冷たい彼女〔続編〕

「グッバイ俺の春。」

香奈は大いに反応した。

「ちょちょちょちょ。竜、俺の春って…まさか別れたの？」

「うん。昨日フラれた。」

竜がフラれたってのに、４人で大笑いした。

だって竜ってば、フラれるって感じのキャラじゃないんだもん。

「未練は？」

「そんなのねぇよ。新しい恋して早く忘れるつもりだから。」

「ギャハハハ！」

バカ笑いする俺と大輝に、竜のキックが飛んで来たけど面白いもんは面白いんだよ。

「子沢山な家族作るのが夢なのに、なかなか思い通りにいきませんね竜さ～ん。」

「うるせぇよバカ心！」

「まじドンマイだね。香奈か凜ちゃんに女の子紹介してもらえば？」

大輝が提案した。

「探してあげるよ。うちの学校、彼氏募集の女だらけだし。」

香奈が協力してくれるらしく、商談成立。

その後もくだらない話をして笑ったり驚いたり叫んだり。

時間が来て、凜ちゃんと香奈を見送ってから、男３人で竜の失恋会をすることになった。

つっても島でできる事って言えばトメ食堂奢りぐらいだけど。

だからきんぴらごぼうとマーボー春雨を奢ってあげた。

美味い美味いって喜んでた。

そんな夏休み最後の日。

暑苦しい気候だったけど、とても楽しい１日だった。

それからしばらくして、２つの話が動き出した。

９月の中頃、竜は恋をした。

相手は香奈の紹介で知り合った女の子。

竜は見た目に似合わず惚れっぽい体質らしく、すぐに恋に落ちてしまったらしい。

「可愛いの？」

「可愛いっつーより、美人。」

「ほぉ～。いいじゃん、竜は可愛い子より美人の子のがお似合いだぞ。」

「そう？嬉しい事言ってくれんね大輝ちゃん。」

「竜って恋するとウザいキャラになるよね。」

「ウザい事言ってくれるね心ちゃん。」

「どういたしまして。」

朝のフェリー登校での光景。

男３人毎朝こんな話。

いまだに夏休みボケが治らないのに、竜の気の早い惚気話なんか聞きたくないっつーの。

まぁでも竜が楽しいならいいや。

みんな幸せが１番だよ。

もう１つ動き出した話は、幸せなのか不幸せなのか…それはまだわからない。

明日、答えが出るらしく、俺のココロは浮足立ってた。