冷たい彼女〔続編〕
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#521 [ゆーちん]
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⏰:09/02/26 20:46 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#522 [ゆーちん]
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キョウダイ

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⏰:09/02/27 23:13 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#523 [ゆーちん]
『アメリカに行く事にする。』と言ったのは冬休みに入る1日前だった。


「ハタチになったら帰って来る。それまでも夏と冬には帰って来る。」

「うん。」

「だから…」

⏰:09/02/27 23:16 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#524 [ゆーちん]
どうやら江森家は遠恋家系らしいんだ。


父ちゃん達も遠恋だったけど、じいちゃん達も遠恋だったらしい。


最近知ったんだけどね。


「アメリカと日本。年に2回の帰国。3年後にはまた日本に戻って来る…んだよね?」

「…そ。」

⏰:09/02/27 23:18 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#525 [ゆーちん]
切なげな顔をする凜に言った。


「待ってるから。」


凜の顔はパッと明るくなった。


俺の一言なんかで。


「…いいの?」

「うん。夏と冬に帰って来てくれんなら俺大丈夫だから。」

「…本当に?」

⏰:09/02/27 23:20 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#526 [ゆーちん]
「俺には凜ちゃんしかいないから。」


今も不思議に思う。


凜みたいな美人で素敵な女の子が俺を好いていてくれてるって事。


嬉しいし自惚れちゃうし幸せだし…だけど疑問も多くて。


俺が彼氏でいいの?とかね。

⏰:09/02/27 23:21 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#527 [ゆーちん]
「よかった。嬉しい。別れようって言われるかもって覚悟してたんだ。」

「何の覚悟だよ。別れようなんて死んでも言わないし。」

「…ん。」


笑ってた凜。


だけど目元は潤んでた。

⏰:09/02/27 23:22 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#528 [ゆーちん]
俺は見て見ぬフリをして、凜にキスした。


目を閉じれば、泣いたってわかんないから。


凜は今、泣いてる?


俺は今、泣いてるよ。


キスが終わって目を開けると、きっと凜にまた泣いてる、って笑われるんだろうな。

⏰:09/02/27 23:23 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#529 [ゆーちん]
嬉しさとか寂しさとか不安、疑問、誓い、愛しさ…そんな全てが入り混ざったキスだった。


一生のさよならじゃないし、遠距離恋愛する自信だってある。


それなのに、なんでこんなに泣けて来るんだろう。

⏰:09/02/27 23:24 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#530 [ゆーちん]
数日後。


「いらっしゃ…あ、剛さん。佐奈ちゃんも。」


バイト先に愛しの剛さんと腐れ縁の佐奈が来てくれた。


「心くん久しぶり〜。俺、塩ラーメンね。」

「はい、佐奈ちゃんは何にする?」

⏰:09/02/27 23:37 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#531 [ゆーちん]
「心の本音。」


佐奈の声は俺の心臓に突き刺さった。


「へ?」

「あんたの本音を注文します。だから早く聞かせてくださーい。」


凜の事だろうか…


うん、きっとそうだ。

⏰:09/02/27 23:37 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#532 [ゆーちん]
「バイト終わりに電話するよ。」

「…そ、わかった。じゃあ変わりに味噌ラーメンね、私。」

「…了解。」


上手く笑えない俺に、剛さんは優しく微笑んでくれた。

⏰:09/02/27 23:43 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#533 [ゆーちん]
剛さんも知ってるんだ、凜の事。


俺の本音なんて聞かれても…別にない。


凜がアメリカで両親と暮らせる事はいい事なんだし、たまに会えるんだし、いずれ戻って来るんだし…


だから…

⏰:09/02/27 23:44 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#534 [ゆーちん]
バイト終わりに電話すると言っときながら、結局佐奈から連絡をもらった。


「バイト終わった?」

「うん、さっきは食べ来てくれてありがとね。」

「あんた今から剛んち来て…って場所知らないか。迎え行くからラーメン屋で待ってて。」

⏰:09/02/27 23:46 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#535 [ゆーちん]
と、いうわけでなぜか佐奈に迎えに来てもらい、剛さんの家に到着。


