冷たい彼女〔続編〕
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#81 [ゆーちん]
30分前。
香奈に俺がここでバイトをしていると聞いた佐奈は、久しぶりの再会にも関わらず、開口1番は『つーか聞いてよ!』だった。
『あ、佐奈ちゃん久しぶり。』と俺が言う前に、彼氏の剛さんに浮気をされたと言いながら一人でカウンターに座る。
:09/01/31 17:33
:SH901iC
:27oj1HQU
#82 [ゆーちん]
女の子が一人でラーメンなんて珍しい。
…なんて驚きは、まだ可愛いものだった。
俺に愚痴をこぼしながら簡単に平らげたラーメン。
:09/01/31 17:33
:SH901iC
:27oj1HQU
#83 [ゆーちん]
まだ足りないとおかわりしたラーメンも平らげた佐奈。
そしてただ今3杯目。
軽々と食べていく。
:09/01/31 17:34
:SH901iC
:27oj1HQU
#84 [ゆーちん]
30分で3杯って…。
「あぁ〜、ごちそうさま。まぁまぁお腹膨らんだわ。」
痩せの大食いとは佐奈の事だ。
3杯目のスープまで飲み干して、まだ足りないと?
:09/01/31 17:35
:SH901iC
:27oj1HQU
#85 [ゆーちん]
「心。」
「はい。」
「凜ちゃんとまだ付き合ってんの?」
「うん、付き合ってます。」
佐奈と凜ちゃんは、去年対面済みらしい。
:09/01/31 17:36
:SH901iC
:27oj1HQU
#86 [ゆーちん]
佐奈と香奈は仲いいし、香奈と凜も仲いいし、そりゃ嫌でも仲よくなるわな。
って、問題はそこじゃないよ。
佐奈の様子…おかしいんですけど。
「はぁ?てめぇごときの男だけで凜ちゃんの青春終わらせるつもり?」
:09/01/31 17:36
:SH901iC
:27oj1HQU
#87 [ゆーちん]
はじまったよ…。
久しぶりだわー、怒鳴られるの。
香奈とはまた違う叱り方っつーか。
「いやー、あはは…」
「あははじゃねぇよ。海に沈めんぞ?」
:09/01/31 17:39
:SH901iC
:27oj1HQU
#88 [ゆーちん]
香奈にも昔沈められかけたっけ。
懐かしいー、あはは。
「佐奈ちゃん、酔ってる?」
「酔ってるわけねぇーだろぉー!バカ心がぁ!」
絶対酔ってる。
:09/01/31 17:39
:SH901iC
:27oj1HQU
#89 [ゆーちん]
シラフでここまで暴れるのおかしいじゃん。
ラーメン屋来る前に絶対飲んでたんだよこの人。
あぁーもう泣きそうです。
助けて…。
:09/01/31 17:40
:SH901iC
:27oj1HQU
#90 [ゆーちん]
店が暇でよかった。
これで忙しかったら、他のお客さんから苦情だらけだったかも。
「ごめん、佐奈ちゃん。俺もう上がりだから一緒に帰ろう。」
「はぁ?何で心と帰んなきゃいけない訳?意味わかんねぇこと言ってると〜…あぁー、眠くなって来た。」
:09/01/31 21:00
:SH901iC
:27oj1HQU
#91 [ゆーちん]
マジ、げんなり。
今、怒ってたじゃん。
何でいきなり眠くなる?
