん、正解!
大変よくできました!」
笑顔で私の頭を撫でる先輩。
:09/01/18 17:54
:SH705i
:ta6MnWi2
#102 [ぎぶそん]
「…。」
先輩のそのしぐさに、一瞬言葉を失った。
「先輩、やっぱり受験って大変ですか?!」
「んー、まあそれなりに!」
先輩が、動かしていた手を離す。
:09/01/18 18:01
:SH705i
:ta6MnWi2
#103 [ぎぶそん]
「そうだ!今度一緒に図書室で、勉強会をやらないか?」
「私はいいですけど…、
私、先輩の邪魔になりません?」
「可愛い後輩が隣にいる方が、俺もやる気出るし!」
先輩が、和らげに微笑む。
:09/01/19 14:30
:SH705i
:i.Bivc7o
#104 [ぎぶそん]
その日の夜―
「お父さんは、お母さんのどこに惹かれたの!?」
夕飯の準備をしながら、父に質問をする。
父とこういった話をするのは、普段全くない。
「母さんはなー、何と言うか、たんぽぽみたいな人だったなあ。」
「…どういう意味?」
:09/01/20 20:46
:SH705i
:3P45rEZ2
#105 [ぎぶそん]
「薔薇やガーベラのような華麗さはないけれど、
雑草と共存しながら、慎ましく道幅にひっそりと咲くような…
よく見てみると、綺麗な花をつけていて、確かな魅力を持っているんだ。」
「ふぅん。」
それがお父さんなりの、愛した人の見方なんだ―
:09/01/20 20:53
:SH705i
:3P45rEZ2
#106 [ぎぶそん]
数日後、私は約束どおり秀先輩と、放課後図書室で一緒に勉強することになった。
静まり返った室内で、黙々と明日提出の課題に取り組む。
隣の先輩は、何やら数学を解いていた。
:09/01/21 05:25
:SH705i
:NQBrsBvY
#107 [ぎぶそん]
(秀ちゃん秀ちゃん、ここの問題教えて!)
途中で、室内にいた女の先輩が秀先輩に小声で近付き、分からない所を聞きにくる場面があった。
ひそひそとやり取りをする二人。
優しく問題を解説する先輩を見て、生徒会長に選ばれるだけあって、人望が熱い人だと思った。
:09/01/21 18:26
:SH705i
:NQBrsBvY
#108 [ぎぶそん]
外の景色が暗くなった所で勉強会を終了し、帰り道を先輩と二人で歩く。
「雨宮は、進路は決まったか?」
「いえ、まだ全然…。」
「まあ俺も、二年の終わり頃に決めたから、そんなに焦らなくて大丈夫!」
先輩が私の歩幅に合わせて、ゆっくり歩いてくれた。
:09/01/21 18:33
:SH705i
:NQBrsBvY
#109 [ぎぶそん]
「あ、そうだ…。」
一本道の途中にあった自販機の前で、先輩が立ち止まった。
カバンから財布を取り出し、飲み物を買う先輩。
「はいっ。今日付き添ってくれたお礼。」
「え?」
先輩が、たった今買ったばかりのオレンジジュースを私に差し出した。
:09/01/21 19:02
:SH705i
:NQBrsBvY
#110 [ぎぶそん]
「じゃあ、俺ん家すぐそこだから…気をつけて帰れよ!」
「あ、はい!」
先輩が笑顔で、"バイバイ"と手を振る。
先輩の大きな背中を、私は見えなくなるまで見ていた。
:09/01/21 19:11
:SH705i
:NQBrsBvY
#111 [ぎぶそん]
次の日―
「…さん!雨宮さん!」
朝のホームルームが終わって、席に着いたままポーッとしていると、誰かに呼ばれているのに気がついた。
「あ、ごめんなさい…ってますちゃん!何?何か用?」
そこには、クラスメートの男子がいた。
:09/01/21 19:20
:SH705i
:NQBrsBvY
#112 [ぎぶそん]
増山光太。
通称 ますちゃん。
野球部に所属している、イガ栗頭の小柄な少年。
一年の時も同じクラスで、当時は元基がよくからかっていた。
天然ボケな性格なので、やられキャラかつ愛されキャラな人物である。
:09/01/21 19:31
:SH705i
:NQBrsBvY
#113 [ぎぶそん]
「何か用?じゃなくて、英語係の仕事。」
私とますちゃんは、クラスで同じ係を担当している。
ますちゃんの机の上には、今日提出となっている、クラスの人数分のノートが重なっていた。
「あっ、ごめん。
一人でさせちゃって。」
「まあ、とりあえず雨宮さん半分持って。
職員室まで運ぶよ。」
:09/01/21 20:05
:SH705i
:NQBrsBvY
#114 [ぎぶそん]
「二人ともご苦労様。」
職員室に入り、英語を担当する女の先生に、二人でクラス分の課題を渡した。
教室まで再び戻ろうと職員室を出る途中で、誰かに肩を叩かれた。
「雨宮、おはよう!」
「秀先輩…!」
秀先輩と私は、ちょうど職員室を入れ違いになったようだ。
:09/01/21 20:32
:SH705i
:NQBrsBvY
#115 [ぎぶそん]
昼休み―
「雨宮さん、最近物思いに耽ってるねー。」
教室前のベランダに一人出て空を眺めていると、ますちゃんが近くに寄って声を掛けてきた。
「…ますちゃんは、今恋してるの?」
私は彼の目を見て言った。
「えぇ!唐突な質問だね!
