漆黒の夜に君と。[BL]
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#638 [ちか]
ドアノブをゆっくり回すと小さく音をたててドアが開いた。


目に入ってきたのはベッドに眠る色白の女の人。

改めて見ると、ほんとに綺麗な顔立ちをしているな。

そんな事を思いながら、
眠る彼女の脇で俺はちんまりと座りこんだ。

⏰:09/03/13 16:21 📱:P906i 🆔:wTLUQSGQ


#639 [ちか]
「…きょー‥くん…―」

ふいに女の人がぽつりと呟いた。

「きょーくん?‥教訓?」

寝言だろうか?
なんの夢を見てるんだろう?

俺は首を傾げたあと、彼女の顔を覗き込もうとした。


その時。

⏰:09/03/13 16:25 📱:P906i 🆔:wTLUQSGQ


#640 [ちか]
ぱっちりと大きな瞳が開いた。

「おわっ?!?!」

俺は突然の事に思わず変な声をあげ、退けそった。

上体を起こし、キョロキョロと部屋を見渡す女の人。

「あの〜…」

暫くそんな彼女を眺めたあと、恐る恐る声をかけてみた。

彼女の小さな顔がこちらへと向く。

⏰:09/03/13 16:30 📱:P906i 🆔:wTLUQSGQ


#641 [ちか]
「あなたは!」

大きな瞳をさらに大きくして女の人は言った。

「俺の事、分かります‥?」

そう尋ねると、にっこりと柔らかく微笑んで、
「もちろんです!」
と、声を大きくした。

「あなたが私をここに?」

辺りをキョロキョロと見ながら言うその人に、俺はコクリと顔を縦に振った。

⏰:09/03/13 16:34 📱:P906i 🆔:wTLUQSGQ


#642 [ちか]
「ありがとうございます。
道に迷っていたら雨が降ってきてしまって…止むのを待っていたら、いつの間にかこんな事に…」

恥ずかしげに頬を染める彼女。

そこら辺で雨宿りすればよかったのに。
この人天然?
なんて事を思いながらも、その美貌に目を奪われる。

「あ、そう言えば人を探してるって‥‥」

確かそう言ってたような

⏰:09/03/13 16:38 📱:P906i 🆔:wTLUQSGQ


#643 [ちか]
その人はほんわりと微笑んでいた目をぱっちりと見開いた。

「あっ、そうなんです!!
私、その…人を探してて道に迷ってしまって…」

仕草が女の子らしく、
その困った表情が可愛いく思えた。

「あの、俺で良かったら一緒に探しますよ?」

「いえ、そんなお世話になってばかりでは申し訳ないです…っ」

⏰:09/03/13 21:40 📱:P906i 🆔:wTLUQSGQ


#644 [ちか]
「全然ですよ、もしかしたら俺の知ってる人かも知れないし!
あ、俺、日下冥って言います。」

「私の方こそ申し遅れてすいませんっ!!
私は‥‥―――、」

そう言いかけた時、
ドアをノックする音が鳴った。

きっとこれは、

「冥?居るの?松山に聞いたらここだって‥――」

ほら、やっぱり恭弥だ


ガチャッと言う音とともに、恭弥が部屋に入ってきた。

⏰:09/03/13 21:50 📱:P906i 🆔:wTLUQSGQ


#645 [ちか]
「「‥‥‥‥‥‥‥。」」

ん?

俺を間に挟んで、言葉を無くす2人。

俺は交互に2人の顔をキョロキョロと見る。


恭弥の顔が青ざめていくように見えるのは気のせい?

しかし長く続いた沈黙を破る声は相当大きかった。

⏰:09/03/13 21:59 📱:P906i 🆔:wTLUQSGQ


#646 [ちか]
「恭くんっ!!!!!」


その瞬間、恭弥の顔から血の気が引いていくのが分かった。

正確には、抱き締められた瞬間、血の気が引いていった。


そう。
抱き締められて‥‥――

抱き締められて?!?!

⏰:09/03/13 22:08 📱:P906i 🆔:wTLUQSGQ


#647 [ちか]
いつの間にっ!!!!!

女の人はベッドを出て、
いつの間にか恭弥に抱きついていた。


硬直する恭弥。


硬直する俺。


さらにきつく抱きつく謎の女の人。

⏰:09/03/13 22:24 📱:P906i 🆔:wTLUQSGQ


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