冷たい彼女〔続編〕
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#241 [ゆーちん]
小さな声で凛が呟いた。
「え?」
「ヤキモチ妬いちゃう…千夏に。」
「誰が?」
聞かなくてもわかるのに、俺ってば鈍感で女心のわからない奴で…ちょっと意地悪だから。
:09/02/04 18:20 :SH901iC :LN85bOO.
#242 [ゆーちん]
「私が!もう、何でわかんないのかな?」
ごめん、凛ちゃん。
何となくわかってんだけど、凛ちゃんが照れてる姿なんか滅多に見ないから、すっげー可愛く思えてさ。
:09/02/04 18:20 :SH901iC :LN85bOO.
#243 [ゆーちん]
「じゃあ、これならいい?」
ネックレスの変わりに、見つけ出したのは入浴剤。
「これなら消耗品だし、ね?」
:09/02/04 18:21 :SH901iC :LN85bOO.
#244 [ゆーちん]
凛は急に恥ずかしくなったのか、俺の腕を掴んで、耳元で『心、ムカつく。』と言った。
だから俺は笑いながら謝った。
「ヤキモチの妬き方知ってたんだ。」
「…ウザい!」
:09/02/04 18:21 :SH901iC :LN85bOO.
#245 [ゆーちん]
「アハハ。可愛いね〜凛ちゃんは。」
「もう、ムカつく!鈍感すぎ!」
「ごめんね。心配しなくても俺は凛ちゃん以外の女の子なんか興味ないから。」
:09/02/04 18:22 :SH901iC :LN85bOO.
#246 [ゆーちん]
「それはそれで困る。」
「えぇ〜。」
ちょっぴり不機嫌な凛を家に送り届けてから、バイトに行く。
:09/02/04 18:22 :SH901iC :LN85bOO.
#247 [ゆーちん]
バイト中、またマスターに熱でもあるのか?と不思議がられた。
どうやら俺はニヤニヤしていたらしい。
:09/02/04 18:23 :SH901iC :LN85bOO.
#248 [ゆーちん]
だってさ、嬉しいじゃん。
凛ちゃんがヤキモチだよ?
鈍感な俺も悪いかもしれないけど、ヤキモチだってわかったときは涙が出るほど嬉しかったんだよ。
:09/02/04 18:24 :SH901iC :LN85bOO.
#249 [ゆーちん]
でも俺は泣かなかった。
どう?
ちょっとは大人になったでしょ?
:09/02/04 18:24 :SH901iC :LN85bOO.
#250 [ゆーちん]
そんな、幸せいっぱいの俺と、照れまくってた凛が、剛さんと佐奈との食事会を当日に迎えたのは3日後の事だった。
「今日は本当にありがとうございます。」
凛が剛さんに頭を下げると、『いやいや、こないだのお詫びだから頭なんか下げないでよ!』と自分も頭を下げていた。
:09/02/04 18:26 :SH901iC :LN85bOO.
#251 [ゆーちん]
なんか、性格の良さが滲み出てるよな、剛さんって。
「心。」
「ん?」
「私、なんで心の彼女が凛ちゃんなのか不思議でたまんないんだけど。」
:09/02/04 18:26 :SH901iC :LN85bOO.
#252 [ゆーちん]
「俺だって不思議だよ。佐奈ちゃんの彼氏が剛さんなんてー。」
「…どういう意味だ、コラ。」
「いや、別に。」
:09/02/04 18:27 :SH901iC :LN85bOO.
#253 [ゆーちん]
さっそく佐奈に殺されそうになったけど、なんとか交わして、とりあえず出発。
剛さんの運転は、佐奈と違って、なんだか落ち着いている。
いや、これが普通なのかも。
佐奈の運転が荒れすぎているだけだ。
:09/02/04 22:23 :SH901iC :LN85bOO.
#254 [ゆーちん]
「あ、凜ちゃんさー香奈に聞いたんだけど、お盆に島へ戻るんだって?」
佐奈が助手席から、後部座席の方を覗き込んで来る。
「うん、そうなの。どうせ帰ってくるならお盆においで、っておじいちゃんが。」
:09/02/04 22:24 :SH901iC :LN85bOO.
