冷たい彼女〔続編〕
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#1 [ゆーちん]
マイペース更新ですが、どうぞ最後までお付き合い下さいm(__)m
>>2 アンカー・感想板
>>3 前作
:09/01/30 11:36 :SH901iC :ppkzlLQA
#2 [ゆーちん]
:09/01/30 11:37 :SH901iC :ppkzlLQA
#3 [ゆーちん]
:09/01/30 11:37 :SH901iC :ppkzlLQA
#4 [みい]
ずっと読んでましたx
頑張ってください
:09/01/30 11:41 :W61SA :6pSVcA1g
#5 [ゆーちん]
>>4みいさん
ありがとうございます
:09/01/30 13:09 :SH901iC :ppkzlLQA
#6 [ゆーちん]
○●○●○●○
変わらぬ友情
○●○●○●○
:09/01/30 13:10 :SH901iC :ppkzlLQA
#7 [ゆーちん]
「何じゃこりゃーっ!」
思わず立ち上がり叫んでしまう俺に、周りから冷たい視線が送られた。
「うるせぇよ。座れ、バーカ。」
目の前に座っている竜が呟いた。
半泣き状態でソファーに座り直すと、隣にいた大輝が笑いながら言った。
:09/01/30 13:11 :SH901iC :ppkzlLQA
#8 [ゆーちん]
「ここまで見切れてると尊敬しちゃいますね。」
「そんな事で尊敬されても嬉しくねぇよ!」
何でファミレスでバカみたいに俺が叫んだかって?
何が見切れてるかって?
何で尊敬されちゃうかって?
それはね…。
:09/01/30 13:12 :SH901iC :ppkzlLQA
#9 [ゆーちん]
「あー!修学旅行の写真、やっと出来たんだぁ!」
そうなんです。
中3時の修学旅行で撮った写真がやっと焼き増され、俺らの手元に届いたのです。
半年以上かかって手渡された写真。
懐かしみながら思い出に浸れると思ったのに…。
:09/01/30 13:13 :SH901iC :ppkzlLQA
#10 [ゆーちん]
「おぉ、香奈!早かったな。」
「アハハハ!ちょっと何これ!心、全部見切れてんじゃん!」
香奈は竜の隣に座り、大輝の言葉も聞かずに、焼き増された写真を見てケラケラと笑っている。
「…いじめだとしか思えない。」
:09/01/30 13:13 :SH901iC :ppkzlLQA
#11 [ゆーちん]
5人で撮った写真のほとんどが、なぜか俺だけ顔半分しか写ってないのだ。
撮る人が同じで、その人の意地悪ならまだしも…撮る人、撮る人、みんな違ったのに…。
何かの呪いでしょうか?
:09/01/30 13:14 :SH901iC :ppkzlLQA
#12 [ゆーちん]
「真ん中来ればこんな目にあわなくて済んだのにねぇ〜。アハハハ!この心、まじウケる!」
コップの水をぶっかけてやろうかと思ったけど、そんな事したら自分の血を見る事になるだろうから却下。
香奈には逆らえない、情けない男は、コップの水をグイッと飲み干した。
:09/01/30 13:14 :SH901iC :ppkzlLQA
#13 [ゆーちん]
「てか、凛は?まだ?」
写真を見終わった香奈は、注文したアイスクリームを食べながら俺に聞いた。
「少し遅れるって。」
「そっか。」
「俺、凛ちゃんと会うの引っ越し以来だわ。」
と、竜が言うと大輝も『俺もだ。』と続いた。
:09/01/30 13:18 :SH901iC :ppkzlLQA
#14 [ゆーちん]
「私も数えるくらいしか遊んでないな。心は?結構会ってんの?」
香奈の問い掛けに、俺は鼻高々と答えた。
「僕、凛ちゃんの部屋の合い鍵持ってますからぁ。」
まぁ、このあとの3人の反応はお決まりだけどね。
「ふーん。」
「あっそ。」
「そうなんだ。」
:09/01/30 13:18 :SH901iC :ppkzlLQA
#15 [ゆーちん]
