冷たい彼女〔続編〕
最新 最初 🆕
#1 [ゆーちん]
マイペース更新ですが、どうぞ最後までお付き合い下さいm(__)m

>>2 アンカー・感想板
>>3 前作

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#2 [ゆーちん]
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感想板
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#3 [ゆーちん]
本当にあった×××な話
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双子の秘密
bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/9512/f

冷たい彼女
bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/9538/f

闇の中の光
bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/9650/f

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#4 [みい]
ずっと読んでましたx
頑張ってください

⏰:09/01/30 11:41 📱:W61SA 🆔:6pSVcA1g


#5 [ゆーちん]
>>4みいさん
ありがとうございます

⏰:09/01/30 13:09 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#6 [ゆーちん]
○●○●○●○

変わらぬ友情

○●○●○●○

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#7 [ゆーちん]
「何じゃこりゃーっ!」


思わず立ち上がり叫んでしまう俺に、周りから冷たい視線が送られた。


「うるせぇよ。座れ、バーカ。」


目の前に座っている竜が呟いた。


半泣き状態でソファーに座り直すと、隣にいた大輝が笑いながら言った。

⏰:09/01/30 13:11 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#8 [ゆーちん]
「ここまで見切れてると尊敬しちゃいますね。」

「そんな事で尊敬されても嬉しくねぇよ!」


何でファミレスでバカみたいに俺が叫んだかって?


何が見切れてるかって?


何で尊敬されちゃうかって?


それはね…。

⏰:09/01/30 13:12 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#9 [ゆーちん]
「あー!修学旅行の写真、やっと出来たんだぁ!」


そうなんです。


中3時の修学旅行で撮った写真がやっと焼き増され、俺らの手元に届いたのです。


半年以上かかって手渡された写真。


懐かしみながら思い出に浸れると思ったのに…。

⏰:09/01/30 13:13 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#10 [ゆーちん]
「おぉ、香奈!早かったな。」

「アハハハ!ちょっと何これ!心、全部見切れてんじゃん!」


香奈は竜の隣に座り、大輝の言葉も聞かずに、焼き増された写真を見てケラケラと笑っている。


「…いじめだとしか思えない。」

⏰:09/01/30 13:13 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#11 [ゆーちん]
5人で撮った写真のほとんどが、なぜか俺だけ顔半分しか写ってないのだ。


撮る人が同じで、その人の意地悪ならまだしも…撮る人、撮る人、みんな違ったのに…。


何かの呪いでしょうか?

⏰:09/01/30 13:14 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#12 [ゆーちん]
「真ん中来ればこんな目にあわなくて済んだのにねぇ〜。アハハハ!この心、まじウケる!」


コップの水をぶっかけてやろうかと思ったけど、そんな事したら自分の血を見る事になるだろうから却下。


香奈には逆らえない、情けない男は、コップの水をグイッと飲み干した。

⏰:09/01/30 13:14 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#13 [ゆーちん]
「てか、凛は?まだ?」


写真を見終わった香奈は、注文したアイスクリームを食べながら俺に聞いた。


「少し遅れるって。」

「そっか。」

「俺、凛ちゃんと会うの引っ越し以来だわ。」


と、竜が言うと大輝も『俺もだ。』と続いた。

⏰:09/01/30 13:18 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#14 [ゆーちん]
「私も数えるくらいしか遊んでないな。心は?結構会ってんの?」


香奈の問い掛けに、俺は鼻高々と答えた。


「僕、凛ちゃんの部屋の合い鍵持ってますからぁ。」


まぁ、このあとの3人の反応はお決まりだけどね。


「ふーん。」

「あっそ。」

「そうなんだ。」

⏰:09/01/30 13:18 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#15 [ゆーちん]
「何さ、その薄い反応。まぁいいや。この合い鍵のおかげで、高校入ってから結構会ってるよ!」


俺はポケットから鍵を取り出し、3人に見せ付けた。

⏰:09/01/30 13:19 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#16 [ゆーちん]
高校に入学して数週間。


男3人は同じA高校で、毎朝、島からフェリーで登校している。


香奈は女子の多いB高校で寮生活をしている。


そして凛は、C高校に通い、学校から近いマンションで一人暮らしをしていた。

⏰:09/01/30 13:19 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#17 [ゆーちん]
みんなそれぞれの道を進んでいる。


同級生や仲間と離れ離れになるのは寂しいけど、こうやってたまに会えば何とか頑張れる気がするんだ。

⏰:09/01/30 13:20 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#18 [ゆーちん]
「みんなバイトしてんの?」


香奈の質問に大輝が答えた。


「竜はコンビニだよな。俺はスーパーのレジ打ち。心はラーメン屋だっけ?」

「おう。」


俺のバイト先であるラーメン屋は、凛ちゃんのマンションから近いんだ。

⏰:09/01/30 13:20 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#19 [ゆーちん]
A高からも近いし、凛ちゃんのマンションからも近い。


なかなかナイススポットにあるバイト先でしょ?


「へぇ。私もバイトしないとなぁ。」

「バイト探してんの?」

「彼氏はバイトなんかしなくていいって言うけど、やっぱお金は必要だしね。早く見つけないと。」

⏰:09/01/30 13:21 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#20 [ゆーちん]
なんて話をしていると、最後の待ち人来たる。


「お待たせ!」


俺の彼女、杉浦凛の登場。


「り〜ん!久しぶりじゃん!」


香奈との抱擁を済ませ、俺の隣に座った凛。

⏰:09/01/30 13:22 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#21 [ゆーちん]
大輝と凛にはさまれて、ちょっと狭いかも。


まぁいいけど。


「久しぶりだね、元気してた?」


香奈の隣にいる竜が問い掛けると凛は『元気だよ。』と笑って答えた。

⏰:09/01/30 13:22 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#22 [ゆーちん]
俺の隣から大輝が覗き込みながら『一人暮らし大変じゃない?』と聞いた。


すると凛は眉をしかめながら苦笑いをした。

⏰:09/01/30 13:23 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#23 [ゆーちん]
「ある意味大変。学校帰りに毎日転がり込んでくる迷惑少年いるからね。」

「…すみません。」


すると香奈が俺を睨んだ。


「毎日?調子乗ってると海に沈めるぞ、心。」

「恐いよ!しかも毎日じゃないし!凛ちゃんが友達と遊んだりする時はさすがに行かないもん。」

⏰:09/01/30 13:24 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#24 [ゆーちん]
反抗したけど香奈の態度は変わらない。


「ついこの前まで童貞だった奴が盛ってんなよ。」

「何それ!てゆーか盛ってないし。高校入学して何回も凜ちゃんち行ってるけどまだ1回もヤッてないもん、ね?」


と、凜に話を振った。

⏰:09/01/30 13:24 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#25 [ゆーちん]
「ね、って何よ。私に聞かないで。しかも、そういう恥ずかしい話をファミレスでしないでくださーい。」


面倒臭そうな顔をした凜ちゃん。


すると大輝が苦笑いをしながら呟いた。


「恥ずかしい、って…凜ちゃんそういうキャラだったっけ?」

⏰:09/01/30 13:25 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#26 [ゆーちん]
「確かにねー…。」


と、竜も続いた。


「どういう意味?」


俺が聞くと、大輝は答えた。


「転校して来た最初の頃は、教室で童貞とかSEXとか普通に声に出してたのに。だからそういうのは恥ずかしくない人なのかと思ってた。」


あー…そんな事もあったね。

⏰:09/01/30 13:26 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#27 [ゆーちん]
なんて懐かしんでいると凜が髪をカサッと、かきながら答えた。


「何でだろ。全然恥ずかしくないはずだったんだけど…厄介な彼氏が出来てから、私性格変わっちゃったみたいなの。」


そう言って笑った、凜のその笑顔が答えの全てだ。

⏰:09/01/30 13:27 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#28 [ゆーちん]
全く笑わなかった凜が、こんなに可愛い笑顔を咲かす。


「俺に冷たい部分は変わらないじゃんかー。」

「そう?優しくなったはずなんだけどな。」

「ノロケんな、バカ心。」


あんなにとがってた凜は、あの島に来て本当、丸くなった。


嬉しいよ、彼氏として…島の人間として。

⏰:09/01/30 13:27 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#29 [ゆーちん]
ファミレスを出た頃には、すっかり辺りが暗くなっていた。


「寒い〜!」


香奈も凜も短いスカートから細い足を覗かせている。


見ているこっちが寒い。


「私そろそろ寮帰るね。」


と、香奈。

⏰:09/01/30 13:28 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#30 [ゆーちん]
「俺も帰るわ。大輝と心は?」

「俺も帰るー。寒すぎ!」

「心は?」

「俺、凜ちゃん送って帰るから先に帰ってて。」


『別にいいよ。』と遠慮する凜ちゃんの言葉は無視。


ちゃーんと送り届けないと俺のプライドが許さないんだよね。

⏰:09/01/30 13:28 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#31 [ゆーちん]
「んじゃ、またな。」

「バイバイ!」

「また集まろうね。」


香奈、凜と大輝、そして俺と凜ちゃん。


三方向にそれぞれ歩き出した。


みんなが見えなくなったところで俺らは手を繋いだ。

⏰:09/01/30 13:29 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#32 [ゆーちん]
「凜ちゃんの手、いつも冷たいねー。」

「そう?」

「俺がいつでも温め‥」

「調子乗ってると海に沈められるよ。」

「…。」

「アハハッ。」


凜ちゃんが小さく笑った。

⏰:09/01/30 13:30 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#33 [ゆーちん]
可愛い。


嬉しい。


幸せ。


だんだんと凜の手が暖まって来たというところで、マンションに到着。

⏰:09/01/30 13:30 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#34 [ゆーちん]
「上がってく?」

「いいの?」

「ダメって言っても来るんでしょ。」


尻尾を振りながら凜に続いて部屋へと入った。


「お邪魔しまーす。」


いつ来ても思うんだ。


…広い。


一人暮らしにしては広すぎるよ、この部屋は。

⏰:09/01/30 13:31 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#35 [ゆーちん]
寂しくないのかと聞いても、『平気。』の一点張り。


絶対寂しくないわけない。


「何か飲む?」


凜の部屋は、杉浦のじいちゃん家にいた部屋と同じ匂いがする。


「うん。」

「コーヒー、紅茶、ココア。どれにする?」


キッチンからの凜の質問に『ココア。』と答えた。

⏰:09/01/30 13:33 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#36 [ゆーちん]
数分後には、凜が作ってくれた温かいココアを飲む俺がいる。


俺の隣には、この甘くて美味しいココアを作ってくれた凜ちゃんがいて。


この上ない幸せを感じながら、少しだけ体を凜に寄り添わせた。


「この前、美帆と遊んだんだけど、益々レゲエ一色な感じになって来てたよ。」

⏰:09/01/30 13:34 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#37 [ゆーちん]
そういえば美帆の部屋、レゲエちっくだったっけ。


美帆の部屋に行ったのって確か…あぁ、そうだ。


凜ちゃんが島を出るって俺に言った日だ。


バレンタインだったよな。


たった2ヵ月前なのに、何十年も前に思える。

⏰:09/01/30 13:34 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#38 [ゆーちん]
あの日、美帆に喝を入れてもらってなかったら俺は今頃この部屋にいないかもしんない。


マジ、美帆には感謝だわ。


「Bガールって言うの?超似合ってたよ。」

「そっかぁ。美帆って香奈と同じ高校だよな。」

⏰:09/01/30 13:38 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#39 [ゆーちん]
「うん。でも科が違うからなかなか会わないらしいよ。私も澪や千夏と同じ学校だけど、科が違うせいで滅多に会わないもん。」


少しずつココアを飲みながら、他愛もない会話をする。

⏰:09/01/30 13:39 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#40 [ゆーちん]
ココロが落ち着くっつーか、安らぐっつーか、癒されるっつーか。


俺にとって凜ちゃんは、もう必要不可欠な存在なんだよね。

⏰:09/01/30 13:39 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#41 [ゆーちん]
「凜ちゃん。」

「ん?」

「超好き。」

「…心くん、いきなり話し飛んだね。」


冷たかった体はココアで温まった。


飲み干した空っぽのコップをテーブルに置く。

⏰:09/01/30 13:41 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#42 [ゆーちん]
寂しくなった自分の手は、愛しい人の小さな手へと向かう。


凜の手も…温まっていた。


「キスしていい?」


飲みかけのココアが入ったコップをテーブルに置いた凜は笑いながら言った。


「やだ。」


そう呟いたくせに、俺の唇に自分の唇を重ねて来た。

⏰:09/01/30 13:41 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#43 [ゆーちん]
触れただけのキスは、どんどん加速していく。


舌が行き来するキスは、ココアの味がした。


「甘いキスって、こういう事?」


上目になりながら、ニッと笑った凜ちゃんに胸ズキュン。

⏰:09/01/30 13:42 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#44 [ゆーちん]
高校生になって、益々大人っぽくなったし…色っぽくなった俺の彼女。


そんな顔されると、止まんないんだけど。


「ファーストキスはココアの味ぃ〜。」

⏰:09/01/30 13:43 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#45 [ゆーちん]
「別にファーストキスじゃないし?」

「あ、そっか。」

「…バカ心。」


再び交わしたキス。


やっぱり甘い甘いココアの味がした。

⏰:09/01/30 13:43 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#46 [ゆーちん]
「…ねぇ。」


いきなり離れた凜の唇。


「ん?」

「明日バイト?」

「そうだよ。」

「友達と行くかも。」


ニッと笑って、再び俺の唇を塞いだ凜。


「…っ!マジ?」


慌てて唇を離した。

⏰:09/01/30 13:45 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#47 [ゆーちん]
「うん。友達が行きたいって言うからさ。」

「緊張するから!やめて!来ないで!」

「何でよ。心が働いてるところ見たいんだもん。」

「そんなの見なくても別にいいじゃんかー。」

「もう行くって決めたんだから。」

「えぇ〜。明日休もっかなぁ。」

⏰:09/01/30 13:45 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#48 [ゆーちん]
すると凜は優しく笑ってくれた。


「私だって心、好きだよ。好きだから見たいんじゃん。」


あぁー、もうさ。


そんな可愛いこと言われたら、ダメなんて言えないでしょ。

⏰:09/01/30 13:46 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#49 [ゆーちん]
わざと?


作戦?


俺、凜ちゃんにコントロールされてる?


まぁでも凜ちゃんになら操られても、文句はないけどね。

⏰:09/01/30 13:46 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#50 [ゆーちん]
「あんまジロジロ見ないでよ?」

「はいはい!」


その日、数えきれないくらいのキスを交わしてから凜のマンションを後にして、島に戻った。


離れ離れだけどさ、何だかんだで楽しくやってるよ。

⏰:09/01/30 13:48 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#51 [ゆーちん]
●○●○●○●

とりあえず
今日はここで
STOPします

>>2

●○●○●○●

⏰:09/01/30 13:49 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#52 [ゆーちん]
○●○●○●○

隠し事

○●○●○●○

⏰:09/01/31 10:09 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#53 [ゆーちん]
翌日。


放課後はいつも通りバイトに励む。


でもいつもと違うのは…。


「凜の彼氏、結構カッコイイね。」

「そう?バカだよ、あいつ。」

「あぁ、確かに。頭は悪そう。」

「悪いってもんじゃないよ。幼稚園児レベル。」

⏰:09/01/31 10:10 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#54 [ゆーちん]
凜ちゃんとそのお友達さん。


俺の悪口、めちゃくちゃ鮮明に聞こえるんですけど。


わざと…ですか?


「お待たせしました。しょうゆラーメンとみそラーメンです。」


昨日、凜が言ってた通り、今日は友達とここにラーメンを食べに来た。


あぁー…恥ずかしい。

⏰:09/01/31 10:10 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#55 [ゆーちん]
「心、あんたの事カッコイイってさ。よかったね。」


いやいや。


そのあとバカだとか頭悪いとかってけなしてたじゃんかー。


「あ、あざーす。」


聞こえてなかったフリして営業スマイルを見せた俺って、なかなか大人でしょ?

⏰:09/01/31 10:29 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#56 [ゆーちん]
そんな俺に凜ちゃんのお友達は言った。


「彼氏さん。」

「はい?」

「面白い事教えてあげよっか?」

「え、何ですか?」


営業スマイルは確かここまでちゃんとできてたはず。


なのにお友達の一言で俺の顔は真顔に戻った。

⏰:09/01/31 10:29 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#57 [ゆーちん]
「凜、かなりモテてるよ。告白されまくり。油断してると盗られちゃうかもだから気をつけてね〜。」


そう言った友達に、凜は『もう、いちいちチクんなくていいから。』と笑っていた。


いやいや。


チクるとかじゃなくてさ!

⏰:09/01/31 10:34 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#58 [ゆーちん]
「凜ちゃん何それ!マジ?聞いてないよ!」


いきなり話しかけたせいか凜は少し驚いていた。


「えっ…言わなきゃダメ?言っても心、良い気しないでしょ?」

「そうかもだけど…でも…」

「大丈夫だって。私はあんただけで手一杯なんだから心配しなくていいよ。」

⏰:09/01/31 10:34 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#59 [ゆーちん]
凜はシレッと言い放ち、ラーメンをすすった。


『美味しい!』と呟いた顔が可愛かった。


「人前でイチャつくなよー。」


お友達に茶化されて凜が笑う。


「あ、すみませーん。」


俺も笑った。

⏰:09/01/31 11:00 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#60 [ゆーちん]
何か…俺、すげぇ嬉しい事言われたよね。


凜ちゃん、サラーッと言ったよね。


じわじわと嬉しさが込み上げて来て、俺は何だか脳内ノックアウト状態。

⏰:09/01/31 11:01 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#61 [ゆーちん]
ぼんやりしながら厨房に戻るとマスターに心配された。


「江森、大丈夫?」

「あぁ〜、はい。大丈夫っす〜。ヘヘッ。」

「熱でもあるか?」

⏰:09/01/31 11:01 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#62 [ゆーちん]
結局、浮かれたままバイトを終えた俺。


「お先で〜す。」

「おぅ、お疲れ。江森、体調悪いなら無理するなよ?」

「余裕っすよ〜?」

「…そうかい?なら、いいけど。気をつけて帰れよ。」

「は〜い、お疲れ様で〜す。」

⏰:09/01/31 11:06 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#63 [ゆーちん]
マスターに不思議がられた俺の足は、そのまま凜のマンションに向かった。


合い鍵を使い、部屋に入った。


「あ、やっぱり来た。」

「凜ちゃ〜ん!」

⏰:09/01/31 11:07 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#64 [ゆーちん]
いきなり抱き着いた俺に、凜はいつもみたく冷ややかな態度を取る。


「はいはい、わかったから。離してー。」

⏰:09/01/31 11:10 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#65 [ゆーちん]
俺の腕の中で無抵抗の凜がいる。


「今日嬉しかったよ〜。」

「何が?」

「俺オンリーなんだね。俺も凜ちゃんオンリーだから!」

「あぁ、別にそういう意味じゃ‥」


ないって言う前に俺は凜の言葉を遮った。

⏰:09/01/31 11:11 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#66 [ゆーちん]
「照れない照れない。色んな奴に告白されたっつーのはムカつくけど、凜ちゃんの気持ちは俺だけなんだってわかって泣きそうなくらい嬉しかったよ。」

「あぁ、そりゃよかった。バイト中に泣かなかったのは成長した証拠だねー。」

⏰:09/01/31 11:11 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#67 [ゆーちん]
「凜ちゃんがモテるのは百も承知なんだけどー、やっぱ告白とかされてるのは彼氏としては良い気しないね。」

「でしょ?だから言わなかったの。言った方がいいなら、これからはちゃんと報告するけど。」

⏰:09/01/31 11:55 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#68 [ゆーちん]
二人でいる時ぐらいキャラ変えればいいのに…。


凜ちゃんはとことん凜ちゃんのまま。


「んー、どうだろ。てか凜ちゃん自信満々だね。まだ告白される気?」

⏰:09/01/31 11:56 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#69 [ゆーちん]
「今日来てた友達も言ってたでしょ?私、モテるの。」

「そういう自信たっぷりなとこ好きー!」

「あー、はいはい。わかったからいい加減離して。」

⏰:09/01/31 11:56 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#70 [ゆーちん]
やっと抵抗した凜ちゃんを俺の腕から逃がすと、ソファーの方に向かって行った。


だから慌てて俺も追う。


「凜ちゃん。」

「んー?」

「聞きたくないけど、隠し事は無しにしたいから、告白されたらちゃんと報告して?」

「あぁ、うん。わかった。」

⏰:09/01/31 16:58 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#71 [ゆーちん]
一件落着。


昨日もしたけど、今日もしたい。


そんな願いを目を閉じながら訴えると、凜は黙って叶えてくれた。


昨日みたいに甘い味はしないけど、幸せなキスだった。

⏰:09/01/31 16:59 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#72 [ゆーちん]
そんな春が過ぎて、とうとう付き合って1年が経った。


プレゼントなんてものはなかったけど、デートして、笑って、手繋いで、キスをして…。


そんな柔らかな記念日だった。

⏰:09/01/31 17:01 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#73 [ゆーちん]
梅雨が明けて夏が来る。


その夏と一緒にちょっとした事件も来てしまった。


「剛が浮気した!」

「…。」

「どうにかしてよ、心!」

「どうにかって言われても…。」

「何、私のこと見捨てる気?ひっどい男になっちまったな!」

「えー、何キャラ。」

⏰:09/01/31 17:02 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#74 [ゆーちん]
正直、げんなり。


この派手派手している女子大生。


西山佐奈。


見た目からもわかる通り…香奈の姉ちゃん。

⏰:09/01/31 17:02 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#75 [ゆーちん]
香奈と佐奈は仲が良くて、香奈の彼氏も佐奈の友達なんだってさ。


どうりで香奈が大人びてる訳だ。


いや、大人びてるっつーか…ただの狂暴な女だけど。

⏰:09/01/31 17:06 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#76 [ゆーちん]
「佐奈じゃないと俺は生きてけねぇんだって泣き付いて来たのは、どこの誰?てめぇだっつーの、バカハゲ剛ぃ〜!」


姉妹揃って狂暴。


同じ血だよ、間違いなく。

⏰:09/01/31 17:28 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#77 [ゆーちん]
「佐奈ちゃんさ、お願いだからもうちょっと声抑えて。」

「抑えてるよ!」

「できればもう少し…」

「チッ。しけたラーメン屋だね。」

⏰:09/01/31 17:28 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#78 [ゆーちん]
舌打ちして、うちのラーメン屋の悪口を零す佐奈。


勘弁してくださーい。


マスターに聞かれたら、俺たまったもんじゃないからね?

⏰:09/01/31 17:29 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#79 [ゆーちん]
「つか、ラーメンまだ?」

「え、まだ食べるの?」

「当たり前でしょ!やけ食いせずにいられないっしょ?久しぶりに心に会いに来て、実の弟のように可愛がってあげていた心にも冷たくされて…食わずにいられないっつーの!」

⏰:09/01/31 17:31 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#80 [ゆーちん]
あぁー、やめて。


怖いから、普通に。


3杯目のラーメンを佐奈の元に運ぶと、まるでお腹がペコペコだったかのように勢いよく食べ始めた。


信じらんない。


こんなガリガリな体なのにどこ入ってんだよ、1杯目と2杯目のラーメンは。

⏰:09/01/31 17:31 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#81 [ゆーちん]
30分前。


香奈に俺がここでバイトをしていると聞いた佐奈は、久しぶりの再会にも関わらず、開口1番は『つーか聞いてよ!』だった。


『あ、佐奈ちゃん久しぶり。』と俺が言う前に、彼氏の剛さんに浮気をされたと言いながら一人でカウンターに座る。

⏰:09/01/31 17:33 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#82 [ゆーちん]
女の子が一人でラーメンなんて珍しい。


…なんて驚きは、まだ可愛いものだった。


俺に愚痴をこぼしながら簡単に平らげたラーメン。

⏰:09/01/31 17:33 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#83 [ゆーちん]
まだ足りないとおかわりしたラーメンも平らげた佐奈。


そしてただ今3杯目。


軽々と食べていく。

⏰:09/01/31 17:34 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#84 [ゆーちん]
30分で3杯って…。


「あぁ〜、ごちそうさま。まぁまぁお腹膨らんだわ。」


痩せの大食いとは佐奈の事だ。


3杯目のスープまで飲み干して、まだ足りないと?

⏰:09/01/31 17:35 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#85 [ゆーちん]
「心。」

「はい。」

「凜ちゃんとまだ付き合ってんの?」

「うん、付き合ってます。」


佐奈と凜ちゃんは、去年対面済みらしい。

⏰:09/01/31 17:36 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#86 [ゆーちん]
佐奈と香奈は仲いいし、香奈と凜も仲いいし、そりゃ嫌でも仲よくなるわな。


って、問題はそこじゃないよ。


佐奈の様子…おかしいんですけど。


「はぁ?てめぇごときの男だけで凜ちゃんの青春終わらせるつもり?」

⏰:09/01/31 17:36 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#87 [ゆーちん]
はじまったよ…。


久しぶりだわー、怒鳴られるの。


香奈とはまた違う叱り方っつーか。


「いやー、あはは…」

「あははじゃねぇよ。海に沈めんぞ?」

⏰:09/01/31 17:39 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#88 [ゆーちん]
香奈にも昔沈められかけたっけ。


懐かしいー、あはは。


「佐奈ちゃん、酔ってる?」

「酔ってるわけねぇーだろぉー!バカ心がぁ!」


絶対酔ってる。

⏰:09/01/31 17:39 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#89 [ゆーちん]
シラフでここまで暴れるのおかしいじゃん。


ラーメン屋来る前に絶対飲んでたんだよこの人。


あぁーもう泣きそうです。


助けて…。

⏰:09/01/31 17:40 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#90 [ゆーちん]
店が暇でよかった。


これで忙しかったら、他のお客さんから苦情だらけだったかも。


「ごめん、佐奈ちゃん。俺もう上がりだから一緒に帰ろう。」

「はぁ?何で心と帰んなきゃいけない訳?意味わかんねぇこと言ってると〜…あぁー、眠くなって来た。」

⏰:09/01/31 21:00 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#91 [ゆーちん]
マジ、げんなり。


今、怒ってたじゃん。


何でいきなり眠くなる?


