WHITE★CANDY
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#510 [ぎぶそん]
19対18。
フェイントボールは見事に決まった。

私に2回目のサービスが回って来た。

前衛にいた中原が下がる。
他の子たちも、どこからボールが飛んで来てもいいように構えをしている。

私のボールに注意することが、相手チームの暗黙のルールになったようだ。

⏰:09/08/19 02:35 📱:SH705i 🆔:pzdb7g66


#511 [ぎぶそん]
しかし、私の放ったサービスは、ボールが味方コートのネットに引っ掛かり、
明らかなアウトになってしまった。

私は点差が開けるチャンスを、自ら逃してしまった。

そしてその後、3点連続で相手チームに点を入れられてしまう。

22対18。

「やっば〜い。どんどん点差が開いてる。」

流石のエリも、ネガティブな台詞をこぼすようになった。

⏰:09/08/19 02:40 📱:SH705i 🆔:pzdb7g66


#512 [ぎぶそん]
―このままではマズイ。
何か相手チームの弱点となる部分はないか…。

私はこの試合の1つ1つを思い出してみた。
ふと、気にかかることが1つだけあった。

「エリ。ちょっと来て。」

私はエリを呼ぶと、ひそひそと耳元で私なりの作戦を彼女に打ち明けてみた。

⏰:09/08/19 14:10 📱:SH705i 🆔:pzdb7g66


#513 [ぎぶそん]
「分かった。出来るだけそうなるようにやってみるよ。」

次のプレーが始まり、相手チームのサーブがやってくる。

私たちのチームは、1回目がエリと私以外の子、2回目がエリ、3回目が私という具合に、予めパスを渡す手順を決めている。
(場合によっては変わることもあるが。)

しかし今回エリは私にパスを渡さず、2回目で相手のコートに返した。

⏰:09/08/19 14:17 📱:SH705i 🆔:pzdb7g66


#514 [ぎぶそん]
ボールは中原の右隣の子目掛けて落ちようとしていた。

その子がレシーブをしようと構える。
しかし中原も同時にレシーブしようと右隣に移動する。

2人は息が合わず、中原とその子はぶつかってしまった。

ボールがコートから弾かれたように出る。

22対19。
私は敵のウィークポイントに気づいた。

⏰:09/08/19 14:24 📱:SH705i 🆔:pzdb7g66


#515 [ぎぶそん]
23対23。
相手のペースが乱れ、同点まで追い付いた。

デュースになったら面倒だ。
後2点で決着をつけたい、つける。

エリがサーブコートに立つ。
「行っきま〜す。」

エリのサービスは、ネットの上部に当たり、勢いを崩したボールは相手コートの真下に落ちる。
誰もそれを取ることは出来なかった。

23対24。
ほんの偶然が幸いを呼んだ。

⏰:09/08/19 14:35 📱:SH705i 🆔:pzdb7g66


#516 [ぎぶそん]
「行っきま〜す。」

エリの放ったサービスは、又してもネット上部に引っ掛かった。
他の子では取れないと思ったのか、後衛にいた中原が援護に回る。

しかし、そのタイミングは約1秒程ズレていたようだった。

ボールは中原の手をかすめることなく、真下に落ちていった。

⏰:09/08/19 14:46 📱:SH705i 🆔:pzdb7g66


#517 [ぎぶそん]
この試合におけるラッキーガールは、エリだったようだ

「勝ったぁ〜!!これで決勝進出よ〜!!」

試合終了のホイッスルが鳴ると、エリがはしゃぐ。

普段物静かな林さんや高山さんも、嬉しさのあまりその場で何度も跳びはねる。

23対25。
長く感じられた試合が終わった。

⏰:09/08/19 14:50 📱:SH705i 🆔:pzdb7g66


#518 [ぎぶそん]
中原由利率いるH組は決して弱い相手ではなく、むしろ苦戦したのだが、
中原の周りに対する信頼のなさが敗因だったと思う。

団体戦においてお互い声を掛け合うことは、特別意味のないように見えて、本当は1番大切なことだと思う。

独りよがりのプレーは、本当の壁にぶち当たった時、大きく自分を見失ってしまう。

困難を乗り越えることが出来るのは、一緒に力を合わせて戦う友の声があるから。

⏰:09/08/19 14:58 📱:SH705i 🆔:pzdb7g66


#519 [ぎぶそん]
試合が終わった後、私とエリは男子バスケの様子を見に行った。
第1体育館では、C組対F組の決勝戦が既に始まっていた。

「優平〜!!
元基のアホなんかけちょんけちょんにやっつけなさいよー!!」

「ちょっと、彼氏のこと応援しなくていいの?」

「元基の奴、『俺が優勝したらGSソフトを貸してくれ』ですって。
アイツの言いなりなんかになりたくないわ。
真希の方こそ、そこら中にライバルが散らばって大変そうね。」

