〇ニ番目の四季〇
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#220 [ゆり]
やっぱり遊び人だった男だから
女の子を目で追う。

ミニスカとか
綺麗なお姉さんとか
大好物。

「あんた…また見てたでしょ?」

「見てねーって!!」

こんなくだらない内容でしょっちゅう喧嘩。

まぁあたしが一方的に不機嫌になってるだけだけど…

 

⏰:06/05/31 22:47 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#221 [ゆり]
あたしと隼人の過去は違い過ぎて
たまに泣けるくらい辛くなる。

過去なのに。

気にしても意味ないって分かってるのに。

あたしこんなヤキモチ妬いた事ないのに。

「ごめんね、あたしが心狭いんだわ」

いつもこんな風に自分に言い聞かせてた。

⏰:06/05/31 22:51 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#222 [ゆり]
そんなある日

生理が遅れてる事に気が付いた。


あたしは毎月ちゃんと決まった週に来るから
急に不安になった。

心辺りは一度だけあったから…
 

⏰:06/05/31 22:54 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#223 [ひLI]
LIやあッッ(゚)

マヂ、ドキX02するッて
でもゆりチャンみたLIな
高橋サンの時みたLIな
相手を想う恋愛、
隼人クンのよお-な
愛し愛される恋愛…。
してみたLI
相手を想う気持ちッてのをゆりチャンの小説読ンで
改めて気付かされた
ありがと(ー∀ー)

⏰:06/05/31 23:37 📱:N901iC 🆔:epfGqGAg


#224 [あやぽん]
失礼
ゆリサン頑張って
>>40ー100

⏰:06/06/01 01:28 📱:SH700i 🆔:Yk04/EkE


#225 [ゆり]
ひいサン☆あやぽんサン☆いつもありがとォ(*≧m≦*)読んでくれてほんと嬉しいわァ〜ッ☆

⏰:06/06/01 06:20 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#226 [ゆり]
あたしは隼人に遅れてる事を言う前に
いろいろ考えた。

もし出来てたら…

うちはお母さんが出てっちゃって、お父さんも仕事で居ないって家だったけど

学費は払ってもらってた。

だから学校はちゃんと卒業しなきゃいけないって気持ちが
常にあった。

⏰:06/06/01 06:24 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#227 [ゆり]
こんなちゃらんぽらんな外見だけど

成績も良かった。

だからかえって
妊娠して全てを失う事が怖い
と感じてしまった。


予定日から一週間過ぎた頃
あたしは誰にも話せないまま学校を早退した。
 

⏰:06/06/01 06:28 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#228 [ゆり]
学校でもいつも一緒にいる隼人が
あたしが早退した事を気付かない訳ない。

学校から出て
とぼとぼ歩いていると携帯が振動した。

着信

隼人

一瞬ためらった。
すぐに言い訳を考えて
電話に出た。
 
「もしもし?」

「あ、ゆり?帰ったの?どうした?」
 

⏰:06/06/01 06:33 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#229 [ゆり]
「あ〜ちょっと体調悪くなっちゃってさァ」

演技混じった嘘をついた。

「まじで?大丈夫?」

「だいじょぶだよ〜帰って寝るわ」


「うん…気をつけて帰れよ」

そう言われて電話を切った。

電車とバスを乗り継いで家に帰った。

その間もずっと
妊娠の事を考えていた。
 

⏰:06/06/01 06:40 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#230 [ゆり]
おろす事になるのかな…


産んだとしても
赤ちゃんが幸せになれないとか
言うつもりは全くない。

隼人と二人なら
幸せなんて簡単に見せてあげられるって
思うから。


だけど
じゃあ隼人は?

幸せ感じられる?