酔っ払ってるなら酔っ払ってるって早く言ってよ、もぉ。

⏰:09/01/31 21:01 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#92 [ゆーちん]
「心ちゃん心ちゃん!」

「はい…何ですか?」

「凜ちゃんナイスバディーでしょ?よかったね〜アハハハッ!」


もうやだ、この人。

⏰:09/01/31 21:01 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#93 [ゆーちん]
マスターに上がっていいと言われ、俺は着替えを済ませて店内に戻った。


「お待たせ…って、寝てるよ。」


絶っ対酔ってたな。


間違いない。

⏰:09/01/31 21:09 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#94 [ゆーちん]
「江森の彼女?」


カウンターの奥からバイト仲間が俺に聞く。


「俺の彼女はラーメン3杯も食べないっす。」

「へ?」

「いえ、別に。お疲れ様でした、お先です。」

⏰:09/01/31 21:09 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#95 [ゆーちん]
佐奈の肩を組んで、俺らは店から出た。


とりあえず香奈に電話。


「…電源が入っておりません、って何で電源切ってんだよ!」

⏰:09/01/31 21:10 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#96 [ゆーちん]
香奈に連絡がつかない。


って事は、もう頼れるのは凜しかいない。


「もしもし。」

「あ、凜ちゃん?いま家?」

「そうだけど。来るの?」

「俺じゃなくて…佐奈が。」

「佐奈ちゃん?」

⏰:09/01/31 21:11 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#97 [ゆーちん]
凜に事情を話し、とりあえずマンションに向かうと告げた。


途中、凜も迎えに来てくれて、部屋まで2人で一緒に運んだ。


「香奈と連絡つかねーし、俺、佐奈の家わかんないからさ。」

⏰:09/01/31 21:11 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#98 [ゆーちん]
「私も知らない。会うのはいつも外だったし。」

「今日一晩だけ泊めてやってくれる?酒入ってて起きそうにないわ。」

⏰:09/01/31 21:12 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#99 [ゆーちん]
酒飲んで、ラーメン食べて、騒いで叫んで、寝た。


そんな迷惑極まりない佐奈。


自己チューで嫌な奴かと思うかもしんないけど、本当はすっごくいい奴なんだ。

⏰:09/01/31 21:13 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#100 [ゆーちん]
香奈と一緒だよ。


根はすごくいい奴。


昔から一緒だから俺は知ってる、佐奈のいいところ。


佐奈の言う通り、小さい頃は弟のように可愛がっててもらったし、いくらキツい事言われても本音じゃないのはわかってる。

⏰:09/01/31 21:13 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#101 [ゆーちん]
冗談っつーか、ノリだよな、西山姉妹特有の。


キツい事言ってるけど、本当はナイーブな姉妹なんだよ。

⏰:09/01/31 21:13 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#102 [ゆーちん]
「もちろん。私はいいけど…佐奈ちゃん大丈夫かな?」

「佐奈が?」

「彼氏が浮気したんでしょ?そりゃ荒れるよねー。」

「剛さんって言ったかな、彼氏の名前。」

「剛さんとまだ付き合ってたんだ。」

「まだって…そんなに長いの?」

⏰:09/01/31 21:15 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#103 [ゆーちん]
凜によると、佐奈と剛さんはもうかれこれ5年の付き合い。


佐奈が高校1年の時から付き合っていて、喧嘩をするたび別れ、でもまた付き合って…。


それの繰り返しだったらしい。


そんな長年過ごして来た剛さんに浮気をされちゃ…そりゃ荒れるな。

⏰:09/01/31 21:16 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#104 [ゆーちん]
「まぁ、とりあえず一晩寝たら落ち着くだろうから、今晩よろしくね。」

「うん。」

「ごめんね。」

「何で謝るの。誰も悪くないよ。それよりフェリーの時間大丈夫?」

⏰:09/01/31 21:16 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#105 [ゆーちん]
時計を見ると、時間が迫って来ていた。


「あぁー、やばい。んじゃ帰るね。」

「気をつけなよ。」


凜に玄関まで見送ってもらい、俺は島に帰る為にフェリー乗り場まで急いだ。

⏰:09/01/31 21:17 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#106 [ゆーちん]
翌日。


いつものようにフェリーに乗りながら登校していた時だった。


凜からの着信。


「おはよー。」

「おはよ。朝から元気だね。」


相変わらず、朝はテンションの低い凜。


「大輝のがテンション高いけどね。それより佐奈は?」

⏰:09/02/01 15:14 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#107 [ゆーちん]
「さっき帰った。やっぱりお酒飲んでたみたいで心に会ったの覚えてないって。」


凜は小さく笑った。


いやいや、笑い事じゃないっすよ。


大変だったんだよ、俺。


なのに佐奈ちゃん、覚えてないって…酷すぎ。

⏰:09/02/01 15:14 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#108 [ゆーちん]
「信じられないんですが。」

「ドンマイだね。佐奈ちゃん、起きた瞬間に叫んでたよ。ここどこーって。」

「そりゃ覚えてないなら、自分のいる場所わかんねぇわな。」

「昨日の事話したら、ラーメンなんか食べてないって言ってたけど?」

⏰:09/02/01 15:15 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#109 [ゆーちん]
いやいや。


食べてないとは言わせないよ。


3杯も食べといて、記憶にないと?


「でも剛さんが浮気したって騒いでたのは覚えてたみたいで、剛に会うって言って慌てて帰ってったよ。」

「そっか。まぁ何にせよ、ありがとうね。」

「いいえ。」

⏰:09/02/01 15:15 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#110 [ゆーちん]
凜との電話が終わる頃、本島に着いた。


本島のフェリー乗り場から学校まで、竜と大輝と歩きながら昨日の事を話した。


竜も大輝も大笑い。


「さすが西山佐奈。」

「そういうマシンガン的なとこ、変わってないねー佐奈。」

⏰:09/02/01 15:31 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#111 [ゆーちん]
「俺のとこ来てラーメン3杯食べたの覚えてないのは、ある意味バカでしょ?」

「あぁー、確かに。」

「バカっつーか、佐奈はやる事が昔から極端なんだよな。」

「だよな。やけ食いにも限度があるっつーの。」

⏰:09/02/01 15:32 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#112 [ゆーちん]
竜と大輝で佐奈の事を話しながら盛り上がった。


佐奈がいない時は呼び捨てにしている俺らだけど、実際、本人がいたら絶対呼び捨てなんかしない。


つーか、できない。

⏰:09/02/01 15:32 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#113 [ゆーちん]
島の男はみんな佐奈にビビってたんだ、小さい時から。


昔から怖くって逆らうと絶対泣かされてた。


女王様って感じ。


だから逆らう気は更々ない。


そんな女王様の暴走っぷりも、なんだか愛着があるっつーか…憎めないんだよね。

⏰:09/02/01 15:33 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#114 [ゆーちん]
いつも通り学校を終え、放課後はバイトだった。


そして昨日と同じ時間、また佐奈が来た。


「おっすー、心、久しぶり!」

「いらっしゃいませ、佐奈ちゃん。久しぶりじゃないよ、昨日会ったんだから。」

⏰:09/02/01 15:34 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#115 [ゆーちん]
佐奈の元に水を運んだ。


「らしいね。でも私、覚えてないんだわ。」


いきなり水を飲み干して、お変わりを要求。


俺はコップに水を注いだ。

⏰:09/02/01 15:34 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#116 [ゆーちん]
「今日も酔ってんの?」

「バカ心。酔ってないよ。しょうゆラーメン1つ。」

「…はい。」

⏰:09/02/01 15:35 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#117 [ゆーちん]
厨房にオーダーを通してから、佐奈が座るカウンターの近くで無理矢理仕事を作った。


何か働いてないと、ただ喋ってるだけじゃマスターに叱られるからね。


「起きたら知らない部屋だからマジびびったわ。凜ちゃんの部屋行った事ないからさ。」

⏰:09/02/01 15:36 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#118 [ゆーちん]
「頑張って運んだんだよー、酔い潰れた佐奈ちゃんを。」

「いやー、悪かったね。今日は詫び入れるついでにラーメン食べに来たの。」

「…それより剛さんと仲直りした?」


その質問に、佐奈の態度は急変した。

⏰:09/02/01 15:36 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#119 [ゆーちん]
「…してないよ、あんな奴。今度こそもう本当に終わりだね。」


不機嫌になった佐奈。


「そっか。」


何も言えない俺。


「浮気される為に、5年も一緒にいた訳じゃないっつーの。」

⏰:09/02/01 16:14 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#120 [ゆーちん]
そう呟いた佐奈は俺が初めて見た、弱った佐奈だった。


こんな悲しんでいる佐奈は生まれて15年、一度たりとも見た事はなかったから…俺まで弱ってしまう。


「浮気疑惑は過去にもあったの。でも勘違いだった。だけど今回は…正真正銘の浮気だよ。腹立つって言うより、情けない。今まで気付かなかったんだもん、私。」

⏰:09/02/01 16:15 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#121 [ゆーちん]
昨日の佐奈と今日の佐奈。


同じ人なのに、全くの別人のように思えた。


出来上がったラーメンを佐奈に出すと、またまた態度は急変。


元気な顔してラーメンを食べ始めた。

⏰:09/02/01 16:17 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#122 [ゆーちん]
「超美味い!」

「そりゃよかった。」

「つか今日何時上がり?」

「あー、あと30分ぐらいかな。」

「じゃあ上がりまで待つ。フェリー乗り場まで送ってってやるよ。」

「マジ?ありがと。」

⏰:09/02/01 16:17 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#123 [ゆーちん]
ほらね、根は優しいんだ。


なんだかんだ言って、俺は佐奈が好きなんだよ。


同じ島の、本当の姉ちゃんみたいな存在として。

⏰:09/02/01 16:17 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#124 [ゆーちん]
2杯目を食べ終えたところで、俺のバイトが終わり、佐奈と一緒に店を出た。


昨日と合わせて計5杯。


なぜ太らないんだ、西山佐奈。


そんな大食い女の車に乗って、フェリー乗り場まで送ってもらった。

⏰:09/02/01 16:18 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#125 [ゆーちん]
「ありがとね、佐奈ちゃん。」

「おうよ。んじゃまたね。」


俺を降ろすと軽快に走り去った佐奈の車。


これから佐奈、どうなるんだろ。


彼氏と上手くいけばいいな…なんて、ちゃっかり願いながら俺は島へと帰る。

⏰:09/02/01 16:19 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#126 [ゆーちん]
それからしばらくは佐奈がラーメン屋に現れる事もなければ、連絡もなかった。


台風みたいな人だ。


凜にも連絡はなし。


どうしてんだろ、大丈夫だったかな。


…なーんて、心配なんかしなければよかったと今更後悔。

⏰:09/02/01 17:25 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#127 [ゆーちん]
佐奈台風が再び俺らの元に上陸したのは、夏休みを2日後に控えた、とても暑苦しい日だった。


「もっしー、心?」

「久しぶりだね、佐奈ちゃん。」


電話の向こうからは明るい佐奈の声。


「今から剛ぶっ殺しに行くけど、一緒に行くぅー?」

⏰:09/02/01 17:26 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#128 [ゆーちん]
おいおいおいおい…西山さんが『ぶっ殺す』とか言わないでよ。


洒落になんないから!


「ちょっ、ちょっと佐奈ちゃん、落ち着いて!」

「落ち着いてるよー。」


まぁ確かに、落ち着いてはいる。

⏰:09/02/01 17:28 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#129 [ゆーちん]
でも落ち着きすぎて恐い。


「とりあえず深呼吸して。」

「は?私に命令?」

「あぁー、ごめん。深呼吸して下さい。」

「何でしなきゃなんないのよ。もぉ…ハァ〜。」

⏰:09/02/01 17:28 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#130 [ゆーちん]
大きく息を吐く音がしたので、どうやら深呼吸はしてくれたみたい。


「今どこ?」

「心はどこなのよ。迎え行くから場所言って。」

⏰:09/02/01 17:29 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#131 [ゆーちん]
バイト後の幸せである、凜ちゃんのマンションだった俺。


素直に場所を言うべきか、それとも島にいると嘘をつくか。


「えーっと…」

「さっさと答えてよ!」

「…凜ちゃんのマンションです。」

⏰:09/02/01 17:55 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#132 [ゆーちん]
「10分後に外で待ってて。」


それだけ言うと、佐奈の電話は切れた。


何、正直に言ってんだよ俺。


嘘つけば、今から凜ちゃんが作ってくれたカレーライスが食えたのに…。

⏰:09/02/01 17:55 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#133 [ゆーちん]
「凜ちゃあ〜ん。」

「…何で半ベソかいてんの。」

「俺が殺人者になっても彼女でいてくれる?」

「…話が見えないよ。」

⏰:09/02/01 17:56 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#134 [ゆーちん]
シレッとする凜の態度。


余計に泣けてくるよ。


「佐奈ちゃんから電話があって、今から剛ぶっ殺すとか言ってんの。で、俺のこと迎えに来るってー。もうやだよ、あの人…。」

⏰:09/02/01 17:57 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#135 [ゆーちん]
げんなりしていると凜の表情が変わった。


「私も行く!」


マジでー。


もう、何か、やだ。


「凜ちゃんは来なくていいよ。」

⏰:09/02/01 17:58 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#136 [ゆーちん]
「何でよ。私だって佐奈ちゃん心配だもん。」

「僕、カレーライスが食べたい。」

「一晩寝かせたほうが美味しいの!ほら、出掛ける仕度して。」

⏰:09/02/01 17:58 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#137 [ゆーちん]
電気やガスや戸締まりのチェックを済ませ、凜と一緒にマンションの外で佐奈の迎えを待つ。


「あ、来た。」


やたらうるさい車が、俺たちの真横に停車した。


窓から佐奈ちゃんが覗き出す。

⏰:09/02/01 17:59 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#138 [ゆーちん]
「凜ちゃん!こないだの朝ぶり〜。あの日はごめんね。お世話になりました。」

「ううん、気にしないで。今から剛さんのとこに行くんでしょ?」

「うん。息の根止めてくるー。」

⏰:09/02/01 18:00 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#139 [ゆーちん]
笑顔で言うセリフじゃないでしょ、佐奈ちゃん。


「私も行っていい?心だけじゃ頼りないだろうし。」

「あっ、そうだね。じゃあ凜ちゃんも乗って。」

⏰:09/02/01 18:00 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#140 [ゆーちん]
そうだね、って…頼りないと思うなら最初から呼ばないでよ。


助手席に乗り込んだ凜。


後部座席に乗り込んだ俺。


何か、女って怖いよねー。


「浮気は誤解だって剛がずっと言って来てて、信じてやろうかなって思ってた矢先なの。知らない女が剛の部屋入ってくの見たって情報入ってさ。今から殴り込みよ。」

⏰:09/02/01 18:02 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#141 [ゆーちん]
素で怖い。


女の情報網の凄さはあなどってはいけないんだって竜たちにも教えてあげないと。


「前も聞いたけど本当に浮気かな?」


その凜の質問に佐奈は小さく呟きながら答えた。

⏰:09/02/01 18:02 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#142 [ゆーちん]
「…浮気じゃなきゃ女を家に連れ込まない。」


佐奈はアクセルを強く踏み、車は剛さんの家へと走って行った。


15分もすれば剛さんの住むアパートに到着した。


車を降りると、佐奈は力強い足で歩く。

⏰:09/02/01 18:35 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#143 [ゆーちん]
俺と凜は佐奈の後ろをついて歩く。


ドアに手をかけ、キーケースの中から鍵を出し、簡単にドアを開けた。


きっと合い鍵なんだろう。

⏰:09/02/01 18:36 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#144 [ゆーちん]
「…チッ。逃げられた。」


玄関を見て佐奈は呟いた。


靴は男性物のスニーカーしかない。


この部屋に女性はいないようだ。

⏰:09/02/01 18:36 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#145 [ゆーちん]
意を決し、鋭い目で部屋の中に入って行く佐奈。


俺達も後に続いた。


「剛!」


佐奈が扉を開けると、タンクトップにパンツ一枚姿の男がいた。


どうやら、この人が剛さんらしい。

⏰:09/02/01 18:37 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#146 [ゆーちん]
「えっ、佐奈…。」


剛さんは相当驚いているらしく、微動だにせず、佐奈を見上げていた。


固まって座っている剛さんの目の前にしゃがみ、タンクトップの首元を掴みながら声を荒げた。


「ヤリ終われば女は用無しか?」

⏰:09/02/01 18:39 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#147 [ゆーちん]
「えっ…何の事。」

「ふざけんな。女がこの部屋入って行くの目撃されてんだよ。」


剛さんの目が泳ぐ。



どうやら図星のようだ。



「それは…」

「何、来てないの?私の勘違い?だったら弁解しなよ。言い訳しなよ!」


女の人が、この部屋に来ていたのは間違いないんだろう。

⏰:09/02/01 18:40 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#148 [ゆーちん]
佐奈に怒鳴られた剛さんは何も言わず、ただ目の前にいる人だけを見ていた。


「その女も一緒に殴り殺してやろうかと思ったけど、どうやら帰った後みたいだし。今日はお前だけ先に殴り殺すわ。」

「ちょっと待って佐奈!勘違いなんだってば。俺は浮気なんかしてない。」

⏰:09/02/01 18:41 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#149 [ゆーちん]
眉を下げて、佐奈に訴える剛さん。


「この期に及んでまだ言い訳する気?その言葉は聞き飽きたよ。」

「今日ここに来たのは俺の兄貴の奥さんだよ。」

「はぁ?義理の姉と不倫かよ!」


佐奈は大きな声で剛さんに怒鳴った。

⏰:09/02/01 18:42 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#150 [ゆーちん]
「違うってば…浮気でも不倫でもない。」

「証拠は?」

「本人に直接聞けばいいよ。」

「聞いたとしても本当の事なんて言う訳ないじゃん。義理の弟とヤリましたって。」

「だからヤッてないってば…。隠れて会ってただけだよ。」

「何で隠れる必要があんのさ。訳わかんない!」

⏰:09/02/01 18:42 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#151 [ゆーちん]
「ちゃんと話すから…離して。」

「言い訳なら聞きたくないって言ってんじゃん!」

「頼む、離して。」

「やだっ!」

「ごめん、ちゃんと謝るから。ちゃんと話すから。」

「ふざけ…な…」


佐奈はとうとう泣き出してしまった。

⏰:09/02/01 22:05 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#152 [ゆーちん]
自分で自分をコントロール出来ていない佐奈は、急に俯いて、剛さんの胸板を小さな拳でポンポンと叩き始めた。


そんな佐奈を剛さんは優しく抱きしめた。

⏰:09/02/01 22:05 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#153 [ゆーちん]
「佐奈ちゃ‥」

「凜ちゃん。俺ら外出よ。」

「えっ、でも…」

「大丈夫でしょ。外で待とう。」

⏰:09/02/01 22:05 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#154 [ゆーちん]
泣いている佐奈なんか見たくなかった。


小さくなって剛さんの腕の中で泣きじゃくる佐奈は、俺の知らない佐奈だ。


そんな姿、見たくない。


それに、俺らがいなくても解決しそうな気がした。


なぜ来たのか、いまだによくわからないくらいだから。

⏰:09/02/01 22:07 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#155 [ゆーちん]
凜の手をひいてアパートの外に出る。


夜風が涼しい。


俺らはちょっとした石段の上に座った。


「浮気じゃないのかもね。」


凜が言った。

⏰:09/02/01 22:07 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#156 [ゆーちん]
「うん、たぶん違うっしょ。俺、剛さんに初めて会ったけど、嘘つくような人には思えないもん。」

「佐奈ちゃんの勘違いだけならいいね。」

「うん、そうだね。」

⏰:09/02/01 22:08 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#157 [ゆーちん]
中が気になるものの、きっと大丈夫という自信はある。


だから俺らは寄り添いながら佐奈が出てくるのを待った。


「このまま仲直りして盛り上がっちゃって…とかないよね?」

「は?」

「だからー、仲直りしてチューとかしちゃってそのままベットインして…って!想像したらキモいわ!」

⏰:09/02/01 22:22 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#158 [ゆーちん]
「想像したの?やらしい、変態。一種の浮気だね。」

「…ごめんなさい。」

「まぁでも心の予想が当たったとしたら、私たち野宿だよ。帰り道わかんないもん。」

⏰:09/02/01 22:23 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#159 [ゆーちん]
「戻って来るのを祈るしかないんだね。頼むから盛り上がっちゃったりしないでよ、佐奈ぁ〜。」

「それより、もう最終出たね。」


凜が携帯電話の時計を見て呟いた。


「えっ!嘘、マジで?」


凜ちゃんの携帯電話を覗き込みと、たった今最終のフェリーが出た時間だった。

⏰:09/02/01 22:23 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#160 [ゆーちん]
「どうしよー!とりあえず母ちゃんに電話するわ。」


ポケットから携帯電話を取り出すと、電池が残り1つだった。


「げっ、充電すんの忘れてた。」

「私の使いな。途中で電池切れると面倒でしょ?」

「うん、ありがと。」

⏰:09/02/01 22:24 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#161 [ゆーちん]
島でいる時なんて携帯電話は滅多に使わなかったのに、本島に通うようになってから急に携帯電話をよく使うようになった。


だから電池とか充電の感覚が違いすぎて…その環境の変化にびっくり。

⏰:09/02/01 22:26 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#162 [ゆーちん]
そういえば凜も島に来た時、驚いたって言ってたっけ。


携帯依存症も治ったって言ってたし。


「あ、もしもし母ちゃん?俺だけど。」

「俺って誰?オレオレ詐欺なら間に合ってまーす。」

⏰:09/02/01 22:27 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#163 [ゆーちん]
「ボケてる場合じゃねぇよ。あんたの可愛い可愛い一人息子の心ちゃんです!」

「可愛い?そんな息子ウチにはいないね。いたずら電話なら切りますよー。」

⏰:09/02/01 22:27 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#164 [ゆーちん]
ふざけてる場合じゃないんだよ、母ちゃん!


もぉー、俺の周りの女はどいつもこいつも!


女運悪いのかな、俺。


「ちょちょちょ!ごめん。あなたのバカ息子の心です。」

「で、用件は何。」

⏰:09/02/01 22:28 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#165 [ゆーちん]
「最終のフェリー乗り過ごしちゃった。」

「あっそ。」

「あっそ、って!」

「乗り過ごしたんなら仕方ないじゃない。帰って来れないんだから一晩ぐらい自分で何とかしなさい。じゃあね。」

⏰:09/02/01 22:28 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#166 [ゆーちん]
一方的に切られた電話。


ブチッて音…今日2回目だわ。


「ありがとね。」


凜に携帯電話を返すと、なぜか笑ってた。


「面白いねー、心のお母さん。だいたい何言ってたのか想像つくよ。」

⏰:09/02/01 22:29 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#167 [ゆーちん]
「凜ちゃんごめん、一晩泊めて下さい。」

「…。」

「お願い!」

「一泊5万円。」

「高っ!」

「フフッ。」


凜の部屋に泊めてもらう事になり、これで一安心。

⏰:09/02/01 22:30 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#168 [ゆーちん]
に、しても…母ちゃん俺への愛情なさすぎじゃない?


アレが普通なのかな。


俺ってマザコン?


