冷たい彼女〔続編〕
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#351 [ゆーちん]
「今日の夕方、お父さんとお母さん帰ったよ。」

「もう?一日しか居れなかったんだ。」

「忙しいみたいだから。」

「楽しかった?」

「んー、普通。」

「そ。普通が1番だよ。」

「…変態の心にそんな事言われても説得力ない。」

⏰:09/02/06 13:29 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#352 [ゆーちん]
日中は賑わう海辺も、夜は驚くぐらい静かになる。


民宿などないこの島は日帰りで海に遊びに来る観光客がほとんどだから。


そんな静かな海に、凜と俺の笑い声が響く。


波音も混ざって、すごく心地いい。

⏰:09/02/06 13:29 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#353 [ゆーちん]
「久しぶりに会ったのに、緊張ってゆーか…変に遠慮とかしてぎこちなかったなぁ。」


凜はいきなり反省会を開き出した。


「そうなんだ。」

「心の事、結局紹介できなかった。」

「また次でいいよ。」

「次?次いつ会えるかわかんないんだよ?また1年後かもしんないし…それまで別れないで一緒にいられる?」

⏰:09/02/06 13:31 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#354 [ゆーちん]
凜が意地悪な顔で笑った。


「俺は凜ちゃんと同じ墓に入るつもりだから。」


「ふーん…あっそ。」


これが凜の愛情表現。

⏰:09/02/06 13:32 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#355 [ゆーちん]
ちょっと突き放す言葉を言い、俺は縋り付く言葉を返す。


そして凜は笑う。


それが彼女の愛情表現なんだと俺は思っていた。


ちょっと難しい女の子だけど、それがたまらなく俺のツボ。


本当、凜以外の女なんか考えらんねぇもん。

⏰:09/02/06 13:33 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#356 [ゆーちん]
「私は、お父さんとお母さんに、たった一年会ってないだけ。でもお父さんとおじいちゃん達はもっと会ってない訳じゃん。」

「うん、まぁ。」


今まで凜を連れて里帰りをしなかった話を聞くと、少なくとも十年以上は会ってなかったのかもしれない。

⏰:09/02/06 13:34 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#357 [ゆーちん]
「なのに普通なの。すっごく自然。私が変に緊張しすぎちゃってたのかも。」

「そっかぁ。でもまぁ仕方ないよ。」

「仕方ないのかな。3人で住んでた頃、どんな風に接してたのか思い出せなくて。私、変かな?」

⏰:09/02/06 13:34 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#358 [ゆーちん]
「全然。そんな緊張とかしちゃうのも含めて凜ちゃんなんだから。ご両親は気にしてないよ、きっと。久しぶりに娘に会えて喜んでただろ?」

「うん、まぁ喜んでたけど…。」

「じゃあ気にしない、気にしない!」

⏰:09/02/06 13:35 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#359 [ゆーちん]
珍しくクヨクヨしている凜を見て、勝手に体が動いてた。


小さな凜の肩を抱きしめている俺の左手。


凜も嫌がらず俺にもたれ掛かってくれている。


「今日きっとヘコむんだろうと思って昨日のうちから心と会う約束したの。正解だね、見事にヘコんじゃったよ。心のバカヅラ見て充電しないと。」

⏰:09/02/06 13:41 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#360 [ゆーちん]
親とぎこちなくなったりするのも、若さの特権だとか思わない?


同じ歳の親が言うのも変だけど思春期ってやつじゃないのかな。


いつか笑って話せる日が来ますようにと俺は願った。

⏰:09/02/06 13:42 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#361 [ゆーちん]
●○●○●○●

