漆黒の夜に君と。[BL]
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#121 [ちか]
「お前一人?」
「あ、うん。ちょっと担任に呼び出されてたから。」
「そっか。俺もちょっと部長と話しててさあ。
次移動だよな?一緒に行こーぜ。」
「うん..」
そう頷いてもう一度振り返る。
アイツはもう居なくなっていた。
:09/02/04 17:30 :P906i :2CiSMaGI
#122 [ちか]
「冥?どうかした?」
「・・いや、なんでもない。行こっ」
俺は何を気にしてるだ。
馬鹿みたいに。―――‥
_
:09/02/04 17:32 :P906i :2CiSMaGI
#123 [ちか]
俺は少し先にいる透にかけよって、早足でそこを去った。
早くこの場所から離れたくて。
この気持ちを忘れたくて。
―――――‥‥‥
―――――――――――
:09/02/04 17:36 :P906i :2CiSMaGI
#124 [ちか]
SHRが終わって帰る支度をする。
いつもなら水曜日は慌ただしく教室を出る筈なのに、店を辞めさせられた俺にはもうその必要はない。
『じゃ、また帰りにね。』
朝のアイツの言葉が蘇った。
:09/02/04 17:43 :P906i :2CiSMaGI
#125 [ちか]
今は会いたくない。
そう思いながら俺は机に顔を伏せた。
「はぁ・・」
口からは自然にため息が
零れる。
:09/02/04 17:50 :P906i :2CiSMaGI
#126 [ちか]
「帰んねーの?」
透が俺の顔を覗きこむようにして聞いた。
「ん、あ..いや帰るけど。」
帰るけど・・――、
どっちに帰ろうか。
:09/02/04 17:56 :P906i :2CiSMaGI
#127 [ちか]
「んじゃ、行くぞ。」
透はそう言って優しく笑うと、俺の頭をポンポンと叩いた。
きっと心配してるんだろう。
コイツ、昔っから俺が落ち込んでる時そうするから。
:09/02/04 18:01 :P906i :2CiSMaGI
#128 [ちか]
俺は思い腰を上げ、透と教室を出た。
「なあ、透ー。」
「なんだよ?」
「今日さ、お前ん家に泊めてくれない?」
「別にいいけど・・、なんで急に?」
「んー、今日は帰りたくないって言うか・・」
「ふーん。」
:09/02/04 18:26 :P906i :2CiSMaGI
#129 [ちか]
靴を履き替えて校門に向かった。
アイツの家に帰らなくて済む。
アイツに会わなくて済む。
そう思うと、少し気持ちが軽くなった。
しかしそんな時も束の間、俺の足は校門の前で止まった。
:09/02/04 18:36 :P906i :2CiSMaGI
#130 [ちか]
`
「遅い。」
ジャリ..と砂を鳴らして、
不機嫌そうに俺を見つめそう言うのは
俺が今一番会いたくない人。
:09/02/04 18:46 :P906i :2CiSMaGI
#131 [ちか]
なんでアイツが?!
もしかして待ってた?!
いきなりの出来事に俺は動揺を隠しきれず、言葉に詰まった。
「何分待ったと思ってるの?」
いつからかけていたのか、眼鏡をかけた顔がやけに色っぽい。
:09/02/04 21:42 :P906i :2CiSMaGI
#132 [ちか]
>>128訂正
思い腰
└→×
重い腰
└→○
すいません><
:09/02/04 21:44 :P906i :2CiSMaGI
#133 [ちか]
なんで怒ってんの?!
て言うか、待ってくれなんて頼んだ覚えはない!!
だいたいさっきまで無視だったくせに!!
