それでも君が
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#100 [
]
・・・――。
湯船につかる
『あ〜ぁ・・・』
ため息がでる。
こんな時でも
初めてのラブホに
ちょっとドキドキしてる
自分が嫌だ・・・
「お邪魔しまぁす(笑)」
文博が勝手に入ってきた!!
『ちょ・・・』
「一緒に入りたいのッ♪」
:07/01/01 22:18
:D902iS
:☆☆☆
#101 [
]
のッ♪ ぢゃないし!!!
文博は全身洗うと
湯船に入ってきた。
なんだかんだ言いながらも
風呂場で遊んだり・・・
友梨の決意は・・・
今にも崩れそうで
だけど正直
幸せだったりするんだよね・・・
「先行って待ってる」
文博はバスルームから出ていった。
:07/01/02 11:26
:D902iS
:☆☆☆
#102 [
]
『おまたせ』
濡れた髪を拭きながら
バスタオルを巻き
文博の元へ・・・
「おいで」
優しく呼ぶ文博に
引き寄せられるように
近づき抱き合った。
ごめん博・・・
友梨は意志薄弱だね・・
どっちが好きかわかんない。
:07/01/02 12:44
:D902iS
:☆☆☆
#103 [
]
博とは何でもない
ただの友達。
それに博は友梨に特別な感情なんてない。
友梨が勝手に気になってるだけ。
罪悪感なんて感じる必要ないのにばっかみたい。
何度も体を重ね
感じ合った
「友梨・・・愛してる」
偽りの言葉を呟き
文博は果てた
:07/01/02 19:35
:D902iS
:☆☆☆
#104 [
]
友梨はやっぱり
いけなかった。
愛を感じてないから?
いつか・・・
いつか本当に愛し合った人と結ばれたとき・・・
その時にいければ
それでいい・・・
その人と出会うまで
友梨はきっといけない。
文博は"その人"じゃない
:07/01/02 19:41
:D902iS
:☆☆☆
#105 [
]
二人並んで上向きに
寝ころんでいたとき
文博が友梨の携帯を取り
メールを見だした。
『何見よん?』
文博に訪ねる
「誰?こいつ。」
『ん?誰?』
携帯を覗き込むと
博のメール。
『あぁ・・・』
:07/01/02 19:46
:D902iS
:☆☆☆
#106 [
]
「誰やて!!俺に言えんような奴か??」
何で?
文博が怒る意味が
わからないし
文博にどうこう言われる
筋合いはない。
文博にとって友梨はただの
・・・ただのセフレ
『友達やさ。』
:07/01/02 19:54
:D902iS
:☆☆☆
#107 [
]
冷たく答えた。
にも関わらず
文博は質問攻め。
「毎日メールしよんやん」
『文博と違って構ってくれる』
「えらい長文メールばっかやないか」
『話題も出してくれるし絵文字もちゃんと使ってくれるからメール返す気になるの。メールしてて・・・楽しい・・』
「ハート多くね?」
『普通じゃない?』
:07/01/02 19:59
:D902iS
:☆☆☆
#108 [
]
「友梨のこと好きなんじゃね?」
『ないね!!』
「分からんやら?告ったん?」
わかるよ。
聞かなくても分かる。
博の中には元カノが・・・
マキちゃんがいる。
『もぉいいろ!?返して。』
「やだ。博ってどんなやつ?」
:07/01/02 20:04
:D902iS
:☆☆☆
#109 [
]
画像boxから
博の写メを見つけた文博は・・・
勝手に削除した。
「こんなやつどこがいいん?」
『良い人やよ』
「俺とどっちが良い?」
『・・・今は・・・博かな・・・』
言えた・・・
文博じゃなくて博って言えた!!
「かっこよくないやん・・・」
:07/01/02 20:08
:D902iS
:☆☆☆
#110 [
]
『不細工でもないやん。』
「俺の方がかっけーよ!!」
自棄になる文博。
「タイプじゃないやん。なぁ??友梨のタイプと全然違うのに何で写メ見て切らんかったん?」
だんだん早口になる。
パニクってる様子
それもそうか。
今までの友梨じゃ
あり得ないことだもんね・・・
:07/01/02 20:11
:D902iS
:☆☆☆
#111 [
]
『好き・・・なの・・・悪く言わんといて・・・』
「それ本気で言っとん?」
『だからね・・・文博・・・今日はけじめつけにきッッ・・・』
最後まで言わないうちに
文博は友梨の上に乗り
狂ったように腰を振る
「ききたくねぇ!!」
『ごめん・・・もう・・・きめ・・・た・・・こと・・だか・・・ら』
自分が振ったくせに
今更手放したくないなんて
もう無理だよ。
:07/01/02 20:18
:D902iS
:☆☆☆
#112 [
]
文博はもう一度果てた・・・
帰る時間が迫る
『帰ろっか』
そう言って
服を着る。
お金を払い
ホテルを後にした。
駅に着くと
「今日は・・ありがとな。会えて良かった。・・・犯すようなことして悪かったな」
:07/01/02 20:24
:D902iS
:☆☆☆
#113 [
]
『ぅぅん。友梨こそ・・・会えて良かったょ。ありがと。』
どんなに最低な人でも
やっぱり・・・
愛した人に変わりはないから
別れは辛い。
でも最後に見たのが
泣き顔なんて嫌だから
涙が出る前に
文博に背を向けて
ホームへと歩きだした。
:07/01/02 20:30
:D902iS
:☆☆☆
#114 [
]
「友梨!!!!!」
文博に呼び止められ
笑顔で振り返る
『なにー??』
「幸せになれよ!!博ってやつにちゃんと気持ち伝えろよ!!友梨はツエーで大丈夫や!!!!」
ありがとう・・・
ありがとう文博・・・
:07/01/02 20:34
:D902iS
:☆☆☆
#115 [
]
『おうッッ!!!任しとけ↑↑』
最後くらい
かっこつけさせて・・・
『幸せになってね!!』
それだけ言うと
また背を向けて歩きだした。
もう振り返らない。
決めたから。
:07/01/02 20:50
:D902iS
:☆☆☆
#116 [
]
電車に乗ると
以外に空いていて
楽に席に座れた。
電車が出発してすぐ
博にメールを送った。
"今から帰りまぁす"
―送信完了―
画面は一気に涙で滲んで見えなくなった。
:07/01/02 21:00
:D902iS
:☆☆☆
#117 [
]
元カレに会いに行った女を
元カレと体を重ねたことを
博はどう思うかな・・・
嫌われても仕方ない
だってそれだけのことをしたから。
でも話すって決めた。
帰る間中
博へどう話すかを考えていた。
:07/01/02 21:04
:D902iS
:☆☆☆
#118 [
]
文博との距離は
遠くなり
博との距離が
近くなる。
秋風が吹く10月。
一つの恋に
終わりを告げた―――。
:07/01/02 21:08
:D902iS
:☆☆☆
#119 [
]
:07/01/03 09:31
:D902iS
:☆☆☆
#120 [
]
『もう終わりにした。』
「そっか。アイツが好きだから?」
『うん・・・』
「そっか・・・」
裕クンに電話した。
お世話になったから報告っていうのもあるけど
誰かに言わないと
友梨はまた振り向いてしまいそうだから・・・
誰かに言わないと・・・
前に進めなくなりそうだから。
だから裕クンに話した。
:07/01/05 09:04
:D902iS
:☆☆☆
#121 [
]
泣きたかった・・・
でも
博の前では泣けなくて
博に会いに行くほどの
時間も足も勇気もない。
友梨は最低な人間です。
呼べば必ず来てくれる
裕クンを利用しました・・・
本当・・最低だよね。
:07/01/05 15:38
:D902iS
:☆☆☆
#122 [
]
「今から?わかった。」
やっぱり・・・
いつも絶対来てくれる。
『いつもんとこ?』
「寒いで家の前でいいよ」
『ありがと。』
五分くらいして
裕クンがきた。
『お願いしまぁす』
「おぅ!!」
