僕しか知らない君へ
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#201 [太郎]
「やっぱ橋本だよな。びっくりした。こんなとこで会うなんて。あ?彼氏?ごめんね。呼び止めちゃって。」

「あ、うん!噂の彼氏!へへへ。」

「あぁ、どうも。」

高校教師らしくなく、若くてオシャレでイケメンだった。伊月は違うって言うけど、俺にはV6の岡田くんにしか見えなかった。こんな先生いたら完全に女子高生の注目の的だろ。

いつもならイライラする俺だけど、何故かこの人には好感を持った。

理由はよくわからないけど、すごい良い人だって、一目みて思ったんだ。

⏰:14/04/28 02:02 📱:iPhone 🆔:hEAQXGeQ


#202 [太郎]
「俺の弟の家が、この店のすぐ横なんだよ。子供と寄ろうと思ったんだけど留守でさ、時間潰しに入ったとこ。まさか橋本に会うとはな。」

子供?

「パパ〜はやく〜!」

小さい女の子が手を降ってる。

「お〜もう行くよ〜!じゃ行くわ。ごめんな。彼氏も、邪魔して。」

「あ〜いえいえ!全然!」

「うん、先生またね〜」

なんだ、妻子持ちか。

ホッとする俺。

「純珍しいね、私の男の知り合いにあんなに愛想良くするの。」

伊月はすごく驚いていた。

⏰:14/04/28 02:08 📱:iPhone 🆔:hEAQXGeQ


#203 [太郎]
「そうか?俺だってもう社会人だしな!器がデカくなったんだな〜。」

本当はまだまだ小さい器なのにいきがる僕。

「そっか。…。」

今思えば、最初に伊月と寺田とゆう教師が顔を合わせた時、2人共気まずそうにしていた。

その後の伊月もどこか不自然だったんだ。

何も知らずに、馬鹿な俺はそんな事ちっとも気にせずにこの時は浮かれていた。

⏰:14/04/28 02:12 📱:iPhone 🆔:hEAQXGeQ


#204 [太郎]
俺が働き出してちょうど1年くらいたった頃だ。

伊月は大学にバイトにって本当に忙しかったから、なかなか会えなかった。

俺は仕事終わってからも暇だし、俺がバイトするし、伊月にバイトやめろって言った。

伊月はしぶってたけど、その方が会える時間も増えるし何より俺がそうしたかったから、伊月はバイトをやめた。

⏰:14/04/28 02:28 📱:iPhone 🆔:hEAQXGeQ


#205 [太郎]
いい加減、俺のそうゆう自己中で、独占欲の強さに、嫌気がさしていたと思う。

それでも伊月はいつも俺のいうことを聞いてくれた。

こうすることで結局、会う時間は少し増えた。

俺のバイトは知り合いのとこで、小遣い稼ぎ程度に伊月に予定がある時だけ入った。

⏰:14/04/28 02:31 📱:iPhone 🆔:hEAQXGeQ


#206 [太郎]
それから半年後くらいかな、家に帰ったら、また兄ちゃんと母さんがもめている。

家では基本無口な俺。

そんな事には気にせずに部屋に一直線。

バタン!

すると勢いよく俺の部屋のドアを開ける兄ちゃん。

「うわ!なんだよ、母さんともめてたんじゃねーの?ビックリした。」

すごい剣幕の兄ちゃん。

⏰:14/04/28 02:34 📱:iPhone 🆔:hEAQXGeQ


#207 [太郎]
「なぁ、なんで母ちゃん俺の彼女にだけあんなキツイんだと思う!?マジであのババアの態度腹立つ。今回の彼女は本気なのにさ。しかもすげぇ良い子でさ!母ちゃんの態度に凹んで泣いてたんだよ。」

うわぁ…、かわいそ。
確かに母さん口悪いからな。

「そんなん…俺に言われても…」

「それに比べてお前の伊月ちゃんにはあんなに甘いだろ?ひどくねーか?だから!お前からも母ちゃんに一言言って来い!」

うわ、めんどくさい。巻き込まれたくねーな。こりゃ。

⏰:14/04/28 02:40 📱:iPhone 🆔:hEAQXGeQ


#208 [太郎]
「つか、最近伊月ちゃん来てないよな?ついに振られた!?お前もバイトなんかはじめちゃってさ。」

「振られてないし!別れるわけないだろ、伊月は大学忙しいんだよ。兄ちゃんと違って。」

「うるせー。てかそんな事はどうでも良いから早く母ちゃんのとこ行けって!早く!」

なんて自分勝手なんだ、無理矢理母さんのところへ連れていかれる俺。

最終的にな兄とゆう権限を使って弟をつかうんだよな〜。

⏰:14/04/28 02:44 📱:iPhone 🆔:hEAQXGeQ


#209 [太郎]
「なに、あんたたち2人そろって、珍しいわね。」

「ほら!純はやく!」

小学生の子供みたいにおれの後ろに隠れる兄ちゃん。

「はぁ…。…母さん、なんで兄ちゃんの彼女にだけそんなに厳しいんだよ。兄ちゃんに細かい事言うのは良いけど、彼女に直接あんな態度とったら可哀想だろ。」

結局言わされる俺。

⏰:14/04/28 02:47 📱:iPhone 🆔:hEAQXGeQ


#210 [太郎]
「…。」

ほっぺたを膨らまして黙りこける母さん。

「そーだそーだ!言ってやれ〜」

なんだよ、こいつら二人とも小学生かよ。
勝手にやれよ。

すると母さんが口を開いた。

「私、お父さんの事大好きだろ?」

そう、母さんは父さん大好きなんです。

「それがなんだよ!」

喧嘩腰の兄ちゃん。

⏰:14/04/28 02:50 📱:iPhone 🆔:hEAQXGeQ


#211 [葵]
待ってました♪うん、面白い。

⏰:14/04/29 13:12 📱:SH-09D 🆔:Hagvh/Bs


#212 [太郎]
いつもありがとう!