んー、まぁどうでもいいや。


とりあえず明日の終業式は凜ちゃんの家から登校…って訳だね。

⏰:09/02/01 22:30 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#169 [ゆーちん]
「お待たせ。」


佐奈が部屋から出て来たのは、日付が変わってからだった。


「佐奈ちゃん、どうだった?」

凜の質問に佐奈は笑った。


「勘違いでしたー。」

⏰:09/02/01 22:31 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#170 [ゆーちん]
思わず俺と凜は顔を見合わせた。


はぁ、よかった。


本気でそう思った。


すると、部屋からズボンを履いた剛さんが出て来た。

⏰:09/02/01 22:31 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#171 [ゆーちん]
「ごめんねー、こんな遅くまで。」

「いえ、俺たちは全然。」

「お前なんで高校生カップル連れ回してたの。」


剛さんの問い掛けに佐奈は笑った。


「私の奴隷と、その彼女だから。」

⏰:09/02/01 22:32 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#172 [ゆーちん]
奴隷になった覚えなし。


「あぁ、そりゃ大変だね、君。」


剛さんも笑ってる。


「つか、最終出たよね?ごめん。ウチ泊まる?」


佐奈が俺に言った。


「ううん、凜ちゃんち泊めてもらう。」

「やらしい事すんなよー。凜ちゃんも変な事されたらすぐに電話しておいで。二度と役に立たないように、アソコちょん切ってやる。」

⏰:09/02/01 22:33 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#173 [ゆーちん]
恐い恐い恐い。


何でこんな恐い事をサラッと言えるのかな、この人。


剛さんも剛さんだよ。


こんな人と5年も付き合うなんて、よっぽどの肝っ玉の持ち主だな。

⏰:09/02/01 22:33 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#174 [ゆーちん]
「じゃあね。」

「うん、またな。」


佐奈と剛さんは俺らの前でキスをした。


んなもん見せ付けるなよ。


俺だって凜ちゃんとしたくなるじゃん。

⏰:09/02/01 22:34 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#175 [ゆーちん]
「君たち、本当にごめんね。今度何か奢るからいつでも遊び来てよ。」


剛さんは俺らに笑いかけた。


「あざーっす。」

「ありがとうございます。でも本当に気にしないで下さいね。」


凜の、しっかりした大人な答え方に自分のガキっぽさが情けなく感じた。

⏰:09/02/01 22:35 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#176 [ゆーちん]
佐奈の車に乗り込み、剛さんに見送られて、車は動き出した。


凜のマンションまで帰る車内、佐奈は話してくれた。


剛さんは、お兄さんの奥さんと会っていた理由。


それは家族愛、っていうか兄弟愛っていうか。


「剛の兄ちゃんが昇進したらしいの。それで友達がパーティー開いてくれるとかで、場所を探してたんだって。」

⏰:09/02/01 22:35 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#177 [ゆーちん]
「場所?」

「うん。ああ見えて剛はここらへんのクラブとかご飯屋とか超詳しいの。だからパーティー向けの会場を紹介するのに、義理の姉ちゃんと色々と探索してたんだって。」


あぁ、なるほど。


それで一緒に歩いてるところを目撃されて、佐奈が騒ぎ出したって事か。

⏰:09/02/01 22:36 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#178 [ゆーちん]
「今日、家に来てたのは色々と貸す物があったんだって。ビンゴゲームのガラガラって回すおもちゃとか、ミラーボールとか、変装グッズとか。」

「えっ、剛さんってそういうの持ってんの?」

「あいつ、お祭事大好きだから。確認したら確かにパーティーグッズが無かったの。ただ貸しただけだって言ってた。」

⏰:09/02/01 22:37 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#179 [ゆーちん]
「じゃあ誤解だったんだね。」

「本当に何も無いか問い正したら…マジで何もないっぽいし。だからもっかい信じる事にした。」

「そっかぁ。よかった〜。ねっ、心!」

「おうよ。どうなるかと思った。」

⏰:09/02/01 22:37 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#180 [ゆーちん]
「剛さ、バカ正直じゃん。だから家に女来てたんでしょ?って言ったとき弁解しなかったんだよ。女性が来た事に間違いはないんだからってさ。そういう正直すぎる所が私の誤解を買うのにね。学ばない奴なんだ。」


剛さんの悪口を言う佐奈の姿はどこか誇らしげだった。

⏰:09/02/01 22:38 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#181 [ゆーちん]
ちゃんと仲直りしたんだ。


よかった。


そう思えた。


俺の事振り回す迷惑姉ちゃんだけど、幸せを願ってあげたくなるのが普通だよな。


まさか俺ってシスコン?


マザコン疑惑にシスコン疑惑と来た。


やっぱ女運無しかもな。

⏰:09/02/01 22:38 📱:SH901iC 🆔:lGeUBDQs


#182 [ゆーちん]
○●○●○●○

ヤキモチの妬き方

○●○●○●○

⏰:09/02/02 16:47 📱:SH901iC 🆔:wn1IpYPU


#183 [ゆーちん]
佐奈にマンションまで送り届けてもらった俺達は、お互いお風呂に入ってすぐに眠ってしまった。


空腹だったはずなのに、睡魔の方が勝ってしまったらしい。


俺も凜も気疲れしてしまったのだろう。


ベットで、二人寄り添って眠った。

⏰:09/02/02 16:48 📱:SH901iC 🆔:wn1IpYPU


#184 [ゆーちん]
さっきの佐奈と剛さんみたく、俺の腕の中で凜が眠る。


熱帯夜じゃなくてよかった。


暑苦しい夜だと、こんな風に甘えてくんないからね。

⏰:09/02/02 16:48 📱:SH901iC 🆔:wn1IpYPU


#185 [ゆーちん]
その夜見た夢は、全然覚えていない。


だけど数時間後に目が覚めた時、1番愛しい人が隣でいてくれた幸せな気分だけは鮮明とココロに焼き付いていた。

⏰:09/02/02 16:49 📱:SH901iC 🆔:wn1IpYPU


#186 [ゆーちん]
「朝からカレーはキツい。」

「じゃあ夜ご飯で。今日バイト終わりに食べ来るから。」

「昨日は外泊で、今日も夕飯はいらない。そんな親不孝息子を持つおばさんの辛さは計り知れないね。」

⏰:09/02/02 16:52 📱:SH901iC 🆔:wn1IpYPU


#187 [ゆーちん]
「…今日は来るなって事?」

「別に、そうは言ってないよ。」

「じゃあ来る。凜ちゃんもマザコンな彼氏は嫌でしょ。」

「全然。むしろ親を大切にする男ってカッコイイ。」

⏰:09/02/02 16:52 📱:SH901iC 🆔:wn1IpYPU


#188 [ゆーちん]
朝からそんな事言われちゃ来るに来れないよ。


せっかくの凜ちゃん特製チキンカレーは諦めて、今日はバイトが終わったら真っ直ぐ帰る事にした。

⏰:09/02/02 16:52 📱:SH901iC 🆔:wn1IpYPU


#189 [ゆーちん]
「大丈夫だよ。友達呼んでカレーは食べ切っちゃうからさ。」

「置いといてくんないの?」

「また作ってあげるから諦めて。はい、朝ごはん。」


そう言ってバタートーストとサラダ、それに目玉焼きを出して来てくれた凜ちゃん。

⏰:09/02/02 16:53 📱:SH901iC 🆔:wn1IpYPU


#190 [ゆーちん]
本当はカレーライスが食べたかったけど、まぁいいや。


こんな豪華な朝食、うちじゃなかなか食べられないもん。


マザコンかもしんないけど、やっぱ1番好きな人が作ってくれるご飯は何だって美味しいんだ。

⏰:09/02/02 16:53 📱:SH901iC 🆔:wn1IpYPU


#191 [ゆーちん]
支度を済ませ、俺らは一緒にマンションを出た。


何だか緊張する。


同じ部屋から出て来て学校に向かうなんて、初めてで心臓ドキドキ。


新婚な気分って言ったら、また何か違うんだけど…とにかくドキドキ。

⏰:09/02/03 14:29 📱:SH901iC 🆔:HYcai0m6


#192 [ゆーちん]
「何ニヤけてんの。気持ち悪い。」

「フフッ。つーか明日から夏休みだね。」

「ね。」

「いっぱい遊ぼうね!」

「私、島帰ろっかな。里帰り。」

「そうしなよ!そのほうが俺は嬉しい!」

「おじいちゃん達がいいって言ってくれたらの話だけどね。」

⏰:09/02/03 14:30 📱:SH901iC 🆔:HYcai0m6


#193 [ゆーちん]
そんなの、いいって言うに決まってんじゃん。


んもー、凜ちゃんってば自分のじいちゃん達にまで気使いする子なんだから。


孫ならもっと甘えるべきでしょ。


「帰って来たらカレー作ってね。」

⏰:09/02/03 14:31 📱:SH901iC 🆔:HYcai0m6


#194 [ゆーちん]
「ママに作ってもらいなよ。私よりママのカレーライスのが美味しいんじゃない?」


凜が笑った。


「バカにしてる?俺マザコンじゃないよ!てか、マザコンのがいいって凜ちゃん言ったじゃん!」

「別にバカにしてないよ。」

「してるじゃんかー!」

⏰:09/02/03 14:32 📱:SH901iC 🆔:HYcai0m6


#195 [ゆーちん]
笑いながら手を繋いで登校した。


むちゃくちゃ楽しくて嬉しくて幸せ。


毎日こうやって笑って過ごせればいいのに。


そう願わずにいられないほど、凜が大好きだった。

⏰:09/02/03 14:33 📱:SH901iC 🆔:HYcai0m6


#196 [ゆーちん]
「あっ!」

「何。」

「トーストにカレー付けて食べればよかった。なんちゃってカレーパン出来たのに。」

「どんまい。」

⏰:09/02/03 14:33 📱:SH901iC 🆔:HYcai0m6


#197 [ゆーちん]
「ショックー。絶対また作ってね?」

「だからー、ママに作ってもらい‥」

「違うってば!」

「アハハッ!」


凜が笑うと幸せになる。


そんな関係でずっといられたらいいな。

⏰:09/02/03 14:34 📱:SH901iC 🆔:HYcai0m6


#198 [ゆーちん]
翌日からの夏休み。


待ちに待った夏休み。


俺はバイトに励んだ。


凜は8月に島へ帰ると言っていた。


凜が島に戻って来ている間、何をして過ごそうか。

⏰:09/02/03 21:16 📱:SH901iC 🆔:HYcai0m6


#199 [ゆーちん]
そんな事を考えながらバイトする俺。


集中力のない奴だなって自分でも思うよ…。


「いらっしゃい…あっ、佐奈ちゃん!」

「真面目に働いてるかぁ?」

⏰:09/02/03 21:17 📱:SH901iC 🆔:HYcai0m6


#200 [ゆーちん]
相変わらず派手な格好。


ラーメン屋には似合わない。


そんなギラギラしている佐奈ちゃんの後ろから、見覚えのある男性が店を覗いた。


「…あっ、剛さん?」

⏰:09/02/03 21:17 📱:SH901iC 🆔:HYcai0m6


#201 [ゆーちん]
「久しぶりー。」


ちょっと気まずそうに笑った剛さん。


「こちらどうぞ。」


カウンター席に座った佐奈と剛さん。


「この前はごめん。初対面なのに、俺すげぇ格好だったよな。忘れてね。」


そう笑った剛さんの今日の服装は、なんともカッコイイ。

⏰:09/02/03 21:18 📱:SH901iC 🆔:HYcai0m6


#202 [ゆーちん]
お洒落なスニーカー、ズボン、Tシャツ、アクセサリー、キャップ。


佐奈にお似合いの彼氏だ。


この前のタンクトップにパンツ一枚姿は見なかった事にしよう。


凜にも忘れるように言わないと。

⏰:09/02/03 21:19 📱:SH901iC 🆔:HYcai0m6


#203 [ゆーちん]
「何にしますか?」


オーダーを取り、俺はこの前佐奈と話した時のようにわざわざカウンター席の近くで作業した。


「心くん。」


剛さんが俺を呼ぶ。


「はい。」

「今度マジで何かおごるね。」

「いや、お気遣いなく!」

⏰:09/02/03 21:19 📱:SH901iC 🆔:HYcai0m6


#204 [ゆーちん]
凜のように大人な対応をした俺。


ちょっと成長したでしょ?


「いやー、でもやっぱ迷惑かけたし。今日来たのも心くんが暇な日聞きに来たんだよ。」

⏰:09/02/03 21:23 📱:SH901iC 🆔:HYcai0m6


#205 [ゆーちん]
マジっすか?


やっぱり大学生はすごいね。


有言実行かぁ…カッコイイですね、剛さん。


「本当にいいんっすか?」

⏰:09/02/03 21:24 📱:SH901iC 🆔:HYcai0m6


#206 [ゆーちん]
成長したと思ったけど、やっぱりまだまだ甘えちゃう年頃。


いや、ただ単にいやしい奴なのかも。


でもおごりって響きは魅力的だしさ…。


それに、なにより剛さんともっと仲良くなりたいって思った。

⏰:09/02/03 21:25 📱:SH901iC 🆔:HYcai0m6


#207 [ゆーちん]
ファッションセンスや佐奈にはもちろん、俺たちまでへの優しさ。


人として、男としてカッコイイじゃん。


何か…憧れる。


「もちろん。心くん、いつなら暇?」


店内に飾っていたカレンダーを見て、覚えている限りのバイトが休みの日を告げた。

⏰:09/02/03 21:25 📱:SH901iC 🆔:HYcai0m6


#208 [ゆーちん]
剛さんは携帯電話のカレンダーを見て確認している。


「OK。あとは凜ちゃんの都合聞かないとね。」

「凜ちゃんってバイトしてんのー?」


佐奈ちゃんの質問に俺は『していない。』と答えた。

⏰:09/02/03 21:30 📱:SH901iC 🆔:HYcai0m6


#209 [ゆーちん]
凜の家は金持ちで、親から毎月有り余るほどのお金が振り込まれているらしい。


バイトなんかしなくても、凜は好きなように過ごせる。


羨ましい事だよな。


凜はどう思ってるのかは、わかんないけど…。

⏰:09/02/03 21:31 📱:SH901iC 🆔:HYcai0m6


#210 [ゆーちん]
「んじゃ、また行ける日わかったら連絡してよ。調整して、行ける日が合えば飯に行こうな。」

「はい!ありがとうございます!」


約束を交わしたところで、二人のラーメンが出来上がった。


何だかんだで食べ終わった佐奈たちは、またねと言って仲良く帰って行った。

⏰:09/02/03 21:32 📱:SH901iC 🆔:HYcai0m6


#211 [ゆーちん]
佐奈、今日は1杯しか食べなかった。


調子でも悪いのかな?


あ、もしかして剛さんの前だからぶりっ子してるとか?


何だかんだ言って、あいつも女の子なんだなぁ〜。


「江森、何笑ってんだ?」

⏰:09/02/03 21:32 📱:SH901iC 🆔:HYcai0m6


#212 [ゆーちん]
マスターが俺の顔を不思議そうに覗き込んでいた。


「えっ、俺、笑ってました?」

「前にもこんな事あったよな。お前やっぱどっか悪いのか?だったら無理すんじゃねぇぞ?」

「アハハ…大丈夫っすよ。すみません。」

⏰:09/02/03 21:35 📱:SH901iC 🆔:HYcai0m6


#213 [ゆーちん]
そのあとは、きちんと気を引き締めて仕事に取り組んだ。


めり張りは付けないとね。


無我夢中で働いていると、あっという間に上がる時間。


「お疲れ様でした!」

⏰:09/02/03 21:36 📱:SH901iC 🆔:HYcai0m6


#214 [ゆーちん]
店を飛び出し、凜のマンションまで急いだ。


息を切らしながら、インターホンを鳴らす。


「はい。」

「俺。」

⏰:09/02/03 21:36 📱:SH901iC 🆔:HYcai0m6


#215 [ゆーちん]
合い鍵を使わなくても、こうやってインターホン鳴らして入る事を覚えた俺。


つーか普通、こっちが常識だよな。


合い鍵使っていきなり行くのも非常識っていうか…。


島にいた頃は、プライバシーだのマナーだの、そんなの全然考えなかったから、本島に通うようになって改めて気付かされる事ばっか。

⏰:09/02/03 21:37 📱:SH901iC 🆔:HYcai0m6


#216 [ゆーちん]
何が普通で、何が普通じゃないのか。


なかなか難しいよ。


鍵が開き、中に入る。


「どちら様?」


意地悪く笑う凜が出迎えてくれた。


「俺様。」

「つまんない。」

「ウケると思ったんだけどな。」

⏰:09/02/03 21:37 📱:SH901iC 🆔:HYcai0m6


#217 [ゆーちん]
『まだまだ笑いのセンス低いね。』と言った凜は、ソファーに座る。


俺も凜の隣に座った。


「凜ちゃんさ、いつ暇?」

「何いきなり。」

「佐奈と剛さんが今日バイト先に来てくれて、マジでこの前のお詫びにご馳走してくれるんだって。」

⏰:09/02/03 21:38 📱:SH901iC 🆔:HYcai0m6


#218 [ゆーちん]
「本当に?」

「うん。だから俺のバイトが休みの日と凜ちゃんの暇な日を合わせて、剛さんに連絡しないといけないの。」


そういう事か、と納得しながら凜はスケジュール帳を開き、自分の予定と俺のバイトの休みを照らし合わせていった。

⏰:09/02/03 21:39 📱:SH901iC 🆔:HYcai0m6


#219 [ゆーちん]
「この日とこの日なら開いてる。ほら、心もその日は休みだし。」


凜は自分のスケジュール帳と俺のシフト表を指差しながら俺に言ってくれた。


「本当だ。んじゃさっそく剛さんに連絡入れとくねー。」

⏰:09/02/03 21:42 📱:SH901iC 🆔:HYcai0m6


#220 [ゆーちん]
さっき佐奈から送って来てもらっていた剛さんのメールアドレスに、俺と凜の都合のいい日を書いて送信した。


「まさか本当に連れてってくれるなんてねー。優しい人だね、剛さん。」

「だよねー。服装も超カッコイイんだよ?こないだはタンクにパンツ一枚だったけど。」

⏰:09/02/03 21:43 📱:SH901iC 🆔:HYcai0m6


#221 [ゆーちん]
「あぁ、そういえば。」

「あの姿は忘れてって剛さん言ってたよ。」

「でもあの姿の剛さんは印象深いしなぁ。」

「…それもそうだね。」


そんな話をしていると剛さんから返事が来た。


自分の都合と俺たちの都合を上手く調節してくれて、来週会う事になった。

⏰:09/02/03 21:44 📱:SH901iC 🆔:HYcai0m6


#222 [ゆーちん]
凜はさっそくスケジュール帳に書き込んでいた。


俺も忘れないようシフト表に【剛さん】と書いておいた。


「時間とか場所はまた改めて連絡くれるって。」

「わかった。」


また1つ、夏休みのお楽しみが増えた。

⏰:09/02/03 21:44 📱:SH901iC 🆔:HYcai0m6


#223 [ゆーちん]
夏休みはバイト尽くしだけど、もちろん遊びも忘れない。


竜や大輝、他にも同じクラスの奴や島の奴らとも夏を満喫した。


待ちに待った剛さんとの食事会が近付くにつれ、俺のココロが弾んでいく。

⏰:09/02/04 17:48 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#224 [ゆーちん]
「それって恋じゃない?」

「え?」


紅茶を飲みながら凜は言った。


「剛さんに惚れた?」

「…そうなのかも。」

「どっか行っちゃえ。」

⏰:09/02/04 17:48 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#225 [ゆーちん]
バイト前に凜の部屋に立ち寄った俺。


こうやって冗談言い合って笑い合う時間が幸せだし、日頃のバイト疲れを癒してくれた。

⏰:09/02/04 17:49 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#226 [ゆーちん]
「ねぇ。」

「はい。」

「バイトまでまだ時間あるよね?」


全然余裕。


バイトの何時間も前から凜の部屋に転がり込むからね。


「あるよ。」

「ちょっと買い物付き合って。」

⏰:09/02/04 17:53 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#227 [ゆーちん]
紅茶を飲み終えた凜は、サッと化粧直しをし、出掛ける準備を始めた。


「どこ行くの?」

「繁華街。明後日、千夏と遊ぶんだけど、千夏もうすぐ誕生日でしょ?だからプレゼント買いたくて。」

「あぁー、そういえば夏生まれだっけ。」

⏰:09/02/04 17:53 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#228 [ゆーちん]
同じ島で15年間一緒に育ってきた。


だから誕生日もなんとなくなら覚えてる。


学校の行事として誕生日を祝ったことはあるけど、個人的には祝ってあげたことなんかない。

⏰:09/02/04 17:58 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#229 [ゆーちん]
「よし、俺も何かプレゼントをあげよう!」


と、俺の決意を口に出したところで、凜の支度が終わった。


可愛いワンピースがよく似合う。

⏰:09/02/04 18:00 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#230 [ゆーちん]
涼しそうな格好。


あんまり肌とか見せないで欲しいんだけど…まぁ凜ちゃんが好きなファッションに文句は言えないもんね。


「戸締まりして。」

「はーい。」

⏰:09/02/04 18:00 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#231 [ゆーちん]
二人は慣れた手つきで戸締まりを済ませ、繁華街へと繰り出した。


暑い。


夏の日差しは容赦なく俺らを照らす。


「いや?」


暑いから繋ぎたくないかな、とダメ元で手を差し出すと、凜は何も言わず繋いでくれた。

⏰:09/02/04 18:01 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#232 [ゆーちん]
「フフッ。」

「何笑ってんの。暑さで頭おかしくなった?」

「ワッハッハーッ!」

「フッ。壊れた。」

⏰:09/02/04 18:02 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#233 [ゆーちん]
太陽が、凜の笑顔が、凜の手の平が、俺のココロをどんどん熱くしていく。


暑いのはいやだけど、夏は楽しい事だらけ。


夏は全然きらいじゃないよ。

⏰:09/02/04 18:02 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#234 [ゆーちん]
額に汗が滲み始めた頃、涼しい店内に入った。


汗がサッと引く。


「生き返る〜。」


クーラーの冷たさが、ほてった体を落ち着かせてくれた。


広い店内を見ながら、あれでもないこれでもないと誕生日プレゼントを探す。

⏰:09/02/04 18:05 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#235 [ゆーちん]
途中、主旨から脱線して、『心これ似合うかもよ?』と俺の顔にサングラスや帽子を合わせてはしゃぐ凜が、たまらなく可愛いかった。


「あ、これなんか可愛いし千夏に似合いそう!」


いきなり凜が見つけたのは夏らしい水色の花のピアス。


しばらく悩んではいたが、結局ピアスに決定した。

⏰:09/02/04 18:05 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#236 [ゆーちん]
「んじゃ、俺はこれプレゼントするわ!」


女の子の好きなものはよくわからないから、凜が選んだピアスによく似た花が付いているネックレスを選んだ。


「え、それにするの?」

「うん。変かな?」

⏰:09/02/04 18:15 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#237 [ゆーちん]
「変とかじゃないけど…」


凜が目を伏せた。


あれ?


俺、何かマズイ事でも言った?


明らかに様子が変わり、千夏のプレゼントより、凜の方が気になってしまう。

⏰:09/02/04 18:16 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#238 [ゆーちん]
「凜ちゃん、ごめん。俺なんか変な事言った?」

「変な事っていうか…」

「何?言って。」

⏰:09/02/04 18:16 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#239 [ゆーちん]
俺は、鈍感な性格だから。


俺は、女心のわからない男だから。


「…私が、やだ。」

「え?凛ちゃんが?やっぱこのネックレスじゃセンス悪い?」

「違う。そうじゃなくって…」

⏰:09/02/04 18:17 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#240 [ゆーちん]
俺は…凛のヤキモチになかなか気づけなかった。


困った顔の凛。


困った顔の俺。


困った困ったで睨めっこしてる場合じゃないんだよ。


「そういうアクセサリーとか、他の女の子にあげないで。」

⏰:09/02/04 18:19 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#241 [ゆーちん]
小さな声で凛が呟いた。


「え?」

「ヤキモチ妬いちゃう…千夏に。」

「誰が?」


聞かなくてもわかるのに、俺ってば鈍感で女心のわからない奴で…ちょっと意地悪だから。

⏰:09/02/04 18:20 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#242 [ゆーちん]
「私が!もう、何でわかんないのかな?」


ごめん、凛ちゃん。


何となくわかってんだけど、凛ちゃんが照れてる姿なんか滅多に見ないから、すっげー可愛く思えてさ。

⏰:09/02/04 18:20 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#243 [ゆーちん]
「じゃあ、これならいい?」


ネックレスの変わりに、見つけ出したのは入浴剤。


「これなら消耗品だし、ね?」

⏰:09/02/04 18:21 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#244 [ゆーちん]
凛は急に恥ずかしくなったのか、俺の腕を掴んで、耳元で『心、ムカつく。』と言った。


だから俺は笑いながら謝った。


「ヤキモチの妬き方知ってたんだ。」

「…ウザい!」

⏰:09/02/04 18:21 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#245 [ゆーちん]
「アハハ。可愛いね〜凛ちゃんは。」

「もう、ムカつく!鈍感すぎ!」

「ごめんね。心配しなくても俺は凛ちゃん以外の女の子なんか興味ないから。」

⏰:09/02/04 18:22 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#246 [ゆーちん]
「それはそれで困る。」

「えぇ〜。」


ちょっぴり不機嫌な凛を家に送り届けてから、バイトに行く。

⏰:09/02/04 18:22 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#247 [ゆーちん]
バイト中、またマスターに熱でもあるのか?と不思議がられた。


どうやら俺はニヤニヤしていたらしい。

⏰:09/02/04 18:23 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#248 [ゆーちん]
だってさ、嬉しいじゃん。


凛ちゃんがヤキモチだよ?


鈍感な俺も悪いかもしれないけど、ヤキモチだってわかったときは涙が出るほど嬉しかったんだよ。

⏰:09/02/04 18:24 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#249 [ゆーちん]
でも俺は泣かなかった。


どう?


ちょっとは大人になったでしょ?

