冷たい彼女〔続編〕
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#401 [ゆーちん]
同級生だけではなく、佐奈という姉ちゃん的存在の人にも相談したが、なかなか決断できずにいる。
「誰にもチクったりしないって信じてるから、佐奈ちゃんも心に話したんだと思うよ。」
チクんないよ、当たり前じゃん。
:09/02/16 11:43 :SH901iC :6OHVKZWc
#402 [ゆーちん]
チクるどうこうより、俺にできることなら何だって協力してあげたいって思う。
「妊娠なんて私達には、まだまだ無関係な出来事なんだって思ってた。だけどSEXしてるって時点で、1番身近な事になっちゃうんだよね。」
:09/02/16 11:43 :SH901iC :6OHVKZWc
#403 [ゆーちん]
凜の言う通りだと思った。
軽々しい気持ちなんかで、SEXはしちゃいけないんだ。
あれは愛を確かめあう行為だから。
「澪の妊娠、とても他人事には思えない。自分が澪の立場だったらどうするだろって考えちゃうんだよね。」
:09/02/16 11:44 :SH901iC :6OHVKZWc
#404 [ゆーちん]
「俺は反対なんかしない。」
本音。
上っ面な気持ちじゃないよ。
「凜ちゃんが妊娠したなら、俺は頭を下げるよ。産んで下さいって。」
凜の大きな目は、俺をじっと見ていた。
:09/02/16 11:44 :SH901iC :6OHVKZWc
#405 [ゆーちん]
「心。」
「ん?」
「頭も丸めてくれる?」
そう言った凜に、久しぶりにハグされた。
嬉しかった。
「坊主でも何でも、凜ちゃんの為ならできるよん。」
凜の顔は見えなかったけど、俺の予想…半泣きだったと思う。
:09/02/16 11:45 :SH901iC :6OHVKZWc
#406 [ゆーちん]
小さく零れた吐息と、鼻をすする音が聞こえたから。
「…バカ。」
「じゃあ凜ちゃんはバカの彼女だね。」
「うるさい。」
笑った声も、ちょっとだけ震えてた。
何だか俺まで泣きそうだった。
:09/02/16 11:45 :SH901iC :6OHVKZWc
#407 [ゆーちん]
『カレーの時間ですよ〜。』と、なんとも拍子抜けな母ちゃんの声が聞こえたのは7時ぐらいだった。
澪の事を知った以上、色々気になっていたけど、やっぱり凜といると楽しくて…ついつい母ちゃんの呼び声だけでも2人で笑い合っていた。
:09/02/16 11:46 :SH901iC :6OHVKZWc
#408 [ゆーちん]
「そんな呼び方ないだろ。」
「心ママ、最高。」
「ごめんね、くだらないテンションの母親でぇ。」
居間にいくと、全員集合。
「あっ、はじめまして。杉浦凜です。」
:09/02/16 11:46 :SH901iC :6OHVKZWc
#409 [ゆーちん]
父ちゃん、じいちゃん、ばあちゃんとは初対面の凜は慌てて挨拶をした。
「ほぇ〜、可愛い子だ。」
「心には勿体なくないか?」
じいちゃんとばあちゃんは凜を見て、口を開けていた。
:09/02/16 11:47 :SH901iC :6OHVKZWc
#410 [ゆーちん]
父ちゃんにいたっては…
「心なんかやめて、おじさんとデートしない?」
最低発言。
「くだらないオヤジは無視していいわよ。さぁ、座って。」
と、母ちゃんに促され、俺の隣に腰を降ろした凜。
:09/02/16 12:02 :SH901iC :6OHVKZWc
#411 [ゆーちん]
少し緊張しているみたいだった。
カレーライスやサラダ、お漬物に、なぜか魚の煮物がテーブルに並べられた。
「今日も魚の煮物?凜ちゃん、これ昨日の残り物なんだよ。」
父ちゃんがチクると、足元を母ちゃんに殴られたらしく一瞬顔を歪めた。
:09/02/16 12:04 :SH901iC :6OHVKZWc
#412 [ゆーちん]
いただきますをして、6人で他愛もない会話をして食事をする。
学校楽しい?
何の授業が好き?
好きな映画は何?
