2006,夏恋
最新 最初 全 
#34 [主]
「ごめん」
と走ってきたのは、坊主頭。
加奈が「あっ」と声をあげたのは聞き間違いだろうか。
「ん?加奈どうした?」
あたしは野球ボールを走ってきた人に渡し、加奈をみた。
加奈は「なんでもない」といい下をむいた。あたしはわけもわからず、前を向くと
さっきの人はもういなくなっていた。
:07/01/07 02:55
:N701i
:s.uGeus6
#35 [主]
蒸し暑い風が、涼しい午後の風に変わった。
時計を見るともうすぐ1時。チャイムが鳴る時間
あたしはコロッケパンの入っていた袋をクシャッとつぶし、その場から立った。
「ほら、加奈もお弁当箱かたして。あたしいくよ?」
:07/01/07 03:01
:N701i
:s.uGeus6
#36 [主]
「あのね…南。さっきの人」
キーンコーン…。
加奈が言いかけたときに、タイミング悪くチャイムが鳴った。
加奈は慌ててお弁当箱をかたして、立ち上がり
スカートについたほこりをパンパンっとはらう。
「さっきの人…の続き言ってよ。気になって授業に集中できない」
ざわざわとうるさい昼休みの雰囲気も一気に消え、シーンとした空気が耳鳴りになって聞える。
:07/01/07 03:13
:N701i
:s.uGeus6
#37 [主]
加奈は「後で言うねっ」といい、自分のクラスに戻っていった。
あたしもそのあとに続こうとしたが、なぜだか足は教室と逆方向にむいていた。
サボり…?いや、違う。これはサボりじゃない。
ちょっと休憩するだけ
あたしは自分に言い聞かせ、ハンカチで汗を拭いた。
そんな6月の梅雨明け。
jpg 27KB
:07/01/07 03:21
:N701i
:s.uGeus6
#38 [主]
あたしが授業をサボったことは後に先生にバレ、こってり叱られた。
そして、今日から7月。
教室にも扇風機がつき、夏を感じさせる。
窓から入ってくる風はちっとも涼しくなく、あたしを一段と困らせた。
加奈がこの前言った続きは聞くことなく、あたしはそのことすらも忘れていた。
「みなみーっ」
:07/01/07 03:29
:N701i
:s.uGeus6
#39 [主]
あたしを呼ぶ声は窓の外から聞えた。
窓から顔を出し、覗き込むと加奈がいた。
「なーにー?」
と大声で返事をすると、加奈はちょっと‥と手招きした。
あたしは風でボサボサになった髪を手でとかし、窓をしめ
扇風機を少しだけ占領し、教室を出る。
:07/01/07 03:36
:N701i
:s.uGeus6
#40 [主]
下につくと、加奈の後ろ姿がすぐ目に入った。
ポニーテールに少し茶色の髪、すぐに加奈だとわかったあたしって天才?
なんてバカなことを考える白石南16才。
「かな‥」
あたしは加奈を呼ぶ声をとめた。
それは、加奈の隣りに男の人がいたから。
:07/01/07 03:45
:N701i
:s.uGeus6
#41 [主]
「あ、南。おそいー」
加奈はそんなあたしに気が付き、ニコッと可愛い笑顔をみせた。
「ともだち?」
あたしは加奈の隣りの人を見る。
坊主頭に少し汚れたユニホーム、どこかで見たことあると思った。
7月の陽気はあたしの白い肌をピリピリさせる。
:07/01/07 03:49
:N701i
:s.uGeus6
#42 [主]
「南、覚えてないの?」
「えっ?なにが?」
坊主頭の男の子は帽子をとり、あたしに一歩近づく。
そして、あたしと目が合った…。
「……ナカムラ‥クン?」
思わず、口にしていた。確かに目の前にいるのは他の誰でもなく
あの夏に出会った中村達也だった。
:07/01/07 03:53
:N701i
:s.uGeus6
#43 [主]
:07/01/07 03:55
:N701i
:s.uGeus6
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194