⏰:09/02/04 18:24 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#250 [ゆーちん]
そんな、幸せいっぱいの俺と、照れまくってた凛が、剛さんと佐奈との食事会を当日に迎えたのは3日後の事だった。


「今日は本当にありがとうございます。」


凛が剛さんに頭を下げると、『いやいや、こないだのお詫びだから頭なんか下げないでよ!』と自分も頭を下げていた。

⏰:09/02/04 18:26 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#251 [ゆーちん]
なんか、性格の良さが滲み出てるよな、剛さんって。


「心。」

「ん?」

「私、なんで心の彼女が凛ちゃんなのか不思議でたまんないんだけど。」

⏰:09/02/04 18:26 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#252 [ゆーちん]
「俺だって不思議だよ。佐奈ちゃんの彼氏が剛さんなんてー。」

「…どういう意味だ、コラ。」

「いや、別に。」

⏰:09/02/04 18:27 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#253 [ゆーちん]
さっそく佐奈に殺されそうになったけど、なんとか交わして、とりあえず出発。


剛さんの運転は、佐奈と違って、なんだか落ち着いている。


いや、これが普通なのかも。


佐奈の運転が荒れすぎているだけだ。

⏰:09/02/04 22:23 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#254 [ゆーちん]
「あ、凜ちゃんさー香奈に聞いたんだけど、お盆に島へ戻るんだって?」


佐奈が助手席から、後部座席の方を覗き込んで来る。


「うん、そうなの。どうせ帰ってくるならお盆においで、っておじいちゃんが。」

⏰:09/02/04 22:24 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#255 [ゆーちん]
そうなんです。


凜が島へ里帰りする日が決まりました。


俺、今から超待ち遠しくてさ。


島に戻ってきたらカレー作ってもらいたいな。


凜のカレー、何だかんだで食べ損ねてるから…佐奈のせいでね。

⏰:09/02/04 22:25 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#256 [ゆーちん]
「私と香奈もお盆に実家帰るんだ!フェリーの時間合わせて一緒に帰んない?」

「そうなの?うん、是非一緒に!」


佐奈と香奈、そして凜が一緒に里帰りか。


何か、凄いな。

⏰:09/02/04 22:25 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#257 [ゆーちん]
すげぇ女が3人、鬼退治にでも来るのかよ。


…なんちゃって。


「剛さんは里帰りとかしないんっすか?」


俺が聞くと、剛さんは『考え中〜。』と言って、笑ったんだ。

⏰:09/02/04 22:26 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#258 [ゆーちん]
笑顔もクールっすね〜。


「剛は私が里帰りでいない間に、浮気相手とデートしないといけないから忙しいんだよね〜?」

「そうなんだよ。俺ってモテる男だからさ。」

「死ねばいいのに。」


笑顔の佐奈パンチを受けた剛さん。

⏰:09/02/04 22:28 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#259 [ゆーちん]
浮気ネタをもう笑いにできるなんて、内面も外面も大人すぎて本当…リスペクトです、剛さん。


恋にも似た感情を剛さんに抱きながら、俺らを乗せた車は20分かけて目的地に到着した。

⏰:09/02/04 22:29 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#260 [ゆーちん]
剛さんオススメのお好み焼き屋さん。


結構綺麗なお店だった。

⏰:09/02/04 22:29 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#261 [ゆーちん]
店に入って、注文して、他愛もない話をしていると、出来立てのお好み焼きがテーブルの鉄板に乗せられる。


いただきますをして、4人はお好み焼きを頬張った。


本当に美味しくて、こんなお店を知っている剛さんを天才だと思った。

⏰:09/02/04 22:41 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#262 [ゆーちん]
「めちゃくちゃ美味ぇ!」

「だろ?お好み焼きといえばこの店なんだよ。他にも知りたい店とかあったら、いつでも俺に聞いてねー。」


そうだ、剛さんはクラブやご飯屋に詳しいんだ。


知識豊富で、思いやりのある人で、カッコよくて…最高っすよ、剛さん。

⏰:09/02/04 22:42 📱:SH901iC 🆔:LN85bOO.


#263 [ゆーちん]
お好み焼きを食べ終えて、店を移動した。


ゆっくりできるカフェ。


みんなそれぞれ飲み物を頼む。


「私イチゴパフェとカプチーノね。」

⏰:09/02/05 10:19 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#264 [ゆーちん]
えぇー…。


お腹いっぱいお好み焼き食ったじゃん。


まだ食べる気かよ、佐奈。


この間、ラーメン屋で1杯しか食べなかったのは、別にぶりっ子でも何でもなかったんだな。

⏰:09/02/05 10:19 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#265 [ゆーちん]
「相変わらずよく食べるね。」

「そう?心も何か食べなよ。剛のおごりだよ?食べなきゃ損!」

「いやー、俺はもうお腹いっぱいだし。」

⏰:09/02/05 10:20 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#266 [ゆーちん]
佐奈は凜にも『何かデザート食べたら?』と聞いていたけど、少食な凜はコーヒーだけでいいと言った。


「私、トイレ行ってくる。」


凜が席を立つと、佐奈も立った。


「私もついでに行っとこーっと。」

⏰:09/02/05 10:28 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#267 [ゆーちん]
女2人が席を立つ。


俺と剛さんの2人っきり。


おいおいおいおい!


緊張するじゃねーか。


剛さんと、憧れの剛さんと2人っきりなんてさ!

⏰:09/02/05 10:28 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#268 [ゆーちん]
「剛さん!」

「あいよ。」

「色々とお店詳しいんですよね?よかったら、またお勧めのお店教えて下さい。」

⏰:09/02/05 10:29 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#269 [ゆーちん]
煙草を吸いながら、剛さんは答えた。


「もちろん。」


クール!


カッコイイ!


そのお洒落なアゴ髭なんて、俺がしたらネタになりますよ。

⏰:09/02/05 10:31 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#270 [ゆーちん]
「あざーっす!俺、本島には昔からよく来てたんですけど、やっぱまだまだ知らない事だらけで。」

「そっか。俺は生まれも育ちもここだから、結構色々知ってんだわ。凜ちゃんとデートするのにお勧めスポットも教えてやっから安心しろ!」

⏰:09/02/05 10:31 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#271 [ゆーちん]
…一生ついて行きます、剛兄様。


「ありがとうございます!」

⏰:09/02/05 10:32 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#272 [ゆーちん]
凜と佐奈が戻ってきてからも、俺は剛さんの話に夢中になった。


コーヒーや、佐奈のイチゴパフェが運ばれてからも剛さんに夢中な俺。


だってさ、為になる話ばっかなんだもん。


剛さんお勧めの古着屋の話を聞いていると、いつの間にか佐奈はパフェを完食していた。

⏰:09/02/05 10:33 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#273 [ゆーちん]
「帰るか?」


剛さんがそう切り出したのは、みんなの飲み物がからっぽになって、コップの中の氷が溶け切った時だった。


嫌だとは言えない。


まだまだ聞きたい事はたくさんあったけど、ご馳走になった俺らは凜のマンションまで送り届けてもらった。

⏰:09/02/05 10:33 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#274 [ゆーちん]
明日は朝からバイトだから今日は凜の部屋にお泊り。


ラッキー。


幸せな事尽くしだな。


「美味しかったね〜お好み焼き。」

「うん。」

「さすが剛さんだよなー。」

⏰:09/02/05 10:35 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#275 [ゆーちん]
「心さ、剛さんにゾッコンラブすぎでしょ。」


凜が笑った。


「そう?」

「そうだよ。ずーっと剛さんの話、楽しそうに聞いてたし。今日あんまり私と目、合ってないよね。」

⏰:09/02/05 10:36 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#276 [ゆーちん]
「あれ?ヤキモチ?」

「バカ、違うよ。」

「剛さんにはヤキモチ妬かないの?」

「妬かない。」

「千夏には妬くのに?」

「もう!うるさいよバカ!」

⏰:09/02/05 10:36 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#277 [ゆーちん]
誰かにヤキモチを妬くだなんて事を知って以来、凜をからかってばかりだった。


そのたび、『あんな事言わなきゃよかった。』と恥ずかしそうにする凜が可愛くて…癖になっちゃうんだよな。

⏰:09/02/05 10:37 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#278 [ゆーちん]
「剛さんみたいな男になりたいな。」

「心は髭なんか似合わないよ。」

「…やっぱり?」

「自覚あるんじゃん。」

⏰:09/02/05 10:38 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#279 [ゆーちん]
「でも、剛さんは俺の憧れ。カッコイイも〜ん。」

「まるで好きな人を見るような目で、ずっと剛さんの事見つめてたから、まさか心、男が好きになったのかなって心配した。」

⏰:09/02/05 10:38 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#280 [ゆーちん]
好きだけど、それはまた違う【好き】だから。


凜と剛さんへの【好き】は種類が違う。


でもまぁ、わざわざそんな事言わなくてもわかってるだろうけど。


俺が1番好きなのは、大切なのは、愛してるのは凜ちゃんだって事。

⏰:09/02/05 10:39 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#281 [ゆーちん]
「さきにお風呂入ったら?」

「凜ちゃんも一緒に入ろ〜!」

「絶対やだ。」

「…ケチ。」


一人でお風呂。


つまんない。


いつか凜ちゃんと一緒にお風呂に入るぞってのが、俺の目標。


…なんてね。

⏰:09/02/05 10:40 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#282 [ゆーちん]
俺が出ると、入れ代わるように凜がお風呂に入る。


覗いてやろうかと何度も思ったけど、嫌われるのはイヤだから我慢。


凜のお風呂は長風呂で、待ってる間は暇だった。


やっと出てきたと思えば、化粧水だの美容液だの、なかなかベットに入れない。

⏰:09/02/05 10:44 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#283 [ゆーちん]
「眠い。」

「だから先に寝ていいって言ってんじゃん。」

「やだ。風呂も一緒に入れないのに、せめてベットくらい一緒に入る。」

「何だそれ。じゃあ髪の毛乾かしてよ。」


お安い御用だ。

⏰:09/02/05 10:44 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#284 [ゆーちん]
凜のサラサラした髪に、ドライヤーをあてる。


こんな繊細な髪に、ドライヤーの熱なんかあてちゃ悪い気さえする。


しばらくすると髪が乾いた。


「寝よっか。」


やっとベットに入る事ができたのは、俺が風呂から出て、1時間以上経っていた。

⏰:09/02/05 10:45 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#285 [ゆーちん]
「ふぅ〜。」


ベットに寝転がり、溜息を零す。


「今日は美味しかったし、楽しかった。」

「そうだね。」

「早くまた剛さんと遊びたいね。」

「…。」

⏰:09/02/05 10:46 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#286 [ゆーちん]
「あれ?凜ちゃん、寝た?」

「寝た。」

「ブッ。可愛い。んじゃおやすみ。」

「おやすみ。」

⏰:09/02/05 10:47 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#287 [ゆーちん]
目を閉じると、俺はすぐに意識を手放した。


夢も見ずにぐっすり眠った。


おかげで、翌朝はとんでもない一日の始まりを迎えてしまった。

⏰:09/02/05 10:55 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#288 [ゆーちん]
まだ太陽が昇って間もないだろう。


なぜだか目が覚めたんだ。


目を開けると、目の前に凜がいた。


ビックリして声が出そうになったが、凜だと理解した瞬間、何だかたまらなく胸が騒いだ。

⏰:09/02/05 10:55 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#289 [ゆーちん]
だから、ほんの一瞬、触れただけのキスをした。


何も知らずに眠る凜。


やっべー。


朝から暴走してもいいですか。

⏰:09/02/05 10:56 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#290 [ゆーちん]
NOと言われても、俺の欲望だけが先走りしてしまっていた。


唇と手が、勝手に凜に触れる。


下着のつけていない胸を揉み、無防備な唇に強くキスをする。

⏰:09/02/05 11:34 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#291 [ゆーちん]
ここまでして気付かないなんて有り得ない。


凜は目を覚ました。


「…えっ、心?」


いきなりの事でテンパっている凜。


「おはよう。」

⏰:09/02/05 11:35 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#292 [ゆーちん]
「おはよ…てか、何してんの。」

「凜ちゃんに欲情。」

「何言って…んっ。」


目覚めのキスはなかなか受け入れてもらえなかった。


「ごめん…嫌?」

⏰:09/02/05 11:35 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#293 [ゆーちん]
凜は何も答えなかった。


良くも悪くもない、って事だ…きっと。


「続けるよ。」


俺の唇は凜の胸に移動した。


薄っぺらいキャミソールを胸の上までめくり上げると、白い肌が現れた。

⏰:09/02/05 11:36 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#294 [ゆーちん]
胸の先端に何度も何度もキスをする。


俺の頭を掴む凜の手に力が入るのがわかる。


「心…っ…」

「ん?」

「…ンッ。」

⏰:09/02/05 11:37 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#295 [ゆーちん]
久しぶりに聞いた凜の甘い声は、舌で胸の先を転がした時に溢れた。


固くなる胸の先を、指と舌で愛撫する。


本当に小さな声でもがいている凜が可愛かった。

⏰:09/02/05 11:37 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#296 [ゆーちん]
下半身はパイル生地の短パンから細くて白い足が伸びている。


短パンの上から、俺は凜をいじめた。


何度も何度も指を押し当て、凜の苦しむ表情を観察する。

⏰:09/02/05 11:38 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#297 [ゆーちん]
「アッ…」


色っぽい声が溢れ出す凜の短パンと下着を脱がせた時、外で鳥の鳴く音が聞こえた。


俺、朝っぱらから何やってんだろうと思い、一瞬だけ手が止まる。

⏰:09/02/05 11:39 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#298 [ゆーちん]
「…心?」


荒い息をする凜が、不思議そうに俺の顔を覗き込んだ。


「ごめんね、こんな朝早くに。」

「…別に、謝らなくても。」

⏰:09/02/05 11:40 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#299 [ゅず]
ぁげA
この小説大好き☆ャ
応援してますャ頑張って☆

⏰:09/02/05 11:53 📱:913SH 🆔:/2ctAVi6


#300 [ゆーちん]
>>299ぁずさん

ありがとうございます

⏰:09/02/05 12:27 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#301 [ゆーちん]
このまま続けてもいいのか。


それとも我慢するか。


迷う俺に答えをくれたのは、他の誰でもなく、白い素肌をさらけ出している俺の彼女だった。

⏰:09/02/05 12:28 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#302 [ゆーちん]
「続き、してよ。」


『いいの?』と聞くと、小さく頷いた凜。


「高校入って、まだ1度もしてないじゃん。」


うん、そう。


もう何ヶ月もキス以上の事はしていない。

⏰:09/02/05 12:28 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#303 [ゆーちん]
高校入ってから、何だか凜を抱くのが怖かったんだ。


一気に色っぽくなった凜ちゃんを俺ごときが抱いていいのか?的な…ただのヘタレだ。

⏰:09/02/05 12:29 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#304 [ゆーちん]
最初は別に、SEXなんかしなくても幸せだった。


凜さえいればいい。


でもやっぱ…男だし。


ヤりたくなるよ。


そのたびに怖くなる。

⏰:09/02/05 12:30 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#305 [ゆーちん]
俺は凜にふさわしいのか、って。


もっと男らしくなんなきゃいけないんじゃないか、って。


そんな時、めちゃめちゃカッコイイ剛さんに出会い、すっげぇ感動した。

⏰:09/02/05 12:30 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#306 [ゆーちん]
俺も剛さんみたいなカッコイイ男になりたい。


なれるかな。


いや、なってみせる!


話はそれたけど…本当に続きしちゃっていいの?


「俺、根性なしだから。」

「知ってる。でも、私を抱く根性ぐらいは持っててよ。」

⏰:09/02/05 12:31 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#307 [ゆーちん]
凜の手が、俺の頬に触れた。


「私は心に抱かれたくて仕方なかったのに。」


ドストラーイク。


そういう言葉は笑顔で言ってくださいよ杉浦さん。


「そんな嬉しい事…俺、照れるわ。」

「好きな人とエッチしたいって思うのは当たり前でしょ?だから続き、して。」

⏰:09/02/05 12:32 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#308 [ゆーちん]
止まらなかった。


暴走だよ、暴走。


朝っぱらから、俺ら元気だよな。


ベットが揺れ動くたび、感情も揺れ動く。


可愛い、気持ち良い、好き、綺麗、最高…みたいなね。

⏰:09/02/05 12:33 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#309 [ゆーちん]
「心…ヤッ…っ…ンンッ。」


眉間にシワを寄せ、もがく凜。


しばらくするとシワが消え、体の力が抜けたのがわかった。


その後すぐに俺も果てた。

⏰:09/02/05 12:34 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#310 [ゆーちん]
久しぶりのSEXは、たまらなく気持ち良かった。


朝から汗をかくなんて、普通なら嫌なのに、この運動のせいで出た汗は嫌じゃない。


お互いシャワーを浴びてから朝ごはんを食べた。

⏰:09/02/05 12:34 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#311 [ゆーちん]
疲れるのかと思ったけど、妙に穏やかに過ごせた。


凜の機嫌もいい。


俺がバイトに行く前、いってらっしゃいのキスまでプレゼントしてくれたぐらいだから。

⏰:09/02/05 12:35 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#312 [ゆーちん]
●○●○●○●

>>2

●○●○●○●

⏰:09/02/05 12:35 📱:SH901iC 🆔:YIV4zkBU


#313 [ゆーちん]
○●○●○●○

里帰り

○●○●○●○

⏰:09/02/06 11:32 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#314 [ゆーちん]
ついにこの日が来た。


フェリーから降りて来る美少女!


「凜ちゃーん!」


キャリーバックを転がしながら、こっちに向かって歩いて来るワンピースの少女。

⏰:09/02/06 11:32 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#315 [ゆーちん]
「おぉ!心、わざわざ私の出迎え?ご苦労だね。」


…出たよ。


ワンピース美少女の後ろから、ひょっこり現れたのはタンクトップに短パン女。


西山香奈さん。

⏰:09/02/06 11:33 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#316 [ゆーちん]
「俺は凜ちゃんを迎えに来たのー。香奈なんか興味なし。」

「しばらく見ない間に生意気になったね。佐奈ちゃんの車の下敷きになればいいのに。」

⏰:09/02/06 11:33 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#317 [ゆーちん]
あぁ、そういえば佐奈と香奈も一緒に帰って来てんだっけ。


忘れてた。


俺の頭の中は凜の里帰りの事しか考えてなかったから。


西山姉妹の帰省は正直…いや、言わないでおこう。


殺されたくないもん。

⏰:09/02/06 11:34 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#318 [ゆーちん]
「で、その佐奈ちゃんは?」

「駐車場で待ってるって。凜、行こ。」


フェリーは、人だけではなく自転車や自動車も移動可能。

⏰:09/02/06 11:35 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#319 [ゆーちん]
佐奈は自分の車まで持って帰って来たみたい。


帰省中、島で暴走でもするつもりですか?


やめてよね。


静かな島が一気に騒がしくなるお盆の始まりなんて、考えたくもないよ。

⏰:09/02/06 11:36 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#320 [ゆーちん]
凜の荷物だけ運ぶつもりが、なぜか香奈の荷物まで運ぶ羽目に。


コロコロと2つの鞄のタイヤを転がしながら駐車場まで引っ張った。


「あ、いた。」


香奈が指さす先には見覚えのある車が。

⏰:09/02/06 11:37 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#321 [ゆーちん]
あのうるさくて賑やかな車じゃ、この島で確実に浮く。


持ち主と同じだ。


佐奈も香奈も、この島じゃ浮いていた。


ちょっと派手派手しい格好をしてたばっかりに、周りに怖がられたり、変な目で見られたり。

⏰:09/02/06 11:37 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#322 [ゆーちん]
別に見た目くらい何でもいいじゃんね。


大事なのは中身だよ。


って、凜に一目惚れだった俺が言うなって?

⏰:09/02/06 11:38 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#323 [ゆーちん]
「佐奈ちゃん、元気〜?」

「あ、心?何でいんの。」


大事なのは、中身。


中身だよ、中身。


「凜ちゃんと西山姉妹のお出迎えに決まってんじゃん。」

「はぁ?んなバレバレな嘘つくなよ。どうせ私と香奈なんか眼中になかったくせに。」

⏰:09/02/06 11:40 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#324 [ゆーちん]
「えっ…バレた?」

「ひき逃げするぞ、ハゲ。」


怖いけど、大事なのは中身の中身なんだよ。


うん。


中身の中身がいいから、俺は何だかんだで西山姉妹が好き…なのかな。


認めたくないけど。

⏰:09/02/06 11:41 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#325 [ゆーちん]
香奈は助手席、凜は後部座席へと乗り込む。


俺も後部座席に乗り込もうとしたら…


「心の乗る場所ないよ?」


佐奈の車の定員は4人まで。


じゃあ俺も乗れるじゃん。

⏰:09/02/06 12:09 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#326 [ゆーちん]
「何で?」


すると佐奈は後部座席を指さした。


凜の隣を覗き込む。


…乗れない理由がわかりました。

⏰:09/02/06 12:10 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#327 [ゆーちん]
「家出っすか?」

「ただの里帰りだっつーの!」

「里帰りの荷物の量じゃないだろ、これ。」


凜の隣には、無造作に積まれた荷物荷物荷物。

⏰:09/02/06 12:10 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#328 [ゆーちん]
よくもまぁここまで荷物を積めるなってぐらい。


「女は何かと必要なんだよ。」

「あぁ、そうですか。」


渋々、俺は佐奈ちゃんの車を見送った。


せっかく迎え来たのに凜も車乗ってっちゃうんだもんなー。

⏰:09/02/06 12:13 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#329 [ゆーちん]
俺は太陽に励まされながら、家までの道をのんびり歩いた。


こんな事なら自転車で来ればよかった、と後悔しながらね。

⏰:09/02/06 12:14 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#330 [ゆーちん]
寄り道せず杉浦家まで足を進めた。


「凜ちゃーん。」


玄関は開いたまま。


ふと足元を見ると、かわいらしいサンダルが脱ぎ揃えられていた。

⏰:09/02/06 12:17 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#331 [ゆーちん]
「あぁ、やっと来たの。」


二階から降りて来た凜は俺を見て、そう呟いた。


「片付け終わった?」

「うん、まぁ。片付けって言う程荷物ないし。」

「あ、そっか。佐奈ちゃんの荷物見た後だから、どうも感覚が。」

⏰:09/02/06 12:17 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#332 [ゆーちん]
「あの姉妹の荷物は私もビックリした。」


凜が笑った。


夏の暑さも忘れちゃうような涼しい笑顔のせいで、俺の心臓は締め付けられっぱなし。

⏰:09/02/06 12:18 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#333 [ゆーちん]
「散歩でも行こっか。」

「いいよ。」


今日は自転車なし。


のんびりとしたこの島を、のんびりとした足取りで歩いた。


凜は日焼け対策として日影を選んで歩く。


日なたに引きずり出してやろうかと思ったけど、そんな事して嫌われちゃやだもん。

⏰:09/02/06 12:19 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#334 [ゆーちん]
「凜ちゃんカレーライスはいつ作ってくれんの?」

「んー、そのうち。」

「明日作って?」

「明日は澪たちと遊ぶからダメ。」

「ちぇーっ。」

⏰:09/02/06 12:19 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#335 [ゆーちん]
「そんなに食べたいんだったらママに作ってもらいなってば。」

「マザコンキャラ定着っすか?」

「へへッ…」

⏰:09/02/06 12:20 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#336 [ゆーちん]
俺達は自然と海に向いて進んでいた。


観光客や島の奴らが楽しそうに泳いでいる。


見慣れた光景。


「心、あっち座ろう。」

「ん。」


凜が指さした先は、やっぱり日影。


ちょっと人込みから外れた場所だったので、二人っきりという雰囲気に何だかドキドキさせられる。

⏰:09/02/06 12:21 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#337 [ゆーちん]
海を眺めながら何をするわけもなく、ぼーっとしたり、話したい事を話したり。


やっぱりこの島が1番。


のんびりできて、羽根伸ばせて、安らげて。


それに…

⏰:09/02/06 12:22 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#338 [ゆーちん]
「凜ちゃーん。」

「ん?」

「チューしようよ。」

「やだよ。すぐそこに人いるし。」

「バレないって。」

「変たっ‥」


好きな人が隣にいて。


海で騒ぎ回る人達に隠れながらしたキスは、子供の笑い声がBGM。

⏰:09/02/06 12:22 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#339 [ゆーちん]
唇が離れると『バカ心。』と言って、笑ってた。


「凜ちゃんとチューできんなら、バカでも変態でも何だっていいもぉん。」


そんな俺を嘲笑った凜。


ちょっとばかり、顔が赤くなってた気がする。


本当、可愛い。

⏰:09/02/06 12:23 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#340 [ゆーちん]
次に凜と会ったのは2日後だった。


バイトに行く為、フェリー乗り場にいた時。


「心!」


見覚えのある白いワンピース姿の凜。


「凜ちゃん!偶然だね。」

「今からバイト?」

「そうだよ。凜ちゃんは?本島に行くの?」

⏰:09/02/06 13:18 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#341 [ゆーちん]
「ううん。」


凜の表情が少し変わったのがわかった。


「どうしたの?」

「親が、来るの。」

「えーっ!」


つい、叫んでしまった。


それほど驚く出来事なんだ。


海外を忙しく飛び回る凜の親が来るって事は。

⏰:09/02/06 13:19 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#342 [ゆーちん]
卒業式や入学式にも出席できない程、忙しいみたいなのに…。


「よかったね。それで凜ちゃんはお迎えに来たって訳?」

「うん。」

「そっか。会うの久しぶりなんじゃない?」

「一年以上会ってないからちょっと緊張しちゃう。」

⏰:09/02/06 13:20 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#343 [ゆーちん]
困った表情の凜を見て、悲しくなった。