:07/01/05 15:41
:D902iS
:☆☆☆
#123 [
]
いつもの光景・・・
いつもの匂いに
いつもの声・・・
でも友梨は裕クンにあったことを後悔することになる・・・
『どこでもいいから走って』
六つも下の友梨のわがまま。
いつも文句一つ言わないで
聞いてくれる。
:07/01/05 15:44
:D902iS
:☆☆☆
#124 [
]
そういう所
大人だなぁって思う。
「姫様相変わらずわがままですなぁ(笑)」
『うるさいなぁ。嫌ならいいよ。他の人に頼むから』
うそ。
他の人なんていないよ・・・
こんな友梨のわがまま
聞いてくれて
わかってくれる
最高のお兄ちゃんの
代わりなんていない
:07/01/05 15:49
:D902iS
:☆☆☆
#125 [
]
「すみませんねーじぃじが悪ぅございましたよ!!」
『分かればよしッッ!!笑』
たのしかったなぁ・・・
一時間以上走った。
着いたのは
静かに流れる河原
「降りるか。なんか話したいんじゃねぇの??」
わかってたんだ・・・
さすがだね。
:07/01/05 15:52
:D902iS
:☆☆☆
#126 [
]
『エスパーか???笑』
「かもな。で?話せよ。無理すんなよ??」
裕クンは煙草をふかしながら
座った
『うん』
友梨も少し距離を置いて
隣に座った。
そしてゆっくり話し出す・・・
電話じゃうまく話せなかったけど・・・
:07/01/05 15:56
:D902iS
:☆☆☆
#127 [
]
『友梨ね・・・
文博とやっちゃった・・・
セフレだってわかってんのに
どうでも良くなって・・・
体あげちゃった・・・
諦めたとか
わかってるとか・・・
ホントはただの強がりで
できるなら戻りたい。
もう一度振り向いて欲しい
そう思っとったんやと思う』
:07/01/05 15:59
:D902iS
:☆☆☆
#128 [
]
『でもね・・・
駅のホームにいたとき
昔振った人から
電話がきたの。
友梨のこと諦めるって。
前に進むって。
それ聞いて
友梨も前に進まんと・・・
って思った。
文博といたときは
文博の事考えてたけど
文博と離れてて
いつも考えるのは
博の事でね・・・』
:07/01/05 16:05
:D902iS
:☆☆☆
#129 [
]
『まだ完全にふっきった訳じゃないけど・・・
博といたら
幸せだろうな・・・
ってそう思う。
傍にいてくれたらなぁ。
っておもう。
・・・欲張りな話だよね。
・・・調子いいよね。
:07/01/05 16:07
:D902iS
:☆☆☆
#130 [
]
でも今本気だよ。
博も友梨のこと
見てくんないかなぁって・・・
でもさ・・・』
友梨の過去を
どう思うだろう。
きっと知ったら嫌われる。
でも友梨・・・
博のためなら変われるよ。
:07/01/05 16:10
:D902iS
:☆☆☆
#131 [
]
「過去か??」
裕クンは
友梨の過去を知ってる。
それでも
傍にいてくれる。
友梨の大切な連れ。
何で気づかなかったんだろう。
ちょっと考えれば分かったことなのに・・・
裕クンの気持ち・・・
:07/01/05 16:13
:D902iS
:☆☆☆
#132 [
]
『うん。友梨汚いじゃん?』
何人とやってきたの?
好きでもない男と
何度からだを重ねてきた?
「過去だろ?」
過去だよ。
過去だけど・・・
事実だよ。
:07/01/06 12:25
:D902iS
:☆☆☆
#133 [
]
「過去も含めて今の友梨がおるんやろ?ならそんな過去のことグダグダ言うような男はちいせぇよ。全部含めて愛してるって言ってくれる男じゃなきゃ幸せになんてなれん」
真剣な目で
遠くを見つめながら話す
裕クンの横顔に
少しドキドキしました。
『全部含めて今の友梨がおる・・・かぁ・・・』
裕クンの言葉の意味を
確認するかのように
もう一度自分で言った・・・
:07/01/06 12:30
:D902iS
:☆☆☆
#134 [
]
"幸せ"
は誰もが願うことで
だけど
傷つき苦しんだ分
人はより"幸せ"を願う。
"きっといつか・・・"
そう思ってきた。
よみがえる記憶は
少し色あせていたけど
心の傷は癒えないままでいた
:07/01/06 12:47
:D902iS
:☆☆☆
#135 [
]
元彼からの
イヂメ。
新しい恋と
たくさんの我慢。
我慢の結果は
別れ。
その辛さから逃げるように
走った夜遊び。
惚れた男は
突然と姿を消し
その悲しみを紛らわすかのように次々とほかの男とあそぶ
:07/01/06 12:55
:D902iS
:☆☆☆
#136 [
]
そんな毎日
友梨のために歌を歌ってくれた千明。
口は悪いけど
まっすぐなかぁクン。
こんな危ないこと
やめた方がいいと
友梨を正しい道へ引っ張っていこうとしてくれたりょうクン。
過去も家庭の事情も
すべて受け入れてくれた文博。
前へ進む勇気をくれたりゅうクン。
:07/01/06 13:07
:D902iS
:☆☆☆
#137 [
]
そして・・・
いつも傍にいてくれた裕クン。
心配してくれるこうチャン。
それから
大切な人。
:07/01/06 13:18
:D902iS
:☆☆☆
#138 [
]
博が言うように
全てが必然なら
みんなとの出会いは
無駄じゃないはず。
ただ・・・
体の関係になってしまっただけで・・・
友梨は
それぞれから
学んだこといっぱいあると思う
:07/01/06 13:20
:D902iS
:☆☆☆
#139 [
]
みんなと出会って
いろんな経験して
いっぱい傷ついた。
いっぱい泣いた。
でもいっぱい笑ったよ。
大切な人が出来た今
二度と同じ過ちをしないと
誓った。
:07/01/06 13:30
:D902iS
:☆☆☆
#140 [
]
信じて欲しいから。
好きになって欲しいから。
寂しくても我慢するよ。
寝れない夜は
無理してでも寝るから。
朝まで起きてたって構わないよ。
だけど絶対男に頼らない。
サイトも卒業するから。
:07/01/06 13:36
:D902iS
:☆☆☆
#141 [
]
「友梨さぁ・・・」
『ん?』
「俺じゃだめなの?」
???
突然の言葉に
声もでない
「おっさんには興味ないか(笑)」
絶対無理して笑ってるよね?
:07/01/06 13:39
:D902iS
:☆☆☆
#142 [
]
「ばーか!!そんな顔すんなよ。冗談やでよ(笑)」
なんだ
冗談かよ(笑)
『びっくりしたじゃんか!!』
「姫には大事な人がいますからね〜笑」
笑ってかわした
裕クンの気持ちは
本気か嘘か
未だにわかんないけど
今も彼女はいないまま。
:07/01/06 13:44
:D902iS
:☆☆☆
#143 [
]
何人も告られてんのに
付き合わない。
「好きな奴がいるから」
そう言って
未だにフリー。
そろそろ結婚とか
考えても良い年なのにね。
お金だってある
地位も高い
優しいし
顔も悪くない。
もったいないよ。。。
:07/01/06 14:13
:D902iS
:☆☆☆
#144 [
]
しばらく走った
友梨の気持ちが落ち着くまで
朝・・・
何もなかったように
家に帰り
間眠をとると
いつものように
学校へ行った。
:07/01/06 15:45
:D902iS
:☆☆☆
#145 [
]
校内は文化祭ムード全開で
放課後は夜まで
各クラスごとの出し物の準備が進められた。
博の学校も
文化祭が近いらしく
「劇の練習があるから」
とメールが返ってくるのが遅い日が続いた
それでも博は
メールを切ることだけはしなかった。
それがまた
たまらなく嬉しかった。
:07/01/07 11:25
:D902iS
:☆☆☆
#146 [
]
かったるい授業。
もめてばっかの部活。
勉強なんてだいっ嫌い!!!
楽しくなきゃ音楽じゃない!!!