お知らせもあるので
感想板覗いてみて
下さいm(__)m

>>2

●○●○●○●

⏰:09/02/06 13:43 📱:SH901iC 🆔:ML7ZPUMw


#362 [我輩は匿名である]
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400

⏰:09/02/06 20:35 📱:N906imyu 🆔:wPzLyXME


#363 [我輩は匿名である]
>>50-100
>>100-150
>>150-200
>>200-250
>>250-300
>>300-350

⏰:09/02/06 21:47 📱:W45T 🆔:wb.nVjyY


#364 [我輩は匿名である]
頑張ってください!★

⏰:09/02/12 11:44 📱:D905i 🆔:aYuFz4ys


#365 [我輩は匿名である]
かいてー

⏰:09/02/12 22:19 📱:N903i 🆔:☆☆☆


#366 [ゆーちん]
●○●○●○●

お待たせしました

少しずつですが
更新します

●○●○●○●

⏰:09/02/14 23:27 📱:SH901iC 🆔:ziY6sleA


#367 [ゆーちん]
○●○●○●○

女の悩み

○●○●○●○

⏰:09/02/14 23:37 📱:SH901iC 🆔:ziY6sleA


#368 [ゆーちん]
8月も残りわずか。


凜は夏休みが終わるまで島で過ごすらしく、俺はめちゃめちゃ嬉しかった。


そんな凜ちゃんと一緒に昼ご飯をトメ食堂で食べていると、トメばあちゃんが呟いた。

⏰:09/02/14 23:38 📱:SH901iC 🆔:ziY6sleA


#369 [ゆーちん]
「騒がしいのが来るな。」


俺は答えた。


「来るよ。とんでもない台風が。」


車の騒音が聞こえる。


お年寄りのトメばあちゃんでも聞こえるくらい、うるさい車。


そんな車で騒ぎ立てているのは、この島であの人しかいない。

⏰:09/02/14 23:39 📱:SH901iC 🆔:ziY6sleA


#370 [ゆーちん]
「トメばあちゃ〜んっ!」


勢いよく扉を開けて入って来た台風こと、佐奈ちゃん。


その後ろから、香奈も入って来た。


「佐奈かぁ?」

「そうだよ、ばあちゃん!私のこと忘れちゃった?」

⏰:09/02/14 23:39 📱:SH901iC 🆔:ziY6sleA


#371 [ゆーちん]
「長い事見てねぇから忘れたわ。」

「ひどいよばあちゃん。昔は毎日ここ来てたのに。」


佐奈とばあちゃんが話に花を咲かせている間、香奈は俺たちのテーブルに座って他愛もない話をする。


「あ、そうそう。私と佐奈ちゃん、今日フェリーで本島帰るよ。凜は夏休み終わるまでいるんでしょ?」

⏰:09/02/14 23:40 📱:SH901iC 🆔:ziY6sleA


#372 [ゆーちん]
たまらなくハッピーな気分。


うるさい姉妹が本島に帰る。


つまり平和になる。


イコール凜ちゃんにいちゃつける!


なーんて頭の中をピンク色にしていると、何かに感づいた佐奈は俺の頭を殴りに来た。

⏰:09/02/15 09:30 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#373 [ゆーちん]
「私達いないからって凜ちゃんに変な事すんじゃないよ。」

「いってぇ!佐奈ちゃんいつのまに来たの。今の今までばあちゃんと喋ってたじゃん。」

「お前が鼻の下伸ばしてる間に来たんだよバカ!」


もう一発殴り終えると、佐奈ちゃんも俺の隣に座った。

⏰:09/02/15 09:31 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#374 [ゆーちん]
「それより、澪はどうなったの?」


佐奈は漬け物を食べながら、凜と香奈に行った。


すると2人の表情が一転。


香奈は目が大きくなった。


「佐奈ちゃん!」

「え?」

⏰:09/02/15 09:33 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#375 [ゆーちん]
「心、いるから。」


凜が気まずそうに佐奈に言う。


「あっ…そういう事。ごめん。」


佐奈も感づいたらしく急にしおらしくなった。


何とも気になるやり取り。

⏰:09/02/15 09:33 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#376 [ゆーちん]
「…俺、邪魔?」


そう言うと3人共『そうだよ。』って目で俺を見るんだもん。


へこむよね。


「外で待ってるよ。」

⏰:09/02/15 09:34 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#377 [ゆーちん]
自ら席を立とうとした時、急に服の裾に体重がかかった。