#255 [ゆーちん]
そうなんです。
凜が島へ里帰りする日が決まりました。
俺、今から超待ち遠しくてさ。
島に戻ってきたらカレー作ってもらいたいな。
凜のカレー、何だかんだで食べ損ねてるから…佐奈のせいでね。
:09/02/04 22:25 :SH901iC :LN85bOO.
#256 [ゆーちん]
「私と香奈もお盆に実家帰るんだ!フェリーの時間合わせて一緒に帰んない?」
「そうなの?うん、是非一緒に!」
佐奈と香奈、そして凜が一緒に里帰りか。
何か、凄いな。
:09/02/04 22:25 :SH901iC :LN85bOO.
#257 [ゆーちん]
すげぇ女が3人、鬼退治にでも来るのかよ。
…なんちゃって。
「剛さんは里帰りとかしないんっすか?」
俺が聞くと、剛さんは『考え中〜。』と言って、笑ったんだ。
:09/02/04 22:26 :SH901iC :LN85bOO.
#258 [ゆーちん]
笑顔もクールっすね〜。
「剛は私が里帰りでいない間に、浮気相手とデートしないといけないから忙しいんだよね〜?」
「そうなんだよ。俺ってモテる男だからさ。」
「死ねばいいのに。」
笑顔の佐奈パンチを受けた剛さん。
:09/02/04 22:28 :SH901iC :LN85bOO.
#259 [ゆーちん]
浮気ネタをもう笑いにできるなんて、内面も外面も大人すぎて本当…リスペクトです、剛さん。
恋にも似た感情を剛さんに抱きながら、俺らを乗せた車は20分かけて目的地に到着した。
:09/02/04 22:29 :SH901iC :LN85bOO.
#260 [ゆーちん]
剛さんオススメのお好み焼き屋さん。
結構綺麗なお店だった。
:09/02/04 22:29 :SH901iC :LN85bOO.
#261 [ゆーちん]
店に入って、注文して、他愛もない話をしていると、出来立てのお好み焼きがテーブルの鉄板に乗せられる。
いただきますをして、4人はお好み焼きを頬張った。
本当に美味しくて、こんなお店を知っている剛さんを天才だと思った。
:09/02/04 22:41 :SH901iC :LN85bOO.
#262 [ゆーちん]
「めちゃくちゃ美味ぇ!」
「だろ?お好み焼きといえばこの店なんだよ。他にも知りたい店とかあったら、いつでも俺に聞いてねー。」
そうだ、剛さんはクラブやご飯屋に詳しいんだ。
知識豊富で、思いやりのある人で、カッコよくて…最高っすよ、剛さん。
:09/02/04 22:42 :SH901iC :LN85bOO.
#263 [ゆーちん]
お好み焼きを食べ終えて、店を移動した。
ゆっくりできるカフェ。
みんなそれぞれ飲み物を頼む。
「私イチゴパフェとカプチーノね。」
:09/02/05 10:19 :SH901iC :YIV4zkBU
#264 [ゆーちん]
えぇー…。
お腹いっぱいお好み焼き食ったじゃん。
まだ食べる気かよ、佐奈。
この間、ラーメン屋で1杯しか食べなかったのは、別にぶりっ子でも何でもなかったんだな。
:09/02/05 10:19 :SH901iC :YIV4zkBU
#265 [ゆーちん]
「相変わらずよく食べるね。」
「そう?心も何か食べなよ。剛のおごりだよ?食べなきゃ損!」
「いやー、俺はもうお腹いっぱいだし。」
:09/02/05 10:20 :SH901iC :YIV4zkBU
#266 [ゆーちん]
佐奈は凜にも『何かデザート食べたら?』と聞いていたけど、少食な凜はコーヒーだけでいいと言った。
「私、トイレ行ってくる。」
凜が席を立つと、佐奈も立った。
「私もついでに行っとこーっと。」
:09/02/05 10:28 :SH901iC :YIV4zkBU
#267 [ゆーちん]
女2人が席を立つ。
俺と剛さんの2人っきり。
おいおいおいおい!
緊張するじゃねーか。
剛さんと、憧れの剛さんと2人っきりなんてさ!