「何さ、その薄い反応。まぁいいや。この合い鍵のおかげで、高校入ってから結構会ってるよ!」
俺はポケットから鍵を取り出し、3人に見せ付けた。
:09/01/30 13:19 :SH901iC :ppkzlLQA
#16 [ゆーちん]
高校に入学して数週間。
男3人は同じA高校で、毎朝、島からフェリーで登校している。
香奈は女子の多いB高校で寮生活をしている。
そして凛は、C高校に通い、学校から近いマンションで一人暮らしをしていた。
:09/01/30 13:19 :SH901iC :ppkzlLQA
#17 [ゆーちん]
みんなそれぞれの道を進んでいる。
同級生や仲間と離れ離れになるのは寂しいけど、こうやってたまに会えば何とか頑張れる気がするんだ。
:09/01/30 13:20 :SH901iC :ppkzlLQA
#18 [ゆーちん]
「みんなバイトしてんの?」
香奈の質問に大輝が答えた。
「竜はコンビニだよな。俺はスーパーのレジ打ち。心はラーメン屋だっけ?」
「おう。」
俺のバイト先であるラーメン屋は、凛ちゃんのマンションから近いんだ。
:09/01/30 13:20 :SH901iC :ppkzlLQA
#19 [ゆーちん]
A高からも近いし、凛ちゃんのマンションからも近い。
なかなかナイススポットにあるバイト先でしょ?
「へぇ。私もバイトしないとなぁ。」
「バイト探してんの?」
「彼氏はバイトなんかしなくていいって言うけど、やっぱお金は必要だしね。早く見つけないと。」
:09/01/30 13:21 :SH901iC :ppkzlLQA
#20 [ゆーちん]
なんて話をしていると、最後の待ち人来たる。
「お待たせ!」
俺の彼女、杉浦凛の登場。
「り〜ん!久しぶりじゃん!」
香奈との抱擁を済ませ、俺の隣に座った凛。
:09/01/30 13:22 :SH901iC :ppkzlLQA
#21 [ゆーちん]
大輝と凛にはさまれて、ちょっと狭いかも。
まぁいいけど。
「久しぶりだね、元気してた?」
香奈の隣にいる竜が問い掛けると凛は『元気だよ。』と笑って答えた。
:09/01/30 13:22 :SH901iC :ppkzlLQA
#22 [ゆーちん]
俺の隣から大輝が覗き込みながら『一人暮らし大変じゃない?』と聞いた。
すると凛は眉をしかめながら苦笑いをした。
:09/01/30 13:23 :SH901iC :ppkzlLQA
#23 [ゆーちん]
「ある意味大変。学校帰りに毎日転がり込んでくる迷惑少年いるからね。」
「…すみません。」
すると香奈が俺を睨んだ。
「毎日?調子乗ってると海に沈めるぞ、心。」
「恐いよ!しかも毎日じゃないし!凛ちゃんが友達と遊んだりする時はさすがに行かないもん。」
:09/01/30 13:24 :SH901iC :ppkzlLQA
#24 [ゆーちん]
反抗したけど香奈の態度は変わらない。
「ついこの前まで童貞だった奴が盛ってんなよ。」
「何それ!てゆーか盛ってないし。高校入学して何回も凜ちゃんち行ってるけどまだ1回もヤッてないもん、ね?」
と、凜に話を振った。
:09/01/30 13:24 :SH901iC :ppkzlLQA
#25 [ゆーちん]
「ね、って何よ。私に聞かないで。しかも、そういう恥ずかしい話をファミレスでしないでくださーい。」
面倒臭そうな顔をした凜ちゃん。
すると大輝が苦笑いをしながら呟いた。
「恥ずかしい、って…凜ちゃんそういうキャラだったっけ?」
:09/01/30 13:25 :SH901iC :ppkzlLQA
#26 [ゆーちん]
「確かにねー…。」
と、竜も続いた。
「どういう意味?」
俺が聞くと、大輝は答えた。
「転校して来た最初の頃は、教室で童貞とかSEXとか普通に声に出してたのに。だからそういうのは恥ずかしくない人なのかと思ってた。」
あー…そんな事もあったね。
:09/01/30 13:26 :SH901iC :ppkzlLQA
