それでも君が
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#201 [
]
文博から家に電話が来た。
親がいないから
かけてきたんだろう。
「仕事が終わったら駅まで迎えに行く」
駅に着いたら
公衆電話から電話するようにって言われた。
それから・・・
文博の女友達が
友梨を匿ってくれるって。
:07/01/10 17:40
:D902iS
:☆☆☆
#202 [
]
別れたのに・・・
文博の優しさに
涙が出た。
見ず知らずの友梨を
匿ってくれるその人にも
感謝の気持ちで
いっぱいだった・・・。
迷惑かけてるって
わかってる。
:07/01/10 17:46
:D902iS
:☆☆☆
#203 [
]
でも・・・
助けてください・・・
幼い友梨は
まだ一人じゃ生きていけない
そのための家族。
そのための友達。
だけど全てを失った今
友梨の頼りは
文博だけだった――。
:07/01/10 17:49
:D902iS
:☆☆☆
#204 [
]
部屋を掃除した。
もう二度と
この場所に帰ってくることはないから・・・
綺麗にしとかないとね
いつもは汚い机の上も
埃のかぶったような棚も
全部全部
掃除した・・・
:07/01/10 17:53
:D902iS
:☆☆☆
#205 [
]
父が昼休みで
家に帰ってきた。
当然友梨は学校に行ったことになっている。
だから
部屋で物音をたてないように
静かに過ごした。
父が再び仕事に行ったのを確認すると
荷造りを始めた。
:07/01/10 17:55
:D902iS
:☆☆☆
#206 [
]
旅行鞄に必要最低限のものを詰め込む。
衣類はもちろん、
ドライアー
洗面用具
それから・・・
思い出が詰まった
アルバムとプリ帳。
意外と荷物って少ない。
携帯料金の支払いのために
必死で稼いだ4万を
財布に入れた。
:07/01/10 18:01
:D902iS
:☆☆☆
#207 [
]
祖母が
『何があっても生き抜くんだよ。持って行きなさい』
そういって5万を
友梨にくれた
いらないと言ったけど
実際お金がいるのは確か。
『ありがと・・・』
向こうに着いたら
連絡するから。
:07/01/10 18:15
:D902iS
:☆☆☆
#208 [
]
辛くても生きる。
死んだら負け。
逃げたら負け。
逃げない。
負けない。
親なんかいなくたって
立派な大人になってみせる
強くなるよ
ううん、
ならなきゃいけない
:07/01/10 18:23
:D902iS
:☆☆☆
#209 [
]
バスは
お母さんが帰ってくるのと
入れ違いになる時間のに乗る
そしたらどこ探したって
見つかんないから。
探すわけないか・・・
いらない子だもんね。
疫病神だもんね。
せいせいするでしょ?
:07/01/10 18:27
:D902iS
:☆☆☆
#210 [
]
バスがくるまで
あと一時間半・・・
綺麗に片づいた机の上には
白い封筒の手紙が3通。
綺麗に並べて置いてある・・・
友梨がいなくなったら・・・
何人の人が
涙を流して悲しむのかな?
:07/01/10 18:36
:D902iS
:☆☆☆
#211 [
]
そんなとき電話が鳴った
友梨は思わず出てしまった・・・
電話の相手は
母方の祖母
祖母から話は聞いたと
言われた。
今から行くからまだ行かないでと言われた。
:07/01/11 07:29
:D902iS
:☆☆☆
#212 [
]
飛ばしてきたんだろう・・・
五分ほどして
母方の祖母が家にきた。
何で話したんだよ!!
と言わんばかりに
祖母を睨んだ
「さっきはあんな風に言ったけどやっぱり出ていって欲しくないから・・・お母さんに相談したんだよ」
涙をためて話す祖母を
無視して
冷たい態度をとる。
:07/01/13 12:49
:D902iS
:☆☆☆
#213 [
]
「友梨ちゃん・・・おばあちゃん泣かせて・・・そんなにこの家が嫌なの?」
は?
黙れ。
何も知らないくせに・・・
あんたの娘は
母親失格だよ!!!