あいにく、僕にはそういうのに縁がないよ…。」
:09/01/21 20:41
:SH705i
:NQBrsBvY
#116 [ぎぶそん]
「…私、今まで恋愛とかよく分からなかったんだけど、もう高二にもなるし、危機感感じた方がいいのかなって。」
エリと元基の仲睦まじい姿や、女子たちが集まってする恋愛についてのトーク、
そして、現に自分の母親は、今の私と変わらない年齢の時に、お父さんと恋に落ちてた。
私たちの年代は、恋愛に興味津々であって、恋愛というものを学び取る頃。
特に感心も持たない私って、変なのかな?―
:09/01/21 20:50
:SH705i
:NQBrsBvY
#117 [ぎぶそん]
「んーっ、俺は恋ってしようと思って出来るものじゃないと思うな!
雨宮さんも、実際そうじゃない!?」
「うん、うんっ。」
へたれキャラなますちゃんの言葉に、思わず頷く。
「恋する機会ってね、誰の前でも現れてくれると思う。
でも、それは本当に突然の出来事なんだ。
だから雨宮さんも、焦らなくていいと思うよ!」
:09/01/21 20:58
:SH705i
:NQBrsBvY
#118 [ぎぶそん]
放課後―
屋上に来て大の字にねっころがり、ゆっくりと考え事を始める。
私の好きな時間。
空はだんだんと、夕焼け色に差し掛かる所だ。
今日は昼休みのますちゃんの台詞が、心地よく響いている。
無理に恋愛を求める必要は、今の私にはないと感じた。
:09/01/21 21:11
:SH705i
:NQBrsBvY
#119 [ぎぶそん]
「お母さんは、お父さんのどこが良かったの…?」
空にいるであろう母に問い掛ける。
無言の返事が空に反映するだけだが、こんな風に語りかけるのは、私の幼い頃からの習慣だ。
私は父親としての雨宮城はよく知っているが、男としての雨宮城は全く分からない。
きっと、お母さんにとって、父には何かグッとくる所があったのだろう。
だから、こうして私が生まれた。
:09/01/21 21:20
:SH705i
:NQBrsBvY
#120 [ぎぶそん]
「お父さんね、お母さんのこと、たんぽぽみたいな人って言ってたよ。」
そして、質問だけじゃなく、報告をするのも欠かさない。
最近お父さんがこんなことをしたとか、今こんなことを私は思っているとか。
天国という所はどんな場所であるのか、若しくは天国という所が存在してるのかすら不明だけれど、
母は私の話をどこかで聞いてくれていると信じている。
:09/01/21 21:30
:SH705i
:NQBrsBvY
#121 [ぎぶそん]
「私も、愛されるならお父さんみたいな人がいいなあ…。」
母が亡くなってもう十年以上が経つのに、今でも同じ愛情を母に抱く父。
一人の人を思い続けるのって、簡単に出来そうで、以外と難しいのではないだろうか。
その善し悪しは人それぞれだけど、真実の愛というものは、ランダムに歩いて見つかるものとは思えない。
:09/01/22 00:27
:SH705i
:NxZoRz9Q
#122 [ぎぶそん]
運命の人―
もしいるとするならば、もう既に出会っているのかな?