本当に他愛もない会話。
だけど、江森家からの質問に凜はずっと笑顔で答えてくれた。
:09/02/16 12:04 :SH901iC :6OHVKZWc
#413 [ゆーちん]
「ごちそうさまでした。美味しかったです。」
凜は最後まで笑顔だった。
「時間があるなら、何もない家だけどゆっくりしてってね。」
「はい、ありがとうございます。」
と、いうことで部屋に戻った。
:09/02/16 12:05 :SH901iC :6OHVKZWc
#414 [ゆーちん]
「ごめんね。質問攻めで困ったでしょ。」
「ううん、楽しかった。」
凜はベットに座り、話してくれた。
「小学校時代に戻った気分だったよ。」
「小学校?」
「うん。さっきみたいに、毎日お父さんとお母さんと晩ご飯食べてたのって小学6年生までだったの。私が中学校上がって、友達付き合い優先してたから…家族団欒なんて小学生ぶり。」
:09/02/16 12:05 :SH901iC :6OHVKZWc
#415 [ゆーちん]
「そうなんだ。俺は昔からあんな感じだからさ…あんまりわかんないけど。」
「色々質問されて嬉しかった。お父さんとお母さんに質問されてるみたいで、答えるのも楽しかった。」
「そっか。」
「今度お父さん達が帰って来たら、さっきみたいに笑って話しとかできたらいいな。緊張とか遠慮とか無縁だった小学校時代みたいにさ。」
:09/02/16 12:06 :SH901iC :6OHVKZWc
#416 [ゆーちん]
そんな場面を想像した凜は、自然と笑顔になっていた。
その笑顔のためなら俺、何でもできる。
「きっとできるよ。」
「だといいけど。」
無言の合図で俺たちは唇を重ね合わせた。
:09/02/16 12:06 :SH901iC :6OHVKZWc
#417 [ゆーちん]
幸せなキス。
澪も早く、幸せになれるといいって本気で思った。
そんな夏休みも、もうすぐ終わる。
:09/02/16 12:07 :SH901iC :6OHVKZWc
#418 [ゆーちん]
:09/02/16 17:18 :SH901iC :6OHVKZWc
#419 [ゆーちん]
○●○●○●○
2人の笑顔
○●○●○●○
:09/02/18 17:18 :SH901iC :ZDh6rUK6
#420 [ゆーちん]
夏休み最後の日に、いつものメンバーが大輝の家に集まった。
中学の頃に戻ったみたい。
あの頃、大輝の家がたまり場でよく凜ちゃんとの惚気話をみんなに聞かせてたっけ。
オール無視だったけど…。
:09/02/18 17:18 :SH901iC :ZDh6rUK6
#421 [ゆーちん]
大輝の家で騒いだ後、凜と香奈をフェリー乗り場まで見送る事になり、5人で向かった。
途中、いつもの海辺に立ち寄って大輝は海に向かって叫んでた。
「グッバイ夏休み〜!」
そんな大輝の隣で竜が呟いた。
:09/02/18 17:27 :SH901iC :ZDh6rUK6
#422 [ゆーちん]
「グッバイ俺の春。」
香奈は大いに反応した。
「ちょちょちょちょ。竜、俺の春って…まさか別れたの?」
「うん。昨日フラれた。」
:09/02/18 17:27 :SH901iC :ZDh6rUK6
#423 [ゆーちん]
竜がフラれたってのに、4人で大笑いした。
だって竜ってば、フラれるって感じのキャラじゃないんだもん。
「未練は?」
「そんなのねぇよ。新しい恋して早く忘れるつもりだから。」
「ギャハハハ!」
:09/02/18 17:28 :SH901iC :ZDh6rUK6
#424 [ゆーちん]
バカ笑いする俺と大輝に、竜のキックが飛んで来たけど面白いもんは面白いんだよ。
「子沢山な家族作るのが夢なのに、なかなか思い通りにいきませんね竜さ〜ん。」
「うるせぇよバカ心!」
:09/02/18 17:28 :SH901iC :ZDh6rUK6
#425 [ゆーちん]
「まじドンマイだね。香奈か凜ちゃんに女の子紹介してもらえば?」
大輝が提案した。
「探してあげるよ。うちの学校、彼氏募集の女だらけだし。」
香奈が協力してくれるらしく、商談成立。
:09/02/18 17:42 :SH901iC :ZDh6rUK6
#426 [ゆーちん]
その後もくだらない話をして笑ったり驚いたり叫んだり。