親と久しぶりに会えるのに、嬉しくないのかなって。


「大丈夫、大丈夫。元気な姿見せてあげなよ〜?」

⏰:09/02/06 13:21 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#344 [ゆーちん]
「うん。心の事、機会があったら言うつもりだから。」

「俺の事?」

「彼氏だよ、って。」

⏰:09/02/06 13:21 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#345 [ゆーちん]
さっきまで悲しんでたくせに、その言葉で有頂天になってる俺。


「えへへ〜。」

「そのデレデレした顔やめて。気持ち悪いから。」


早めに家を出て来てよかった。


フェリーの時間までまだ少しある。


こんなところで凜に会えるなんて思ってなかったから、すっげぇ得した気分。

⏰:09/02/06 13:22 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#346 [ゆーちん]
1秒でも長く話したいって思ってしまう。


「ごめんちょ。つーか、昨日楽しかった?澪と遊んだんだろ?」

「あぁ…うん。まぁ。」


今日の凜の顔は忙しい。


コロコロと変わってく表情。

⏰:09/02/06 13:24 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#347 [ゆーちん]
「楽しくなかったの?」

「んー…色々あって。」

「どうしたの?」

「女の悩みってやつ。ごめん、心にも言えない。」

「あら残念。」

「ごめんね?」

「ううん、別にいいよ。女の子も大変だね〜。」

「うん…大変だよ。」

⏰:09/02/06 13:24 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#348 [ゆーちん]
時間も気になるし、凜も気になるし…。


キョロキョロする俺に、凜は言った。


「明日の夜会える?」

「うん。でもバイトだから遅くになるよ。」

「それでもいい。」


凜から誘ってくれるなんてさ、顔が自然に緩んでしまう。

⏰:09/02/06 13:25 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#349 [ゆーちん]
凜の顔だけじゃなく、俺の顔も忙しいや。


「また連絡する。」

「うん。ご両親によろしく。いってきます!」

「いってらっしゃい。」



凜に見送られてバイトに行くのは、なかなか気分がいい。


調度すれ違う時間だったので、凜の両親には会えなかったけど、願わくば今夜は家族団欒楽しく過ごして欲しいと思った。

⏰:09/02/06 13:27 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#350 [ゆーちん]
翌日の夜、バイトが終わると同時に凜から連絡が入り、約束通り会う事になった。


本島から帰って来た俺を出迎えてくれた凜。


「おかえり。」

「ただいま凜ちゃん!」


抱き着きたくなったけど、我慢。


手を繋いでそのまま海辺まで歩いた。

⏰:09/02/06 13:28 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#351 [ゆーちん]
「今日の夕方、お父さんとお母さん帰ったよ。」

「もう?一日しか居れなかったんだ。」

「忙しいみたいだから。」

「楽しかった?」

「んー、普通。」

「そ。普通が1番だよ。」

「…変態の心にそんな事言われても説得力ない。」

⏰:09/02/06 13:29 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#352 [ゆーちん]
日中は賑わう海辺も、夜は驚くぐらい静かになる。


民宿などないこの島は日帰りで海に遊びに来る観光客がほとんどだから。


そんな静かな海に、凜と俺の笑い声が響く。


波音も混ざって、すごく心地いい。

⏰:09/02/06 13:29 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#353 [ゆーちん]
「久しぶりに会ったのに、緊張ってゆーか…変に遠慮とかしてぎこちなかったなぁ。」


凜はいきなり反省会を開き出した。


「そうなんだ。」

「心の事、結局紹介できなかった。」

「また次でいいよ。」

「次?次いつ会えるかわかんないんだよ?また1年後かもしんないし…それまで別れないで一緒にいられる?」

⏰:09/02/06 13:31 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#354 [ゆーちん]
凜が意地悪な顔で笑った。


「俺は凜ちゃんと同じ墓に入るつもりだから。」


「ふーん…あっそ。」


これが凜の愛情表現。

⏰:09/02/06 13:32 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#355 [ゆーちん]
ちょっと突き放す言葉を言い、俺は縋り付く言葉を返す。


そして凜は笑う。


それが彼女の愛情表現なんだと俺は思っていた。


ちょっと難しい女の子だけど、それがたまらなく俺のツボ。


本当、凜以外の女なんか考えらんねぇもん。

⏰:09/02/06 13:33 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#356 [ゆーちん]
「私は、お父さんとお母さんに、たった一年会ってないだけ。でもお父さんとおじいちゃん達はもっと会ってない訳じゃん。」

「うん、まぁ。」


今まで凜を連れて里帰りをしなかった話を聞くと、少なくとも十年以上は会ってなかったのかもしれない。

⏰:09/02/06 13:34 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#357 [ゆーちん]
「なのに普通なの。すっごく自然。私が変に緊張しすぎちゃってたのかも。」

「そっかぁ。でもまぁ仕方ないよ。」

「仕方ないのかな。3人で住んでた頃、どんな風に接してたのか思い出せなくて。私、変かな?」

⏰:09/02/06 13:34 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#358 [ゆーちん]
「全然。そんな緊張とかしちゃうのも含めて凜ちゃんなんだから。ご両親は気にしてないよ、きっと。久しぶりに娘に会えて喜んでただろ?」

「うん、まぁ喜んでたけど…。」

「じゃあ気にしない、気にしない!」

⏰:09/02/06 13:35 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#359 [ゆーちん]
珍しくクヨクヨしている凜を見て、勝手に体が動いてた。


小さな凜の肩を抱きしめている俺の左手。


凜も嫌がらず俺にもたれ掛かってくれている。


「今日きっとヘコむんだろうと思って昨日のうちから心と会う約束したの。正解だね、見事にヘコんじゃったよ。心のバカヅラ見て充電しないと。」

⏰:09/02/06 13:41 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#360 [ゆーちん]
親とぎこちなくなったりするのも、若さの特権だとか思わない?


同じ歳の親が言うのも変だけど思春期ってやつじゃないのかな。


いつか笑って話せる日が来ますようにと俺は願った。

⏰:09/02/06 13:42 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#361 [ゆーちん]
●○●○●○●

お知らせもあるので
感想板覗いてみて
下さいm(__)m

>>2

●○●○●○●

⏰:09/02/06 13:43 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#362 [我輩は匿名である]
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400

⏰:09/02/06 20:35 📱:N906imyu 🆔:wPzLyXME


#363 [我輩は匿名である]
>>50-100
>>100-150
>>150-200
>>200-250
>>250-300
>>300-350

⏰:09/02/06 21:47 📱:W45T 🆔:wb.nVjyY


#364 [我輩は匿名である]
頑張ってください!★

⏰:09/02/12 11:44 📱:D905i 🆔:aYuFz4ys


#365 [我輩は匿名である]
かいてー

⏰:09/02/12 22:19 📱:N903i 🆔:☆☆☆


#366 [ゆーちん]
●○●○●○●

お待たせしました

少しずつですが
更新します

●○●○●○●

⏰:09/02/14 23:27 📱:SH901iC 🆔:ziY6sleA


#367 [ゆーちん]
○●○●○●○

女の悩み

○●○●○●○

⏰:09/02/14 23:37 📱:SH901iC 🆔:ziY6sleA


#368 [ゆーちん]
8月も残りわずか。


凜は夏休みが終わるまで島で過ごすらしく、俺はめちゃめちゃ嬉しかった。


そんな凜ちゃんと一緒に昼ご飯をトメ食堂で食べていると、トメばあちゃんが呟いた。

⏰:09/02/14 23:38 📱:SH901iC 🆔:ziY6sleA


#369 [ゆーちん]
「騒がしいのが来るな。」


俺は答えた。


「来るよ。とんでもない台風が。」


車の騒音が聞こえる。


お年寄りのトメばあちゃんでも聞こえるくらい、うるさい車。


そんな車で騒ぎ立てているのは、この島であの人しかいない。

⏰:09/02/14 23:39 📱:SH901iC 🆔:ziY6sleA


#370 [ゆーちん]
「トメばあちゃ〜んっ!」


勢いよく扉を開けて入って来た台風こと、佐奈ちゃん。


その後ろから、香奈も入って来た。


「佐奈かぁ?」

「そうだよ、ばあちゃん!私のこと忘れちゃった?」

⏰:09/02/14 23:39 📱:SH901iC 🆔:ziY6sleA


#371 [ゆーちん]
「長い事見てねぇから忘れたわ。」

「ひどいよばあちゃん。昔は毎日ここ来てたのに。」


佐奈とばあちゃんが話に花を咲かせている間、香奈は俺たちのテーブルに座って他愛もない話をする。


「あ、そうそう。私と佐奈ちゃん、今日フェリーで本島帰るよ。凜は夏休み終わるまでいるんでしょ?」

⏰:09/02/14 23:40 📱:SH901iC 🆔:ziY6sleA


#372 [ゆーちん]
たまらなくハッピーな気分。


うるさい姉妹が本島に帰る。


つまり平和になる。


イコール凜ちゃんにいちゃつける!


なーんて頭の中をピンク色にしていると、何かに感づいた佐奈は俺の頭を殴りに来た。

⏰:09/02/15 09:30 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#373 [ゆーちん]
「私達いないからって凜ちゃんに変な事すんじゃないよ。」

「いってぇ!佐奈ちゃんいつのまに来たの。今の今までばあちゃんと喋ってたじゃん。」

「お前が鼻の下伸ばしてる間に来たんだよバカ!」


もう一発殴り終えると、佐奈ちゃんも俺の隣に座った。

⏰:09/02/15 09:31 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#374 [ゆーちん]
「それより、澪はどうなったの?」


佐奈は漬け物を食べながら、凜と香奈に行った。


すると2人の表情が一転。


香奈は目が大きくなった。


「佐奈ちゃん!」

「え?」

⏰:09/02/15 09:33 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#375 [ゆーちん]
「心、いるから。」


凜が気まずそうに佐奈に言う。


「あっ…そういう事。ごめん。」


佐奈も感づいたらしく急にしおらしくなった。


何とも気になるやり取り。

⏰:09/02/15 09:33 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#376 [ゆーちん]
「…俺、邪魔?」


そう言うと3人共『そうだよ。』って目で俺を見るんだもん。


へこむよね。


「外で待ってるよ。」

⏰:09/02/15 09:34 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#377 [ゆーちん]
自ら席を立とうとした時、急に服の裾に体重がかかった。


「へ?」


真面目な顔をした佐奈が、引っ張っていたのだ。


「心、即答しろよ?」

「はぁ?」


俺に考える隙を与えない間に、佐奈の質問が飛んで来た。

⏰:09/02/15 09:36 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#378 [ゆーちん]
「凜ちゃんに子供ができたって言ったら、心どうする?」

「…ほえ?」

「妊娠3ヵ月。どうする?」


凜の方を見たが、いつもの冷たい表情だった。


「…ほっ、本当に?どどどうしよ…えっ、妊娠?俺パパ?えぇーっ!」

⏰:09/02/15 09:37 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#379 [ゆーちん]
頭の中で色んな場面が流れた。


凜と出会った日から、キスをした日、初めてSEXした日、笑った日、泣いた日…。


てゆーかパニック状態で何がなんだか。


「心は、赤ちゃんできたって言われたら嬉しい?」

「うっ、嬉しいよ!当たり前じゃん。でも現実的に考えればラーメン屋のバイトじゃ凜ちゃんと赤ちゃん養えないね。学校辞めて就活するしかないのか…。」

⏰:09/02/15 09:38 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#380 [ゆーちん]
佐奈が真面目に質問するから、真面目に考えたのに…。


「フフッ。」


凜が笑った。


「え?」

⏰:09/02/15 09:39 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#381 [ゆーちん]
笑っている凜の肩をポンポンと叩いた香奈が言った。


「単純なんだね、凜さんの彼氏。」


ん?


「心、よく言った。あんたは合格。」


なぜか佐奈から合格を頂いた。


「何?どういう意味?」

「心、ごめん。ちょっと男の反応ってのを見てみたくて、試したの。」

⏰:09/02/15 09:39 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#382 [ゆーちん]
佐奈の言ってる意味がさーっぱりわからない。


「試した?」

「世の中の男がみんな、あんたぐらい素直だったらいいのにな。」

「佐奈ちゃん、俺よくわかんないんだけど…」

⏰:09/02/15 09:40 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#383 [ゆーちん]
すると凜は言った。


「よく考えてみなよ。3ヵ月前、私とSEXした?」


7月、6月、5月…。


「あっ、してない。」

「SEXしてなきゃ妊娠もしてないよ。」

「へ?妊娠してないって…えっ、嘘?冗談なの?」

⏰:09/02/15 09:41 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#384 [ゆーちん]
やっと気付いたか、と香奈は大笑いしていた。


何、俺騙されたの?


テンション上がり損?


「嘘なの?ねぇ、妊娠してないの?」

「うん。佐奈ちゃんが言ったでしょ?男の反応ってのを試したって。」

「何それ〜。俺すっげぇ興奮したのにぃ。凜ちゃんのウエディングドレスまで想像しちゃったよ!」

⏰:09/02/15 09:41 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#385 [ゆーちん]
と、まぁ拍子抜けした俺。


そんな俺に佐奈は言った。


「澪の彼氏は、心みたいに喜ばなかったんだ。だから中絶も考えてる。でも産みたい気持ちもある。心が言ったように現実的に考えると金銭的に苦しい。命が関わってる事だからさ、澪も悩んでるんだよ。」

⏰:09/02/15 09:42 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#386 [ゆーちん]
あっさり言い終わった佐奈は、また漬け物を頬張る。


俺が理解するのに、佐奈は漬け物を3度口に運んだ。


「澪、妊娠したの?」

「理解するの遅い。バカ。」


やっと理解できたのに、佐奈に叱られた。

⏰:09/02/15 09:43 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#387 [ゆーちん]
「とりあえず澪は島の女にしか相談してないから、心は知らないフリしてなよ。心に言うつもり無かったけど、隠し事って私苦手でさぁ…」


あぁ、昔からそう。


佐奈に内緒話だよって言ったはずの話が次の日には流出。

⏰:09/02/15 09:44 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#388 [ゆーちん]
剛さんの時といい、隠し事が嫌いなようだ。


「私は隠し事が嫌いって澪もわかって相談したんだろうし、まぁ心に知られたところで澪は困ったりしないでしょ。島の人間だし。あっ、でもまだ竜や大輝にも言っちゃダメだからね。」

⏰:09/02/15 09:45 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#389 [ゆーちん]
一気に言い終わった佐奈。


漬け物もからっぽになり、佐奈は席を立った。


「私ちょっと澪んとこ行って来るわ。」

「じゃあ私も行く。」


そう言って香奈も立ち上がった。


西山姉妹はトメばあちゃんに挨拶して、食堂から出て行った。

⏰:09/02/15 09:46 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#390 [ゆーちん]
台風が過ぎ去った気分。


「凜ちゃん詳しく教えてくれる?」

「聞かれると思った。」


苦笑いした凜も立ち上がり、昼ご飯代をトメばあちゃんに支払い、食堂の外に出た。

⏰:09/02/15 09:47 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#391 [ゆーちん]
俺も慌てて凜を追い掛け、外に出る。


たまらなく熱い日差しが襲って来た。

⏰:09/02/15 09:48 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#392 [ゆーちん]
「今日は心の家に行きたいなぁ。」

「うん、いいよ。それより聞きたい事だらけなんだけど。」

「家についたら話すよ。」

「…うん。」


日影を歩く凜。


その隣を歩く俺。

⏰:09/02/15 10:32 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#393 [ゆーちん]
「で、本当に妊娠してないの?」

「してない。」

「…なんか、つまんないの。」

⏰:09/02/15 10:33 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#394 [ゆーちん]
台風のような姉妹がなぜ食堂に来たのかが未だにわからない。


そんな中、俺の家につくともう一つの台風がいる事に気付いた。


「凜ちゃーん!いらっしゃい!」


ハイテンションママ。


「お久しぶりです。」

⏰:09/02/15 10:34 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#395 [ゆーちん]
「お盆に帰って来てたんですって?全然遊びに来てくれないから、心に愛想尽きたのかと思ってたの。」

「ちょっと忙しくて、なかなか来れなかったんです。すみません。」

「ううん!うちのバカ息子の世話をしてくれているってだけでも感謝しきれないのに、凜ちゃんが謝る事ないのよぉ。」

⏰:09/02/15 10:36 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#396 [ゆーちん]
何でうちの母ちゃんは凜を見ると、こんなに元気になるわけ?


勘弁してください。


「どうぞゆっくりして行ってね。そうだ!夕ご飯食べてく?今日の江森家のメニューはカレーライス。」


思わず2人で笑ってしまった。


母ちゃんは何の事かわからず、不思議そうな顔をしていた。

⏰:09/02/15 18:05 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#397 [ゆーちん]
そりゃそうだ。


カレーライスで吹き出すなんて、俺と凜にしかわからない冗談だからね。


「あら?凜ちゃん、カレーライス嫌い?」

「いえ、大好きです。」

「じゃあ一緒に夕ご飯食べましょ?」

「はい、是非。」

⏰:09/02/15 18:06 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#398 [ゆーちん]
「夕ご飯いらない、って凜ちゃん家には、おばちゃんが電話しておいてあげる。」

「色々とすみません。」

「いいのよ!それじゃあ夕ご飯までゆっくりしてってね。」

「ありがとうございます。」


母ちゃんと凜の会話、終了。

⏰:09/02/15 18:07 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#399 [ゆーちん]
凜は俺の部屋に入った途端、声を出して笑った。


「タイミング良すぎだよ、心のお母さんっ!」

「まさかカレーライスとはねぇ。」


しばらくカレーライスネタで笑っていると、凜は扇風機の前に座って、さっきの話しを詳しく教えてくれた。

⏰:09/02/15 18:08 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#400 [ゆーちん]
佐奈が言ってた内容とさほど変わらなかったけど、凜が丁寧に教えてくれたおかげで、やっと理解できた。


澪は妊娠3ヵ月。


彼氏は出産に反対だが、澪は産みたい。


だけどお金や将来を考えると不安だらけ。

⏰:09/02/15 18:17 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#401 [ゆーちん]
同級生だけではなく、佐奈という姉ちゃん的存在の人にも相談したが、なかなか決断できずにいる。


「誰にもチクったりしないって信じてるから、佐奈ちゃんも心に話したんだと思うよ。」


チクんないよ、当たり前じゃん。

⏰:09/02/16 11:43 📱:SH901iC 🆔:6OHVKZWc


#402 [ゆーちん]
チクるどうこうより、俺にできることなら何だって協力してあげたいって思う。


「妊娠なんて私達には、まだまだ無関係な出来事なんだって思ってた。だけどSEXしてるって時点で、1番身近な事になっちゃうんだよね。」

⏰:09/02/16 11:43 📱:SH901iC 🆔:6OHVKZWc


#403 [ゆーちん]
凜の言う通りだと思った。


軽々しい気持ちなんかで、SEXはしちゃいけないんだ。


あれは愛を確かめあう行為だから。


「澪の妊娠、とても他人事には思えない。自分が澪の立場だったらどうするだろって考えちゃうんだよね。」

⏰:09/02/16 11:44 📱:SH901iC 🆔:6OHVKZWc


#404 [ゆーちん]
「俺は反対なんかしない。」


本音。


上っ面な気持ちじゃないよ。


「凜ちゃんが妊娠したなら、俺は頭を下げるよ。産んで下さいって。」


凜の大きな目は、俺をじっと見ていた。

⏰:09/02/16 11:44 📱:SH901iC 🆔:6OHVKZWc


#405 [ゆーちん]
「心。」

「ん?」

「頭も丸めてくれる?」


そう言った凜に、久しぶりにハグされた。


嬉しかった。


「坊主でも何でも、凜ちゃんの為ならできるよん。」


凜の顔は見えなかったけど、俺の予想…半泣きだったと思う。

⏰:09/02/16 11:45 📱:SH901iC 🆔:6OHVKZWc


#406 [ゆーちん]
小さく零れた吐息と、鼻をすする音が聞こえたから。


「…バカ。」

「じゃあ凜ちゃんはバカの彼女だね。」

「うるさい。」


笑った声も、ちょっとだけ震えてた。


何だか俺まで泣きそうだった。

⏰:09/02/16 11:45 📱:SH901iC 🆔:6OHVKZWc


#407 [ゆーちん]
『カレーの時間ですよ〜。』と、なんとも拍子抜けな母ちゃんの声が聞こえたのは7時ぐらいだった。


澪の事を知った以上、色々気になっていたけど、やっぱり凜といると楽しくて…ついつい母ちゃんの呼び声だけでも2人で笑い合っていた。

⏰:09/02/16 11:46 📱:SH901iC 🆔:6OHVKZWc


#408 [ゆーちん]
「そんな呼び方ないだろ。」

「心ママ、最高。」

「ごめんね、くだらないテンションの母親でぇ。」


居間にいくと、全員集合。


「あっ、はじめまして。杉浦凜です。」

⏰:09/02/16 11:46 📱:SH901iC 🆔:6OHVKZWc


#409 [ゆーちん]
父ちゃん、じいちゃん、ばあちゃんとは初対面の凜は慌てて挨拶をした。


「ほぇ〜、可愛い子だ。」

「心には勿体なくないか?」


じいちゃんとばあちゃんは凜を見て、口を開けていた。

⏰:09/02/16 11:47 📱:SH901iC 🆔:6OHVKZWc


#410 [ゆーちん]
父ちゃんにいたっては…


「心なんかやめて、おじさんとデートしない?」


最低発言。


「くだらないオヤジは無視していいわよ。さぁ、座って。」


と、母ちゃんに促され、俺の隣に腰を降ろした凜。

⏰:09/02/16 12:02 📱:SH901iC 🆔:6OHVKZWc


#411 [ゆーちん]
少し緊張しているみたいだった。


カレーライスやサラダ、お漬物に、なぜか魚の煮物がテーブルに並べられた。


「今日も魚の煮物?凜ちゃん、これ昨日の残り物なんだよ。」


父ちゃんがチクると、足元を母ちゃんに殴られたらしく一瞬顔を歪めた。

⏰:09/02/16 12:04 📱:SH901iC 🆔:6OHVKZWc


#412 [ゆーちん]
いただきますをして、6人で他愛もない会話をして食事をする。


学校楽しい?


何の授業が好き?


好きな映画は何?