それでも友梨が学校に
通い続けてるのは
大切な友達が
いるからだと思う。
そんな友梨の最近の
活力の一つが
博が休み時間にくれる
メールだった
:07/01/07 11:30
:D902iS
:☆☆☆
#147 [
]
「友梨また先輩とメール???」
『うんッッ♪』
「友梨分かりやすい〜笑」
茶化しながらも
いつも温かく
見守ってくれてるのは
幼なじみのミナポン
こと鈴木美奈。
美奈いわく
博とメールしてる時
友梨めちゃくちゃ
笑顔らしい・・・
:07/01/07 11:52
:D902iS
:☆☆☆
#148 [
]
美奈は最近
仲良しグループのリーダーから
ハブられてたから
友梨んとこに来させた。
友梨とはよく喋るし
馬鹿とかあほとか
言いまくってるけど
他の子には
なかなか言えない性格。
それから・・・
純粋すぎる美奈に
友梨の話は
過激すぎるときがあるらしい(笑)
:07/01/07 11:59
:D902iS
:☆☆☆
#149 [
]
生まれたときから
一緒みたいなもんだし
だから余計に
美奈には何でも話せる。
舞みたいに
口軽くないしね!!
まぁいわば心友ってやつ
:07/01/07 12:19
:D902iS
:☆☆☆
#150 [
]
文博を電話帳から消せないでいたけど
彼氏のフォルダーから
"メル友"
のフォルダーに入れ換えた。
すっかり文博の事を考えなくなりかけた頃
友梨はまた
文博と連絡をとらなきゃいけなくなる・・・
:07/01/07 12:52
:D902iS
:☆☆☆
#151 [
]
:07/01/07 14:14
:D902iS
:☆☆☆
#152 [
]
《ありがとうございました!!》
体育の授業が終わり
更衣室で着替えていたとき。
―ブーッブーッブーッ―
「誰かケータイなっとるよ〜」
あれ?
もしかして友梨?
制服のポケットから
携帯を出す。
『ハィハィ!!ァタシやゎ 笑』
ディスプレイには・・・
―お父さん―
:07/01/08 10:17
:D902iS
:☆☆☆
#153 [
]
出ようとした瞬間
切れた――。
着替えてからかけ直そう。
そう思い
ケータイを閉じようとした。
不在着信 5件
『かけすぎ

』
少し嫌な予感がした。
:07/01/08 10:20
:D902iS
:☆☆☆
#154 [
]
着替え終わった頃
またお父さんからの電話。
『もしもし?』
「何回かければ出るんや!!」
すごい剣幕でキレてくるオトン
『体育やったんやゎ!!うるさいな!!そんならメールにしたらよかったに』
負けじと言い返す友梨。
「お母さんからも電話きとるはずや。」
お母さん?
何で?
:07/01/08 10:24
:D902iS
:☆☆☆
#155 [
]
だいたい見当はついていたけど
一応聞いてみる。
『なんかあった?』
「なんかあった?じゃねぇぞ。おまえ今月の携帯使用料いくらやと思っとるんや!?」
やっぱり。
『3万』
「どうやって払うつもりや。引き落としが出来んかったってお母さん怒っとるぞ。お前帰ったら覚えとけよ。お父さんは知らんぞ」
それだけ言うと
一方的に電話を切られた。
:07/01/08 10:29
:D902iS
:☆☆☆
#156 [
]
不在着信を見てみると
お母さんから2回。
お父さんから3回。
『はぁ〜・・・うざっ』
いいじゃん別に。
いろいろあったんだよ!!
部活の相談とか・・・
文博と喧嘩したときとか・・・
不在着信あったら
かけ直すの当然だし。
おまえ等にはわかんないよ。
:07/01/08 10:33
:D902iS
:☆☆☆
#157 [
]
「よくあるよくある。親なんか気にすんなって!!」
「そうそう!!それに友梨自分で払ってんだし文句言われる筋合いないじゃん♪」
マックスに機嫌の悪い友梨を
咲と美奈が
なだめてくれた。
『やよね!!気にせんとくわぁ』
と笑ったが
帰ったら殺される・・・
そう思うと胃が痛んだ
:07/01/08 10:38
:D902iS
:☆☆☆
#158 [
]
文博はよく友梨に電話かけさせてた。
ワン切りなんて毎度の事。
でれないって分かってるときにばっか何コールもしてくる。
最低な男。
先月も3万4千円
という高額を
必死にバイトして
なんとか払った・・・
今月も
そうするつもりだったのに・・・
:07/01/08 10:42
:D902iS
:☆☆☆
#159 [
]
先に親にバレてしまった。
先月分のことがバレるのも
時間の問題だった・・・
『どうしよう・・・』
痛む胃を押さえながら
文化祭準備に行った。
7時半。
いつもなら迎えを呼ぶけど
この日はたまたま
担任が乗せてくれることになったのでお母さんにメールを入れた。
:07/01/08 10:45
:D902iS
:☆☆☆
#160 [
]
《今日中村が乗せてくれるで迎えいいよ

》
いつもなら電話するけど
この日は
怖くてメールにした。
送ってすぐに返事が来た。
《話があるからすぐに帰ってきなさい》
絵文字なしかよ!!
こわっ!!!
友達には気づかれないように
必死に作り笑いして
盛り上がってたけど
ホントはこのまま逃げ出したかった
:07/01/08 10:49
:D902iS
:☆☆☆
#161 [
]
帰ってスグに説教くらった。
しかも2時間半も正座で。
驚くかもしれないが
2時間半なんてまだいい方だ
うちのオカンは
かなりの教育ママで
口癖のように
「常識的に考えておかしい」
「非常識にもほどがある」
「常識が分かってない」
って・・・
常識 常識ってうるさい。
:07/01/08 10:53
:D902iS
:☆☆☆
#162 [
]
友梨の気も知らないで・・・
言いたい放題
全部決めつけたような言い方で
頭ごなしに叱りつけられ
そのストレスから
友梨は病気になった。
もともと強い体ではなかったけど・・・
:07/01/08 10:55
:D902iS
:☆☆☆
#163 [
]
ストレスで腎臓に異変が起きていた。
―igA腎症―
内蔵機器に過度な刺激を与えすぎて尿を排出しにくくなり
その結果体内を循環し血液を汚す。それが長期にわたると腎臓を・・・摘出しなければならない
レントゲンのような写真を見せられた。
:07/01/08 11:02
:D902iS
:☆☆☆
#164 [我輩は匿名である]
がんばってね
:07/01/08 11:02
:PC
:☆☆☆
#165 [
]
ぁリがとォございます

:07/01/08 11:03
:D902iS
:☆☆☆
#166 [
]
「これどっちも友梨ちゃんの腎臓なんだけどね・・・」
『はい・・・』
何言われるんだろう・・・
死にます。
とか言われたらどうしよう・・・
やだ・・・
死にたくない・・・
「右の腎臓は正常なんだけど・・・左をよく見て。少し腫れててここに傷が付いてるの分かるかな?」
:07/01/08 11:09
:D902iS
:☆☆☆
#167 [
]
先生が指さす場所には
確かに白く筋のような傷が
写っていた・・・
『先生・・・??』
「なんですか?」
『その・・・・・死にますか??友梨死んじゃうんですか?』
今にも泣き出しそうな友梨に
先生は笑顔でこう言った
「大丈夫ですよ、腎臓は一つでも生きていけますから。」
:07/01/08 11:14
:D902iS
:☆☆☆
#168 [
]
よかった・・・
命助かった
って・・・
そういう問題か!?
『えっ!?てことはやっぱり腎臓摘出しんといけませんか?』
やだ・・・
こわい・・・
「今ならまだ初期段階です。薬を飲んで治していきましょう」
:07/01/08 11:22
:D902iS
:☆☆☆
#169 [
]
友梨は手術だけはしたくなくて
毎日水分を大量にとり
行きたくなくてもトイレに行くよう心がけた。
必死の努力の末
なんだかんだで
腎臓は助かった。
今でもたまに痛むけど・・・
もう大丈夫!!
ただ・・・
もう一つの病気は
厄介だった。
:07/01/08 11:25
:D902iS
:☆☆☆
#170 [
]
ストレスからの
蕁麻疹。
6月ぐらいに
イキナリかかり
それからずっと・・・
毎日夕食後に一錠
薬を飲めば治まってたのに・・・
今じゃ毎食後に飲まなきゃ
かゆくて眠れないほどにまで
悪化してしまった。
4つも病院をまわって
やっとちゃんとした薬を
貰ったが・・・
検査結果は
驚きを隠せなかった
:07/01/08 13:51
:D902iS
:☆☆☆
#171 [
]
通常
人の血液には
タンパク質が平均27ある。
友梨に突きつけられた
数値は
850・・・――。
桁違いの数値に
目が点になる。
なんで・・・??
