もう二度と・・・
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#401 [林奈]
私と父の姿を見かねた祖父と兄が、私をご飯に誘ってくれた。

外での食事は久しぶり。たわいのない話から、父の話を祖父がしだした。

⏰:07/05/12 15:33 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#402 [林奈]
「林奈が家を出た時な、お父さん泣いたんだぞ。自分のせいだからって。それに電話の前でお前にかけるかどうか迷ってた。お前の親父はそういうやつなんだよ。もう分かってるよな?お前にとってあいつがどれだけ大事な親かってこと」



私は知らない父の姿を知って、嬉しい反面申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

⏰:07/05/12 15:41 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#403 [林奈]
「謝ったほうがいいんじゃないのか?」
兄もまた言う。


私は次の日、居間にいた父に久しぶりに声をかけた。


「お父さん、この前はごめん。あれ本心じゃないからね」


「分かってる。お父さんも悪かった」


久しぶりに笑顔が戻った。

⏰:07/05/13 07:48 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#404 [林奈]
この時誓ったんだ。

“お父さんを傷付けることはしないよ”って・・・。


そして私はユウくんの借金が原因で別れた事を話した。
父は安心した顔して言った。


「そうか。お前が好きになったやつを悪くは言わない。けどきちんと見極める目も大事だからな」


父らしい精一杯の慰めなんだと思う。

⏰:07/05/13 07:54 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#405 [我輩は匿名である]
林奈さん、この小説読みながら泣いてます(:_;)今までこの掲示板に書き込みした事とかないんですが、どうしても伝えたくて…これからも読み続けたいので、更新して下さいね(>_<)

応援してますo(><)o

⏰:07/05/13 14:57 📱:SH901iC 🆔:☆☆☆


#406 [林奈]
我輩さん、ありがとう!これからも頑張るからね☆

⏰:07/05/13 18:33 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#407 [林奈]
「わかった」


この一言で父は笑った。


もう一度とやりたいことを探したくて、サオリに電話した。

⏰:07/05/13 20:36 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#408 [林奈]
ユウくんとのことは時々サオリに話してたから、サオリは私の話を真剣に聞いてくれた。


そして私は聞いた。

「サオリの仕事は大変?」


「大変だけど楽しいよ。スタッフもいい人ばっかだし。急にどうした?」


「ん、何かさ何年か前にサオリに言われたことを思い出してさ」

⏰:07/05/13 20:40 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#409 [林奈]
「そっか。やる気になった?」


「う―ん。私にできるかな?」


「できるできないじゃなくて、やってみたいって思う気持ちが本気なら大丈夫じゃない?その代わり、中途半端な気持ちでできる仕事じゃないからね?」


サオリの言葉がガツンと来たんだ・・。

⏰:07/05/13 20:43 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#410 [林奈]
今まで全て中途半端だった私。
今更何ができるのかなんて分からない。でも・・・。


今度こそ何か見つかると思ったんだ。

⏰:07/05/13 20:46 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#411 [林奈]
もう二十歳になる。大人になるために、私はまた歩き出したんだ。


サオリの会社に誘われたけど、コネとかなんて嫌だから、違う会社に面接に行った。

⏰:07/05/13 20:49 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#412 [林奈]
そこはわりと大きな施設。求人募集のチラシを見た。


全く経験も資格もない私を雇ってくれるか心配だった。
事務長は、私の年齢の若さを見て、採用してくれた。

⏰:07/05/14 09:14 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#413 [林奈]
家に帰り、父達に報告。
大変そうな仕事を本当にできるのか心配したけど、最後は、「頑張れ」って言ってくれた。


私にもう迷いはない。やる以上、どんなことがあっても頑張ろうと思ったんだ。

⏰:07/05/14 09:19 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#414 [林奈]
一週間後、私は初出勤した。
心臓バクバクの中、ミィーティング前のあいさつ。


「島田林奈です。全く経験がありませんが、頑張るのでお願いします」


拍手で迎えられた。スタッフさん達は笑顔だった。


ミィーティングの後、一人一人紹介され、私に専属で教えてくれるという佐々木さん。

⏰:07/05/14 13:10 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#415 [林奈]
佐々木さんは、主任をしていて、小柄な人。緊張している私に笑顔で接してくれた。
私は安心した。


