〇ニ番目の四季〇
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#220 [ゆり]
やっぱり遊び人だった男だから
女の子を目で追う。
ミニスカとか
綺麗なお姉さんとか
大好物。
「あんた…また見てたでしょ?」
「見てねーって!!」
こんなくだらない内容でしょっちゅう喧嘩。
まぁあたしが一方的に不機嫌になってるだけだけど…
:06/05/31 22:47 :V703SH :SVEbQfnA
#221 [ゆり]
あたしと隼人の過去は違い過ぎて
たまに泣けるくらい辛くなる。
過去なのに。
気にしても意味ないって分かってるのに。
あたしこんなヤキモチ妬いた事ないのに。
「ごめんね、あたしが心狭いんだわ」
いつもこんな風に自分に言い聞かせてた。
:06/05/31 22:51 :V703SH :SVEbQfnA
#222 [ゆり]
そんなある日
生理が遅れてる事に気が付いた。
あたしは毎月ちゃんと決まった週に来るから
急に不安になった。
心辺りは一度だけあったから…
:06/05/31 22:54 :V703SH :SVEbQfnA
#223 [ひLI]
LIやあ
ッッ
(゚
゚
)
マヂ、ドキX02するッて
でもゆりチャンみたLIな
高橋サンの時みたLIな
相手を想う恋愛、
隼人クンのよお-な
愛し愛される恋愛…。
してみたLI
相手を想う気持ちッてのをゆりチャンの
小説読ンで
改めて気付かされた
ありがと(ー∀ー)
:06/05/31 23:37 :N901iC :epfGqGAg
#224 [あやぽん]
:06/06/01 01:28 :SH700i :Yk04/EkE
#225 [ゆり]
ひいサン☆あやぽんサン☆いつもありがとォ(*≧m≦*)読んでくれてほんと嬉しいわァ〜ッ☆
:06/06/01 06:20 :V703SH :c.8GcieI
#226 [ゆり]
あたしは隼人に遅れてる事を言う前に
いろいろ考えた。
もし出来てたら…
うちはお母さんが出てっちゃって、お父さんも仕事で居ないって家だったけど
学費は払ってもらってた。
だから学校はちゃんと卒業しなきゃいけないって気持ちが
常にあった。
:06/06/01 06:24 :V703SH :c.8GcieI
#227 [ゆり]
こんなちゃらんぽらんな外見だけど
成績も良かった。
だからかえって
妊娠して全てを失う事が怖い
と感じてしまった。
予定日から一週間過ぎた頃
あたしは誰にも話せないまま学校を早退した。
:06/06/01 06:28 :V703SH :c.8GcieI
#228 [ゆり]
学校でもいつも一緒にいる隼人が
あたしが早退した事を気付かない訳ない。
学校から出て
とぼとぼ歩いていると携帯が振動した。
着信
隼人
一瞬ためらった。
すぐに言い訳を考えて
電話に出た。
「もしもし?」
「あ、ゆり?帰ったの?どうした?」
:06/06/01 06:33 :V703SH :c.8GcieI
#229 [ゆり]
「あ〜ちょっと体調悪くなっちゃってさァ」
演技混じった嘘をついた。
「まじで?大丈夫?」
「だいじょぶだよ〜帰って寝るわ」
「うん…気をつけて帰れよ」
そう言われて電話を切った。
電車とバスを乗り継いで家に帰った。
その間もずっと
妊娠の事を考えていた。
:06/06/01 06:40 :V703SH :c.8GcieI
#230 [ゆり]
おろす事になるのかな…
産んだとしても
赤ちゃんが幸せになれないとか
言うつもりは全くない。
隼人と二人なら
幸せなんて簡単に見せてあげられるって
思うから。
だけど
じゃあ隼人は?
幸せ感じられる?