#27 [ゆーちん]
なんて懐かしんでいると凜が髪をカサッと、かきながら答えた。
「何でだろ。全然恥ずかしくないはずだったんだけど…厄介な彼氏が出来てから、私性格変わっちゃったみたいなの。」
そう言って笑った、凜のその笑顔が答えの全てだ。
:09/01/30 13:27 :SH901iC :ppkzlLQA
#28 [ゆーちん]
全く笑わなかった凜が、こんなに可愛い笑顔を咲かす。
「俺に冷たい部分は変わらないじゃんかー。」
「そう?優しくなったはずなんだけどな。」
「ノロケんな、バカ心。」
あんなにとがってた凜は、あの島に来て本当、丸くなった。
嬉しいよ、彼氏として…島の人間として。
:09/01/30 13:27 :SH901iC :ppkzlLQA
#29 [ゆーちん]
ファミレスを出た頃には、すっかり辺りが暗くなっていた。
「寒い〜!」
香奈も凜も短いスカートから細い足を覗かせている。
見ているこっちが寒い。
「私そろそろ寮帰るね。」
と、香奈。
:09/01/30 13:28 :SH901iC :ppkzlLQA
#30 [ゆーちん]
「俺も帰るわ。大輝と心は?」
「俺も帰るー。寒すぎ!」
「心は?」
「俺、凜ちゃん送って帰るから先に帰ってて。」
『別にいいよ。』と遠慮する凜ちゃんの言葉は無視。
ちゃーんと送り届けないと俺のプライドが許さないんだよね。
:09/01/30 13:28 :SH901iC :ppkzlLQA
#31 [ゆーちん]
「んじゃ、またな。」
「バイバイ!」
「また集まろうね。」
香奈、凜と大輝、そして俺と凜ちゃん。
三方向にそれぞれ歩き出した。
みんなが見えなくなったところで俺らは手を繋いだ。
:09/01/30 13:29 :SH901iC :ppkzlLQA
#32 [ゆーちん]
「凜ちゃんの手、いつも冷たいねー。」
「そう?」
「俺がいつでも温め‥」
「調子乗ってると海に沈められるよ。」
「…。」
「アハハッ。」
凜ちゃんが小さく笑った。
:09/01/30 13:30 :SH901iC :ppkzlLQA
#33 [ゆーちん]
可愛い。
嬉しい。
幸せ。
だんだんと凜の手が暖まって来たというところで、マンションに到着。
:09/01/30 13:30 :SH901iC :ppkzlLQA
#34 [ゆーちん]
「上がってく?」
「いいの?」
「ダメって言っても来るんでしょ。」
尻尾を振りながら凜に続いて部屋へと入った。
「お邪魔しまーす。」
いつ来ても思うんだ。
…広い。
一人暮らしにしては広すぎるよ、この部屋は。
:09/01/30 13:31 :SH901iC :ppkzlLQA
#35 [ゆーちん]
寂しくないのかと聞いても、『平気。』の一点張り。
絶対寂しくないわけない。
「何か飲む?」
凜の部屋は、杉浦のじいちゃん家にいた部屋と同じ匂いがする。
「うん。」
「コーヒー、紅茶、ココア。どれにする?」
キッチンからの凜の質問に『ココア。』と答えた。
:09/01/30 13:33 :SH901iC :ppkzlLQA
#36 [ゆーちん]
数分後には、凜が作ってくれた温かいココアを飲む俺がいる。
俺の隣には、この甘くて美味しいココアを作ってくれた凜ちゃんがいて。
この上ない幸せを感じながら、少しだけ体を凜に寄り添わせた。
「この前、美帆と遊んだんだけど、益々レゲエ一色な感じになって来てたよ。」
:09/01/30 13:34 :SH901iC :ppkzlLQA
#37 [ゆーちん]
そういえば美帆の部屋、レゲエちっくだったっけ。
美帆の部屋に行ったのって確か…あぁ、そうだ。
凜ちゃんが島を出るって俺に言った日だ。
バレンタインだったよな。
たった2ヵ月前なのに、何十年も前に思える。
:09/01/30 13:34 :SH901iC :ppkzlLQA
#38 [ゆーちん]
あの日、美帆に喝を入れてもらってなかったら俺は今頃この部屋にいないかもしんない。