:07/01/08 13:56
:D902iS
:☆☆☆
#172 [
]
薬を飲み続け
病院にも通い続けた
でも未だに数値は
600だい。
健康体だった友梨の体は
友梨の気づかない間に
こんなにも傷ついていた。
友梨の体は
ストレスを感じやすく
溜めやすい体質になった。
:07/01/08 14:00
:D902iS
:☆☆☆
#173 [
]
医者からの忠告
"このままだと
自律神経がやられてしまう。
その若さで
自律神経失調症なんかに
なったら大変だ!!
できるだけ
ストレスを溜めないように。"
ストレスを溜めないように?
無理な話だ。
:07/01/08 14:03
:D902iS
:☆☆☆
#174 [
]
二つの病の原因が
ストレスだってことは
親に言えるはずない
なぜかって?
ストレスの原因が親だから。
友達にも
話せないまま
一人で抱えた・・・
一人で悩んだ・・・
こんなとき支えが欲しかった
苦しかったんだよ?
:07/01/08 14:06
:D902iS
:☆☆☆
#175 [
]
お母さんは
友梨から携帯を取り上げた。
―没収―
友梨は一人になった。
携帯がなければ
誰とも連絡が取れない。
怖い・・・
あれほど苦手だった
一人の夜。
:07/01/08 14:09
:D902iS
:☆☆☆
#176 [
]
寝付けない・・・
怖い・・・
一人が怖い・・・
友梨は狂ったように
布団をケチらし
暴れた・・・
結局眠れないまま
12時を過ぎる・・・
:07/01/08 14:11
:D902iS
:☆☆☆
#177 [
]
友梨は玄関にある
電話を手にすると
番号を押した
体で覚えた番号。
090xxxxxxxx
「もしもし?」
かしこまったような声で
電話に出たのは・・・
裕クン。
:07/01/08 14:15
:D902iS
:☆☆☆
#178 [
]
『携帯とられた。』
「あぁ・・・て友梨かよ!!家電やで誰かわからんかったにか」
あ・・・
そっか。
ごめん。
「また何か悪いことしたんか(笑)」
笑って茶化す裕クン
『笑い事じゃないから〜』
しばらく話して
電話を切った。
:07/01/08 17:14
:D902iS
:☆☆☆
#179 [
]
人と話したら落ち着いたのか
眠ることが出来た。
来週の空いてる夜
プリケー買いに連れていってくれるって。
やっぱ優しい。
てか甘い。
また・・・
裕クンの優しさに
甘えてしまった。
:07/01/08 17:17
:D902iS
:☆☆☆
#180 [
]
他の人にしたら
博じゃなくて
裕クンにしたら?
って思うかもしれないけど
友梨そういう風に
見たことないから
はっきりいって
恋愛対象じゃない。
こんなことばっか
してるけど
好きなのは博だった。
ただ・・・
学生の博にこんなこと話しても仕方ないって思ってたのかもしれない。
:07/01/08 17:20
:D902iS
:☆☆☆
#181 [
]
好きだよ。
って言いたくて
好きだよって
伝えたくて
だけど
今のままの友梨じゃ
絶対好きになんてなってもらえないだろうし
こんな夜遊び常習犯なんて
信じてもらえるわけないよね
そう思えば思うほど
やめなきゃ。って思う
けど一人が怖いの。
分かって?
:07/01/08 17:26
:D902iS
:☆☆☆
#182 [
]
なんて・・・
わかるわけないか。(笑)
次の日、
親が仕事にいってる間に
携帯から大事な番号と
アドレスをメモって
携帯を元の場所に返した。
博とメールできないことが
こんなにも寂しいなんて・・・
信じてもらえるような
生き方をしよう。
このときは真剣に
そう思ったんだ・・・
:07/01/08 18:07
:D902iS
:☆☆☆
#183 [
]
:07/01/09 17:07
:D902iS
:☆☆☆
#184 [
]
"あんたなんか生まなきゃよかった"
"金食い虫が!!"
"さっさと出てけ"
中学生の頃から
よく言われるようになった言葉
この家に
友梨の居場所なんて
どこにもなかった
:07/01/09 17:11
:D902iS
:☆☆☆
#185 [
]
頻繁に起きる
嫁と姑の大喧嘩。
たびたび耳にする
両親の離婚話
ノイローゼになる
母親からの半虐待。
体に出来るアザと
心に深く刻まれる
消えない傷。
何度この家を
出たいと思っただろう・・・
:07/01/09 17:15
:D902iS
:☆☆☆
#186 [
]
それでも
友梨がいなくなれば
ストレス発散の矛先は
力のない
祖母やまだ小学生の弟に向けられるだろう・・・
そう思うと
「我慢しなきゃ」
そう思った。
そう思って今日まで我慢してきた・・・
:07/01/09 17:18
:D902iS
:☆☆☆
#187 [
]
なのに・・・
ごめんね・・・
部屋に乗り込んできては
暴れ回る母を
どうすることも出来ず
ただただ時間が過ぎるのを待った。
暴言を吐かれる度
心に深く突き刺さる。
:07/01/09 17:21
:D902iS
:☆☆☆
#188 [
]
"あんたはウチの疫病神だよ!!あんたがいなければ
私がこんなにイライラ
しなくていいんだから
あんたが出てけばいいんだよ!!ほら、
さっさと荷物まとめな。"
そう言って
友梨の髪を引っ張ると
床に叩きつけた・・・
このとき決めたんだ。
この家を出ると―――。
:07/01/09 17:27
:D902iS
:☆☆☆
#189 [
]
お母さんが
部屋から出ていっても
友梨は動かなかった。
"このまま死にたい・・・"
そんなことさえ
思った。
なんで?
三万の使用料金で
友梨は疫病神扱いされなきゃならない?
:07/01/09 17:30
:D902iS
:☆☆☆
#190 [
]
こんなことで
こんな目に遭うなら
でていくよ。
あんたがそれを望むなら
出ていけばいいんでしょ?
いいよ。
でていくよ!!