 

⏰:06/06/01 06:44 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#231 [ゆり]
あたしは泣いてた。

なんで涙が出るって

自分が情けなくて
ズルくて
無力だから。

誰かの為って言いながら
結局自分の為。

やる事やって
責任取れないなんて

ありえないよ。

 

⏰:06/06/01 06:47 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#232 [ゆり]
携帯が鳴った。

隼人だ。

涙を拭いて
咳ばらいで声を整えた。

「もしもし」

「家着いた?大丈夫?」

「うん着いたよ〜大丈夫だからそんな心配しんで(笑」

「だって心配だもん…」

「女の子みたいに言うなよ笑
ありがと!まじ大丈夫だから。もうすぐ講義始まるでしょ?」

あたしは時計をチラ見して言った。
 

⏰:06/06/01 06:53 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#233 [ゆり]
てっきりそれで終わると思った。
でも隼人は続けた。

「…お前生理きた?」


正直めちゃくちゃびっくりした。

「なんで…?」

「だって今月腹痛いとか言わねーじゃん」

あたしは生理痛がキツイから毎月痛い痛い悶えてた。
その度隼人は腰さすってくれたり
バック持ってくれたりしてた。
 

⏰:06/06/01 06:58 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#234 [ゆり]
「きてねーんだろ?」

隼人は少し怒った声になった。

あたしはまた泣いていた。

「ゆり?」

涙で言葉が出ない。

だって
どうしたらいいのか分からない。

「お前泣いてんの?なんで俺に言わねーんだよ!」

珍しく隼人が声を荒げた。
 

⏰:06/06/01 07:02 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#235 [ゆり]
「…ごめん…」

やっと出た言葉がこれだった。


あたしは電話を切った。


ベッドに潜り込んで泣いた。

なんでもっと上手に

生きられないんだろ。

 

⏰:06/06/01 07:05 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#236 [ゆり]
1時間半くらい経った頃

また携帯が鳴った。

隼人からのメールで
「出てきて」って内容だった。

あたしはどこに?と思いながら
階段を下りて外に出た。


汗だくの隼人がいた。
  

⏰:06/06/01 07:08 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#237 [ゆり]
泣き過ぎで頭がぼーっとしてる。

「隼人…もう秋だよ?」

あたしは真顔で言った。


「うるせーよ!笑
チャリで来たんだから仕方ねーだろ」

息が上がってた。

「学校からチャリで来たの?」

「うん、全力疾走で笑」

隼人は笑顔で顔を流れる汗を拭いた。
 

⏰:06/06/01 07:12 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#238 [ゆり]
「…なんでぇ?」

あたしはアホな子みたいに
首を傾げて聞いた。
全然頭が働かない。


「ゆりに会いたかったから」

隼人はまた笑顔でそう言い
あたしの手を握った。


「検査するやつ…検査薬っつーの? 買ってきたから。
出来るか?」

 

⏰:06/06/01 07:16 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#239 [ゆり]
検査薬…
その言葉でようやく頭が働き出した。

「恐い…」

あたしは俯いた。

握られる手に力が入る。

「やらないままでも不安なだけだろ?
俺待ってるから」


しばらく俯いて
あたしは頷いた。

「わかった…」

 

⏰:06/06/01 07:19 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#240 [ゆり]
自転車にかけてあった袋を外し
あたしに渡す。

中にはポカリとプリンとポッキーも入ってた。

「ちゃんと出来たらポッキー食わせてやるよ」

笑って隼人が言った。

「それ新商品の苺のやつ?絶対食べたい」

「じゃあ頑張れ!俺ここにいるからな」

優しく笑ってくれた隼人に後押しされて

あたしは家に入った。 

⏰:06/06/01 07:25 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#241 [ゆり]
トイレに入って
箱を開けて
説明書を簡単に読んで

検査した。

何を祈る訳でもなく、
時間が過ぎるのを待った。





結果は
陰性。

妊娠してなかった。
 

⏰:06/06/01 07:27 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#242 [ゆり]
あたしは無言のまま
検査薬を袋に入れて
ごみ箱の奥の方につっこんで
家を出た。


外には落ち着かない様子で煙草を吸う隼人がいた。

あたしに気付き煙草を消す。

「ゆり!どうだった?ちゃんと出来たか?」


「…出来た。だからポッキー」

あたしは右手を出した。

その手を強く握って
「後だよバカ!結果は!?」
と言った。
 

⏰:06/06/01 07:35 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#243 [ゆり]
「妊娠してませんでした…
お騒がせしてごめんなさい」

