冷たい彼女〔続編〕
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#121 [ゆーちん]
昨日の佐奈と今日の佐奈。
同じ人なのに、全くの別人のように思えた。
出来上がったラーメンを佐奈に出すと、またまた態度は急変。
元気な顔してラーメンを食べ始めた。
:09/02/01 16:17
:SH901iC
:lGeUBDQs
#122 [ゆーちん]
「超美味い!」
「そりゃよかった。」
「つか今日何時上がり?」
「あー、あと30分ぐらいかな。」
「じゃあ上がりまで待つ。フェリー乗り場まで送ってってやるよ。」
「マジ?ありがと。」
:09/02/01 16:17
:SH901iC
:lGeUBDQs
#123 [ゆーちん]
ほらね、根は優しいんだ。
なんだかんだ言って、俺は佐奈が好きなんだよ。
同じ島の、本当の姉ちゃんみたいな存在として。
:09/02/01 16:17
:SH901iC
:lGeUBDQs
#124 [ゆーちん]
2杯目を食べ終えたところで、俺のバイトが終わり、佐奈と一緒に店を出た。
昨日と合わせて計5杯。
なぜ太らないんだ、西山佐奈。
そんな大食い女の車に乗って、フェリー乗り場まで送ってもらった。
:09/02/01 16:18
:SH901iC
:lGeUBDQs
#125 [ゆーちん]
「ありがとね、佐奈ちゃん。」
「おうよ。んじゃまたね。」
俺を降ろすと軽快に走り去った佐奈の車。
これから佐奈、どうなるんだろ。
彼氏と上手くいけばいいな…なんて、ちゃっかり願いながら俺は島へと帰る。
:09/02/01 16:19
:SH901iC
:lGeUBDQs
#126 [ゆーちん]
それからしばらくは佐奈がラーメン屋に現れる事もなければ、連絡もなかった。
台風みたいな人だ。
凜にも連絡はなし。
どうしてんだろ、大丈夫だったかな。
…なーんて、心配なんかしなければよかったと今更後悔。
:09/02/01 17:25
:SH901iC
:lGeUBDQs
#127 [ゆーちん]
佐奈台風が再び俺らの元に上陸したのは、夏休みを2日後に控えた、とても暑苦しい日だった。
「もっしー、心?」
「久しぶりだね、佐奈ちゃん。」
電話の向こうからは明るい佐奈の声。
「今から剛ぶっ殺しに行くけど、一緒に行くぅー?」
:09/02/01 17:26
:SH901iC
:lGeUBDQs
#128 [ゆーちん]
おいおいおいおい…西山さんが『ぶっ殺す』とか言わないでよ。
洒落になんないから!
「ちょっ、ちょっと佐奈ちゃん、落ち着いて!」
「落ち着いてるよー。」
まぁ確かに、落ち着いてはいる。
:09/02/01 17:28
:SH901iC
:lGeUBDQs
#129 [ゆーちん]
でも落ち着きすぎて恐い。
「とりあえず深呼吸して。」
「は?私に命令?」
「あぁー、ごめん。深呼吸して下さい。」
「何でしなきゃなんないのよ。もぉ…ハァ〜。」
:09/02/01 17:28
:SH901iC
:lGeUBDQs
#130 [ゆーちん]
大きく息を吐く音がしたので、どうやら深呼吸はしてくれたみたい。
「今どこ?」
「心はどこなのよ。迎え行くから場所言って。」
:09/02/01 17:29
:SH901iC
:lGeUBDQs
#131 [ゆーちん]
バイト後の幸せである、凜ちゃんのマンションだった俺。
素直に場所を言うべきか、それとも島にいると嘘をつくか。
「えーっと…」
「さっさと答えてよ!」
「…凜ちゃんのマンションです。」
:09/02/01 17:55
:SH901iC
:lGeUBDQs
#132 [ゆーちん]
「10分後に外で待ってて。」
それだけ言うと、佐奈の電話は切れた。
何、正直に言ってんだよ俺。
嘘つけば、今から凜ちゃんが作ってくれたカレーライスが食えたのに…。
:09/02/01 17:55
:SH901iC
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#133 [ゆーちん]
「凜ちゃあ〜ん。」
「…何で半ベソかいてんの。」
「俺が殺人者になっても彼女でいてくれる?」
「…話が見えないよ。」
:09/02/01 17:56
:SH901iC
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#134 [ゆーちん]
シレッとする凜の態度。
余計に泣けてくるよ。
「佐奈ちゃんから電話があって、今から剛ぶっ殺すとか言ってんの。で、俺のこと迎えに来るってー。もうやだよ、あの人…。」
:09/02/01 17:57
:SH901iC
:lGeUBDQs
#135 [ゆーちん]
げんなりしていると凜の表情が変わった。
「私も行く!」
マジでー。
もう、何か、やだ。
「凜ちゃんは来なくていいよ。」
:09/02/01 17:58
:SH901iC
:lGeUBDQs
#136 [ゆーちん]
「何でよ。私だって佐奈ちゃん心配だもん。」
「僕、カレーライスが食べたい。」
「一晩寝かせたほうが美味しいの!ほら、出掛ける仕度して。」