「えっとー、私の知り合いの男の子と言ったら、ますちゃんに、福内くんに箕輪くん…
うーん、皆そんな風に思えない…。」
17歳でそんな決断に至るのは、到底早いか―
:09/01/22 00:42
:SH705i
:NxZoRz9Q
#123 [ぎぶそん]
「…あっ!」
私は一人の存在を思い出した。
寺岡秀一郎先輩。
彼は私から見ても、素敵な人だと思う。
誰に対しても優しくて、頼りがいがあって、勉強熱心で。
恋人にするなら、文句なしの人だろう。
:09/01/22 00:48
:SH705i
:NxZoRz9Q
#124 [ぎぶそん]
「もし秀先輩を好きになったら、これから先どんな風になるんだろう…?」
未知なる世界のことを考えると、トクトクと胸が高鳴る。
その時だった。
「真ー希っ。」
仰向けに寝ていた私の前に、誰かがニョキッと顔を出してきた。
:09/01/22 01:00
:SH705i
:NxZoRz9Q
#125 [ぎぶそん]
「わっ!…って優平!?」
いつかの昼休みの時と同様、その相手は優平だった。
私は思わず、体を起こした。
ここまでのシチュエーションは、この間と全く一緒。
「アハハ、これで二回目だね、びっくりさせたの!
真希のこと探してたんだ。
…はいこれ、借りてた本。」
彼が私に、二週間位前に貸した小説を差し出す。
「これを届ける為にわざわざ屋上まで来たの?
別にいつでも良かったのに。」
:09/01/22 01:16
:SH705i
:NxZoRz9Q
#126 [ぎぶそん]
「んー…真希って何か気になるんだよな!」
「え?」
「何かあったら、一人でしょい込んでないで、俺やエリらに言うこと!
全然頼ってくれて構わないから!」
「うん。」
私っていつも、そんな風に見えてた?
妙な心配をかけさせていたのなら、ごめんなさい―
:09/01/22 01:31
:SH705i
:NxZoRz9Q
#127 [ぎぶそん]
「じゃあ俺、今から部活だから。」
「うん。本、ありがとね。」
ここに来て数分も経たない内に、彼は去っていった。
そういえば、優平も一応、今までに出会った男の子の内の一人に違いない。
それでも、彼もますちゃんたち同様、"運命の人"からは除外か。
私たちは、異性ということを忘れるくらい、ずっと友達として付き合ってきたのだから―
:09/01/22 01:41
:SH705i
:NxZoRz9Q
#128 [ぎぶそん]
その後、私も教室に戻り、エリと下校することになった。
「あっ、そうだ!
一つ言い忘れてた。」
「何?」
「恋はねー、甘いばかりじゃないの!
メロンパンをかじった時、苦いと思う時もある。」
「そんなことってあるの?」
ベーカリー屋が見えてきた所で、エリがいつかの例え話の続きをしてきた。
甘くないメロンパンなんて、聞いたことがないよ―
:09/01/22 12:30
:SH705i
:NxZoRz9Q
#129 [ぎぶそん]
「楽しいことばかりじゃないってこと!
嫌なことや辛いこともそれなりにあるのよ。」
「へぇ、そうなんだ。
じゃあ、エリは何が楽しいと思えなかった?」
「付き合う前、元基が他の女の子と喋ってる時、いい気はしなかったかなぁ。
ま、ヤキモチって奴よ。」
「ふぅん。」
ヤキモチか。
恋をしてる特徴の一つかな―
:09/01/22 12:38
:SH705i
:NxZoRz9Q
#130 [ぎぶそん]
数日後―
「昨日のお笑い番組観た!?」
「うん、面白かったねー。」
朝のホームルームが終わって、私はますちゃんと、職員室までクラス分の英語のノートを持って行っていた。
彼と思いついた話題を提供しあいながら、廊下を歩く。
:09/01/22 14:50
:SH705i
:NxZoRz9Q
#131 [ぎぶそん]
職員室がある一階まで、階段を降りている時だった。
「あっ…。」
ある光景が目に入ったので、ふと立ち止まった。
「どうかした、雨宮さん?」
秀先輩と女の先輩が、こちらとは反対に、階段を上ってきていた。
:09/01/22 15:27
:SH705i
:NxZoRz9Q
#132 [ぎぶそん]
数秒して、秀先輩もこちらに気づいた。
「おう、雨宮!