あたしは頭を下げた。

隼人は気が抜けた顔を見せた。

「まじで?」

その後に両手であたしの手を握って

大きな溜め息を吐いて言った。


「ゆり…ごめんな…」
 

⏰:06/06/01 07:39 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#244 [ゆり]
「…なんで?」

「不安だったよな、もっと早く気付いてやれなくて
ほんとごめん」


「…隼人って優しいね」

あたしはしみじみ感じた。

2時間くらいかかる距離をチャリで走ってきてくれた。

検査薬買うのも
恥ずかしかっただろうな。

あたしが好きなチョコレートもちゃんと買ってきてくれて

本当に嬉しかった。
 

⏰:06/06/01 07:45 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#245 [ゆり]
「ゆり、体調大丈夫?」

「うん大丈夫!ありがとッ」

隼人は右手で自転車を引き
左手であたしの手を握って歩き出した。

「公園でポッキー食おうぜ」

「食おう食おうッ♪」

あたしが笑ってるのを見て
隼人も笑ってくれた。 

⏰:06/06/01 07:51 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#246 [ゆり]
公園に着いて
ベンチの近くにチャリを止める。


「こっち綺麗だよ」

そう言って綺麗な方のベンチに座らせてくれる。

自然に出る優しさが
ほんと凄いなっていつも思う。

こんな優しさに慣れてしまわないように

「ありがとう」は忘れない。

⏰:06/06/01 07:52 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#247 [ゆり]
座ると隼人はポカリをがぶ飲み。

「飲んでれば良かったのに(笑」

「お前が辛い思いしてる時に
のんきにポカリなんて飲めないっしょ」

「いやいや子供産んでた訳じゃないんだから…笑」


隼人は少し視線を落とした。
 

⏰:06/06/01 07:56 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#248 [ゆり]
「俺さ〜ずっと考えてたんだけど
子供出来てたら学校辞めて働くつもりだったよ」

真剣な横顔が
すごく嬉しかった。

「ありがと…」

「俺まじでお前と結婚するって誓ったし!」

「…誰にだよ笑」

「自分に誓ったの!」

一生懸命な隼人が愛しくて
本当に優しい気持ちに包まれた。

少し冷えた秋の風が

とても温かく感じたんだ。
 

⏰:06/06/01 08:02 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#249 [ひLI]
隼人クン優しスギ
ゆりチャンもちゃンと
考えてて偉LI
なンか見てて
ドキX02したり
1囚でニヤX02したり
自分怖LIンです`(・З・)笑

⏰:06/06/01 13:05 📱:N901iC 🆔:feSxTEu.


#250 [ケン]
俺も読んでてニヤAしちゃってヤバいです

⏰:06/06/01 13:19 📱:N900i 🆔:HDd5zafM


#251 [ひLI]
ケンサン
やばイよねッッ(゚)更新されるの
すごLI楽しみなンだあ

ゆりチャン
がむばれ+゚

⏰:06/06/01 14:07 📱:N901iC 🆔:feSxTEu.


#252 [ゆり]
ひいチャン☆ケンサン☆
感想ありがとォ〜(*´∪`*)
ニヤAしちャうッ?(*≧□≦*)すいませんッ!!

⏰:06/06/02 13:47 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#253 [ゆり]
周りから見たら
幸せな二人に見えるはず。

でもあたしは
隼人の過去が乗り越えられずにいた。


あたしは
こんな茶髪に巻き髪で
軽そうに見られるだろうけど
頭は堅い。

今までコンパもした事ないし
ナンパについてった事もない

簡単に言えば
そんな真面目な道を歩いてきた自分が少し嫌だった。
 

⏰:06/06/02 13:48 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#254 [ゆり]
こんなあたしだから

隼人は好きになってくれたのかもしれないけど

隼人はコンパもして
ナンパもして
紹介とかもしてて


自分でも子供だなって思うけど

そんな過去の距離が
どうしようもなく嫌だった。
 

⏰:06/06/02 13:50 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#255 [ゆり]
「ゆり、寒くない?」


