もう二度と・・・
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#100 [林奈]
「オジサンには嘘つけないぞ。そのアザはなんだ?」



「お母さんにやられた」



「一回じゃないな?いつからだ?」



「いつからかも分からない。もう慣れちゃった」



畑中さんは怒りだした。

⏰:07/04/20 13:28 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#101 [林奈]
「俺も散々悪い事して、今もこんなんだけどよぉ、自分の嫁や子どもに手上げた事はない。俺がお母さんに言ってやるから」



「いいよ。オジサンが言ったあともどうせ殴られるんだし」


「我慢することないんだからな」



ヤクザの人は冷たい人ばかりだと思ってた。見た目はむちゃくちゃ怖くて、こんな事言ってくれるなんて思わなかった。

⏰:07/04/20 13:33 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#102 [林奈]
大人への偏見が少し変わったような気がした。



母が帰ってきて、畑中さんを見て、逃げるように部屋に帰った。
そんな母に畑中さんは怒鳴った。

⏰:07/04/20 13:39 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#103 [林奈]
「お前、この子に何した?」


「何って?」


「この子のアザ、お前がやったんだろうが?」


「私は知らないよ」

その言葉で畑中さんがキレた。

⏰:07/04/20 13:44 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#104 [林奈]
「この子がお母さんにやられたって言ったんだぞ」



畑中さんの言葉で、うちをものすごい顔でニラむ母。
畑中さんの帰ったあとの事を想像したら、ゾッとした。



畑中さんはまた怒り始める。


「お前なぁ自分の子どもに手を上げるなんて最低だぞ」

⏰:07/04/21 21:42 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#105 [林奈]
「あんたに関係ないでしょ!今月の分は渡すから帰って」


ものすごい形相でニラみつけ、母は家の中に帰ってった。
それはまるで鬼のようだった。


案の定、母はうちを殴る。


「あんたさえいなければこんなみじめな思いしなくてよかったのに」


母は目にうっすらの涙をためた。


あの時の涙は本物だった。

⏰:07/04/21 21:59 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#106 [林奈]
あの時、何度も思った。


“何でうちは死ななかったんだろう”


うちさえいなければ母をこんな苦しまなくて済むんだ。


胸が痛くて痛くて仕方なかった・・・。あの時の痛み以上のモノはない。

⏰:07/04/21 22:07 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#107 [林奈]
その日の夜、父から言われた一言。


「お父さん達離婚するから」


驚かなかった。いつかそうなるだろうって思ってたから。


そして次の日、母は家を出た。

⏰:07/04/23 00:59 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#108 [林奈]
憎むべき母が家を出ていく姿はどこか悲しそうだった。
ほんとは喜んでいいはずなのに、何か心に引っかかるモノを感じていたんだ。



“もう会えないのかな?”



去ってく母に何回も聞いてみたかった。

けどできなかった。

⏰:07/04/23 01:04 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#109 [林奈]
何か分からないわだかまりを抱えて、うちはその日から毎日家の事をした。


料理、洗濯、それまで家事なんて無縁だった分、めちゃくちゃ苦労した。


けど何よりも辛かったのは、祖父に毎日繰り返し言われる事。



「お前は母親そっくりだな」


複雑だった・・・。

⏰:07/04/23 01:17 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#110 [林奈]
目つきや言い方が似てるらしい・・・。

娘は母親に顔が似ると幸せにはなれないと聞いた。


“やっぱりそうなのかな?”



母親に似るうちもこの家を出た方がいいのかもしれない。

⏰:07/04/23 01:20 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#111 [林奈]
うちは、家を出る事だけを考えて生活するようになってた。中学を卒業したら絶対に家を出るんだ。

かすかな夢だった。

そんな小さな小さな夢を叶えるために見つけたバイト。


―援助交際―


援助交際をしようと思ったきっかけ。
それは本当に些細な事だった。

⏰:07/04/23 01:34 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#112 [林奈]
テレビで援助交際を取り上げている特番がやってた。


「一回3万かなぁ。それ以下の値段だったら絶対ヤらない」

元援交をしてた女の子のインタビュー。

うちは高額なお金に目がくらんだんだ。

本当にバカだよ。
あの頃、自分の価値が分からなかった。

⏰:07/04/23 01:40 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#113 [林奈]
うちは夜な夜な父達に隠れて、外に出るようになった。


駅前から少し奥に入ったとこにある公衆電話。
そこに貼ってあるチラシ。いわゆるピンクチラシだ。
うちはそこに電話してみた。

⏰:07/04/23 01:46 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#114 [林奈]
「もしもし。私19歳だけど・・」


「若いねぇ。オジサンは32歳だよ。今から会う?」


「うん」


緊張した。いっぱいっぱいで電話を切ったあと、少し恐怖感が出てきた。

⏰:07/04/23 02:05 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#115 [ちー]
読んでるよー!
がんばッ

⏰:07/04/23 02:22 📱:SH902iS 🆔:☆☆☆


#116 [林奈]
“山の中でいきなり降ろされたどうしよう”


“複数で来て襲われたらどうしよう”


色々考えて広がる不安と恐怖。

でも後戻りはしたくなかった。
ただお金のためだけにうちはそのオジサンと会った。

⏰:07/04/23 02:39 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#117 [林奈]
ちーさんこんな夜中に読んでくれてありがとうI

⏰:07/04/23 02:40 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#118 [林奈]
高級車で現れた。
顔は若くてなかなかのイケメン。
うちは車に乗り込み、適当にあいさつしてみた。



「名前なんて言うのかな?」


「アユミだよ」



とっさに出た嘘。
何となく亜由美の名前を使わせてもらった・・・。


「アユミちゃんはこういうの何回目?」

「初めてだよ」

⏰:07/04/23 02:43 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#119 [林奈]
「ほんとに初めて?かなり落ち着いてるから見えないね?」


「そんな事ないよ!めちゃくちゃ緊張してるんだから」



うちの言葉に笑った。それを見たうちも笑ってみた。
その人は、ノブヒロと言うらしい。

⏰:07/04/23 02:46 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#120 [林奈]
これがノブヒロとの最初の出会い。


ノブヒロは初めてと言ううちの頬に軽くキスをした。
10歳以上も年が離れてる人からのキスなのに、何か嫌な感じがしなかった。


きっとあの時からもう気付いてたのかもしれない・・。


“運命”だって事を・・。

⏰:07/04/23 02:50 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#121 [林奈]
少しドライブをしてから向かったホテル。
初めて行くラブホに心臓バクバクになってた。
そんなうちに気付いて、ノブヒロはうちの手を握る。
大きくて男らしい手。うちはすごく暖かく感じた。


“このドキドキなんなんだろう”


言葉では表せれない感覚。


うちは何かを感じ取ってたんだと思う。

⏰:07/04/23 04:15 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#122 [林奈]
部屋に入って事を済まし、ベットでノブヒロはうちをギュッと抱きしめた。


「どうしたの?」


うちの問いかけにノブヒロは逆に聞いてきた。

⏰:07/04/23 16:03 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#123 [林奈]
「何でこんな事しようと思ったの?」


「お金がほしいからだよ」


「それだけ?」


「うん」


ノブヒロは不思議な顔をしてきた。


「他にも理由あるんじゃないの?」


うちはすぐに答えられなかった。

⏰:07/04/24 09:07 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#124 [林奈]
けどどうせ一度しか会わない人だから、話してもいいやって思った。


家族の事、前田くんとの事、イジメ、レイプ、母からの暴力。うちは包み隠さず話した。
泣く事もしない、冷静なうちにノブヒロはまた強く抱きしめてきた。

⏰:07/04/24 09:11 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#125 [林奈]
「辛かったなぁ。だからこんなアザがあるんだな。聞かないつもりだったけど気になって。ごめんな。話させてまって」


ノブヒロの目に涙がたまってた。


うちの話で自分以外の人が泣くなんて思いもよらなかった。

⏰:07/04/24 09:14 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#126 [林奈]
「こんな事してる俺が言うのは説得力ないけど、もうこんな事するなよ。俺ももうやめる。だから約束しよう?同情じゃなくてアユミちゃん自身に惹かれた」



うちはノブヒロはおかしい人かと思った。だって10歳以上も離れてる子に、たった一回の出会いでそんな事を言うから。

⏰:07/04/24 09:17 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#127 [なな]

読んでて
すごく惹き付けられる
ものがあります
読んでるので
頑張ってください

⏰:07/04/24 09:59 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#128 [林奈]
ななさんありがとI

続き↓↓


ノブヒロはうちに携帯番号を書いた紙を渡してきた。


「もし何かあったら電話して」


「うちが悪用したりするかもしれないんだよ?」


「アユミちゃんはしないよ」



まっすぐなノブヒロの目に偽りはなかった・・・。

⏰:07/04/24 12:02 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#129 [林奈]
うちはノブヒロに二つの嘘ついた。


名前が林奈だという事。
ほんとの年齢は14歳だという事。



今ここで話すべき事なのか迷った。



だからうちは最後まで隠し通したんだ。

⏰:07/04/24 22:33 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#130 [林奈]
うちはノブヒロに二つの嘘をついた。


名前が林奈だという事。
ほんとの年齢は14歳だという事。



今ここで話すべき事なのか迷った。



だからうちは最後まで隠し通したんだ。

⏰:07/04/24 22:34 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#131 [林奈]
↑↑連続しちゃいました。ごめんなさい


続き↓↓


帰り際、ノブヒロはうちに10万という大金をくれた。



“こんなに?”


驚くうちにノブヒロは言う。


「少ないけどもうこれでこんな事やめてね」


うちはただお礼だけを言った。

⏰:07/04/24 22:37 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#132 [林奈]
“電話なんてするわけないよ”


うちは帰り際思ってた。
でも初対面のノブヒロに、何かを感じていた。けどそれが何かは、あの時は分からなかった。

⏰:07/04/25 10:17 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#133 [林奈]
10万なんて大金をどうすればいいか分からず、家に帰りとりあえず部屋の中に隠した。



しばらくうちは援助交際をやめた。
そして新学期になり、イジメも何故か分からないけどなくなった。



ノブヒロに電話をすることなく時が過ぎて、あっという間に卒業。

⏰:07/04/25 10:47 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#134 [林奈]
中学最後の年はほんとにあっという間だった。
家事をして祖父に嫌みを言われ、しかも友達もいない。


何かあったとしてもうちはそれに気づきもしないくらい、時間が早く過ぎた。



父に言われるがままに入った私立の高校。行く気はなかったんだ。

⏰:07/04/25 10:51 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#135 [林奈]
義務教育から解放され、やっと自立ができる。それを夢見て過ごしてた分、高校なんてバカみたいに感じてた。



行きたくなくなったら辞めればいいや。

軽く考えてた。

⏰:07/04/25 10:53 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#136 [林奈]
高校へ入学。
友達なんて作らない。ほんとにどうでもよくて、いつ辞めよう。そればっかり考えてた。


入学式。


うちは見た目も茶髪で春休みにピアスも空けてた。けど中身は全然子どもで、見た目ばかり気張ってたんだ。


そんなうちに近付いてきたのは、サオリとマサ。
二人は明らかに浮いてる。


男女で近付いてきた二人に警戒心丸出しだった。

⏰:07/04/25 22:01 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#137 [林奈]
「アンタ名前は?」


「最初に自分の名前言うのが常識でしょ!」



自分の名前より先にうちの名前を聞いてきたサオリに腹が立った。


そんなうちの答えにサオリとマサは爆笑。


“は?”


そう思いうちは睨みつけた。

⏰:07/04/26 09:39 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#138 [のり]
林奈ちゃん早く続き見たいです気になる、気になる

⏰:07/04/26 15:24 📱:N702iD 🆔:☆☆☆


#139 [林奈]
のりさんありがとI今から少し書くねメ

続き↓↓


うちが睨んだのにも関わらず二人は、笑いながら言う。


「ごめんごめん。そうだよね。うちはサオリ。こっちはマサ。うちら同中でさぁ。あんたと友達になりたいなと思って」

満面の笑みが何かうちの心も明るくさせた。


「うちは林奈だよ」

「仲良くしよう」


マサも笑顔で言ってくれた。

⏰:07/04/26 16:03 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#140 [林奈]
見た目とは違って、笑顔が似合う二人。

この二人となら長く続くような気がした。


何か二人の笑顔に吸い込まれそうになった・・・。

⏰:07/04/26 16:14 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#141 [林奈]
友達なんて作らない。いらない。


けど表面上ならいいと思った。
どうせ辞めるから。


うちはサオリとマサと帰りにファミレスに行った。

⏰:07/04/26 22:43 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#142 [林奈]
好きな歌手や俳優、好きなタイプ、たわいもない話で笑った。


だから不思議な感じがしてた。


それでもうちはこの二人を信じる事はないだろう。


あの時強くそう思った。

⏰:07/04/26 22:55 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#143 [林奈]
次の日、学校に行くなり笑顔で駆け寄ってくる二人。
この二人とは毎日一緒に過ごすようになった。


けど、家族の事、過去の事は話すことはできない・・・。


きっとこの二人に話したら引くんだろうな。


心の境界線・・・


すごく寂しい感じがしてた頃でもあった。

⏰:07/04/27 21:18 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#144 [林奈]
相変わらず家の雰囲気は悪かった。
兄はまだ引きこもりで、父や祖父達はもう諦めてた。


うちが高校入学してから一週間くらいしてから、母から父への手紙を見つけてしまった。
見てはいけないって思ったけど、興味半分で見た。


うちがもっともショックだった事実。

⏰:07/04/27 21:42 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#145 [林奈]
母の手紙にはこう書かれてた。


うちを今まで一度も可愛いと思った事がない事、その理由がアイツの子どもだからだという事だった。


“アイツって誰?”

うちは父と母の子どもじゃないの?
どういう事なの?