『ばあちゃんには関係ない』
さらに苛立ちを感じる
:07/01/13 12:53
:D902iS
:☆☆☆
#214 [
]
母方の祖母は
家を出てその先どうやって生きていくのか
とか
学校は中退しちゃいけない
だとか
友梨の気も知らないで
グチグチうるさい
:07/01/13 12:55
:D902iS
:☆☆☆
#215 [
]
―ガラガラガラ―
玄関の戸が開き
父が居間にはいってきた。
『は?何でおるん?』
父は無言で座る。
理解できない友梨は
黙ったまま俯く
重い空気が四人を包む
:07/01/13 12:58
:D902iS
:☆☆☆
#216 [
]
友梨は確認するため口を開いた
『もう一回きくけど・・・おとん何で帰ってきたん?仕事行ったばっかやに』
その質問に答えたのは
父ではなく
母方の祖母。
「お母さんから電話があって・・・二人じゃ説得できんって思ったんと・・・お父さんは知っとるんかと思ってな・・・会社電話したんよ」
:07/01/13 13:04
:D902iS
:☆☆☆
#217 [
]
友梨が全身から放つものに
おびえながら
申し訳なさそうに話す姿が
さらにイライラする。
『よけいなことすんな!!
あ"ーもう!!!ふざけんなよ!!
もうきめたんやわ!!!
あんたらがなんて言ったって友梨は出てく。
あんたらに友梨の気持ちなんかわかるわけない。
てかわかってもらおうとも思ってないけどね!』
もう・・・
限界だよ・・・
:07/01/13 13:10
:D902iS
:☆☆☆
#218 [
]
それまで黙って座っていた父が口を開いた。
「学校はどうするつもりだ」
滅多に怒らない父だけあって
その言葉は重みがあり
ものすごく怖い・・・
自分の気持ちを確かめるかのように静かに答えた。
『中退・・・』
:07/01/15 07:11
:D902iS
:☆☆☆
#219 [
]
ふと時計を見た・・・
バスが来るまで時間がない!!
友梨は立ち上がると
『いままでどーもっ!!』
それだけ言うと
部屋を出ていこうとした
『・・・・!!痛い!!!』
:07/01/15 07:14
:D902iS
:☆☆☆
#220 [
]
『放して』
父が・・・
友梨の腕を掴んだ
「待ちなさい。」
『そんな時間ないし』
「話し合おう」
話し合う?
今更何話せって?
今まで家のことから目反らしてきたくせに
今更親面すんなよな!!
:07/01/15 07:17
:D902iS
:☆☆☆
#221 [
]
『今更親面すんなよ。おとんに友梨の気持ちなんかわかるわけないし!!ばっかじゃないの!?』
父は殴ることもせず
黙って腕を放した
言ってはいけなかった言葉
だけど
そんなこと考えらんないくらい友梨はボロボロだったんだ
:07/01/15 07:20
:D902iS
:☆☆☆
#222 [
]
バンッ!!!
外れるぐらい思い切り部屋の戸を閉めた。
ムカつくはずなのに
悲しくなんかないのに
溢れる涙を拭って
大きな荷物を
いきおいよく手に取った
:07/01/15 16:15
:D902iS
:☆☆☆
#223 [
]
同時に
父が部屋に入ってきた。
『何?』
「座りなさい」
それから一時間にわたって
父との話し合いが行われた
最終バスが
行ってしまった・・・
:07/01/15 17:22
:D902iS
:☆☆☆
#224 [
]
せっかく学校休んだのに
意味ないじゃん。
もうすぐお母さんが
帰ってくる。
「ただいま〜」
ほら来た。
最悪。
友梨の計画が・・・台無し
:07/01/15 17:24
:D902iS
:☆☆☆
#225 [
]
友梨が学校サボったこと
誰も口にしなかった
みんな黙っててくれた
無言でご飯を食べる友梨に
母が冷たく言った
『あんた部活休んだの?』
「頭痛かったで」
「あんな部活辞めなさいよ」
また説教かよ・・・
:07/01/16 11:00
:D902iS
:☆☆☆
#226 [
]
食べ賭のまま
箸を置き
『ごちそうさま』
そう言って立ち上がると
「いつまでも調子乗っとんやないよ!!」
母の甲高い叫び声に
食卓が静まり返る
「お腹空いてないんやろ?」
と優しく問いかける祖母。
:07/01/16 18:02
:D902iS
:☆☆☆
#227 [
]
庇ってくれたこと
本当は嬉しかった。
嬉しかったのに
今は・・・
反抗的な態度しかとれない
周りのこと考えてる
余裕はない
『食欲失せた』
パンッッ!!!