:07/01/09 17:32
:D902iS
:☆☆☆
#191 [
]
親が部屋から出ていくとすぐに
文博に電話をした。
家を出ることを決めたと
文博に話すと
文博は
家に来い
と言ってくれた。
当然行く宛のない友梨は
文博の言葉に甘えた。
:07/01/09 17:41
:D902iS
:☆☆☆
#192 [
]
友達の家なんかにいたら
スグに見つかって
連れ戻される。
親は文博の存在を知らないから
絶対にバレない。
本気だった。
友梨は文博の電話を切ると
眠れない夜を過ごした。
:07/01/09 17:47
:D902iS
:☆☆☆
#193 [
]
眠れない間
いろんなことを考えた。
これからの家族の様子
学校は・・・
中退しなきゃいけない
友達には・・・
何も言わずにいこう。
もうみんなと会えないんだ・・・
いままでありがとう。
友梨のこと
忘れないでほしい・・・
:07/01/09 17:50
:D902iS
:☆☆☆
#194 [
]
友梨は机に向かうと
舞と弟
それから両親に
手紙を書いた。
博には・・・
ケータイ買ったら
連絡しよう。
そう思ってた。
きっと博のことだから
反対するだろうし
:07/01/09 18:09
:D902iS
:☆☆☆
#195 [
]
三時過ぎ
3通の手紙を書き終え
また布団に入った
さすがに眠くなって
いつの間にか寝てた
―朝―
親が仕事に行った。
弟も学校へ行った。
祖母が外で鳥かごを洗ってる
いつもの時を刻むみんなに
友梨の決意なんて
わかるはずもない・・・
:07/01/09 18:40
:D902iS
:☆☆☆
#196 [
]
いつも7時50分に
家を出る友梨が
50分を過ぎても出てこないので
祖母が心配して
部屋まで呼びにきた。
「友梨ちゃん?寝とんか?」
そう言って
重い足を動かしながら階段を上がってきた祖母に
部屋に入るよう言った・・・
:07/01/09 18:44
:D902iS
:☆☆☆
#197 [
]
まだパジャマ姿の友梨を
不審に思ったのだろう
「休むの?」
その言葉に
抑えていた感情が
一気に涙となって溢れ
友梨は祖母の胸で泣いた
祖母は
いつも友梨の味方だった。
小さいときから
祖母に育てられた友梨は
家族を置いて行くことを
申し訳なく思った。
:07/01/09 18:48
:D902iS
:☆☆☆
#198 [
]
『ばあ・・・ごめん。』
そう言うと
友梨は結んでいた髪をほどき
抜け落ちて、円形脱毛症のようになった頭を見せた。
「お母さんか?」
友梨はうなずいた。
祖母は優しく頭をなでる
:07/01/09 18:50
:D902iS
:☆☆☆
#199 [
]
「どうしてこんなこと・・・ばあちゃん昨日の夜二階で何されとるかって心配で心配で・・・」
涙目になる祖母に
見せて良いか迷ったけど
事実だから・・・
友梨は祖母に背を向けると
服を脱いだ。
体中にできた
青い真新しいアザを目にした祖母は泣き崩れてしまった・・・
:07/01/09 18:53
:D902iS
:☆☆☆
#200 [
]
『友梨出てく』
祖母は泣きながら頷いた。
何度も何度も・・・
この家にいたら
友梨はそのうち壊れちゃう
『今日休むで学校に電話して』
そう言うと
祖母に電話をかけさせた
頭痛のため欠席――。
:07/01/09 18:58
:D902iS
:☆☆☆
#201 [
]
文博から家に電話が来た。
親がいないから
かけてきたんだろう。
「仕事が終わったら駅まで迎えに行く」
駅に着いたら
公衆電話から電話するようにって言われた。
それから・・・
文博の女友達が
友梨を匿ってくれるって。
:07/01/10 17:40
:D902iS
:☆☆☆
#202 [
]
別れたのに・・・
文博の優しさに
涙が出た。
見ず知らずの友梨を
匿ってくれるその人にも
感謝の気持ちで
いっぱいだった・・・。
迷惑かけてるって
わかってる。
:07/01/10 17:46
:D902iS
:☆☆☆
#203 [
]
でも・・・
助けてください・・・
幼い友梨は
まだ一人じゃ生きていけない
そのための家族。
そのための友達。
だけど全てを失った今
友梨の頼りは
文博だけだった――。
:07/01/10 17:49
:D902iS
:☆☆☆
#204 [
]
部屋を掃除した。
もう二度と
この場所に帰ってくることはないから・・・
綺麗にしとかないとね
いつもは汚い机の上も
埃のかぶったような棚も
全部全部
掃除した・・・
:07/01/10 17:53
:D902iS
:☆☆☆
#205 [
]
父が昼休みで
家に帰ってきた。
当然友梨は学校に行ったことになっている。
だから
部屋で物音をたてないように
静かに過ごした。
父が再び仕事に行ったのを確認すると
荷造りを始めた。
:07/01/10 17:55
:D902iS
:☆☆☆
#206 [
]
旅行鞄に必要最低限のものを詰め込む。
衣類はもちろん、
ドライアー
洗面用具
それから・・・
思い出が詰まった
アルバムとプリ帳。
意外と荷物って少ない。
携帯料金の支払いのために
必死で稼いだ4万を
財布に入れた。
:07/01/10 18:01
:D902iS
:☆☆☆
#207 [
]
祖母が
『何があっても生き抜くんだよ。持って行きなさい』
そういって5万を
友梨にくれた
いらないと言ったけど
実際お金がいるのは確か。
『ありがと・・・』
向こうに着いたら
連絡するから。
:07/01/10 18:15
:D902iS
:☆☆☆
#208 [
]
辛くても生きる。
死んだら負け。
逃げたら負け。
逃げない。
負けない。
親なんかいなくたって
立派な大人になってみせる
強くなるよ
ううん、
ならなきゃいけない
:07/01/10 18:23
:D902iS
:☆☆☆
#209 [
]
バスは
お母さんが帰ってくるのと
入れ違いになる時間のに乗る
そしたらどこ探したって
見つかんないから。
探すわけないか・・・
いらない子だもんね。
疫病神だもんね。
せいせいするでしょ?
:07/01/10 18:27
:D902iS
:☆☆☆
#210 [
]
バスがくるまで
あと一時間半・・・
綺麗に片づいた机の上には
白い封筒の手紙が3通。
綺麗に並べて置いてある・・・
友梨がいなくなったら・・・
何人の人が
涙を流して悲しむのかな?
:07/01/10 18:36
:D902iS
:☆☆☆
#211 [
]
そんなとき電話が鳴った
友梨は思わず出てしまった・・・
電話の相手は
母方の祖母
祖母から話は聞いたと
言われた。
今から行くからまだ行かないでと言われた。
:07/01/11 07:29
:D902iS
:☆☆☆
#212 [
]
飛ばしてきたんだろう・・・
五分ほどして
母方の祖母が家にきた。
何で話したんだよ!!
と言わんばかりに
祖母を睨んだ
「さっきはあんな風に言ったけどやっぱり出ていって欲しくないから・・・お母さんに相談したんだよ」
涙をためて話す祖母を
無視して
冷たい態度をとる。
:07/01/13 12:49
:D902iS
:☆☆☆
#213 [
]
「友梨ちゃん・・・おばあちゃん泣かせて・・・そんなにこの家が嫌なの?」
は?
黙れ。
何も知らないくせに・・・
あんたの娘は
母親失格だよ!!!
『ばあちゃんには関係ない』
さらに苛立ちを感じる
:07/01/13 12:53
:D902iS
:☆☆☆
#214 [
]
母方の祖母は
家を出てその先どうやって生きていくのか
とか
学校は中退しちゃいけない
だとか
友梨の気も知らないで
グチグチうるさい
:07/01/13 12:55
:D902iS
:☆☆☆
#215 [
]
―ガラガラガラ―
玄関の戸が開き
父が居間にはいってきた。
『は?何でおるん?』
父は無言で座る。
理解できない友梨は
黙ったまま俯く
重い空気が四人を包む
:07/01/13 12:58
:D902iS
:☆☆☆
#216 [
]
友梨は確認するため口を開いた
『もう一回きくけど・・・おとん何で帰ってきたん?仕事行ったばっかやに』
その質問に答えたのは
父ではなく
母方の祖母。
「お母さんから電話があって・・・二人じゃ説得できんって思ったんと・・・お父さんは知っとるんかと思ってな・・・会社電話したんよ」
:07/01/13 13:04
:D902iS
:☆☆☆
#217 [
]
友梨が全身から放つものに
おびえながら
申し訳なさそうに話す姿が
さらにイライラする。
『よけいなことすんな!!
あ"ーもう!!!ふざけんなよ!!
もうきめたんやわ!!!
あんたらがなんて言ったって友梨は出てく。
あんたらに友梨の気持ちなんかわかるわけない。
てかわかってもらおうとも思ってないけどね!』
もう・・・
限界だよ・・・
:07/01/13 13:10
:D902iS
:☆☆☆
#218 [
]
それまで黙って座っていた父が口を開いた。
「学校はどうするつもりだ」
滅多に怒らない父だけあって
その言葉は重みがあり
ものすごく怖い・・・
自分の気持ちを確かめるかのように静かに答えた。
『中退・・・』
:07/01/15 07:11
:D902iS
:☆☆☆
#219 [
]
ふと時計を見た・・・
バスが来るまで時間がない!!
友梨は立ち上がると
『いままでどーもっ!!』
それだけ言うと
部屋を出ていこうとした
『・・・・!!痛い!!!』
:07/01/15 07:14
:D902iS
:☆☆☆
#220 [
]
『放して』
父が・・・
友梨の腕を掴んだ
「待ちなさい。」
『そんな時間ないし』
「話し合おう」
話し合う?
今更何話せって?
今まで家のことから目反らしてきたくせに
今更親面すんなよな!!
:07/01/15 07:17
:D902iS
:☆☆☆
#221 [
]
『今更親面すんなよ。おとんに友梨の気持ちなんかわかるわけないし!!ばっかじゃないの!?』
父は殴ることもせず
黙って腕を放した
言ってはいけなかった言葉
だけど
そんなこと考えらんないくらい友梨はボロボロだったんだ
:07/01/15 07:20
:D902iS
:☆☆☆
#222 [
]
バンッ!!!