:06/06/01 06:44 :V703SH :c.8GcieI
#231 [ゆり]
あたしは泣いてた。
なんで涙が出るって
自分が情けなくて
ズルくて
無力だから。
誰かの為って言いながら
結局自分の為。
やる事やって
責任取れないなんて
ありえないよ。
:06/06/01 06:47 :V703SH :c.8GcieI
#232 [ゆり]
携帯が鳴った。
隼人だ。
涙を拭いて
咳ばらいで声を整えた。
「もしもし」
「家着いた?大丈夫?」
「うん着いたよ〜大丈夫だからそんな心配しんで(笑」
「だって心配だもん…」
「女の子みたいに言うなよ笑
ありがと!まじ大丈夫だから。もうすぐ講義始まるでしょ?」
あたしは時計をチラ見して言った。
:06/06/01 06:53 :V703SH :c.8GcieI
#233 [ゆり]
てっきりそれで終わると思った。
でも隼人は続けた。
「…お前生理きた?」
正直めちゃくちゃびっくりした。
「なんで…?」
「だって今月腹痛いとか言わねーじゃん」
あたしは生理痛がキツイから毎月痛い痛い悶えてた。
その度隼人は腰さすってくれたり
バック持ってくれたりしてた。
:06/06/01 06:58 :V703SH :c.8GcieI
#234 [ゆり]
「きてねーんだろ?」
隼人は少し怒った声になった。
あたしはまた泣いていた。
「ゆり?」
涙で言葉が出ない。
だって
どうしたらいいのか分からない。
「お前泣いてんの?なんで俺に言わねーんだよ!」
珍しく隼人が声を荒げた。
:06/06/01 07:02 :V703SH :c.8GcieI
#235 [ゆり]
「…ごめん…」
やっと出た言葉がこれだった。
あたしは電話を切った。
ベッドに潜り込んで泣いた。
なんでもっと上手に
生きられないんだろ。
:06/06/01 07:05 :V703SH :c.8GcieI
#236 [ゆり]
1時間半くらい経った頃
また携帯が鳴った。
隼人からのメールで
「出てきて」って内容だった。
あたしはどこに?と思いながら
階段を下りて外に出た。
汗だくの隼人がいた。
:06/06/01 07:08 :V703SH :c.8GcieI
#237 [ゆり]
泣き過ぎで頭がぼーっとしてる。
「隼人…もう秋だよ?」
あたしは真顔で言った。
「うるせーよ!笑
チャリで来たんだから仕方ねーだろ」
息が上がってた。
「学校からチャリで来たの?」
「うん、全力疾走で笑」
隼人は笑顔で顔を流れる汗を拭いた。
:06/06/01 07:12 :V703SH :c.8GcieI
#238 [ゆり]
「…なんでぇ?」
あたしはアホな子みたいに
首を傾げて聞いた。
全然頭が働かない。
「ゆりに会いたかったから」
隼人はまた笑顔でそう言い
あたしの手を握った。
「検査するやつ…検査薬っつーの? 買ってきたから。
出来るか?」
:06/06/01 07:16 :V703SH :c.8GcieI
#239 [ゆり]
検査薬…
その言葉でようやく頭が働き出した。
「恐い…」
あたしは俯いた。
握られる手に力が入る。
「やらないままでも不安なだけだろ?