:07/01/16 18:04
:D902iS
:☆☆☆
#228 [
]
部屋中に響いた
頬をたたく音
『・・・・・!!』
言葉にならない
この気持ちは
怖いとか
悲しいとか
そんな感情じゃなく
憎い。
他でもない怒りだった
:07/01/16 18:07
:D902iS
:☆☆☆
#229 [
]
そのあと完全に友梨の携帯を取り上げると
長々と始まった説教。
軽く三時間。
耳にたこがが出来るほど聞かされてきた罵声に
友梨はもう
慣れてしまった・・・
母はまた
「あんたなんか生まなきゃよかった」
そう言った・・・
:07/01/16 18:10
:D902iS
:☆☆☆
#230 [
]
しびれて感覚のない足
腫れた頬
それでも友梨は
泣かなかった。
泣き虫だけど
めちゃくちゃ低いけど
プライドぐらい
友梨にだってある。
"泣くもんか!!"
キュッと唇をかみしめ
涙をこらえた
:07/01/16 18:13
:D902iS
:☆☆☆
#231 [
]
母が落ち着きを取り戻す頃には
もう何のことで怒っていたのかわからないくらい話は横にズレている。
右から左へと
説教を聞き流し
考えてたのは
博のこと。
"助けて・・・"
なんど心で叫んだだろう
:07/01/16 18:16
:D902iS
:☆☆☆
#232 [初]
:07/01/16 18:17
:N902iX
:☆☆☆
#233 [
]
やっと説教から解放され
部屋に戻る。
鏡を手に取り
まだじんじんと痛む
自分の顔を見つめた。
『あ〜ぁ・・・ぶっさいく!!』
我慢してた涙
あいつには絶対見せたくなくて必死に我慢してた涙は
言葉とともに
ボロボロと流れた
:07/01/16 18:24
:D902iS
:☆☆☆
#234 [
]
お風呂に入ると
鏡に映る自分の体
体を洗う度
痛みが走る・・・
髪も洗うだけで
太股にまとわりつくように
大量に抜け落ちる
それを見て
友梨の家出願望は
より強くなった
:07/01/16 18:37
:D902iS
:☆☆☆
#235 [
]
助けて欲しかった。
支えが欲しかった。
博に傍にいて欲しい・・・
震える膝を抱いて
湯船で小さく丸まった
きっと話したら
ひかれるんだろうな・・・
こんな家族
こんな体
そしてなによりも
自分自身
:07/01/16 18:39
:D902iS
:☆☆☆
#236 [
]
お風呂から上がると
ざっと髪を乾かし
まだ少し濡れてる髪のまま
布団に入った。
絶対出てく
こんな家
後悔させてやる
追い出したこと
強く強く思って眠りについた
:07/01/17 07:48
:D902iS
:☆☆☆
#237 [
]
―学校―
明るく明るく
バレないように・・・
ガラガラガラッ
『おはよ〜』
いつも通り教室に入る
「風邪やったん?」
「友梨おらんと寂しいぢゃんかぁ〜もう大丈夫なん?」
何人もの友達が声をかけてくれた。
:07/01/17 07:51
:D902iS
:☆☆☆
#238 [
]
『バカでも風邪ひくみたいやわぁ〜』
なんて茶化して
ごまかした。
つまんない授業と
くだらない部活を終え
帰宅する。
「今日お母さん帰り遅いって」
と弟が言う。
:07/01/17 17:52
:D902iS
:☆☆☆
#239 [
]
『まじで!?』
通りで姿がないわけだ
てか
チャンスじゃん!!!