午前は、トイレ誘導、10時のコーヒータイム、シーツ交換、バイタルの記入。午後は、入浴する人のお風呂の準備に、ナースさんと処置がある方の情報交換、その他にもいっぱいあった・・・。


他のスタッフさんとまともに会話することなく終わった初日は、クタクタだったんだ。

⏰:07/05/14 13:15 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#416 [林奈]
1日終わって、着替えてる時、佐々木さんは私に聞いてきてくれた。


「どうだった?」


「いっぱいやることあって大変ですね」

「最初は大変だよね。でも島田さん元気いいから大丈夫だと思うよ。ゆっくり覚えてけばいいから」

優しい言葉。
“佐々木さんの下でなら頑張れる”
そう思った。

⏰:07/05/14 13:18 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#417 [林奈]
しばらく一週間は、日勤の仕事。私も段々余裕ができて、入所者の方達の名前や顔も覚えれた。
お昼になれば、スタッフさん達と会話するようにもなった。みんな優しい人ばっかで、緊張ばかりしていた私を、和ませてくれたんだ。

⏰:07/05/14 13:39 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#418 [林奈]
色んな仕事を覚えるうちに、段々楽しくなって、仕事に行くのがほんとに嬉しくなっていった。


お年寄りと話すのも嫌じゃなくて、何か落ち着く。
そんな私を、佐々木さんはご飯に誘ってくれた。

⏰:07/05/14 14:04 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#419 [林奈]
たわいもない話や佐々木さんの彼氏の話、私が介護職をしようと思った理由。


佐々木さんはお姉さんって感じで、職場でも親しまれてて、頼りにされてる。


すごく尊敬できる人だ。

⏰:07/05/14 14:22 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#420 [林奈]
佐々木さんのおかげで、怖いイメージしかなかった人と打ち解けたり、ほんとにお世話になりっぱなしだった。


順調に半年が過ぎ、トモミやヒロコと会う時間が減ったけど、お互いの変化を電話やメールで報告しあってた・・。

⏰:07/05/14 23:30 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#421 [林奈]
父も兄も祖父も、なんら変わりない生活。けど、私にとって大切な人との出会い・・。


運命なんて醜いモノだと思ってた。


もう恋なんてしない・・。
そう思ってた私に訪れた変化。

⏰:07/05/14 23:34 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#422 [林奈]
佐々木さんにまたご飯に誘われた。今度は二人じゃなくて他にもいる。
佐々木さんの彼氏とその後輩らしい。
何の期待もしずに行った飲み会。


私はこの飲み会で、本当の“運命”を知る。

⏰:07/05/15 01:46 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#423 [林奈]
佐々木さんは私を二人に紹介してくれた。佐々木さんの彼氏は、“コウジくん”佐々木さんの二つ上の、32歳。そしてコウジくんの後輩。“アキヤ”。
私のいっこ上の21歳。


コウジくんは真面目そうな人。アキヤは明らかに元ヤンって感じがした。

⏰:07/05/15 01:51 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#424 [林奈]
コウジくんは私にも気を使いながら話かけてくれてた。なのにアキヤは、無愛想で、あいさつ以外、ほとんど会話なんてしなかった。

⏰:07/05/15 01:54 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#425 [林奈]
二時間飲んで、私と佐々木さんは電車で帰った。


電車を降りて、佐々木さんと別れたあとすぐに、佐々木さんが叫びながら戻ってきたんだ。


「島田さん!ちょっといい?」


「え?」


私は不思議に思ったんだ。

⏰:07/05/15 01:57 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#426 [林奈]
「あのね、アキヤくんが島田さんとまた会いたいって!」


「え?なんで?」


「気に入ったらしいよ」


「え?でもろくに話してないし」


「あの子いつもそうなんだ。メールとかでもいいからさ」

⏰:07/05/15 02:00 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#427 [林奈]
迷った。
気軽な気持ちでいいのかもしれない。
けど、ユウくんとの事があってから、男の子とまともに付き合う自信がなかったんだ・・・。

⏰:07/05/15 02:02 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#428 [林奈]
佐々木さんに押されて結局教えた。


次の日も次の日も、待ってもアキヤからのメールは来なかった。


“何あの人!”


