WHITE★CANDY
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#541 [ぎぶそん]
私に諦めモードが差し掛かった時だった。
「真希!試合はまだ終わってない。
ここからが本当の始まりだ!」
たくさんの観客の中、誰かがコートにいる私に向かって声を張り上げて言った。
優平だった。
気づかなかっただけで、ずっと試合を見てくれていたらしい。
優平のその一声に驚いたのか、体育館が一気に静まり返る。
:09/08/21 19:56
:SH705i
:PkYNnKgo
#542 [ぎぶそん]
暗がりの中から、一筋の光が差し込んできた。
強気な気持ちを、もう1度取り戻す。
野球は9回ウラからが本当の試合だと言われている。
そうだよね。
何をメソメソすることがあるんだろう。
―まだ全てが終わった訳じゃない。
:09/08/21 20:04
:SH705i
:PkYNnKgo
#543 [ぎぶそん]
―ピッ。
エリが2回目で私にパスを渡す。
ここまではさっきのシチュエーションと全く同じだ。
鈴川姉妹の2枚ブロックがつく。
―こんな壁、怖くも何ともない。
ただ越えればいいだけなのだから。
「ブレイブ…アターック!」
今日の朝はカツ丼が食べたいと言っていたのに、
親子丼を作っていた憎き父の顔を私は浮かべた。
:09/08/21 20:09
:SH705i
:PkYNnKgo
#544 [ぎぶそん]
がむしゃらに打ったボールは、姉妹の間をすり抜ける。
姉妹の壁を越えたスパイクは、誰にも邪魔されることなく45度下に落ちていく。
24対21。
生まれて初めてアタックが決まった瞬間だった。
こんなに気持ちがいいものとは。
わああ!と観客の声が湧く。
:09/08/21 23:52
:SH705i
:PkYNnKgo
#545 [ぎぶそん]
次の回。
「真希!…と見せかけて、エイッ。」
ボールが返ってきた時、エリが2回目で、ネットぎりぎりにフェイントボールを入れた。
相手チームは意表をつかれたように立ち尽くしていた。
24対22。
「エリ、いつの間にそんな技を覚えたの?」
「準決勝での真希の受け売りよ。
私だって試合をする度に強くなってるんだから!」
いつものエリの笑顔がそこにはあった。
:09/08/21 23:57
:SH705i
:PkYNnKgo
#546 [ぎぶそん]
体育館はいつからか、"B組!"B組!"という観客の声が大きくなった。
さっきまでD組一色だった空気が、がらりと変わる。
そのムードに押されたのか、相手チームのサーブカットのミスが2回も続いた。
24対24。
連続4得点の末、同点にまで追い付いた。
「キャー!デュースに持ち越しよ〜!」
振り出しに戻った得点に、はしゃぐエリ。
:09/08/22 00:15
:SH705i
:.m377TEo
#547 [ぎぶそん]
その後、24対25、25対25と、
お互い1歩も譲らないまま試合が長引く。
そして、30対31。
私たちがまた、何度目かの1点リードを迎えた。
「皆、後1点で決めるよー!」
「オー!!」
気持ちが再び1つになる。
次で決着をつける、私は頑なに決意した。
:09/08/22 00:23
:SH705i
:.m377TEo
#548 [ぎぶそん]
「真希!」
プレーが再び始まり、機械的にトスを上げるエリ。
私はいつも東吾兄とゲームで対戦しても、後もう少しの所で負けてしまう。
その時の東吾兄の余裕の笑みを思い出す。
「ブレイブアターック!」
あの時の怒りを、今このスパイクにぶちまける。
鈴川姉妹の2枚ブロックがつく。
「うおりゃあ!」と雄叫びを上げ、可憐が右手で弾く。
:09/08/22 19:16
:SH705i
:.m377TEo
#549 [ぎぶそん]
しまった、と思った時だった。
予期していたかのように、高山さんが跳ね返されたボールの元へ素早く駆け寄り、それを拾う。
「ずっと雨宮さんたちに任せっぱなしでごめんね。
この球は絶対に落とさせない!」
2回目、エリがもう1度トスを上げる。
皆で必死になって繋いだボール。
今までのやり取りや日々が、走馬灯のように駆け巡る。
エリの大会に対する想い、毎日へとへとになるまで行われた練習。
:09/08/22 19:21
:SH705i
:.m377TEo
#550 [ぎぶそん]
ここまで来たんだ。
鈴川姉妹は、決して打ち負かすことが不可能な相手じゃない。
この試合、絶対に負けたくない。
「うおおぉぉおお〜!!」
全身を奮い立たせるように、再び飛び上がる。
右手に渾身の力を込めて、もう1度打つ。
この1球に全てを賭ける。
―これが、私の最後のアタックだ。
:09/08/22 19:28
:SH705i
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