2006,夏恋
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#21 [主]
あたと違って、加奈は高校に入ってすぐクラスの男子と付き合いだした。

よく喧嘩はしてるが今でも続いているからすごいと思う。

しばらくの沈黙のあとに、あたしは口をひらいた。

「なんで、加奈はあたしに彼氏ができてほしいの?」

あたしはコロッケパンをちまちまかじり、ペットボトルに残っている烏龍茶を1滴口に垂らす。

⏰:07/01/07 01:06 📱:N701i 🆔:s.uGeus6


#22 [主]
加奈は卵焼きを1口だけ食べ、箸を置いた。

「南、可愛いのにもったいないもん。なんで彼氏できないのか不思議なくらい。」

ため息混じりで加奈は言った。
ちょうどそのとき


コロコロコロ…

⏰:07/01/07 01:15 📱:N701i 🆔:s.uGeus6


#23 [主]
「…ん?」

あたしの足元に転がってたきたのは、1つの野球ボールだった。

初めて触った
野球ボールの感触

……かたっ。

少し泥がついた野球ボールは去年の夏を思い出させる。

⏰:07/01/07 01:22 📱:N701i 🆔:s.uGeus6


#24 [主]
………ジジジジジ。

真夏の7月上旬。

高校野球の全国大会への予選に、あたしたち生徒は全員応援に行かされた。

球場は、市内のちっぽけな球場で県でベスト16を決める試合。

こんな球場に全員入るのかと思ったけど、以外にあっさり入ってびっくりした。
「……暑いね。」

⏰:07/01/07 01:31 📱:N701i 🆔:s.uGeus6


#25 [主]
隣りにいるのは、加奈。

加奈は学校で配られたうちの学校名の入った帽子をかぶっている。

今日の気温は31℃

あたしは帽子をとり風を顔におくった。
蝉の声が一段とうるさくなる。

首に巻いたタオルで汗をふくが、それは止まることなくあたしにまとわりつく。
そんな中、試合開始のサイレンが球場に鳴り響いた。

⏰:07/01/07 01:45 📱:N701i 🆔:s.uGeus6


#26 [主]
あたしと加奈がいるのはアルプススタンドの前から2列目。

隣りにはチアとレギュラー入りできなかった、残りの野球部の人たちが全力で応援している。

暑さにも負けず、仲間を応援する気持ちにあたしは胸をうたれ

今まで興味もなかった野球を食い入るようにみていた。

⏰:07/01/07 01:57 📱:N701i 🆔:s.uGeus6


#27 [主]
9回裏…5対4であたしの学校は勝っていた。

この回を抑えれば、ベスト16入りとなる。

エースは中村達也

かっこいいがクールで無口だと、あたしの学年で有名だ。

同じ年でエースだから評判もよく、ファンもそこそこ。
キャーキャー黄色い声援がとぶ中、あたしは目をつぶった。

⏰:07/01/07 02:08 📱:N701i 🆔:s.uGeus6


#28 [主]
"お願いです、神様。中村くんが点をとられませんように…"

自分でも似合わないことをしたなと思う。

あたしはこんな可愛いキャラじゃなく、普段なら暑さのほうが気になってこんなに集中して見ていないだろう。
なぜこんなにも中村くんに感情を思い入れたのか、今でもわからない。

⏰:07/01/07 02:12 📱:N701i 🆔:s.uGeus6


#29 [主]
「三振、バッターアウトっ」

うわああああ…!!

歓声と共にあたしの目から一粒、一粒と涙がこぼれる。

自分でもよくわからない。
そしてあたしが我に戻ったのは、加奈の泣き声が聞えたからだった。

「うっ、ひっく…」

「ちょっ、加奈!?何泣いてんの?」

⏰:07/01/07 02:19 📱:N701i 🆔:s.uGeus6


#30 [主]
「南が泣いてたからだよお…。加奈もらい泣きしちゃったじゃんっ」

あたしは泣きながら加奈の頭をぐしゃぐしゃと撫でる。

加奈はやめてと笑いながらにげる。そんな姿が可愛く、うらやましかった。


そして、あたしたちは抱き合って喜んだ。まだ甲子園に行くとは決まってないのに、バカみたい

と、加奈と泣きながら笑い合った。

⏰:07/01/07 02:29 📱:N701i 🆔:s.uGeus6


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