外れるぐらい思い切り部屋の戸を閉めた。
ムカつくはずなのに
悲しくなんかないのに
溢れる涙を拭って
大きな荷物を
いきおいよく手に取った
:07/01/15 16:15
:D902iS
:☆☆☆
#223 [
]
同時に
父が部屋に入ってきた。
『何?』
「座りなさい」
それから一時間にわたって
父との話し合いが行われた
最終バスが
行ってしまった・・・
:07/01/15 17:22
:D902iS
:☆☆☆
#224 [
]
せっかく学校休んだのに
意味ないじゃん。
もうすぐお母さんが
帰ってくる。
「ただいま〜」
ほら来た。
最悪。
友梨の計画が・・・台無し
:07/01/15 17:24
:D902iS
:☆☆☆
#225 [
]
友梨が学校サボったこと
誰も口にしなかった
みんな黙っててくれた
無言でご飯を食べる友梨に
母が冷たく言った
『あんた部活休んだの?』
「頭痛かったで」
「あんな部活辞めなさいよ」
また説教かよ・・・
:07/01/16 11:00
:D902iS
:☆☆☆
#226 [
]
食べ賭のまま
箸を置き
『ごちそうさま』
そう言って立ち上がると
「いつまでも調子乗っとんやないよ!!」
母の甲高い叫び声に
食卓が静まり返る
「お腹空いてないんやろ?」
と優しく問いかける祖母。
:07/01/16 18:02
:D902iS
:☆☆☆
#227 [
]
庇ってくれたこと
本当は嬉しかった。
嬉しかったのに
今は・・・
反抗的な態度しかとれない
周りのこと考えてる
余裕はない
『食欲失せた』
パンッッ!!!
:07/01/16 18:04
:D902iS
:☆☆☆
#228 [
]
部屋中に響いた
頬をたたく音
『・・・・・!!』
言葉にならない
この気持ちは
怖いとか
悲しいとか
そんな感情じゃなく
憎い。
他でもない怒りだった
:07/01/16 18:07
:D902iS
:☆☆☆
#229 [
]
そのあと完全に友梨の携帯を取り上げると
長々と始まった説教。
軽く三時間。
耳にたこがが出来るほど聞かされてきた罵声に
友梨はもう
慣れてしまった・・・
母はまた
「あんたなんか生まなきゃよかった」
そう言った・・・
:07/01/16 18:10
:D902iS
:☆☆☆
#230 [
]
しびれて感覚のない足
腫れた頬
それでも友梨は
泣かなかった。
泣き虫だけど
めちゃくちゃ低いけど
プライドぐらい
友梨にだってある。
"泣くもんか!!"
キュッと唇をかみしめ
涙をこらえた
:07/01/16 18:13
:D902iS
:☆☆☆
#231 [
]
母が落ち着きを取り戻す頃には
もう何のことで怒っていたのかわからないくらい話は横にズレている。
右から左へと
説教を聞き流し
考えてたのは
博のこと。
"助けて・・・"
なんど心で叫んだだろう
:07/01/16 18:16
:D902iS
:☆☆☆
#232 [初]
:07/01/16 18:17
:N902iX
:☆☆☆
#233 [
]
やっと説教から解放され
部屋に戻る。
鏡を手に取り
まだじんじんと痛む
自分の顔を見つめた。
『あ〜ぁ・・・ぶっさいく!!』
我慢してた涙
あいつには絶対見せたくなくて必死に我慢してた涙は
言葉とともに
ボロボロと流れた
:07/01/16 18:24
:D902iS
:☆☆☆
#234 [
]
お風呂に入ると
鏡に映る自分の体
体を洗う度
痛みが走る・・・
髪も洗うだけで
太股にまとわりつくように
大量に抜け落ちる
それを見て
友梨の家出願望は
より強くなった
:07/01/16 18:37
:D902iS
:☆☆☆
#235 [
]
助けて欲しかった。
支えが欲しかった。
博に傍にいて欲しい・・・
震える膝を抱いて
湯船で小さく丸まった
きっと話したら
ひかれるんだろうな・・・
こんな家族
こんな体
そしてなによりも
自分自身
:07/01/16 18:39
:D902iS
:☆☆☆
#236 [
]
お風呂から上がると
ざっと髪を乾かし
まだ少し濡れてる髪のまま
布団に入った。
絶対出てく
こんな家
後悔させてやる
追い出したこと
強く強く思って眠りについた
:07/01/17 07:48
:D902iS
:☆☆☆
#237 [
]
―学校―
明るく明るく
バレないように・・・
ガラガラガラッ
『おはよ〜』
いつも通り教室に入る
「風邪やったん?」
「友梨おらんと寂しいぢゃんかぁ〜もう大丈夫なん?」
何人もの友達が声をかけてくれた。
:07/01/17 07:51
:D902iS
:☆☆☆
#238 [
]
『バカでも風邪ひくみたいやわぁ〜』
なんて茶化して
ごまかした。
つまんない授業と
くだらない部活を終え
帰宅する。
「今日お母さん帰り遅いって」
と弟が言う。
:07/01/17 17:52
:D902iS
:☆☆☆
#239 [
]
『まじで!?』
通りで姿がないわけだ
てか
チャンスじゃん!!!
出てくなら今日しかない
流し込むようにして
ご飯を食べると
台所にあったパンを一つ持って部屋に戻った。
:07/01/17 17:55
:D902iS
:☆☆☆
#240 [
]
お父さんが部屋から顔を出し
友梨の姿を確認してた。
仕事のはずなのに
家にいたのは
友梨が家出しないよう
見張ってただけ。
そんな父に気づかない振りをして部屋の戸を閉めた。
:07/01/17 18:00
:D902iS
:☆☆☆
#241 [
]
急いでお風呂の準備をして
再び部屋から出る。
カラスの行水のように
お風呂から上がると
バスタオルで髪を拭き
また束ねた。
『よしっ!!』
気合いを入れると
脱衣所を後にした
寝間着から私服に着替えると
マフラーとコートを着て
髪をほどいた
:07/01/18 15:48
:D902iS
:☆☆☆
#242 [
]
昨日詰めた大きな荷物。
それから・・・
家電の子機
一度しまった三通の手紙を
再び机の上に置き
友梨は部屋を後にした
静かに玄関を出て
秋の夜道を
一人歩きだした
:07/01/18 18:11
:D902iS
:☆☆☆
#243 [
]
友梨が出ていったことは
誰も気づいていない。
でもすぐにバレるだろう・・・
下手に歩き回らない方がいい
家から少し離れた
小さな小屋の陰に身を潜め
友梨は裕クンに電話した。
〜♪〜♪
:07/01/18 18:15
:D902iS
:☆☆☆
#244 [
]
「はいはい?どした?」
『今日遊ぼ』
あ〜ぁ・・・
博がいてくれたらいいのに
そしたら迷わず
博の所へ行くのに・・・
また裕クン利用して
友梨最低。
:07/01/18 18:53
:D902iS
:☆☆☆
#245 [
]
「なんかあったろ」
『別に〜何となくやけど?』
強がって嘘ついたけど
裕クンには通用しない
「嘘つきとは遊んであげんぞ。何あったよ?正直に言いなさい」
『・・・』
『家出しました。寒いのでかくまって下さい』
:07/01/18 19:51
:D902iS
:☆☆☆
#246 [
]
「はっ!?笑 友梨なかなかやるなぁ〜」
冗談だと思ったのか
笑い飛ばされた
『本気やよ。昨日学校休んで荷造りした。』
電話の向こうの
笑い声が消え
真剣な声に変わる
「今どこ?」
:07/01/18 19:54
:D902iS
:☆☆☆
#247 [
]
『植村さんちの車庫の裏。』
「本気かよ・・・」
『うん・・・』
静かな夜に
友梨の声が響いた。
「でも今日夜勤やから・・・」
『終わったらでいい。来てください・・・』
この寒さの中
野宿なんて出来ない
:07/01/20 14:53
:D902iS
:☆☆☆
#248 [
]
「遅いよ?」
『何時?』
「一時くらい。」
淡々と進む二人の会話。
『いっ!!!1時!!!??』
「てか寒いろ?やっぱ今から行くゎ。」
『いいよ

仕事中じゃん。終わるまで待っとくで。』
:07/01/20 15:05
:D902iS
:☆☆☆
#249 [
]
ほんとは寒くて
辛かった
だけど裕クンに
これ以上の迷惑かけちゃ
いけないと思ったから
断ったんだけど・・・
「・・・バカ、風邪ひいたらどうするんよ。ちょっと待っとけよ。今すぐ行くで!!」
『でも仕事・・・』
「いいでそこ動くなよ!!!わかったな!!」
:07/01/20 15:13
:D902iS
:☆☆☆
#250 [
]
それだけ言うと
一方的に電話を切られた。
『・・・』
しばらくプーップーッていう
音を聞いてた
その音も切れる頃
友梨は立ち上がり
裕クンの言葉を無視して
場所を移動し
近くの工場の駐車場にある
小さな階段にうずくまった
:07/01/20 15:20
:D902iS
:☆☆☆
#251 [
]
今何時かな・・・
裕クン探してるかな・・・
友梨
生きてていいのかな・・・
そんなことを考えながら
静かに目を閉じた
"このまま死んじゃえばいいのに・・・"
そんなことさえ思った
:07/01/20 15:23
:D902iS
:☆☆☆
#252 [
]
いつの間にか
こんな寒い中
眠ってしまった・・・
名前を呼ぶ声で目が覚めると
そこには・・・
裕クンがいた。
「友梨!!!!」
『ちょ・・・!!!』
:07/01/20 15:29
:D902iS
:☆☆☆
#253 [
]
友梨を抱く腕が
震えてた。
「動くなっていったにか」
『ごめん・・・』
「探したんやぞ!!」
『ごめん・・・なさい』
震える冷たい体
きっとこの寒い中
走って探してくれてたんだね
:07/01/20 15:40
:D902iS
:☆☆☆
#254 [
]
「おってよかった・・・」
心配かけてごめんね。
裕クンはそのまま友梨を
抱き上げた
『重いからいいよ〜!!!』
と足をばたばたさせた
「暴れると落とすぞ!!」
『やだ!!!』
その言葉におとなしく
車に乗せられた(笑)
:07/01/20 15:47
:D902iS
:☆☆☆
#255 [
]
バサッッ!!!