「へ?」


真面目な顔をした佐奈が、引っ張っていたのだ。


「心、即答しろよ?」

「はぁ?」


俺に考える隙を与えない間に、佐奈の質問が飛んで来た。

⏰:09/02/15 09:36 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#378 [ゆーちん]
「凜ちゃんに子供ができたって言ったら、心どうする?」

「…ほえ?」

「妊娠3ヵ月。どうする?」


凜の方を見たが、いつもの冷たい表情だった。


「…ほっ、本当に?どどどうしよ…えっ、妊娠?俺パパ?えぇーっ!」

⏰:09/02/15 09:37 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#379 [ゆーちん]
頭の中で色んな場面が流れた。


凜と出会った日から、キスをした日、初めてSEXした日、笑った日、泣いた日…。


てゆーかパニック状態で何がなんだか。


「心は、赤ちゃんできたって言われたら嬉しい?」

「うっ、嬉しいよ!当たり前じゃん。でも現実的に考えればラーメン屋のバイトじゃ凜ちゃんと赤ちゃん養えないね。学校辞めて就活するしかないのか…。」

⏰:09/02/15 09:38 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#380 [ゆーちん]
佐奈が真面目に質問するから、真面目に考えたのに…。


「フフッ。」


凜が笑った。


「え?」

⏰:09/02/15 09:39 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#381 [ゆーちん]
笑っている凜の肩をポンポンと叩いた香奈が言った。


「単純なんだね、凜さんの彼氏。」


ん?


「心、よく言った。あんたは合格。」


なぜか佐奈から合格を頂いた。


「何?どういう意味?」

「心、ごめん。ちょっと男の反応ってのを見てみたくて、試したの。」

⏰:09/02/15 09:39 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#382 [ゆーちん]
佐奈の言ってる意味がさーっぱりわからない。


「試した?」

「世の中の男がみんな、あんたぐらい素直だったらいいのにな。」

「佐奈ちゃん、俺よくわかんないんだけど…」

⏰:09/02/15 09:40 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#383 [ゆーちん]
すると凜は言った。


「よく考えてみなよ。3ヵ月前、私とSEXした?」


7月、6月、5月…。


「あっ、してない。」

「SEXしてなきゃ妊娠もしてないよ。」

「へ?妊娠してないって…えっ、嘘?冗談なの?」

⏰:09/02/15 09:41 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#384 [ゆーちん]
やっと気付いたか、と香奈は大笑いしていた。


何、俺騙されたの?


テンション上がり損?


「嘘なの?ねぇ、妊娠してないの?」

「うん。佐奈ちゃんが言ったでしょ?男の反応ってのを試したって。」

「何それ〜。俺すっげぇ興奮したのにぃ。凜ちゃんのウエディングドレスまで想像しちゃったよ!」

⏰:09/02/15 09:41 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#385 [ゆーちん]
と、まぁ拍子抜けした俺。


そんな俺に佐奈は言った。


「澪の彼氏は、心みたいに喜ばなかったんだ。だから中絶も考えてる。でも産みたい気持ちもある。心が言ったように現実的に考えると金銭的に苦しい。命が関わってる事だからさ、澪も悩んでるんだよ。」

⏰:09/02/15 09:42 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#386 [ゆーちん]
あっさり言い終わった佐奈は、また漬け物を頬張る。


俺が理解するのに、佐奈は漬け物を3度口に運んだ。


「澪、妊娠したの?」

「理解するの遅い。バカ。」


やっと理解できたのに、佐奈に叱られた。

⏰:09/02/15 09:43 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#387 [ゆーちん]
「とりあえず澪は島の女にしか相談してないから、心は知らないフリしてなよ。心に言うつもり無かったけど、隠し事って私苦手でさぁ…」


あぁ、昔からそう。


佐奈に内緒話だよって言ったはずの話が次の日には流出。

⏰:09/02/15 09:44 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#388 [ゆーちん]
剛さんの時といい、隠し事が嫌いなようだ。