:09/02/01 17:58
:SH901iC
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#137 [ゆーちん]
電気やガスや戸締まりのチェックを済ませ、凜と一緒にマンションの外で佐奈の迎えを待つ。
「あ、来た。」
やたらうるさい車が、俺たちの真横に停車した。
窓から佐奈ちゃんが覗き出す。
:09/02/01 17:59
:SH901iC
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#138 [ゆーちん]
「凜ちゃん!こないだの朝ぶり〜。あの日はごめんね。お世話になりました。」
「ううん、気にしないで。今から剛さんのとこに行くんでしょ?」
「うん。息の根止めてくるー。」
:09/02/01 18:00
:SH901iC
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#139 [ゆーちん]
笑顔で言うセリフじゃないでしょ、佐奈ちゃん。
「私も行っていい?心だけじゃ頼りないだろうし。」
「あっ、そうだね。じゃあ凜ちゃんも乗って。」
:09/02/01 18:00
:SH901iC
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#140 [ゆーちん]
そうだね、って…頼りないと思うなら最初から呼ばないでよ。
助手席に乗り込んだ凜。
後部座席に乗り込んだ俺。
何か、女って怖いよねー。
「浮気は誤解だって剛がずっと言って来てて、信じてやろうかなって思ってた矢先なの。知らない女が剛の部屋入ってくの見たって情報入ってさ。今から殴り込みよ。」
:09/02/01 18:02
:SH901iC
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#141 [ゆーちん]
素で怖い。
女の情報網の凄さはあなどってはいけないんだって竜たちにも教えてあげないと。
「前も聞いたけど本当に浮気かな?」
その凜の質問に佐奈は小さく呟きながら答えた。
:09/02/01 18:02
:SH901iC
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#142 [ゆーちん]
「…浮気じゃなきゃ女を家に連れ込まない。」
佐奈はアクセルを強く踏み、車は剛さんの家へと走って行った。
15分もすれば剛さんの住むアパートに到着した。
車を降りると、佐奈は力強い足で歩く。
:09/02/01 18:35
:SH901iC
:lGeUBDQs
#143 [ゆーちん]
俺と凜は佐奈の後ろをついて歩く。
ドアに手をかけ、キーケースの中から鍵を出し、簡単にドアを開けた。
きっと合い鍵なんだろう。
:09/02/01 18:36
:SH901iC
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#144 [ゆーちん]
「…チッ。逃げられた。」
玄関を見て佐奈は呟いた。
靴は男性物のスニーカーしかない。
この部屋に女性はいないようだ。
:09/02/01 18:36
:SH901iC
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#145 [ゆーちん]
意を決し、鋭い目で部屋の中に入って行く佐奈。
俺達も後に続いた。
「剛!」
佐奈が扉を開けると、タンクトップにパンツ一枚姿の男がいた。
どうやら、この人が剛さんらしい。
:09/02/01 18:37
:SH901iC
:lGeUBDQs
#146 [ゆーちん]
「えっ、佐奈…。」
剛さんは相当驚いているらしく、微動だにせず、佐奈を見上げていた。
固まって座っている剛さんの目の前にしゃがみ、タンクトップの首元を掴みながら声を荒げた。
「ヤリ終われば女は用無しか?」
:09/02/01 18:39
:SH901iC
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#147 [ゆーちん]
「えっ…何の事。」
「ふざけんな。女がこの部屋入って行くの目撃されてんだよ。」
剛さんの目が泳ぐ。
どうやら図星のようだ。
「それは…」
「何、来てないの?私の勘違い?だったら弁解しなよ。言い訳しなよ!」
女の人が、この部屋に来ていたのは間違いないんだろう。
:09/02/01 18:40
:SH901iC
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#148 [ゆーちん]
佐奈に怒鳴られた剛さんは何も言わず、ただ目の前にいる人だけを見ていた。
「その女も一緒に殴り殺してやろうかと思ったけど、どうやら帰った後みたいだし。今日はお前だけ先に殴り殺すわ。」
「ちょっと待って佐奈!勘違いなんだってば。俺は浮気なんかしてない。」
:09/02/01 18:41