⏰:14/05/02 00:29 📱:iPhone 🆔:8/1AtyII


#213 [太郎]
「見たらわかるんだよ!本当にあんたの事が好きかどうか!旬が連れてくる女はみんな本気であんたの事想ってる奴、1人もいないね!」

「そんなん母ちゃんの偏見だろ!?決めつけるなよ!」

「…。」

低レベルな会話に、言葉すら出ない俺。

「それに比べて伊月は全然違うよ、純の事、ちゃーんと想ってくれてる。」

伊月の名前が出てきて我に返る。

「確かに兄ちゃん、付き合っても別れるの早いよね。別れる理由なんなの?」

「そ、それは…。」

⏰:14/05/02 00:34 📱:iPhone 🆔:8/1AtyII


#214 [太郎]
「ほーら!どうせ、くだらない理由なんだろ。ちゃんと想いあってなかった証拠だ。」

「うるせーな!関係ないだろ!」

どうやら図星らしい。

まぁ、なんだかんだ言って、本当は母さんは、兄ちゃんの事が可愛過ぎて彼女のことを認めたくないだけなんだろうなって改めて思った。

兄ちゃんは俺と違って母さんや父さんとの会話も大事にしてたし、母さんとは普段から何でも話したり出掛けたりしてたから。

いわゆるマザコンだな。

⏰:14/05/02 00:37 📱:iPhone 🆔:8/1AtyII


#215 [太郎]
兄ちゃん的には全く納得いっていない様子だったけど、なんとかその場から逃げ切って、部屋に戻る俺。

あー変なことに巻き込まれた。

ふと、母さんの言葉を思い返す。

『伊月は純の事を想ってくれてる』

自分の母親が彼女のことをそうゆうふうに見てくれてるのは、幸せな事なんだろうなぁ。

そんな事を考えながら、いつものように伊月に、何気無く電話をかけた。

特に用事はない。ただ毎日電話するのは俺たちの日課だから。

⏰:14/05/02 00:41 📱:iPhone 🆔:8/1AtyII


#216 [太郎]
「もしもし伊月?聞いてくれよ〜また兄ちゃんがさ、母さんとの変な事に巻き込まれてさぁ」

『…。』

いつもと様子が違う伊月。

バカな俺はしばらく気付かずにこんなどーでもいい話を続けてた。

「伊月?どうした?」

『あ、ううん。ごめんね、純。旬くんたち大変だったね…。』

「何?何かあった?」

また妊娠疑惑!?って、呑気に考えてた。

⏰:14/05/05 01:41 📱:iPhone 🆔:pjnVuCsk


#217 [太郎]
『ううん、違う…。いや、ごめん…純。ごめん…。別れよう。』

すごく苦しそうに、辛そうに伊月は涙を流しながら言った。

俺にとって突然過ぎて、本当に頭の中が真っ白になった。

どうか、冗談であってほしいと心底思うけど、この言葉が冗談じゃないことくらいバカな俺でもわかった。

付き合いはじめて約5年。

俺たちの間で別れとゆう言葉が出たのはこれがはじめてだった。

⏰:14/05/05 01:45 📱:iPhone 🆔:pjnVuCsk


#218 [太郎]
『…ごめん。じゅん…ごめん…私…。』

伊月がその理由を話そうとするのがわかって俺は慌てて言葉を重ねた。

「今からお前んち行くから。頼むから会って話し聞かせて。」

『…でも。』

「すぐ行くから。…頼むから。」

伊月の様子からすると、本気だったから、このまま電話越しで終わらされるのがすごい怖かった。

会うことで伊月の気持ちが変わるかなんてわからないけど、とにかくすぐに会いたかった。

⏰:14/05/05 01:50 📱:iPhone 🆔:pjnVuCsk


#219 [太郎]
伊月の家まで車を走らせる途中。

俺はマジでこれまでに感じたことない感情に押しつぶされそうになった。

まず、別れたい理由はなんだ?

俺なんかしたか?

いつから思ってたんだ?