「お邪魔します。」

「あっ、おかえり〜。さっきはごちそうさま。」

「いえ、ありがとうございました。」


久しぶりの剛さんの家。

⏰:09/02/27 23:46 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#536 [ゆーちん]
適当に座れと佐奈に指示され、腰を降ろさせてもらうと、さっそく佐奈から質問が振り掛けられた。


「あんた本当は嫌なんでしょ?」

「…凜ちゃんのこと?」

「他に何があるのっ。」

⏰:09/02/27 23:47 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#537 [ゆーちん]
剛さんは黙って煙草を吸っていた。


「嫌じゃないよ。両親と暮らせるんだからイイ事だよ。」

「遠恋できんの?」

「できるよ。自信あるもん。メールや電話だってマメに取れば寂しくない。」

⏰:09/02/27 23:47 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#538 [ゆーちん]
「他に好きな女できたらどうすんの?」

「それはありえないから。」

「凜ちゃんが向こうで違う男に惚れたら?」

「俺に魅力がなかったんだよ。でももし本当にそうなったら絶対諦めない。俺、凜ちゃんしかいないもん。」

⏰:09/02/27 23:48 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#539 [ゆーちん]
照れも恥じらいもなかった。


ただ本音を答えるだけ。


なのになぜ苦しいのかな。


佐奈に質問され、答えるたびに泣きそうになる。


何が引っ掛かってんだろ。

⏰:09/02/27 23:48 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#540 [ゆーちん]
「あのさ、心くん。」


ずっと黙ってた剛さんが口を開いた。


「余計なお世話かもしんないけどパーティーしない?凜ちゃんの送別会。場所なら俺が用意するから。」

⏰:09/02/28 12:14 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#541 [ゆーちん]
「送別会?」

「うん。せっかくだから派手に騒いで笑顔で送り出してやった方がいいんじゃねぇ?」

「笑顔で…」

「俺が今、勝手に思い付いた案だから、迷惑なら遠慮せずに断ってくれていいよ。」

⏰:09/02/28 12:15 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#542 [ゆーちん]
「いいじゃん。やろうよ。で、そのパーティーで心、誓え。」

「誓えって何を?」

「みんなの前で宣言すんだよ。凜ちゃん以外の女は興味ないって。凜ちゃん嬉しいだろうし、あんただってたぶんケジメ付けれんでしょ。」

⏰:09/02/28 12:18 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#543 [ゆーちん]
それだ、って叫びたくなった。


ずっと引っ掛かってた何かが取れる気がした。


笑って凜を送り出してあげれそうな気がした。


「喜んでくれるかな?」


ウジウジしていた俺に、きっと佐奈はイライラしていたんだと思う。

⏰:09/02/28 12:19 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#544 [ゆーちん]
そんな俺に一問一答してくれて、自分の気持ちと向き合わせてくれた。


納得したのかしてないのかはわかんないけど佐奈の表情は、さっきより晴れていた。


「当たり前じゃん。ね、やろうよ。」

⏰:09/02/28 12:21 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#545 [ゆーちん]
そんなこんなでパーティー決定。


ちょっと落ち込みぎみだった気分も、少しはマシかも。


パーティーに向けての準備も楽しかったし、剛さんと会話するのも刺激的で気分も上がる。

⏰:09/02/28 12:21 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#546 [ゆーちん]
日時は凜がアメリカに経つ2日前の夕方に決まり、地元の奴らに声をかけて準備も手伝ってもらった。


竜や大輝はもちろん、島の同級生は全員に声かけた。


凜の高校の友達は千夏や澪に頼んで声をかけてもらう。

⏰:09/02/28 12:23 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#547 [ゆーちん]
当然、凜の耳に入らないわけがない。


私も準備するとかって騒いでたけど主役が準備しちゃ意味ないでしょ?