私は腹が立ってた。

⏰:07/05/15 02:08 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#429 [林奈]
そして一週間くらい経ってから来たメール。


《久しぶりです。島田さんにどんなメールを送るか迷ってたら、こんなにも経ってました。ごめんなさい》


不器用ながらも、絵文字も顔文字もないメール。
あまりの素っ気なさに笑えた。

⏰:07/05/15 02:11 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#430 [林奈]
その日から、アキヤとのメールのやり取りが始まった。
些細な毎日の出来事や、お互いの趣味。久しぶりに味わう感覚だった・・。


そしてアキヤから誘われた映画。


ドキドキでアキヤの迎えを待ってた。

⏰:07/05/15 02:16 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#431 [林奈]
車に乗り、私は笑顔であいさつしてるのに、無愛想のアキヤ。
私も自然に会話しにくかった。


お互い無言のまま映画館に着いた。


“何かつまんない”

映画を見る前からそんな事を思った私。

⏰:07/05/16 09:54 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#432 [林奈]
当時流行ってた、感動する映画を見ようって決めた私達。
エスカレーターに乗ろうとした時、私が足を踏み外した。
その時、アキヤが私の体を支えてくれたんだ・・。


とっさの行動。


「大丈夫?ケガしてない?」


心配そうに聞いてきた。

⏰:07/05/16 10:13 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#433 [林奈]
「大丈夫。ごめんね、ありがと」


「よかった」


笑顔になったアキヤに、私はドキッとした。

⏰:07/05/16 10:15 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#434 [林奈]
さり気ない優しさ。

“男らしい人だな”

私はアキヤの隣で一人ドキドキしてしまった。

⏰:07/05/16 10:17 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#435 [林奈]
映画を見て、私は号泣。
明かりが付いた時、アキヤも泣いてた。

目が合った時、私とアキヤは爆笑。


「マスカラ落ちてるよ」


「アキヤくんこそ鼻水垂れてるよ」


「男が泣くなんて恥ずかしいな?」


照れくさそうに笑うアキヤ。


「いいじゃん。我慢してるよりいいよ」

私はアキヤに言った。

⏰:07/05/16 10:22 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#436 [林奈]
アキヤは車に乗ってから一言つぶやいた。


「大好きな人が死ぬって辛すぎるよな」

アキヤの何気ない一言で私は確信した。

“私この人の事きっと好きになる”


アキヤは見た目と違って、純粋な人だった。

⏰:07/05/16 10:25 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#437 [林奈]
ご飯を食べてる時、最初とは違った雰囲気で話せた。
無愛想だと思ってた人が、笑顔になってる姿が、こんなに嬉しいもんなんだ。
私は、何か不思議な気持ちになってたんだ・・。

⏰:07/05/16 10:28 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#438 [林奈]
家に送ってもらって、部屋に帰ってから、急に寂しくなる。

“なんだろう?”


私はこの時もうアキヤを、大切な人だと分かってたんだと思う。

⏰:07/05/16 10:30 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#439 [林奈]
寂しい気持ちと一緒に蘇る記憶・・・。

前田くん、ジュン、ユウくん。


私の過去は汚い。
こんな簡単に好きになっていいの?


私は戸惑ってた。

⏰:07/05/16 10:33 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#440 [林奈]
映画を見に行ってから、私とアキヤの仲は深まった。
メールだけじゃなくて、電話。
次第に夜中に会ったり。


私の不規則な勤務に、心配して栄養ドリンクを持ってきてくれたり・・・。


段々大きくなる気持ち。

⏰:07/05/16 10:37 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#441 [林奈]
どうすればいいか分からなくなってた。

優しいアキヤに、私なんてふさわしくない。
私はそう思うようになってた。

⏰:07/05/16 10:39 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#442 [林奈]
私は自分の過去を本気で憎んだ。


“罰が当たった”


私はそう思う事が多くなり、アキヤを避けるようになってしまった。


メールや電話もシカト。
最低だと思いながらも、アキヤにはもっと他の人がいる。
私はアキヤを、傷つけようとしてたんだ・・。

⏰:07/05/16 10:42 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#443 [林奈]
そんな日を一週間続けてた時、アキヤが家に来た。


