冷たい彼女〔続編〕
最新 最初 🆕
#1 [ゆーちん]
マイペース更新ですが、どうぞ最後までお付き合い下さいm(__)m

>>2 アンカー・感想板
>>3 前作

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#2 [ゆーちん]
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感想板
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#3 [ゆーちん]
本当にあった×××な話
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双子の秘密
bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/9512/f

冷たい彼女
bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/9538/f

闇の中の光
bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/9650/f

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#4 [みい]
ずっと読んでましたx
頑張ってください

⏰:09/01/30 11:41 📱:W61SA 🆔:6pSVcA1g


#5 [ゆーちん]
>>4みいさん
ありがとうございます

⏰:09/01/30 13:09 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#6 [ゆーちん]
○●○●○●○

変わらぬ友情

○●○●○●○

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#7 [ゆーちん]
「何じゃこりゃーっ!」


思わず立ち上がり叫んでしまう俺に、周りから冷たい視線が送られた。


「うるせぇよ。座れ、バーカ。」


目の前に座っている竜が呟いた。


半泣き状態でソファーに座り直すと、隣にいた大輝が笑いながら言った。

⏰:09/01/30 13:11 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#8 [ゆーちん]
「ここまで見切れてると尊敬しちゃいますね。」

「そんな事で尊敬されても嬉しくねぇよ!」


何でファミレスでバカみたいに俺が叫んだかって?


何が見切れてるかって?


何で尊敬されちゃうかって?


それはね…。

⏰:09/01/30 13:12 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#9 [ゆーちん]
「あー!修学旅行の写真、やっと出来たんだぁ!」


そうなんです。


中3時の修学旅行で撮った写真がやっと焼き増され、俺らの手元に届いたのです。


半年以上かかって手渡された写真。


懐かしみながら思い出に浸れると思ったのに…。

⏰:09/01/30 13:13 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#10 [ゆーちん]
「おぉ、香奈!早かったな。」

「アハハハ!ちょっと何これ!心、全部見切れてんじゃん!」


香奈は竜の隣に座り、大輝の言葉も聞かずに、焼き増された写真を見てケラケラと笑っている。


「…いじめだとしか思えない。」

⏰:09/01/30 13:13 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#11 [ゆーちん]
5人で撮った写真のほとんどが、なぜか俺だけ顔半分しか写ってないのだ。


撮る人が同じで、その人の意地悪ならまだしも…撮る人、撮る人、みんな違ったのに…。


何かの呪いでしょうか?

⏰:09/01/30 13:14 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#12 [ゆーちん]
「真ん中来ればこんな目にあわなくて済んだのにねぇ〜。アハハハ!この心、まじウケる!」


コップの水をぶっかけてやろうかと思ったけど、そんな事したら自分の血を見る事になるだろうから却下。


香奈には逆らえない、情けない男は、コップの水をグイッと飲み干した。

⏰:09/01/30 13:14 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#13 [ゆーちん]
「てか、凛は?まだ?」


写真を見終わった香奈は、注文したアイスクリームを食べながら俺に聞いた。


「少し遅れるって。」

「そっか。」

「俺、凛ちゃんと会うの引っ越し以来だわ。」


と、竜が言うと大輝も『俺もだ。』と続いた。

⏰:09/01/30 13:18 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#14 [ゆーちん]
「私も数えるくらいしか遊んでないな。心は?結構会ってんの?」


香奈の問い掛けに、俺は鼻高々と答えた。


「僕、凛ちゃんの部屋の合い鍵持ってますからぁ。」


まぁ、このあとの3人の反応はお決まりだけどね。


「ふーん。」

「あっそ。」

「そうなんだ。」

⏰:09/01/30 13:18 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#15 [ゆーちん]
「何さ、その薄い反応。まぁいいや。この合い鍵のおかげで、高校入ってから結構会ってるよ!」


俺はポケットから鍵を取り出し、3人に見せ付けた。

⏰:09/01/30 13:19 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#16 [ゆーちん]
高校に入学して数週間。


男3人は同じA高校で、毎朝、島からフェリーで登校している。


香奈は女子の多いB高校で寮生活をしている。


そして凛は、C高校に通い、学校から近いマンションで一人暮らしをしていた。

⏰:09/01/30 13:19 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#17 [ゆーちん]
みんなそれぞれの道を進んでいる。


