電 波 少 女
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#1 [萌子◆Hi9o8eIXuA]




初恋の人は電波少女でした。




⏰:09/01/18 03:43 📱:L704i 🆔:aevGBrVE


#2 [萌子◆Hi9o8eIXuA]




1 幼い頃の約束



⏰:09/01/18 03:47 📱:L704i 🆔:aevGBrVE


#3 [萌子◆Hi9o8eIXuA]


あの子がこの町にやってきたのは、六年前の夏だった。

蝉が鳴き始め向日葵(ひまわり)が花開く頃には、ぼくのクラスはもうすぐやってくる転校生の話題で持ちきりだった。

転校してきた日、先生の合図であの子は堂々と胸をはり教室に足を踏み入れた。


「東京からやってきました、竹之内千鶴(たけのうちちずる)といいます。よろしくお願いします。」


自己紹介の時、千鶴は細くやわらかい髪を高い位置で二つにくくって、えくぼのある笑顔を向けていた。

⏰:09/01/18 04:02 📱:L704i 🆔:aevGBrVE


#4 [萌子◆Hi9o8eIXuA]


明るくて人懐っこい千鶴は、すぐにクラスに打ち解け友人もたくさんできた。

最初ははきはきとしていた標準語で話していたが、やがてこちらの方言がうつった。

町の大人達にも顔を覚えてもらえ、ビニール袋いっぱいの野菜を抱えて喜んでいることもあった。

千鶴はみるみるうちにこの町、学校に馴染んでいった。

それからだろうか、千鶴は味をしめたように様々なことに挑戦し参加し始めた。

⏰:09/01/18 04:03 📱:L704i 🆔:aevGBrVE


#5 [萌子◆Hi9o8eIXuA]


下校の際には僕ら男子や仲のよい女子と道草をしたり、駄菓子屋に入り浸ってお小遣いを消費してみたり、何でもした。

そのくせ気立てがよくていつも笑顔ときたから、千鶴は人気者で引っ張りだこだった。

その頃、僕も話してみたいとぼんやり願っていたのを覚えている。

それから間もなくして、千鶴は僕によく話しかけてくるようになった。

最初こそは軽くたわいもない話題で盛り上がるだけだったが、しばらくして状況は変わった。


⏰:09/01/18 04:04 📱:L704i 🆔:aevGBrVE


#6 [萌子◆Hi9o8eIXuA]


片時も離れず僕の回りをうろついて、自分をかまってくれとねだり始めたのだ。

クラスメイトに冷やかされても、千鶴は笑ってやり過ごしていた。

まわりの目を気にして避けつつも、ぼくは本気で千鶴を突き放せずにいた。

僕が怒ると、千鶴はくるっとした大きな瞳に涙をためて抱きついてきた。

⏰:09/01/18 11:39 📱:L704i 🆔:aevGBrVE


#7 [萌子◆Hi9o8eIXuA]


いつも抵抗はしなかった。

その時、僕はもう竹之内千鶴に恋心を抱いていたのだ。

感情を露(あらわ)にして、笑顔ですりよってくる千鶴のことを考えると、おかしいくらい切なくなった。

⏰:09/01/18 11:40 📱:L704i 🆔:aevGBrVE


#8 [萌子◆Hi9o8eIXuA]


ある日、僕は千鶴と二人で遊んでいた。

蝉とひぐらしが大合唱を始め、太陽はこれでもかと照りつけていた。

蜃気楼が漂うほど熱したアスファルトでサンダルが溶けてしまわないか心配だった。

千鶴はコサージュのついた麦わら帽子を深く被って、長い髪を風になびかせていた。

⏰:09/01/18 11:42 📱:L704i 🆔:aevGBrVE


#9 [萌子◆Hi9o8eIXuA]


繊細なそれからはよい香りが漂ってきて、僕はそっと触れたが、千鶴は気づかなかった。

いつも通り駄菓子屋で手頃な価格のバニラバーを買って、それを削りながら学校裏にある林で涼んでいた。

林の中心には大きな樹があり、そこに生徒は登って普段見ることのできない景色を楽しんだ。

僕たちもそこに登り、並んで町を眺めた。

⏰:09/01/18 11:45 📱:L704i 🆔:aevGBrVE


#10 [萌子◆Hi9o8eIXuA]


見渡す限りの田んぼと、どこまでも連なる山々が僕たちを迎えた。

木陰で冷やされた風が下から吹きつけ、僕たちの汗をぬぐい去るように撫でて冷やした。

バニラバーをようやく食べ終えた千鶴は木べらを投げ捨て、足を揺らしながら言った。

⏰:09/01/18 11:48 📱:L704i 🆔:aevGBrVE


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