頭が真っ白になった・・・。

⏰:07/04/27 21:45 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#146 [林奈]
うちはまず祖父に聞いた。
けど知らないの一点張りだった。


帰ってきた父にも問い詰めた。
気まずそうな顔。


一瞬で分かった。
あの手紙が事実だという事が・・・。

⏰:07/04/27 21:53 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#147 [林奈]
「座りなさい」


いつも以上に真面目な顔の父は、話を切り出した。


兄が生まれてすぐ、母は前の恋人と駆け落ち。そして何年かして戻って来た時に、うちが母のお腹の中にいたらしい。恋人は無職。そんな母を置いて出て行き、仕方ない母は家に戻りうちを産んだ。
そんな母を、祖父達は許すはずがない。けど父は、兄のためにと離婚はしず、母をまた家に入れる事にした。


それから15年。
うちがだんだん母みたいになると同時に、父も知らない恋人と言う男にも似てきた事に、戸惑いを隠せなかったそうだ。

⏰:07/04/28 00:46 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#148 [林奈]
逃げた恋人を恨み、そしてその人と血を分けたうちの事も憎い母。


だからうちは可愛がってもらえなかったんだ。
この時今まで母や祖父達にされてきた事が全てつながった。


ただただショックだった・・・。


うちは望まれなかったんだね・・。

⏰:07/04/28 00:50 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#149 [林奈]
うちは父に聞いた。

「ねぇ、じゃあお父さんもうちの事可愛く思わなかったんだよね?」



「そんなことない」


言葉とは逆に、しっかり可愛くないと顔に書いてある。


父のあの表情は今も目に焼き付いてしまってる・・・。

⏰:07/04/28 11:17 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#150 [林奈]
この複雑な気持ち。うちはどこにぶつけたらいい?
気づいたらノブヒロの携帯番号が書かれてる紙を握りしめてた。



“もう忘れてるよね?一年も経つし”



うちはそう思いながら誰かに聞いてもらいたくて電話した。

⏰:07/04/28 11:32 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#151 [林奈]
コールが鳴り、手が震えた。


5回目のコール。


「はい。高島です」

「ノブヒロさんの携帯ですか?」


「そうですけど、あなた誰?」


「アユミです。一年前に会った」


一瞬無言になったノブヒロ。


うちは電話を切りたくなった。

⏰:07/04/28 11:37 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#152 [林奈]
けどノブヒロはすぐに声を変えた。


「久しぶり。元気にしてる?電話ないからもう諦めてたよ」

優しい声。


うちはその声を聞いた途端に涙が出てきた・・・。

⏰:07/04/28 11:39 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#153 [林奈]
溢れ出す感情。
何から話せばいいのか分からずただ泣くだけ。


ノブヒロはそれでも泣きやむまで待ってくれてたんだ。



少し落ち着いてうちから話す。


「ごめんね。忙しいのにね。切るね」


「ちょっと待って!明日会おう!19時に駅前で」


ノブヒロはうちと会う約束をしてきた。

⏰:07/04/28 11:44 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#154 [林奈]
学校からすぐ帰り着替え、待ち合わせ場所に行く。
その足取りは軽やかで、一年振りに会うノブヒロにドキドキしてた。


そして駅前で待つスーツ姿の、ノブヒロ。うちは近付くにつれて何て声をかければいいのか迷ってた。

その時うちの姿に気付き寄ってくるノブヒロ。

⏰:07/04/28 13:52 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#155 [林奈]
「久しぶりだね。アユミちゃん何かちょっと痩せたね?」


「そんな事ないよ。ノブヒロさんは変わらないね」


久しぶりなのに、何か暖かい気持ちになってく・・・。


車に乗りうちは気付いた。


ノブヒロの左手にある指輪。

⏰:07/04/28 13:57 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#156 [あやめ]
はじめまして読ませてもらってますこれは本当にあった話ですか

読んでて涙がでます…今は大丈夫なんですか

⏰:07/04/29 00:39 📱:SH702iS 🆔:☆☆☆


#157 [林奈]
あやめさんへ
読んでくれてありがとう
これは全部ほんとにあった話だよ!今の事もこれから少しずつ書いてくので待っててください

⏰:07/04/29 01:15 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#158 [林奈]
「ねぇ、その指輪って・・」


「俺去年結婚したんだ。会社の子でね」

「子どもは?」


「いないよ」


うちは何だかショックだった。
恋とかではなく、ただ何となく寂しい気持ち。
素直にオメデトウが言えなかった。

⏰:07/04/29 01:17 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#159 [林奈]
「なんだよ!オメデトウくらい言ってくれてもいいやんか」

笑いながら言うノブヒロに負けて、嫌みっぽくうちはオメデトウを言った。


でもあのオメデトウは、本心だったんだよ?ノブヒロ・・。

ノブヒロは車を海まで走らせた。

⏰:07/04/29 01:20 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#160 [林奈]
海辺に着き、まだ春だから風は冷たかった。
車の中でノブヒロはうちの話を聞いてくれた。



うちには別の父がいて、両親から愛されていない事・・・。話しながら涙が溢れ出てた。

⏰:07/04/29 01:23 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#161 [林奈]
どうしようもない寂しさと悔しさ。
色んな気持ちが交差してた。


そんな時ノブヒロがしてくれた事は、頭を撫でる事だけだった。


“何か言ってくれてもいいじゃん”
そう思い、ノブヒロを見た時、ノブヒロから出た言葉・・。

⏰:07/04/29 01:26 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#162 [林奈]
「アユミちゃんはお父さんもお母さんも大好きなんだね」



意外な言葉だった。思わずうちは返してた。


「大好きなわけないやん!めちゃくちゃ恨んでるよ」



「恨みもあるかもしれない。でも大好きだからこんなに涙が出るんだと思う。寂しいって言う感情は、好きな相手にしか現れないと思うけどな・・」

⏰:07/04/29 01:30 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#163 [林奈]
ノブヒロの言葉がうまく飲み込めなかった。
そしてノブヒロはまた言う。


「お子ちゃまにはまだわかんないかな」


“え?”


「ほんとはまだ16とかだろ?」

⏰:07/04/29 01:50 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#164 [林奈]
「何で?」


「分かるよ。アユミちゃんと別れて考えたらさぁ、やっぱり年偽ってるなって思った」


全部バレてた。

⏰:07/04/29 01:52 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#165 [林奈]
「ほんとはいくつなの?」


「今高1だよ」


「そっかぁ」


「怒らないの?」


「俺が怒れるわけないやん。俺もやったんだし」


ノブヒロは苦笑いで答えてた。

⏰:07/04/29 03:23 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#166 [林奈]
いつの間にかたわいもない話で盛り上がってた。
気付いたら親の事なんてどうでもよくなってた。


また車を地元へと走らせた。
車中でノブヒロは真面目にまた聞いててきた。


「あれから援助交際はしてない?」


「してないよ」


「よかった」


ノブヒロが笑った。

⏰:07/04/29 03:26 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#167 [林奈]
ノブヒロといると安心してる自分がいた。けどそれは、恋愛とかじゃない。
お兄さんのような安心感だった。


帰り際、うちはノブヒロに聞いた。


「また会える?」


「いいけど仕事とかあるし嫁もいるから、アユミちゃんが会いたい時に会えないかもしれないよ?」

「いいよ」


ノブヒロは少し困った顔をしたけど、うちのワガママを聞いてくれたんだ。


ノブヒロはほんとに優しい人だった。

⏰:07/04/29 03:30 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#168 [林奈]
家の近くまで来ると、頭をなでて笑ってくれたノブヒロ。


うちは思った。


“ノブヒロの家庭を壊したらいけない”って・・・。


家に着いた時はもう日付が変わってた。

⏰:07/04/29 03:33 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#169 [林奈]
“きっとお父さんも起きてるわけない”

そう思いながら玄関に入り電気を付ける。すると玄関にうずくまりながらウトウトしている父がいたんだ。


“なんで?”


嬉しいのに素直になれずに父の横を通り過ぎた。

⏰:07/04/29 10:13 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#170 [林奈]
気配に気付いた父が起きた。


「こんな時間まで何してたんだ。でも帰ってきてよかった」

小さく言った、“よかった”の言葉。
ちゃんと聞こえた。

今までどれだけ夜中になっても言われなかった一言。

⏰:07/04/29 17:16 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#171 [林奈]
“この言葉が欲しかった”


心の中でとっさにつぶやいてたのを今もはっきり覚えてる。

でもだからと言って恨みが消えたわけでもなく、嬉しさと憎しみが半々の中でうちはまた、父にはむかった。

⏰:07/04/29 17:18 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#172 [我輩は匿名である]
>>1-175

⏰:07/04/29 18:44 📱:SH903iTV 🆔:☆☆☆


#173 [我輩は匿名である]
>>100

⏰:07/04/30 00:12 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#174 [林奈]
「どこに行こうが関係ないやん。ほんとはどうでもいいくせに」


父は少し寂しい顔して寝室に帰ってた。あの顔は“本当の父の顔”だった。



うちは父の顔を思い出すだけで今も切なくなる・・。

⏰:07/04/30 09:32 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#175 [林奈]
次の日、うちは何食わぬ顔でサオリとマサに会った。
いつもの自分。
うちは昨日の事は考えないようにしてたのに、うちの変化をマサは気づいてた。

「なんかあった?」

「何もないよ」


マサは不思議な顔をした。

⏰:07/04/30 12:12 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#176 [林奈]
けどその場のノリで作り笑い。
精一杯の作り方で、あの時マサは何を思ったんだろう。


悲惨な“運命”を聞いてからうちは親から縛られる事をあきらめた。何を言われたっていい。むしろこんな娘なんて追い出してくれ。
そんな気持ちを抱えて生きてくと決めた15歳の春だった。

⏰:07/04/30 12:47 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#177 [林奈]
うちは学校終わりにバイトをしようと思った。
情報誌で見つけたバイトは、オシャレなカフェ。
うちとかけ離れたようなオシャレさだけど、時給高いしまぁいいやと思った。

⏰:07/04/30 13:08 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#178 [林奈]
面接に行ったら即採用。
次の日からもうバイトを始めた。
うちに指導してくれると言う怖そうなお姉さんの、“ノリコ”さん。そしてもう一人バイトをしてた“トモミ”。ノリコさんはうちより4つ上の大学生。トモミは2つ上の高3。
接客業なのに最初、二人は無愛想で怖がった。

⏰:07/04/30 13:15 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#179 [林奈]
↑↑『怖がった』
じゃなくて『怖かった』です!ごめんなさい。


続き↓↓


怖かろうがうちは仕事を早く覚えて、時給を上げて欲しかった。毎日バイトをして、お金を貯めようと思ったんだ。
そのために、サオリとマサと遊べなくて、でも二人はバイトをしてるうちを応援してくれてた。

⏰:07/04/30 13:34 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#180 [林奈]
二人は週に何回もカフェに来てくれて、店長も二人を可愛がってた。
見た目はチャラチャラしてそうに見えるけど、二人の素直さに店長は気付いてた。


ノリコさんも次第に優しくなり、うちにとって店は安らぎだった。

⏰:07/04/30 13:46 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#181 [林奈]
トモミとも仲良くなり、バイト帰りによくご飯を食べに行くようになった。

そしてトモミは急にうちに聞いてきた。

「変な事聞くけど、林奈は援交したことある?」


「ないよ」


「うちはあるよ!簡単にお金稼げるし。今も時々してるんだよね」


以外だった。
真面目そうなのに、以外過ぎて言葉が出なかった。

⏰:07/04/30 13:56 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#182 [林奈]
「そうなんだ」


それしか言えずにうちは下を向いた。
すると、トモミはうちに言う。


「林奈もやってみない?お金ほしいって言ってたじゃん」


「そうだけどさぁ」

「林奈ならいっぱい稼げるよ」


ノブヒロと約束したはずなのに、揺らいだ自分。


あの時しっかりとした意志を持ってら・・・。
今こんなに情けなく思わずに済んだのに。

⏰:07/04/30 17:37 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#183 [林奈]
その日にうちは携帯を買った。
トモミはやるなら携帯は必需品と言ってきた。


トモミは仲間ができたと喜んでた。
けどうちは複雑。
もうやらないって決めたはずなのに、お金のために、自分の気持ちは半分決まってた。

⏰:07/04/30 17:42 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#184 [あやめ]
またまた書いちゃぃましたぁ★

スペースを使ってしまってごめんなさい!それならコメントすんなよって話しですけど…

このことを本にしたらどうでしょうか??多くの人に読んでもらいたいです…ぁたしが言う立場じゃないですけど…

⏰:07/05/01 00:10 📱:SH702iS 🆔:☆☆☆


#185 [林奈]
あやめさんコメントありがとうI
本にしたいってまでは思ってませんmでもうちの今までを読んでくれて何か感じてほしいのは事実です。
ただの自己満にしかすぎないけどねI

⏰:07/05/01 07:36 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#186 [林奈]
トモミがお決まりのテレクラに電話。約束を取り付けたあと、うちも電話した。久々に緊張。
トモミと別々に会い、終わったらメールする事を約束して、待ち合わせ場所に向かった。
着いた時に非通知で相手に電話する。非通知を許可しない相手とは絶対に会わないようにってトモミから言われた。

⏰:07/05/01 07:51 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#187 [林奈]
番号を悪用されるかもしれない。トモミは頭がいい。


うちは待ち合わせ場所に着いた時、非通知で電話した。
車で来た相手は、普通のオッサン。明らかに妻子あるような人。
けどそんなの関係ない。


オッサンは性欲、うちは金欲を満たしたくて会うだけ。


こんな簡単な事はない。単純にうちは思ってたんだ。

⏰:07/05/01 07:55 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#188 [林奈]
車に乗り向かうのはラブホしかない。
オッサンは以外にも気さくで色々話してくれて、こっちも和みやすい。
ホテルに着いて、関係を一度だけ持ってあとはお喋り。
それで3マンももらえるなんて、こんな簡単な稼ぎ方はない。

⏰:07/05/01 08:10 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#189 [林奈]
帰り際、番号を聞かれたけど教えなかった。
一度だけの関係だから。

そのままトモミと会い、相手の事を語り合う。
うちとトモミの親密な関係が、この日から始まった。


『エントモ』


援交友達の略。


うちらはエントモと名前を決めた。

⏰:07/05/01 09:12 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#190 [林奈]
トモミとのエントモは、サオリにもマサにも、ノブヒロにも秘密。言えるわけがない。


バイトと援交の掛け持ち。これが結構楽しかっんだ。


ほんとに狂ってた。自分を大事にするとか、そんな事考えられなかったんだ。


あの頃は・・・。

⏰:07/05/01 10:33 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#191 [林奈]
そしてうちは学校をサボりがちになっていった。
予想はしてたけど、まさかこんなに早くこうなるとは思わなかった。


夜遅く帰る生活が慣れ、父達ももう何も言わなくなった。
サオリやマサから電話がしょっちゅうあり、それがほんとにウザかったんだ。

⏰:07/05/01 10:38 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#192 [あやめ]
そぅですか

つらいと思うケドがんばってくださぃっ応援してます

⏰:07/05/01 21:03 📱:SH702iS 🆔:☆☆☆


#193 [林奈]
あやめさんありがとねIまた更新します

⏰:07/05/01 21:46 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#194 [林奈]
そんな日々が1ヵ月続き、うちはもう高校を辞める決心を着けた。


将来の事なんて何も考えなかった。


“今さえよければいい”


典型的なパターン。

ほんとにほんとに幼い甘い考え方しかできなかった。

⏰:07/05/01 21:49 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#195 [林奈]
父にうちは高校を辞めることを話した。高い入学金を出してくれたのに、うちはたった1ヶ月で辞めてしまう。
今思えば、ただただ申し訳ない気持ち。