出てくなら今日しかない
流し込むようにして
ご飯を食べると
台所にあったパンを一つ持って部屋に戻った。
:07/01/17 17:55
:D902iS
:☆☆☆
#240 [
]
お父さんが部屋から顔を出し
友梨の姿を確認してた。
仕事のはずなのに
家にいたのは
友梨が家出しないよう
見張ってただけ。
そんな父に気づかない振りをして部屋の戸を閉めた。
:07/01/17 18:00
:D902iS
:☆☆☆
#241 [
]
急いでお風呂の準備をして
再び部屋から出る。
カラスの行水のように
お風呂から上がると
バスタオルで髪を拭き
また束ねた。
『よしっ!!』
気合いを入れると
脱衣所を後にした
寝間着から私服に着替えると
マフラーとコートを着て
髪をほどいた
:07/01/18 15:48
:D902iS
:☆☆☆
#242 [
]
昨日詰めた大きな荷物。
それから・・・
家電の子機
一度しまった三通の手紙を
再び机の上に置き
友梨は部屋を後にした
静かに玄関を出て
秋の夜道を
一人歩きだした
:07/01/18 18:11
:D902iS
:☆☆☆
#243 [
]
友梨が出ていったことは
誰も気づいていない。
でもすぐにバレるだろう・・・
下手に歩き回らない方がいい
家から少し離れた
小さな小屋の陰に身を潜め
友梨は裕クンに電話した。
〜♪〜♪
:07/01/18 18:15
:D902iS
:☆☆☆
#244 [
]
「はいはい?どした?」
『今日遊ぼ』
あ〜ぁ・・・
博がいてくれたらいいのに
そしたら迷わず
博の所へ行くのに・・・
また裕クン利用して
友梨最低。
:07/01/18 18:53
:D902iS
:☆☆☆
#245 [
]
「なんかあったろ」
『別に〜何となくやけど?』
強がって嘘ついたけど
裕クンには通用しない
「嘘つきとは遊んであげんぞ。何あったよ?正直に言いなさい」
『・・・』
『家出しました。寒いのでかくまって下さい』
:07/01/18 19:51
:D902iS
:☆☆☆
#246 [
]
「はっ!?笑 友梨なかなかやるなぁ〜」
冗談だと思ったのか
笑い飛ばされた
『本気やよ。昨日学校休んで荷造りした。』
電話の向こうの
笑い声が消え
真剣な声に変わる
「今どこ?」
:07/01/18 19:54
:D902iS
:☆☆☆
#247 [
]
『植村さんちの車庫の裏。』
「本気かよ・・・」
『うん・・・』
静かな夜に
友梨の声が響いた。
「でも今日夜勤やから・・・」
『終わったらでいい。来てください・・・』
この寒さの中
野宿なんて出来ない
:07/01/20 14:53
:D902iS
:☆☆☆
#248 [
]
「遅いよ?」
『何時?』
「一時くらい。」
淡々と進む二人の会話。
『いっ!!!1時!!!??』
「てか寒いろ?やっぱ今から行くゎ。」
『いいよ

仕事中じゃん。終わるまで待っとくで。』
:07/01/20 15:05
:D902iS
:☆☆☆
#249 [
]
ほんとは寒くて
辛かった
だけど裕クンに
これ以上の迷惑かけちゃ
いけないと思ったから
断ったんだけど・・・
「・・・バカ、風邪ひいたらどうするんよ。ちょっと待っとけよ。今すぐ行くで!!」
『でも仕事・・・』
「いいでそこ動くなよ!!!わかったな!!」
:07/01/20 15:13
:D902iS
:☆☆☆
#250 [
]
それだけ言うと
一方的に電話を切られた。
『・・・』
しばらくプーップーッていう
音を聞いてた
その音も切れる頃
友梨は立ち上がり
裕クンの言葉を無視して
場所を移動し
近くの工場の駐車場にある
小さな階段にうずくまった
:07/01/20 15:20
:D902iS
:☆☆☆
#251 [
]
今何時かな・・・
裕クン探してるかな・・・
友梨
生きてていいのかな・・・
そんなことを考えながら
静かに目を閉じた
"このまま死んじゃえばいいのに・・・"