⏰:09/08/19 15:04 📱:SH705i 🆔:pzdb7g66


#520 [ぎぶそん]
「キャ〜!!
桜井くんカッコイイ〜!!」

エリの言うように、女子たちの黄色い声援が体育館を染めていた。

優平が、相手チームのゴールに向かって激しくドリブルをする。
そのボールを元基が瞬時にして奪う。

昨日のタイマンの続きを見ているようだった。

⏰:09/08/19 15:09 📱:SH705i 🆔:pzdb7g66


#521 [ぎぶそん]
「優平、頑張れ!」

私は思わず声に出して言ってしまった。

その声が届いたのか、優平が再び元基からボールを奪い取る。
そして誰も追いつけないくらい相手コートまで走ると、ロングシュートを放った。

―パシュ。
そのシュートは見事に決まる。

ボールが入ったと同時に、笛が長くなる。
試合が終わったようだ。

⏰:09/08/19 15:15 📱:SH705i 🆔:pzdb7g66


#522 [ぎぶそん]
試合終了のホイッスルが鳴り終わった後、優平がこちらに向かって手を振ってくれた。

女子たちの冷たい視線が気になったが、自分の存在に気づいてくれていたことが嬉しかった。

次は私たちの番だ。
全力を尽くさなきゃ。

⏰:09/08/19 15:19 📱:SH705i 🆔:pzdb7g66


#523 [ぎぶそん]
女子バレー決勝戦。

対戦相手のD組は、私たちが負けたF組に、
先程の準決勝で25対19で勝利したらしい。

最後の砦となるのは、最強と謡われる双子の鈴川姉妹だろう。

陸上部所属の姉の美鈴(みれい)は、砲丸投げで大会に出る毎に記録を塗り替え、
水泳部所属の妹の可憐もまた、試合に出る度に新記録を更新している。

⏰:09/08/19 15:25 📱:SH705i 🆔:pzdb7g66


#524 [ぎぶそん]
そして2人は華やかなネーミングとは対照的に、
女子とは思えないほど筋肉質な体格をしていて、全体的にごつごつしている。

肌も一年中こんがりと焼けていて、いうなれば開会式で最後にステージに立った細野先生ような感じなのだ。

中には陰で2人のことを「ゴリラ姉妹」や「細野先生の子供」などと呼ぶ男子もいる。

⏰:09/08/19 15:32 📱:SH705i 🆔:pzdb7g66


#525 [ぎぶそん]
決勝戦は私たちのチームのサービスから始まった。

相手コートは2回目で可憐が小さくトスをする。

ピッ。
その後、何故か1点先取の笛が即座に鳴る。
状況は笛が鳴り終わってから把握した。

1対0。

可憐がボールを上げた瞬間に、姉の美鈴がスパイクを打った。
鈴川姉妹はいわゆる速攻という技を使ったのだ。

あまりの連携プレーの素早さに、私は恐ろしさを感じた。

⏰:09/08/19 15:42 📱:SH705i 🆔:pzdb7g66


#526 [ぎぶそん]
「ちょっと〜!
あの2人どこであんな技覚えたのよ〜!?」

驚いた表情を見せるエリ。
確かに、先程のは素人の試合でなかなか見れる光景ではない。

ピッ。
サービス権があちらに回る。

可憐がボールを高く上げる。
空中でボールがくるくると回転する。
可憐がタイミングを計らって空中に浮く。

―まさか…。

⏰:09/08/19 15:48 📱:SH705i 🆔:pzdb7g66


#527 [ぎぶそん]
―バシッ!

