私が恋をしたのは……恋しちゃいけない人でした……
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#31 [知慧]
ジュンは、絶対に運命の王子様だと思っていたのに…。
別れた後も、私を呼ぶあの声は聞こえてるんだよ…?
もう、生きていてもしょうがない。
いつからかあたしは、リストカットをするようになっていた。
リスカの痕は、あたしの心の傷そのものだ。
今日も、あたしは神社の石段に座って、リスカをしていた。
いつも持ち歩いているカッターを手首に当て、軽く引く。
「待てって…!」
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#32 [知慧]
後ろから声がして、あたしは振り向いた。
そこには男の人が一人たっていた。
「なによ…あんたには関係ないじゃない!」
「命を、粗末にすんな」
彼は、あたしの目を真っ直ぐ見ながら言った。
「…あんたに何がわかるのよ!?誰にもあたしのキモチなんてわからない!!」
あたしは興奮して、カッターを彼に投げつけた。
「いっ…!!」
それは彼の手に当たり、彼は手を押さえてうずくまった。
地面に、ポタポタと血が落ちた。
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#33 [知慧]
あたしは我に返って、彼に駆け寄った。
「ごめんなさい…!あたし、あたし…」
「いえ…ダイジョブです。…でも、」
彼はカッターを拾って、立ち上がる。
「これは、ボクが預かります…」
そう言って、はにかんだ。
:13/03/13 17:53
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#34 [知慧]
「あなた、名前は??」
「…パク、です…」
あたしは濡らしたハンカチで、彼の傷口をそっと押さえた。
「はい…ボク…在日なんです」
それからあたしたちは、自分のことをたくさん話した。
パクは、いわゆる在日韓国人で、朝鮮学校に通う高校生らしい。
パクは、在日という理由で差別を受けていることをあたしに話した。
それを話すパクの顔は、どこか悲しそうで…。
心に深い傷をおっているように思った。
あたしと同じ、心に傷がある…。
守ってあげたい。
あたしは、初めて、男の人を守ってあげたいと思った。
「パク…辛かったね」
「チエさん…」
あたしは、パクをそっと包み込むように抱き締めた。壊れちゃいそうだったから。
:13/03/13 17:55
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#35 [知慧]
これが、愛するということなのかな??
…ジュンも、同じように愛することができたら…結果は違っていたのかな??
ううん…ジュンのことを考えるのはもうやめよう…。
あたしとパクは、それから、付き合うことにした。
:13/03/13 17:56
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#36 [知慧]
「パクー!お弁当作ってきたよっ♪」
あたしとパクは順調だった。
あの声はいまだに聞こえているし、パクの声はその声と全然違うけど、あたしはパクを愛していた。
「おいしそうだね」
「おいしいよ♪」
弁当を食べるパクを見るのが、何よりも幸せだった。
そういえば、いじめは終わった。
あたしが彼氏を盗ったというのは、マナの勘違いということが分かったのだ。
あたしたちはトモダチに戻った。
:13/03/13 17:57
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#37 [知慧]
『ねぇねぇ、私見ちゃったんだけどさー』
学校帰り、パクのバイト先のキムチ屋へ行こうと、下駄箱で急いで上靴を脱いでいる時だった。
こっちに歩いてくる女子高生が、大声で喋っているのが聞こえた。
『入院してるおじいちゃんのお見舞に行ったんだけどさ、そこの病院に、あのジュンがいたの!!』
:13/03/13 17:58
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#38 [知慧]
『なんかすっごい痩せちゃってさ、ニット帽とかかぶっちゃって…あれはかなりの重病だね!!』
ジュンが…?
あたしは無意識に、その女子高生に飛び付いていた。
「それホント?!」
『な、何?』
あたしは頭が真っ白になって、ガクガクとその女子高生を揺さぶる。
「ジュンが病気って…ホントなの!?」
『ちょっと落ち着いて…!見ただけだからわかんないけど、相当具合悪そうだったよ
「病院名教えて!!」
『北××病院だけど…』
「ありがとう!!」
あたしは病院に向かって走っていた。
:13/03/13 18:00
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#39 [知慧]
ガラッ
「ジュン!!!」
あたしは、ジュンの入院している病室の扉を勢いよく開けた。
ジュンの部屋の位置が分かったのは、愛の力とかなんかそんな感じだと思う。
「チエ…!!」
ジュンはすっかり変わり果てた痛々しい姿で、そこにいた。
でも、声だけは変わってない…。
「ジュン…!いつから、いつからこんな…!?」
「チエ…バレちまったか…」
ジュンは力なく笑った。
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#40 [知慧]
「…チエには…こんな弱った俺の姿、見られたくなかったぜ…」
ジュンは、ゆっくりとベットから上半身を起こしてあたしを見つめた。
「何の…病気なの…?」
「…癌、だってさ…笑っちゃうだろ?」
「癌って…そんな…」
その病名に、あたしは頭を殴られたような耐え難い衝撃を受けた。
「悪性?良性??治療方法は!?摘出?抗がん剤?放射線治療!?」
「そこまで詳しく決めてないよ…」
:13/03/13 18:01
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