なんで俺は気付かなかったんだ。

どんな理由でも、原因は俺のそうゆう無神経なところだ。

そう思うと悔しくて、はじめて伊月とのことで泣いた。

⏰:14/05/05 01:55 📱:iPhone 🆔:pjnVuCsk


#220 [太郎]
中学の時、告白した日に通った帰り道。

告白した公園。

心の中でガッツポーズを決めた、あの日。

自転車で通っていたこの道のりが原付きになり、今は車になった。

伊月のいる当たり前の日常が、本当に俺のすべてだったこと。

伊月んちに着くまでに涙が止まらなかった。

こんなに泣いたのは愛犬のジョニーが死んだ時以来かもしれない。

⏰:14/05/05 01:57 📱:iPhone 🆔:pjnVuCsk


#221 [太郎]
「着いた。」

たった三文字のメールを送信。

玄関の灯りがついて、俺の心臓はもう爆発しそうだった。

足音が近付く。

運転席を覗く伊月。

馬鹿野郎。なんでお前がそんなに泣いてんだよ。

「乗って。」

今にも泣き崩れていきそうな伊月を車に乗せた。

⏰:14/05/05 02:00 📱:iPhone 🆔:pjnVuCsk


#222 [太郎]
しばらく泣き続ける伊月。…と、僕。笑

本当はちゃんと聞かないといけない。

でも聞くのが怖かった。

伊月は本気で思ってなかったらそんな事を言う奴じゃないから。

俺は助手席の伊月を力一杯抱きしめた。

「じゅん…待って、話すから、ちゃんと…」

いつも包み込んでくれる伊月はもういない。

それでも俺は強く抱きしめた。

「伊月…。好きだよ、俺はお前じゃなきゃ無理だから。頼むから別れるとか言わないで。」

⏰:14/05/05 02:05 📱:iPhone 🆔:pjnVuCsk


#223 [太郎]
なんて、女々しいセリフだ。

伊月の前でこんなに泣き崩れる俺。
今までの俺じゃ考えられない。

「じゅん…ごめんね。ごめんね、全部私が悪いんだよ…ごめんね。」

伊月は何度も謝った。

その度に、俺は自分が責められてる気がして苦しくなった。

⏰:14/05/05 02:08 📱:iPhone 🆔:pjnVuCsk


#224 [太郎]
落ち着いた後に伊月は語った。

興奮してちゃんと会話になってなかったから、まとめて書くけど…。

最初の言葉はこうだった。

「好きな人が出来た。」

相手はそう、あの寺田とゆう教師だった。

俺のことは大事で、大切だとは思うけど、好きかどうかわからなくなっていたらしい。

伊月は一度高校生の時に寺田に告白されていたらしくて、その時は冗談っぽく言われたし、伊月も俺の存在を伝えて、一度その話は終わった。

⏰:14/05/05 03:55 📱:iPhone 🆔:pjnVuCsk


#225 [太郎]
寺田には、娘が1人いる。

俺は勝手にもちろん嫁もいるんだと思ってたけど、すでに離婚していた。

元嫁には今新しい旦那がいて、今はその相手との子供を妊娠しているらしい。

この話を聞いて俺は、嫌な予感がした。

今まで伊月からも一度しか聞いた事がない話だったけど、伊月の家にも母親がいない。

死別したわけでもなく、伊月は父親と兄、妹と母親がいない家庭で育った。

⏰:14/05/05 03:59 📱:iPhone 🆔:pjnVuCsk


#226 [太郎]
伊月の兄は、伊月の父親の子供ではない。

つまり、伊月の家で兄さんだけが、血が繋がっていない。

母親はみんな同じだけど、兄は伊月の父親と結婚する前に未婚で産んだ長男。

伊月と妹は父親との長女と次女。

それでも伊月の父親は、自分とは血の繋がらない長男を、1番可愛がって育てたらしい。

長男も、そんな父親を本当のお父さんとだと全てを受け止めた後も思ってると言ってた。

⏰:14/05/05 04:03 📱:iPhone 🆔:pjnVuCsk


#227 [太郎]
そのまま、5人でうまくやっていけたはずなのに、伊月の母親は違う男に走り、なんと妊娠が発覚。

その時の男には連れ子が3人もいて、結局は伊月の父親と離婚し、その相手と結婚して、長男、伊月、次女は父親が引き取る形になった。

こんなこと俺の立場でいうのはあれだけど、とんでもない母親だと思う。

伊月はこの話を中学の時に一度だけ俺に話して、それ以降は家族の話を詳しく話さない。

⏰:14/05/05 04:07 📱:iPhone 🆔:pjnVuCsk


#228 [太郎]
でもその時に言った。

「私はあんな風になりたくない。あんな最低な母親。あの人の血が自分にも繋がってると思うと恐ろしいくらい。」

伊月がそこまで誰かに対して憎んでる姿はあの時が最初で最後だった。

伊月は昔から成績も運動神経も良く、付き合う連中も、今でゆうリア充の奴らばかりで充実した学校生活をおくってるように見えた。

ただ、こうゆう事情からか、家庭に対するコンプレックスは強かったと思う。

平々凡々とぬくぬく育ってきた俺には、伊月の深刻な思いは、わかりきってやれない部分があったと思う。

⏰:14/05/05 07:26 📱:iPhone 🆔:pjnVuCsk


#229 [太郎]
寺田とゆう教師の娘を、自分と重ねていたんじゃないかと思う。

今まで気付かなかった俺もバカだけど、俺にとってはあまりにも突然過ぎて、すぐにわかった。なんて、言えるはずがなかった。

「伊月の気持ちはわかったけど、俺はこのまま離れるのはどうしても無理だ。」

だってさ、別れたくねーよ。

こっちは付き合ったあの日からずっと、伊月の事が、お前のことだけが大好きなんだ。

⏰:14/05/05 07:31 📱:iPhone 🆔:pjnVuCsk


#230 [太郎]
「じゅん…でも…。」

どうしても別れたそうな伊月。

こんな時にまで俺の束縛鬼が発揮する。

「その人…寺田ってゆう奴には、別れてくるって言ってきたの?俺と別れて、そいつのとこ行くの?」

「そうゆうことじゃないよ。私の気持ちの問題だから。」

「あいつとはもう、やったの?隠れて会ったりしてたんだろ?」

そんな事言ったって立場が悪くなるだけなのに、なんかもう興奮してた。

「何もないよ!確かに、会ったりしてた。それは本当にごめんなさい。でもほんとに何もないよ。」

「そんなの信じれるかよ!」

⏰:14/05/05 07:37 📱:iPhone 🆔:pjnVuCsk


#231 [太郎]
「信じてもらえないのはわかってる。でも、ここまで純を傷つけて、これ以上嘘つくわけないよ…。確かに先生と、何回か会ってる。その中で、先生は私にずっと待ってるからって言ったの。私はやっぱり、彼氏がいるから無理だからって言ってたし、本当にそう思ってた。でもね…。でも…。」

「…。もういい。」

「気になっちゃったの。先生の事…。先生の子供の事。」

「もう言うなって!」

「頭の中が、それでいっぱいになってる時があって、自分でもどうしたらいいのかわかんなくて…」

もう、辛過ぎて、苦しくて、悔しくて、情けなくて、どんな顔して聞いてりゃいいんだって思った。

⏰:14/05/05 21:07 📱:iPhone 🆔:pjnVuCsk


#232 [太郎]
でもここで引き下がったら、一生後悔することわかってたから、これでも粘ったんだよ。

別れるなんて言うなって何回言ったことか。

それでももうダメだった。伊月がこうと決めたら絶対そうする頑固なとこがあることくらい、こんだけ一緒にいたらわかってた。

もう、完敗だ。

これ以上、俺の気持ちを押し付けても、伊月が幸せになれないなら、意味がないと思った。

⏰:14/05/05 21:49 📱:iPhone 🆔:pjnVuCsk


#233 [太郎]
幸せになれよ。

とか、言ってやるのが良い男だったのかな?

そんな言葉、俺には言えなかった。

伊月は最後に今までありがとうって言った。

おれはたぶん、何も答えなかった。

何も答えられなかった。

車から降りて行く伊月の姿を見ても、本当に終わったんだと実感するのに、どれだけ時間がかかったんだろう。

⏰:14/05/05 21:53 📱:iPhone 🆔:pjnVuCsk


#234 [太郎]
これまで、何をするにも俺の隣には伊月がいた。

小さい買い物からでかい買い物まで、おれの物でもいつも伊月が最終的には決めてたんだ、俺決断力無いし、流行りとかにはうといし、部屋に戻っても、そこらじゅうに伊月との思い出のもんやら、着てる服だって、車だって、全部に伊月との思い出がつまってる。

こんなにしんどいことはない。

ついさっき、母さんが言ったあのセリフも、今じゃこれひとつ当たっちゃいないんだ。

荷物やら、なんやかんや、最初の方はちょいちょい会ってたけど、用事がすんだらパッタリ連絡も無くなった。

⏰:14/05/05 21:59 📱:iPhone 🆔:pjnVuCsk


#235 [太郎]
もう、寺田とかゆう奴と付き合ってんのかな?そうゆう事も本当は知りたかったけど、直接聞いたら立ち直れる気がしなくて聞けなかった。

会う度に、戻ってきてくれないかなって思ったけど、伊月からはそんな様子はちっとも伺えなかった。

やばい…今思い出すだけで心の中がザワザワする。笑
そんくらい俺の中ではトラウマになるくらいの、辛い時期だった。

それからの俺は、もう誰が見ても、目に見えて荒れくれた。笑

仕事はちゃんと行ったし、流れでバイトも続けてたけど、プライベートは廃人と化してた。

⏰:14/05/05 22:02 📱:iPhone 🆔:pjnVuCsk


#236 [太郎]
まず、伊月と別れてすぐに実家を出た。

職場の近くのアパートで一人暮らしをはじめた。

母さんや兄ちゃんには、伊月と別れたことを直接言えなかった。

凹んでる姿を見せたくなかった。

明らか伊月が遊びに来なくなったし、俺の態度や行動で気付いてたと思うけど、2人とも何も聞いて来なかったし、一人暮らしをはじめたから、ほとんど会わなくなった。

⏰:14/05/05 22:08 📱:iPhone 🆔:pjnVuCsk


#237 [太郎]
自由なのを良いことに、センスもないのにギャンブルにお金を費やし、キャバクラの閉店まで居座ってみたり、完全に自分らしくない事をして、嫌なことを忘れたかったんだと思う。