けどあの時のうちは、自分の将来に、“光”があるんだって勘違いしてたんだ。

⏰:07/05/01 21:52 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#196 [林奈]
うちの衝撃の発言に父は驚きもしなかった。
きっと予想してたんだろう。


「お前は何を言ってるんだ」


少しでいいから叱って欲しかった。


けど何も言わない父に諦めを感じてしまってた。

⏰:07/05/01 22:16 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#197 [林奈]
うちは父と一緒に退学届を出しに行った。担任は止めたけど、うちは先生に汚い言葉を吐いてしまったんだ。


「引き止めるのはどうせお金のためでしょ?」


困った顔をしてた。図星だ。

所詮世の中、自分を本気で心配する人なんていないから。


虚しい感情を持った15歳だった。

⏰:07/05/01 22:22 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#198 [林奈]
退学届が受理され、うちはみんなに挨拶もなく学校を後にした。


その日の夕方、サオリに電話。


「サオリごめん。うち学校辞めたから」

「は?まじで言ってんの?」


「まじだよ」


「どんな理由か話聞かせてよ」


「わかった」


うちの家の近くの、思い出の川原。
サオリは一人で来た。

⏰:07/05/02 00:06 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#199 [林奈]
うちの顔を見るなりサオリは聞く。


「何で学校辞めるん?もったいないよ」

「バイトだけがしたいんだ。お金ほしいから」


「バイトなら学校行きながらでもできるじゃん。もったいないよ」


サオリの目は真剣だった。


「もう決めたから」

「わかったよ」


少し寂しそうなサオリの横顔。

⏰:07/05/02 10:49 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#200 [林奈]
一瞬後悔した。
けど、もう後戻りはできないから。


「辞めても友達だからね?」


サオリの顔は寂しそうだけど、優しかった。


マサにも伝えるからと言い、サオリと別れた。

⏰:07/05/02 10:53 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#201 [林奈]
その日の夜、母が家に来た。


「あんた学校辞めたんだって?」


「だからなに?」


「恥ずかしいと思わんの?」


“恥ずかしい?意味分からん”


うちは母の言葉に腹が立って言い放った。

⏰:07/05/02 10:55 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#202 [林奈]
「誰のせいだと思ってんの?あんたが15年前にした事は何?よその男との子ども作って、ギャンブルして、あんたの方がよっぽど恥ずかしいわ」


驚いた母の顔。
何で知ってるの?
そんな顔をした。


「全部聞いたわ!手紙も読んだ!うちなんて生まれてこなきゃよかったんだよ」

うちの言葉に複雑な顔をした母。


うちまで辛くなるよ・・。

⏰:07/05/02 11:02 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#203 [林奈]
結局母から謝りの言葉はなかった・・。

“何で生まれたんだろう”


本気で思った。
望まれて生まれてきたわけじゃない。


自分の存在価値なんてない。


悔しかった。

⏰:07/05/02 11:07 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#204 [林奈]
悔しくて悔しくて涙が出た。


何でこんな早く知っちゃったんだろう。大人になって知ってたなら、少しは許せたかもしれない。


15歳の心は完全に壊れた・・・。


そして見つけた答えは、“お金”だったんだ。

⏰:07/05/02 11:10 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#205 [林奈]
信じられるモノなんてない。


親も友達も結局うちを裏切る。


『悲劇のヒロイン』

言い訳並べて現実から逃げ出した。


向き合う事より、自分を“被害者”にすれば、楽になれると思ってた。


ほんとにバカだった。

⏰:07/05/02 11:15 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#206 [林奈]
次の日、うちはトモミと一緒にまた援交をした。


1日に二回も。


夜中、トモミは紹介したい人がいると言い、アパートに連れてかれた。

⏰:07/05/02 11:18 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#207 [林奈]
部屋に入り、いたのはトモミと同い年みたいな感じの女の子。


「こんばんは」


「入って」


「トモミ、この子が林奈ちゃん?」


「そうだよ」


うちは何だろう。そう思った。

⏰:07/05/02 11:40 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#208 [林奈]
「あたしは、ヒロコだよ。トモミのいっこ下の17だよ。林奈ちゃんの事は聞いてたよ。あたしも実はトモミとエントモなんだ」


「そうなんですか。よろしくです」


「敬語やめようよ」

可愛らしい笑顔のヒロコとの出会い。
でも見た目は、ヤンキーっぽい。
ヒロコはうちにすぐ慣れてくれて、うちもまたヒロコに何か共通なモノを感じた。

⏰:07/05/02 11:47 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#209 [林奈]
ヒロコとトモミは、友達を通じて知り合い、親に反抗してヒロコは家を出て、一人暮らしを始めたらしい。


うちはヒロコの生き方が格好いいと思った。


ヒロコとの出会いをきっかけに、うちは家を出た。
ヒロコは何も聞かずに家に入れてくれた。お金貯まるまで、家にいてもいいと言ってくれた。

⏰:07/05/03 11:54 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#210 [林奈]
そしてトモミも卒業を控えた三年目に、中退。
さすがにうちもヒロコも反対したけど、無理だった。


女三人の共同生活。

ワンルームのアパートは狭いけど、これから始まる未知の世界にワクワクしてたんだ。

⏰:07/05/03 15:22 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#211 [林奈]
昼間起きてそれぞれに、テレクラに電話する。
ヒロコは馴染みの人と約束したり色々。1日に3人の相手をして、10万近く儲ける。
夜中ゴキゲンなうちらは、ナンパ待ちに繰り出すんだ。


そんな生活を続けて、二週間近く経ってから、ノブヒロから電話があった。

⏰:07/05/04 01:30 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#212 [林奈]
だいぶ前に携帯を買ったことを留守電に入れてから、ノブヒロから連絡はなかった。


「久しぶりだね。元気?」


「元気だよ。ノブヒロさんは?」


「元気。学校ちゃんと行ってる?」


「辞めたよ」


「は?なんで?」


「色々とね」


そのあとノブヒロはうちに会いたいと言ってきた。

⏰:07/05/04 01:33 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#213 [林奈]
ヒロコの家から近い喫茶店で待ち合わせして、ノブヒロと色んなことを話した。

学校を辞めた理由に怒ることはなかった。でも、援交をまたやってるなんて言えずに、そのまま別れた。

⏰:07/05/04 01:36 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#214 [林奈]
ノブヒロに嘘をついたことへのモヤモヤ感。

初めて罪悪感が生まれた・・・。


そしてそんな気持ちを抱きながらうちは、援交を続けてた時、ある人にうちは出会った。


その出会いは最悪で何度も後悔した。


いつものように、ナンパ待ち。
たくさん声をかけられ、顔がなかなかいい人に付いていったんだ。

⏰:07/05/04 03:55 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#215 [林奈]
三対三。


カラオケに着き、自然と三組に別れる。うちの隣に座った、“ジュン”はうちの3つ上。
顔もさわやか系で、うちのタイプ。
話す事も面白いし、何よりさり気ない優しさが好印象だった。


けど今思えば、ただのたくらみだったんだ。

⏰:07/05/04 03:58 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#216 [林奈]
三時間カラオケをして、ヒロコとトモミはジュンのツレと飲みに行った。
うちとジュンは、飲みに行くより、ドライブがしたくて、海まで出かけた。


二人きりになっても手を出してこない。奥手なのか、うちに興味がないのかさっぱり分からなかった。


けど、海で話してる時、ジュンは急に元カノの話をし始めた。

⏰:07/05/04 04:02 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#217 [林奈]
浮気をされ、おまけに二股で、妊娠して結婚したらしい。だから女は信用できないと言った。


けど、そんな中、うちの顔をジーッと見る。


「なに?」


「ねぇ俺と付き合わない?」


「さっき会ったばっかじゃん」


「林奈ちゃんとならうまく付き合えそうなんだ」

⏰:07/05/04 04:05 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#218 [林奈]
うちもバカだったから、素直に、ジュンの気持ちが嬉しいと思ってしまった。
好きになるかどうかわからない。

けど、飽きたら別れればいいやん。


軽く考えてた。


けど、甘かった。

⏰:07/05/04 04:08 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#219 [林奈]
とりあえず携帯番号の交換。
社会人のジュンは、プーのうちを養うとまで言い出した。
うちはそれを真に受けて、ジュンを一気に好きになった。


ジュン自身ではなく、お金に惹かれてたんだ。

⏰:07/05/04 17:13 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#220 [林奈]
三時間半前に出会ったばっかのうちらは、後先考えることなく付き合った。


お金じゃなく、彼自身を好きになる日は必ず来る。


うちはそう信じた。

信じたはずなのに・・・。

⏰:07/05/05 09:22 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#221 [林奈]
家まで送ってもらった時はもう朝日が差し込んでた。
トモミとヒロコはまだ起きてた。


「やっと帰ってきた!心配したんだよ」

「ごめん。海まで行ってた」


「ならいいけどさ」

ニコニコのうちに、ヒロコはまた聞いてきた。

⏰:07/05/05 09:26 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#222 [林奈]
「朝っぱらからニヤニヤしてなに?」


「実は付き合うことにしたんよ」


「は?」


「貢いでくれるとか言うし、いいかなと思って」


二人はあっけにとられてた。

⏰:07/05/05 10:37 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#223 [林奈]
「まじで?」


「うん」


「ラッキーやん。でもあの子19くらいでしょう?あんたに貢ぐ金あんの?」


「あるんじゃない」

二人は少し不思議そうに言ったけど、反対はしなかった。

⏰:07/05/05 10:39 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#224 [林奈]
昼間目が覚めて、携帯を開ける。


―着信20件―


ジュンからだった。

“なにこれ?”


うちはすぐにジュンに電話した。何かあったのかと思った。

⏰:07/05/05 11:04 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#225 [林奈]
「もしもし。ごめん寝てた。どうしたの?何かあった?」


「ごめんな。少し話したかったから、電話したけど出ないから何回もしちゃってさ。ごめん」


「いいよいいよ。仕事は?」


「今日は夜勤だから、今から少し寝るよ。電話ありがと」


電話を切ったあと、ジュンのそんな所が可愛らしいと思ったんだ。

⏰:07/05/05 11:08 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#226 [林奈]
それがいつしか可愛いとは思わなくなるなんて・・。

想像もつかなかった。


ジュンは大手の車の会社に勤めてる。夜勤と昼勤があるらしい。


8時半から17時半までの決まった時間に終わるわけじゃない。だからそんなに縛られずに、援交ができると思った。

⏰:07/05/05 11:20 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#227 [林奈]
誰か読んでくれてるかなよければ感想くださいm

⏰:07/05/05 11:21 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#228 [林奈]
ジュンの夜勤中に、またうちは仕事に繰り出した。


そしてまた3万を頂き、帰る。
援交を、“天職”だと思ってたうち。


ほんとにほんとにバカな女だった。

⏰:07/05/05 11:26 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#229 [林奈]
そして時々ジュンとのデート。
ドライブや買い物。普通のカップル。
ジュンは優しくて、いつもうちを優先に考えてくれる。
そんなジュンに、うちはほんとに恋をし始めてた。


前田くん以来恋をする事が怖くて、オヤジやナンパしてきた相手に恋なんて望まなかった。


だから自分でも変な感じがして仕方なかったんだ。

⏰:07/05/05 11:31 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#230 [林奈]
帰り際、ジュンはうちに毎回、1万をくれる。
次に会うまでにこれを使ってって。
週に一度のペースで会い、援交以外で外に出る機会も減ったから、1万もほんとはいらなかった。

⏰:07/05/05 11:34 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#231 [林奈]
ジュンと付き合いだして1ヶ月。
うちは援交をしなくなってた。
今まで貯めたお金もあるし、ジュンからももらえる。
援交してるのが、バカバカしく感じるようになってた。


トモミとヒロコはそんなうちを、羨ましいと言ってたな。。

「やめれるなら援交なんてやめたほうがいいよ」


二人はジュンをきっかけにやめることをすすめてきた。

⏰:07/05/05 11:37 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#232 [林奈]
うちも、もうやめようと思ってた頃、ジュンが変わりだした。
メールが少し遅れると電話で怒鳴るし、ジュンが仕事中にでも、メールを入れなきゃ、わざわざ家まで来る。


少しおかしいとは思った。
けど、ただうちを好きでいてくれてるんだ。そう思ってた。

⏰:07/05/05 11:40 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#233 [林奈]
デート中でも体を求めてはこないし、そんなジュンは純粋な人なんだと思ってた時、ある人の話を聞くきっかけがあった。


それはコンビニに出かけた夕方。店内でうちに話しかけてきた女の人。

⏰:07/05/05 11:44 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#234 [林奈]
「あのぉ、ジュンくんの彼女さん?」


「はい。そうですけど、あなたは?」


「ジュンの元カノ」

「なんでうちを知ってるの?」


「少し前に、あなたとジュンが歩いてるの見かけて、また会えると思って毎日通ってたんだ」


「何のために?」

⏰:07/05/05 11:48 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#235 [林奈]
「時間ある?ちょっと話せないかな?」

「いいですよ」


コンビニの前にあるファミレスに入り、女の人は自己紹介をし始めた。

⏰:07/05/05 11:53 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#236 [林奈]
女の人は、ナツミさんと言い、ジュンとは三年前に付き合っていたらしい。学年的にジュンの二つ上の、21歳。


ナツミさんはうちにどうしても伝えたいことがあると言う。

「伝えたい事ってなんですか?」


「信じる信じないはあなたの自由だけど、今から話すことは全部事実だから」


「はい」

⏰:07/05/05 11:57 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#237 [林奈]
ナツミさんと付き合ってた時、束縛がひどくて、少しでも待ち合わせに遅れると、殴られたりしてたそうだ。そんなジュンに嫌気がさして、男友達に相談して、その人の事が好きになったから、別れを切り出したら、今度はストーカー。ナツミさんは妊娠して結婚をきっかけに、ジュンからのストーキングはなくなったそうだ。

⏰:07/05/05 12:03 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#238 [林奈]
それだけじゃない。ジュンが片思いしてた、ナツミさんの知り合いの子にも、ストーカー的なことをしていたそうだ。
それも、二人だけじゃなくて、4人に。

ナツミさんは、ジュンとうちの姿を見て、同じ目に遭ってるんじゃないかと思ったらしい。うちはナツミさんの話を聞いて、寒気がした。

⏰:07/05/05 12:07 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#239 [林奈]
“まさか”


そんな風に思いながら、必死に言い聞かせた。
けど思い出すのは、最近のジュン。


「付き合ってどれくらい?」


「1ヶ月くらい」


「最近変って思うことない?」


「ある」


うちも最近のジュンの話をした。

⏰:07/05/05 13:48 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#240 [林奈]
「悪い事言わないから、別れた方がいいよ」


「でも・・」


ナツミさんの言うことに嘘はないと思う。わざわざ自分の悪い所まで言うくらいだから。


けど、ジュンの事は好きなんだ・・・。

⏰:07/05/05 13:52 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#241 [林奈]
どうすればいいか分からない。