俺待ってるから」
しばらく俯いて
あたしは頷いた。
「わかった…」
:06/06/01 07:19 :V703SH :c.8GcieI
#240 [ゆり]
自転車にかけてあった袋を外し
あたしに渡す。
中にはポカリとプリンとポッキーも入ってた。
「ちゃんと出来たらポッキー食わせてやるよ」
笑って隼人が言った。
「それ新商品の苺のやつ?絶対食べたい」
「じゃあ頑張れ!俺ここにいるからな」
優しく笑ってくれた隼人に後押しされて
あたしは家に入った。
:06/06/01 07:25 :V703SH :c.8GcieI
#241 [ゆり]
トイレに入って
箱を開けて
説明書を簡単に読んで
検査した。
何を祈る訳でもなく、
時間が過ぎるのを待った。
結果は
陰性。
妊娠してなかった。
:06/06/01 07:27 :V703SH :c.8GcieI
#242 [ゆり]
あたしは無言のまま
検査薬を袋に入れて
ごみ箱の奥の方につっこんで
家を出た。
外には落ち着かない様子で煙草を吸う隼人がいた。
あたしに気付き煙草を消す。
「ゆり!どうだった?ちゃんと出来たか?」
「…出来た。だからポッキー」
あたしは右手を出した。
その手を強く握って
「後だよバカ!結果は!?」
と言った。
:06/06/01 07:35 :V703SH :c.8GcieI
#243 [ゆり]
「妊娠してませんでした…
お騒がせしてごめんなさい」
あたしは頭を下げた。
隼人は気が抜けた顔を見せた。
「まじで?」
その後に両手であたしの手を握って
大きな溜め息を吐いて言った。
「ゆり…ごめんな…」
:06/06/01 07:39 :V703SH :c.8GcieI
#244 [ゆり]
「…なんで?」
「不安だったよな、もっと早く気付いてやれなくて
ほんとごめん」
「…隼人って優しいね」
あたしはしみじみ感じた。
2時間くらいかかる距離をチャリで走ってきてくれた。
検査薬買うのも
恥ずかしかっただろうな。
あたしが好きなチョコレートもちゃんと買ってきてくれて
本当に嬉しかった。
:06/06/01 07:45 :V703SH :c.8GcieI
#245 [ゆり]
「ゆり、体調大丈夫?」
「うん大丈夫!ありがとッ」
隼人は右手で自転車を引き
左手であたしの手を握って歩き出した。
「公園でポッキー食おうぜ」
「食おう食おうッ♪」
あたしが笑ってるのを見て
隼人も笑ってくれた。
:06/06/01 07:51 :V703SH :c.8GcieI
#246 [ゆり]
公園に着いて
ベンチの近くにチャリを止める。
「こっち綺麗だよ」
そう言って綺麗な方のベンチに座らせてくれる。
自然に出る優しさが
ほんと凄いなっていつも思う。
こんな優しさに慣れてしまわないように
「ありがとう」は忘れない。
:06/06/01 07:52 :V703SH :c.8GcieI
#247 [ゆり]
座ると隼人はポカリをがぶ飲み。
「飲んでれば良かったのに(笑」
「お前が辛い思いしてる時に
のんきにポカリなんて飲めないっしょ」
「いやいや子供産んでた訳じゃないんだから…笑」
隼人は少し視線を落とした。
:06/06/01 07:56 :V703SH :c.8GcieI
#248 [ゆり]
「俺さ〜ずっと考えてたんだけど
子供出来てたら学校辞めて働くつもりだったよ」
真剣な横顔が
すごく嬉しかった。
「ありがと…」
「俺まじでお前と結婚するって誓ったし!」
「…誰にだよ笑」
「自分に誓ったの!」
一生懸命な隼人が愛しくて
本当に優しい気持ちに包まれた。
少し冷えた秋の風が
とても温かく感じたんだ。
:06/06/01 08:02 :V703SH :c.8GcieI
#249 [ひLI]
隼人クン優しスギ
ゆりチャンもちゃンと
考えてて偉LI
なンか見てて
ドキX02
したり
1囚でニヤX02したり
自分怖LIンです`(・З・)笑
:06/06/01 13:05 :N901iC :feSxTEu.
#250 [ケン]
:06/06/01 13:19 :N900i :HDd5zafM
#251 [ひLI]
ケンサン
やばイよねッッ
(゚
゚
)
更新されるの
すごLI楽しみなンだあ
ゆりチャン
がむばれ
+゚
:06/06/01 14:07 :N901iC :feSxTEu.
#252 [ゆり]
ひいチャン☆ケンサン☆
感想ありがとォ〜(*´∪`*)
ニヤAしちャうッ?(*≧□≦*)すいませんッ!!