時間が来て、凜ちゃんと香奈を見送ってから、男3人で竜の失恋会をすることになった。
つっても島でできる事って言えばトメ食堂奢りぐらいだけど。
:09/02/18 17:43 :SH901iC :ZDh6rUK6
#427 [ゆーちん]
だからきんぴらごぼうとマーボー春雨を奢ってあげた。
美味い美味いって喜んでた。
そんな夏休み最後の日。
暑苦しい気候だったけど、とても楽しい1日だった。
:09/02/18 17:44 :SH901iC :ZDh6rUK6
#428 [ゆーちん]
それからしばらくして、2つの話が動き出した。
9月の中頃、竜は恋をした。
相手は香奈の紹介で知り合った女の子。
竜は見た目に似合わず惚れっぽい体質らしく、すぐに恋に落ちてしまったらしい。
:09/02/18 17:45 :SH901iC :ZDh6rUK6
#429 [ゆーちん]
「可愛いの?」
「可愛いっつーより、美人。」
「ほぉ〜。いいじゃん、竜は可愛い子より美人の子のがお似合いだぞ。」
「そう?嬉しい事言ってくれんね大輝ちゃん。」
「竜って恋するとウザいキャラになるよね。」
:09/02/18 17:46 :SH901iC :ZDh6rUK6
#430 [ゆーちん]
「ウザい事言ってくれるね心ちゃん。」
「どういたしまして。」
朝のフェリー登校での光景。
男3人毎朝こんな話。
いまだに夏休みボケが治らないのに、竜の気の早い惚気話なんか聞きたくないっつーの。
:09/02/21 16:53 :SH901iC :ZBtiAM72
#431 [ゆーちん]
まぁでも竜が楽しいならいいや。
みんな幸せが1番だよ。
もう1つ動き出した話は、幸せなのか不幸せなのか…それはまだわからない。
明日、答えが出るらしく、俺のココロは浮足立ってた。
:09/02/21 16:53 :SH901iC :ZBtiAM72
#432 [ゆーちん]
翌日は朝から気が重かった。
澪の運命の日だから。
澪の彼氏が、今日結論を出そうと言って来た。
で、答えが出たら凜、香奈、千夏、美帆、そしてなぜか佐奈が集合して報告するっつう事になったらしい。
:09/02/21 16:54 :SH901iC :ZBtiAM72
#433 [ゆーちん]
何時にどこで集合してるのかもわからず、学校に言って授業受けて、弁当食って、先生に叱られて…で、バイト。
「江森、どったの?」
一緒にバイトをしている先輩が、俺の顔を覗き込んできた。
「何がっすか?」
「今日の江森、やけに静かだなぁと思って。」
:09/02/21 16:54 :SH901iC :ZBtiAM72
#434 [ゆーちん]
「そうっすか?」
「あぁ、もしかして彼女と喧嘩でもした?」
「してないっすよ。」
「それにしても江森の彼女って、よく食うよな。すっげぇ派手だし、年上だろ?」
はぁ?
先輩、誰かと勘違いしてる。
:09/02/21 16:55 :SH901iC :ZBtiAM72
#435 [ゆーちん]
「誰の話ですか?」
「夏休み前、ラーメン3杯くらい食いに来てたの、あれ彼女だろ?あ、もしかしてもうその人とは別れてるとか?」
バツの悪そうな顔をした先輩。
分かれてるも何も、付き合ってないし、その人と。
:09/02/21 16:55 :SH901iC :ZBtiAM72
#436 [ゆーちん]
「あれは彼女じゃないっすよ。」
「え?そうなの?」
すごく驚いていた先輩。
今の今まで、俺の彼女は佐奈だと思ってたのか先輩。
:09/02/21 16:55 :SH901iC :ZBtiAM72
#437 [ゆーちん]
なんて話をしていると店が忙しくなったので、先輩との雑談は終了。
いつものように頑張って働いた。
だけどやっぱり頭の片隅では澪の事が気になって、店のピークが過ぎた時、トイレに行ってメールをチェックしてみた。
:09/02/21 16:56 :SH901iC :ZBtiAM72
#438 [ゆーちん]
メールは無し。
着信も無し。
んー、どうなったんだろ。
超気になる。
凜に電話しようと思ったけど、いつまでもトイレに引きこもってる訳にもいかず、手を洗い、携帯電話をロッカーに戻してから店頭に戻った。
:09/02/21 16:56 :SH901iC :ZBtiAM72
#439 [ゆーちん]
「発見〜!」
…え?