季節は冬。
あたしは相変わらず薄着。

「お前何枚着とんの?」
「2枚」

「ありえん!!もっと着ろって!風邪引くぞ!」

「大丈夫。皮下脂肪があたしを守ってるから」

「すぐあー言やこー言うなお前は(笑」

いつものやりとりが
幸せなのに
こんな寒い日は余計切なくなるんだ。

隼人は過去に何人とこうやって冬を越えてきたんだろう。
 

⏰:06/06/02 13:52 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#256 [ゆり]
あたしは昔から臆病だから

失った時に大袈裟に傷付いたりしないように
少し距離を空けて付き合ってきた。

だけど毎日一緒にいる隼人とは
上手に距離間が保てなくて
隼人ばっかりになる自分が
少し恐い。

こんな気持ちきっと
隼人には分からないかもしれないけど。


綺麗事で馴れ合う様な関係なんて
あたしは求めてないのに。
 

⏰:06/06/02 13:56 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#257 [ゆり]
雪が溶けて


桜が咲いて

春が来た。

あたし達が出会った季節。


毎日一緒にいるから
まだ1年なんて
なんか信じられないよね。
 

⏰:06/06/02 13:59 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#258 [ゆり]
そんな中

新入生歓迎会があった。


全部が崩れてしまった日。


今もまだ
辛い。

 

⏰:06/06/02 14:01 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#259 [ゆり]
その日
あたしはいつも通りで

髪を巻いて
香水をつけて
時計をはめて家を出た。

バスと地下鉄を乗り継いで学校へ向かった。

いつもは少し遅れてくるくせに
珍しくホームで隼人が待ってた。

 

⏰:06/06/02 17:32 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#260 [ゆり]
「おはよ〜♪」

「おはよ♪
朝からずいぶんご機嫌ですね☆」

あたしはこの瞬間から嫌な予感はあったんだ。

やたら髪はバッチリセットされてるし
香水はクロームだし。
お兄臭ムンムン。

(こりゃなんかやらかすな)

そう思いながら二人で学校に行った。

⏰:06/06/02 17:35 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#261 [ゆり]
午後の講義も終えて

夕方の6時から
新歓開始。

あたしは友達に「また後でね〜」と言って
隼人と会場まで向かった。

入口では4年の先輩が費用を集めてた。

「1年以外は3500円ね〜」

(高ッ!!食べ放題行けるじゃん)

そう思いながら財布から4000円を出した。

⏰:06/06/02 17:43 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#262 [ゆり]
「あッCHANELの財布かわい〜♪ ハイッお釣り500円ね〜♪」

その時なぁんか嫌な気分になった。

後で聞いたんだけど
この先輩、隼人がお気に入りだったんだって。

あたし宣戦布告されてたっぽい。
 

⏰:06/06/02 17:53 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#263 [ゆり]
なんも気付かないあたしは
愛想笑いで交わして
店に入った。

店は座敷で、10人ずつくらい仕切られてる所だった。


「ゆりちゃ〜ん!!こっちこっち☆」

遠くから友達が呼ぶ。

あたしは隼人に
「ごめん、ちょっと行くね!」
そう言って友達の所に座った。
 

⏰:06/06/02 17:57 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#264 [ゆり]
いつも隼人と一緒にいるから
友達と飲むのも久しぶり。

「今日は隼人クンじゃなくて、うちらと飲んでよね〜!」

「わぁかってるよ(笑」

あたしは友達に両端を固められて
軽い監禁状態だった。
 

⏰:06/06/02 18:02 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#265 [ゆり]
横には友達、
前にはカッコイイって騒がれてた
一年男子が数人がいた。


「先輩ってあのギャル男っぽい先輩と長いんすか〜?」

「ん〜もうすぐ1年だよ〜」

「長いっすねー!いいな〜」

「てか付き合ってんの知ってるんだ?笑」

「だって先輩達目立ちますもん(笑」
 

⏰:06/06/02 18:06 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#266 [ゆり]
そんな会話をしながら、
あたしはカクテルを飲んでた。
隼人はどこかな?
とか気にしながら。


「先輩〜」
いつの間にか隣には
一年ナンバーワンボーイが。

爽やか系。
色が黒い隼人に見慣れてたから
なんか新鮮だった。

「なに?」
 

⏰:06/06/02 18:18 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#267 [ゆり]
「メアドとか聞いたらヤバイっすか?」