「私は隠し事が嫌いって澪もわかって相談したんだろうし、まぁ心に知られたところで澪は困ったりしないでしょ。島の人間だし。あっ、でもまだ竜や大輝にも言っちゃダメだからね。」

⏰:09/02/15 09:45 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#389 [ゆーちん]
一気に言い終わった佐奈。


漬け物もからっぽになり、佐奈は席を立った。


「私ちょっと澪んとこ行って来るわ。」

「じゃあ私も行く。」


そう言って香奈も立ち上がった。


西山姉妹はトメばあちゃんに挨拶して、食堂から出て行った。

⏰:09/02/15 09:46 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#390 [ゆーちん]
台風が過ぎ去った気分。


「凜ちゃん詳しく教えてくれる?」

「聞かれると思った。」


苦笑いした凜も立ち上がり、昼ご飯代をトメばあちゃんに支払い、食堂の外に出た。

⏰:09/02/15 09:47 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#391 [ゆーちん]
俺も慌てて凜を追い掛け、外に出る。


たまらなく熱い日差しが襲って来た。

⏰:09/02/15 09:48 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#392 [ゆーちん]
「今日は心の家に行きたいなぁ。」

「うん、いいよ。それより聞きたい事だらけなんだけど。」

「家についたら話すよ。」

「…うん。」


日影を歩く凜。


その隣を歩く俺。

⏰:09/02/15 10:32 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#393 [ゆーちん]
「で、本当に妊娠してないの?」

「してない。」

「…なんか、つまんないの。」

⏰:09/02/15 10:33 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#394 [ゆーちん]
台風のような姉妹がなぜ食堂に来たのかが未だにわからない。


そんな中、俺の家につくともう一つの台風がいる事に気付いた。


「凜ちゃーん!いらっしゃい!」


ハイテンションママ。


「お久しぶりです。」

⏰:09/02/15 10:34 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#395 [ゆーちん]
「お盆に帰って来てたんですって?全然遊びに来てくれないから、心に愛想尽きたのかと思ってたの。」

「ちょっと忙しくて、なかなか来れなかったんです。すみません。」

「ううん!うちのバカ息子の世話をしてくれているってだけでも感謝しきれないのに、凜ちゃんが謝る事ないのよぉ。」

⏰:09/02/15 10:36 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#396 [ゆーちん]
何でうちの母ちゃんは凜を見ると、こんなに元気になるわけ?


勘弁してください。


「どうぞゆっくりして行ってね。そうだ!夕ご飯食べてく?今日の江森家のメニューはカレーライス。」


思わず2人で笑ってしまった。


母ちゃんは何の事かわからず、不思議そうな顔をしていた。

⏰:09/02/15 18:05 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#397 [ゆーちん]
そりゃそうだ。


カレーライスで吹き出すなんて、俺と凜にしかわからない冗談だからね。


「あら?凜ちゃん、カレーライス嫌い?」

「いえ、大好きです。」

「じゃあ一緒に夕ご飯食べましょ?」

「はい、是非。」

⏰:09/02/15 18:06 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#398 [ゆーちん]
「夕ご飯いらない、って凜ちゃん家には、おばちゃんが電話しておいてあげる。」

「色々とすみません。」

「いいのよ!それじゃあ夕ご飯までゆっくりしてってね。」

「ありがとうございます。」


母ちゃんと凜の会話、終了。

⏰:09/02/15 18:07 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#399 [ゆーちん]
凜は俺の部屋に入った途端、声を出して笑った。


「タイミング良すぎだよ、心のお母さんっ!」

「まさかカレーライスとはねぇ。」


しばらくカレーライスネタで笑っていると、凜は扇風機の前に座って、さっきの話しを詳しく教えてくれた。

⏰:09/02/15 18:08 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


#400 [ゆーちん]
佐奈が言ってた内容とさほど変わらなかったけど、凜が丁寧に教えてくれたおかげで、やっと理解できた。


澪は妊娠3ヵ月。


彼氏は出産に反対だが、澪は産みたい。


だけどお金や将来を考えると不安だらけ。

⏰:09/02/15 18:17 📱:SH901iC 🆔:7e12d.8w


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