いきなり視界が真っ暗になり
上から何かが落ちてきた
『£%#&☆$!!!!!』
「ははっっ!おもしれ〜!」
『何で笑うの

苦しいから!!』
「あいっ!これかぶっとけ」
上からかぶせられたのは
暖かい毛布。
:07/01/20 15:55
:D902iS
:☆☆☆
#256 [
]
明らかに裕クンの布団。
『わざわざ持ってきてくれたの?』
「おぅ・・///」
照れくさそうに答える裕クンを
可愛いなって思った。
『そっか♪ありがとっ』
そういえば
車の中の温度
すごい高い
:07/01/20 15:58
:D902iS
:☆☆☆
#257 [
]
さっきから
「寒くない?」
って何度も聞いてくる
『大丈夫だよ』
って毛布の中から答えた。
真っ暗な夜の駐車場。
ふと聞こえたのは
お父さんの車のマフラーの音
探してるんだ・・・
:07/01/20 16:02
:D902iS
:☆☆☆
#258 [
]
『探しとる・・・』
「まじで!?まぁそりゃそうやろ・・・大事な娘が家出なんてよ」
見つかるんじゃないかという恐怖が友梨を襲った。
毛布から顔を出すと
「だーめっ。」
ってまた毛布をかけられた。
:07/01/20 16:13
:D902iS
:☆☆☆
#259 [
]
他の場所に移動するよう頼んだ
連れてこられたのは・・・
見たこと無い場所
暗くてよくわかんないけど
川の音がするから
川の近くなんだってわかった
『初めて来た・・・』
友梨は毛布をよけると
車から降りた
:07/01/20 16:17
:D902iS
:☆☆☆
#260 [
]
裕クンが友梨の後を
ついてくる。
「なぁ・・・」
『こんな場所あったんやね!』
裕クンの言葉を遮るように
少し大きな声で話した
"なぁ・・・"
その言葉の先はきっと
友梨が聞きたくない言葉だって
何となくだけど
気づいてたから
聞きたくなかった・・・
:07/01/20 16:20
:D902iS
:☆☆☆
#261 [
]
そんなこと繰り返してたら
急に裕クンが友梨の前に来て
肩を掴んで
「俺の話聞けって!!」
って・・・
真剣な目で・・・
友梨は黙ってうなずいた。
:07/01/20 16:23
:D902iS
:☆☆☆
#262 [
]
「とりあえず車もどろ。風邪ひくから」
『友梨バカやで風邪やらひかんし!!』
「ん〜でも寒いやろ?」
『もう寒くない』
ぶつぶつと
文句言いながら
手を引かれて
車に戻った。
:07/01/20 16:25
:D902iS
:☆☆☆
#263 [
]
「家帰ろ?」
まっすぐ友梨を見てくる
裕クンから目をそらして
『いやだ』
って言った。
また沈黙が続く・・・
『絶対やだ。あんな家』
自分自身に言うように
つぶやいた
:07/01/23 10:59
:D902iS
:☆☆☆
#264 [
]
「友梨・・・だめ!!!」
友梨の肩を掴んで
前後に揺する。
『やだ』
やだしか言わない友梨に
裕クンはため息をつくと
「わかった・・・。友梨の言いたいこと言えよ。聞くし」
その言葉に
友梨は素直になった
:07/01/23 11:03
:D902iS
:☆☆☆
#265 [
]
散々グチった
これでもかってくらい
ぶっさいくな泣き顔で
女なんか捨てて・・・
きっと裕クンだから出来たんだね
『ふぅ〜』
ため息をつくと
『疲れたぁ〜』
と吐いた
:07/01/27 17:07
:D902iS
:☆☆☆
#266 [
]
「辛かったな・・・」
裕クンは
また友梨を抱き寄せると
ぎゅーってしてくれた。
寂しがりの友梨が
抱きしめられてるとき
一番落ち着くことを
裕クンは知ってる
でもこのぎゅーは
違う意味だった・・・
:07/01/27 17:16
:D902iS
:☆☆☆
#267 [
ακ
]
続きが気になる


:07/01/29 21:16
:D901i
:☆☆☆
#268 [
]
:07/01/30 07:24
:D902iS
:☆☆☆
#269 [
]
友梨から離れると
家に連絡しろ
と言われ
携帯を渡された。
"しばらく帰らないけど心配しないでください。"
そう・・・
ちゃんと話せと
携帯を突きつけられた
:07/01/30 07:28
:D902iS
:☆☆☆
#270 [
]
友梨は嫌だと言った。
車の中でジタバタして
裕クンを困らせた
「ちゃんと連絡したら友梨の行きたいところまで連れてってやるよ。だから心配すんなって事だけは伝えろ。じゃなきゃ家連れてくぞ」
" 家 "
やだ・・・
それだけは嫌だ・・・
:07/01/30 07:34
:D902iS
:☆☆☆
#271 [
]
この頃のアタシは
家族とか
絆とか
どうでもいいっていうか
信じてなかった。
帰る場所を無くした友梨は
自分の居場所が
どこにもないって
自分のこと責めた
:07/01/30 08:21
:D902iS
:☆☆☆
#272 [
]
かければ好きな所まで
乗せていってもらえる
かなり迷ったが
裕クンの言うとおり
家に電話をした
裕クンの携帯から
非通知で。
―プルルルッ―
静かな車の中
裕クンに心臓の音が
聞こえるんじゃないかって
思うくらい
鼓動は早かった
:07/01/30 16:36
:D902iS
:☆☆☆
#273 [
]
3コールで繋がった
「はい、牧野です。」
力ない声で
電話に出たのは
母だった・・・
『友梨やけど・・・』
そう言った瞬間
「あんた今どこにいるの!?探しとるんやよ。帰ってきて・・・お願いだから」
泣き出した母・・・
:07/01/30 16:40
:D902iS
:☆☆☆
#274 [
]
初めて聞く
母の泣き声に
胸が締め付けられた
"帰らなきゃ"
なんて気さえしてくる
でも友梨は
にじんだ涙をこらえて
『頭冷やしてから帰ります。大丈夫やで探さんといて』
とだけ言って
一方的に電話を切った
:07/01/30 16:51
:D902iS
:☆☆☆
#275 [
]
母はまだ何か喋っていたけど
無視して切った。
『言ったよっ!!』
と裕クンにピースした
友梨の目には
今にもこぼれそうなくらい
涙が溜まっていた
「頑張ったな」
軽く抱きしめて
頭を二回ポンポンってして
裕クンは笑った
:07/01/30 16:55
:D902iS
:☆☆☆
#276 [
]
でもこの笑顔に
この優しさに
騙されるなんて
この時のアタシは
考えてなかったんだ・・・
ホントの優しさだったのかもしれないって
今ならわかるよ・・・
:07/01/30 17:20
:D902iS
:☆☆☆
#277 [
]
しばらくして
裕クンは仕事に戻るため
会社の駐車場に一人
車の中で待つことにした。
「一時に戻ってくるから。どこも行くなよ!!寝とけ!!」
『大丈夫。ここにおるで』
"10時半か・・・"
警察バレたら
補導されるやんか!!