そんなことさえ思った
:07/01/20 15:23
:D902iS
:☆☆☆
#252 [
]
いつの間にか
こんな寒い中
眠ってしまった・・・
名前を呼ぶ声で目が覚めると
そこには・・・
裕クンがいた。
「友梨!!!!」
『ちょ・・・!!!』
:07/01/20 15:29
:D902iS
:☆☆☆
#253 [
]
友梨を抱く腕が
震えてた。
「動くなっていったにか」
『ごめん・・・』
「探したんやぞ!!」
『ごめん・・・なさい』
震える冷たい体
きっとこの寒い中
走って探してくれてたんだね
:07/01/20 15:40
:D902iS
:☆☆☆
#254 [
]
「おってよかった・・・」
心配かけてごめんね。
裕クンはそのまま友梨を
抱き上げた
『重いからいいよ〜!!!』
と足をばたばたさせた
「暴れると落とすぞ!!」
『やだ!!!』
その言葉におとなしく
車に乗せられた(笑)
:07/01/20 15:47
:D902iS
:☆☆☆
#255 [
]
バサッッ!!!
いきなり視界が真っ暗になり
上から何かが落ちてきた
『£%#&☆$!!!!!』
「ははっっ!おもしれ〜!」
『何で笑うの

苦しいから!!』
「あいっ!これかぶっとけ」
上からかぶせられたのは
暖かい毛布。
:07/01/20 15:55
:D902iS
:☆☆☆
#256 [
]
明らかに裕クンの布団。
『わざわざ持ってきてくれたの?』
「おぅ・・///」
照れくさそうに答える裕クンを
可愛いなって思った。
『そっか♪ありがとっ』
そういえば
車の中の温度
すごい高い
:07/01/20 15:58
:D902iS
:☆☆☆
#257 [
]
さっきから
「寒くない?」
って何度も聞いてくる
『大丈夫だよ』
って毛布の中から答えた。
真っ暗な夜の駐車場。
ふと聞こえたのは
お父さんの車のマフラーの音
探してるんだ・・・
:07/01/20 16:02
:D902iS
:☆☆☆
#258 [
]
『探しとる・・・』
「まじで!?まぁそりゃそうやろ・・・大事な娘が家出なんてよ」
見つかるんじゃないかという恐怖が友梨を襲った。
毛布から顔を出すと
「だーめっ。」
ってまた毛布をかけられた。
:07/01/20 16:13
:D902iS
:☆☆☆
#259 [
]
他の場所に移動するよう頼んだ
連れてこられたのは・・・
見たこと無い場所
暗くてよくわかんないけど
川の音がするから
川の近くなんだってわかった
『初めて来た・・・』
友梨は毛布をよけると
車から降りた
:07/01/20 16:17
:D902iS
:☆☆☆
#260 [
]
裕クンが友梨の後を
ついてくる。
「なぁ・・・」
『こんな場所あったんやね!』
裕クンの言葉を遮るように
少し大きな声で話した
"なぁ・・・"
その言葉の先はきっと
友梨が聞きたくない言葉だって
何となくだけど
気づいてたから
聞きたくなかった・・・
:07/01/20 16:20
:D902iS
:☆☆☆
#261 [
]
そんなこと繰り返してたら
急に裕クンが友梨の前に来て
肩を掴んで
「俺の話聞けって!!」
って・・・
真剣な目で・・・
友梨は黙ってうなずいた。
:07/01/20 16:23
:D902iS
:☆☆☆
#262 [
]
「とりあえず車もどろ。風邪ひくから」
『友梨バカやで風邪やらひかんし!!』
「ん〜でも寒いやろ?」
『もう寒くない』
ぶつぶつと
文句言いながら
手を引かれて
車に戻った。
:07/01/20 16:25
:D902iS
:☆☆☆
#263 [
]
「家帰ろ?」
まっすぐ友梨を見てくる
裕クンから目をそらして
『いやだ』
って言った。
また沈黙が続く・・・
『絶対やだ。あんな家』
自分自身に言うように
つぶやいた
:07/01/23 10:59
:D902iS
:☆☆☆
#264 [
]
「友梨・・・だめ!!!」
友梨の肩を掴んで