「林奈さんいますか?」


父に聞いてる声が聞こえた。


私はハッキリ伝えなきゃいけない。
そう思った。

⏰:07/05/16 10:45 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#444 [林奈]
家の前で私とアキヤは話した。


「俺何かした?」


「何も。ただ忙しいから」


「それだけ?」


アキヤを目の前にして伝えたい言葉が出てこなかった。

⏰:07/05/16 13:07 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#445 [林奈]
「気になる人できたし、アキヤのメールとかウザいんだ」


アキヤが下を向いた。


「わかった。もうメールも電話もしない。今までありがと」

怒りもしないで車に乗って帰った。


アキヤの悲しい顔。ウザいなんて言いたくなかった・・・。

⏰:07/05/16 13:12 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#446 [林奈]
一瞬のうちに後悔した。


“何であんな事言ったんだろう”


アキヤを傷付けた。私最低じゃん。


溢れ出た涙・・・。

⏰:07/05/16 13:15 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#447 [林奈]
その場で泣き崩れてた・・・。


“ごめん、ほんとにごめんね”


もっと他の言い方あったと思うのに。


心の中で何回謝っただろう・・。

⏰:07/05/16 13:26 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#448 [林奈]
私はとっさに電話してた。


ノブヒロに叱ってもらいたくて・・。


「林奈?どうしたんだ?」


「私最低な事しちゃった」


「何があった?」


ノブヒロはすぐに来てくれたんだ。

⏰:07/05/16 13:29 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#449 [林奈]
ノブヒロの家に行った。
アヤさんも私に駆け寄ってきた。


「何があった?」


私はアキヤの事を全部話した。
今の気持ちも、アキヤを傷付けてしまった後悔も・・。

⏰:07/05/16 13:35 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#450 [林奈]
アヤさんは私を抱き締めてくれた。


そしてノブヒロは私に言った。


「林奈、お前間違ってるぞ。好きなら何でぶつからない?彼も林奈が好きなんじゃないか?」


「私なんてアキヤにふさわしくないよ」

「ふさわしいか何て、彼が決める事だ」

私は涙が止まらなかった。

⏰:07/05/16 13:43 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#451 [林奈]
そんな私にノブヒロはまた言った。


「林奈、確かに過去は消えない。けどお前が自分から逃げてどうする?
“誰にでも幸せになる権利がある”
幸せになれよ」


ノブヒロの言葉。
一生忘れることはできないだろう。

⏰:07/05/16 13:57 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#452 [林奈]
優しくて厳しさもあるノブヒロの気持ちは、私を動かした。

次の日、アキヤに電話した。


「話があるんだ。駅で待ってる」


留守電に入れた。
聞いてくれたかわからない。
身勝手な私を許してくれるかも分からない。


けど傷付けた事だけでも謝りたかった。

⏰:07/05/16 14:00 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#453 [林奈]
駅で待ってどれくらい経っただろう。
気付いたら夜になって雨が降り出した。

私はそれでも信じた。アキヤは来てくれる。


そう思って待った。

⏰:07/05/16 14:47 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#454 [林奈]
そしたら、私に駆け寄るアキヤの姿が目に入った。


「林奈、ごめん」


雨の中私を抱きしめた。
その瞬間、涙が出て止まらなかった。

⏰:07/05/16 14:52 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#455 [林奈]
「ごめんね」


それしか言葉が出ない。


そんな私を支えながら車に乗せてくれたアキヤ。


私の体をタオルで必死に拭いてくれる。アキヤの優しい優しい姿が、たまらなく痛かった。

⏰:07/05/16 14:59 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#456 [林奈]
「ごめんな。雨の中待たせて」


「ううん。来てくれただけで嬉しい。ほんとにありがとう」


私の頭をなでてくれる。
アキヤの温もり。
アキヤの優しさ。


また涙が出る。

⏰:07/05/16 15:04 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#457 [林奈]
「謝りたかった。傷付けたこと。嘘ついたこと。ほんとにごめんなさい」


「いいよ。でもよかった嘘で。俺、林奈の事好きだから」


アキヤは照れてた。けど優しい顔。


「私も大好き。でも私にはふさわしくないんだ」


「どういう事?」

⏰:07/05/16 15:20 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#458 [林奈]
私は迷った。
汚い過去を知ったら、きっとアキヤは悩む。