最近よく会うな!」
先輩が手の平で礼のポーズをしながら、いつもと変わらない笑顔を見せる。
隣の女の人は、さっきまで楽しそうな顔をしていたが、先輩がこちらに挨拶を始めた途端、無表情になった。
この女の先輩、見たことがある。
確か、副生徒会長の人―
:09/01/22 15:38
:SH705i
:NxZoRz9Q
#133 [ぎぶそん]
「…あの二人、デキてるって噂、本当かなー。
生徒会カップルって奴かぁ!」
二人とすれ違った所で、ますちゃんが隣でひそひそと話す。
「女の人の名前、何だっけ?」
「本条まどか先輩!
優等生っぽいよね。」
本条先輩。
一瞬、私を睨んだのは気のせいではない気がする。
二人の関係は知らないけれど、彼女は秀先輩のこと、好きなんだろうな―
:09/01/22 15:53
:SH705i
:NxZoRz9Q
#134 [ぎぶそん]
「…雨宮さんが最近、恋愛についてやたら知ろうとしてるのは、もしかしてあの生徒会長さんが気になるとか?」
「へっ?」
私より身長が低いますちゃんが、訝しい目つきでこっちを見上げながら、私に問いただす。
「…あの人のこと、好きなの?」
:09/01/22 16:03
:SH705i
:NxZoRz9Q
#135 [ぎぶそん]
「…違うよ、ますちゃん。」
私はその場で、ピタリと立ち止まった。
「え?」
彼のくりくりとした丸い目が、更に大きく丸みを帯びる。
「私、さっきヤキモチを妬かなかった。」
いつもそう。
秀先輩が、他の女の人と一緒にいても話してても、私は特に何も感情を抱かない。
:09/01/22 16:11
:SH705i
:NxZoRz9Q
#136 [ぎぶそん]
秀先輩は、素敵な人だと思う。
笑顔は似合うし、体全体からいつも誠実さが滲み出てていて、悪い噂は一つも聞かない。
恋人にするなら、文句なしの相手だと思う。
でも…、だからと言って、それが「恋」に対する「好き」と繋がるとは限らないんだね―
:09/01/22 17:18
:SH705i
:NxZoRz9Q
#137 [ぎぶそん]
夜になって、家でテレビを観ながら、父の帰りを待っていた。
今日の夕飯は私の担当だけど、父からメールで「何もしなくていい」という指示を受けた。
8時過ぎ頃、ドアの開く音が聞こえた。
「よーし、今日はラーメンでも食べに行くかー。」
ネクタイを緩めながら、父が言う。
「うん。」
月に二度は、こうして外食をすることがある。
:09/01/22 17:58
:SH705i
:NxZoRz9Q
#138 [ぎぶそん]
父と歩いて、近所にある小さなラーメン屋さんに向かう。
「おっ!城くんに真希ちゃん、久しいね!」
店に入ると、顔なじみである店長の保(たもつ)おじさんが、暖かく私たちを迎える。
店自体はこじんまりとしているが、ラーメンの味や店内のアットホームな感じが、会社員や中高年の人たちに好評で、常連客が後を絶えない。
私も、小さい時からよく父にここに連れて来てもらっていた。
:09/01/22 18:09
:SH705i
:NxZoRz9Q
#139 [ぎぶそん]
「真希ちゃん、大きくなる度に、べっぴんさんになっていくねぇ!
うちのせがれの、嫁さんにならんかい!?」
カウンター越しに、ラーメンを作る保おじさんと冗談混じりの話をする。
「真希は父さんと結婚するんだよな!?」
横から割り込む父。
「…気持ち悪い…。」
「…!!ちっちゃい頃はよく言ってくれてたのに…。」
:09/01/22 20:07
:SH705i
:NxZoRz9Q
#140 [ぎぶそん]
「ハハハ。城くんの親バカぶりには敵いませんなぁ!」
ゲラゲラと笑いながら、保おじさんが私たちの前に、二人分のラーメンを出す。
「でも真希ちゃん、俺は城くんは、立派な父親だと思うぞぉ!?