カウンターに見慣れた女が6人。
「なっ、何で来てんの!」
凜、香奈、澪、千夏、美帆、それに佐奈。
「何って、ラーメン食べ来た。」
「佐奈ちゃんの奢りなんだよ。」
:09/02/21 16:57 :SH901iC :ZBtiAM72
#440 [ゆーちん]
さすが姐御だな。
奢りだなんて。
「あ、あのさ…それより…」
何て聞けばいいのかわからなかった。
澪、どうなるの?
そんな疑問が顔に出てしまったのだろう。
凜が教えてくれた。
:09/02/21 17:41 :SH901iC :ZBtiAM72
#441 [ゆーちん]
「お祝いなの。」
「…お祝い?」
「澪の結婚祝い。」
泣きそうになった。
「それじゃあ…澪…」
幸せな笑顔を咲かせ、ピースサインをした新婦が言う。
「ママになるんだぁ!」
:09/02/21 17:42 :SH901iC :ZBtiAM72
#442 [ゆーちん]
おめでとう、よかったな、幸せになれよ。
何度もお祝いの言葉が口から出てくる。
「前祝いっつー事で、とりあえず私がラーメン奢ってやんだよ。どう、私太っ腹でしょ?」
佐奈も笑ってた。
:09/02/21 17:43 :SH901iC :ZBtiAM72
#443 [ゆーちん]
「おーい、江森。お前の友達か?」
他に客がいなかったので、マスターと先輩も近寄って来た。
すると先輩がニヤニヤしながらマスターに言う。
「マスター、あの真ん中の女性が江森の彼女っすよ。」
:09/02/21 17:44 :SH901iC :ZBtiAM72
#444 [ゆーちん]
…真ん中?
「え?真ん中の女性って私?」
1番派手な、佐奈。
「先輩、だから違いますって。」
「お兄さん、心と私はそういうんじゃないですよ。心は私の奴隷みたいなもんなんで。」
と、佐奈が笑顔で説明した。
:09/02/21 17:44 :SH901iC :ZBtiAM72
#445 [ゆーちん]
すると先輩は信じがたい目で俺を見た。
「奴隷になったつもりは無いんですけど…とにかく俺の彼女じゃないっす。」
佐奈はケラケラと笑っていた。
そして先輩に本命を教えてあげた。
:09/02/21 18:04 :SH901iC :ZBtiAM72
#446 [ゆーちん]
「あの子が俺の彼女です。」
先輩とマスターが凜を見る。
凜はニコッと笑い、頭を少し下げた。
「えぇ〜っ!」
「嘘だろ?」
異常なまでの驚き方。
「江森に騙されてるよ、君。」
:09/02/21 18:05 :SH901iC :ZBtiAM72
#447 [ゆーちん]
先輩、何言っちゃってくれてんですか。
「いや、でも江森は顔と愛想がいいから。頭はちょっと心配だけど、いい奴だからな!」
マスターのフォローも、若干トゲがあるような…。
:09/02/21 18:06 :SH901iC :ZBtiAM72
#448 [ゆーちん]
「美人だな、おい。江森なんか辞めて、俺と付き合ってくんねぇかな…」
先輩のリアルな呟きを聞いた俺は慌てて話を変えた。
「もう照れるんで!話題変えましょう、ね?みんな何食べるか決まった?」
:09/02/21 18:06 :SH901iC :ZBtiAM72
#449 [ゆーちん]
オーダーを取り、俺はマスターにお願いしてみた。
「マスター、実はあの子、今度結婚するんですよ。だからチャーシューおまけしてやって下さい。」
「おぉ、そりゃおめでたい。みんなにチャーシューおまけしてやるよ。」
:09/02/21 18:06 :SH901iC :ZBtiAM72
#450 [ゆーちん]
和やかな雰囲気。
ラーメンを作るマスターと先輩と違い、俺は暇だったので澪と色々話していた。
しばらくすると『結婚おめでとう。』と言いながらマスターが澪の前にラーメンを置いた。
「ありがとうございます。」
:09/02/21 19:00 :SH901iC :ZBtiAM72
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