それでもアキヤに知ってもらった方がいい。大切な人だから、分かっててほしい。

⏰:07/05/16 15:27 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#459 [林奈]
私は過去全て話した。今にも耳をふさぎそうな顔で、全部聞いてくれた。


“きっと嫌いになるんだろうな”


私は思った。

⏰:07/05/16 15:30 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#460 [林奈]
「話してくれてありがと。俺は林奈の過去を責めるつもりもない。いっぱい辛い思いしたんだね。俺がこれから受け止めるから」


「いいの?こんな私でも」


「過去は過去。俺は今の林奈を好きになった。おじいちゃんやおばあちゃんが大好きな、林奈を好きになったんだから」

アキヤはやっぱり優しい。


アキヤとの恋愛が始まった。

⏰:07/05/16 16:09 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#461 [恋愛中毒]
初めまして(。・_・。)ノ
最初から読ませてもらいました(T^T)
環境とかゎ違いますが心境が似てたので共感しながら読んでます(ノ_・。)
頑張って最後まで書いて下さい☆応援してます!

⏰:07/05/18 01:46 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#462 [林奈]
恋愛中毒さん、ありがとう☆ぜひ最後まで読んでください。

⏰:07/05/18 08:24 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#463 [林奈]
仕事も恋愛も順調だった。
「アキヤを連れてこい」と父は、アキヤを食事に誘った。


父はアキヤを息子のように可愛がってくれ、兄や祖父も、私とアキヤの恋愛を支えてくれた。


半年の間に、ノブヒロに起こっていたことに気付きもしなかった・・。

⏰:07/05/18 08:30 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#464 [林奈]
ノブヒロと会う時間がなく、アキヤとの事以来会えずにいたんだ。


そして私や周りにいる人に、大きな影響をもたらした事件。

一生忘れられない、大切な大切な事件。

⏰:07/05/18 08:35 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#465 [林奈]
仕事中、突然私に来た電話・・。


「お電話変わりました。島田です」


「林奈か?お父さんだ。トモミちゃんから今電話があった。お前の知り合いの、ノブヒロって人が亡くなったそうだ。トモミちゃんが帰ってきてほしいって言ってたけど」



「え?意味分かんない。すぐには帰れない。もうすぐ帰るから」


頭が真っ白になった。

⏰:07/05/18 08:42 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#466 [林奈]
仕事も手につかない。けど、仕事を放棄するわけにはいかない。


夜勤が終わり、私はすぐにトモミに電話した。

⏰:07/05/18 08:45 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#467 [林奈]
「トモミ?どういうこと?」


「落ち着いて聞いてね。ノブヒロさんが自殺したの」


「意味分かんないよ。信じられない」


「うちも信じれないよ!でもアヤさんから電話があったから・・・」



“自殺?”“ノブヒロが死んだ?”


ほんとにほんとに意味が分からなかった

⏰:07/05/18 08:54 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#468 [林奈]
どうやって家に帰ったかも分からない。気付いたら家の前にいた。


玄関でボーっと立つ私を、父は家に入れてくれた事だけ覚えてる・・・。



「大丈夫か?」


あの時の私は、「信じない」だけを繰り返してたそうだ。

⏰:07/05/18 09:47 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#469 [林奈]
父はどこかに電話をしてた。


30分くらいしてからトモミとヒロコが家まで来てくれた。

「林奈!」


私を呼ぶヒロコの声は震えてた。


私は二人を見た時、言葉も出ず、ただただ涙しか出なかった。


“嘘であってほしい”

⏰:07/05/18 10:05 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#470 [林奈]
「アヤさん、今は立て込んでると思うから夜に電話するからね?それまで少し林奈は寝てなよ」


トモミとヒロコは私が眠るまでずっと手を握ってくれてた。

夢を見たかどうかも分からないほど、私は夜まで寝てしまってた・・・。

⏰:07/05/18 10:08 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#471 [林奈]
「まるで息が止まってるかのように眠ってたよ」


この前会った時、ヒロコが言ってた。


私が起きてから、トモミがアヤさんに電話してた。

⏰:07/05/18 10:11 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#472 [林奈]
「林奈、お通夜は明日の19時からで、葬儀はあさっての、11時からだから」