言いたい事がありすぎて、余計に俺は言葉を詰まらせた。
「・・・君は?」
恭弥の視線が俺から隣へと移った。
:09/02/04 21:53 :P906i :2CiSMaGI
#134 [ちか]
「蓮見・・透って言います。」
透の声がやけに低くて、俺はチラリと横目で透を見た。
「ふうん・・。」
そう言って恭弥は上から下、下からまた上へと透を舐めるように見た。
2人の間に淀んだ空気が流れているような気がするのは、俺の勘違いだろうか・・
:09/02/04 21:59 :P906i :2CiSMaGI
#135 [ちか]
「コイツに用があるんですよね?俺帰るんで、遠慮せずにどうぞ。じゃあな、冥。」
「え、ちょっ・・透っ!!!?」
透は刺々(トゲトゲ)しく言い放つと、一度恭弥を睨んでスタスタと帰っていってしまった。
_
:09/02/04 22:04 :P906i :2CiSMaGI
#136 [ちか]
今の状況で俺を一人にしないでくれ!!(泣)
と言いたいけど、さっきよりもさらにすごい剣幕で怒っているコイツを目の前にしてそんな事言えるはずがない。
「・・・帰るよ。」
そう言って恭弥は俺の腕を掴んだ。
:09/02/04 22:23 :P906i :2CiSMaGI
#137 [ちか]
その力はすごく強くて、俺は咄嗟に恭弥の手をどけた。
なんなんだよ・・。
無視したり、
いきなり怒ったり..
勝手すぎるんだよ・・―っ
なぜかまた胸が軋んだ。
:09/02/04 22:29 :P906i :2CiSMaGI
#138 [ちか]
また身体が熱くなる。
さっきより胸が苦しくなる。
「―――・・・んで、」
「え?」
「なんでアンタはそう勝手なんだよっ!!!!」
俺は恭弥を睨みつけて言った。
突然の反論に驚いているのか恭弥は目を丸くしていた。
:09/02/04 22:40 :P906i :2CiSMaGI
#139 [ちか]
「無視したり、急に怒ったり・・・勝手すぎるんだよっ!!!」
一度込み上げて来た感情は止まる事をしらない。
「無視?なんの事?」
「とぼけんなよ!!
体育の時も廊下の時もっ・・――!!」
今さらとぼけるなんて酷いじゃん・・
そうやって俺をいい様に利用して・・・――っ
:09/02/04 23:02 :P906i :2CiSMaGI
#140 [ちか]
「ズルいんだよっ・・――!!」
そう言って俺は恭弥の胸を強く叩いた。
視界がぼんやりと滲んだ。
無視されてから一日中頭はコイツの事でいっぱいで。
苦しくて、辛くて。
これじゃまるで、
“片思い”でもしてるみたいだ‥‥――
:09/02/04 23:12 :P906i :2CiSMaGI
#141 [ちか]
言いたい事を吐き捨てるように言い終わると、俺は恭弥の顔を恐る恐る見た。
恭弥はまだ驚いた顔している。
が、すぐにその表情は笑顔へと変わった。
そして、
ひょいっ
:09/02/05 00:09 :P906i :3G19hwBE
#142 [ちか]
「わっ!?!?」
突然冥をお姫様抱っこのような形で抱き抱えた。
「思ったより軽いんだね。」
そう言って車に乗せると、「いつもより出来るだけ早く着くようにして。」と言い、車を出させた。
:09/02/05 00:13 :P906i :3G19hwBE
#143 [ちか]
っな・・・、
コイツまた強引にっ・・―
しかもお姫様抱っこって!!
俺がなんで怒ってるのか、まるで伝わってない!!
・・て言うか、絶対さっきより機嫌よくなってる!!!!
:09/02/05 00:30 :P906i :3G19hwBE
#144 [ちか]
(もう知らねーっ!!)
俺は心の中でそう叫んで、プイっと顔を窓の方に向けた。
沈黙の中、車は行きしなより3倍も4倍も早く黒羽家に着いた。
:09/02/05 00:38 :P906i :3G19hwBE
#145 [ちか]
家の前に着くと、恭弥は俺を引っ張り車から降りた。
「離せっ!!離せってば!!!!」
「・・・・・・。」
なんの応答もないまま、恭弥はただ俺を引っ張って歩いていく。
強く握られた手首が少し痛い。
:09/02/05 01:00 :P906i :3G19hwBE
#146 [ちか]
玄関でのメイドと執事の出迎えに見向きもせず、だだっ広い廊下を早歩きで通りすぎ、階段を上がって。
ガチャッ
着いたのには俺の部屋・・?