本当に他愛もない会話。


だけど、江森家からの質問に凜はずっと笑顔で答えてくれた。

⏰:09/02/16 12:04 📱:SH901iC 🆔:6OHVKZWc


#413 [ゆーちん]
「ごちそうさまでした。美味しかったです。」


凜は最後まで笑顔だった。


「時間があるなら、何もない家だけどゆっくりしてってね。」

「はい、ありがとうございます。」


と、いうことで部屋に戻った。

⏰:09/02/16 12:05 📱:SH901iC 🆔:6OHVKZWc


#414 [ゆーちん]
「ごめんね。質問攻めで困ったでしょ。」

「ううん、楽しかった。」


凜はベットに座り、話してくれた。


「小学校時代に戻った気分だったよ。」

「小学校?」

「うん。さっきみたいに、毎日お父さんとお母さんと晩ご飯食べてたのって小学6年生までだったの。私が中学校上がって、友達付き合い優先してたから…家族団欒なんて小学生ぶり。」

⏰:09/02/16 12:05 📱:SH901iC 🆔:6OHVKZWc


#415 [ゆーちん]
「そうなんだ。俺は昔からあんな感じだからさ…あんまりわかんないけど。」

「色々質問されて嬉しかった。お父さんとお母さんに質問されてるみたいで、答えるのも楽しかった。」

「そっか。」

「今度お父さん達が帰って来たら、さっきみたいに笑って話しとかできたらいいな。緊張とか遠慮とか無縁だった小学校時代みたいにさ。」

⏰:09/02/16 12:06 📱:SH901iC 🆔:6OHVKZWc


#416 [ゆーちん]
そんな場面を想像した凜は、自然と笑顔になっていた。


その笑顔のためなら俺、何でもできる。


「きっとできるよ。」

「だといいけど。」


無言の合図で俺たちは唇を重ね合わせた。

⏰:09/02/16 12:06 📱:SH901iC 🆔:6OHVKZWc


#417 [ゆーちん]
幸せなキス。


澪も早く、幸せになれるといいって本気で思った。


そんな夏休みも、もうすぐ終わる。

⏰:09/02/16 12:07 📱:SH901iC 🆔:6OHVKZWc


#418 [ゆーちん]
●○●○●○●

>>2

●○●○●○●

⏰:09/02/16 17:18 📱:SH901iC 🆔:6OHVKZWc


#419 [ゆーちん]
○●○●○●○

2人の笑顔

○●○●○●○

⏰:09/02/18 17:18 📱:SH901iC 🆔:ZDh6rUK6


#420 [ゆーちん]
夏休み最後の日に、いつものメンバーが大輝の家に集まった。


中学の頃に戻ったみたい。


あの頃、大輝の家がたまり場でよく凜ちゃんとの惚気話をみんなに聞かせてたっけ。


オール無視だったけど…。

⏰:09/02/18 17:18 📱:SH901iC 🆔:ZDh6rUK6


#421 [ゆーちん]
大輝の家で騒いだ後、凜と香奈をフェリー乗り場まで見送る事になり、5人で向かった。


途中、いつもの海辺に立ち寄って大輝は海に向かって叫んでた。


「グッバイ夏休み〜!」


そんな大輝の隣で竜が呟いた。

⏰:09/02/18 17:27 📱:SH901iC 🆔:ZDh6rUK6


#422 [ゆーちん]
「グッバイ俺の春。」


香奈は大いに反応した。


「ちょちょちょちょ。竜、俺の春って…まさか別れたの?」

「うん。昨日フラれた。」

⏰:09/02/18 17:27 📱:SH901iC 🆔:ZDh6rUK6


#423 [ゆーちん]
竜がフラれたってのに、4人で大笑いした。


だって竜ってば、フラれるって感じのキャラじゃないんだもん。


「未練は?」

「そんなのねぇよ。新しい恋して早く忘れるつもりだから。」

「ギャハハハ!」

⏰:09/02/18 17:28 📱:SH901iC 🆔:ZDh6rUK6


#424 [ゆーちん]
バカ笑いする俺と大輝に、竜のキックが飛んで来たけど面白いもんは面白いんだよ。


「子沢山な家族作るのが夢なのに、なかなか思い通りにいきませんね竜さ〜ん。」

「うるせぇよバカ心!」

⏰:09/02/18 17:28 📱:SH901iC 🆔:ZDh6rUK6


#425 [ゆーちん]
「まじドンマイだね。香奈か凜ちゃんに女の子紹介してもらえば?」


大輝が提案した。


「探してあげるよ。うちの学校、彼氏募集の女だらけだし。」


香奈が協力してくれるらしく、商談成立。

⏰:09/02/18 17:42 📱:SH901iC 🆔:ZDh6rUK6


#426 [ゆーちん]
その後もくだらない話をして笑ったり驚いたり叫んだり。


時間が来て、凜ちゃんと香奈を見送ってから、男3人で竜の失恋会をすることになった。


つっても島でできる事って言えばトメ食堂奢りぐらいだけど。

⏰:09/02/18 17:43 📱:SH901iC 🆔:ZDh6rUK6


#427 [ゆーちん]
だからきんぴらごぼうとマーボー春雨を奢ってあげた。


美味い美味いって喜んでた。


そんな夏休み最後の日。


暑苦しい気候だったけど、とても楽しい1日だった。

⏰:09/02/18 17:44 📱:SH901iC 🆔:ZDh6rUK6


#428 [ゆーちん]
それからしばらくして、2つの話が動き出した。


9月の中頃、竜は恋をした。


相手は香奈の紹介で知り合った女の子。


竜は見た目に似合わず惚れっぽい体質らしく、すぐに恋に落ちてしまったらしい。

⏰:09/02/18 17:45 📱:SH901iC 🆔:ZDh6rUK6


#429 [ゆーちん]
「可愛いの?」

「可愛いっつーより、美人。」

「ほぉ〜。いいじゃん、竜は可愛い子より美人の子のがお似合いだぞ。」

「そう?嬉しい事言ってくれんね大輝ちゃん。」

「竜って恋するとウザいキャラになるよね。」

⏰:09/02/18 17:46 📱:SH901iC 🆔:ZDh6rUK6


#430 [ゆーちん]
「ウザい事言ってくれるね心ちゃん。」

「どういたしまして。」


朝のフェリー登校での光景。


男3人毎朝こんな話。


いまだに夏休みボケが治らないのに、竜の気の早い惚気話なんか聞きたくないっつーの。

⏰:09/02/21 16:53 📱:SH901iC 🆔:ZBtiAM72


#431 [ゆーちん]
まぁでも竜が楽しいならいいや。


みんな幸せが1番だよ。


もう1つ動き出した話は、幸せなのか不幸せなのか…それはまだわからない。


明日、答えが出るらしく、俺のココロは浮足立ってた。

⏰:09/02/21 16:53 📱:SH901iC 🆔:ZBtiAM72


#432 [ゆーちん]
翌日は朝から気が重かった。


澪の運命の日だから。


澪の彼氏が、今日結論を出そうと言って来た。


で、答えが出たら凜、香奈、千夏、美帆、そしてなぜか佐奈が集合して報告するっつう事になったらしい。

⏰:09/02/21 16:54 📱:SH901iC 🆔:ZBtiAM72


#433 [ゆーちん]
何時にどこで集合してるのかもわからず、学校に言って授業受けて、弁当食って、先生に叱られて…で、バイト。


「江森、どったの?」


一緒にバイトをしている先輩が、俺の顔を覗き込んできた。


「何がっすか?」

「今日の江森、やけに静かだなぁと思って。」

⏰:09/02/21 16:54 📱:SH901iC 🆔:ZBtiAM72


#434 [ゆーちん]
「そうっすか?」

「あぁ、もしかして彼女と喧嘩でもした?」

「してないっすよ。」

「それにしても江森の彼女って、よく食うよな。すっげぇ派手だし、年上だろ?」


はぁ?


先輩、誰かと勘違いしてる。

⏰:09/02/21 16:55 📱:SH901iC 🆔:ZBtiAM72


#435 [ゆーちん]
「誰の話ですか?」

「夏休み前、ラーメン3杯くらい食いに来てたの、あれ彼女だろ?あ、もしかしてもうその人とは別れてるとか?」


バツの悪そうな顔をした先輩。


分かれてるも何も、付き合ってないし、その人と。

⏰:09/02/21 16:55 📱:SH901iC 🆔:ZBtiAM72


#436 [ゆーちん]
「あれは彼女じゃないっすよ。」

「え?そうなの?」


すごく驚いていた先輩。


今の今まで、俺の彼女は佐奈だと思ってたのか先輩。

⏰:09/02/21 16:55 📱:SH901iC 🆔:ZBtiAM72


#437 [ゆーちん]
なんて話をしていると店が忙しくなったので、先輩との雑談は終了。


いつものように頑張って働いた。


だけどやっぱり頭の片隅では澪の事が気になって、店のピークが過ぎた時、トイレに行ってメールをチェックしてみた。

⏰:09/02/21 16:56 📱:SH901iC 🆔:ZBtiAM72


#438 [ゆーちん]
メールは無し。


着信も無し。


んー、どうなったんだろ。


超気になる。


凜に電話しようと思ったけど、いつまでもトイレに引きこもってる訳にもいかず、手を洗い、携帯電話をロッカーに戻してから店頭に戻った。

⏰:09/02/21 16:56 📱:SH901iC 🆔:ZBtiAM72


#439 [ゆーちん]
「発見〜!」


…え?


カウンターに見慣れた女が6人。


「なっ、何で来てんの!」


凜、香奈、澪、千夏、美帆、それに佐奈。


「何って、ラーメン食べ来た。」

「佐奈ちゃんの奢りなんだよ。」

⏰:09/02/21 16:57 📱:SH901iC 🆔:ZBtiAM72


#440 [ゆーちん]
さすが姐御だな。


奢りだなんて。


「あ、あのさ…それより…」


何て聞けばいいのかわからなかった。


澪、どうなるの?


そんな疑問が顔に出てしまったのだろう。


凜が教えてくれた。

⏰:09/02/21 17:41 📱:SH901iC 🆔:ZBtiAM72


#441 [ゆーちん]
「お祝いなの。」

「…お祝い?」

「澪の結婚祝い。」


泣きそうになった。


「それじゃあ…澪…」


幸せな笑顔を咲かせ、ピースサインをした新婦が言う。


「ママになるんだぁ!」

⏰:09/02/21 17:42 📱:SH901iC 🆔:ZBtiAM72


#442 [ゆーちん]
おめでとう、よかったな、幸せになれよ。


何度もお祝いの言葉が口から出てくる。


「前祝いっつー事で、とりあえず私がラーメン奢ってやんだよ。どう、私太っ腹でしょ?」


佐奈も笑ってた。

⏰:09/02/21 17:43 📱:SH901iC 🆔:ZBtiAM72


#443 [ゆーちん]
「おーい、江森。お前の友達か?」


他に客がいなかったので、マスターと先輩も近寄って来た。


すると先輩がニヤニヤしながらマスターに言う。


「マスター、あの真ん中の女性が江森の彼女っすよ。」

⏰:09/02/21 17:44 📱:SH901iC 🆔:ZBtiAM72


#444 [ゆーちん]
…真ん中?


「え?真ん中の女性って私?」


1番派手な、佐奈。


「先輩、だから違いますって。」

「お兄さん、心と私はそういうんじゃないですよ。心は私の奴隷みたいなもんなんで。」


と、佐奈が笑顔で説明した。

⏰:09/02/21 17:44 📱:SH901iC 🆔:ZBtiAM72


#445 [ゆーちん]
すると先輩は信じがたい目で俺を見た。


「奴隷になったつもりは無いんですけど…とにかく俺の彼女じゃないっす。」


佐奈はケラケラと笑っていた。


そして先輩に本命を教えてあげた。

⏰:09/02/21 18:04 📱:SH901iC 🆔:ZBtiAM72


#446 [ゆーちん]
「あの子が俺の彼女です。」


先輩とマスターが凜を見る。


凜はニコッと笑い、頭を少し下げた。


「えぇ〜っ!」

「嘘だろ?」


異常なまでの驚き方。


「江森に騙されてるよ、君。」

⏰:09/02/21 18:05 📱:SH901iC 🆔:ZBtiAM72


#447 [ゆーちん]
先輩、何言っちゃってくれてんですか。


「いや、でも江森は顔と愛想がいいから。頭はちょっと心配だけど、いい奴だからな!」


マスターのフォローも、若干トゲがあるような…。

⏰:09/02/21 18:06 📱:SH901iC 🆔:ZBtiAM72


#448 [ゆーちん]
「美人だな、おい。江森なんか辞めて、俺と付き合ってくんねぇかな…」


先輩のリアルな呟きを聞いた俺は慌てて話を変えた。


「もう照れるんで!話題変えましょう、ね?みんな何食べるか決まった?」

⏰:09/02/21 18:06 📱:SH901iC 🆔:ZBtiAM72


#449 [ゆーちん]
オーダーを取り、俺はマスターにお願いしてみた。


「マスター、実はあの子、今度結婚するんですよ。だからチャーシューおまけしてやって下さい。」

「おぉ、そりゃおめでたい。みんなにチャーシューおまけしてやるよ。」

⏰:09/02/21 18:06 📱:SH901iC 🆔:ZBtiAM72


#450 [ゆーちん]
和やかな雰囲気。


ラーメンを作るマスターと先輩と違い、俺は暇だったので澪と色々話していた。


しばらくすると『結婚おめでとう。』と言いながらマスターが澪の前にラーメンを置いた。


「ありがとうございます。」

⏰:09/02/21 19:00 📱:SH901iC 🆔:ZBtiAM72


#451 [ゆーちん]
「今度、旦那さんと食べ来てよ。またチャーシューおまけするから。」

「アハハ、是非!」


すんげぇ和やか。


和やかだけど一人だけ違う雰囲気をかもしだしている奴がいた。


「江森、ちょっと集合。」

⏰:09/02/21 19:00 📱:SH901iC 🆔:ZBtiAM72


#452 [ゆーちん]
「何すか?」


違う雰囲気の奴は、先輩。


なぜかそわそわしている。


「結婚する女の子ってあの子だろ?」


澪を指さす。


「はい。そうです。」

「じゃあその隣の子は?」

⏰:09/02/21 19:08 📱:SH901iC 🆔:ZBtiAM72


#453 [ゆーちん]
指が澪の隣の千夏をさした。


「千夏?」

「千夏ちゃんって言うの?」

「はい。」

「千夏ちゃん、彼氏とかいんの?」

「んー、いなかったと思います。」

「じゃあ紹介して!」


えぇ〜、何だその展開。

⏰:09/02/21 19:09 📱:SH901iC 🆔:ZBtiAM72


#454 [ゆーちん]
「一目惚れっすか?」

「一目惚れっつーか、千夏ちゃん可愛いじゃん。友達になりたいなぁ〜なんて。」

「一応聞きますけど、変な事しないで下さいよ?俺の大切な友達なんで。」

「しねぇよ。俺は江森と違って変態じゃないから。」

⏰:09/02/21 19:10 📱:SH901iC 🆔:ZBtiAM72


#455 [ゆーちん]
凜に変態って言われるのは慣れてるけど、まさか先輩にまで変態扱いされるなんてねぇ。


…まぁいいや。


いつもお世話になっている事だし、先輩の恋を応援しますか。

⏰:09/02/21 19:10 📱:SH901iC 🆔:ZBtiAM72


#456 [ゆーちん]
「ごちそうさま。」


みんなペロリと食べきり、本当に佐奈が全員分を支払っていた。


「江森ももう上がっていいぞ。彼女たちと一緒に帰ってあげな。」


マスターの優しい言葉のおかげで、いつもより少し早くに上がる事ができた。

⏰:09/02/21 19:11 📱:SH901iC 🆔:ZBtiAM72


#457 [ゆーちん]
7人で夜道を歩いて、フェリー乗り場まで向かう。


凜、香奈、佐奈はここでバイバイ。


4人でフェリーに乗った。


「澪、まじでおめでとうな。」

「うん、ありがとね。」

「これからどうすんの?」

⏰:09/02/21 19:12 📱:SH901iC 🆔:ZBtiAM72


#458 [ゆーちん]
「彼氏は学校辞めて働いてくれるの。私も学校辞めて家事とか料理覚えなきゃ。とりあえず来週にも籍を入れて、彼氏の実家で住むの。」

「そうなんだ。彼氏って本島だろ?」

「うん。」

「そっか。澪の父ちゃん厳しいのによくOKしてくれたんだな。」

⏰:09/02/21 19:12 📱:SH901iC 🆔:ZBtiAM72


#459 [ゆーちん]
「今日朝から彼氏が家に来たの。それで不安にさせてごめんって。結婚しようって。そのあとパパとママにも挨拶した。」

「娘さんをください的な?」

「うん。でもパパはなかなか納得してくれなくて…だから私と彼氏で頑張って気持ち伝えたの。二人で頭下げてさ。そしたら100パーセント納得してくれはしなかったけど、怒りながらも、娘を絶対幸せにしろよって彼氏に言ったんだ。」

⏰:09/02/21 19:13 📱:SH901iC 🆔:ZBtiAM72


#460 [ゆーちん]
そう話してくれた澪の笑顔は本当に本当に幸せそうで、目頭が熱くなった。


「よかったなぁ、澪。元気な赤ちゃん産むんだぞ?」

「おう!男の子だったら心みたいな泣き虫だけにはならないように育てないと。」

⏰:09/02/21 19:13 📱:SH901iC 🆔:ZBtiAM72


#461 [ゆーちん]
澪と話していると島に到着した。


澪と美帆は同じ方向なので一緒に帰る。


美帆は、香奈と同じ高校だけど寮は使用せず実家通い。


Bガール全開のクルクル頭と、ママになるユルフワ頭は並んで帰って行った。

⏰:09/02/21 19:14 📱:SH901iC 🆔:ZBtiAM72


#462 [ゆーちん]
千夏とは帰る方向は違うけど、一応送ってあげないと。


女の子を一人で帰らすな!って母ちゃんに怒られるもんな。


それに、先輩の話もあるし…。

⏰:09/02/21 19:14 📱:SH901iC 🆔:ZBtiAM72


#463 [ゆーちん]
「千夏、送ってくわ。」

「ん?別にいいよ。」

「話もあるし。」

「話?浮気相手になろうって告白なら拒否だからね。」

「あーら残念。」


冗談言って笑いながら一緒に帰る事になり、クルクル頭とツンツン頭が並んで夜道を歩き始めた。

⏰:09/02/21 19:15 📱:SH901iC 🆔:ZBtiAM72


#464 [ゆーちん]
●○●○●○●

更新不定期で
すみません

今日はここまで

>>2

●○●○●○●

⏰:09/02/21 19:15 📱:SH901iC 🆔:ZBtiAM72


#465 [ゆーちん]
○●○●○●○

恋の奇跡

○●○●○●○

⏰:09/02/23 10:53 📱:SH901iC 🆔:VtEpKdxc


#466 [ゆーちん]
何だかんだで竜も幸せそうだし、澪も幸せ。


独り身の千夏にも幸せを掴んで欲しく、俺は口を開いた。


「ラーメン美味かっただろ?」

「うん、初めて行ったけど気に入った。また行くよ。」

⏰:09/02/23 10:54 📱:SH901iC 🆔:VtEpKdxc


#467 [ゆーちん]
「おう、いつでも来てよ。」

「またチャーシューおまけしてくれるかな?」

「マスターの気分によるね。それより千夏に折り入って話があんだけど。」

「何?」

⏰:09/02/23 10:59 📱:SH901iC 🆔:VtEpKdxc


#468 [ゆーちん]
「俺とマスター、それともう一人いたの覚えてる?」

「あぁ…うん。あの背高い人でしょ?」


千夏の様子が少し変わった気がした。


不思議に思いながらも俺は話を続けた。

⏰:09/02/23 11:00 📱:SH901iC 🆔:VtEpKdxc


#469 [ゆーちん]
「矢崎さんって言って俺らより2つ年上なんだ。俺と同じ高校であのラーメン屋の近くに住んでる。」

「そう、なんだ。」

「で、その先輩が、その…千夏を、紹介して欲しいって‥」

「えっ!」

⏰:09/02/23 12:15 📱:SH901iC 🆔:VtEpKdxc


#470 [ゆーちん]
大きな声を出して驚いた千夏の目は、真ん丸と見開いていた。


「どうしたの?」

「いや、あの…実はね?」

「うん。」

「私も心にあの人紹介してってお願いしようと思ってたの。」

⏰:09/02/23 12:16 📱:SH901iC 🆔:VtEpKdxc


#471 [ゆーちん]
そう言って頬が一気に赤くなった千夏は俯いて笑ってた。


「…えぇっ?」


遅れながらも俺も驚きの声を張り上げた。


「千夏、先輩に惚れちゃったの?」

「惚れたって言うか…カッコイイじゃん、矢崎さん。」

⏰:09/02/23 12:17 📱:SH901iC 🆔:VtEpKdxc


#472 [ゆーちん]
こんな奇跡…信じられない。


嬉しいを通り越して、疑惑もんだよ。


こんな事ってあるの?みたいな。


「何かあったら心が取り持ってよね。」

「あぁ…うん。もちろん。」

⏰:09/02/23 12:17 📱:SH901iC 🆔:VtEpKdxc


#473 [ゆーちん]
度肝を抜かれたまま、俺は先輩の連絡先を千夏に教えてあげた。


「千夏から連絡する?」

「恥ずかしいからヤダ。矢崎さんから連絡してくれるの待つよ。」

「じゃあ明日バイトの時にでも先輩に千夏の連絡先教えて、メールでもするように言っとくよ。」

⏰:09/02/23 16:21 📱:SH901iC 🆔:VtEpKdxc


#474 [ゆーちん]
「よろしく!」


喜ぶ千夏の家に到着し、バイバイした。


帰り道もなんだか頭が真っ白のままで、ぼんやりと帰宅した。


「気合い入れて歩け心!」


廊下でぶつかったじいちゃんに叱られたけど、何か気合い入んない。

⏰:09/02/23 16:21 📱:SH901iC 🆔:VtEpKdxc


#475 [ゆーちん]
喜怒哀楽の激しい1日だったから疲れたのかも。


今日は早く寝よ。


明日また先輩に素敵なお知らせをしてあげなきゃいけないから、充電満タンにしとかなきゃね。

⏰:09/02/23 17:28 📱:SH901iC 🆔:VtEpKdxc


#476 [ゆーちん]
「おっはー!」


自分が1番充電満タンになったつもりでフェリーに乗ったのに、俺より充電MAXの奴がいた。


「テンション高いんですね、大輝さん。」

「当たり前よ!今日は彼女との記念日だからさ〜。おデートなんです。」

⏰:09/02/23 17:28 📱:SH901iC 🆔:VtEpKdxc


#477 [ゆーちん]
「へぇー。知らなかった。」

「祝え、心も竜も俺様を祝いやがれ!」


大輝に負けないよう元気な一日を過ごそうと、そのあとはテンション上げてみた。


が、ペース配分失敗らしく学校でエネルギー使いすぎてバイト前には空っぽ状態に近かった。

⏰:09/02/23 17:29 📱:SH901iC 🆔:VtEpKdxc


#478 [ゆーちん]
「凜ちゃぁ〜ん。」

「テンション低。どうしたの?」

「今から家行っていい?」

「いいけど、バイトの時間大丈夫?」

「凜ちゃんに会わないとバイトなんてやってらんないよ。」

「あっそ。まぁ家にいるから勝手に鍵開けて入っておいで。」

⏰:09/02/23 17:29 📱:SH901iC 🆔:VtEpKdxc


#479 [ゆーちん]
携帯電話をポケットに戻し、最後の力を振り絞り凜のマンションまで急いだ。


合い鍵を使い、中に入る。


「凜ちゃーん。」

「早かったね。やけにテンション低かったけど何かあっ‥」

⏰:09/02/23 22:05 📱:SH901iC 🆔:VtEpKdxc


#480 [ゆーちん]
いきなりの充電方法に、凜は嫌がらず助けてくれた。


長く甘いキス。


思わずソファーに倒れ込んでしまったけど、キスは止まない。


「心…」


色んなキスをすると、色んな表情をしてくれる。


そんな凜が可愛くて愛おしくて仕方ない。

⏰:09/02/23 22:06 📱:SH901iC 🆔:VtEpKdxc


#481 [ゆーちん]
あー…やばい。


ヤリたいかも。


バイトまであと30分。


んー…、我慢しよう。


体を起こし、凜に抱き着きながら満タンになったとお礼を言った。


「私はキスだけじゃ満タンにならない。」

⏰:09/02/23 22:11 📱:SH901iC 🆔:VtEpKdxc


#482 [ゆーちん]
どっきーん。


何すか、その色っぽい発言は。


めちゃめちゃ心拍数上がりましたけど!


「まさか凜ちゃん…エッチしたかったとか?」

「自惚れるな、変態!」

⏰:09/02/23 22:12 📱:SH901iC 🆔:VtEpKdxc


#483 [ゆーちん]
俺の腕から抜け出し、冷ややかな笑顔を見せた凜。


そして、キスをくれた。


何だこれ。


最高に可愛いんですけど、僕の彼女ってば。


どっちが変態だよ。


凜ちゃんも知らず知らずのうちに、相当変態になってるよね〜。

⏰:09/02/23 22:12 📱:SH901iC 🆔:VtEpKdxc


#484 [ゆーちん]
ややムラムラ気分を残したまま、バイトの時間になったので凜とバイバイした。


バイト先に到着すると、真っ先に矢崎先輩が駆け寄って来た事に、俺は思わず笑みを浮かべた。


「先輩、お疲れ様でーす。」

⏰:09/02/24 08:12 📱:SH901iC 🆔:cic0lmnk


#485 [ゆーちん]
「おっ、おう。お疲れ様。江森、あっ、あのさ。ちちち千夏ちゃんに…」


何でこんな動揺してんだ?


思わず吹き出してしまった。


「ギャハハハ!先輩焦りすぎっすよ!」

「そりゃ焦るだろ?で、その千夏ちゃんは?どうなったんだよ!」

⏰:09/02/24 08:13 📱:SH901iC 🆔:cic0lmnk


#486 [ゆーちん]
正直に教えてあげようか、それともからかってみようか…。


「江森ぃ、そんなに焦らすなよ。」


俺は器用じゃないから、先輩をからかってみるだなんて無理だね。


それに俺、そんなキャラじゃないし。

⏰:09/02/24 08:13 📱:SH901iC 🆔:cic0lmnk


#487 [ゆーちん]
携帯電話を取出し、アドレス帳から千夏を探した。


そして【千夏】と表示された画面を先輩に見せる。


「千夏も先輩と仲良くなりたいみたいなんで、先輩から連絡してあげてください。」

⏰:09/02/24 08:15 📱:SH901iC 🆔:cic0lmnk


#488 [ゆーちん]
「…へ?」


何かよくわかってない様子の先輩。


「ほら、早く赤外線の準備してくださいよ。千夏の連絡先知りたくないんっすか?」


やっと理解のできた先輩はパーッと笑顔を咲かせ、自分の携帯電話を取り出した。

⏰:09/02/24 08:15 📱:SH901iC 🆔:cic0lmnk


#489 [ゆーちん]
赤外線完了。


「先輩から連絡してあげてくださいよ?」

「おぉ、おう。わ、わかってる!」


大丈夫かな、先輩。


「江森、ありがとな!」


笑ってくれた、先輩。


喜ばれると俺まで嬉しくなる。

⏰:09/02/24 08:16 📱:SH901iC 🆔:cic0lmnk


#490 [ゆーちん]
その日のバイトでの先輩は、とんでもなくご機嫌で常連さんにも『何かいい事あったのか?』とからかわれていたぐらい。


喜ばれる事をすると、自分を褒めたくなるのはなぜなんだろう。


そんな事を思うのは、俺ぐらいなのかな?