同級生や仲間と離れ離れになるのは寂しいけど、こうやってたまに会えば何とか頑張れる気がするんだ。

⏰:09/01/30 13:20 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#18 [ゆーちん]
「みんなバイトしてんの?」


香奈の質問に大輝が答えた。


「竜はコンビニだよな。俺はスーパーのレジ打ち。心はラーメン屋だっけ?」

「おう。」


俺のバイト先であるラーメン屋は、凛ちゃんのマンションから近いんだ。

⏰:09/01/30 13:20 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#19 [ゆーちん]
A高からも近いし、凛ちゃんのマンションからも近い。


なかなかナイススポットにあるバイト先でしょ?


「へぇ。私もバイトしないとなぁ。」

「バイト探してんの?」

「彼氏はバイトなんかしなくていいって言うけど、やっぱお金は必要だしね。早く見つけないと。」

⏰:09/01/30 13:21 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#20 [ゆーちん]
なんて話をしていると、最後の待ち人来たる。


「お待たせ!」


俺の彼女、杉浦凛の登場。


「り〜ん!久しぶりじゃん!」


香奈との抱擁を済ませ、俺の隣に座った凛。

⏰:09/01/30 13:22 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#21 [ゆーちん]
大輝と凛にはさまれて、ちょっと狭いかも。


まぁいいけど。


「久しぶりだね、元気してた?」


香奈の隣にいる竜が問い掛けると凛は『元気だよ。』と笑って答えた。

⏰:09/01/30 13:22 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#22 [ゆーちん]
俺の隣から大輝が覗き込みながら『一人暮らし大変じゃない?』と聞いた。


すると凛は眉をしかめながら苦笑いをした。

⏰:09/01/30 13:23 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#23 [ゆーちん]
「ある意味大変。学校帰りに毎日転がり込んでくる迷惑少年いるからね。」

「…すみません。」


すると香奈が俺を睨んだ。


「毎日?調子乗ってると海に沈めるぞ、心。」

「恐いよ!しかも毎日じゃないし!凛ちゃんが友達と遊んだりする時はさすがに行かないもん。」

⏰:09/01/30 13:24 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#24 [ゆーちん]
反抗したけど香奈の態度は変わらない。


「ついこの前まで童貞だった奴が盛ってんなよ。」

「何それ!てゆーか盛ってないし。高校入学して何回も凜ちゃんち行ってるけどまだ1回もヤッてないもん、ね?」


と、凜に話を振った。

⏰:09/01/30 13:24 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#25 [ゆーちん]
「ね、って何よ。私に聞かないで。しかも、そういう恥ずかしい話をファミレスでしないでくださーい。」


面倒臭そうな顔をした凜ちゃん。


すると大輝が苦笑いをしながら呟いた。


「恥ずかしい、って…凜ちゃんそういうキャラだったっけ?」

⏰:09/01/30 13:25 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#26 [ゆーちん]
「確かにねー…。」


と、竜も続いた。


「どういう意味?」


俺が聞くと、大輝は答えた。


「転校して来た最初の頃は、教室で童貞とかSEXとか普通に声に出してたのに。だからそういうのは恥ずかしくない人なのかと思ってた。」


あー…そんな事もあったね。

⏰:09/01/30 13:26 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#27 [ゆーちん]
なんて懐かしんでいると凜が髪をカサッと、かきながら答えた。


「何でだろ。全然恥ずかしくないはずだったんだけど…厄介な彼氏が出来てから、私性格変わっちゃったみたいなの。」


そう言って笑った、凜のその笑顔が答えの全てだ。

⏰:09/01/30 13:27 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#28 [ゆーちん]
全く笑わなかった凜が、こんなに可愛い笑顔を咲かす。


「俺に冷たい部分は変わらないじゃんかー。」

「そう?優しくなったはずなんだけどな。」

「ノロケんな、バカ心。」


あんなにとがってた凜は、あの島に来て本当、丸くなった。


嬉しいよ、彼氏として…島の人間として。

⏰:09/01/30 13:27 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#29 [ゆーちん]
ファミレスを出た頃には、すっかり辺りが暗くなっていた。