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#149 [ゆーちん]
眉を下げて、佐奈に訴える剛さん。
「この期に及んでまだ言い訳する気?その言葉は聞き飽きたよ。」
「今日ここに来たのは俺の兄貴の奥さんだよ。」
「はぁ?義理の姉と不倫かよ!」
佐奈は大きな声で剛さんに怒鳴った。
:09/02/01 18:42
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#150 [ゆーちん]
「違うってば…浮気でも不倫でもない。」
「証拠は?」
「本人に直接聞けばいいよ。」
「聞いたとしても本当の事なんて言う訳ないじゃん。義理の弟とヤリましたって。」
「だからヤッてないってば…。隠れて会ってただけだよ。」
「何で隠れる必要があんのさ。訳わかんない!」
:09/02/01 18:42
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#151 [ゆーちん]
「ちゃんと話すから…離して。」
「言い訳なら聞きたくないって言ってんじゃん!」
「頼む、離して。」
「やだっ!」
「ごめん、ちゃんと謝るから。ちゃんと話すから。」
「ふざけ…な…」
佐奈はとうとう泣き出してしまった。
:09/02/01 22:05
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#152 [ゆーちん]
自分で自分をコントロール出来ていない佐奈は、急に俯いて、剛さんの胸板を小さな拳でポンポンと叩き始めた。
そんな佐奈を剛さんは優しく抱きしめた。
:09/02/01 22:05
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#153 [ゆーちん]
「佐奈ちゃ‥」
「凜ちゃん。俺ら外出よ。」
「えっ、でも…」
「大丈夫でしょ。外で待とう。」
:09/02/01 22:05
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#154 [ゆーちん]
泣いている佐奈なんか見たくなかった。
小さくなって剛さんの腕の中で泣きじゃくる佐奈は、俺の知らない佐奈だ。
そんな姿、見たくない。
それに、俺らがいなくても解決しそうな気がした。
なぜ来たのか、いまだによくわからないくらいだから。
:09/02/01 22:07
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#155 [ゆーちん]
凜の手をひいてアパートの外に出る。
夜風が涼しい。
俺らはちょっとした石段の上に座った。
「浮気じゃないのかもね。」
凜が言った。
:09/02/01 22:07
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#156 [ゆーちん]
「うん、たぶん違うっしょ。俺、剛さんに初めて会ったけど、嘘つくような人には思えないもん。」
「佐奈ちゃんの勘違いだけならいいね。」
「うん、そうだね。」
:09/02/01 22:08
:SH901iC
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#157 [ゆーちん]
中が気になるものの、きっと大丈夫という自信はある。
だから俺らは寄り添いながら佐奈が出てくるのを待った。
「このまま仲直りして盛り上がっちゃって…とかないよね?」
「は?」
「だからー、仲直りしてチューとかしちゃってそのままベットインして…って!想像したらキモいわ!」
:09/02/01 22:22
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#158 [ゆーちん]
「想像したの?やらしい、変態。一種の浮気だね。」
「…ごめんなさい。」
「まぁでも心の予想が当たったとしたら、私たち野宿だよ。帰り道わかんないもん。」
:09/02/01 22:23
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#159 [ゆーちん]
「戻って来るのを祈るしかないんだね。頼むから盛り上がっちゃったりしないでよ、佐奈ぁ〜。」
「それより、もう最終出たね。」
凜が携帯電話の時計を見て呟いた。
「えっ!嘘、マジで?」
凜ちゃんの携帯電話を覗き込みと、たった今最終のフェリーが出た時間だった。
:09/02/01 22:23
:SH901iC
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#160 [ゆーちん]
「どうしよー!とりあえず母ちゃんに電話するわ。」
ポケットから携帯電話を取り出すと、電池が残り1つだった。
「げっ、充電すんの忘れてた。」
「私の使いな。途中で電池切れると面倒でしょ?」
「うん、ありがと。」
:09/02/01 22:24
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