⏰:09/02/24 08:16 📱:SH901iC 🆔:cic0lmnk


#491 [ゆーちん]
毎日が楽しそうな竜や千夏、それに先輩を見ていると、いつの間にか秋が近付いていた。


竜は相変わらず友達以上恋人未満の関係を楽しんでいるらしく、告白する機会を伺っているらしい。

⏰:09/02/24 08:18 📱:SH901iC 🆔:cic0lmnk


#492 [ゆーちん]
千夏と先輩はもうあと一歩。


お互い好きなのに、どちらも照れてしまい告白できずにいる。


そんなじれったい関係、見ているこっちがウズウズしてしまうんだ。


そんな秋の入り口。


凜の人生も変化しようとしていた。

⏰:09/02/24 08:18 📱:SH901iC 🆔:cic0lmnk


#493 [ゆーちん]
●○●○●○●

>>2

●○●○●○●

⏰:09/02/24 08:19 📱:SH901iC 🆔:cic0lmnk


#494 [ゆーちん]
○●○●○●○

震える声

○●○●○●○

⏰:09/02/26 18:13 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#495 [ゆーちん]
「冬休みにね両親が来るの。」


凜はマグカップを握りながら呟いた。


「そうなの?よかったね。」


ココアを飲んだ凜の表情は【よかった】とは程遠いものだった。

⏰:09/02/26 18:14 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#496 [ゆーちん]
「そうでもないよ。」

「どうして?」

「今までは海外を飛び回ってたんだけど、来年からはアメリカに留まれるみたいなんだ。」

「へぇ、いいねアメリカ。」


軽い気持ちで聞いていたけど、凜の次の言葉で俺の心臓は大きく波打った。

⏰:09/02/26 18:15 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#497 [ゆーちん]
「私をアメリカに連れて行くって、お父さん張り切ってるんだって。」


…それって、つまり。


「凜ちゃんがアメリカに行っちゃうって事?」

「…かもしれない。」

⏰:09/02/26 18:16 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#498 [ゆーちん]
思わず凜の手を握っていた俺。


「泣きそうなんだけど。」

「フフッ。何で?」

「凜ちゃんいないと生きてけないもん。」


そんな女々しい事を言ってる男なんて、頼りないって思われただろうな。

⏰:09/02/26 18:17 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#499 [ゆーちん]
だけど本当なんだ。


俺は凜がいないと無理だから。


海外なんかに行くだなんて、耐えられない。


「寂しいから行かないで。」

「…その言葉をどうして卒業の時に言ってくんなかったのよ。」

⏰:09/02/26 18:18 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#500 [ゆーちん]
数ヵ月前の事を思い出し、凜は笑ってた。


あのおかげで、俺は今、寂しいから行かないでと素直に言うって事を学べたんだ。


「あの時はごめん。でも今は…話そらさないで。」

「あぁ、うん。ごめん。」

⏰:09/02/26 18:18 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#501 [ゆーちん]
「凜ちゃんはお父さん達に何て言ったの?」

「行きたくないって言ったよ。」

「だったら…」

「心。あの時とは違うんだよ。島から本島に行くのと、本島からアメリカに行くのは訳が違う。」

⏰:09/02/26 18:20 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#502 [ゆーちん]
凜は続けた。


「それに私まだ未成年だし。親のすねかじりながら生きてるんだから、お父さん達の言う事も聞かなきゃいけないんだよ。久しぶりにまた3人で暮らせるんだから、本当は喜ばなきゃいけないの…」

⏰:09/02/26 18:30 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#503 [ゆーちん]
まさにその通り。


俺は何も言えなかった。


「こんな事になるなら、最初から連れてって欲しかったよ。」

「何で?」

「心たちに会わずに済んだのに…離れたくないって、思わずに済んだのに…」

⏰:09/02/26 18:30 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#504 [ゆーちん]
凜の声が震えた。


「心、私どうしたらいいんだろ。」

「…凜ちゃん。」

「心や香奈たちと一緒にいたいよ。でも…お父さんとお母さんと一緒にいたい気もするの。」

「うん。」

「どうしよう。心と離れたくないよ。」

⏰:09/02/26 18:31 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#505 [ゆーちん]
そう言って抱き着いてきた凜は、泣いていた。


どうする事もできない。


「俺だって離れたくない。」


寂しい、行くな、離れたくない、って伝えても敵わない場合もあるんだ。

⏰:09/02/26 18:33 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#506 [ゆーちん]
「心も一緒に来てよ。」

「うん、行きたい。」

「香奈も澪も千夏も美穂も…みんな連れて行きたい。」

「佐奈ちゃんも、おじいちゃんおばあちゃんも、トメばあちゃんも、心の家族も…離れたくないよぉ。」

⏰:09/02/26 18:35 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#507 [ゆーちん]
弱った声でそう言った凜を抱きしめてあげる事しかできなくて、もらい泣きした。


「泣くな、バカ心。」

「凜ちゃんが泣くからじゃんかぁ。」

「誰のせいで泣いてると思ってんのよぉ。」

⏰:09/02/26 18:35 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#508 [ゆーちん]
誰のせいでもない。


これは神様が決めた運命なんだって思った。


泣きじゃくる俺と、綺麗な涙を流す凜。


結局、話は中途半端なまま凜のマンションを後にした。


夜空が腹立たしい程、明るかったのを今でも忘れられない。

⏰:09/02/26 18:37 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#509 [ゆーちん]
凜の事でへこんでる時に、さらに追い討ちをかけられる俺。


「江森、このままじゃマズイな。」


担任にマズイと叱られたので、俺はしばらくバイトを休み、テスト勉強に集中する事にした。


留年なんて洒落にならないからね。

⏰:09/02/26 20:15 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#510 [ゆーちん]
テスト勉強だと理由を作り、俺は凜のマンションに毎日通った。


バイトの時間まで、というタイムリミットのない夕暮れ時、俺は真面目に勉強を教わった。

⏰:09/02/26 20:19 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#511 [ゆーちん]
二人して泣いたあの日から、凜の両親の話には触れなかった。


まだ、どうなるか100%わかった事じゃないし、俺が口を開けばわがままばかり言ってしまうだろうから。

⏰:09/02/26 20:23 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#512 [ゆーちん]
行かないで、と言ってもまだわからない。


前の時と同じだけど、気持ちを伝える事で凜は安心してくれる。


だから正直に言った。


でも今回ばかりは…まだわからないんだ。


凜の未来にはアメリカが待っているのかもしれないんだ。

⏰:09/02/26 20:27 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#513 [ゆーちん]
テスト勉強と名付けた口実で、マンションに転がり込んだ4日目。


俺は寂しさや不安などが限界を迎え、凜を抱いた。


キスを求める俺に、勉強しろと怒った凜も、最後は受け入れてくれた。

⏰:09/02/26 20:28 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#514 [ゆーちん]
キスするたびに、不安になった。


白い肌に指が触れるたびに、寂しくなった。


凜の声が零れるたびに、時間が止まれって願った。


このまま一緒にいたいだけなのに、神様はずるすぎる。

⏰:09/02/26 20:36 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#515 [ゆーちん]
そんなテスト期間が過ぎ、結果発表を迎えた。


「んー、何とかギリギリセーフってとこかな。」


担任の言葉に安心したのもつかの間。


油断するなと念を押された。

⏰:09/02/26 20:37 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#516 [ゆーちん]
「凜ちゃんのおかげだよ。ありがと!」

「あと一歩のところで誘惑に負けないで頑張れば、油断するなって叱られなかったのに。」


まぁ、そうだよね。


でも、欲望に勝てず、凜を抱いた事を除けば結構頑張ったよな、俺。

⏰:09/02/26 20:37 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#517 [ゆーちん]
バイトを休ませてもらったおかげも大いに関わっている。


いつもならバイトをしている時間に、俺は凜に勉強を教えてもらってたんだから。


【しょうゆ】や【とんこつ】じゃなく、【x】や【y】を書いていた自分がちょっと歯痒かった。

⏰:09/02/26 20:42 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#518 [ゆーちん]
周りのみんなのおかげで頑張れた。


だから次も頑張らないと。


ご褒美のキスは自分からねだった。


「私さ、最近心に甘いような気がするの。」

「気のせいだよ。」

⏰:09/02/26 20:44 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#519 [ゆーちん]
そう言って長く甘いキスをした。


気のせいなんかじゃないんだ。


凜は、確実に俺に優しくなってきている。


時々、甘えすぎる凜を見て思う。


凜ってこんな子だっけ?って。


複雑だけど、こればっかりはやっぱ嬉しいもんだよ。

⏰:09/02/26 20:45 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#520 [ゆーちん]
自分の好きな人がココロを開いて、性格まで穏やかになっていくってのは。


甘いキスは二人の息が乱れるまで交わし合った。

⏰:09/02/26 20:46 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#521 [ゆーちん]
●○●○●○●

>>2

●○●○●○●

⏰:09/02/26 20:46 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#522 [ゆーちん]
○●○●○●○

キョウダイ

○●○●○●○

⏰:09/02/27 23:13 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#523 [ゆーちん]
『アメリカに行く事にする。』と言ったのは冬休みに入る1日前だった。


「ハタチになったら帰って来る。それまでも夏と冬には帰って来る。」

「うん。」

「だから…」

⏰:09/02/27 23:16 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#524 [ゆーちん]
どうやら江森家は遠恋家系らしいんだ。


父ちゃん達も遠恋だったけど、じいちゃん達も遠恋だったらしい。


最近知ったんだけどね。


「アメリカと日本。年に2回の帰国。3年後にはまた日本に戻って来る…んだよね?」

「…そ。」

⏰:09/02/27 23:18 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#525 [ゆーちん]
切なげな顔をする凜に言った。


「待ってるから。」


凜の顔はパッと明るくなった。


俺の一言なんかで。


「…いいの?」

「うん。夏と冬に帰って来てくれんなら俺大丈夫だから。」

「…本当に?」

⏰:09/02/27 23:20 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#526 [ゆーちん]
「俺には凜ちゃんしかいないから。」


今も不思議に思う。


凜みたいな美人で素敵な女の子が俺を好いていてくれてるって事。


嬉しいし自惚れちゃうし幸せだし…だけど疑問も多くて。


俺が彼氏でいいの?とかね。

⏰:09/02/27 23:21 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#527 [ゆーちん]
「よかった。嬉しい。別れようって言われるかもって覚悟してたんだ。」

「何の覚悟だよ。別れようなんて死んでも言わないし。」

「…ん。」


笑ってた凜。


だけど目元は潤んでた。

⏰:09/02/27 23:22 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#528 [ゆーちん]
俺は見て見ぬフリをして、凜にキスした。


目を閉じれば、泣いたってわかんないから。


凜は今、泣いてる?


俺は今、泣いてるよ。


キスが終わって目を開けると、きっと凜にまた泣いてる、って笑われるんだろうな。

⏰:09/02/27 23:23 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#529 [ゆーちん]
嬉しさとか寂しさとか不安、疑問、誓い、愛しさ…そんな全てが入り混ざったキスだった。


一生のさよならじゃないし、遠距離恋愛する自信だってある。


それなのに、なんでこんなに泣けて来るんだろう。

⏰:09/02/27 23:24 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#530 [ゆーちん]
数日後。


「いらっしゃ…あ、剛さん。佐奈ちゃんも。」


バイト先に愛しの剛さんと腐れ縁の佐奈が来てくれた。


「心くん久しぶり〜。俺、塩ラーメンね。」

「はい、佐奈ちゃんは何にする?」

⏰:09/02/27 23:37 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#531 [ゆーちん]
「心の本音。」


佐奈の声は俺の心臓に突き刺さった。


「へ?」

「あんたの本音を注文します。だから早く聞かせてくださーい。」


凜の事だろうか…


うん、きっとそうだ。

⏰:09/02/27 23:37 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#532 [ゆーちん]
「バイト終わりに電話するよ。」

「…そ、わかった。じゃあ変わりに味噌ラーメンね、私。」

「…了解。」


上手く笑えない俺に、剛さんは優しく微笑んでくれた。

⏰:09/02/27 23:43 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#533 [ゆーちん]
剛さんも知ってるんだ、凜の事。


俺の本音なんて聞かれても…別にない。


凜がアメリカで両親と暮らせる事はいい事なんだし、たまに会えるんだし、いずれ戻って来るんだし…


だから…

⏰:09/02/27 23:44 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#534 [ゆーちん]
バイト終わりに電話すると言っときながら、結局佐奈から連絡をもらった。


「バイト終わった?」

「うん、さっきは食べ来てくれてありがとね。」

「あんた今から剛んち来て…って場所知らないか。迎え行くからラーメン屋で待ってて。」

⏰:09/02/27 23:46 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#535 [ゆーちん]
と、いうわけでなぜか佐奈に迎えに来てもらい、剛さんの家に到着。


「お邪魔します。」

「あっ、おかえり〜。さっきはごちそうさま。」

「いえ、ありがとうございました。」


久しぶりの剛さんの家。

⏰:09/02/27 23:46 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#536 [ゆーちん]
適当に座れと佐奈に指示され、腰を降ろさせてもらうと、さっそく佐奈から質問が振り掛けられた。


「あんた本当は嫌なんでしょ?」

「…凜ちゃんのこと?」

「他に何があるのっ。」

⏰:09/02/27 23:47 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#537 [ゆーちん]
剛さんは黙って煙草を吸っていた。


「嫌じゃないよ。両親と暮らせるんだからイイ事だよ。」

「遠恋できんの?」

「できるよ。自信あるもん。メールや電話だってマメに取れば寂しくない。」

⏰:09/02/27 23:47 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#538 [ゆーちん]
「他に好きな女できたらどうすんの?」

「それはありえないから。」

「凜ちゃんが向こうで違う男に惚れたら?」

「俺に魅力がなかったんだよ。でももし本当にそうなったら絶対諦めない。俺、凜ちゃんしかいないもん。」

⏰:09/02/27 23:48 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#539 [ゆーちん]
照れも恥じらいもなかった。


ただ本音を答えるだけ。


なのになぜ苦しいのかな。


佐奈に質問され、答えるたびに泣きそうになる。


何が引っ掛かってんだろ。

⏰:09/02/27 23:48 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#540 [ゆーちん]
「あのさ、心くん。」


ずっと黙ってた剛さんが口を開いた。


「余計なお世話かもしんないけどパーティーしない?凜ちゃんの送別会。場所なら俺が用意するから。」

⏰:09/02/28 12:14 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#541 [ゆーちん]
「送別会?」

「うん。せっかくだから派手に騒いで笑顔で送り出してやった方がいいんじゃねぇ?」

「笑顔で…」

「俺が今、勝手に思い付いた案だから、迷惑なら遠慮せずに断ってくれていいよ。」

⏰:09/02/28 12:15 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#542 [ゆーちん]
「いいじゃん。やろうよ。で、そのパーティーで心、誓え。」

「誓えって何を?」

「みんなの前で宣言すんだよ。凜ちゃん以外の女は興味ないって。凜ちゃん嬉しいだろうし、あんただってたぶんケジメ付けれんでしょ。」

⏰:09/02/28 12:18 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#543 [ゆーちん]
それだ、って叫びたくなった。


ずっと引っ掛かってた何かが取れる気がした。


笑って凜を送り出してあげれそうな気がした。


「喜んでくれるかな?」


ウジウジしていた俺に、きっと佐奈はイライラしていたんだと思う。

⏰:09/02/28 12:19 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#544 [ゆーちん]
そんな俺に一問一答してくれて、自分の気持ちと向き合わせてくれた。


納得したのかしてないのかはわかんないけど佐奈の表情は、さっきより晴れていた。


「当たり前じゃん。ね、やろうよ。」

⏰:09/02/28 12:21 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#545 [ゆーちん]
そんなこんなでパーティー決定。


ちょっと落ち込みぎみだった気分も、少しはマシかも。


パーティーに向けての準備も楽しかったし、剛さんと会話するのも刺激的で気分も上がる。

⏰:09/02/28 12:21 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#546 [ゆーちん]
日時は凜がアメリカに経つ2日前の夕方に決まり、地元の奴らに声をかけて準備も手伝ってもらった。


竜や大輝はもちろん、島の同級生は全員に声かけた。


凜の高校の友達は千夏や澪に頼んで声をかけてもらう。

⏰:09/02/28 12:23 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#547 [ゆーちん]
当然、凜の耳に入らないわけがない。


私も準備するとかって騒いでたけど主役が準備しちゃ意味ないでしょ?


だから全力で拒否しておいた。


準備はしなくていい!って。


つまらなさそうに、でも嬉しそうに笑う凜が可愛かった。

⏰:09/02/28 12:24 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#548 [ゆーちん]
準備期間中、いろんな奴に心配された。


でも本当に大丈夫だから。


引っ掛かってるモヤモヤも送別会で解決するから、ちゃんと。


誓うから、本気で。

⏰:09/02/28 12:24 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#549 [ゆーちん]
バイトのシフトも減らそうと思ったけど、そればっかりはどうにもいかなかった。


何しろ寒い夜はラーメンが食べたくなるのが人間だからね。


店が忙しいので休んでる暇がなかったんだ。

⏰:09/02/28 12:27 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#550 [ゆーちん]
俺がバイトの時は、佐奈が陣切って頑張ってくれた。


大輝は彼女のデートより準備を優先してくれた。


理解ある彼女で感謝しないと。

⏰:09/02/28 12:27 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#551 [ゆーちん]
竜はバイトがない時は必ず手伝ってくれた。


「好きな女の子ほったらかしてていいの?」

「あの子も大事だけど凛ちゃんも大事だし。」

「ヘヘッ…そりゃどうも。」

⏰:09/02/28 12:28 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#552 [ゆーちん]
みんな優しかった。


積極的に手伝ってくれて本当に助かった。


パーティーの準備ばかりじゃなく凛との時間も大切にした。


毎日充実して、愛しさが増すばかりで…

⏰:09/02/28 12:30 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#553 [ゆーちん]
ある晩。


剛さんの家で佐奈と3人して、ビンゴゲームの景品を包装紙で包んでいた時だった。


「お腹痛〜い。」


佐奈がぼやいた。

⏰:09/02/28 13:22 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#554 [ゆーちん]
「アイス2個も食うからじゃん。」


そう言って笑った剛さん。


「だって食べたかったんだもん。」

「加減して食えよ。」

「冷たいなぁ、剛。彼女がお腹痛いって苦しんでるのにお説教?もう…トイレに引きこもってやる!」

⏰:09/02/28 13:23 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#555 [ゆーちん]
佐奈がトイレに立てこもった。


「あんな事言って、あいつ絶対うんちしてんだぜ?」


俺に笑いかけながら呟いた剛さん。


わがままで自由奔放な佐奈。


お似合いだと改めて思った。

⏰:09/02/28 13:24 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#556 [ゆーちん]
「大変でしょ、あの佐奈の彼氏って。」

「大変。すぐ浮気したって騒ぐし暴力的だし暴走人だし。」

「アハハ。」

「でも可愛いだろ?アイス2個食って腹壊すなんてさ。」

⏰:09/02/28 13:24 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#557 [ゆーちん]
剛さんの優しい笑顔は、何だか俺に安心感をくれる。


「なぁ心くん。」

「はい?」

「本当に大丈夫?不安な事とかあるんじゃねぇの?佐奈に言いにくいなら俺、話聞くし。男同士のが話しやすいかもしんねぇから。」

⏰:09/02/28 13:26 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#558 [ゆーちん]
この人はどこまでいい人なんだ。


佐奈は幸せもんだな、こんなカッコいい彼氏がいて。


「ありがとうございます。でも本当に大丈夫ですよ。」

「そ?ならいいけど。」

⏰:09/02/28 13:27 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#559 [ゆーちん]
「あぁ〜、俺が女だったら間違いなく剛に惚れてただろうなぁ。」

「えっ、困るよ。俺には手のかかる子いるから浮気なんてする暇ないもん。」

「アハハ。確かに。」

⏰:09/02/28 13:28 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#560 [ゆーちん]
キョウダイのいない俺にとって、佐奈も剛さんも、キョウダイみたいな存在だった。


安らぐんだ、すごく。


「心くん。俺、ちょっとパーティーでしたい事あんだけど。」

⏰:09/02/28 13:28 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#561 [ゆーちん]
「…何すか?」

「まだ秘密。でも最初のほうでいいから俺に時間くれる?」

「いいですけど…気になる!」

「まあまあ。俺なりのけじめ付けようと思って。」

⏰:09/02/28 13:29 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#562 [ゆーちん]
「…それって。」

「あぁー!引きこもり終了。」


引きこもり犯がトイレから出てきたので、その話は終了。


だけど…何となくわかったかも。

⏰:09/02/28 13:29 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#563 [ゆーちん]
聞きたかったけど秘密だって言われたし、楽しみにしておこう。


「心、雑だよ!ここ折れ曲がってんじゃん。やり直し。」

「はいはい。わかりましたよ。」

⏰:09/02/28 13:30 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#564 [ゆーちん]
俺の態度が気に食わなかったらしく、ブーブー怒ってた佐奈。


剛さんが手のかかる子というのも、わかる気がする。

⏰:09/02/28 13:30 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#565 [ゆーちん]
●○●○●○●

>>2

●○●○●○●

⏰:09/02/28 13:31 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#566 [ゆーちん]
○●○●○●○

誓い

○●○●○●○

⏰:09/02/28 18:01 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#567 [ゆーちん]
送別会当日。


つまり凛の出国2日前。


夕方から始まるパーティーに、たくさんの人が来てくれた。


正面には手作り感出まくりの【いってらっしゃい凛ちゃん】と書かれたポスターが貼ってある。

⏰:09/02/28 18:02 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#568 [ゆーちん]
主役は、喜んでいた。


目をキラキラさせて、笑っていた。


「…嬉しい。」


そう呟いた凛の言葉を俺は聞き逃さず、耳で拾った。

⏰:09/02/28 18:02 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#569 [ゆーちん]
パーティーと言ってもセレブなんかじゃないから、普段着で楽しむもの。


みんないつもより少しお洒落して、食べたり飲んだり笑ったり、凛との別れを惜しんだりしていた。

⏰:09/02/28 18:03 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#570 [ゆーちん]
ビンゴやカラオケの準備が大変な主役の彼氏は、バタバタと動き回る。


そんな俺を見て佐奈は笑ってた。


「よく動くね〜さすが私の奴隷ちゃん。」

「佐奈ちゃんは関係ないもーん。俺、凛ちゃんのためなら這ってでも動き回れるからさ。」

⏰:09/02/28 18:04 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#571 [ゆーちん]
ふと凛のほうを見ると、見知らぬ女の子たちが凛にすがりついて泣いていた。


きっとC高校の友達だろう。


凛は、泣かずに笑顔を浮かべていた。

⏰:09/02/28 18:04 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#572 [ゆーちん]
そういえば、中学の卒業式も凛は泣かなかったっけ。


目に焼き付けたいんだって言ってたっけ。


今日もそうなのかな。


そうだといいな。

⏰:09/02/28 18:05 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#573 [ゆーちん]
俺らのこと絶対忘れないように焼き付けておいて欲しい。


そうでありますようにと願い、俺はカラオケの準備に向かった。


ちょっぴり泣きそうになりながら…。

⏰:09/02/28 21:10 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#574 [ゆーちん]
カラオケは大盛り上がりだった。


大輝たちがふざけたり、香奈や美帆たちが物真似したり。


泣く奴なんかいなくて、みんな笑ってた。


でも俺は楽しすぎて泣きそうだったけどね。

⏰:09/02/28 21:11 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#575 [ゆーちん]
カラオケしながら飲み食いして、凛にプレゼント渡したりして。


島の女子チームはアルバムみたいなもんを渡してた。


あとで見せてもらおうって思った。

⏰:09/02/28 21:11 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#576 [ゆーちん]
高校の友達であろう女子たちからは、ぬいぐるみだとかアクセサリーとか可愛らしいもんプレゼントされてた。


で、俺たち男子チームからは日本セット。

⏰:09/02/28 21:23 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#577 [ゆーちん]
米5sと箸、それにお茶葉なんかも入ってる。


俺は買いに行ってないからわかんないんだけど、竜たちが選んでくれた。


凛はインパクトあるねって笑ってた。

⏰:09/02/28 22:03 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#578 [我輩は匿名である]
>>327->>550

⏰:09/03/01 10:23 📱:D904i 🆔:r1WqUD36


#579 [ゆーちん]
いつのまにかプレゼントタイムって感じだったけど、そのプレゼントタイムが終わり、お次はビンゴゲームタイム。


剛さん家のビンゴゲーム用のオモチャを回す俺。

⏰:09/03/01 10:24 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#580 [ゆーちん]
番号をスラスラと叫んでいく。


「もうそろそろリーチ出るんじゃなーい?」

「いいから心、さっさと回せって!」


大輝に野次られながら次を回した。

⏰:09/03/01 10:24 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#581 [ゆーちん]
「23番〜。」

「リーチ!」

「俺もぉ。」

「あっ私もリーチだ。」


たくさんのリーチが飛び出る中、凛や香奈たちはまだリーチじゃなさそうだ。

⏰:09/03/01 10:25 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#582 [ゆーちん]
「はーい、次は11番。」

「やった〜ビンゴだ!」


一抜けはC高校の女の子だった。


そのあとも続々とビンゴ者が出て、結局俺らの身内仲間は誰一人ビンゴしなかったっていうオチだった。

⏰:09/03/01 10:25 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#583 [ゆーちん]
ビンゴゲームが終わると、パーティーも終わるって感じの雰囲気になった。


「心くん。」

「あっ剛さん。」


遅れていた剛さんがやっと駆け付けてくれた。

⏰:09/03/01 10:26 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#584 [我輩は匿名である]
>>357-550