「寒い〜!」


香奈も凜も短いスカートから細い足を覗かせている。


見ているこっちが寒い。


「私そろそろ寮帰るね。」


と、香奈。

⏰:09/01/30 13:28 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#30 [ゆーちん]
「俺も帰るわ。大輝と心は?」

「俺も帰るー。寒すぎ!」

「心は?」

「俺、凜ちゃん送って帰るから先に帰ってて。」


『別にいいよ。』と遠慮する凜ちゃんの言葉は無視。


ちゃーんと送り届けないと俺のプライドが許さないんだよね。

⏰:09/01/30 13:28 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#31 [ゆーちん]
「んじゃ、またな。」

「バイバイ!」

「また集まろうね。」


香奈、凜と大輝、そして俺と凜ちゃん。


三方向にそれぞれ歩き出した。


みんなが見えなくなったところで俺らは手を繋いだ。

⏰:09/01/30 13:29 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#32 [ゆーちん]
「凜ちゃんの手、いつも冷たいねー。」

「そう?」

「俺がいつでも温め‥」

「調子乗ってると海に沈められるよ。」

「…。」

「アハハッ。」


凜ちゃんが小さく笑った。

⏰:09/01/30 13:30 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#33 [ゆーちん]
可愛い。


嬉しい。


幸せ。


だんだんと凜の手が暖まって来たというところで、マンションに到着。

⏰:09/01/30 13:30 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#34 [ゆーちん]
「上がってく?」

「いいの?」

「ダメって言っても来るんでしょ。」


尻尾を振りながら凜に続いて部屋へと入った。


「お邪魔しまーす。」


いつ来ても思うんだ。


…広い。


一人暮らしにしては広すぎるよ、この部屋は。

⏰:09/01/30 13:31 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#35 [ゆーちん]
寂しくないのかと聞いても、『平気。』の一点張り。


絶対寂しくないわけない。


「何か飲む?」


凜の部屋は、杉浦のじいちゃん家にいた部屋と同じ匂いがする。


「うん。」

「コーヒー、紅茶、ココア。どれにする?」


キッチンからの凜の質問に『ココア。』と答えた。

⏰:09/01/30 13:33 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#36 [ゆーちん]
数分後には、凜が作ってくれた温かいココアを飲む俺がいる。


俺の隣には、この甘くて美味しいココアを作ってくれた凜ちゃんがいて。


この上ない幸せを感じながら、少しだけ体を凜に寄り添わせた。


「この前、美帆と遊んだんだけど、益々レゲエ一色な感じになって来てたよ。」

⏰:09/01/30 13:34 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#37 [ゆーちん]
そういえば美帆の部屋、レゲエちっくだったっけ。


美帆の部屋に行ったのって確か…あぁ、そうだ。


凜ちゃんが島を出るって俺に言った日だ。


バレンタインだったよな。


たった2ヵ月前なのに、何十年も前に思える。

⏰:09/01/30 13:34 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#38 [ゆーちん]
あの日、美帆に喝を入れてもらってなかったら俺は今頃この部屋にいないかもしんない。


マジ、美帆には感謝だわ。


「Bガールって言うの?超似合ってたよ。」

「そっかぁ。美帆って香奈と同じ高校だよな。」

⏰:09/01/30 13:38 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#39 [ゆーちん]
「うん。でも科が違うからなかなか会わないらしいよ。私も澪や千夏と同じ学校だけど、科が違うせいで滅多に会わないもん。」


少しずつココアを飲みながら、他愛もない会話をする。

⏰:09/01/30 13:39 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#40 [ゆーちん]
ココロが落ち着くっつーか、安らぐっつーか、癒されるっつーか。


俺にとって凜ちゃんは、もう必要不可欠な存在なんだよね。

⏰:09/01/30 13:39 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#41 [ゆーちん]
「凜ちゃん。」

「ん?」

「超好き。」

「…心くん、いきなり話し飛んだね。」


冷たかった体はココアで温まった。


飲み干した空っぽのコップをテーブルに置く。

⏰:09/01/30 13:41 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#42 [ゆーちん]
寂しくなった自分の手は、愛しい人の小さな手へと向かう。


凜の手も…温まっていた。


「キスしていい?」


飲みかけのココアが入ったコップをテーブルに置いた凜は笑いながら言った。


「やだ。」


そう呟いたくせに、俺の唇に自分の唇を重ねて来た。

⏰:09/01/30 13:41 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#43 [ゆーちん]
触れただけのキスは、どんどん加速していく。