なんて思いながら
毛布にくるまり
うとうとしかけた・・・
:07/01/30 18:19
:D902iS
:☆☆☆
#278 [
]
バンッッ!!
ドンッッ!!
『・・・・!!?』
ドアを開ける音で
目が覚めた。
もう一時になったのかと思い
眠い目をこすり
なぜか慌てている裕クンに
話しかける
『お疲れさま〜早かったね。もぉちょっとで寝るとこやったわぁ〜笑』
:07/01/30 18:23
:D902iS
:☆☆☆
#279 [
]
時計を見ると
まだ30分しか経っていない
『あれ?もう仕事終わったの?てかどうしたの?何か変』
「・・・・・」
黙ってエンジンをかける裕クン
なにが起きているのか
さっぱりわからないほど
友梨だってバカじゃない
『やだッッ!!!!!』
:07/01/30 18:26
:D902iS
:☆☆☆
#280 [
]
『ねぇ?どこ行くつもり?』
「・・・」
『ねぇってば!!!』
「・・・」
『家なら帰らんよ!!』
「・・・」
無言のまま走り出した。
『何とか言えよ!!黙っとったらわからんやら!?』
:07/01/30 18:28
:D902iS
:☆☆☆
#281 [
]
「会わせたい人がおる」
『会わせたい人?』
誰だろう・・・
すごい焦ってる様に見えるのは気のせい?
博かな?
んなわけないか!!
:07/02/01 16:25
:D902iS
:☆☆☆
#282 [
]
『誰々〜笑』
「・・・っ」
え・・・・・
耳を疑った。
なんで?
どうして?
信じてたのに・・・
裏切り者。
:07/02/01 16:28
:D902iS
:☆☆☆
#283 [
]
'
"友梨のお母さんっ"
やだ・・・
友梨あんな家には帰んない!!
帰ったらなにされるか・・・
:07/02/01 16:36
:D902iS
:☆☆☆
#284 [我輩は匿名である]
:07/02/01 17:20
:N701i
:☆☆☆
#285 [
]
アザが出来るくらいじゃ
済まないだろう
円形脱毛なんかじゃ
収まらないだろう
きっとまた
殺されそうになるんだ・・・
そんな恐怖が友梨を襲い
体が震えだした
他人にはわかんない。
実の親に
怯えるなんて・・・
わかるはずない
:07/02/01 20:04
:D902iS
:☆☆☆
#286 [
]
『やめ・・・て』
お願いだから・・・
助けてくれるんじゃなかったの?
家に電話したら
行きたいところまで
連れていってくれるって・・・
そう・・・
いったじゃんか・・・
嘘つき。
裕クンの嘘つき!!!
:07/02/01 20:06
:D902iS
:☆☆☆
#287 [
]
「バレたんや・・・ごめん」
え?
待って。
どういう意味?
『なんで?』
「非通知設定できてなくて・・・お前んちから電話かかってきて友梨返せって・・・・・」
そんな・・・
:07/02/01 20:09
:D902iS
:☆☆☆
#288 [
]
「だから・・・ごめん。」
そう言って車を止めたのは
少し離れた場所にある
道の駅。
『裕クンのばか!!裏切り者!!友梨が家帰ったらどうなるか分からんでこんな事できるんやさ!!』
信じてた裕クンの
まさかの裏切りと
帰宅後の恐怖で
頭がパンクしそうだった
:07/02/01 20:16
:D902iS
:☆☆☆
#289 [
]
「もうすぐお母さん来るで待っとけよ。ちゃんと話し合えよ」
話し合う?
今更話す事なんてない
てか
話したくもない
『あんたに頼った友梨がバカやった。最低!!もう連絡せんといて』
:07/02/01 20:18
:D902iS
:☆☆☆
#290 [
]
パニクってる友梨は
自分のことで精一杯で
裕クンが友梨に
してくれた優しさなんか
忘れてた・・・
この日の事実を知るのに
時間はかからなかった
友梨は
最低なことをしました
裕クンが大人なんだって
実感し涙することになる
:07/02/01 20:22
:D902iS
:☆☆☆
#291 [
]
『じゃあね!!』
嫌みったらしく
一言投げるようにはくと
荷物を持って車から降りた
「おいっ!!ゆり!!!!!」
夜の静かな住宅街に
二人の声がこだまする
今考えると恥ずかしい///
:07/02/01 20:31
:D902iS
:☆☆☆
#292 [
]
追いかけてくる足音が
突然消えた
チャンスと思い
走って逃げた
「友梨!!!待って・・・友梨お願い話を聞いて・・・」
その声に
背筋が凍るような感覚を覚えたのを今でも忘れられない・・・
:07/02/01 20:33
:D902iS
:☆☆☆
#293 [
]
『・・・・・!!』
腕を捕まれた。
その力は肉離れしたかと思うくらい強い力で
友梨は振り払えなかった
『痛いなっ!!触んなよ!!放せって!!!!!』
「友梨・・・どうして・・・??」
そう。
しっかりと腕を掴んだのは
母だった・・・
:07/02/01 20:40
:D902iS
:☆☆☆
#294 [
]
『あんたの顔なんか見たくない!!!放してよ!!!!!』
「放さんよ。絶対に放さん」
震える手で
友梨の肩を掴んだ
母の顔は
涙でグチャグチャだった・・・
「帰ろう・・・??」
:07/02/01 20:43
:D902iS
:☆☆☆
#295 [
]
「探したんよ・・・無事でよかった・・・」
そう言って嫌がる友梨を
無理矢理抱きしめた
大嫌いなはずの母
憎いはずの母
なのに・・・
なのに涙が止まらなかったのは
かけがえのない
たった一人の母親だから。
:07/02/01 20:46
:D902iS
:☆☆☆
#296 [
]
母に手を引かれて
しぶしぶ車へと向かった
「ご迷惑おかけしました。仕事中なのに・・・」
ペコペコと頭を下げる母に
「いえいえ。ちゃんと話し合ってください。それから・・・友梨ちゃんの話聞いてあげてください」
と返す裕クン。
二人のやりとりを
聞き流しながら車に乗った
:07/02/01 20:52
:D902iS
:☆☆☆
#297 [
]
家に向かう車の中
母は一言も話さなかった
もちろん友梨も。
殴られる覚悟を決め
唇を噛みしめて
見上げた空には
星なんか見えなくて
月だけが浮かんでた
:07/02/01 20:55
:D902iS
:☆☆☆
#298 [
]
家に着くと父が玄関の外を
落ち着かない様子で
うろうろとしていた。
車を見るなり
友梨の乗っているドアを開け
「おかえり」
と優しい口調で言った。
それを無視して
友梨はさっさと家に入った。
後ろで二人がボソボソと話してたけど
聞こえない振りをした
:07/02/01 20:59
:D902iS
:☆☆☆
#299 [
]
部屋に行き
床に鞄を投げつけた。
父が部屋の外から
優しい口調で
「下に来なさい」
と言い離れていった・・・
しばらく動かなかったけど
仕方なく下へ降り
居間の戸を開けた
:07/02/03 20:09
:D902iS
:☆☆☆
#300 [
]
そこには泣き崩れる母の肩を
抱き寄せる父の姿
『なに?』
母は顔を上げると
「座って」と弱々しく言った
自分がしてきたことを
やっと反省したと思った
:07/02/03 20:14
:D902iS
:☆☆☆
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