前後に揺する。
『やだ』
やだしか言わない友梨に
裕クンはため息をつくと
「わかった・・・。友梨の言いたいこと言えよ。聞くし」
その言葉に
友梨は素直になった
:07/01/23 11:03
:D902iS
:☆☆☆
#265 [
]
散々グチった
これでもかってくらい
ぶっさいくな泣き顔で
女なんか捨てて・・・
きっと裕クンだから出来たんだね
『ふぅ〜』
ため息をつくと
『疲れたぁ〜』
と吐いた
:07/01/27 17:07
:D902iS
:☆☆☆
#266 [
]
「辛かったな・・・」
裕クンは
また友梨を抱き寄せると
ぎゅーってしてくれた。
寂しがりの友梨が
抱きしめられてるとき
一番落ち着くことを
裕クンは知ってる
でもこのぎゅーは
違う意味だった・・・
:07/01/27 17:16
:D902iS
:☆☆☆
#267 [
ακ
]
続きが気になる


:07/01/29 21:16
:D901i
:☆☆☆
#268 [
]
:07/01/30 07:24
:D902iS
:☆☆☆
#269 [
]
友梨から離れると
家に連絡しろ
と言われ
携帯を渡された。
"しばらく帰らないけど心配しないでください。"
そう・・・
ちゃんと話せと
携帯を突きつけられた
:07/01/30 07:28
:D902iS
:☆☆☆
#270 [
]
友梨は嫌だと言った。
車の中でジタバタして
裕クンを困らせた
「ちゃんと連絡したら友梨の行きたいところまで連れてってやるよ。だから心配すんなって事だけは伝えろ。じゃなきゃ家連れてくぞ」
" 家 "
やだ・・・
それだけは嫌だ・・・
:07/01/30 07:34
:D902iS
:☆☆☆
#271 [
]
この頃のアタシは
家族とか
絆とか
どうでもいいっていうか
信じてなかった。
帰る場所を無くした友梨は
自分の居場所が
どこにもないって
自分のこと責めた
:07/01/30 08:21
:D902iS
:☆☆☆
#272 [
]
かければ好きな所まで
乗せていってもらえる
かなり迷ったが
裕クンの言うとおり
家に電話をした
裕クンの携帯から
非通知で。
―プルルルッ―
静かな車の中
裕クンに心臓の音が
聞こえるんじゃないかって
思うくらい
鼓動は早かった
:07/01/30 16:36
:D902iS
:☆☆☆
#273 [
]
3コールで繋がった
「はい、牧野です。」
力ない声で
電話に出たのは
母だった・・・
『友梨やけど・・・』
そう言った瞬間
「あんた今どこにいるの!?探しとるんやよ。帰ってきて・・・お願いだから」
泣き出した母・・・
:07/01/30 16:40
:D902iS
:☆☆☆
#274 [
]
初めて聞く
母の泣き声に
胸が締め付けられた
"帰らなきゃ"
なんて気さえしてくる
でも友梨は
にじんだ涙をこらえて
『頭冷やしてから帰ります。大丈夫やで探さんといて』
とだけ言って
一方的に電話を切った
:07/01/30 16:51
:D902iS
:☆☆☆
#275 [
]
母はまだ何か喋っていたけど
無視して切った。
『言ったよっ!!』
と裕クンにピースした
友梨の目には
今にもこぼれそうなくらい
涙が溜まっていた
「頑張ったな」
軽く抱きしめて
頭を二回ポンポンってして
裕クンは笑った
:07/01/30 16:55
:D902iS
:☆☆☆
#276 [
]
でもこの笑顔に
この優しさに
騙されるなんて
この時のアタシは
考えてなかったんだ・・・
ホントの優しさだったのかもしれないって
今ならわかるよ・・・
:07/01/30 17:20
:D902iS
:☆☆☆
#277 [
]
しばらくして
裕クンは仕事に戻るため
会社の駐車場に一人
車の中で待つことにした。
「一時に戻ってくるから。どこも行くなよ!!寝とけ!!」
『大丈夫。ここにおるで』
"10時半か・・・"
警察バレたら
補導されるやんか!!