ナツミさんと、2時間近く話をしてる間にもジュンからの電話は鳴りやまなかった。


ナツミさんともう会うことはないだろう。そう思いながら別れた。

⏰:07/05/05 13:57 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#242 [音々]

読んでマス
凄くイィですョッ
楽しみにしてるんで
コレカラも頑張って下さぃ

⏰:07/05/05 15:59 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#243 [林奈]
すぐにジュンに電話した。


「ごめん寝てた」


「昼間っから寝てんじゃねーよ。今から行くから」


「意味わかんない。急になに?」


「会いたいからにきまってるだろ」


ジュンはキレ口調で言ったあと、電話を切った。

⏰:07/05/05 16:11 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#244 [林奈]
音々さんありがと読んでくれる人あんまりいないと思ってたからさm頑張るよ

⏰:07/05/05 16:13 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#245 [林奈]
うちはすぐに準備して、ジュンを待った。けど、ナツミさんの言った事がどうしても頭から離れない。


信じたくない。けど、うちもナツミさん達と同じ目に遭ったらどうしよう。



色んな気持ちが交差する。

⏰:07/05/05 16:25 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#246 [林奈]
カマをかけようと思った。うちの質問に、ジュンはありのままを答えてくれるなら、ナツミさんの言った事は忘れよう。

もし嘘をつくなら・・・たとえそれがどんな理由でついた嘘でも別れよう。


うちは大きな賭けにでた。

⏰:07/05/05 16:35 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#247 [林奈]
ジュンはさっきの事は何もなかったかのように普通の顔をしてる。
ご飯食べて、ドライブして。いつもと変わらないデート。


そしてうちはジュンに聞いてみた。

⏰:07/05/05 17:31 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#248 [林奈]
「ねぇ、ジュンはフラれた時はきっぱり諦めるタイプ?」


「なんで?」


「友達がね、別れようって彼氏に言ったらすぐにいいよって言ったらしくて、男はみんなそうなのかなって言ってたからさ。ジュンはどうかなと思って」


「俺もすぐ手引く方かな。今までもそうだし。未練たらしくいたくないしね」


“嘘だ”


ジュンはうちに嘘をついた。

⏰:07/05/05 17:35 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#249 [林奈]
「そっかぁ。未練たらしいのはダメだよね」


ナツミさんに聞いた事を言うか迷った。でも、もし逆ギレしたら?
そう思ったら言えなくて・・・。


また話題を変えた。

⏰:07/05/05 17:38 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#250 [林奈]
違う話をしても頭から離れない。


“過去は過去だし”

今は違うかもしれないしね。
嘘をついたのは、それだけうちを大事に思ってくれてるからなんだって言い聞かせた。


別れようなんて、怖くて言えずに、家に帰った。

⏰:07/05/05 17:40 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#251 [林奈]
その次の日からジュンの束縛はエスカレートしていった。
用がなくても、1日に電話は二回すること。
ジュンからの着信はワンコールで出ること。
出掛ける時は必ずメールか電話をすること。
友達と出掛ける時は、女友達か確認するために、ジュンに電話すること。


まだあったと思うけど忘れた。

⏰:07/05/05 17:46 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#252 [我輩は匿名である]
私わ束縛好きなんですょxxだからそれくらいの束縛されたいです。

⏰:07/05/05 17:48 📱:W41SA 🆔:☆☆☆


#253 [林奈]
ジュンのスケジュールは前もって知らされていて、ジュンが電話に出れる時間しか、出かけたらいけなくなり、しまいには夜は外出禁止になった。


うちもバカだったから全部言うことを聞いてしまってた。

⏰:07/05/05 17:49 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#254 [林奈]
我輩さんは好きなんだm中にはそういう人いっぱいいるよねでも、これ結構しんどかったよm

⏰:07/05/05 17:51 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#255 [ゆん]
匿名になってたL確かにしんどそう電話かけてくるのわうらやましいですIP

⏰:07/05/05 17:53 📱:W41SA 🆔:☆☆☆


#256 [林奈]
ゆんさんへ
電話だけならまだ許せるかもしれないけどね・・mでもうちは耐えられなかったなm

⏰:07/05/05 17:56 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#257 [林奈]
トモミとヒロコはそんなうちを見て心配してた。


単純にジュンが好きだったから。


けど、好きだけじゃ済まされないことが起きた。


トモミもヒロコも巻き込んでしまった出来事・・・。

⏰:07/05/05 17:58 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#258 [林奈]
忘れもしない出来事は土曜日の夜に起きた。


その日の夕方、昼勤を終えたジュンから電話があり、いつものようにワンコールで出た。


「おつかれ」


「うん」


元気がない様子だった。

⏰:07/05/05 18:01 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#259 [ゆん]
私、束縛っていうものされた事ないから林チャンがうらやましいなっxて思ったけど、辛そうですねソ書くの見守ってます!!

⏰:07/05/05 18:01 📱:W41SA 🆔:☆☆☆


#260 [林奈]
「どうしたの?」


「今日、職場の先輩達に飲みに誘われて、彼女と彼女の友達も連れてきてって言われたんだ」


「そうなんだ。で、どうするの?」


「職場の人達だし、断れなくていいよって言っちゃった」


「え?まじでか」


「ごめんな」

⏰:07/05/05 18:03 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#261 [林奈]
ゆんさんへ
ありがとうイ頑張って書くねメ最後まで読んでください

⏰:07/05/05 18:05 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#262 [林奈]
「いいよ。聞いてみるから」


ジュンと電話を切ったあと、ヒロコとトモミに聞いた。
二人はジュンの顔を立てるために、承諾してくれて、うちら三人はジュンの地元まで行った。

⏰:07/05/05 18:06 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#263 [林奈]
駅でジュンは待っててくれてて、会うなりうちらに必死に謝ってた。


そして居酒屋に入り、ジュンの先輩達はもう飲んでた。
一人一人紹介して、まるでキャバクラのように先輩達の間に入り、それぞれ話をしながらお酒を飲んでいた。

⏰:07/05/05 18:09 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#264 [林奈]
それをジュンは嫌みたいで顔に出てた。お酒もすすんで、みんないい感じになったら、一人の先輩がうちの手を握り、手相を見ると言い出した。
うちはヒヤヒヤしてた。
ボディタッチが激しくなり、ジュンの顔が強張る。

⏰:07/05/05 18:12 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#265 [林奈]
さり気なく振り払っても、肩や腕、しまいにはお尻まで。
我慢して我慢して、やっと解放された時は、日付が変わる少し前だった。


おごってくれたから先輩達には一応お礼だけ言って、うちら三人はジュンの車に乗り込んだ。

⏰:07/05/05 18:14 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#266 [林奈]
ジュンの機嫌が悪いのは明らかにわかるから、うちは何とかよくしようと色々話を振った。


けど無駄だった。


急に車を路肩に止めて、静かだったジュンが口を開いた。

⏰:07/05/05 18:16 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#267 [林奈]
「お前、何ヘラヘラしてんだよ!そんなに嬉しかったか?」

「嬉しいわけないやん」


「ならきちんと断ればよかっただろ」


「誰のために行ったと思ってんの?ジュンの顔を立てるためなんだよ」


「そんなの関係ない。お前は淫乱だな!ほんとは嬉しかったんだろ」

⏰:07/05/05 18:19 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#268 [あやめ]
頑張ってね

⏰:07/05/05 18:22 📱:SH702iS 🆔:☆☆☆


#269 [林奈]
頭に来た。


「はぁ?淫乱で結構。どうせうちは淫乱女だわ!あんたみたいなねぇ、ストーカー男こっちから別れたるわ」


「ストーカーってなんだよ」


「あんたの元カノから聞いたわ!あんたがストーカー行為してたから、うちに忠告してきたんだよ」

「どういうことだ」

我に返った時はもう遅かった。

⏰:07/05/05 18:22 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#270 [林奈]
あやめさん、ありがとうイ

⏰:07/05/05 18:23 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#271 [林奈]
“しまった!でも後戻りはできない”


そう思いうちは全部をぶちまけた。


「あんたの束縛はもうこりごりだわ!別れてよ」


「嫌!俺は別れないからな」


「それがストーカーっつうんだよ!」


その瞬間、ジュンはうちの首を絞めてきた。

⏰:07/05/05 18:26 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#272 [林奈]
男の力に逆らえない。“苦しい”そう思った時、トモミとヒロコがジュンの手を離した。


「やめろよ!おめぇ林奈殺す気か」


「お前らに関係ない」


その瞬間、トモミがうちの手を引っ張り、走り出した。

⏰:07/05/05 18:29 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#273 [林奈]
うちら三人は必死に走った。
ジュンは追いかけてこない。


うちは何だか分からず涙が止まらなかった。


コンビニまで走り、そこからタクシーで帰った。

⏰:07/05/05 18:31 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#274 [林奈]
タクシーの中、さっきの事が頭を駆け巡り、みんな無言だった。
部屋に入り、座り込んだ時、ヒロコが先に口を開いた。



「まじ危なかったな。でも逃げられてよかったよ」


「二人ともごめん」

「そんなんはいいけど、元カノの話って何だよ」


ヒロコとトモミはうちに元カノの話を聞いてきた。

⏰:07/05/05 18:34 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#275 [林奈]
ジュンの元カノと会い、過去の話を聞いたことを全て二人に話した。


「何でもっと早く言ってくれんかったんだ?」


「心配かけさせたくなかったから」


「そりゃ心配するけど友達だろ?うちもトモミもこうなる前に考えたよ」


「ごめん」


二人の飾らない気持ちが伝わって、自然に涙が出た。

⏰:07/05/06 06:16 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#276 [林奈]
二人はジュンを責めようとしてた。
けどうちにはできない。
ジュンのした事はいけない。でも、援交してた汚いうちが、ジュンを責めることができないって思ったんだ。



これから先どうなるのか全く分からなかった。
これでジュンが諦めてくればいいけど、何かまた一波乱ありそうな気はしてた。

⏰:07/05/06 06:20 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#277 [りんか]
頑張ってください!!
いつも読んでます

⏰:07/05/06 10:39 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#278 [林奈]
りんかさんありがとう!下手くそだけど最後まで読んでください!

⏰:07/05/06 13:20 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#279 [林奈]
嫌な出来事から、三日経ってもジュンからの連絡はない。
もしかしたらこのまま終わってくれるんじゃないか。
変に期待してた。


けど・・・。


一週間経った日の夜、ジュンが行動を起こした。

⏰:07/05/06 13:23 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#280 [林奈]
まず非通知の電話。そしてポストにうち宛てのハガキ。


『絶対殺してやる。覚えてろよ』


テレビのドラマに出てくるような、新聞を切り取った紙が貼り付けてあった。

⏰:07/05/06 13:26 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#281 [林奈]
急ですいません。これからは、『うち』を『私』に変えて書いていきたいと思います。ご了承下さい。

⏰:07/05/06 17:25 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#282 [林奈]
ハガキを見た瞬間、背筋が凍り付いた。私だけじゃない。
トモミもヒロコも。

「アイツ頭おかしくない?やっぱ元カノが言った事本当だったんだよ」


冷静にヒロコが言った事が益々私を恐怖へと誘う。


“どうしよう”


頭が真っ白になってた。

⏰:07/05/06 17:29 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#283 [林奈]
「でもさ、さすがに犯罪はしないよね?そこまでジュンも馬鹿じゃないよ」


「林奈、何を言ってるん?首絞めたり、こういうハガキ送り付ける時点でもう犯罪なんだよ」


トモミの言う事は正しい。けど、何もない事を信じたくて仕方なかった・・・。

⏰:07/05/06 17:32 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#284 [林奈]
ジュンに別れを告げた事は後悔はしてない。
私も怒ってたとはいえ、元カノの話をしてしまった事は後悔してる。


「これからどうなるんだろう」


ふと私はつぶやいてた。
するとヒロコから出た提案。


「引っ越そう。このままじゃおちおち寝てられないよ」


私は二人に申し訳なくて涙が出た。

⏰:07/05/06 17:38 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#285 [林奈]
そんな私に二人は優しかった。


「林奈、あんたは悪くないから泣かないの!うちらは大丈夫だからさ」


二人は笑ってくれてた。
それだけでも救われた気がした。

⏰:07/05/06 17:41 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#286 [林奈]
何とかその夜は過ぎ、朝になってた。
ヒロコは親戚の人に電話をしていた。
未成年の私らがアパートを借りるには、保証人が必要だからだ。


ヒロコを可愛がっている親戚のおばさんが来てくれた。

⏰:07/05/06 17:44 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#287 [林奈]
全ての事情を話し、おばさんは怒った。

「保証人になるのは構わないよ。けどね、本当は親元にちゃんと帰った方がいいんだよ。そんな男はあんたらだけじゃどうにもならないと思うよ」


「わかってます。けど、実家には絶対戻りたくないんです」

必死に訴える私に、おばさんはやっと承諾してくれたんだ。

⏰:07/05/06 17:48 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#288 [林奈]
今までいたアパートの保証人もおばさん。ヒロコは一度も滞納した事はない。だからおばさんは、ヒロコを信用していたから、新しいアパートを探してくれた。

私は怖くて外にも出れない。
いくらジュンが仕事中だとしても、休んでまでどっかで待ち伏せしていたらとか考えたら、怖くて仕方なかったんだ。

⏰:07/05/06 17:51 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#289 [林奈]
私の不安を取り除こうと、トモミとヒロコは一緒にいてくれてた。
それが嬉しい反面、申し訳なかった。


けど、心底思ったことがある。


“血の繋がった親よりも、二人の方が何十倍も信じられる”ってこと・・・。

⏰:07/05/06 17:54 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#290 [林奈]
おばさんは、その日のうちにアパートを探してくれた。


そしてまた日が暮れて、夜になった。


急にまた恐怖心から体が震え始めた。


“ジュンが来る”


私はそればかり考えてたんだ。

⏰:07/05/06 17:57 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#291 [林奈]
予感が的中・・・。

ドンドンと玄関のドアを叩く音。


何も言わず、音だけが鳴り響いてた。


ヒロコが小さい穴からそっと覗く。


血相を変えて戻ってきた。

⏰:07/05/06 18:00 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#292 [林奈]
「ジュンが包丁持って突っ立ってる。警察呼ぶか?」


「警察はダメ!そうなったら私ら間違いなく家に戻される」

私は警察じゃなく、自分で何とかしなければならない。
勝手な思い込みをしていた。


あの時、警察に早く電話していればよかった・・・。

⏰:07/05/06 18:02 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#293 [林奈]
トモミ、ヒロコ、私のせいであんな辛くて苦しい思いさせて、本当にごめんね。

