僕しか知らない君へ
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#151 [太郎]
伊月の家には母親がいない。

小さい頃から母親代りで伊月たち子供の面倒を見てくれていた、ばあちゃんも高校に入学した頃に亡くなった。

今は父親と大学生の兄、 小学生の妹と4人で暮らしている。

伊月の父親は立派なご職業で、金に苦労する事は無い様子だったけど、仕事の忙しさであまり家にはいないし、やっぱり母親がいない生活にはたくさん大変な事もあったと思う。

⏰:14/03/16 23:33 📱:iPhone 🆔:pU7W7/hw


#152 [太郎]
それでもみんな仲良くて、お互いに支え合ってる良い家族だと、いつも思っていた。

小学生の妹の世話だったり、今は母親代りで家族を守る伊月からしたら、そんな家族に心配かけたくないんだろうと思う。

「大丈夫だよ。家族なんだからさ。俺んちの家族だって…話したら支えてくれるって。」

それに比べてうちの家族は平凡を絵に描いたような家庭だった。

⏰:14/03/16 23:37 📱:iPhone 🆔:pU7W7/hw


#153 [太郎]
そこまで立派なご職業じゃない父さん。笑
そんな父さんの事が大好きな母さん。

そんで、2個上の兄ちゃん。
んで、俺。

家の中では俺が一番無口だし、普段はそんなに話すことないけど、仲は悪いわけじゃないと思っていた。

こうゆう、いざとゆう時、思い浮かぶのは家族だったからそうとう頼りにしてきたんだと思う。

「純の家族にも迷惑かけたくないの…!」

⏰:14/03/16 23:40 📱:iPhone 🆔:pU7W7/hw


#154 [太郎]
異常に周りに迷惑をかけるのを恐れる伊月。

ずっと説得してたけど、聞く耳を持たないから俺の中で何かがプツンと切れた。

「いい加減にしろよ!」

「…。純には私の気持ちわかんない!どれだけ不安かも、どれだけ大変な事かも!…もう帰る!」

完全にヒステリックが起きていた。

こんな状態で帰られちゃ困ると思って腕を掴むけど、振り払って玄関に走る伊月。

⏰:14/03/16 23:45 📱:iPhone 🆔:pU7W7/hw


#155 [太郎]
「ちょ、待てよ!」

はっ、キムタクみたいになった。笑

俺が追いかけると、丁度母さんが玄関の前の廊下に立っていた。

半泣きの伊月を見て驚いている様子。

「あっ、すいません…お邪魔しました。」

挨拶して、外に出ようとする伊月。

「ちょっと待て!」

叫ぶ僕。

「あらぁ。」

思わず、あらぁと言う母さん。笑

⏰:14/03/16 23:47 📱:iPhone 🆔:pU7W7/hw


#156 [太郎]
伊月と母さんは今まで挨拶程度に顔を合わすくらいで一度も話した事は無かった。

俺が伊月に、母さんとは話して欲しくなかったからだ。

何故ならば、母さんは最強に口が悪い。

兄ちゃんが彼女を連れてくるとだいたい彼女の愚痴がはじまる。

伊月になんか言われたらたまったもんじゃないし、伊月に不愉快な思いさせたくなくて極力会わさないようにしてた。

母さんは俺の彼女ってゆうもんに興味深々で、色々聞いて来たけど、家の中でクールな僕はほぼその話題はスルー。笑

伊月は伊月で、もっと話したいとか言ってたけど話さなくて良いとシャットダウンしてた。

⏰:14/03/16 23:53 📱:iPhone 🆔:pU7W7/hw


#157 [太郎]
父さんの事になると大好きすぎて人が変わる。

口が悪くて嫉妬深い。

俺は完全に母さん似だ。笑

「…。」

そう、この時俺は必死だった。

伊月の腕を再び掴み、母さんに向かってとっさに言った。

「母さん!伊月…俺の彼女だけど、妊娠したかもしれない。」

とにかく伊月に、1人で悩むな、誰にも頼らずに決めようとするなって事を伝えたかった。

母さんに言えば、支えてくれる人はいるんだって思ってもらえると思った。

⏰:14/03/16 23:57 📱:iPhone 🆔:pU7W7/hw


#158 [太郎]
「ちょ、ちょっと!!」

なんて事を言うんだこいつ、とゆう目で睨む伊月。

言った瞬間やべぇと思った。
母さんに言ったところで丸く収まるわけがない。

「…。」

母さんフリーズ。

「伊月ちゃん?ちょっと待ちなさい、ちょっと火止めてくるから。」

すっとぼけた口調で母さんがそう言って、台所へ消えた。

「…。」

無言で靴を脱ぐ伊月。
諦めたかのようにしょんぼりしている。

⏰:14/03/17 00:01 📱:iPhone 🆔:3uowtQOU


#159 [太郎]
するとすぐに母さんがひょっこり顔を出して言った。

「お待たせ。とりあえず、2人共リビングに入りなさい。」

たんたんと話す母さんがめちゃくちゃ怖かった。

「で…でも…。」

躊躇する伊月。

「大丈夫よ!今日父さん帰り遅いし、旬もどうせ帰ってこないんだから。」

極め付けにとびきりのスマイルな母さん。
怖いわ!

あ、旬は、兄の名です。

結局リビングに入る俺。

⏰:14/03/17 00:08 📱:iPhone 🆔:3uowtQOU


#160 [太郎]
家に誰も帰って来ないアピールする母さんだけど、そうゆう問題じゃなくて…てゆう気がした。

リビングに母さんと俺と伊月。

少し前までは絶対にありえないシチュエーションだ。

「…ぐすっ。」

伊月はずっと泣いていた。

俺は母さんをチラチラ見ながら黙る。

最初に口を開いたのはもちろん母さん。

「伊月ちゃん、お腹に赤ちゃんがいるとしたら、涙は赤ちゃんが不安になるからね。もう泣かないで。」

俺は母さんのこの言葉が今でも頭に焼き付いている。

⏰:14/03/17 00:12 📱:iPhone 🆔:3uowtQOU


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