なんて思いながら
毛布にくるまり
うとうとしかけた・・・
:07/01/30 18:19
:D902iS
:☆☆☆
#278 [
]
バンッッ!!
ドンッッ!!
『・・・・!!?』
ドアを開ける音で
目が覚めた。
もう一時になったのかと思い
眠い目をこすり
なぜか慌てている裕クンに
話しかける
『お疲れさま〜早かったね。もぉちょっとで寝るとこやったわぁ〜笑』
:07/01/30 18:23
:D902iS
:☆☆☆
#279 [
]
時計を見ると
まだ30分しか経っていない
『あれ?もう仕事終わったの?てかどうしたの?何か変』
「・・・・・」
黙ってエンジンをかける裕クン
なにが起きているのか
さっぱりわからないほど
友梨だってバカじゃない
『やだッッ!!!!!』
:07/01/30 18:26
:D902iS
:☆☆☆
#280 [
]
『ねぇ?どこ行くつもり?』
「・・・」
『ねぇってば!!!』
「・・・」
『家なら帰らんよ!!』
「・・・」
無言のまま走り出した。
『何とか言えよ!!黙っとったらわからんやら!?』
:07/01/30 18:28
:D902iS
:☆☆☆
#281 [
]
「会わせたい人がおる」
『会わせたい人?』
誰だろう・・・
すごい焦ってる様に見えるのは気のせい?
博かな?
んなわけないか!!
:07/02/01 16:25
:D902iS
:☆☆☆
#282 [
]
『誰々〜笑』
「・・・っ」
え・・・・・
耳を疑った。
なんで?
どうして?
信じてたのに・・・
裏切り者。
:07/02/01 16:28
:D902iS
:☆☆☆
#283 [
]
'
"友梨のお母さんっ"
やだ・・・
友梨あんな家には帰んない!!
帰ったらなにされるか・・・
:07/02/01 16:36
:D902iS
:☆☆☆
#284 [我輩は匿名である]
:07/02/01 17:20
:N701i
:☆☆☆
#285 [
]
アザが出来るくらいじゃ
済まないだろう
円形脱毛なんかじゃ
収まらないだろう
きっとまた
殺されそうになるんだ・・・
そんな恐怖が友梨を襲い
体が震えだした
他人にはわかんない。
実の親に
怯えるなんて・・・
わかるはずない
:07/02/01 20:04
:D902iS
:☆☆☆
#286 [
]
『やめ・・・て』
お願いだから・・・
助けてくれるんじゃなかったの?
家に電話したら
行きたいところまで
連れていってくれるって・・・
そう・・・
いったじゃんか・・・
嘘つき。
裕クンの嘘つき!!!
:07/02/01 20:06
:D902iS
:☆☆☆
#287 [
]
「バレたんや・・・ごめん」
え?
待って。
どういう意味?
『なんで?』
「非通知設定できてなくて・・・お前んちから電話かかってきて友梨返せって・・・・・」
そんな・・・
:07/02/01 20:09
:D902iS
:☆☆☆
#288 [
]
「だから・・・ごめん。」
そう言って車を止めたのは
少し離れた場所にある
道の駅。
『裕クンのばか!!裏切り者!!友梨が家帰ったらどうなるか分からんでこんな事できるんやさ!!』
信じてた裕クンの
まさかの裏切りと
帰宅後の恐怖で
頭がパンクしそうだった
:07/02/01 20:16
:D902iS
:☆☆☆
#289 [
]
「もうすぐお母さん来るで待っとけよ。ちゃんと話し合えよ」
話し合う?