舌が行き来するキスは、ココアの味がした。


「甘いキスって、こういう事?」


上目になりながら、ニッと笑った凜ちゃんに胸ズキュン。

⏰:09/01/30 13:42 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#44 [ゆーちん]
高校生になって、益々大人っぽくなったし…色っぽくなった俺の彼女。


そんな顔されると、止まんないんだけど。


「ファーストキスはココアの味ぃ〜。」

⏰:09/01/30 13:43 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#45 [ゆーちん]
「別にファーストキスじゃないし?」

「あ、そっか。」

「…バカ心。」


再び交わしたキス。


やっぱり甘い甘いココアの味がした。

⏰:09/01/30 13:43 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#46 [ゆーちん]
「…ねぇ。」


いきなり離れた凜の唇。


「ん?」

「明日バイト?」

「そうだよ。」

「友達と行くかも。」


ニッと笑って、再び俺の唇を塞いだ凜。


「…っ!マジ?」


慌てて唇を離した。

⏰:09/01/30 13:45 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#47 [ゆーちん]
「うん。友達が行きたいって言うからさ。」

「緊張するから!やめて!来ないで!」

「何でよ。心が働いてるところ見たいんだもん。」

「そんなの見なくても別にいいじゃんかー。」

「もう行くって決めたんだから。」

「えぇ〜。明日休もっかなぁ。」

⏰:09/01/30 13:45 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#48 [ゆーちん]
すると凜は優しく笑ってくれた。


「私だって心、好きだよ。好きだから見たいんじゃん。」


あぁー、もうさ。


そんな可愛いこと言われたら、ダメなんて言えないでしょ。

⏰:09/01/30 13:46 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#49 [ゆーちん]
わざと?


作戦?


俺、凜ちゃんにコントロールされてる?


まぁでも凜ちゃんになら操られても、文句はないけどね。

⏰:09/01/30 13:46 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#50 [ゆーちん]
「あんまジロジロ見ないでよ?」

「はいはい!」


その日、数えきれないくらいのキスを交わしてから凜のマンションを後にして、島に戻った。


離れ離れだけどさ、何だかんだで楽しくやってるよ。

⏰:09/01/30 13:48 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#51 [ゆーちん]
●○●○●○●

とりあえず
今日はここで
STOPします

>>2

●○●○●○●

⏰:09/01/30 13:49 📱:SH901iC 🆔:ppkzlLQA


#52 [ゆーちん]
○●○●○●○

隠し事

○●○●○●○

⏰:09/01/31 10:09 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#53 [ゆーちん]
翌日。


放課後はいつも通りバイトに励む。


でもいつもと違うのは…。


「凜の彼氏、結構カッコイイね。」

「そう?バカだよ、あいつ。」

「あぁ、確かに。頭は悪そう。」

「悪いってもんじゃないよ。幼稚園児レベル。」

⏰:09/01/31 10:10 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#54 [ゆーちん]
凜ちゃんとそのお友達さん。


俺の悪口、めちゃくちゃ鮮明に聞こえるんですけど。


わざと…ですか?


「お待たせしました。しょうゆラーメンとみそラーメンです。」


昨日、凜が言ってた通り、今日は友達とここにラーメンを食べに来た。


あぁー…恥ずかしい。

⏰:09/01/31 10:10 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#55 [ゆーちん]
「心、あんたの事カッコイイってさ。よかったね。」


いやいや。


そのあとバカだとか頭悪いとかってけなしてたじゃんかー。


「あ、あざーす。」


聞こえてなかったフリして営業スマイルを見せた俺って、なかなか大人でしょ?

⏰:09/01/31 10:29 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#56 [ゆーちん]
そんな俺に凜ちゃんのお友達は言った。


「彼氏さん。」

「はい?」

「面白い事教えてあげよっか?」

「え、何ですか?」


営業スマイルは確かここまでちゃんとできてたはず。


なのにお友達の一言で俺の顔は真顔に戻った。

⏰:09/01/31 10:29 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#57 [ゆーちん]
「凜、かなりモテてるよ。告白されまくり。油断してると盗られちゃうかもだから気をつけてね〜。」


そう言った友達に、凜は『もう、いちいちチクんなくていいから。』と笑っていた。


いやいや。


チクるとかじゃなくてさ!