ボールがこちらに向かって来た。
それは、海中でサメに襲われ掛かっているほどの恐怖があった。

「きゃっ。」

その餌食になったのはエリだった。
レシーブには自信があった彼女も、流石にその強烈なサービスは受け止められなかったようだ。

可憐はジャンプサーブを決めてみせたのだ。
バランスを崩したエリは、そのまま床に倒れ込んだ。

⏰:09/08/19 15:54 📱:SH705i 🆔:pzdb7g66


#528 [ぎぶそん]
「エリ、大丈夫!?」

彼女の元に駆け寄る私。

「私たちの努力もあの2人の前にすれば、塵みたいなものなのかしら…。
何だか悔しい。」

寝そべったまま、涙ぐむエリ。
練習や大会を通して初めて見た、彼女の弱気な姿。

「そんなことないよ。
努力は私たちを裏切らない。」

私は彼女の上体を起こした。
今度は私が彼女を支える番だ。

⏰:09/08/19 15:58 📱:SH705i 🆔:pzdb7g66


#529 [みき]
>>275-500

⏰:09/08/19 17:58 📱:N905i 🆔:T.gEztvQ


#530 [ぎぶそん]
5対1。

相手のちょっとしたミスで、ようやく最初の1点を得た。
ローテーションで私にサービス権が回る。

サーブコートに立つ私。
試合前から標的は決めていた。

後衛ライト目掛けてボールを打つ。
威力とスピードを増したボールは、可憐の右肩に激突した。

⏰:09/08/21 00:35 📱:SH705i 🆔:PkYNnKgo


#531 [ぎぶそん]
5対2。

決勝戦を見に集まった観客のどよめき声が響く。

大抵は出来るだけ鈴川姉妹のような人間にはボールを回さないようにするが、
私は敢えて逆の発想を取ることを選んだ。

少し動揺をしたのか、相手チームの空気が変わった。

私の読みが当たった。

⏰:09/08/21 00:39 📱:SH705i 🆔:PkYNnKgo


#532 [ぎぶそん]
将棋は王手を取るまで終わることの出来ないゲーム。

私は怪物・鈴川姉妹に積極的に勝負を挑んだ。

ここまで来るまでに、積み上げてきた努力がある。
姑息な手段で勝利しても、何にも嬉しくはない。

私には今、王将以外の駒は見えない。

⏰:09/08/21 00:49 📱:SH705i 🆔:PkYNnKgo


#533 [ぎぶそん]
その後、両チーム激動のプレーは続く。

鈴川姉妹のアタックも、目が慣れれば受け止め切れるようになった。
それが私たちの自信に繋がり、相手のペースにのまれることはなかった。

バレーはとにかく、どんなに不様な格好だろうがボールを地面に落とさなければいいのだ。

23対20。

必死になって食らいついた結果、点差はそこまで開かれずに済んでいた。

⏰:09/08/21 00:59 📱:SH705i 🆔:PkYNnKgo


#534 [ぎぶそん]
「真希、次ボールが来たら思い切り打ってみて!」

相手のサーブが向かってくる前、エリにこんなことを言われた。

「でも、失敗したら…。」
私はこの大会中、ずっとアタックを打つことを躊躇っていた。
1点のミスが大きな命取りに成り兼ねないと思っていたからだ。

したがって、まだ本格的なアタックを1度も打ったことはない。

⏰:09/08/21 01:07 📱:SH705i 🆔:PkYNnKgo


#535 [ぎぶそん]
「私たち、この日の為に毎日猛特訓したじゃない!?
今こそその成果を見せる時よ!」

「そうだよ、雨宮さんならきっと出来るって!
ここまでずっと引っ張ってくれたんだし、私たちは雨宮さんの判断に任せるよ。」

エリに続くように、皆が私の後を押す。

「逆転の可能性を秘めてるのは、もう真希のアタックしかないよ。」

エリの真っ直ぐな瞳が、私の全てを射止める。

⏰:09/08/21 01:11 📱:SH705i 🆔:PkYNnKgo


#536 [ぎぶそん]
相手チームの軽く投げられたサーブが来る。

「長谷部さんっ!」

後衛センターの伊東さんが、落ち着いてそれを上げる。

「真希っ!」

それを、セッター係のエリがもう1度上げた。

高く、美しいトスだ。

⏰:09/08/21 01:16 📱:SH705i 🆔:PkYNnKgo


#537 [ぎぶそん]
助走をつけ、宙に浮く私。

―迷いはない、"打つ"。

鈴川姉妹が2人がかりでブロックに回る。

私は空中で、叩くようにボールに衝撃を与えた。

姉妹のごつごつした手の平が、ネット上から顔を出す。

⏰:09/08/21 01:23 📱:SH705i 🆔:PkYNnKgo


#538 [ぎぶそん]
ボールが美鈴の右手に触れる。

角度を変えられたボールは、私たち側のコートに木葉のようにひらひらと落ちる。

24対20。
遂に相手チームのマッチポイントとなった。

一瞬にして私の視界は暗くなり、表情も青ざめてきた。

⏰:09/08/21 01:31 📱:SH705i 🆔:PkYNnKgo


#539 [ぎぶそん]
「ごめん、皆…。」

もう皆の顔すら見れなかった。
後悔でいっぱいだ。

「今のはたまたま奴らのブロックが決まっただけよ。
真希!もう1回やるよ!」
私の意表をつくように、エリがこんなことを言い出す。

「でも、また失敗したら…試合はそれで終わりだよ?」

体育館は"D組!""D組!"という声援が湧いている。
その盛り上がったムードだけで、気持ちが押されそうになる。

⏰:09/08/21 19:40 📱:SH705i 🆔:PkYNnKgo


#540 [ぎぶそん]
「たった1度の失敗で、何弱気になってるのよ。
次は決めればいいだけのことじゃない。」

「でも…。もう無理だよ…。」

―エリ、私たちは今相手に4点も差がつけられてるんだよ!?
しかも向こうはマッチポイント。

アタックを打とうとしても、最強姉妹の2枚ブロックがついてくる。
私たちに勝ち目なんてない。

私たちの秋はここまでだったんだよ…。

⏰:09/08/21 19:49 📱:SH705i 🆔:PkYNnKgo


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