酔っ払ってるなら酔っ払ってるって早く言ってよ、もぉ。
:09/01/31 21:01
:SH901iC
:27oj1HQU
#92 [ゆーちん]
「心ちゃん心ちゃん!」
「はい…何ですか?」
「凜ちゃんナイスバディーでしょ?よかったね〜アハハハッ!」
もうやだ、この人。
:09/01/31 21:01
:SH901iC
:27oj1HQU
#93 [ゆーちん]
マスターに上がっていいと言われ、俺は着替えを済ませて店内に戻った。
「お待たせ…って、寝てるよ。」
絶っ対酔ってたな。
間違いない。
:09/01/31 21:09
:SH901iC
:27oj1HQU
#94 [ゆーちん]
「江森の彼女?」
カウンターの奥からバイト仲間が俺に聞く。
「俺の彼女はラーメン3杯も食べないっす。」
「へ?」
「いえ、別に。お疲れ様でした、お先です。」
:09/01/31 21:09
:SH901iC
:27oj1HQU
#95 [ゆーちん]
佐奈の肩を組んで、俺らは店から出た。
とりあえず香奈に電話。
「…電源が入っておりません、って何で電源切ってんだよ!」
:09/01/31 21:10
:SH901iC
:27oj1HQU
#96 [ゆーちん]
香奈に連絡がつかない。
って事は、もう頼れるのは凜しかいない。
「もしもし。」
「あ、凜ちゃん?いま家?」
「そうだけど。来るの?」
「俺じゃなくて…佐奈が。」
「佐奈ちゃん?」
:09/01/31 21:11
:SH901iC
:27oj1HQU
#97 [ゆーちん]
凜に事情を話し、とりあえずマンションに向かうと告げた。
途中、凜も迎えに来てくれて、部屋まで2人で一緒に運んだ。
「香奈と連絡つかねーし、俺、佐奈の家わかんないからさ。」
:09/01/31 21:11
:SH901iC
:27oj1HQU
#98 [ゆーちん]
「私も知らない。会うのはいつも外だったし。」
「今日一晩だけ泊めてやってくれる?酒入ってて起きそうにないわ。」
:09/01/31 21:12
:SH901iC
:27oj1HQU
#99 [ゆーちん]
酒飲んで、ラーメン食べて、騒いで叫んで、寝た。
そんな迷惑極まりない佐奈。
自己チューで嫌な奴かと思うかもしんないけど、本当はすっごくいい奴なんだ。
:09/01/31 21:13
:SH901iC
:27oj1HQU
#100 [ゆーちん]
香奈と一緒だよ。
根はすごくいい奴。
昔から一緒だから俺は知ってる、佐奈のいいところ。
佐奈の言う通り、小さい頃は弟のように可愛がっててもらったし、いくらキツい事言われても本音じゃないのはわかってる。
:09/01/31 21:13
:SH901iC
:27oj1HQU
#101 [ゆーちん]
冗談っつーか、ノリだよな、西山姉妹特有の。
キツい事言ってるけど、本当はナイーブな姉妹なんだよ。
:09/01/31 21:13
:SH901iC
:27oj1HQU
#102 [ゆーちん]
「もちろん。私はいいけど…佐奈ちゃん大丈夫かな?」
「佐奈が?」
「彼氏が浮気したんでしょ?そりゃ荒れるよねー。」
「剛さんって言ったかな、彼氏の名前。」
「剛さんとまだ付き合ってたんだ。」
「まだって…そんなに長いの?」
:09/01/31 21:15
:SH901iC
:27oj1HQU
#103 [ゆーちん]
凜によると、佐奈と剛さんはもうかれこれ5年の付き合い。
佐奈が高校1年の時から付き合っていて、喧嘩をするたび別れ、でもまた付き合って…。
それの繰り返しだったらしい。
そんな長年過ごして来た剛さんに浮気をされちゃ…そりゃ荒れるな。
:09/01/31 21:16
:SH901iC
:27oj1HQU
#104 [ゆーちん]
「まぁ、とりあえず一晩寝たら落ち着くだろうから、今晩よろしくね。」
「うん。」
「ごめんね。」
「何で謝るの。誰も悪くないよ。それよりフェリーの時間大丈夫?」
:09/01/31 21:16
:SH901iC
:27oj1HQU
#105 [ゆーちん]
時計を見ると、時間が迫って来ていた。
「あぁー、やばい。んじゃ帰るね。」
「気をつけなよ。」
凜に玄関まで見送ってもらい、俺は島に帰る為にフェリー乗り場まで急いだ。
:09/01/31 21:17
:SH901iC
:27oj1HQU
#106 [ゆーちん]
翌日。
いつものようにフェリーに乗りながら登校していた時だった。
凜からの着信。
「おはよー。」
「おはよ。朝から元気だね。」
相変わらず、朝はテンションの低い凜。
「大輝のがテンション高いけどね。それより佐奈は?」
:09/02/01 15:14
:SH901iC
:lGeUBDQs
#107 [ゆーちん]
「さっき帰った。やっぱりお酒飲んでたみたいで心に会ったの覚えてないって。」
凜は小さく笑った。
いやいや、笑い事じゃないっすよ。
大変だったんだよ、俺。
なのに佐奈ちゃん、覚えてないって…酷すぎ。
:09/02/01 15:14
:SH901iC
:lGeUBDQs
#108 [ゆーちん]
「信じられないんですが。」
「ドンマイだね。佐奈ちゃん、起きた瞬間に叫んでたよ。ここどこーって。」
「そりゃ覚えてないなら、自分のいる場所わかんねぇわな。」
「昨日の事話したら、ラーメンなんか食べてないって言ってたけど?」
:09/02/01 15:15
:SH901iC
:lGeUBDQs
#109 [ゆーちん]
いやいや。
食べてないとは言わせないよ。
3杯も食べといて、記憶にないと?