⏰:09/01/31 10:34 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#58 [ゆーちん]
「凜ちゃん何それ!マジ?聞いてないよ!」


いきなり話しかけたせいか凜は少し驚いていた。


「えっ…言わなきゃダメ?言っても心、良い気しないでしょ?」

「そうかもだけど…でも…」

「大丈夫だって。私はあんただけで手一杯なんだから心配しなくていいよ。」

⏰:09/01/31 10:34 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#59 [ゆーちん]
凜はシレッと言い放ち、ラーメンをすすった。


『美味しい!』と呟いた顔が可愛かった。


「人前でイチャつくなよー。」


お友達に茶化されて凜が笑う。


「あ、すみませーん。」


俺も笑った。

⏰:09/01/31 11:00 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#60 [ゆーちん]
何か…俺、すげぇ嬉しい事言われたよね。


凜ちゃん、サラーッと言ったよね。


じわじわと嬉しさが込み上げて来て、俺は何だか脳内ノックアウト状態。

⏰:09/01/31 11:01 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#61 [ゆーちん]
ぼんやりしながら厨房に戻るとマスターに心配された。


「江森、大丈夫?」

「あぁ〜、はい。大丈夫っす〜。ヘヘッ。」

「熱でもあるか?」

⏰:09/01/31 11:01 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#62 [ゆーちん]
結局、浮かれたままバイトを終えた俺。


「お先で〜す。」

「おぅ、お疲れ。江森、体調悪いなら無理するなよ?」

「余裕っすよ〜?」

「…そうかい?なら、いいけど。気をつけて帰れよ。」

「は〜い、お疲れ様で〜す。」

⏰:09/01/31 11:06 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#63 [ゆーちん]
マスターに不思議がられた俺の足は、そのまま凜のマンションに向かった。


合い鍵を使い、部屋に入った。


「あ、やっぱり来た。」

「凜ちゃ〜ん!」

⏰:09/01/31 11:07 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#64 [ゆーちん]
いきなり抱き着いた俺に、凜はいつもみたく冷ややかな態度を取る。


「はいはい、わかったから。離してー。」

⏰:09/01/31 11:10 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#65 [ゆーちん]
俺の腕の中で無抵抗の凜がいる。


「今日嬉しかったよ〜。」

「何が?」

「俺オンリーなんだね。俺も凜ちゃんオンリーだから!」

「あぁ、別にそういう意味じゃ‥」


ないって言う前に俺は凜の言葉を遮った。

⏰:09/01/31 11:11 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#66 [ゆーちん]
「照れない照れない。色んな奴に告白されたっつーのはムカつくけど、凜ちゃんの気持ちは俺だけなんだってわかって泣きそうなくらい嬉しかったよ。」

「あぁ、そりゃよかった。バイト中に泣かなかったのは成長した証拠だねー。」

⏰:09/01/31 11:11 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#67 [ゆーちん]
「凜ちゃんがモテるのは百も承知なんだけどー、やっぱ告白とかされてるのは彼氏としては良い気しないね。」

「でしょ?だから言わなかったの。言った方がいいなら、これからはちゃんと報告するけど。」

⏰:09/01/31 11:55 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#68 [ゆーちん]
二人でいる時ぐらいキャラ変えればいいのに…。


凜ちゃんはとことん凜ちゃんのまま。


「んー、どうだろ。てか凜ちゃん自信満々だね。まだ告白される気?」

⏰:09/01/31 11:56 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#69 [ゆーちん]
「今日来てた友達も言ってたでしょ?私、モテるの。」

「そういう自信たっぷりなとこ好きー!」

「あー、はいはい。わかったからいい加減離して。」

⏰:09/01/31 11:56 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#70 [ゆーちん]
やっと抵抗した凜ちゃんを俺の腕から逃がすと、ソファーの方に向かって行った。


だから慌てて俺も追う。


「凜ちゃん。」

「んー?」

「聞きたくないけど、隠し事は無しにしたいから、告白されたらちゃんと報告して?」

「あぁ、うん。わかった。」

⏰:09/01/31 16:58 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#71 [ゆーちん]
一件落着。