伊月と結婚するために貯めてきた金も、くだらないもんに使い切ってやろうって思ってた。

案外、別れてから半年くらいで人生で2人目の彼女が出来たりしたけど、全く気持ちが盛り上がらなかった。

なんとなく付き合った。そんな感じ。

⏰:14/05/05 22:11 📱:iPhone 🆔:pjnVuCsk


#238 [太郎]
まぁ相手も軽いかんじで、お互いに深入りせずに傷付かずに、すぐに終わった。

それからは、いい歳こいて、女癖の悪い俺が誕生する。

やれそうだったらてきとーにやって、もうそれでサヨナラ。

本気っぽい奴には手出さないようにしたけど、最低だ!ってキレられた事もあった。

自分でも思うよ。俺ってこんなクズな人間だっけ?って我に帰ってアホらしくなってた。

でももうやめられなかった。

⏰:14/05/05 22:14 📱:iPhone 🆔:pjnVuCsk


#239 [太郎]
多分、この先本当に好きなる相手なんていない。

この時は、伊月に対しての未練があるのか自分でもわからなかった。

伊月の事を忘れようと必死すぎてほとんど伊月の事は思い出さなかった。

でもふとした瞬間に、蘇る伊月との記憶が、クズな俺をすごく苦しめてた。

なんてつまらない、退屈な人生なんだ。

そう思いながらも、淋しさにかまけて、簡単にやれそうな女を探す。

やったってひとつも気持ち良くもない。
なんだろうな、ただ性欲を処理したいだけって感じ。

⏰:14/05/05 22:18 📱:iPhone 🆔:pjnVuCsk


#240 [太郎]
伊月と別れてから3年がたった頃だった。

俺は今だに、クズなまま。

ギャンブルはやっぱり向いてないって思ってすぐやめたけど、誰ともちゃんと付き合えずにフラフラしてた。

もちろん、伊月とはずっと連絡とってない。

ようやく、俺の中からも過去の記憶として切り替えれそうな時だった。

俺はこの時の職場の1番近い先輩と、あるキャバクラにハマってた。

リーズナブルなのに、なかなかいい女が揃ってた。

⏰:14/05/05 22:22 📱:iPhone 🆔:pjnVuCsk


#241 [太郎]
もともと女の子って苦手だし、しゃべりも下手くそなくせに完全にこの時の俺は調子に乗っていた。

この先輩がまた、遊び上手で変な事をたくさん覚えさしてくるんだよ。

悪い人じゃないけどこの人に悪影響を受けたのは間違いない。笑

ある時期毎週のようによく通っていて、常連っぽくなって店の女の子の事も詳しくなっていた。

⏰:14/05/05 22:25 📱:iPhone 🆔:pjnVuCsk


#242 [太郎]
でも、指名とかは一切したことなくて、フリーで回ってくる子達としゃべったり、たまに軽い子とはプライベートで遊べたりして、そんな感じでやり過ごしてた。

ある日、たまたま俺についた女、源氏名は、舞。

「はじめまして、舞です。よろしく。」

第一印象も、その後の話してるかんじも、別に普通。

良くも悪くもない本当に普通の子だった。

「はじめてる見る顔だ。最近入ったの?」

常連のオヤジみたいなセリフをキメる僕。笑

⏰:14/05/05 22:28 📱:iPhone 🆔:pjnVuCsk


#243 [太郎]
「もともとはね、ずっとここで働いてたんだけど、出戻りな感じ!なになに?お兄さんは結構来てるかんじ?」

細くて、髪の毛はキャバ嬢らしくないショートカットで、綺麗な顔立ちだった。

でも俺のタイプはロングヘアーで、グラマラスで、可愛い系なんだけど…伊月みたいに…。笑

でもこの女の子、舞とはなんかすごい話しやすくて、落ち着いた。

タイプじゃないってのが、逆に良かったのかもだけど。

⏰:14/05/05 22:32 📱:iPhone 🆔:pjnVuCsk


#244 [太郎]
ふと、高校の時の同級生、里花を思い出す。

キャラクター的には里花みたいな感じ。

舞のが美人だけど…。

舞とはじめて会ってから1ヶ月もしないうちに、俺は舞を指名するようになった。

指名なんてする事ないと思ってたから自分でも驚いたけど、ほんとに下心なく一緒に酒飲んでるだけで楽しかった。

⏰:14/05/05 22:35 📱:iPhone 🆔:pjnVuCsk


#245 [太郎]
まぁ、それでもたかがキャバクラでの出来事なわけで、俺もガチでハマってたわけじゃないから当然パッタリ行かなくなったり、たまに行っても舞が休みだったり、気まぐれに通ってた。

だいぶ行かなくなって、久しぶりにまた先輩と行った時に、舞に会った。

俺の席に着くなり、すごい勢いで番号を聞かれて、もう来ないと思ったってしょんぼりしてみせる。

さすがキャバ嬢長いことやってるだけあんな。

それでもいい。俺は連絡先を交換して、その日は終わった。

⏰:14/05/06 05:50 📱:iPhone 🆔:5Ggx4fpk


#246 [太郎]
交換してからは、もう頻繁に会うようになった。

同伴とかはガッツリかもられてる感じがするから同伴はしねーよ!ってケチな事を言っても、舞はそんなのはどうでもいいと笑ってた。

他の女と会うこともなく、この時はほとんど舞と遊んでた。

一緒にいて楽だったし、心の何処かではどうせキャバやってる女だし、軽い気持ちでどうにかなっても色々めんどくさくなさそうだしって思ってた。

⏰:14/05/06 05:54 📱:iPhone 🆔:5Ggx4fpk


#247 [太郎]
舞と会うようになって、ますますキャバクラには通わなくなったのに、それでも毎日のように連絡をしてくる舞の気持ちは、いったいどうゆうつもりなんだろうと思いつつも、暇な俺は舞の誘いに乗っかる。