⏰:09/03/01 10:27 📱:D904i 🆔:r1WqUD36


#585 [ゆーちん]
「最初に時間ちょうだいって言ったけどもう最後だね。」


バイトで遅れていた剛さんが、残念そうに笑った。


「いいじゃないですか。最初でも最後でも。けじめ付けるんでしょ?俺も、付けたいんです。」

⏰:09/03/01 10:27 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#586 [ゆーちん]
「だったら先に心くんがどうぞ。主役の彼氏のが優先だよ。」

「えっ…いいんですか?」

「もちろん。」


てなわけで、いっちょけじめってもんを付けさせていただきます。

⏰:09/03/01 10:28 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#587 [ゆーちん]
マイクを持って前に立つと、たくさんの声援が贈られた。


「えーっと、ちょっと彼氏らしくカッコいい事してもいいですか?」


笑い声とか野次が飛んだ。


「熱い声援どーも。それじゃあ俺なりの凛ちゃんへのけじめっての付けるからね。」

⏰:09/03/01 10:28 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#588 [ゆーちん]
みんなが何だ何だと騒ぐ中、俺はポケットから取り出してもう一度マイクに向かった。


「凛ちゃん。俺、絶対他の女の子に目移りなんかしないから。凛ちゃんいないと俺は無理。ずーっと好き。ていうか愛してる。」

⏰:09/03/01 10:29 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#589 [ゆーちん]
凛は口に手を当て、驚いていた。


「一生杉浦凛ちゃんラブだから!…どう?こんな大勢が証人だから浮気なんか絶対できないよ。つーか、しないけどね。」

⏰:09/03/01 10:30 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#590 [ゆーちん]
「いいぞー、心!」

「江森カッコいい〜。」


俺はマイクから離れ、凛のそばに歩み寄った。


「言葉だったら忘れちゃうかもだけど、形にしてなら忘れないでしょ?無くさないでね。」

⏰:09/03/01 10:30 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#591 [ゆーちん]
左手の薬指に愛してるをはめた。


「まじ、キザ。恥ずかしくない?」

「別に?凛ちゃんを愛してる事は恥ずかしいだなんて思わないから。」


凛が笑ったから俺も笑った。


キスしたかったけど、それは我慢した。


だって、あんな可愛い凛の姿、他の奴らに見せたくないもん。

⏰:09/03/01 10:35 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#592 [ゆーちん]
場内が騒ぎ立つ中、マイクから次に響いたのは、このパーティーを主催してくれた俺の尊敬する人だ。


「どうも〜、みなさん盛り上がってる中悪いんですけど、俺も心くん凛ちゃんのラブラブな波に乗っちゃいたいと思いまーす。」

⏰:09/03/01 10:35 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#593 [ゆーちん]
会場は高校生だらけなだけに、剛さんはちょっと遠慮がちだった。


まぁでも佐奈にいたっては遠慮の【え】の字もなかったけどね。


そんな佐奈の彼氏である剛さんが、けじめを付けるんだ。

⏰:09/03/01 10:36 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#594 [ゆーちん]
緊張と不安と…それから楽しみと。


「心くんカッコよかったねぇ。だから俺もカッコいい事しちゃおっかなぁって。しちゃってもいいっすか?」


会場はもちろん『いいとも〜。』と響き渡る。


「えっと、俺は付き合ってかなり長い彼女がいます。俺はその彼女が好きだし目移りなんかしない。でもその彼女はすぐに俺が浮気するって疑うんだ。」

⏰:09/03/01 10:37 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#595 [ゆーちん]
騒がしかった場内が静まる。


「俺は絶対浮気なんかしないのに、疑ってくるってことは信用されてないんだなって考えたわけ。だから、信用してもらいたく今日この場をちょっと借ります。」


剛さんの低い声は佐奈に向けられた。


「難しい言葉とかよく知んねぇし佐奈もわかんないだろうから簡単に言うわ。あのな、佐奈。俺と結婚しよう。」

⏰:09/03/01 10:38 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#596 [ゆーちん]
キャーとかヒューとかおだての声が湧いた。


俺はきっとニヤけてただろう。


なんとなくわかってたけどプロポーズなんて、こりゃまたビックリ。


だけど純粋に嬉しかった。

⏰:09/03/01 10:38 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#597 [ゆーちん]
自分がプロポーズされた気分。


カッコいい、と誰かが甘い声を漏らしていた。


「心くんの真似になっちゃうけど、みんなが証人。俺は佐奈だけだから。浮気なんてするわけないんだから。」

⏰:09/03/01 10:39 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#598 [ゆーちん]
俺みたく剛さんもマイクの前から佐奈のところに移動した。


俺より様になってて、どんなシチュエーションでもカッコいい剛さんに憧れる。


佐奈は、泣いてた。

⏰:09/03/01 10:40 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#599 [ゆーちん]
「こんなガキんちょの前でプロポーズするなバカぁ。」

「あはっ。ごめんね。俺せっかちだから。」


全く可愛げのない泣き方。


ウワーンって、自分が一番ガキんちょなのに気付いてないのかな。


剛さんは佐奈に指輪をはめた。

⏰:09/03/01 10:41 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#600 [ゆーちん]
もともと左手の薬指には指輪がいたんだけど、その上にまた指輪。


剛さんの愛してるが2つもはめられてるなんて羨ましいじゃん、佐奈の奴。

⏰:09/03/01 10:41 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#601 [ゆーちん]
「佐奈ちゃぁん、よがっだねぇ。」

「香奈ぁ!」


姉妹揃って大泣きしてた。


なんか笑えた。


会場は幸せオーラが溢れてた。

⏰:09/03/01 10:42 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#602 [ゆーちん]
●○●○●○●

>>2

●○●○●○●

⏰:09/03/01 10:42 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#603 [ゆーちん]
○●○●○●○

デート

○●○●○●○

⏰:09/03/03 13:18 📱:SH901iC 🆔:OEIUmAW2


#604 [ゆーちん]
「うわぁー!」

「ちょっ、バカ!押すな!」

「ギャハハハ!」


お酒も飲んでないのに、何このテンション。


最高に楽しい。


パーティー終わりに、いつもの5人プラス、剛さんと佐奈で公園に来た。


寒い中、滑り台の付いたアスレチックで大騒ぎして、中学の頃に戻ったみたいだ。

⏰:09/03/03 13:19 📱:SH901iC 🆔:OEIUmAW2


#605 [ゆーちん]
凛と剛さんははしゃぐキャラじゃないらしく、ベンチに座って笑いながら俺たちのバカ騒ぎを見ていた。


「バカ心、こらっ!押すなってば。」

「うおー、落ちる〜。」

⏰:09/03/03 13:20 📱:SH901iC 🆔:OEIUmAW2


#606 [ゆーちん]
寒さなんか忘れてた。


子供に戻ったみたいに楽しかった。


「滑り台なんてもう滑る事ないって思ってた。」


佐奈が言った。


共感した。


夜中に、友達が一緒だから…こいつらだからハメ外して騒げるんだ。

⏰:09/03/03 13:20 📱:SH901iC 🆔:OEIUmAW2


#607 [ゆーちん]
「まだ帰りたくなーい。」

「わがまま言うな。みんなフェリーの時間あるんだから。」

「みんなって…男ばっかじゃん。野宿しろ、野宿。」


これには共感できませーん。


佐奈、言う事めちゃくちゃ。

⏰:09/03/03 13:21 📱:SH901iC 🆔:OEIUmAW2


#608 [ゆーちん]
でも、それがまた面白かったり心地よかったりするんだよね。


「じゃあ今日は解散。」

「うん、また集まろ。」

「んじゃまた明後日ね。」


明後日、このメンバーで凜を空港まで見送る事になっている。

⏰:09/03/03 13:23 📱:SH901iC 🆔:OEIUmAW2


#609 [ゆーちん]
「凜ちゃん、俺とは明日ねっ。」


俺は例外。


明日も会えんの。


でも明日が最後のデート。


高校1年生としての最後のデート。


次にデートする時は高校2年の夏だからね…たぶん。

⏰:09/03/03 13:24 📱:SH901iC 🆔:OEIUmAW2


#610 [ゆーちん]
香奈と凜は佐奈に送ってもらい、俺たち3人は剛さんにフェリー乗り場まで送ってもらった。


「今日は本当ありがとうございました。」

「ううん、こっちこそありがと。」

「剛さんマジでカッコイイっす!」

「お前らも後に続け。」

⏰:09/03/03 13:25 📱:SH901iC 🆔:OEIUmAW2


#611 [ゆーちん]
どうやら大輝も竜も剛さんに惚れちゃった系?


剛さんは渡さないぞー。


「また明後日ね。俺の車で空港まで行くから、ここで待ってて。迎え行くよ。」

「はい、わかりました!」

「あざっす!」

⏰:09/03/03 13:25 📱:SH901iC 🆔:OEIUmAW2


#612 [ゆーちん]
剛さんとさよならし、フェリーに乗ると大輝と竜に褒められた。


「お前みたいに素直になるわ、俺。」


竜が言った。


「告んの?」

「…ん、たぶん。」

「剛さん言ってたじゃん。後に続けって。頑張れよ。」

⏰:09/03/03 13:26 📱:SH901iC 🆔:OEIUmAW2


#613 [ゆーちん]
竜が笑った。


照れてた。


うまくいけってココロから願ってやった。


「なぁ心。」


大輝がいつになく静かな声で名前を呼んだ。


「ん?」

⏰:09/03/03 13:27 📱:SH901iC 🆔:OEIUmAW2


#614 [ゆーちん]
「寂しくないの?不安になんないの?」

「…寂しいよ、不安だよ。」

「平気なの?」

「平気じゃない。でもか寂しさとか不安も引っくるめて、アメリカいってらっしゃいって今なら送り出せる気がすんの。」

⏰:09/03/03 13:28 📱:SH901iC 🆔:OEIUmAW2


#615 [ゆーちん]
「フッ、何それ。よくわかんねぇぞ。」


竜が笑った。


「だな。」


大輝も笑った。


「お前らにわかってもらわなくても凜ちゃんにわかっててもらえればいいし。」


俺も笑った。

⏰:09/03/03 13:28 📱:SH901iC 🆔:OEIUmAW2


#616 [ゆーちん]
そんな送別会の翌日、朝から凜のマンションに行くと部屋はからっぽだった。


「何か…家具がないと余計に広く感じるね。」

「そう?」

「荷物はもうアメリカ送ったの?」

「うん。」

⏰:09/03/03 13:29 📱:SH901iC 🆔:OEIUmAW2


#617 [ゆーちん]
最後のデートくらい笑っていたかったのに、なぜか初っ端から凜はモジモジとぎこちない。


「どしたの?体調不良?昨日騒ぎすぎたとか?」

「…すっごく恥ずかしいお願いしてもいい?」

「何?」

「心がはめて。」

⏰:09/03/03 13:30 📱:SH901iC 🆔:OEIUmAW2


#618 [ゆーちん]
そう言って差し出したのは昨日俺があげた指輪だった。


「これから毎日は自分でつけてかなきゃじゃん。でも心がいる時は心がはめて欲しいの。」

「いいよ、お安い御用だね。」

⏰:09/03/03 13:31 📱:SH901iC 🆔:OEIUmAW2


#619 [ゆーちん]
指輪を手に取り、昨日みたく凜の細い指にはめてあげた。


「安物だけど愛たっぷりだからねぇ。」

「ん。それから…」

「何?」

「あーっ…やっぱ恥ずかしい。」

「何、気になるじゃん。」

⏰:09/03/03 13:32 📱:SH901iC 🆔:OEIUmAW2


#620 [ゆーちん]
凜は俯きながら小声で言った。


「…やりたい。」

「え?」

「…心と…エッチし‥」


可愛くて愛しくていじらしくて、キスしながら押し倒してやった。


凜が俺を求めてくれて嬉しかった。

⏰:09/03/03 13:33 📱:SH901iC 🆔:OEIUmAW2


#621 [ゆーちん]
最後のデートで最後のSEXだなんて事になると、なんか縁起悪いかなって思ってたけど…そんなの関係ないや。


愛してる人と愛し合うのに理由なんていらない。

⏰:09/03/03 13:33 📱:SH901iC 🆔:OEIUmAW2


#622 [ゆーちん]
「凜ちゃん、好き。」

「うん…私も。」

「俺のだから。」

「うん。」

「金髪野郎なんかに負けないし。」

「アハハッ。」


しんみりしたくないから、楽しくした。


笑えたし、喜べたし、幸せだったし…そんなSEXだった。

⏰:09/03/03 13:34 📱:SH901iC 🆔:OEIUmAW2


#623 [ゆーちん]
「このベットともお別れかぁ。」

「持ってかないの?」

「うん、これは置いてく。」


布団の中でゴロゴロするのって何でこんな気持ち良いんだろう。

⏰:09/03/03 13:35 📱:SH901iC 🆔:OEIUmAW2


#624 [ゆーちん]
「寝ちゃいそう。」


凜が甘ったれた声を出した。


「寝よっか。」

「ダメだよ、せっかくのデートなのに。」

「こうやって凜ちゃんと布団の中でイチャイチャしてるのもデートの一種だと俺は思ってんだけど。」

⏰:09/03/03 13:35 📱:SH901iC 🆔:OEIUmAW2


#625 [ゆーちん]
『やっぱり変態。』といつもの調子の凜は、俺にうんと長いキスをくれた。


わざとチュッて音鳴らすもんだから妙に照れちゃったじゃねぇか、こんにゃろう。


「しばらくキスできないと思うとずっと、くっつけていたくなる。」

⏰:09/03/03 13:37 📱:SH901iC 🆔:OEIUmAW2


#626 [ゆーちん]
「あらら?俺の変態病、移っちゃった?」

「そうみたい…」


唇痛くなるほど何度も何度も何度もキスした。


で、またヤッた。


そんな風にイチャイチャしてると昼を回っていた。

⏰:09/03/03 13:37 📱:SH901iC 🆔:OEIUmAW2


#627 [ゆーちん]
「心、あのね。」

「んー?」

「昨日嬉しかったよ。」

「そ?そう言ってもらえて俺も嬉しい。」

「あの言葉も、この指輪も私の宝物だ。私、正直な話ね…自然消滅とかするのかもって思ってたんだ。」

⏰:09/03/03 13:38 📱:SH901iC 🆔:OEIUmAW2


#628 [ゆーちん]
肩を抱き寄せ、もたれながら凜は話を続けた。


「子供の恋愛程度で私たちは終わっちゃうのかと思ったんだけど、そうじゃなかった。心とずっと一緒にいられるんだって確信できた。」

⏰:09/03/03 13:38 📱:SH901iC 🆔:OEIUmAW2


#629 [ゆーちん]
凜の髪はサラサラで、安心できる手触り。


「あんな大勢の前で恥ずかしい事言っちゃってさ…私は幸せ者だね。心の事、信じてるからね。」


俺の腹回りをギュッと抱きしめてきた凜が愛おしい。

⏰:09/03/03 13:39 📱:SH901iC 🆔:OEIUmAW2


#630 [ゆーちん]
「昨日も言ったけど俺、凜ちゃんいないと無理なんだ。だからずっと待ってるよ。」

「私も。心じゃないと無理。待っててね。約束だから。」

「約束する。」


今日の凜はなんだかとても素直で健気で可愛くて甘えん坊で。

⏰:09/03/03 13:40 📱:SH901iC 🆔:OEIUmAW2


#631 [ゆーちん]
「ねぇ。」

「ん?」

「愛してる。」

「俺も愛してるよ。」


誓いのキスは、凜の涙の味がした。

⏰:09/03/03 13:41 📱:SH901iC 🆔:OEIUmAW2


#632 [ゆーちん]
●○●○●○●

>>2

●○●○●○●

⏰:09/03/03 13:41 📱:SH901iC 🆔:OEIUmAW2


#633 [ゆーちん]
○●○●○●○

ラブレター

○●○●○●○

⏰:09/03/04 21:57 📱:SH901iC 🆔:ulwxVi1I


#634 [ゆーちん]
凜ちゃんへ。


元気?


風邪ひいてない?


お腹痛くない?


金髪野郎にそそのかされてない?


俺は元気です。


だってバイトの時給が上がったんだもん。


超嬉しい〜。

⏰:09/03/04 21:58 📱:SH901iC 🆔:ulwxVi1I


#635 [ゆーちん]
「何書いてんの?」


竜が覗き込んだ。


「ラブレター。見ないでよ。」

「見られて困るなら教室で書くな。」


ニヒッって笑った俺たちは、高校2年生。


「俺も書こっかな。」


そう言って竜は新品の便せんに、スラスラと文字を書いてく。


ものの数十秒で完成したラブレターは、字が泳いでいた。

⏰:09/03/04 21:59 📱:SH901iC 🆔:ulwxVi1I


#636 [ゆーちん]
「きったねぇ字。」

「心も人のこと言えねぇぞ。」


竜のラブレターにはこう書いてあった。


【俺は元気。だから凛ちゃんも元気だろうね。この前、心のバイト先に彼女とラーメン食い行ったんだ。そしたらあいつ、客の姉ちゃんにデレデレだったから殴っといたよ。じゃっ。竜より。】

⏰:09/03/04 22:01 📱:SH901iC 🆔:ulwxVi1I


#637 [ゆーちん]
なんだこれ。


どこがラブレターなんだっつうの。


「デレデレなんかしてないし。」

「いーや、谷間ばっか見てた。」

「誤解されるような事書かないでよね。」

「それより、もうすぐだな。一時帰国ってやつ。」

⏰:09/03/04 22:02 📱:SH901iC 🆔:ulwxVi1I


#638 [ゆーちん]
待ちこがれた夏が来る。


凛が日本に帰ってくるんだ。


そりゃあたまらなく嬉しくて、楽しみで。


知らないお姉さんにデレデレしてる暇なんかないんだ。

⏰:09/03/04 22:03 📱:SH901iC 🆔:ulwxVi1I


#639 [ゆーちん]
竜の手紙も同封するけど、俺デレデレなんかしてないからね。


本当だよ?


それじゃあ、また夏休みに。


心より。


I Love You

⏰:09/03/04 22:04 📱:SH901iC 🆔:ulwxVi1I


#640 [ゆーちん]
放課後。


今日はバイトの前に寄るところがあった。


「こにゃにゃちわん。」

「出た、バカ心。」

「出たって何だよ。佐奈ちゃんが呼び出したんでしょ?」


剛さんの家には、ここんとこ毎日来ている。


って言ってもほとんど佐奈から呼び出されて、強制で来てるだけなんだけどね。

⏰:09/03/04 22:05 📱:SH901iC 🆔:ulwxVi1I


#641 [ゆーちん]
「今日は私の高校1年の5月分ね。」

「はいはい。」


もうすぐ結婚式の剛さん佐奈カップル。


佐奈は披露宴で自分たちの写真をスライドショーするって楽しみにしている。


そこまではいいんだけど、なぜか写真選びを俺に選ばせんの。

⏰:09/03/04 22:06 📱:SH901iC 🆔:ulwxVi1I


#642 [ゆーちん]
しかも佐奈ちゃん、写真の量が半端ない。


毎月毎年、大量の写真と大量の佐奈の顔。


もう見飽きた。


凛ちゃんの顔が見たいんですけど。

⏰:09/03/04 22:07 📱:SH901iC 🆔:ulwxVi1I


#643 [ゆーちん]
「そうだ、凛ちゃんもうすぐ帰ってくんでしょ?」

「うん。向こうの学校は夏休みとかじゃないんだけど、サボって帰国するって言ってた。」

「そう。じゃあ私も島に帰ろーっと。」


えっ。


来なくていいのに…。


まぁなんにせよ凛の帰国はみんなから楽しみにされてるんだ。

⏰:09/03/04 22:08 📱:SH901iC 🆔:ulwxVi1I


#644 [ゆーちん]
凛が帰って来たら、話したいことややりたいことがいっぱいあるんだ。


竜の例のあの彼女、読者モデルとかしてるんだって。


千夏が矢崎先輩にペアリング買ってもらったんだって。


澪の子供は、澪そっくりだったよ。


大輝が彼女と喧嘩中なんだ。


…とか、他にも色々。


話したいことだらけだよ。

⏰:09/03/04 22:09 📱:SH901iC 🆔:ulwxVi1I


#645 [ゆーちん]
でもね、凛ちゃんが帰って来たら俺は間違いなく1番最初に笑って迎えて抱きしめちゃうんだ。


笑顔で見送った、あの日のように。


そして笑顔の後に、涙を流す。


見送った後、実は内緒だったんだけど寂し涙したんだ。


でも今回は嬉し涙。

⏰:09/03/04 22:10 📱:SH901iC 🆔:ulwxVi1I


#646 [ゆーちん]
泣くなって言われても、俺絶対泣いちゃうよ。


そんな泣き虫の俺に、凛ちゃんはただいまって言いながら笑顔で俺をバカにすんだ。


きっと、そう。


想像するだけで泣けて来ちゃう。


ねぇ凛ちゃん、早く会いたいよ。


END

⏰:09/03/04 22:11 📱:SH901iC 🆔:ulwxVi1I


#647 [ゆーちん]
○●○●○●○

あとがき

○●○●○●○

⏰:09/03/04 22:12 📱:SH901iC 🆔:ulwxVi1I


#648 [ゆーちん]
長い間、読んでいただいてありがとうございました。

中途半端って思われるかもしれませんが、ここで終わらせます。

数日後に帰ってくる凛と心の反応は、もうご想像にお任せします☆笑

⏰:09/03/04 22:12 📱:SH901iC 🆔:ulwxVi1I


#649 [ゆーちん]
なかなか長くなったので、終わりはさっぱりさせたくて(^^;)

冷たい彼女はこれにて完結です。

心や凛はもちろんですけど、周りのキャラも好きで佐奈とか気に入ってました。

もう続編はないと思いますが、また新作でお会いできますように(>_<)

ゆーちん

⏰:09/03/04 22:13 📱:SH901iC 🆔:ulwxVi1I


#650 [ゆーちん]
>>2  

⏰:09/03/04 22:14 📱:SH901iC 🆔:ulwxVi1I


#651 [我輩は匿名である]
あげます

⏰:09/03/27 08:17 📱:N903i 🆔:ANqnd7Y.


#652 [ユウ]
やっぱり面白いっすね〜!みんなに教えようかな\(^o^)/

⏰:09/03/28 01:08 📱:F03A 🆔:iERJNLWU


#653 [ゆーちん]
あげ、や感想ありがとうございます

ユウさんも、どの小説にも感想書いてくれてて嬉しいです

ありがとうございます

よかったらまた感想板にも来て下さい

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4098/

⏰:09/04/10 08:58 📱:SH901iC 🆔:MY4.82P2


#654 [我輩は匿名である]
あげー

⏰:09/04/12 10:04 📱:N903i 🆔:☆☆☆


#655 [我輩は匿名である]
上げます

⏰:09/08/19 07:45 📱:P903iTV 🆔:☆☆☆


#656 [ミ ノ リ *]
あげ!


.

⏰:09/08/19 10:46 📱:P02A 🆔:yUryapEE


#657 [´ω`]
あっげゆ

⏰:09/10/01 00:26 📱:820N 🆔:38xTVtAQ


#658 [我輩は匿名である]
あげる(*´Д`*)

⏰:10/04/02 01:19 📱:SH001 🆔:oBj4RnFc


#659 [ぬ]
やぱい
これまぢすき

⏰:10/06/22 13:59 📱:P02A 🆔:☆☆☆


#660 [我輩は匿名である]
おもろす

⏰:11/02/06 21:46 📱:D902i 🆔:☆☆☆


#661 [我輩は匿名である]
失礼します
>>1-40
>>41-80
>>81-120
>>121-160
>>161-200
>>201-240
>>241-280
>>281-320
>>321-360
>>361-400
>>401-440
>>441-480
>>481-520
>>521-560
>>561-600
>>601-640
>>641-680

⏰:11/02/17 15:38 📱:W53H 🆔:jY3oYO5U


#662 [&◆JJNmA2e1As]
👩‍🦰👄💋😼😿🤲😹😸💄🧙

⏰:22/10/01 17:25 📱:Android 🆔:rYsbLV12


#663 [○○&◆.x/9qDRof2]
(´∀`∩)↑age↑

⏰:22/10/02 03:41 📱:Android 🆔:Ltpo.xA.


#664 [○○&◆.x/9qDRof2]
(´∀`∩)↑age

⏰:22/10/05 00:14 📱:Android 🆔:dfJ9pWTw


#665 [○○&◆.x/9qDRof2]
↑(*゚∀゚*)

⏰:22/10/18 19:55 📱:Android 🆔:h3l12Mig


#666 [○○&◆.x/9qDRof2]
↑(*゚∀゚*)↑(´∀`∩)↑age↑

⏰:22/10/25 17:30 📱:Android 🆔:zH8LnywQ


#667 [わをん◇◇]
↑(*゚∀゚*)↑

⏰:22/12/18 02:42 📱:Android 🆔:ELISMLEE


#668 [わをん◇◇]
↑(*゚∀゚*)↑(∩゚∀゚)∩age

⏰:23/01/26 09:42 📱:Android 🆔:gmyD7Q62


#669 [わをん◇◇]
>>1-30

⏰:23/01/26 09:48 📱:Android 🆔:gmyD7Q62


#670 [わをん◇◇]
>>620-650

⏰:23/01/26 09:48 📱:Android 🆔:gmyD7Q62


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