スーパースター、スーパーヒロイン
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#85 [Gibson]
痛い、痛いよ…―
「ククク。まあいい。
あの爆弾は、誰にもどうすることもできまい。
今日はこの場所で、うぬらも灰へと化す運命にあるのだ!
ハハハハハハ!」
男が立ち去っていく。
「紗世子!大丈夫か!?」
男が消えると、ナナが私の元へと駆け寄る。
「…。」
殴られた痛みで、声を出すこともできない。
:09/02/08 00:15 :SH705i :KdpEsNy2
#86 [Gibson]
「すまぬ…。我々の力だけでは、組織には全く太刀打ちできない。
お主一人だけにこんな大役を任せて、申し訳ないと思っている。」
ナナが、乱れた髪を優しく掻き分ける。
「そ…な…こと…な…よ…。」
ナナの要求を引き受けた瞬間から、私はもう、弱音を吐いたり、後戻りすることはできない。
でも、それは想像していたよりも苛酷で、危険で、そして辛い。
:09/02/08 00:41 :SH705i :KdpEsNy2
#87 [Gibson]
「私の…体…。
どん…ど…消…てる!?」
足元から次第に、モビルスーツの下があらわになっていく。
もしかして、変身が解けていってる!?
変身出来るのは一日に一度まで。
今ここで元の体に戻ってしまうのは、かなりの深手となってしまう。
誰も救えないまま、そして私自身も爆発に巻き込まれて死んじゃうのかな…!?―
:09/02/08 00:54 :SH705i :KdpEsNy2
#88 [Gibson]
昨日まで、本当に何処にでもいるようなOLだった。
そんな私が、突然人々の為に闘う運命を告げられて…―
そして、変身によって強い力を手に入れた。
今でもこれが全部夢なんじゃないかって、ううん、夢であって欲しい位だよ。
組織とか、復讐とか、訳分かんないよ。
でも、最後まで諦めずに絶対やるんだ。
まだ死にたくないし、沢山の人が死ぬ悲劇を作りたくない…!―
:09/02/08 01:02 :SH705i :KdpEsNy2
#89 [Gibson]
「くっそぉぉおおー!!」
気力を取り戻すかのように、その場で大きく叫び上げる。
変身した時と同様、再び全身が光熱を放つ。
こんな痛みが、何だって言うのよ。
私の手に、この国の未来がかかっているって言うのよ。
もっとしっかりしなさいよ、紗世子…!―
:09/02/08 01:08 :SH705i :KdpEsNy2
#90 [Gibson]
私の体は、元の姿に戻ることなく、変身が解けそうになった部分も、再びモビルスーツに覆われた。
「…いつまでもこうしちゃいられない…。」
傷だらけの体を起こし、よろめきながら食糧庫へと向かった。
「…あった!爆弾だわ!」
棚の奥の方に置かれてあった、時限装置が設置されてあるそれを発見した。
:09/02/08 01:23 :SH705i :KdpEsNy2
#91 [Gibson]
「…後20分…。」
目の前にある爆弾が、デジタル表示で爆発までのカウントダウンを、正確に刻んでいる。
私には爆弾に関しての、専門の知識がない。
下手にいじって、起爆させてしまったら、元も子もない。
私はそれを慎重に持ち上げ、落とさないように両手で抱えた。
「紗世子、どうするつもりだ!?」
ナナの言葉に返事もせず、食糧庫を出る。
:09/02/08 01:32 :SH705i :KdpEsNy2
#92 [Gibson]
とにかく、人気のない場所へ…―
その思い一心で、1階まで階段を駆け下りる。
そして外に出ると、全力疾走で街を走る。
特異な体質を得た私は、もはや電車や自動車を追い越すことも訳ないほど、凄まじい速さで駆けている。
:09/02/08 01:46 :SH705i :KdpEsNy2
#93 [Gibson]
この辺りの地理は、だいたい把握している。
私は街の外れにある、広い河川敷へとやって来た。
デジタル表示を見ると、残り10秒、9秒、8秒…と、既に時間はほとんど残されていなかった。
「だぁぁああーっ!!」
私は川に向かって、思い切り爆弾を投げた。
:09/02/08 01:53 :SH705i :KdpEsNy2
#94 [Gibson]
3秒、2秒、1秒…―
…ドォォオオン!!
空に、巨大な黒い閃光が放たれた。
物凄い爆発音に、思わず両耳を塞ぐ。
「お、終わった…。」
爆発の煙が、ゆっくりと川の中に垂れ下がっていく。
安心とそれまでの緊迫感から解放された思いで、腰が抜けたように、その場にへなへなと座り込む。
「紗世子!大丈夫かっ!?」
後を追って来たナナが、私の元へと駆け寄る。
:09/02/08 02:02 :SH705i :KdpEsNy2
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