さっさとやるだけやって、深入りする前に離れたいって思ってたのに、舞にはなかなか手が出せなかった。

まぁ、手を繋いだりキスしたりはあったけど、俺たちどうゆう関係なんだ?って考えると不思議な関係だった。

でもちゃんと告白して付き合うつもりもなかったから、このままでいいと思ってた。

⏰:14/05/06 05:59 📱:iPhone 🆔:5Ggx4fpk


#248 [太郎]
そんな関係が続いていたある日。

舞が突然言った。

「あっ、私今日誕生日だった。」

「え?そうなの?おめでとー。おばちゃん。」

あ、舞は俺の1個上です。

「嬉しくないなぁこの歳になると。」

「いやまだ全然っしょ。なに?なんか欲しいもん買いに行く?お前みたいに稼いでないから対したもんは買えないけど。」

「私そんな稼いでないから!うーん、特に欲しいの無いけど…あ!そうだ!化粧品買ってよ、ちょうど何個か切れてんだよね。デパート連れてって!デパート!」

「化粧品?そんなんでいいの?デパートってなに、百貨店的な?」

⏰:14/05/06 06:03 📱:iPhone 🆔:5Ggx4fpk


#249 [太郎]
「何言ってんの、ちゃんとしたやつは結構高いんだから!ごっそり買ってもらうよ!そうそう、百貨店、私がいつも行くとこが良い〜。」

「え!それなら一個にして。笑。よし、行くか!」

何気なく、そう言って向かったデパート。

俺も何度か行ったことはあった場所。

舞に言われるがまま、デパートの中を歩いていた。

「あそこあそこ〜。」

普段こんなとこ来ないからキョロキョロする俺。

舞は目を光らせて真剣。

⏰:14/05/06 06:07 📱:iPhone 🆔:5Ggx4fpk


#250 [葵]
えー別れたんですかーしょーっく!!

⏰:14/05/06 21:20 📱:SH-09D 🆔:QrzE1EF2


#251 [太郎]
唯一の大事な読者にショックを与えてしまったか。笑
見捨てず最後までお付き合い下さい!

⏰:14/05/07 08:57 📱:iPhone 🆔:snUPAuxU


#252 [太郎]
退屈で、ふと、まわりの店を見渡す俺。

「ねーねー純ちゃん、これとこれ、どっちの色が好き?」

「…。」

「ねぇ!純ちゃーん!」

舞の声は聞こえていないわけじゃない。

「…」

「純ちゃん聞いてんの??」

その場で俺だけが時を止めていた。

何故なら、視線の先に伊月を見つけてしまった。

夢だと言ってた美容部員として働く伊月を。

⏰:14/05/07 09:02 📱:iPhone 🆔:snUPAuxU


#253 [太郎]
「伊月…。」

「ん?伊月…?」

俺の視線の先を見つめる舞。

伊月は接客中で、俺には気付いていない様子だった。

3年ぶりに見る伊月の姿。

今までずっと、忘れようと必死だった。その伊月が目の前にいる。

今まで無理矢理考えないようにしていた過去の事や自分の想いが一気に脳を駆け巡り、ショート寸前の俺。

⏰:14/05/07 09:06 📱:iPhone 🆔:snUPAuxU


#254 [太郎]
嘘だろ。

自分で自分に幻滅する。

いい男が、こっぴどく振られた女に未練たらたらなんだ。

もう、いい加減気持ちに整理つけれたと思ってたのに、伊月を一目みた瞬間、今まで無理していた自分が崩れた。

いまだに俺は伊月の事を忘れられないんだ。

⏰:14/05/07 09:21 📱:iPhone 🆔:snUPAuxU


#255 [太郎]
「舞、ごめん、ここ出よ!」

「え?!純ちゃん!?」

舞の手を引いて、俺は伊月に見つかる前に店を出た。

その瞬間一瞬だけ伊月と目があった気がしたけどすぐに違う方を見ていたから気のせいだと思う。

久しぶりの再会が女連れなんて気まずすぎる。

すぐさま立ち去る俺たち。

⏰:14/05/07 09:47 📱:iPhone 🆔:snUPAuxU


#256 [太郎]
「はぁ…マジ焦った。ごめん!舞!この店はやめよ!違うとこにもないの?お前の欲しいのあるとこ。」

「…。」

ふくれっ面の舞。
そりゃそうか。ちゃんと説明しないとな。

「あの子が長年付き合った元カノの伊月ちゃんなんだ?」

意外にも舞は冷静に言った。

「え!舞に伊月の話なんてしたことあったけ?」

「純ちゃん、酔っ払ったらいつもしてんの!名前は知らなかったけど、いっつも泥酔すると、元カノの話ばっかり。」

「マジか…。痛いね、俺。笑」

「まだ好きなんだね。」

「いや、好きってゆうか、もう3年以上前に振られてるし…自分でもよくわかんないんだけど、久しぶりすぎて動揺してしまった。…なんかすまん。せっかく来たのに。」

⏰:14/05/07 09:53 📱:iPhone 🆔:snUPAuxU


#257 [太郎]
「もういい。今日は帰ろ。」

「ちょ、怒ってんの?悪かったって。じゃ飯行くか!好きなもん奢るって!」

こんなことで、怒ったりする奴じゃないのに、何ムキになってんだよ。

実際、舞と遊び出してからも違う女とやったりして、その事が舞にバレたこともあった。

それでも舞は笑いながら、チャラいな〜って言って怒ったりしなかったから。

俺たちはそうゆうドライな関係なんだと思ってた。

「帰るっつってんの!早く家まで送って!」

⏰:14/05/07 09:58 📱:iPhone 🆔:snUPAuxU


#258 [太郎]
なんかすげーキレてる。

さっきまで伊月の事で動揺してたけど、今度は舞のご機嫌取りに必死になる。

でも、車に乗ってからもずっとプリプリしてる舞にだんだんイライラしてしまう俺。

「悪かったって言ってんだろ!なにお前今日どうしたの?そんな事でそんなにキレるか?」

「は!?マジうざい。逆ギレかよ!」

この言葉にカチンと来て俺は言ってはいけないセリフを言ってしまう。

「なんだよそれ。彼女でもないくせに。」

「っ。…。」

⏰:14/05/07 10:02 📱:iPhone 🆔:snUPAuxU


#259 [太郎]
うわ。

言った瞬間にやべーって思った。

舞の表情がだんだん怒りから悲しみに変わっていく。

しばらく沈黙。

「いや…俺が全部悪いな。ごめん。…マジでごめん。」

そういうと、今まで堪えていたのか、一気に涙を流す舞。

自分のしてきた事に改めて情けなさを感じる。

⏰:14/05/07 10:08 📱:iPhone 🆔:snUPAuxU


#260 [太郎]
結局舞の家に着くまでずっと無言の俺たち。

舞はずっと泣いていた。

俺も気の利く言葉をかけてやれなかった。

家の前に車を止めて、舞が降りる瞬間に言った。

「なんかごめん。キャバ嬢のくせに本気で純ちゃんに恋してた。純ちゃんが私に興味ない事くらいわかってたのに、バカだよね。…今まで付きまとってごめん。もう会うのやめよ。」