今でもあの時の事は心に引っかかったままで・・・。


二人が今幸せだとしても、私を憎んでなくても、本当に本当に申し訳ない気持ちでいっぱいなんだ。

ごめんね・・・。

⏰:07/05/06 18:15 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#294 [林奈]
ジュンの行き過ぎた行動が、恐怖心より先に怒りを覚えさせた。


私は玄関のドアを開けてしまった。


「ジュン、あんた何してんの?いい加減やめてよ」


「何言ってるんだよ!お前が全部悪いんだよ!お前ら三人、外出てこい」


「二人には関係ないでしょ!刺すなら私だけを刺せばいいでしょ」

⏰:07/05/06 18:19 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#295 [林奈]
「こうなったのも連帯責任だ!出てこなければ俺が行く」


意味の分からない言葉を並べるジュン。

本当に頭がおかしいと思った。

⏰:07/05/06 18:21 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#296 [林奈]
トモミとヒロコは仕方なく外に出てくれた。
携帯だけ握りしめ、アパートの前の公園に行った。


時間はもう23時を回ってたのを覚えてる・・・。


公園に着き、目の前の光景に驚かずにはいられなかった。

⏰:07/05/06 18:24 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#297 [林奈]
私らを待ってたのはジュンだけじゃない。ジュンを含めて、六人の男達がいた。

私ら三人を囲み、ニヤニヤ笑う。


「何なのあんたら」

ヒロコがはむかった。


すると一人の男が言った。

⏰:07/05/06 18:26 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#298 [林奈]
「粋がいい姉ちゃんだな。お前らどうせ淫乱なんだろ?俺らの相手してくれたら許してやるよ」


「意味わからんし!あんたらの相手ってなにさ?」


そう聞いた瞬間、私ら三人はナイフと言う武器で脅されて体を捕まれた。

⏰:07/05/06 18:30 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#299 [林奈]
「騒ぐと刺すよ?」

またニヤリと笑い、私ら三人は別々の車に乗せられた。


この時初めて、“警察を呼べばよかった”そう思ったんだ。けど、後悔しても遅い現実。


“殺される”


真剣に感じたんだ。

⏰:07/05/06 18:32 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#300 [林奈]
「どこ行くの?あの二人だけには何もしないで」


何を言っても何を聞いても答えない男二人。


私は暗闇の中、気付かれないように携帯を触った。

⏰:07/05/06 18:34 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#301 [林奈]
手探りでメモリの1番を押す。
いちかばちか賭けてみた。携帯に慣れすぎて暗闇でも押せる自分を少し誇らしくも感じてしまった。

ノブヒロへと通話ボタンを押す。


“お願い!出て”


それを願った。

⏰:07/05/06 20:20 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#302 [林奈]
ノブヒロの声が聞こえないように、通話音量を最低にまで下げ、私はノブヒロに助けを求めた。


ノブヒロにこの状況が伝わるように分かる範囲で、男達に話しかけた。


「どこに向かってるの?私らをどうするの?」


あらゆる言葉を使った。

⏰:07/05/06 20:24 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#303 [林奈]
30分くらいしてから着いた暗い倉庫。チラッと見えた名前。


“鹿沼倉庫”


私は鹿沼倉庫の名前を意味もなくデカい声で叫んだ。


きっと男達は私を壊れた女と思っただろう。

⏰:07/05/06 20:27 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#304 [林奈]
倉庫に入れられ、出られないように鍵をかける。私ら三人を真ん中に集め、囲む六人の男。


ナイフをちらつかせ、ニヤニヤ笑うヤツら。


私は怒り狂った。

⏰:07/05/06 20:29 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#305 [林奈]
「お前ら気持ちわりぃんだよ」


「な―に言っちゃってんの?男をナメると怖いんだよ」


そしてジュンがおかしな事を言う。


「こいつらヤッちゃって」


ジュンの合図で私らは男達にそれぞれ押し倒された。

⏰:07/05/06 20:39 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#306 [林奈]
「やめろよ」


私らの叫びは届かなかった・・・。


私ら三人は、男達の道具にされたんだ。何回も何回も回され、男達は頂点に立つ。


涙すらも出ない。
もう殺してほしいと思った・・・。


ただ怖かった・・。

⏰:07/05/06 20:43 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#307 [林奈]
何時間いたんだろうか。
私らにはものすごい長く感じた。
ノブヒロにも届かない。


ほんとに諦めた。


男達が疲れ果て、私らは抜け殻状態。


その時だった。

⏰:07/05/06 20:45 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#308 [林奈]
倉庫の出入り口のドアで音がした。
夜中に響き渡る音。

一人の男がドアを開けた時、目を疑った。


ノブヒロがいたんだ。

⏰:07/05/06 20:49 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#309 [林奈]
“え?”


そう思った時、ノブヒロの後ろからたくさん人が入ってきた。
数えたら10人はいる。


声が出なかった。

⏰:07/05/06 20:51 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#310 [林奈]
「お前ら何してんだよ!その子らに何をした?」


「は?誰だてめぇ」

「その子らのツレだわ」


ノブヒロは私らを見るなり駆け寄ってきてくれた。

⏰:07/05/06 20:52 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#311 [林奈]
「大丈夫か?」


「なんで来てくれたの?」


「そりゃあ電話繋がっても林奈訳分からんこと言うし、けどただ事じゃないのが分かって、鹿沼倉庫だけが聞こえたらいきなり切れるし。ツレたくさん呼んで助けに来た」


私は涙が出た。
一気に涙が出てしまったんだ。

⏰:07/05/06 20:56 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#312 [林奈]
ノブヒロのツレ達はジュン達をボコボコにした。
一部始終を見て、私は震えが止まらなかった。


ノブヒロ達に体を支えられて、車に乗り、向かったのはノブヒロの家だった。

⏰:07/05/06 20:59 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#313 [林奈]
玄関で待っててくれたのはノブヒロの奥さんだった。


「大丈夫?とりあえず上がって」


心配そうに私らを上げてくれた。


「何があったんだ?」


ノブヒロの質問に私は全部答えた。

⏰:07/05/06 21:02 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#314 [林奈]
ノブヒロは私らに怒った。


「何をしてんだよ!そんな事になる前に何で俺や警察に相談しんかったんだ?」

「できるわけないじゃん。私今家出してるしノブヒロは奥さんいるんだよ?自分で何とかするしかないやん」


「嫁には前からお前の話をしてた。俺が昔援交してた事も全部話して許してもらった。お前は妹みたいなヤツだからって話したばっかだ。そんな矢先にこんな事があるなんて」

⏰:07/05/06 21:09 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#315 [林奈]
ノブヒロは泣いた。そしてノブヒロの奥さんが言った。


「この人ね、林奈ちゃんには幸せになってほしいって思ってたの。確かに昔の事は腹が立ったけど、今この人を信じようと思ったの。でもあなた達の命だけでも助かってよかった」

奥さんが私らを一人一人抱きしめてきたんだ。

⏰:07/05/06 21:14 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#316 [林奈]
私から電話があった時、様子がおかしいと思い、奥さんも聞いてたそうだ。奥さんが助けに行くよう言ってくれて、ノブヒロはツレをかき集めてくれたそうだ。そしてわかった事は、ノブヒロが元ヤンだという事。
ノブヒロのツレ達はすぐに集まってくれたみたい。

⏰:07/05/06 21:20 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#317 [林奈]
私は本当に感謝した。この人たちがいなかったらと思うと、涙が止まらなかったんだ・・・。


その日はノブヒロの家に泊まり、次の日奥さんのすすめで病院に行った。

⏰:07/05/06 21:22 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#318 [林奈]
三人とも異常はなく、けど一週間後に検査結果を聞きに行くことになった。


ノブヒロの奥さんは、“アヤ”さんと言う。アヤさんとノブヒロは私らが落ち着くまで家にいていいと言ってくれた。

⏰:07/05/06 21:25 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#319 [林奈]
次第にアヤさんとノブヒロの優しさに、心が安らいでいったんだ・・・。
それはトモミもヒロコも一緒だった。


援交をしてる女だから、レイプされたくらい何とも思わないだろう。


普通思うと思う。


けど違うんだ・・。

⏰:07/05/06 21:28 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#320 [林奈]
同意のない関係はやっぱり怖い・・・。

自分の過ちで、トモミとヒロコまでも傷付けて、ノブヒロ達までにも迷惑をかけた。


ほんとに最低なヤツだ・・・。

⏰:07/05/06 21:31 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#321 [林奈]
検査結果を聞きにいき、問題はやっぱりなかった。
でも安心はできない。
またジュンに何かされるんじゃないか。それだけだった。

⏰:07/05/06 21:33 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#322 [林奈]
だいぶ落ち着いた頃、ノブヒロに連れられて、私らを助けてくれた人達にお礼を言いに回った。
みんないい人達で、無事でいる私らに笑顔を見せてくれたんだ。


そして私ら三人は新しいアパートへと移った。


ジュンの逆襲に怯えながら・・・。

⏰:07/05/06 21:36 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#323 [林奈]
トモミとヒロコはあんな目に遭わせた私を責めたりしなかった。
それが逆に辛くて。

二人は何事もなかったかのように笑ってる。それは私に対しても変わらなかったんだ・・・。

⏰:07/05/07 09:49 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#324 [林奈]
あの事がきっかけで、二人は援交をきっぱり辞めた。
それぞれ、新しいまともな仕事に就こうとしてた。


それは私も同じだった・・。

⏰:07/05/07 09:51 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#325 [林奈]
ヒロコはファミレスのバイト。
トモミは服屋のバイト。
私はドラッグストアのバイト。


私ら三人は戸惑いながらも新しい仕事に馴染み始めてた。

⏰:07/05/07 09:54 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#326 [林奈]
ジュンから何の連絡もなく、また平凡な生活が戻ってた。


あの事からもう1ヶ月経とうとしてた。

そしてノブヒロとアヤさんの家にも遊びに行けるようになった。
二人は私ら三人を妹のように可愛がってくれてた。

⏰:07/05/07 10:02 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#327 [林奈]
トモミもヒロコも変わりなく生活し、気付いたらもう私も、18になった。


その間に実家に帰ることは一度もなかった。心配にもならない。


“あんな家は家なんかじゃない”


私はずっと思って過ごしてた。

⏰:07/05/07 10:06 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#328 [林奈]
そんな日々の中、久しぶりに父から電話があった。


初めの言葉は、「元気にしてるか?」ではなく、冷たい言い方。


「話したい事があるから近々家に来なさい」


一方的に電話を切られた。

⏰:07/05/08 07:52 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#329 [林奈]
“今更なに?”


父の素っ気ない言い方に腹が立った。


次の日仕方なく何年振りに実家に戻ってみた。
相変わらず兄はまだ引きこもり。
変わらぬ家の中に、急に安心感を覚えたんだ。

⏰:07/05/09 10:34 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#330 [林奈]
父に会い、私の顔を見て、突然話し出した。


「ひぃばあちゃんが体調悪い。もう98にもなるし医者は時間の問題って言うんだけど、お父さんは仕事でなかなか看病できないからお前に帰ってきてほしい」

初めて私に頭を下げた父。

⏰:07/05/09 10:37 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#331 [のり]
毎日読んでるよ!がんばってぇぇ!

⏰:07/05/09 10:42 📱:N702iD 🆔:☆☆☆


#332 [林奈]
のりさんありがとね!がんばるね!

⏰:07/05/09 13:49 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#333 [林奈]
私は迷った。
今更って思った。祖々母にも可愛がられた記憶はない。


“あんなばぁさんどうなってもいい”


そう思うのに・・。迷う自分がいた。

⏰:07/05/09 13:56 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#334 [林奈]
私はノブヒロに相談した。
ノブヒロの家に行き、アヤさんにも聞いてもらった。


するとノブヒロは私に言う。


「もう帰ったほうがいいんじゃないか?いい機会だし。お父さん、ほんとは淋しいんだと思うぞ」


「淋しいわけないやん。久しぶりに電話してきても、元気か?の一言もないんだよ?」


「お前バカだな。久しぶりだから言えなかったんだよ。お父さんも迷ったんじゃないかな。帰ってやれよ」

⏰:07/05/09 14:01 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#335 [林奈]
私はノブヒロの説得で家に帰ることにしたんだ。


トモミとヒロコは寂しそうにしてくれたけど、ずっと実家にいるつもりはなかった。


実家に戻った時、父は少し笑顔だった。

⏰:07/05/09 14:05 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#336 [林奈]
何年か前まではありえない表情。
しかもよく見たら会わないうちに、痩せて老けた感じがしたんだ。


何かふと、申し訳なく思えた・・。

⏰:07/05/09 14:13 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#337 [あやめ]
頑張れ

⏰:07/05/09 22:05 📱:SH702iS 🆔:☆☆☆


#338 [林奈]
父が言った初めての「ごめん」は何だか切ないけど暖かい気がした。


私は家事全般をすることになった。
昔の自分ではありえない心の変化。


それは“この家にいてもいいかも”っていつしか思うようになってた。

⏰:07/05/09 23:26 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#339 [林奈]
家にいる間、兄と話す時間も増えてく。たわいもないテレビの話やご飯のメニュー。
兄はいつしか笑うようにもなった。


それは些細な事で、私が小さなミスをしたりするってだけの理由。

⏰:07/05/09 23:29 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#340 [林奈]
実家に戻り1ヶ月経った頃、祖々母の様子がおかしくなった。ご飯なんてあんまり口にしなかったのに、昔好きだったお肉が食べたいと言い出したんだ。

⏰:07/05/09 23:31 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#341 [林奈]
テレビで見たことがある。
亡くなる前、人はそれを分かってるから好きなモノを最後に口にしたいと言うらしい。


“もしかして”


私はそう思った。しきりにお肉が食べたいと言う祖々母に、私は脂気の少ないお肉を食べさせた。

⏰:07/05/09 23:33 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#342 [林奈]
あやめさん、いつも応援ありがとうメ
また少し書いてくね

⏰:07/05/09 23:37 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#343 [林奈]
「おいしい、おいしい」
と言いながら目に涙を溜める祖々母。
私に対して嫌がらせや嫌みを言ってた時の面影はなく、ほんとにほんとに優しい表情をしてた。


食べて終わり、片付けに行こうとした私の手を、祖々母が握ってきた。

⏰:07/05/09 23:40 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#344 [林奈]
「どうしたの?」
驚く私に祖々母は言った。


「あんたには色々苦労させたね。今さらだけどね、あんたの事は可愛くて仕方なかったんだ。こんなカサカサな手にさせちゃってごめんね」

初めて聞いた優しい言葉。
大粒の涙を流しながら言った祖々母。


胸が締め付けられてた。

⏰:07/05/09 23:44 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#345 [繭]
今までの読みました…