「ん〜ヤバイっすね(笑」

「えー!!彼氏厳しいんですか?」

「厳しいってか、泣いちゃう(笑」

あたしはただ単純に
隼人が嫌がるだろう事はしたくなかった。

爽やかな顔して以外にしつこかったから
「ちょっとトイレ〜」
そう言って席を立った。 

⏰:06/06/02 18:23 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#268 [ゆり]
あたしは素足でペタペタ歩いてトイレに向かった。


そこで見たのが
隼人と4年の先輩だった。


(うわッ)
あたしは見ちゃいけないものを見てしまった、
そんな感じでまだ多少余裕はあった。

 

⏰:06/06/02 18:27 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#269 [ゆり]
「隼人くん〜ケー番教えてよ〜♪」

「やー…」

「就活とかの相談乗るしさ♪いーぢゃん♪」

「ん〜じゃあコレ」

そう言って隼人は携帯を開き
先輩に渡した。


あたしのさっきまでの余裕は
木っ端みじんになった。

前に進めばいいのか
戻ればいいのか
分からない。
 

⏰:06/06/02 18:33 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#270 [ゆり]
結局あたしは
静かに回れ右をして
席に戻った。

「先輩おかえり〜♪」
「ゆりチャンおかえり〜♪」
爽やかボーイと友達がお出迎え。

「ただいま〜混んでて入れなかったぁ」

やばい、泣きそう。

そう思いながら
笑った。

 

⏰:06/06/02 18:37 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#271 [ゆり]
「まぢかぁー!また後で行っといで♪」

周りは楽しい雰囲気。
こんなとこで泣けないし、帰ったりして雰囲気壊せない。

話して
笑って
はしゃいでいても
頭ん中は
さっきの光景ばかり。


普段のあたしなら
飛び蹴りでもアッパーでもかましてやるのに

実際
ただ頭が真っ白になるだけ。

平気なフリでいっぱいいっぱいだった。
 

⏰:06/06/02 18:41 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#272 [ゆり]
次の瞬間
追い打ちをかける様に
ベロベロに酔った隼人が来た。

「みんな飲んでるー!?」
ビール瓶を両手に持って、
ありえんくらいのハイテンション。

周りは盛り上がってたけど
あたしはそんな隼人見たくなかった。

「ゆりちゃん!ちょー来て〜♪」

そう言うと同時に
隼人はあたしの腕を掴んで違う席に連れていった。
 

⏰:06/06/02 18:44 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#273 [ゆり]
その席には
一年の女の子ばっかり。

あたしは強引に隼人に肩を抱かれた。

「俺の彼女のゆりちゃんでーすッッ♪」

「いえーぃッッ♪」
「綺麗〜♪お似合い〜♪」

女の子達はきゃぁきゃぁ盛り上がる。

無理矢理席に座らされ
皆に見られて
あたしは人形か。


屈辱感でいっぱいだった。
 

⏰:06/06/02 18:49 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#274 [ゆり]
雰囲気だけは壊さないように
笑顔で席を立って
戻ろうとした。

裏で隼人に手を掴まれた。

「どうした?」

「何が?」

「なんか機嫌悪い?」

「別に」

実際隼人はそこまで酔ってなかった。

だからかえってムカついた。
酔ったフリしてあれだよ。
 

⏰:06/06/02 18:52 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#275 [ゆり]
「離して?
あたし向こうで飲むから」

「…わかった」

手の力が緩んだ瞬間
あたしは隼人から離れた。

トイレに入り
少し泣いた。

なんかよくわかんないけど

涙が出た。
 

⏰:06/06/02 18:54 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#276 [ゆり]
上を向いて
中指で涙を拭いて
鏡でチェックして
あたしは席に戻った。


友達は完全に潰れてて
隣に岩田くんがきた。
岩田くんは隼人の友達で、クラスメイト。

「ゆりちゃん、あいつちょっとヤバくない?」

あたしはカシスソーダを一口飲んだ。

「なんで〜?」

「やり過ぎっつーか、さっき一年の子の腰に手回してたし」

「…」

 

⏰:06/06/02 19:01 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#277 [ゆり]
「先輩とケー番も交換してたよ?」