そう言って車を降りようとする舞を止める。

「ちょっと待てって、勝手に決めるなよ。」

「だってこれ以上一緒にいると、私どんどんめんどくさい女になるだけだもん!」

⏰:14/05/07 10:15 📱:iPhone 🆔:snUPAuxU


#261 [太郎]
チャラついてた時の俺は今まで散々、舞にめんどくさい女とは一緒にいたくないって言いまくってたから。

舞にそんな事を言わせてんのは俺だ。

「舞…。」

「とりあえず、ほんとに今日は帰らせて。お願いだから今は1人にさせて。じゃあね。」

そう言って車を降りる舞。

俺も素直にその日は帰ることにした。

⏰:14/05/07 10:19 📱:iPhone 🆔:snUPAuxU


#262 [葵]
動揺わかります…(。´Д⊂)つらすぎ〜。読んでる私もドキッと動揺してしまった(笑)
最後まで読みたいので頑張ってください。

⏰:14/05/07 14:55 📱:SH-09D 🆔:./xsOBuA


#263 [太郎]
ありがとうね!頑張ります!
携帯変わったけど僕です。笑

⏰:14/05/10 01:10 📱:SBM302SH 🆔:EpZqM0TA


#264 [太郎]
家に帰って、色々なことを考える。

伊月の事。

舞のこと、舞の言葉…。

突然の再会で気が付いた、自分の思い。

今までないがしろにしてきた、舞の存在。

舞の言葉が頭を駆け巡り、自己嫌悪に陥る。

⏰:14/05/10 01:14 📱:SBM302SH 🆔:EpZqM0TA


#265 [太郎]
本当は舞の気持ちには気付いていたのかもしれない。

心のどっかで。

でも確信はなかったし、キャバ嬢とこんなに近付いた事もなかったから、こうゆうふわふわした関係で良いんだって思ってた。

でもそんなわけない。

現にこう、中途半端なことして傷付けてるんだ。

やっぱ俺は根っからの遊び人にはなりきれねーや。だって、すごく後悔してる。

⏰:14/05/10 01:18 📱:SBM302SH 🆔:EpZqM0TA


#266 [太郎]
てかあいつ、今日誕生日じゃん。

はぁ、俺ってマジで最悪だ。

ここ最近は舞とずっと一緒にいた。

もう彼女同然の存在だった。

今回の事で俺は、舞を失ったらどうなるんだろう。

俺は一体、舞に対してどうゆう感情があるんだろう。

⏰:14/05/10 01:22 📱:SBM302SH 🆔:EpZqM0TA


#267 [太郎]
伊月を見た瞬間、俺が無理矢理止めた伊月への思いが、また動き始めたのは確かなことだった。

だけど、ここで舞との関係を終わらせたところでまた伊月とどうにかなれる保証なんてこれっぽちもない。

伊月はまだ、あいつと付き合ってるかもだし、もしかしたら全然違うやつと結婚とかもありえる。

これをきっかけに、舞と改めてちゃんと付き合った方が自然な流れなのかもしれない。

⏰:14/05/10 01:30 📱:SBM302SH 🆔:EpZqM0TA


#268 [太郎]
自分の思いが揺らぎ、どうすればいいかわからなかった。

ただ、目を閉じると久しぶりに見た伊月の姿が思い浮かんで離れなかった。

多分制服なんだろうけど、スーツっぽい姿で大人っぽくなってた。

でも変わらないあの雰囲気。

俺が大好きだった、あの伊月だ。

⏰:14/05/10 01:33 📱:SBM302SH 🆔:EpZqM0TA


#269 [太郎]
一晩中悩んで、俺は答えを見つけた。

深夜に舞に電話してみる。
だけど出ない。

結構夜遅かったし、そりゃそうだよなって思った。

すると、舞からの着信。

会いたいって言ったら来ても良いって言ったから、俺はすぐに向かった。

⏰:14/05/10 01:38 📱:SBM302SH 🆔:EpZqM0TA


#270 [太郎]
「明日仕事でしょ?いいの?こんな遅くに〜。いっつも仕事前は全然付き合ってくれないくせに〜。」

舞の部屋に入ると、何事もなかったかのように振る舞う舞がいた。

「舞。ごめん。」

「またその続き?もー良いんだって!私もなんであんなにイライラしちゃったんだろうって感じ!生理前かな?はは、らしくないってこうゆう辛気臭いの。そんな顔しないでよ、ウケるから!」

「そうじゃなくて。今までの事。ごめん。俺お前に中途半端なことしてきた。」

⏰:14/05/10 01:46 📱:SBM302SH 🆔:EpZqM0TA


#271 [太郎]
「…。」

黙りこむ舞。

舞に伝えたいことがある。
俺は続けた。

「今日は、俺の話聞いてほしいんだけど。こうやってちゃんと話すことなかったからウザいと思うけど聞いて。ごめん。」

「…。…うん。聞くよ。」

恐る恐る俺の顔を見る舞。

「酔っ払った時に俺なんて言ってたのか全然覚えてないけど、舞が言った通り、俺にはずっと好きだった彼女がいてさ。まぁ、その元カノが今日のあの子だったんだけど。」

⏰:14/05/10 01:51 📱:SBM302SH 🆔:EpZqM0TA


#272 [太郎]
「中学から働き出すまでずっと付き合ってたし、本気でずっと好きだった。今の俺は必死でチャラチャラしようとしてるけど、それまでの俺はこんなこと全然出来るやつじゃなかった。よく言えば一途とゆうか真面目とゆうか。それがこっぴどく振られてから、俺の中でなんか狂い始めたんだ。もうなにもかも、全てがどうでも良くなった。もうあの頃には戻れないと思うと、それ以上の幸せなんて無いって思ったんだろうな。」

舞は俺の話を聞きながら何故か涙を流していた。

⏰:14/05/10 01:57 📱:SBM302SH 🆔:EpZqM0TA


#273 [太郎]
「浮気ひとつしてこなかった俺が、誰とも付き合わずにやるだけやってみたり。まぁ、クズな事ばっかりしてきた。お前も知ってると思うけど…。」

「…。そんなとき、私と出会ったわけだ。」

「まぁ、そうだな。でも、舞は特別だった。舞には簡単に手も出せなかったし。大事だったよ、お前との時間が。」

「…もう、何が言いたいかわかっちゃったよ。私。もぉ、涙止まらない。」

⏰:14/05/10 02:04 📱:SBM302SH 🆔:EpZqM0TA


#274 [太郎]
「舞にはいつもお見通しだな。今日めちゃくちゃ考えたんだ。ほんとにずっと考えた。」

「うん。わかるよ。」

「俺、やっぱり元カノの事が忘れられない。もう、過去を引きずって今の自分を嫌いになりたくないんだ。」

「うん。うん。」

泣いてるくせに微笑みながら頷く舞を、本当に良いやつだって改めて思った。

⏰:14/05/10 02:09 📱:SBM302SH 🆔:EpZqM0TA


#275 [太郎]
「もう一度、当たって砕けてみようと思う。元カノに、もう一度ちゃんと会って話がしたい。もう無理かもしれない…ってゆうか…多分戻れるとかは無いと思うけど、そうしないと、俺一生クズなままだと思う。元カノとこのまま話すことなく、舞の所へ行っても、俺はきっと元カノを忘れられずにいつまでも舞を傷付ける。」

