〇ニ番目の四季〇
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#96 [ゆり]
高橋さんとの関係は続いていた。
何度もこのままじゃダメだと思いながら、
結局離れられずにきた。
身体を重ねて、
都合の良い愛を貰って、
だけど指輪は輝いたままで、
あたしに腕枕をしながら彼女と電話する事もあった。
:06/05/28 19:55 :V703SH :a4CPZqco
#97 [ゆり]
来るか来ないかわからない連絡を
夜中まで待つのも
平気な顔も
強がりも
もう精神的に限界だった。
そんな時同じクラスの裕也に告白された。
バスケ部のキャプテンで人気のある奴。
1年の時にも告白されて断っていた。
今回も…
やっぱり無理だ。
:06/05/28 19:58 :V703SH :a4CPZqco
#98 [ゆり]
「ごめん…」
「なんで?彼氏いるん?」
「…彼氏…はいないけど」
あたしは泣いていた。
誰の前でも泣かなかったのに。
「どーした?!大丈夫!?」
…何度大丈夫って言ってきただろう。
本当は大丈夫なんかじゃないよ。
本当は2番なんか嫌だよ。
:06/05/28 20:00 :V703SH :a4CPZqco
#99 [ゆり]
涙が止まらないあたしに
裕也はユニフォームを押し付けた。
「これで拭け!」
「ぅん………うわ!くっさ!!!」
「あ?!なに?(笑)」
「汗臭いわっ!!」
「仕方ねーだろハンカチなんて持ってねーんだから!」
裕也は恥ずかしそうにユニフォームを奪った。
その姿に一瞬惹かれた自分がいた。
:06/05/28 20:03 :V703SH :a4CPZqco
#100 [ゆり]
「ありがと…涙止まりました(笑)」
「そりゃよかった!」
帰りながら高橋さんの話しをした。
裕也は自転車を引きながら聞いていた。
「そっか…じゃあゆりはそいつが好きなんだ。」
「…うん」
「…でも俺待つから。話しくらいならいつでも聞けるし!あんま一人で抱えんなよ!」
「…ありがと」
:06/05/28 20:05 :V703SH :a4CPZqco
#101 [ゆり]
それから数日
無神経にもあたしは
裕也に高橋さんの相談をした。
愚痴ったり。
季節は秋になった。
高橋さんに初めて抱かれた日からもう1年だ。
欲求だけでも満たせるなら
あたしが傍にいる意味はあるのかな。
:06/05/28 20:07 :V703SH :a4CPZqco
#102 [ゆり]
マイは塾が忙しくなり、
あたしは裕也しか相談出来る人がいなくなっていた。
一人でいるといろんな想像が頭を回る。
慣れたハズなのに
痛みは消えない。
高橋さんは今頃彼女さんと何してるんだろう。
:06/05/28 20:10 :V703SH :a4CPZqco
#103 [ゆり]
「裕也、今日ちょっと話し聞いてくれない?」
「うんいいよ!ちょっと部活顔出すから体育館で待っててくれる?」
「わかった〜ありがと」
放課後あたしは
体育館の前に座って裕也を待った。
:06/05/28 20:12 :V703SH :a4CPZqco
#104 [ゆり]
高台にあるこの学校からは
町並みがよく見える。
あの日高橋さんと海で見た様な夕日が
赤く揺れていた。
あの時、まだ帰りたくないって言ったら
あたしの傍に居てくれたかな…
やっぱり彼女さんのところに行っちゃうよね。
小さな約束、
小さくても本気の愛。
全部あの夕日の様に鮮やかに蘇る。
裕也を待ちながら高橋さんの事ばかり考えていた。
:06/05/28 20:14 :V703SH :a4CPZqco
#105 [ゆり]
「ゆり!おまたせ!」
「あっ…お疲れ様!」
「うん、行こっか」
近くの公園に向かった。
もう秋だからか
日が沈むのが早い。
木のベンチに腰を下ろした。
:06/05/28 20:16 :V703SH :a4CPZqco
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