昨日もしたけど、今日もしたい。


そんな願いを目を閉じながら訴えると、凜は黙って叶えてくれた。


昨日みたいに甘い味はしないけど、幸せなキスだった。

⏰:09/01/31 16:59 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#72 [ゆーちん]
そんな春が過ぎて、とうとう付き合って1年が経った。


プレゼントなんてものはなかったけど、デートして、笑って、手繋いで、キスをして…。


そんな柔らかな記念日だった。

⏰:09/01/31 17:01 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#73 [ゆーちん]
梅雨が明けて夏が来る。


その夏と一緒にちょっとした事件も来てしまった。


「剛が浮気した!」

「…。」

「どうにかしてよ、心!」

「どうにかって言われても…。」

「何、私のこと見捨てる気?ひっどい男になっちまったな!」

「えー、何キャラ。」

⏰:09/01/31 17:02 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#74 [ゆーちん]
正直、げんなり。


この派手派手している女子大生。


西山佐奈。


見た目からもわかる通り…香奈の姉ちゃん。

⏰:09/01/31 17:02 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#75 [ゆーちん]
香奈と佐奈は仲が良くて、香奈の彼氏も佐奈の友達なんだってさ。


どうりで香奈が大人びてる訳だ。


いや、大人びてるっつーか…ただの狂暴な女だけど。

⏰:09/01/31 17:06 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#76 [ゆーちん]
「佐奈じゃないと俺は生きてけねぇんだって泣き付いて来たのは、どこの誰?てめぇだっつーの、バカハゲ剛ぃ〜!」


姉妹揃って狂暴。


同じ血だよ、間違いなく。

⏰:09/01/31 17:28 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#77 [ゆーちん]
「佐奈ちゃんさ、お願いだからもうちょっと声抑えて。」

「抑えてるよ!」

「できればもう少し…」

「チッ。しけたラーメン屋だね。」

⏰:09/01/31 17:28 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#78 [ゆーちん]
舌打ちして、うちのラーメン屋の悪口を零す佐奈。


勘弁してくださーい。


マスターに聞かれたら、俺たまったもんじゃないからね?

⏰:09/01/31 17:29 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#79 [ゆーちん]
「つか、ラーメンまだ?」

「え、まだ食べるの?」

「当たり前でしょ!やけ食いせずにいられないっしょ?久しぶりに心に会いに来て、実の弟のように可愛がってあげていた心にも冷たくされて…食わずにいられないっつーの!」

⏰:09/01/31 17:31 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#80 [ゆーちん]
あぁー、やめて。


怖いから、普通に。


3杯目のラーメンを佐奈の元に運ぶと、まるでお腹がペコペコだったかのように勢いよく食べ始めた。


信じらんない。


こんなガリガリな体なのにどこ入ってんだよ、1杯目と2杯目のラーメンは。

⏰:09/01/31 17:31 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#81 [ゆーちん]
30分前。


香奈に俺がここでバイトをしていると聞いた佐奈は、久しぶりの再会にも関わらず、開口1番は『つーか聞いてよ!』だった。


『あ、佐奈ちゃん久しぶり。』と俺が言う前に、彼氏の剛さんに浮気をされたと言いながら一人でカウンターに座る。

⏰:09/01/31 17:33 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#82 [ゆーちん]
女の子が一人でラーメンなんて珍しい。


…なんて驚きは、まだ可愛いものだった。


俺に愚痴をこぼしながら簡単に平らげたラーメン。

⏰:09/01/31 17:33 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#83 [ゆーちん]
まだ足りないとおかわりしたラーメンも平らげた佐奈。


そしてただ今3杯目。


軽々と食べていく。

⏰:09/01/31 17:34 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#84 [ゆーちん]
30分で3杯って…。


「あぁ〜、ごちそうさま。まぁまぁお腹膨らんだわ。」


痩せの大食いとは佐奈の事だ。


3杯目のスープまで飲み干して、まだ足りないと?