「うん…。」

「次またこっぴどく振られても、次はもう、潔く諦めて、もうこんなクズな事はしない。昔の俺に戻りたいんだろうな、俺は。」

⏰:14/05/10 02:17 📱:SBM302SH 🆔:EpZqM0TA


#276 [太郎]
「私…待ってちゃダメなの?…だめだったら、私のとこ来てよ…」

涙を浮かべ本当に小さな、小さい声で言った。

「そんな都合良いことしたら俺、男としてマジで終わる気がする。舞を失う覚悟で、こう決意出来たんだ。そんな事出来ないよ。」

「はは…そうだよね。冗談。…冗談とは違うか。でも、純ちゃんらしい答えだね。ほんとに、真面目そのもの。」

⏰:14/05/10 02:22 📱:SBM302SH 🆔:EpZqM0TA


#277 [太郎]
「ほんとにごめん。」

「謝らないでよ、私キャバ嬢だよ?もう何人も本物のチャラい男経験してきてるし、それに比べて純ちゃんが本当は真面目で、すごく真っ直ぐってことくらい、わかってた。その上で、軽いノリで近付いた。ソバにいるために。純ちゃんがたまに罪悪感を感じてる事や、私の事なかなか本気で好きになってくれないとこも、ほんとは気付いてたよ。」

⏰:14/05/10 02:27 📱:SBM302SH 🆔:EpZqM0TA


#278 [太郎]
「やめてよ、なんかダサいじゃん、俺。笑」

「そんな真っ直ぐで真面目な純ちゃんを、こんな育ちの悪い、汚れた私なんかが好きになったらいけないって思ってた。」

「舞…。」

「それでも…本当に、大好きだった。一緒にいる時間幸せだった。大事にしてくれてるのもわかったから。もう、それだけで十分。本当に純ちゃんが、大好きだと思うその子と、結ばれてほしいって心から思ってる。」

⏰:14/05/10 02:31 📱:SBM302SH 🆔:EpZqM0TA


#279 [太郎]
やばい。

涙が出そうだった。
必死でこらえる僕。

「職業とか、育ちとか、自分の事汚いとか、そんな事言うなよ、俺は舞の過去や仕事関係なく、良いと思ったから一緒にいたし、ほんとに楽しかった。」

「もう…こんなに誉め合うのも気持ち悪いね、はは、これ以上純ちゃんがうちにいると、私もっとワガママになって、ぎゅってしてとか、ちゅーしてって言っちゃいそうだから、もう、帰って。…最後のバイバイしよ。」

⏰:14/05/10 02:40 📱:SBM302SH 🆔:EpZqM0TA


#280 [太郎]
涙をこらえているのがバレないように必死で、俺は最後に舞を抱き締めた。

「バイバイ、純ちゃん…。」

「舞…。」

「純ちゃんのばか。」

「なんだよ、最後なのに。」

抱き締めあいながらまた、いつもの俺たちの会話。

「だって私今日誕生日なのに。」

「うわ、ホントだ。」

⏰:14/05/10 02:46 📱:SBM302SH 🆔:EpZqM0TA


#281 [太郎]
「誕生日おめでと。」

「ばーか。キャバ嬢には誕生日何個もあるんだよ。」

「は!?嘘?」

「ふふふ。」

「いや。嘘じゃないだろ。」

「秘密。」

「キャバ嬢こえ〜な。」

「でたでた、そのセリフ。」

「女はこえ〜よ。」

⏰:14/05/10 02:50 📱:SBM302SH 🆔:EpZqM0TA


#282 [太郎]
最後の最後に、こうやってまたふざけあえる。

舞には本当に感謝してる。

よく考えて見たら俺は舞の事を何も知らない。

過去や、なんで夜やってるのかや、本名も。

でも、本当に良いやつだってことは、間違いない。

出会いも別れも、不純だった俺たち。

それでも出会えてよかった。
心からそう思うよ。

⏰:14/05/10 02:54 📱:SBM302SH 🆔:EpZqM0TA


#283 [太郎]
「純ちゃん。バイバイ。」

「ありがとね、舞。」

舞の部屋を後にし、俺たちの関係はこれで終わった。

俺の思いの全てを包み込んでくれた舞の為にも、俺は前に進むしかない。

そう、もう一度伊月に会いに行く。

手段や方法はこれから考えるとして…。
舞のおかげで、決心がついた。

自分の気持ちに正直になるんだ。

⏰:14/05/10 03:00 📱:SBM302SH 🆔:EpZqM0TA


#284 [葵]
ちょー続き楽しみです(^∇^)

⏰:14/05/10 16:36 📱:SH-09D 🆔:eVjGcHG.


#285 [太郎]
ありがとう(^^)/

⏰:14/05/11 01:58 📱:SBM302SH 🆔:vhZjKZtQ


#286 [太郎]
困った…。

舞ときっぱり縁が切れて、堂々と宣言してから1カ月ほど立とうとしているのに、俺は何も出来ずにいた。

舞と会わないおかげで、仕事が終われば暇で考える時間は十分にあったけど、まずどうすればいいか悩みまくった。

だって、別れたのは3年前だぞ。

今更何て言ったら良いんだ。

⏰:14/05/12 16:38 📱:SBM302SH 🆔:uX1BWWIg


#287 [太郎]
何度も伊月の電話番号を眺め、発信のボタンを押そうとするけど、なかなか勇気がでない。

悩めば悩むほど、自信がなくなってい。
く。


男らしくねぇな。と思いつつ、未練たらたらで今更追いかけようとする時点でそもそも、女々しいんだよな、俺は。

携帯を眺めていて、ふと目に止まった名前。堀口。

⏰:14/05/12 16:44 📱:SBM302SH 🆔:uX1BWWIg


#288 [太郎]
堀口は地元の俺の親友。

定期的にちょいちょい会ってはいたけどこの時は久しぶりだった。

何の気なしに着信してみる。

相変わらずの堀口。
さっそく週末に呑みに行く約束をした。

酒でも飲みながら伊月の事でも相談してみようかな、なんて、軽い気持ちで考えていた。

⏰:14/05/12 16:47 📱:SBM302SH 🆔:uX1BWWIg


#289 [太郎]
週末。

予定通りに地元にある居酒屋に到着。

遅れて行った俺は聞かされた席に着くなり、驚いてしまう。、

「堀口すまん〜遅れた…って、え!?春田さん!?」

てっきり堀口と二人だと思い込んでいたら、席には堀口と同じく中学の時の同級生、春田さんが座っている。

⏰:14/05/12 16:50 📱:SBM302SH 🆔:uX1BWWIg


#290 [葵]
それでそれで(^ω^)