だから全力で拒否しておいた。


準備はしなくていい!って。


つまらなさそうに、でも嬉しそうに笑う凜が可愛かった。

⏰:09/02/28 12:24 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#548 [ゆーちん]
準備期間中、いろんな奴に心配された。


でも本当に大丈夫だから。


引っ掛かってるモヤモヤも送別会で解決するから、ちゃんと。


誓うから、本気で。

⏰:09/02/28 12:24 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#549 [ゆーちん]
バイトのシフトも減らそうと思ったけど、そればっかりはどうにもいかなかった。


何しろ寒い夜はラーメンが食べたくなるのが人間だからね。


店が忙しいので休んでる暇がなかったんだ。

⏰:09/02/28 12:27 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#550 [ゆーちん]
俺がバイトの時は、佐奈が陣切って頑張ってくれた。


大輝は彼女のデートより準備を優先してくれた。


理解ある彼女で感謝しないと。

⏰:09/02/28 12:27 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#551 [ゆーちん]
竜はバイトがない時は必ず手伝ってくれた。


「好きな女の子ほったらかしてていいの?」

「あの子も大事だけど凛ちゃんも大事だし。」

「ヘヘッ…そりゃどうも。」

⏰:09/02/28 12:28 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#552 [ゆーちん]
みんな優しかった。


積極的に手伝ってくれて本当に助かった。


パーティーの準備ばかりじゃなく凛との時間も大切にした。


毎日充実して、愛しさが増すばかりで…

⏰:09/02/28 12:30 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#553 [ゆーちん]
ある晩。


剛さんの家で佐奈と3人して、ビンゴゲームの景品を包装紙で包んでいた時だった。


「お腹痛〜い。」


佐奈がぼやいた。

⏰:09/02/28 13:22 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#554 [ゆーちん]
「アイス2個も食うからじゃん。」


そう言って笑った剛さん。


「だって食べたかったんだもん。」

「加減して食えよ。」

「冷たいなぁ、剛。彼女がお腹痛いって苦しんでるのにお説教?もう…トイレに引きこもってやる!」

⏰:09/02/28 13:23 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#555 [ゆーちん]
佐奈がトイレに立てこもった。


「あんな事言って、あいつ絶対うんちしてんだぜ?」


俺に笑いかけながら呟いた剛さん。


わがままで自由奔放な佐奈。


お似合いだと改めて思った。

⏰:09/02/28 13:24 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#556 [ゆーちん]
「大変でしょ、あの佐奈の彼氏って。」

「大変。すぐ浮気したって騒ぐし暴力的だし暴走人だし。」

「アハハ。」

「でも可愛いだろ?アイス2個食って腹壊すなんてさ。」

⏰:09/02/28 13:24 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#557 [ゆーちん]
剛さんの優しい笑顔は、何だか俺に安心感をくれる。


「なぁ心くん。」

「はい?」

「本当に大丈夫?不安な事とかあるんじゃねぇの?佐奈に言いにくいなら俺、話聞くし。男同士のが話しやすいかもしんねぇから。」

⏰:09/02/28 13:26 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#558 [ゆーちん]
この人はどこまでいい人なんだ。


佐奈は幸せもんだな、こんなカッコいい彼氏がいて。


「ありがとうございます。でも本当に大丈夫ですよ。」

「そ?ならいいけど。」

⏰:09/02/28 13:27 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#559 [ゆーちん]
「あぁ〜、俺が女だったら間違いなく剛に惚れてただろうなぁ。」

「えっ、困るよ。俺には手のかかる子いるから浮気なんてする暇ないもん。」

「アハハ。確かに。」

⏰:09/02/28 13:28 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#560 [ゆーちん]
キョウダイのいない俺にとって、佐奈も剛さんも、キョウダイみたいな存在だった。


安らぐんだ、すごく。


「心くん。俺、ちょっとパーティーでしたい事あんだけど。」

⏰:09/02/28 13:28 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


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