:09/02/05 01:00 :P906i :3G19hwBE
#147 [ちか]
>>146訂正
着いたのには
└→×
着いたのは
└→○
すいません
:09/02/05 01:12 :P906i :3G19hwBE
#148 [我輩は匿名である]
面白い
:09/02/05 08:02 :F703i :h2jki5C.
#149 [ちか]
:09/02/05 16:44 :P906i :3G19hwBE
#150 [ちか]
>>146恭弥は静かにドアを閉めると、掴んでいた手を強く引いて俺をベッドに座らせた。
「なんなんだよっ!!」
ドアの前に突っ立っている恭弥を睨みつけて言った。
:09/02/05 17:05 :P906i :3G19hwBE
#151 [ちか]
「・・・・・。」
恭弥は小難しい顔をして、俯いていた。
この期に及んでまだ俺を無視すんのか!!!
俺は睨んでいた目をさらにキツくする。
しかし、あまりにも美しいソレに段々目を奪われてしまった。
:09/02/05 22:34 :P906i :3G19hwBE
#152 [ちか]
「・・・、さっき僕を狡(ズル)いって言ったよね?」
沈黙を破ったその声で、自分が恭弥に見とれていた事に気づいた。
「え、うん..」
なんだ、ちゃんと聞こえてはいたのか。
ならなんで反応してくれないんだよ。
なんで解ってくれないんだよ。――――‥‥
俺はぎこちない返答をする。
:09/02/05 22:56 :P906i :3G19hwBE
#153 [ちか]
「‥‥、そうかもしれない。」
眉間にシワを寄せ、ため息を吐いて呟いた恭弥のその言葉の意図が分からなくて、俺はただただそいつを見上げた。
少しして、また恭弥は俺を見据えて口を開く。
「さっき、お前があんまり可愛い顔をするから・・・
独り占めしたくなった。」
そう言って恭弥は視線を俺から斜め下へ落とすと、自分の前髪をクシャリと握った。
:09/02/05 23:41 :P906i :3G19hwBE
#154 [ちか]
全身が一瞬で熱くなるのがわかった。
心臓が五月蝿い位
高鳴っている事も。
そして、悔しいほどときめいてしまった事も。
:09/02/05 23:58 :P906i :3G19hwBE
#155 [ちか]
「だから早くココに着いてほしかったんだ。
あの場所じゃ、みんながお前の顔を見れただろ?
それがたまらなく嫌で‥。」
恭弥はそう続けて、また俺の方に向き直った。
顔は少し赤らんでいて、それを隠す為なのか片手は口元を隠していた。
:09/02/06 00:21 :P906i :ched2wCU
#156 [ちか]
なんで。
なんでそんな顔をするんだよ。
そんな目で見られたら、
剃らせなくなる。
そんなこと言われたら、
抑えてた気持ちも
膨らむばっかりで・・――っ
:09/02/06 00:36 :P906i :ched2wCU
#157 [ちか]
「やっぱりズルいよ‥―」
今自分がどんな表情(カオ)を痛い程分かるから、出来るだけ俯いてそう呟いた。
どう伝えたらいいんだろう。
少しのことですごく胸が苦しくなって、だけどほんの少しのことでときめいてしまうこの感情を。
:09/02/06 21:39 :P906i :ched2wCU
#158 [ちか]
>>157訂正
今自分がどんな表情を痛い程分かるから
└→×
今自分がどんな表情をしているか痛い程分かるから
└→○
すいません><
:09/02/06 22:00 :P906i :ched2wCU
#159 [ちか]
恭弥はゆっくり俺の方に歩いてくると、俺の身長に合わせるように床に膝をつけた。
「それから、さっきの‥無視が云々てやつも。
したつもりはないけど、お前がそれで傷ついたなら謝る。
だから顔あげてよ、冥。」
そう言って俺の頬に優しく触れた。
:09/02/06 22:16 :P906i :ched2wCU
#160 [ちか]
コイツの声はまるで魔法みたいだ。
甘く囁かれると、勝手に
身体が動いてしまう。
神経の全てがその声を
もっと求めてしまう。
:09/02/06 22:27 :P906i :ched2wCU
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