⏰:14/05/12 16:51 📱:SH-09D 🆔:VoQF.3IY


#291 [太郎]
「え!?安藤くん!?」

同じく驚く春田さん。

二人して、堀口を見つめると、ニヤニヤしながら言った。

「久しぶりに安藤が地元帰ってくるって言うからさぁ、プチ同窓会してやろうと思っていろんなやつ呼んどいた!」

「それならそれで先に言っとけよ、ビビったわ。」

「私もさっき突然堀口くんから連絡来て、安藤くんが来るとは思ってなかったからビックリ〜。久しぶりだね!元気?」

しかもこの春田さんとは、伊月の親友だ。
昔は色々お世話になったけど…別れてからははじめて絡むな…。

「お〜。元気元気。春田さんと飲むとか変な感じだわー。笑」

⏰:14/05/12 16:58 📱:SBM302SH 🆔:uX1BWWIg


#292 [太郎]
ちょっと待てよ…色々呼んどいたって、まさか伊月も!?

「他には誰が来るの??」

春田さん!ナイス質問!

「あとは野郎ばっかり!女の子春田さんしかつかまらなかったわ〜。」

ほっ…。
だいぶ安心…。

まだまだ心の準備が…。

「なんか私暇人みたいじゃん〜やだぁ〜」

「良いじゃん!紅一点で楽しくやってよ!」

⏰:14/05/12 17:01 📱:SBM302SH 🆔:uX1BWWIg


#293 [太郎]
春田さんは嫌がっていたけど、春田さんが参加してくれて、のちのち俺はすごい助かるとになる。

その後は、男がぞろぞろやってきて、ある程度はしゃぎ、飲みはじめて一通りして、少し疲れた俺は外に出て煙草を吸っていた。

やっぱり地元って良いなぁ。
今日はたまには実家に寄ってこうかな。

なんて、しんみりしながら吸い終わってぼーっとしてたら、俺を追いかけるように春田さんが外に出てきた。

「春田さんも煙草?笑」

⏰:14/05/12 17:07 📱:SBM302SH 🆔:uX1BWWIg


#294 [太郎]
「どうみても吸わないでしょ!私は。笑」

そう、春田さんは昔から優等生の良いとこのお嬢様って感じなんだ。

「だよな。笑」

「ちょっといい?」

俺のとなりにちょこんと座る春田さん。

「ん?どうした?」

少しためらいながらも、春田さんは思いもよらない事を聞いてきた。

⏰:14/05/12 17:09 📱:SBM302SH 🆔:uX1BWWIg


#295 [太郎]
「安藤くん、今彼女いるの?」

「彼女?」

まさか、僕に興味が!?
って、そんな訳はない。

春田さんには、同棲中の婚約者がいる。

「いや、いないよ。なんで?」

「そっか。ううん!気になっただけ。昔はさ、伊月と3人で色々出掛けたりしたよね。懐かしいなぁ。」

伊月の名前が出てドキッとする。

いまだに僕は、その伊月ちゃんが忘れられません。笑

⏰:14/05/12 17:14 📱:SBM302SH 🆔:uX1BWWIg


#296 [太郎]
「行ったよね、懐かしいわほんと。そういや、伊月は元気してる?会ったりするの?」

よし、いいぞ俺!
自然に聞き出せたはずだ!笑

「うん。伊月の職場が私のマンションからちかくてさ、最近良く会うよ。元気だよ〜。仕事も楽しいみたいで頑張ってる。」

「そっか。そりゃなによりだ。」

「うん…。」

少し春田さんの表情が曇ったのを俺は気まずいなぁと思いながら見ないようにした。

きっと、春田さんも俺たちが円満に別れていないこと、知ってるはずだから。

「…伊月もさ、もうずーっと彼氏いないし、出会いもないみたいで、プライベート暇そうなんだよね〜、そうだ!また今度、久しぶりに3人で会わない!?…なんて…急だよね。」

⏰:14/05/12 17:23 📱:SBM302SH 🆔:uX1BWWIg


#297 [太郎]
え!?

伊月…彼氏いないのか…。

あの教師とはどうなったんだろう、とか、すげー気になったけど聞けない。

てか!

春田さんがそんな場を主催してくれるなんて、俺めっちゃラッキーなんじゃ…。

これは逃しちゃいけないだろ!

「おっ、いいね〜。集まりたいよ久しぶりに。でも伊月が嫌がるんじゃない?俺に会うのは。」

⏰:14/05/12 17:27 📱:SBM302SH 🆔:uX1BWWIg


#298 [太郎]
「そんな事ないよ!多分…。じゃあさ、また連絡してもいい?安藤くんの番号確認しといてもいい〜?」

なんてラッキーなんだ。

でもこれ…本当に実現するのかな。

でも頼む!春田さんにかけるしかない!

「うん。俺ずっと変わってないから。楽しみにしてるわ!」

こうして、この日の飲み会は終わった。

ちなみにこの後二件目三件目でベロベロに酔っぱらい、結局実家には寄っていません。笑

⏰:14/05/12 17:31 📱:SBM302SH 🆔:uX1BWWIg


#299 [太郎]
それからまた約1カ月くらいがたったけど、春田さんから連絡は一向に来ない。

やっぱり伊月嫌がってんじゃねぇの。

はぁ。絶対そうだ。

ずーっとずっと、連絡を待つ。

待つ。

待つ。

待つ。

いや、もう待てねぇ!

春田さんの誘いの言葉で、よりいっそう早く伊月に会いたくなっている俺は、待ちきれなくなりついに春田さんに自分から連絡した。

⏰:14/05/12 17:34 📱:SBM302SH 🆔:uX1BWWIg


#300 [太郎]
『ごめんね、なかなか日にちが合わなくてさぁ、安藤くんは土日しか無理だよね〜?また連絡するね〜。』

催促する俺に、またハッキリしない返事をする春田さん。

ここで電話を切ったら多分もうこの話無くなるぞ。

そう思って、思いきる僕。

「あのさ、俺、むっちゃ会いたいんだよね。伊月が嫌でも俺は会いたいからさ、春田さん!頼みます!」

⏰:14/05/12 17:39 📱:SBM302SH 🆔:uX1BWWIg


#301 [太郎]
もうハッキリ言っておくしか無いと思った。

「安藤くん…。うん!!わかった!なるべく早く連絡するからね!絶対絶対!待っててね!」

なんだか春田さんは嬉しそうにしていた。

だから今度こそ春田さんに期待して待っていよう。

もうすぐ会えるかもしれないと思うだけで、俺は変なテンションになっていた。

⏰:14/05/12 17:42 📱:SBM302SH 🆔:uX1BWWIg


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