冷静に話すトモミに腹が立った。


「何でそんなに普通でいられるの?私にはそんな風にはできない」

⏰:07/05/18 10:26 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#473 [林奈]
「アホ!うちだって辛いわ!今もノブさんが亡くなった事は信じられんわ!でも一番辛いんは、アヤさんやろ?うちらじゃない!」


トモミが泣きながら話す姿は必死だった・・。


私達はノブヒロが何で自殺しなきゃいけなかったのか、さっぱり分からなかった。

⏰:07/05/18 10:32 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#474 [林奈]
その日、父は私達にノブヒロとの関係を聞かれた。


父には知られたくない事もある。
けど全部を話した時、父は泣いた。


複雑な思いだったんだと思う。だから何も言わなかった。

⏰:07/05/18 10:36 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#475 [林奈]
私はお通夜に出れなかった。
突然の吐き気、頭痛。何かに止められているようだった。


葬儀、私は無理矢理向かった。


アヤさんやノブヒロの友人、たくさんの人が泣いてた。
ノブヒロの笑顔の写真を見てもまだ私は信じられなかった。

⏰:07/05/19 18:54 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#476 [林奈]
“何でみんな泣いてるの?”
“ノブヒロは死んでなんかないよ”


私は叫びたかった。

でも・・・。


現実にノブヒロはもういなかった。

⏰:07/05/19 18:55 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#477 [林奈]
私は最期にノブヒロを見送った。


“なんで?なんで死ななきゃいかなかったの?”


手を合わして流れる涙・・・。


止められなかった。

⏰:07/05/19 19:00 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#478 [いずみ]
失礼します
>>240-500

⏰:07/05/19 22:04 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#479 [林奈]
葬儀の数日後、アヤさんからの電話。
詳しい話をしたいと言われて家に行った

無理矢理の笑顔。
アヤさんも作ってたんだ。


それがすごくすごく辛かった・・・。

⏰:07/05/20 13:11 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#480 [我輩は匿名である]
>>1-250
>>251-500

⏰:07/05/20 13:34 📱:P702iD 🆔:☆☆☆


#481 [林奈]
「この前はありがとね。突然だったから驚いたよね」


「すごい驚いたよ。でもアヤさんの方が辛いから」


下を向き、ニコリと笑って言ったアヤさんの一言。


「私は大丈夫」


強くて切ない言葉・・・。

⏰:07/05/20 16:41 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#482 [林奈]
そしてノブヒロに関する全てを聞いた。そして、私に関することも・・・。


私とノブヒロが会わない間、ノブヒロは友人の連帯保証人になった。
そしてその友人は、大金の借金を残して逃げたそうだ。
その借金をノブヒロが払わなければいけない。ヤミ金からの取り立てはすさまじかったらしい。
ノブヒロはアヤさんに、離婚届を置いてこの世を去った。

⏰:07/05/20 17:03 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#483 [林奈]
自ら命を絶ったノブヒロを、アヤさんは責めようとは思わないと言った。


私はノブヒロの全てを聞いた時、どんな思いで去ったのか、想像ができないくらい泣けた・・。


悔しかったと思う。愛する人を残さなければいけなかった気持ち・・。

⏰:07/05/20 17:07 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#484 [林奈]
そんだけで自殺するなんてバカじゃん。そう思う人もいるだろう・・・。


けど、そこまで追い詰められた時、人は生きることを諦めてしまうのかもしれない・・・。


私は悔しくて悔しくてただただ涙が止まらなかった。

⏰:07/05/20 17:09 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#485 [林奈]
私はたくさん助けられたのに・・・。


気付きもしなかったんだね・・・。


笑顔でノブヒロにサヨナラなんて言えないよ。


私はノブヒロに何もできなかったのかな??