⏰:09/01/31 17:35 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#85 [ゆーちん]
「心。」

「はい。」

「凜ちゃんとまだ付き合ってんの?」

「うん、付き合ってます。」


佐奈と凜ちゃんは、去年対面済みらしい。

⏰:09/01/31 17:36 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#86 [ゆーちん]
佐奈と香奈は仲いいし、香奈と凜も仲いいし、そりゃ嫌でも仲よくなるわな。


って、問題はそこじゃないよ。


佐奈の様子…おかしいんですけど。


「はぁ?てめぇごときの男だけで凜ちゃんの青春終わらせるつもり?」

⏰:09/01/31 17:36 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#87 [ゆーちん]
はじまったよ…。


久しぶりだわー、怒鳴られるの。


香奈とはまた違う叱り方っつーか。


「いやー、あはは…」

「あははじゃねぇよ。海に沈めんぞ?」

⏰:09/01/31 17:39 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#88 [ゆーちん]
香奈にも昔沈められかけたっけ。


懐かしいー、あはは。


「佐奈ちゃん、酔ってる?」

「酔ってるわけねぇーだろぉー!バカ心がぁ!」


絶対酔ってる。

⏰:09/01/31 17:39 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#89 [ゆーちん]
シラフでここまで暴れるのおかしいじゃん。


ラーメン屋来る前に絶対飲んでたんだよこの人。


あぁーもう泣きそうです。


助けて…。

⏰:09/01/31 17:40 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#90 [ゆーちん]
店が暇でよかった。


これで忙しかったら、他のお客さんから苦情だらけだったかも。


「ごめん、佐奈ちゃん。俺もう上がりだから一緒に帰ろう。」

「はぁ?何で心と帰んなきゃいけない訳?意味わかんねぇこと言ってると〜…あぁー、眠くなって来た。」

⏰:09/01/31 21:00 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#91 [ゆーちん]
マジ、げんなり。


今、怒ってたじゃん。


何でいきなり眠くなる?


酔っ払ってるなら酔っ払ってるって早く言ってよ、もぉ。

⏰:09/01/31 21:01 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#92 [ゆーちん]
「心ちゃん心ちゃん!」

「はい…何ですか?」

「凜ちゃんナイスバディーでしょ?よかったね〜アハハハッ!」


もうやだ、この人。

⏰:09/01/31 21:01 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#93 [ゆーちん]
マスターに上がっていいと言われ、俺は着替えを済ませて店内に戻った。


「お待たせ…って、寝てるよ。」


絶っ対酔ってたな。


間違いない。

⏰:09/01/31 21:09 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#94 [ゆーちん]
「江森の彼女?」


カウンターの奥からバイト仲間が俺に聞く。


「俺の彼女はラーメン3杯も食べないっす。」

「へ?」

「いえ、別に。お疲れ様でした、お先です。」

⏰:09/01/31 21:09 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#95 [ゆーちん]
佐奈の肩を組んで、俺らは店から出た。


とりあえず香奈に電話。


「…電源が入っておりません、って何で電源切ってんだよ!」

⏰:09/01/31 21:10 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#96 [ゆーちん]
香奈に連絡がつかない。


って事は、もう頼れるのは凜しかいない。


「もしもし。」

「あ、凜ちゃん?いま家?」

「そうだけど。来るの?」

「俺じゃなくて…佐奈が。」

「佐奈ちゃん?」

⏰:09/01/31 21:11 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#97 [ゆーちん]
凜に事情を話し、とりあえずマンションに向かうと告げた。


途中、凜も迎えに来てくれて、部屋まで2人で一緒に運んだ。


「香奈と連絡つかねーし、俺、佐奈の家わかんないからさ。」

⏰:09/01/31 21:11 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#98 [ゆーちん]
「私も知らない。会うのはいつも外だったし。」

「今日一晩だけ泊めてやってくれる?酒入ってて起きそうにないわ。」

⏰:09/01/31 21:12 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#99 [ゆーちん]
酒飲んで、ラーメン食べて、騒いで叫んで、寝た。


そんな迷惑極まりない佐奈。


自己チューで嫌な奴かと思うかもしんないけど、本当はすっごくいい奴なんだ。

⏰:09/01/31 21:13 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


#100 [ゆーちん]
香奈と一緒だよ。


根はすごくいい奴。


昔から一緒だから俺は知ってる、佐奈のいいところ。


佐奈の言う通り、小さい頃は弟のように可愛がっててもらったし、いくらキツい事言われても本音じゃないのはわかってる。

⏰:09/01/31 21:13 📱:SH901iC 🆔:27oj1HQU


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