「でも剛さんが浮気したって騒いでたのは覚えてたみたいで、剛に会うって言って慌てて帰ってったよ。」
「そっか。まぁ何にせよ、ありがとうね。」
「いいえ。」
:09/02/01 15:15
:SH901iC
:lGeUBDQs
#110 [ゆーちん]
凜との電話が終わる頃、本島に着いた。
本島のフェリー乗り場から学校まで、竜と大輝と歩きながら昨日の事を話した。
竜も大輝も大笑い。
「さすが西山佐奈。」
「そういうマシンガン的なとこ、変わってないねー佐奈。」
:09/02/01 15:31
:SH901iC
:lGeUBDQs
#111 [ゆーちん]
「俺のとこ来てラーメン3杯食べたの覚えてないのは、ある意味バカでしょ?」
「あぁー、確かに。」
「バカっつーか、佐奈はやる事が昔から極端なんだよな。」
「だよな。やけ食いにも限度があるっつーの。」
:09/02/01 15:32
:SH901iC
:lGeUBDQs
#112 [ゆーちん]
竜と大輝で佐奈の事を話しながら盛り上がった。
佐奈がいない時は呼び捨てにしている俺らだけど、実際、本人がいたら絶対呼び捨てなんかしない。
つーか、できない。
:09/02/01 15:32
:SH901iC
:lGeUBDQs
#113 [ゆーちん]
島の男はみんな佐奈にビビってたんだ、小さい時から。
昔から怖くって逆らうと絶対泣かされてた。
女王様って感じ。
だから逆らう気は更々ない。
そんな女王様の暴走っぷりも、なんだか愛着があるっつーか…憎めないんだよね。
:09/02/01 15:33
:SH901iC
:lGeUBDQs
#114 [ゆーちん]
いつも通り学校を終え、放課後はバイトだった。
そして昨日と同じ時間、また佐奈が来た。
「おっすー、心、久しぶり!」
「いらっしゃいませ、佐奈ちゃん。久しぶりじゃないよ、昨日会ったんだから。」
:09/02/01 15:34
:SH901iC
:lGeUBDQs
#115 [ゆーちん]
佐奈の元に水を運んだ。
「らしいね。でも私、覚えてないんだわ。」
いきなり水を飲み干して、お変わりを要求。
俺はコップに水を注いだ。
:09/02/01 15:34
:SH901iC
:lGeUBDQs
#116 [ゆーちん]
「今日も酔ってんの?」
「バカ心。酔ってないよ。しょうゆラーメン1つ。」
「…はい。」
:09/02/01 15:35
:SH901iC
:lGeUBDQs
#117 [ゆーちん]
厨房にオーダーを通してから、佐奈が座るカウンターの近くで無理矢理仕事を作った。
何か働いてないと、ただ喋ってるだけじゃマスターに叱られるからね。
「起きたら知らない部屋だからマジびびったわ。凜ちゃんの部屋行った事ないからさ。」
:09/02/01 15:36
:SH901iC
:lGeUBDQs
#118 [ゆーちん]
「頑張って運んだんだよー、酔い潰れた佐奈ちゃんを。」
「いやー、悪かったね。今日は詫び入れるついでにラーメン食べに来たの。」
「…それより剛さんと仲直りした?」
その質問に、佐奈の態度は急変した。
:09/02/01 15:36
:SH901iC
:lGeUBDQs
#119 [ゆーちん]
「…してないよ、あんな奴。今度こそもう本当に終わりだね。」
不機嫌になった佐奈。
「そっか。」
何も言えない俺。
「浮気される為に、5年も一緒にいた訳じゃないっつーの。」
:09/02/01 16:14
:SH901iC
:lGeUBDQs
#120 [ゆーちん]
そう呟いた佐奈は俺が初めて見た、弱った佐奈だった。
こんな悲しんでいる佐奈は生まれて15年、一度たりとも見た事はなかったから…俺まで弱ってしまう。
「浮気疑惑は過去にもあったの。でも勘違いだった。だけど今回は…正真正銘の浮気だよ。腹立つって言うより、情けない。今まで気付かなかったんだもん、私。」
:09/02/01 16:15
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