悔しい・・。

⏰:07/05/20 17:16 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#486 [林奈]
今もまだその気持ちは変わらないんだ。

少し大人になった今も、ノブヒロの事はいつも胸を痛めている。

⏰:07/05/20 17:18 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#487 [林奈]
アヤさんは私に言った。


「林奈ちゃん、ノブヒロはね、林奈ちゃんのこといつも心配してたんだよ。『あいつには幸せになってもらいたい』ってさ。ノブヒロのためにも幸せになってほしいな」


今一番辛いのはアヤさんなのに、優しく笑うアヤさん。


辛いよ・・。

⏰:07/05/21 13:04 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#488 [林奈]
私はアヤさんに返す言葉が出てこなかった。


二人が無言になった時、玄関のベルが鳴った。


「お父さん、いらっしゃい」


部屋に入ってきたのは、ノブヒロのお父さんだった。

⏰:07/05/21 13:11 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#489 [林奈]
「帰ります」


私が帰ろうとした時、ノブヒロのお父さんが私を見て言ってきた。


「林奈ちゃんだよね?」


「はい」


ノブヒロのお父さんは少し溜め息ついてた。

⏰:07/05/21 13:17 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#490 [林奈]
“なに?”


そう思った時、アヤさんが言う。


「今日ね、林奈ちゃんの事でノブヒロのお父さんにも来てもらったんだ」


「え?なに?」


顔を見合わす二人。私は何の話かさっぱり分からなかった。

⏰:07/05/21 13:20 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#491 [林奈]
「驚くと思うけど、ちゃんと聞いてほしい」


ノブヒロのお父さんは口を開いた。


全てを聞いたあと、私は言葉が出なかった・・。


ただ“信じられない”それだけだった。

⏰:07/05/22 01:02 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#492 [林奈]
私とノブヒロが出会った日、もう会わないだろうと思い、親の事などを全てをぶちまけた。
私の話を聞いて、あの時ノブヒロは、ある人を思い出したらしい。


それはノブヒロの叔父さん。つまり、ノブヒロのお父さんの弟だ。


ノブヒロの叔父さんと私の実の父の境遇が似てる・・・。


ノブヒロはまさかと思ったらしい。

⏰:07/05/22 01:15 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#493 [林奈]
そしてその一年後、私は実の父親の存在が分かった。
そのショックが大きすぎてノブヒロに話を聞いてもらってた時、同時に思っていたらしい。


“この子は叔父さんの子なんだ”と。

⏰:07/05/22 01:20 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#494 [林奈]
前々から、その叔父さんは昔の恋人と会い、自分の子どもを殴ってしまうと聞いていたそうだ。
それはノブヒロの耳にも入り、私に対する見方が変わった。

つまり、私とノブヒロはイトコ・・。

⏰:07/05/22 01:24 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#495 [林奈]
ノブヒロのお父さんに話した時、私に言うのはやめとけと、お父さんは言ったらしい。


その時、ノブヒロは私のために泣いたそうだ・・・。


「アイツには幸せになってもらわなきゃいけない」


って・・・。

⏰:07/05/22 01:27 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#496 [林奈]
実の父親が、ノブヒロの叔父さんで、しかも私の母と時々会っていたなんて。


私は目の前が真っ白になった・・・。


“意味が分からないよ?どう受け止めればいいの?”


私は呆然としてた。

⏰:07/05/22 01:30 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#497 [林奈]
涙すら出ない・・。

「私はどうすればいいの?」


「お父さんに会いたい?」


アヤさんが聞いた。

「会いたいなんて一度も思ったことないよ。実の親とかなんてよく分かんない」

私の率直な気持ちだった。

⏰:07/05/22 03:27 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#498 [林奈]
「私ね、自分が生まれた事憎んだ。母親に殴られて、実の父親の存在が分かって、愛されてなかったんだって苦しくなった。いつも誰かのせいにして自分のした事から目を反らして、私ろくでもないヤツだった。でも、ノブヒロやアヤさん、それに彼氏、育ててくれた父がいてくれたから今がある。

⏰:07/05/22 15:40 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#499 [林奈]
実の父親が今私に会いたいと思っていたとしても、会えない。育ててくれた父に悪いから」



私は二人に話した。けど二人は私に言ってきた。


「そう。でもひとつのけじめとして今会ってもいいと思うけど」


私は答えないまま家に帰った。

⏰:07/05/22 15:53 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#500 [林奈]
どうすればいいのか分からず、私はアキヤに話を聞いてもらった。


ノブヒロとの事以来会えずにいた。


アキヤもそれを分かってくれていたから・・・。

⏰:07/05/22 16:24 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#501 [林奈]
「大丈夫か?」


「うん。ごめんね。連絡取らずにいて」

「いいよ。当たり前だと思うし」


私はアキヤに実の父親の話をした。

⏰:07/05/23 10:46 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


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