ほんまに感動する…

ほんまの小説にしたらいいのに…

小さい事で悩んでる自分がバカみたいで恥ずかしくなりました…


これからも書き続けて下さい★
最後まで読みます☆

⏰:07/05/10 01:06 📱:P902i 🆔:☆☆☆


#346 [林奈]
》345さん、名前の漢字が難しくて読めないのごめんなさいmmありがとう!本にするつもりはないです。ただこんな生き方もあるって伝えたいだけで・・。最後まで頑張るね☆

⏰:07/05/10 01:10 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#347 [林奈]
後片付けをしていた時、祖々母の言葉が蘇る。


気付いたら私も泣いてた・・。


頑固で融通がきかない人が、泣いてた。

私も大粒の涙が溢れて止まらなかった。

⏰:07/05/10 01:13 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#348 [林奈]
祖々母はその二日後、息を引き取った。眠るように、優しい顔をして・・・。


葬儀の日、私は後悔してた。


“何でもっと大事にしてあげられなかったんだろう”


厳しさの裏にあった優しさに、私は気付きもしなかった。

⏰:07/05/10 01:17 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#349 [林奈]
幼すぎた自分。
私がもっと大人ならよかった・・・。


祖々母の部屋の机から見つかった写真と手紙・・・。


そこには赤ちゃんの頃の私が祖々母に抱かれてる姿が写ってたんだ・・。

⏰:07/05/10 01:19 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#350 [林奈]
写真と一緒にあった手紙を読んだ。


「林奈、今あんたは幸せかい?ちゃんと笑ってるかい?手紙を読んだってことはもうわしはいないんだろうけど、あんたは大事な大事な子やからな。血のつながりなど関係ない。お父さんにちゃんと甘えなさい」


日付が私が出ていった時だった。

⏰:07/05/10 01:24 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#351 [林奈]
私はただただ涙が止まらなかった。


不器用すぎる家族がいて、私は初めて家族への感謝の気持ちが込み上げてきたんだ・・・。


“気付くのが遅すぎたね・・・”


祖々母との事がきっかけで私は生まれ変わろうと思った。

⏰:07/05/10 01:27 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#352 [林奈]
葬儀から何日かして、久しぶりにトモミとヒロコに会った。

二人とも変わらない感じ。でも援交はもうやってないって自信満々に言ってた。

そして私も祖々母の事を話したら二人は優しい顔をしてた。

⏰:07/05/10 01:40 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#353 [林奈]
「林奈はもう大丈夫だよ。ちゃんと前を向いてける。こんなうちらが言うのもなんだけど、幸せにならなきゃね」


トモミの言葉が胸を締め付けた。


“汚れた過去と向き合うのは今しかないんだ”


私は強くそう思ったんだ。

⏰:07/05/10 01:44 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#354 [林奈]
私は家族との間にできてた溝を埋めようと努力した。


父と兄と祖父。


笑顔で話しかける私に、父も祖父も最初は戸惑ってた。
私はどんな時も冷静に歩み寄ることで、必ず分かり合えると思ったから。


一週間もしたら、家族が一緒に過ごす時間が増えてたんだ。

⏰:07/05/10 02:33 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#355 [林奈]
自分の部屋に引きこもりだった兄が、居間で寝るようにもなった。
家でご飯を食べる事があまりなかった父が、夕飯を楽しみに早く帰ってきてくれるようにもなった。いつもムスッとした顔して、自分からは話してくれなかった祖父が、喫茶店に誘ってくれるようになった。

⏰:07/05/10 02:37 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#356 [林奈]
それぞれ、何かを変えたくて努力してる。私は素直に嬉しかった・・。


食卓を囲んで笑い合うことなんて、絶対ないって思い込んでた分、ものすごい嬉しかったんだ。

⏰:07/05/10 02:40 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#357 [林奈]
私は信じた。


“もう一度家族を取り戻せる”


って・・・。


そして変わらない日が続き、大きな変化が訪れたんだ。

⏰:07/05/10 02:41 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#358 [林奈]
それは兄の進歩。


今まで引きこもりで何がしたいのかイマイチ分からなかったのに、兄は急に言ってきた。


「俺、調理師になりたい」


兄の突然の告白に、私も父も祖父も開いた口が閉じなかった。

⏰:07/05/10 02:44 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#359 [林奈]
「調理師?」


私は思わず聞いた。

「うん。俺前からちょくちょく料理はしてて、本気でやりたいと思ったんだ」


兄のまっすぐな目は真剣だった。

⏰:07/05/10 04:49 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#360 [林奈]
私も父も祖父も驚いたけど、兄が何かをやりたいなんて初めてだから、すごい嬉しくなった。


その日の夜中、目が覚めた私は台所に水を飲みに行った。
すると、家では普段飲まない父が、酒を飲んでた。

⏰:07/05/10 04:51 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#361 [繭]
まゆって読むよ(≧▽≦)

また更新されてて読みいったヾ(≧∇≦)〃

⏰:07/05/10 05:22 📱:P902i 🆔:☆☆☆


#362 [林奈]
まゆさんって言うんだね(^-^)/ありがとう!

⏰:07/05/11 07:27 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#363 [林奈]
父の背中が震えてたんだ。
近付いて父の顔を見たら泣いてた。


「お父さん?」


「起こしたか?ごめん」


「ううん。泣いてるの?」


「なんかあいつが自分から何かやりたいなんて初めてだから嬉しくてさ」


くしゃくしゃな顔して泣いてた。

⏰:07/05/11 07:32 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#364 [林奈]
「お父さん、鼻水垂れてるよ」


私は父のそんな姿が嬉しくてつい言ってしまった嫌み。
けど父は笑ってくれた。


私は今まで母に虐待され、別の父の存在、そして家族に見離され、家を出て、ろくでもない生き方してきた。


父の泣き顔を見たら後悔が心を埋めてしまってた。

⏰:07/05/11 07:40 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#365 [林奈]
「お父さんごめん」

「何でお前が謝るんだ?」


「だってこんな娘だからさ」


「何言ってるんだよ。お前は可愛い娘だわ」


照れくさそうに言う父の顔は、『本当の父』だった・・。

⏰:07/05/11 07:50 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#366 [林奈]
私が泣きそうになった。
父から聞いた本音。やっと“親子”になれた気がしたんだ。

そして父は私に聞いた。


「林奈は俺を恨んでないのか?」


「もう恨んでないから」

⏰:07/05/11 07:54 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#367 [林奈]
「ほんとにか?」


「確かに最近までは恨んでたよ。お母さんに殴られても助けてくれなかった。本当の父親がいるって分かった時も、優しい言葉が欲しかった。けどひぃばぁちゃんの事があって、分かったんだ。お父さんは私を必要としてくれてるんだって」

⏰:07/05/11 07:58 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#368 [林奈]
「少しずつお父さんの一面がいっぱい見れるようになって、恨めないよ」


「ごめんな」


「いいよもう」


「お母さんの事は恨んでるんだろ?」


父の率直な質問に、どう答えればいいか分からなかった。

⏰:07/05/11 08:01 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#369 [林奈]
「正直今も恨んでる。どんな理由にしろお父さん裏切ったし、私にも母親らしい事してくれなかった。あの人が謝ったとしても私は許さないよ」


「そうか」


また少し悲しい顔をした父。
けど自分の気持ちに嘘はない。


“一生許さない”


私は改めて思った。

⏰:07/05/11 08:42 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#370 [林奈]
父とのやり取りから一週間くらいしてから、兄が出かけると言った。
もう何年も外を出歩かなかった兄が、家を出てく姿は、何か凛とした姿だった。

調理専門学校の説明会らしい。
目がキラキラしてたんだ。

⏰:07/05/11 08:47 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#371 [林奈]
帰ってきて、夕飯の支度をしている私に駆け寄ってきた。


「なぁなぁ俺やっぱり調理師やるわ。親父に頼んでみる」


「そっかぁ。頑張りなよ?」


「おう!ありがとな。てかごめんな。俺が引きこもりの時、お前に辛い思いさせてたんだよな。ずっと謝らなきゃって思ってた」


兄の素直な気持ち。それだけで十分だって思った。

⏰:07/05/11 08:51 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#372 [林奈]
「もういいよ。お兄ちゃんが悪いわけじゃないし。それより調理師に頑張ってなってよ」


「頑張るよ」


嬉しそうに笑った兄の背中が大きく見えた。
そして同時に願ったんだ。


“今度こそは”ってね・・・。

⏰:07/05/11 08:56 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#373 [林奈]
夕飯の時に、兄は父に頼んでた。すると父は何も言わずうなずいてた。


男と男の会話なんだろう。


祖父は兄に学校のお金を出すと言った。けど兄は断っていた。

⏰:07/05/11 08:58 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#374 [林奈]
今まで迷惑かけた分、来年入るまでバイトしてお金貯めて自分で行くと言ってた。
そんな兄を見て、祖父は後から一人で言ってたな。


「頑張れよ」

って・・。

⏰:07/05/11 09:01 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#375 [林奈]
兄はすぐバイトを見つけて夢に向かって歩き始めた。


けど私は?・・・。

私にはやりたい事なんてない。
トモミやヒロコは今の仕事を好きだと言ってるのに、私にはなかった。

⏰:07/05/11 09:04 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#376 [林奈]
私はほんとに久しぶりにサオリと連絡を取ってみた。時々メールをするだけで会うことをためらってた。


サオリやマサとは生きてた世界が違ってたから、私とはもう話が合わないと思ってた。

⏰:07/05/11 09:08 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#377 [林奈]
会った時、サオリはキレイになってた。当たり前だけど、前のようなチャラチャラした感じはもうなくて、すごく落ち着いてた。


いっぱい話した。サオリの恋、今の仕事、マサの事、そして私の汚い過去も。

⏰:07/05/11 09:14 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#378 [林奈]
サオリは今、介護の仕事をしてた。お母さんの影響みたい。マサはバイクの専門店で働いていて、彼女と来年結婚すると言っているらしい。

そして私の過去の話を全部した。引くかもしれない。そう思ったけど、サオリなら分かってくれると思ったから。

⏰:07/05/11 09:17 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#379 [林奈]
サオリは泣いた。


「辛かったね」って言いながら泣いた。

そして私の目を見て言ったこと。


「林奈も介護の仕事してみたら?きっと何かを得られる。そんな辛い思いしたなら、他の人にも優しくできるよ」


私は驚いた。


“自分が介護?”

⏰:07/05/11 09:21 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#380 [林奈]
祖々母の世話はしてたけど、でも他人だと・・・。


正直、介護の仕事はえらいだけだと思ってた。他人の汚物に触ったり、私にはありえないと思った。

けどサオリはそんな仕事を“楽しい”って話してた。

⏰:07/05/11 09:24 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#381 [か]
>>1-200
>>201-380

⏰:07/05/11 19:35 📱:N902iX 🆔:☆☆☆


#382 [林奈]
悩んだ。でも自分にはできないって最終的に思った。
だから私は違う仕事を見つけようとした。もちろん援交なんかではなく、普通の仕事を・・・。

⏰:07/05/11 22:10 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#383 [林奈]
その事を父に相談してみた。
そしたら父は知り合いの和食屋のバイトを紹介してくれた。

“とりあえずやってみよう”


私は気軽に始めてみた。

⏰:07/05/11 22:17 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#384 [繭]
頑張って書いてなぁ

自分のペースで

⏰:07/05/11 22:42 📱:P902i 🆔:☆☆☆


#385 []
頑張ってねえ

ちゃんと読んでますょ

⏰:07/05/12 07:58 📱:N903i 🆔:☆☆☆


#386 [林奈]
まゆさん、さんありがとうメまた少し更新します

⏰:07/05/12 10:06 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#387 [林奈]
父の昔からの知り合いと言う、亭主の、“ヨシオさん”と肝っ玉って感じの奥さんの“サトミさん”が、二人で切り盛りしてるお店。
若い学生さんや、サラリーマン達がよく通うお店らしい。


バイト初日、私は二人に挨拶した。

⏰:07/05/12 10:11 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#388 [林奈]
「初めまして。父から紹介されて来ました、林奈です。今日からよろしくお願いします」


「林奈ちゃん初めてじゃないんだよ?まだ小さい頃よく来てくれてたんだよ。覚えてないよね?」


サトミさんが昔の話をしてきたけど、全く覚えてない。


「すいません。覚えてないです」


「そりゃそうだわ」

二人は大笑い。
すごく温かい感じがした。

⏰:07/05/12 10:15 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#389 [林奈]
くしゃくしゃな笑い顔。
すごい温かい二人に安心した。


仕事を色々覚えて勤務時間は11時から17時まで。休憩にまかないをくれて、私は仕事が楽しかった。

⏰:07/05/12 10:28 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#390 [林奈]
そんな生活の中、私が出会った人。
サトミさん達の親戚の子どもの、ストリートミュージシャンの“ユウくん”当時は23歳だった。


よく家に遊びに来るうちに私と仲良くなった。

⏰:07/05/12 10:36 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#391 [林奈]
私が休憩してる時に色々歌ったりしてくれた。
気さくな感じで私はだんだん惹かれ始めた。


ユウくんと私は自然に付き合いだし、幸せだった。

⏰:07/05/12 10:39 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#392 [林奈]
バイトをしながら、東京への上京を夢見るユウくんに、一生付いていきたいって思ったんだ。
それくらい真剣だった・・。


ユウくんとの付き合いにいい気をしない父。


20歳直前、私とユウくんはある決意をしたんだ。

⏰:07/05/12 10:41 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#393 [林奈]
まだまだ幼い私は、この人ならって思った。


ユウくんから出た突然のプロポーズ。


「結婚しよか」


私はめちゃくちゃ嬉しかった。

⏰:07/05/12 10:43 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#394 [林奈]
二人で働けば何とかなるって思った。


社会をまともに知らない、たったハタチのヤツが何ができるんだ。


今ならそう言えるのに・・・。


あの頃は目先の事にいっぱいいっぱいだった。

⏰:07/05/12 11:14 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#395 [林奈]
ユウくんは父に挨拶をしたいと言い、家に来た。


ユウくんと付き合ってる事はもう何年も前から父は知ってた。


「娘さんと結婚させてください」


真剣なユウくんに父は答えた。

⏰:07/05/12 11:17 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#396 [林奈]
「結婚させるわけにはいかない」


冷静な父の返事。


「お父さん何でダメなの?私達真剣なんだよ?」


「真剣だからいかんのだわ。ストリートミュージシャンがいけないとは思わない。けど将来性があると思ってるのか?子どもが生まれたらどうする?やってけるって言い切るお前たちはまだ甘い」


私はそんな父に腹が立った。

⏰:07/05/12 11:22 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#397 [繭]
また読ませて頂きました

