私が恋をしたのは……恋しちゃいけない人でした……
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#27 [知慧]
びしょ濡れのこんな姿じゃ、とても教室には行けなくて、あたしはなんとなく屋上へ向かった。
ガチャッ
屋上の扉を開けると、そこには大の字になって寝転ぶジュンがいた。
「ジュン…」
「チエ…おまえ、その格好…」
かくかくしかじかと理由を説明すると、ジュンは着ていた学ランをあたしの肩にかけてくれた。
その温かさに、あたしはまたジュンに甘えてしまう。
「ジュン…あたしには、もうジュンしかないの…」
「チエ…俺は同じ学校なのに何もできないけど、慰めることくらいならしてやれるから」
「じゃあ、今ここで、あたしを慰めて…」
あたしたちはまた愛し合った。
:13/03/13 17:47
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#28 [知慧]
そんな過酷な学校ライフでも、ジュンがいる。
ジュンが慰めてくれたから、あたしは耐えれた。
あたしには、ジュンさえいればいい…。
ジュンが、ずっとずっと、あたしを守ってくれる…。
でも、それは間違いだった。
:13/03/13 17:48
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#29 [知慧]
「チエ、俺と別れてくれ…」
あたしは、その言葉をすぐには理解できなかった。
ううん、理解したくなかったのかもしれない。
「え?俺と和歌詠んでくれ??」
「違う!俺と…別れてくれ」
「え…!?」
信じれなかった。
だって、あたしたちはラブラブで、順調で…。
どうして急に!?
「どうしてそんなこというの!?あたし何か悪いことした!?」
「もう、うんざりなんだよ!!」
すがるあたしの手を、ジュンは振り払った。
:13/03/13 17:49
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#30 [知慧]
嫌…嫌だ嫌だ!!
ジュンと別れるなんて、絶対嫌だ!!
「嫌だよっ!!悪いところがあるなら直すから、だから…」
「そういうところがウゼーんだよ!!」
あたしの目から、涙がこぼれた。
「重いんだよ。セックスも大したことねーし…それに、俺、他に女いるから」
ウソ…。
ウソデショ…?
「そういうわけだから…もう俺の前から消えてくれ」
ジュンは立ち去った。
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#31 [知慧]
ジュンは、絶対に運命の王子様だと思っていたのに…。
別れた後も、私を呼ぶあの声は聞こえてるんだよ…?
もう、生きていてもしょうがない。
いつからかあたしは、リストカットをするようになっていた。
リスカの痕は、あたしの心の傷そのものだ。
今日も、あたしは神社の石段に座って、リスカをしていた。
いつも持ち歩いているカッターを手首に当て、軽く引く。
「待てって…!」
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#32 [知慧]
後ろから声がして、あたしは振り向いた。
そこには男の人が一人たっていた。
「なによ…あんたには関係ないじゃない!」
「命を、粗末にすんな」
彼は、あたしの目を真っ直ぐ見ながら言った。
「…あんたに何がわかるのよ!?誰にもあたしのキモチなんてわからない!!」
あたしは興奮して、カッターを彼に投げつけた。
「いっ…!!」
それは彼の手に当たり、彼は手を押さえてうずくまった。
地面に、ポタポタと血が落ちた。
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#33 [知慧]
あたしは我に返って、彼に駆け寄った。
「ごめんなさい…!あたし、あたし…」
「いえ…ダイジョブです。…でも、」
彼はカッターを拾って、立ち上がる。
「これは、ボクが預かります…」
そう言って、はにかんだ。
:13/03/13 17:53
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#34 [知慧]
「あなた、名前は??」
「…パク、です…」
あたしは濡らしたハンカチで、彼の傷口をそっと押さえた。
「はい…ボク…在日なんです」
それからあたしたちは、自分のことをたくさん話した。
パクは、いわゆる在日韓国人で、朝鮮学校に通う高校生らしい。
パクは、在日という理由で差別を受けていることをあたしに話した。
それを話すパクの顔は、どこか悲しそうで…。
心に深い傷をおっているように思った。
あたしと同じ、心に傷がある…。
守ってあげたい。
あたしは、初めて、男の人を守ってあげたいと思った。
「パク…辛かったね」
「チエさん…」
あたしは、パクをそっと包み込むように抱き締めた。壊れちゃいそうだったから。
:13/03/13 17:55
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#35 [知慧]
これが、愛するということなのかな??
…ジュンも、同じように愛することができたら…結果は違っていたのかな??
ううん…ジュンのことを考えるのはもうやめよう…。
あたしとパクは、それから、付き合うことにした。
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#36 [知慧]
「パクー!お弁当作ってきたよっ♪」
あたしとパクは順調だった。
あの声はいまだに聞こえているし、パクの声はその声と全然違うけど、あたしはパクを愛していた。
「おいしそうだね」
「おいしいよ♪」
弁当を食べるパクを見るのが、何よりも幸せだった。
そういえば、いじめは終わった。
あたしが彼氏を盗ったというのは、マナの勘違いということが分かったのだ。
あたしたちはトモダチに戻った。
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