「…ふ〜ん…やるね〜アイツも(笑」

何かごまかす様に
あたしは近くのグラスのお酒を飲み込んだ。

「苦いッ」

「あ〜それ俺のっすよ〜」

「あ、爽やかボーイの?いいじゃんいいじゃん!追加頼もうッ」

あたしはよくわかんないまま
夢中で違う事を考えようとしてた。

岩田くんは心配そうに
あたしを見ててくれた。
 

⏰:06/06/02 19:06 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#278 [ゆり]
それからあたしは
隼人の行く先も
行動も
聞こえてくる騒ぎ声も
全部見ないフリした。


午後9時。
「そろそろお開きだよ〜!!皆気をつけて帰ってね〜♪」

4年の先輩の声が響き渡る。

あたしは靴箱の鍵を手に取って
席を立った。
 

⏰:06/06/02 19:10 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#279 [ゆり]
「先輩!彼氏さんに飽きたら連絡下さい♪」


爽やかボーイはそう言って
アドを書いた紙をあたしに押し付け帰っていった。


「ゆ〜りチャン♪」

ご機嫌なテンションで肩を組んできた隼人。

あたしは
「酒臭い」
と一言言って手を払いのけた。

その時見たのが隼人と一年生の子のアイコンタクト。
 

⏰:06/06/02 19:16 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#280 [ゆり]
「彼女怒っちゃったんですかぁ?」

「なんかそうみたい」

そんなやりとりが
目だけで行われてた。


そして違う一年生の女の子軍団が

「先輩かっこい〜♪」
とかはしゃぎながら帰ってく。

それに「お疲れね〜♪」とか笑顔で手を振る隼人。



こんな気持ち

なんて言えばいいの?
 

⏰:06/06/02 19:23 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#281 [ゆり]
あたしは友達に笑顔でバイバイを言って

足早に店を出た。

早く誰もいない所に行きたかった。

歩きながら
涙は出てた。


(あたし涙腺緩過ぎ)

涙を拭いて
スピードを上げた。

交差点を渡ってる途中で
手を掴まれた。
 

⏰:06/06/02 19:32 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#282 [なみ☆]
頑張って

⏰:06/06/02 21:21 📱:N900iS 🆔:piV1i12I


#283 [ひLI]
頑張れえー(ハ)+

⏰:06/06/02 22:39 📱:N901iC 🆔:edp75stM


#284 [ゆり]
なみチャン☆ひいチャン☆いつも応援してくれてほんとありがとッ(´∀`*)♪ちょっと更新するからよかったら読んで下さい☆

⏰:06/06/03 10:48 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#285 [ゆり]
「離して」

あたしは冷たい声でそう言った。

それでも隼人は手首を強く握り
離さなかった。


あたしはもう
言葉で言えない感情に支配されてて

涙を堪える事だけに必死だった。


「何怒ってんの?」

息が整わないまま隼人が言う。

「…もういいから、離して」
 

⏰:06/06/03 10:50 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#286 [ゆり]
不快。

この無神経な言葉も

強く握られる手の感触も

1年の女の子達も

メアド交換してた先輩も

今向けられてる視線も

街のネオンも
車のクラクションの音も
排気ガスの匂いも

全部が不快。
 

⏰:06/06/03 10:55 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#287 [ゆり]
崩れちゃったね

二人に1番必要だった

二人を繋いでた

信頼が。


「話し聞けって…」

そう言って隼人はあたしを裏道に連れて行った。

不快な音や匂いが消えた。

だけど手の感触だけが残ってる。

「あたしは話す事なんてないよ」
 

⏰:06/06/03 10:57 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#288 [ゆり]
その言葉に
最初隼人は逆切れした。

何もしてない、だとか
楽しめって言ったのはお前だろ、とか。

あたしは黙って聞いた。
聞くだけ情けなくなった。


何も言わないあたしに
今度は謝りだした。

調子乗りすぎた、だとか
皆を盛り上げたかったんだ、とか。
 

⏰:06/06/03 10:59 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#289 [ゆり]
あたしは黙って聞いてたけど、