更新されてて嬉しかった

⏰:07/05/12 13:04 📱:P902i 🆔:☆☆☆


#398 [林奈]
「お父さんには関係ない!言わなきゃよかった!お父さん本当は私の事可愛くないから言うんでしょ?どうせ血なんて繋がってないんだし」

私はカッとなって言ってしまったんだ。

父のものすごい悲しい顔が今も目に焼き付いてる。

⏰:07/05/12 15:24 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#399 [林奈]
我に返った時は遅かった。
父は部屋を出て行ってしまったんだ。


「ごめん」の一言が言えなかった・・。

父を傷付ける言葉。私を愛してくれてるのを分かってるのに・・・。


こんな時に血の繋がりを出す私は卑怯者・・。

⏰:07/05/12 15:27 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#400 [林奈]
すごい後悔した。


結局父の反対で結婚は見送られた。


その数日後に分かったことがある。
ユウくんは借金をしてた。それが原因で別れた。


父とあれから話をしない毎日。お互いに顔を合わせないようにしてた。

⏰:07/05/12 15:30 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#401 [林奈]
私と父の姿を見かねた祖父と兄が、私をご飯に誘ってくれた。

外での食事は久しぶり。たわいのない話から、父の話を祖父がしだした。

⏰:07/05/12 15:33 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#402 [林奈]
「林奈が家を出た時な、お父さん泣いたんだぞ。自分のせいだからって。それに電話の前でお前にかけるかどうか迷ってた。お前の親父はそういうやつなんだよ。もう分かってるよな?お前にとってあいつがどれだけ大事な親かってこと」



私は知らない父の姿を知って、嬉しい反面申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

⏰:07/05/12 15:41 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#403 [林奈]
「謝ったほうがいいんじゃないのか?」
兄もまた言う。


私は次の日、居間にいた父に久しぶりに声をかけた。


「お父さん、この前はごめん。あれ本心じゃないからね」


「分かってる。お父さんも悪かった」


久しぶりに笑顔が戻った。

⏰:07/05/13 07:48 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#404 [林奈]
この時誓ったんだ。

“お父さんを傷付けることはしないよ”って・・・。


そして私はユウくんの借金が原因で別れた事を話した。
父は安心した顔して言った。


「そうか。お前が好きになったやつを悪くは言わない。けどきちんと見極める目も大事だからな」


父らしい精一杯の慰めなんだと思う。

⏰:07/05/13 07:54 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#405 [我輩は匿名である]
林奈さん、この小説読みながら泣いてます(:_;)今までこの掲示板に書き込みした事とかないんですが、どうしても伝えたくて…これからも読み続けたいので、更新して下さいね(>_<)

応援してますo(><)o

⏰:07/05/13 14:57 📱:SH901iC 🆔:☆☆☆


#406 [林奈]
我輩さん、ありがとう!これからも頑張るからね☆

⏰:07/05/13 18:33 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#407 [林奈]
「わかった」


この一言で父は笑った。


もう一度とやりたいことを探したくて、サオリに電話した。

⏰:07/05/13 20:36 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#408 [林奈]
ユウくんとのことは時々サオリに話してたから、サオリは私の話を真剣に聞いてくれた。


そして私は聞いた。

「サオリの仕事は大変?」


「大変だけど楽しいよ。スタッフもいい人ばっかだし。急にどうした?」


「ん、何かさ何年か前にサオリに言われたことを思い出してさ」

⏰:07/05/13 20:40 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#409 [林奈]
「そっか。やる気になった?」


「う―ん。私にできるかな?」


「できるできないじゃなくて、やってみたいって思う気持ちが本気なら大丈夫じゃない?その代わり、中途半端な気持ちでできる仕事じゃないからね?」


サオリの言葉がガツンと来たんだ・・。

⏰:07/05/13 20:43 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#410 [林奈]
今まで全て中途半端だった私。
今更何ができるのかなんて分からない。でも・・・。


今度こそ何か見つかると思ったんだ。

⏰:07/05/13 20:46 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#411 [林奈]
もう二十歳になる。大人になるために、私はまた歩き出したんだ。


サオリの会社に誘われたけど、コネとかなんて嫌だから、違う会社に面接に行った。

⏰:07/05/13 20:49 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#412 [林奈]
そこはわりと大きな施設。求人募集のチラシを見た。


全く経験も資格もない私を雇ってくれるか心配だった。
事務長は、私の年齢の若さを見て、採用してくれた。

⏰:07/05/14 09:14 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#413 [林奈]
家に帰り、父達に報告。
大変そうな仕事を本当にできるのか心配したけど、最後は、「頑張れ」って言ってくれた。


私にもう迷いはない。やる以上、どんなことがあっても頑張ろうと思ったんだ。

⏰:07/05/14 09:19 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#414 [林奈]
一週間後、私は初出勤した。
心臓バクバクの中、ミィーティング前のあいさつ。


「島田林奈です。全く経験がありませんが、頑張るのでお願いします」


拍手で迎えられた。スタッフさん達は笑顔だった。


ミィーティングの後、一人一人紹介され、私に専属で教えてくれるという佐々木さん。

⏰:07/05/14 13:10 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#415 [林奈]
佐々木さんは、主任をしていて、小柄な人。緊張している私に笑顔で接してくれた。
私は安心した。


午前は、トイレ誘導、10時のコーヒータイム、シーツ交換、バイタルの記入。午後は、入浴する人のお風呂の準備に、ナースさんと処置がある方の情報交換、その他にもいっぱいあった・・・。


他のスタッフさんとまともに会話することなく終わった初日は、クタクタだったんだ。

⏰:07/05/14 13:15 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#416 [林奈]
1日終わって、着替えてる時、佐々木さんは私に聞いてきてくれた。


「どうだった?」


「いっぱいやることあって大変ですね」

「最初は大変だよね。でも島田さん元気いいから大丈夫だと思うよ。ゆっくり覚えてけばいいから」

優しい言葉。
“佐々木さんの下でなら頑張れる”
そう思った。

⏰:07/05/14 13:18 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#417 [林奈]
しばらく一週間は、日勤の仕事。私も段々余裕ができて、入所者の方達の名前や顔も覚えれた。
お昼になれば、スタッフさん達と会話するようにもなった。みんな優しい人ばっかで、緊張ばかりしていた私を、和ませてくれたんだ。

⏰:07/05/14 13:39 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#418 [林奈]
色んな仕事を覚えるうちに、段々楽しくなって、仕事に行くのがほんとに嬉しくなっていった。


お年寄りと話すのも嫌じゃなくて、何か落ち着く。
そんな私を、佐々木さんはご飯に誘ってくれた。

⏰:07/05/14 14:04 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#419 [林奈]
たわいもない話や佐々木さんの彼氏の話、私が介護職をしようと思った理由。


佐々木さんはお姉さんって感じで、職場でも親しまれてて、頼りにされてる。


すごく尊敬できる人だ。

⏰:07/05/14 14:22 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#420 [林奈]
佐々木さんのおかげで、怖いイメージしかなかった人と打ち解けたり、ほんとにお世話になりっぱなしだった。


順調に半年が過ぎ、トモミやヒロコと会う時間が減ったけど、お互いの変化を電話やメールで報告しあってた・・。

⏰:07/05/14 23:30 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#421 [林奈]
父も兄も祖父も、なんら変わりない生活。けど、私にとって大切な人との出会い・・。


運命なんて醜いモノだと思ってた。


もう恋なんてしない・・。
そう思ってた私に訪れた変化。

⏰:07/05/14 23:34 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#422 [林奈]
佐々木さんにまたご飯に誘われた。今度は二人じゃなくて他にもいる。
佐々木さんの彼氏とその後輩らしい。
何の期待もしずに行った飲み会。


私はこの飲み会で、本当の“運命”を知る。

⏰:07/05/15 01:46 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#423 [林奈]
佐々木さんは私を二人に紹介してくれた。佐々木さんの彼氏は、“コウジくん”佐々木さんの二つ上の、32歳。そしてコウジくんの後輩。“アキヤ”。
私のいっこ上の21歳。


コウジくんは真面目そうな人。アキヤは明らかに元ヤンって感じがした。

⏰:07/05/15 01:51 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#424 [林奈]
コウジくんは私にも気を使いながら話かけてくれてた。なのにアキヤは、無愛想で、あいさつ以外、ほとんど会話なんてしなかった。

⏰:07/05/15 01:54 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#425 [林奈]
二時間飲んで、私と佐々木さんは電車で帰った。


電車を降りて、佐々木さんと別れたあとすぐに、佐々木さんが叫びながら戻ってきたんだ。


「島田さん!ちょっといい?」


「え?」


私は不思議に思ったんだ。

⏰:07/05/15 01:57 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#426 [林奈]
「あのね、アキヤくんが島田さんとまた会いたいって!」


「え?なんで?」


「気に入ったらしいよ」


「え?でもろくに話してないし」


「あの子いつもそうなんだ。メールとかでもいいからさ」

⏰:07/05/15 02:00 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#427 [林奈]
迷った。
気軽な気持ちでいいのかもしれない。
けど、ユウくんとの事があってから、男の子とまともに付き合う自信がなかったんだ・・・。

⏰:07/05/15 02:02 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#428 [林奈]
佐々木さんに押されて結局教えた。


次の日も次の日も、待ってもアキヤからのメールは来なかった。


“何あの人!”


私は腹が立ってた。

⏰:07/05/15 02:08 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#429 [林奈]
そして一週間くらい経ってから来たメール。


《久しぶりです。島田さんにどんなメールを送るか迷ってたら、こんなにも経ってました。ごめんなさい》


不器用ながらも、絵文字も顔文字もないメール。
あまりの素っ気なさに笑えた。

⏰:07/05/15 02:11 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#430 [林奈]
その日から、アキヤとのメールのやり取りが始まった。
些細な毎日の出来事や、お互いの趣味。久しぶりに味わう感覚だった・・。


そしてアキヤから誘われた映画。


ドキドキでアキヤの迎えを待ってた。

⏰:07/05/15 02:16 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#431 [林奈]
車に乗り、私は笑顔であいさつしてるのに、無愛想のアキヤ。
私も自然に会話しにくかった。


お互い無言のまま映画館に着いた。


“何かつまんない”

映画を見る前からそんな事を思った私。

⏰:07/05/16 09:54 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#432 [林奈]
当時流行ってた、感動する映画を見ようって決めた私達。
エスカレーターに乗ろうとした時、私が足を踏み外した。
その時、アキヤが私の体を支えてくれたんだ・・。


とっさの行動。


「大丈夫?ケガしてない?」


心配そうに聞いてきた。

⏰:07/05/16 10:13 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#433 [林奈]
「大丈夫。ごめんね、ありがと」


「よかった」


笑顔になったアキヤに、私はドキッとした。

⏰:07/05/16 10:15 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#434 [林奈]
さり気ない優しさ。

“男らしい人だな”

私はアキヤの隣で一人ドキドキしてしまった。

⏰:07/05/16 10:17 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#435 [林奈]
映画を見て、私は号泣。
明かりが付いた時、アキヤも泣いてた。

目が合った時、私とアキヤは爆笑。


「マスカラ落ちてるよ」


「アキヤくんこそ鼻水垂れてるよ」


「男が泣くなんて恥ずかしいな?」


照れくさそうに笑うアキヤ。


「いいじゃん。我慢してるよりいいよ」

私はアキヤに言った。

⏰:07/05/16 10:22 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#436 [林奈]
アキヤは車に乗ってから一言つぶやいた。


「大好きな人が死ぬって辛すぎるよな」

アキヤの何気ない一言で私は確信した。

“私この人の事きっと好きになる”


アキヤは見た目と違って、純粋な人だった。

⏰:07/05/16 10:25 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#437 [林奈]
ご飯を食べてる時、最初とは違った雰囲気で話せた。
無愛想だと思ってた人が、笑顔になってる姿が、こんなに嬉しいもんなんだ。
私は、何か不思議な気持ちになってたんだ・・。

⏰:07/05/16 10:28 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#438 [林奈]
家に送ってもらって、部屋に帰ってから、急に寂しくなる。

“なんだろう?”


私はこの時もうアキヤを、大切な人だと分かってたんだと思う。

⏰:07/05/16 10:30 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#439 [林奈]
寂しい気持ちと一緒に蘇る記憶・・・。

前田くん、ジュン、ユウくん。


私の過去は汚い。
こんな簡単に好きになっていいの?


私は戸惑ってた。

⏰:07/05/16 10:33 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#440 [林奈]
映画を見に行ってから、私とアキヤの仲は深まった。
メールだけじゃなくて、電話。
次第に夜中に会ったり。


私の不規則な勤務に、心配して栄養ドリンクを持ってきてくれたり・・・。


段々大きくなる気持ち。

⏰:07/05/16 10:37 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#441 [林奈]
どうすればいいか分からなくなってた。

優しいアキヤに、私なんてふさわしくない。
私はそう思うようになってた。

⏰:07/05/16 10:39 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#442 [林奈]
私は自分の過去を本気で憎んだ。


“罰が当たった”


私はそう思う事が多くなり、アキヤを避けるようになってしまった。


メールや電話もシカト。
最低だと思いながらも、アキヤにはもっと他の人がいる。
私はアキヤを、傷つけようとしてたんだ・・。

⏰:07/05/16 10:42 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#443 [林奈]
そんな日を一週間続けてた時、アキヤが家に来た。


「林奈さんいますか?」


父に聞いてる声が聞こえた。


私はハッキリ伝えなきゃいけない。
そう思った。

⏰:07/05/16 10:45 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#444 [林奈]
家の前で私とアキヤは話した。


「俺何かした?」


「何も。ただ忙しいから」


「それだけ?」


アキヤを目の前にして伝えたい言葉が出てこなかった。

⏰:07/05/16 13:07 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#445 [林奈]
「気になる人できたし、アキヤのメールとかウザいんだ」


アキヤが下を向いた。


「わかった。もうメールも電話もしない。今までありがと」

怒りもしないで車に乗って帰った。


アキヤの悲しい顔。ウザいなんて言いたくなかった・・・。

⏰:07/05/16 13:12 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#446 [林奈]
一瞬のうちに後悔した。


“何であんな事言ったんだろう”


アキヤを傷付けた。私最低じゃん。


溢れ出た涙・・・。

⏰:07/05/16 13:15 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#447 [林奈]
その場で泣き崩れてた・・・。


“ごめん、ほんとにごめんね”


もっと他の言い方あったと思うのに。


心の中で何回謝っただろう・・。

⏰:07/05/16 13:26 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#448 [林奈]
私はとっさに電話してた。


ノブヒロに叱ってもらいたくて・・。


「林奈?どうしたんだ?」


「私最低な事しちゃった」


「何があった?」


ノブヒロはすぐに来てくれたんだ。

⏰:07/05/16 13:29 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#449 [林奈]
ノブヒロの家に行った。
アヤさんも私に駆け寄ってきた。


「何があった?」


私はアキヤの事を全部話した。
今の気持ちも、アキヤを傷付けてしまった後悔も・・。

⏰:07/05/16 13:35 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#450 [林奈]
アヤさんは私を抱き締めてくれた。