:09/02/05 10:28 :SH901iC :YIV4zkBU
#268 [ゆーちん]
「剛さん!」
「あいよ。」
「色々とお店詳しいんですよね?よかったら、またお勧めのお店教えて下さい。」
:09/02/05 10:29 :SH901iC :YIV4zkBU
#269 [ゆーちん]
煙草を吸いながら、剛さんは答えた。
「もちろん。」
クール!
カッコイイ!
そのお洒落なアゴ髭なんて、俺がしたらネタになりますよ。
:09/02/05 10:31 :SH901iC :YIV4zkBU
#270 [ゆーちん]
「あざーっす!俺、本島には昔からよく来てたんですけど、やっぱまだまだ知らない事だらけで。」
「そっか。俺は生まれも育ちもここだから、結構色々知ってんだわ。凜ちゃんとデートするのにお勧めスポットも教えてやっから安心しろ!」
:09/02/05 10:31 :SH901iC :YIV4zkBU
#271 [ゆーちん]
…一生ついて行きます、剛兄様。
「ありがとうございます!」
:09/02/05 10:32 :SH901iC :YIV4zkBU
#272 [ゆーちん]
凜と佐奈が戻ってきてからも、俺は剛さんの話に夢中になった。
コーヒーや、佐奈のイチゴパフェが運ばれてからも剛さんに夢中な俺。
だってさ、為になる話ばっかなんだもん。
剛さんお勧めの古着屋の話を聞いていると、いつの間にか佐奈はパフェを完食していた。
:09/02/05 10:33 :SH901iC :YIV4zkBU
#273 [ゆーちん]
「帰るか?」
剛さんがそう切り出したのは、みんなの飲み物がからっぽになって、コップの中の氷が溶け切った時だった。
嫌だとは言えない。
まだまだ聞きたい事はたくさんあったけど、ご馳走になった俺らは凜のマンションまで送り届けてもらった。
:09/02/05 10:33 :SH901iC :YIV4zkBU
#274 [ゆーちん]
明日は朝からバイトだから今日は凜の部屋にお泊り。
ラッキー。
幸せな事尽くしだな。
「美味しかったね〜お好み焼き。」
「うん。」
「さすが剛さんだよなー。」
:09/02/05 10:35 :SH901iC :YIV4zkBU
#275 [ゆーちん]
「心さ、剛さんにゾッコンラブすぎでしょ。」
凜が笑った。
「そう?」
「そうだよ。ずーっと剛さんの話、楽しそうに聞いてたし。今日あんまり私と目、合ってないよね。」
:09/02/05 10:36 :SH901iC :YIV4zkBU
#276 [ゆーちん]
「あれ?ヤキモチ?」
「バカ、違うよ。」
「剛さんにはヤキモチ妬かないの?」
「妬かない。」
「千夏には妬くのに?」
「もう!うるさいよバカ!」
:09/02/05 10:36 :SH901iC :YIV4zkBU
#277 [ゆーちん]
誰かにヤキモチを妬くだなんて事を知って以来、凜をからかってばかりだった。
そのたび、『あんな事言わなきゃよかった。』と恥ずかしそうにする凜が可愛くて…癖になっちゃうんだよな。
:09/02/05 10:37 :SH901iC :YIV4zkBU
#278 [ゆーちん]
「剛さんみたいな男になりたいな。」
「心は髭なんか似合わないよ。」
「…やっぱり?」
「自覚あるんじゃん。」
:09/02/05 10:38 :SH901iC :YIV4zkBU
#279 [ゆーちん]
「でも、剛さんは俺の憧れ。カッコイイも〜ん。」
「まるで好きな人を見るような目で、ずっと剛さんの事見つめてたから、まさか心、男が好きになったのかなって心配した。」
:09/02/05 10:38 :SH901iC :YIV4zkBU
#280 [ゆーちん]
好きだけど、それはまた違う【好き】だから。
凜と剛さんへの【好き】は種類が違う。
でもまぁ、わざわざそんな事言わなくてもわかってるだろうけど。
俺が1番好きなのは、大切なのは、愛してるのは凜ちゃんだって事。
:09/02/05 10:39 :SH901iC :YIV4zkBU
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