今更話す事なんてない
てか
話したくもない
『あんたに頼った友梨がバカやった。最低!!もう連絡せんといて』
:07/02/01 20:18
:D902iS
:☆☆☆
#290 [
]
パニクってる友梨は
自分のことで精一杯で
裕クンが友梨に
してくれた優しさなんか
忘れてた・・・
この日の事実を知るのに
時間はかからなかった
友梨は
最低なことをしました
裕クンが大人なんだって
実感し涙することになる
:07/02/01 20:22
:D902iS
:☆☆☆
#291 [
]
『じゃあね!!』
嫌みったらしく
一言投げるようにはくと
荷物を持って車から降りた
「おいっ!!ゆり!!!!!」
夜の静かな住宅街に
二人の声がこだまする
今考えると恥ずかしい///
:07/02/01 20:31
:D902iS
:☆☆☆
#292 [
]
追いかけてくる足音が
突然消えた
チャンスと思い
走って逃げた
「友梨!!!待って・・・友梨お願い話を聞いて・・・」
その声に
背筋が凍るような感覚を覚えたのを今でも忘れられない・・・
:07/02/01 20:33
:D902iS
:☆☆☆
#293 [
]
『・・・・・!!』
腕を捕まれた。
その力は肉離れしたかと思うくらい強い力で
友梨は振り払えなかった
『痛いなっ!!触んなよ!!放せって!!!!!』
「友梨・・・どうして・・・??」
そう。
しっかりと腕を掴んだのは
母だった・・・
:07/02/01 20:40
:D902iS
:☆☆☆
#294 [
]
『あんたの顔なんか見たくない!!!放してよ!!!!!』
「放さんよ。絶対に放さん」
震える手で
友梨の肩を掴んだ
母の顔は
涙でグチャグチャだった・・・
「帰ろう・・・??」
:07/02/01 20:43
:D902iS
:☆☆☆
#295 [
]
「探したんよ・・・無事でよかった・・・」
そう言って嫌がる友梨を
無理矢理抱きしめた
大嫌いなはずの母
憎いはずの母
なのに・・・
なのに涙が止まらなかったのは
かけがえのない
たった一人の母親だから。
:07/02/01 20:46
:D902iS
:☆☆☆
#296 [
]
母に手を引かれて
しぶしぶ車へと向かった
「ご迷惑おかけしました。仕事中なのに・・・」
ペコペコと頭を下げる母に
「いえいえ。ちゃんと話し合ってください。それから・・・友梨ちゃんの話聞いてあげてください」
と返す裕クン。
二人のやりとりを
聞き流しながら車に乗った
:07/02/01 20:52
:D902iS
:☆☆☆
#297 [
]
家に向かう車の中
母は一言も話さなかった
もちろん友梨も。
殴られる覚悟を決め
唇を噛みしめて
見上げた空には
星なんか見えなくて
月だけが浮かんでた
:07/02/01 20:55
:D902iS
:☆☆☆
#298 [
]
家に着くと父が玄関の外を
落ち着かない様子で
うろうろとしていた。
車を見るなり
友梨の乗っているドアを開け
「おかえり」
と優しい口調で言った。
それを無視して
友梨はさっさと家に入った。
後ろで二人がボソボソと話してたけど
聞こえない振りをした
:07/02/01 20:59
:D902iS
:☆☆☆
#299 [
]
部屋に行き
床に鞄を投げつけた。
父が部屋の外から
優しい口調で
「下に来なさい」
と言い離れていった・・・
しばらく動かなかったけど
仕方なく下へ降り
居間の戸を開けた
:07/02/03 20:09
:D902iS
:☆☆☆
#300 [
]
そこには泣き崩れる母の肩を
抱き寄せる父の姿
『なに?』
母は顔を上げると
「座って」と弱々しく言った
自分がしてきたことを
やっと反省したと思った
:07/02/03 20:14
:D902iS
:☆☆☆
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