そしてノブヒロは私に言った。


「林奈、お前間違ってるぞ。好きなら何でぶつからない?彼も林奈が好きなんじゃないか?」


「私なんてアキヤにふさわしくないよ」

「ふさわしいか何て、彼が決める事だ」

私は涙が止まらなかった。

⏰:07/05/16 13:43 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#451 [林奈]
そんな私にノブヒロはまた言った。


「林奈、確かに過去は消えない。けどお前が自分から逃げてどうする?
“誰にでも幸せになる権利がある”
幸せになれよ」


ノブヒロの言葉。
一生忘れることはできないだろう。

⏰:07/05/16 13:57 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#452 [林奈]
優しくて厳しさもあるノブヒロの気持ちは、私を動かした。

次の日、アキヤに電話した。


「話があるんだ。駅で待ってる」


留守電に入れた。
聞いてくれたかわからない。
身勝手な私を許してくれるかも分からない。


けど傷付けた事だけでも謝りたかった。

⏰:07/05/16 14:00 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#453 [林奈]
駅で待ってどれくらい経っただろう。
気付いたら夜になって雨が降り出した。

私はそれでも信じた。アキヤは来てくれる。


そう思って待った。

⏰:07/05/16 14:47 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#454 [林奈]
そしたら、私に駆け寄るアキヤの姿が目に入った。


「林奈、ごめん」


雨の中私を抱きしめた。
その瞬間、涙が出て止まらなかった。

⏰:07/05/16 14:52 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#455 [林奈]
「ごめんね」


それしか言葉が出ない。


そんな私を支えながら車に乗せてくれたアキヤ。


私の体をタオルで必死に拭いてくれる。アキヤの優しい優しい姿が、たまらなく痛かった。

⏰:07/05/16 14:59 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#456 [林奈]
「ごめんな。雨の中待たせて」


「ううん。来てくれただけで嬉しい。ほんとにありがとう」


私の頭をなでてくれる。
アキヤの温もり。
アキヤの優しさ。


また涙が出る。

⏰:07/05/16 15:04 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#457 [林奈]
「謝りたかった。傷付けたこと。嘘ついたこと。ほんとにごめんなさい」


「いいよ。でもよかった嘘で。俺、林奈の事好きだから」


アキヤは照れてた。けど優しい顔。


「私も大好き。でも私にはふさわしくないんだ」


「どういう事?」

⏰:07/05/16 15:20 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#458 [林奈]
私は迷った。
汚い過去を知ったら、きっとアキヤは悩む。


それでもアキヤに知ってもらった方がいい。大切な人だから、分かっててほしい。

⏰:07/05/16 15:27 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#459 [林奈]
私は過去全て話した。今にも耳をふさぎそうな顔で、全部聞いてくれた。


“きっと嫌いになるんだろうな”


私は思った。

⏰:07/05/16 15:30 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#460 [林奈]
「話してくれてありがと。俺は林奈の過去を責めるつもりもない。いっぱい辛い思いしたんだね。俺がこれから受け止めるから」


「いいの?こんな私でも」


「過去は過去。俺は今の林奈を好きになった。おじいちゃんやおばあちゃんが大好きな、林奈を好きになったんだから」

アキヤはやっぱり優しい。


アキヤとの恋愛が始まった。

⏰:07/05/16 16:09 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#461 [恋愛中毒]
初めまして(。・_・。)ノ
最初から読ませてもらいました(T^T)
環境とかゎ違いますが心境が似てたので共感しながら読んでます(ノ_・。)
頑張って最後まで書いて下さい☆応援してます!

⏰:07/05/18 01:46 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#462 [林奈]
恋愛中毒さん、ありがとう☆ぜひ最後まで読んでください。

⏰:07/05/18 08:24 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#463 [林奈]
仕事も恋愛も順調だった。
「アキヤを連れてこい」と父は、アキヤを食事に誘った。


父はアキヤを息子のように可愛がってくれ、兄や祖父も、私とアキヤの恋愛を支えてくれた。


半年の間に、ノブヒロに起こっていたことに気付きもしなかった・・。

⏰:07/05/18 08:30 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#464 [林奈]
ノブヒロと会う時間がなく、アキヤとの事以来会えずにいたんだ。


そして私や周りにいる人に、大きな影響をもたらした事件。

一生忘れられない、大切な大切な事件。

⏰:07/05/18 08:35 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#465 [林奈]
仕事中、突然私に来た電話・・。


「お電話変わりました。島田です」


「林奈か?お父さんだ。トモミちゃんから今電話があった。お前の知り合いの、ノブヒロって人が亡くなったそうだ。トモミちゃんが帰ってきてほしいって言ってたけど」



「え?意味分かんない。すぐには帰れない。もうすぐ帰るから」


頭が真っ白になった。

⏰:07/05/18 08:42 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#466 [林奈]
仕事も手につかない。けど、仕事を放棄するわけにはいかない。


夜勤が終わり、私はすぐにトモミに電話した。

⏰:07/05/18 08:45 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#467 [林奈]
「トモミ?どういうこと?」


「落ち着いて聞いてね。ノブヒロさんが自殺したの」


「意味分かんないよ。信じられない」


「うちも信じれないよ!でもアヤさんから電話があったから・・・」



“自殺?”“ノブヒロが死んだ?”


ほんとにほんとに意味が分からなかった

⏰:07/05/18 08:54 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#468 [林奈]
どうやって家に帰ったかも分からない。気付いたら家の前にいた。


玄関でボーっと立つ私を、父は家に入れてくれた事だけ覚えてる・・・。



「大丈夫か?」


あの時の私は、「信じない」だけを繰り返してたそうだ。

⏰:07/05/18 09:47 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#469 [林奈]
父はどこかに電話をしてた。


30分くらいしてからトモミとヒロコが家まで来てくれた。

「林奈!」


私を呼ぶヒロコの声は震えてた。


私は二人を見た時、言葉も出ず、ただただ涙しか出なかった。


“嘘であってほしい”

⏰:07/05/18 10:05 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#470 [林奈]
「アヤさん、今は立て込んでると思うから夜に電話するからね?それまで少し林奈は寝てなよ」


トモミとヒロコは私が眠るまでずっと手を握ってくれてた。

夢を見たかどうかも分からないほど、私は夜まで寝てしまってた・・・。

⏰:07/05/18 10:08 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#471 [林奈]
「まるで息が止まってるかのように眠ってたよ」


この前会った時、ヒロコが言ってた。


私が起きてから、トモミがアヤさんに電話してた。

⏰:07/05/18 10:11 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#472 [林奈]
「林奈、お通夜は明日の19時からで、葬儀はあさっての、11時からだから」

冷静に話すトモミに腹が立った。


「何でそんなに普通でいられるの?私にはそんな風にはできない」

⏰:07/05/18 10:26 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#473 [林奈]
「アホ!うちだって辛いわ!今もノブさんが亡くなった事は信じられんわ!でも一番辛いんは、アヤさんやろ?うちらじゃない!」


トモミが泣きながら話す姿は必死だった・・。


私達はノブヒロが何で自殺しなきゃいけなかったのか、さっぱり分からなかった。

⏰:07/05/18 10:32 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#474 [林奈]
その日、父は私達にノブヒロとの関係を聞かれた。


父には知られたくない事もある。
けど全部を話した時、父は泣いた。


複雑な思いだったんだと思う。だから何も言わなかった。

⏰:07/05/18 10:36 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#475 [林奈]
私はお通夜に出れなかった。
突然の吐き気、頭痛。何かに止められているようだった。


葬儀、私は無理矢理向かった。


アヤさんやノブヒロの友人、たくさんの人が泣いてた。
ノブヒロの笑顔の写真を見てもまだ私は信じられなかった。

⏰:07/05/19 18:54 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#476 [林奈]
“何でみんな泣いてるの?”
“ノブヒロは死んでなんかないよ”


私は叫びたかった。

でも・・・。


現実にノブヒロはもういなかった。

⏰:07/05/19 18:55 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#477 [林奈]
私は最期にノブヒロを見送った。


“なんで?なんで死ななきゃいかなかったの?”


手を合わして流れる涙・・・。


止められなかった。

⏰:07/05/19 19:00 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#478 [いずみ]
失礼します
>>240-500

⏰:07/05/19 22:04 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#479 [林奈]
葬儀の数日後、アヤさんからの電話。
詳しい話をしたいと言われて家に行った

無理矢理の笑顔。
アヤさんも作ってたんだ。


それがすごくすごく辛かった・・・。

⏰:07/05/20 13:11 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#480 [我輩は匿名である]
>>1-250
>>251-500

⏰:07/05/20 13:34 📱:P702iD 🆔:☆☆☆


#481 [林奈]
「この前はありがとね。突然だったから驚いたよね」


「すごい驚いたよ。でもアヤさんの方が辛いから」


下を向き、ニコリと笑って言ったアヤさんの一言。


「私は大丈夫」


強くて切ない言葉・・・。

⏰:07/05/20 16:41 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#482 [林奈]
そしてノブヒロに関する全てを聞いた。そして、私に関することも・・・。


私とノブヒロが会わない間、ノブヒロは友人の連帯保証人になった。
そしてその友人は、大金の借金を残して逃げたそうだ。
その借金をノブヒロが払わなければいけない。ヤミ金からの取り立てはすさまじかったらしい。
ノブヒロはアヤさんに、離婚届を置いてこの世を去った。

⏰:07/05/20 17:03 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#483 [林奈]
自ら命を絶ったノブヒロを、アヤさんは責めようとは思わないと言った。


私はノブヒロの全てを聞いた時、どんな思いで去ったのか、想像ができないくらい泣けた・・。


悔しかったと思う。愛する人を残さなければいけなかった気持ち・・。

⏰:07/05/20 17:07 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#484 [林奈]
そんだけで自殺するなんてバカじゃん。そう思う人もいるだろう・・・。


けど、そこまで追い詰められた時、人は生きることを諦めてしまうのかもしれない・・・。


私は悔しくて悔しくてただただ涙が止まらなかった。

⏰:07/05/20 17:09 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#485 [林奈]
私はたくさん助けられたのに・・・。


気付きもしなかったんだね・・・。


笑顔でノブヒロにサヨナラなんて言えないよ。


私はノブヒロに何もできなかったのかな??


悔しい・・。

⏰:07/05/20 17:16 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#486 [林奈]
今もまだその気持ちは変わらないんだ。

少し大人になった今も、ノブヒロの事はいつも胸を痛めている。

⏰:07/05/20 17:18 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#487 [林奈]
アヤさんは私に言った。


「林奈ちゃん、ノブヒロはね、林奈ちゃんのこといつも心配してたんだよ。『あいつには幸せになってもらいたい』ってさ。ノブヒロのためにも幸せになってほしいな」


今一番辛いのはアヤさんなのに、優しく笑うアヤさん。


辛いよ・・。

⏰:07/05/21 13:04 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#488 [林奈]
私はアヤさんに返す言葉が出てこなかった。


二人が無言になった時、玄関のベルが鳴った。


「お父さん、いらっしゃい」


部屋に入ってきたのは、ノブヒロのお父さんだった。

⏰:07/05/21 13:11 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#489 [林奈]
「帰ります」


私が帰ろうとした時、ノブヒロのお父さんが私を見て言ってきた。


「林奈ちゃんだよね?」


「はい」


ノブヒロのお父さんは少し溜め息ついてた。

⏰:07/05/21 13:17 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#490 [林奈]
“なに?”


そう思った時、アヤさんが言う。


「今日ね、林奈ちゃんの事でノブヒロのお父さんにも来てもらったんだ」


「え?なに?」


顔を見合わす二人。私は何の話かさっぱり分からなかった。

⏰:07/05/21 13:20 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#491 [林奈]
「驚くと思うけど、ちゃんと聞いてほしい」


ノブヒロのお父さんは口を開いた。


全てを聞いたあと、私は言葉が出なかった・・。


ただ“信じられない”それだけだった。

⏰:07/05/22 01:02 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#492 [林奈]
私とノブヒロが出会った日、もう会わないだろうと思い、親の事などを全てをぶちまけた。
私の話を聞いて、あの時ノブヒロは、ある人を思い出したらしい。


それはノブヒロの叔父さん。つまり、ノブヒロのお父さんの弟だ。


ノブヒロの叔父さんと私の実の父の境遇が似てる・・・。


ノブヒロはまさかと思ったらしい。

⏰:07/05/22 01:15 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#493 [林奈]
そしてその一年後、私は実の父親の存在が分かった。
そのショックが大きすぎてノブヒロに話を聞いてもらってた時、同時に思っていたらしい。


“この子は叔父さんの子なんだ”と。

⏰:07/05/22 01:20 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#494 [林奈]
前々から、その叔父さんは昔の恋人と会い、自分の子どもを殴ってしまうと聞いていたそうだ。
それはノブヒロの耳にも入り、私に対する見方が変わった。

つまり、私とノブヒロはイトコ・・。

⏰:07/05/22 01:24 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#495 [林奈]
ノブヒロのお父さんに話した時、私に言うのはやめとけと、お父さんは言ったらしい。


その時、ノブヒロは私のために泣いたそうだ・・・。


「アイツには幸せになってもらわなきゃいけない」


って・・・。

⏰:07/05/22 01:27 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#496 [林奈]
実の父親が、ノブヒロの叔父さんで、しかも私の母と時々会っていたなんて。


私は目の前が真っ白になった・・・。


“意味が分からないよ?どう受け止めればいいの?”


私は呆然としてた。

⏰:07/05/22 01:30 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#497 [林奈]
涙すら出ない・・。

「私はどうすればいいの?」


「お父さんに会いたい?」


アヤさんが聞いた。

「会いたいなんて一度も思ったことないよ。実の親とかなんてよく分かんない」

私の率直な気持ちだった。

⏰:07/05/22 03:27 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#498 [林奈]
「私ね、自分が生まれた事憎んだ。母親に殴られて、実の父親の存在が分かって、愛されてなかったんだって苦しくなった。いつも誰かのせいにして自分のした事から目を反らして、私ろくでもないヤツだった。でも、ノブヒロやアヤさん、それに彼氏、育ててくれた父がいてくれたから今がある。

⏰:07/05/22 15:40 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#499 [林奈]
実の父親が今私に会いたいと思っていたとしても、会えない。育ててくれた父に悪いから」



私は二人に話した。けど二人は私に言ってきた。


「そう。でもひとつのけじめとして今会ってもいいと思うけど」


私は答えないまま家に帰った。

⏰:07/05/22 15:53 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#500 [林奈]
どうすればいいのか分からず、私はアキヤに話を聞いてもらった。


ノブヒロとの事以来会えずにいた。


アキヤもそれを分かってくれていたから・・・。

⏰:07/05/22 16:24 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


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