仕事と家庭を両立させて、真希ちゃんをここまで大きく育て上げたんだから!」
「うん…。」
保おじさんの言葉に何も返さず、父はただひたすら麺を啜っていた。
:09/01/22 21:17
:SH705i
:NxZoRz9Q
#141 [ぎぶそん]
「有難うございましたー!」
ラーメンを食べ終え勘定を済ませると、店員さんの威勢のいい声に包まれながら、店を後にする。
「はー、食った食ったー。
よーし、今から公園行こう!」
「は!?」
「いいからいいから!
昔みたいに遊ぶぞ!」
店の前で、子供のようにはしゃぐ父。
―お酒は飲んではいないはず…。
:09/01/22 22:03
:SH705i
:NxZoRz9Q
#142 [ぎぶそん]
父の無邪気さに根負けし、家から数十メートル先にある公園にやって来た。
住宅街の中にひっそりとある、小さな公園である。
二人で、息が合わさったかのように、ブランコに乗った。
「ついこの間まで、真希も砂遊びに夢中になってたと思うのになぁ!
時間が経つのは早いもんだな!」
「うん。」
キーコ、キーコとブランコの揺れる音だけが、夜の閑静な住宅街に響き渡る。
:09/01/22 22:23
:SH705i
:NxZoRz9Q
#143 [ぎぶそん]
「…真希は将来、どんなお婿さんを連れて来るんだろうなぁ?」
「その前に、恋愛が出来るのかどうかが問題だよね。」
「今、学校で気になる人とかいないのか?」
「んー…、うん。」
:09/01/22 22:32
:SH705i
:NxZoRz9Q
#144 [ぎぶそん]
「あっ、お父さんと正反対な人ならいるよ。」
「んん!?それはかっこよくなくて、運動オンチで、勉強が出来ない男か!?」
「ううん。落ち着きがあって、賢くて、大人な人ー。」
クスクスと笑う私。
こうして父をからかうのが、私たちの間では時々交わされるやり取りになっている。
:09/01/22 22:42
:SH705i
:NxZoRz9Q
#145 [ぎぶそん]
「真希。」
「…何?」
「父さんはな、いつまでも真希には自分だけの娘でいてほしいが、父親こそ娘の幸せを願わなくちゃな。
現に父さんと母さんも、若い内に籍を入れたし。」
「…うん?」
:09/01/22 22:48
:SH705i
:NxZoRz9Q
#146 [ぎぶそん]
「父さんは、真希が『この人!』って決めたのなら、文句は言わないから!」
「うん。」
「真希、母さんがいなくて、寂しい思いばかりさせてごめんな。
でも、決して母さんは責めないでやってくれ。
そのかわり、父さんは思う存分責めていいから。
真希、絶対に幸せになれよ!って、まだ高校生にこんな話は早いか。」
「お父さん…。」
:09/01/22 22:55
:SH705i
:NxZoRz9Q
#147 [ぎぶそん]
「よーし、そろそろ帰るか。
ドラマが始まる。」
腕時計で時間を確認した父が、ブランコから降りる。
「今日はお月様が真ん丸だなぁ。」
夜空にある、黄金の物体を指を指す父。
「うんっ。」
今日はいい夢が見れそうだ―
:09/01/22 23:32
:SH705i
:NxZoRz9Q
#148 [ぎぶそん]
それから家までの道のりを、父の一歩後ろから歩く私。
父の広い背中に、これまでの苦労と努力と、たくましさを感じた。
「…結婚するなら、お父さんみたいな人かな…。」
「ん?何か言ったかー!?」
「なーんでもない。」
お父さん、私、絶対幸せになる―
:09/01/22 23:34
:SH705i
:NxZoRz9Q
#149 [Gibson]
:09/01/22 23:47
:SH705i
:NxZoRz9Q
#150 [Gibson]
それは6月の、梅雨の時期真っ只中のことでだった。
「…38度4分。
完全に熱だな。」
「…。」
朝起きると、すさまじいほどの体の怠さを感じた。
「今日は学校、休みだな。」
寝ている私の額に、手を当てる父。
:09/01/23 13:03
:SH705i
:xMFSml2U
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