2006,夏恋
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#77 [主]
「…なぜに加奈ちゃんに決め付けられなきゃいけないのよ。」
ズズズッと音をたて、あたしは残りのフルーツ牛乳を飲みほす。
加奈はムッと頬をふくらまし、残りのメロンパンをごみ箱に捨てた。
「もぅっ、中村くんがでるでしょ〜。応援しなきゃじゃんっ」
「あぁ〜。でも付き合ってるわけじゃないし‥期末挟んでるし。」
加奈は、あたしを説得したがなかなか行く気になれなかった。
:07/01/08 17:34
:N701i
:lomz9ptw
#78 [主]
「ってかメロンパンもったいない。あたしが食べてあげたのに」
あたしは話をそらし、チャイムより先に立ち上がった。
さがった靴下をあげ、つぶした牛乳パックをごみ箱に捨てる。
「話しそらさないで〜。とにかく明日むかえにいくからね」
加奈は相変わらずスカートのほこりを、パンパンッとはらい立ち上がって
いつものように先に教室に戻っていった。
:07/01/08 17:50
:N701i
:lomz9ptw
#79 [主]
ミーンミーンミーン
踊り場にある窓をあけるといつもと違う蝉の声と一緒に
野球部の昼練をしてる姿が見えた。
暑さや体から出る汗より、あたしは中村くんが気になって気になって仕方なく
目がはなせなかった。
夏大の始まりを表すように、グランドには
"夏大まであと1日"
と書いてある看板があり
なんだか、あたしを熱くさせた。
:07/01/08 18:03
:N701i
:lomz9ptw
#80 [主]
チャイムが鳴る時間に近づき、野球部はグランドから少しずつ姿をけしていく。
あたしは窓から半分顔を出し、たまにくる涼しい風にあたっていた。
「しーらーいーしッ」
─"…………誰?"─
下を見ると、泥だらけになった中村くんが手をふっていた。
「中村くん!?」
「おまえ何やってんのー?」
中村くんは、真っ黒い日焼けした肌に白い歯を出して笑った。
:07/01/08 18:16
:N701i
:lomz9ptw
#81 [主]
「ただ、暑いから出てたのッ。中村くん早く着替えないとチャイム鳴っちゃうよ」
と、あたしが言った瞬間に予鈴のチャイムが鳴った。
中村くんは「やべっ」と言いあたしの視界からいなくなる。
窓を閉めようとしたとき
ミーンミーンミーン
蝉の声が聞こえた。
:07/01/08 18:25
:N701i
:lomz9ptw
#82 [主]
「‥おまえ、新入り?」
今年初めて聞く、その蝉にあたしは話しかけていた。
その蝉は答えるわけもなく、あたしを無視して鳴き続ける。
「…………ねぇ、あたし中村くんが好きなのかな。」
キーンコーン‥
チャイムと同時に蝉の声がやみ、熱風があたしの髪をふわっとなでた。
暑い夏の午後
夏大1日前のこと
:07/01/08 18:38
:N701i
:lomz9ptw
#83 [主]
:07/01/08 19:20
:N701i
:lomz9ptw
#84 [主]
:07/01/09 02:37
:N701i
:acj83Q2A
#85 [主]
「みなみーッ、起きなさいッ」
お母さんのうるさい声と背中にへばりついた汗のせいで、あたしは不愉快に目が覚めた。
蝉は一段とうるさく、窓から入ってくる光が眩しい。
あたしはパジャマのまま、階段をゆっくり降りた。
「エヘヘヘ‥来ちゃった」
玄関に加奈がいる。
そういえば、昨日迎えにくるみたいなことを言っていた。
あたしは「冗談でしょ?」と思ったが、口にせず
簡単な私服に着替えをすませ、加奈と家を出た。
加奈の粘り強さに負けたのは言うまでもない。
:07/01/09 07:02
:N701i
:acj83Q2A
#86 [主]
「球場どこだっけ?」
あたしは手で顔に風を送りながら、携帯をいじっている加奈に聞いた。
「えっと‥田村市民球場だよ。去年と同じ場所だと思う」
メールをうち終わったのか、加奈は携帯をとじ
「去年も暑かったよね」と付け加えた。
田村市民球場とは、去年の今頃に全校応援に行かされた場所。
そして、あたしと中村くんが出会った場所。
空には、去年を表すかのように同じような入道雲が浮かんでいた。
:07/01/09 07:10
:N701i
:acj83Q2A
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