それでも君が

月曜日。
学校が終わってすぐ
家に帰ると約束通り４時。

子機を手にし
深呼吸をすると
番号を押した。

すぐに翔ｸﾝは出て
嬉しそうに
｢話ってなぁに??｣
って聞いてきた。

言うんだ。
ちゃんと。
終わりだよって･･･

『あの･･･さ･･･』

『迷惑なのっ!!』

ごめんね翔ｸﾝ･･･

『彼氏おるでメールしてこんといてって言ったじゃん。友梨やっとで幸せになれたんやよ。

友梨があんなに戻りたいって言って一途に待っとった時にあんな裏切り方されて･･･それでも好きやった。大好きやった

でも今は翔ｸﾝより大切な人がおるで。もう無理やもん。遅すぎやさ,バーカ!!てか彼女おるんやし大事にしてあげんと

ねっ？』

『全部消して？
もう終わりにしよう。
今日で最後ね。わかった？』

「･･･」

『返事っ!!』

「おう。」

どこか力なく答えた後
電話を切った。
そして携帯から
受信メールと送信メールを
すべて消した。

明後日は
博に会うんだ。
１ヶ月ぶりに会える。

これでよかったんだ。
良かったんだから･･･

なんでこんな泣いてんだろ。
博に怒られるじゃんね

お前まだ好きなんやろ

って。

好きじゃないよ。
友梨には博だけだから。

博には
辛い思いして欲しくない

傷つけたくない。

キレイさっぱり
翔ｸﾝを切った後
博に報告した。

"がんばったな"

って言ってくれたのには
驚いた。
絶対ヤキモチ妬いて
疑うんだろうなって
覚悟してたから。

ちょっと予想外。

マキを捨て
友梨を選んだ博。

翔ｸﾝを捨て
博を選んだ友梨。

きっと
この人となら
友梨は幸せになれる。

「気に入るのあった？」

『う～ん･･･シンプルなのがいいんやって。』

「じゃあこの辺？」

『あっ!これ可愛い～』

「出してもらう？」

え･･･??

『買ってくれるの？』

「しゃーなしっ!!笑」

『ありがとっ』

高くないけど･･･

友梨には世界で一番の
指輪だった。

二つ目のペアリング･･･

７号をはめたら
抜くのに苦労したので
ゆとりを持って
９号を買ってもらった。

口元が緩んで仕方ない。

店を出てチャリのカゴに
鞄を入れると
博が指輪を出してくれた。

友梨は両手をパーにして
博に差し出して

『どっちに着ける？笑』

って聞いた。

「う～ん笑」

『どっち？笑』

「こっちやな(笑)」

友梨の左手の薬指には
シルバーのリングが
光ってた。

『博めっちゃ好きっ!!』

「はいはい。笑」

呆れたみたいに
笑ってたけど
ホントに嬉しかったんだよ。