もう馬鹿馬鹿しくって、


薬指の証を外した。

生まれて初めてのペアリングだった。


別れの言葉と一緒に
隼人に投げた。
 

⏰:06/06/03 11:01 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#290 [ゆり]
悲しい?
虚しい?
ううん、何より悔しい。

あたしにだって女としてのプライドがあるから。


隼人はコンクリートに落ちた指輪を無視して
背を向けたあたしの手を取った。


離して、と言う言葉も無視して
無理矢理キスをした。
 

⏰:06/06/03 11:13 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#291 [ゆり]
唇を重ねて
全部なかった事にできたなら
どれだけ楽だろう。


あたしは涙が堪えられなかった。


もうどうしようもない

あたしだってなんとか出来るなら

なんとかしたい。

でももう戻れないよ。
 

⏰:06/06/03 11:16 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#292 [ゆり]
子供みたいに泣くあたしを
隼人が無理矢理引っ張って
連れて入ったのはホテルだった。

適当に部屋番号を押して
エレベーターに乗った。


手は強く握られたままで、
目は合わさない。

隼人がこんなに強引になったのは初めてだ。

あたしはもう抵抗する気もなくなって、
黙って部屋に入った。
 

⏰:06/06/03 11:19 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#293 [ゆり]
部屋に入ると
隼人は重い溜め息を吐いて
ベットに腰を下ろした。

「本当…ごめん」

その謝罪の言葉が
現実を連れて来て

あたしは唇を噛んだ。

ただ涙を堪えた。
 

⏰:06/06/03 11:21 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#294 [ゆり]
こんな事くらいで泣きたくない

うるさく言いたくない

傷付いたなんて思いたくない。


これ以上涙を流さない事が
あたしのくだらないプライドを守る
精一杯だった。


さっきまでとは別人の様に
頭を抱えてうなだれる隼人がいた。

隼人は自分の隣を手で叩き、
来いと催促した。
 

⏰:06/06/03 11:22 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#295 [ゆり]
あたしは黙って彼の隣に座った。

どうせ強引に抱かれるんだろう
と思いながら。


すると手を握られた。

強かったけど、
とても優しく感じた。


「許してもらうつもりはないけど…
また信じさせるから」

下を向いたまま、
隼人はそう言った。
 

⏰:06/06/03 11:26 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#296 [ゆり]
また信じさせる?

たった3時間で

一年間積み上げたものを
簡単に壊したくせに。

チャラ男だった隼人を
あたしは信じてなかった。

どうせ浮気するんだろうって諦めてた。

やっぱり裏切られた時に
傷付くのが恐かったから。

だけど隼人は本当に変わって、
毎日あたしを想ってくれてた。

だからいつの間にか信じていたんだ。
 

⏰:06/06/03 11:28 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#297 [ゆり]
別に内緒で会った訳でも

キスした訳でも

体の関係があった訳でもない。

こんなの世間じゃ
浮気なんて言わないのかもしれない。

こんな些細な事で…って
周りだって思うだろうし
自分だって情けないよ。


だけどそれだけ信じてた。

信じてたから。
 

⏰:06/06/03 11:30 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#298 [ゆり]
あたしは隼人にキスをして
舌を絡ませながら上にまたがった。

「…早くやれば?
どうせ最後にもう一回やってから別れたいんでしょ?」

あたしは冷めた声で言った。


こんな最後に
感動的な馴れ合いなんて必要ない。
 

⏰:06/06/03 11:33 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#299 [ゆり]
男はそんなもん…

あたしはそれだけの女。

そうやって割り切っていた方が楽。

心まで求めるから、
こんな風に傷付く。

あたしはもうこんな生き方しか出来ないし、
きっとこんな愛し方しか出来ないんだ。

ごめんね。

いつからこんなに弱くなったんだろう。  
 

⏰:06/06/03 11:35 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#300 [ゆり]
「…待って…話し」

隼人の声が少し震えた。

胸が痛んだ。

だけどもう無理じゃん。

戻れないじゃん。


あたしは苛立ちとか
切なさとか
ぐちゃぐちゃな感情で
隼人にキスをした。

隼人は何かをぶつけるように
あたしを抱いた。
 

⏰:06/06/03 11:37 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


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