マジ、美帆には感謝だわ。
「Bガールって言うの?超似合ってたよ。」
「そっかぁ。美帆って香奈と同じ高校だよな。」
:09/01/30 13:38 :SH901iC :ppkzlLQA
#39 [ゆーちん]
「うん。でも科が違うからなかなか会わないらしいよ。私も澪や千夏と同じ学校だけど、科が違うせいで滅多に会わないもん。」
少しずつココアを飲みながら、他愛もない会話をする。
:09/01/30 13:39 :SH901iC :ppkzlLQA
#40 [ゆーちん]
ココロが落ち着くっつーか、安らぐっつーか、癒されるっつーか。
俺にとって凜ちゃんは、もう必要不可欠な存在なんだよね。
:09/01/30 13:39 :SH901iC :ppkzlLQA
#41 [ゆーちん]
「凜ちゃん。」
「ん?」
「超好き。」
「…心くん、いきなり話し飛んだね。」
冷たかった体はココアで温まった。
飲み干した空っぽのコップをテーブルに置く。
:09/01/30 13:41 :SH901iC :ppkzlLQA
#42 [ゆーちん]
寂しくなった自分の手は、愛しい人の小さな手へと向かう。
凜の手も…温まっていた。
「キスしていい?」
飲みかけのココアが入ったコップをテーブルに置いた凜は笑いながら言った。
「やだ。」
そう呟いたくせに、俺の唇に自分の唇を重ねて来た。
:09/01/30 13:41 :SH901iC :ppkzlLQA
#43 [ゆーちん]
触れただけのキスは、どんどん加速していく。
舌が行き来するキスは、ココアの味がした。
「甘いキスって、こういう事?」
上目になりながら、ニッと笑った凜ちゃんに胸ズキュン。
:09/01/30 13:42 :SH901iC :ppkzlLQA
#44 [ゆーちん]
高校生になって、益々大人っぽくなったし…色っぽくなった俺の彼女。
そんな顔されると、止まんないんだけど。
「ファーストキスはココアの味ぃ〜。」
:09/01/30 13:43 :SH901iC :ppkzlLQA
#45 [ゆーちん]
「別にファーストキスじゃないし?」
「あ、そっか。」
「…バカ心。」
再び交わしたキス。
やっぱり甘い甘いココアの味がした。
:09/01/30 13:43 :SH901iC :ppkzlLQA
#46 [ゆーちん]
「…ねぇ。」
いきなり離れた凜の唇。
「ん?」
「明日バイト?」
「そうだよ。」
「友達と行くかも。」
ニッと笑って、再び俺の唇を塞いだ凜。
「…っ!マジ?」
慌てて唇を離した。
:09/01/30 13:45 :SH901iC :ppkzlLQA
#47 [ゆーちん]
「うん。友達が行きたいって言うからさ。」
「緊張するから!やめて!来ないで!」
「何でよ。心が働いてるところ見たいんだもん。」
「そんなの見なくても別にいいじゃんかー。」
「もう行くって決めたんだから。」
「えぇ〜。明日休もっかなぁ。」
:09/01/30 13:45 :SH901iC :ppkzlLQA
#48 [ゆーちん]
すると凜は優しく笑ってくれた。
「私だって心、好きだよ。好きだから見たいんじゃん。」
あぁー、もうさ。
そんな可愛いこと言われたら、ダメなんて言えないでしょ。
:09/01/30 13:46 :SH901iC :ppkzlLQA
#49 [ゆーちん]
わざと?
作戦?
俺、凜ちゃんにコントロールされてる?
まぁでも凜ちゃんになら操られても、文句はないけどね。
:09/01/30 13:46 :SH901iC :ppkzlLQA
#50 [ゆーちん]
「あんまジロジロ見ないでよ?」
「はいはい!」
その日、数えきれないくらいのキスを交わしてから凜のマンションを後にして、島に戻った。
離れ離れだけどさ、何だかんだで楽しくやってるよ。
:09/01/30 13:48 :SH901iC :ppkzlLQA
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