:06/06/02 13:47 :V703SH :Zfxg/uXs
#253 [ゆり]
周りから見たら
幸せな二人に見えるはず。
でもあたしは
隼人の過去が乗り越えられずにいた。
あたしは
こんな茶髪に巻き髪で
軽そうに見られるだろうけど
頭は堅い。
今までコンパもした事ないし
ナンパについてった事もない
簡単に言えば
そんな真面目な道を歩いてきた自分が少し嫌だった。
:06/06/02 13:48 :V703SH :Zfxg/uXs
#254 [ゆり]
こんなあたしだから
隼人は好きになってくれたのかもしれないけど
隼人はコンパもして
ナンパもして
紹介とかもしてて
自分でも子供だなって思うけど
そんな過去の距離が
どうしようもなく嫌だった。
:06/06/02 13:50 :V703SH :Zfxg/uXs
#255 [ゆり]
「ゆり、寒くない?」
季節は冬。
あたしは相変わらず薄着。
「お前何枚着とんの?」
「2枚」
「ありえん!!もっと着ろって!風邪引くぞ!」
「大丈夫。皮下脂肪があたしを守ってるから」
「すぐあー言やこー言うなお前は(笑」
いつものやりとりが
幸せなのに
こんな寒い日は余計切なくなるんだ。
隼人は過去に何人とこうやって冬を越えてきたんだろう。
:06/06/02 13:52 :V703SH :Zfxg/uXs
#256 [ゆり]
あたしは昔から臆病だから
失った時に大袈裟に傷付いたりしないように
少し距離を空けて付き合ってきた。
だけど毎日一緒にいる隼人とは
上手に距離間が保てなくて
隼人ばっかりになる自分が
少し恐い。
こんな気持ちきっと
隼人には分からないかもしれないけど。
綺麗事で馴れ合う様な関係なんて
あたしは求めてないのに。
:06/06/02 13:56 :V703SH :Zfxg/uXs
#257 [ゆり]
雪が溶けて
桜が咲いて
春が来た。
あたし達が出会った季節。
毎日一緒にいるから
まだ1年なんて
なんか信じられないよね。
:06/06/02 13:59 :V703SH :Zfxg/uXs
#258 [ゆり]
そんな中
新入生歓迎会があった。
全部が崩れてしまった日。
今もまだ
辛い。
:06/06/02 14:01 :V703SH :Zfxg/uXs
#259 [ゆり]
その日
あたしはいつも通りで
髪を巻いて
香水をつけて
時計をはめて家を出た。
バスと地下鉄を乗り継いで学校へ向かった。
いつもは少し遅れてくるくせに
珍しくホームで隼人が待ってた。
:06/06/02 17:32 :V703SH :Zfxg/uXs
#260 [ゆり]
「おはよ〜♪」
「おはよ♪
朝からずいぶんご機嫌ですね☆」
あたしはこの瞬間から嫌な予感はあったんだ。
やたら髪はバッチリセットされてるし
香水はクロームだし。
お兄臭ムンムン。
(こりゃなんかやらかすな)
そう思いながら二人で学校に行った。
:06/06/02 17:35 :V703SH :Zfxg/uXs
#261 [ゆり]
午後の講義も終えて
夕方の6時から
新歓開始。
あたしは友達に「また後でね〜」と言って
隼人と会場まで向かった。
入口では4年の先輩が費用を集めてた。
「1年以外は3500円ね〜」
(高ッ!!食べ放題行けるじゃん)
そう思いながら財布から4000円を出した。
:06/06/02 17:43 :V703SH :Zfxg/uXs
#262 [ゆり]
「あッCHANELの財布かわい〜♪ ハイッお釣り500円ね〜♪」
その時なぁんか嫌な気分になった。
後で聞いたんだけど
この先輩、隼人がお気に入りだったんだって。
あたし宣戦布告されてたっぽい。
:06/06/02 17:53 :V703SH :Zfxg/uXs
#263 [ゆり]
なんも気付かないあたしは
愛想笑いで交わして
店に入った。
店は座敷で、10人ずつくらい仕切られてる所だった。
「ゆりちゃ〜ん!!こっちこっち☆」
遠くから友達が呼ぶ。
あたしは隼人に
「ごめん、ちょっと行くね!」
そう言って友達の所に座った。
:06/06/02 17:57 :V703SH :Zfxg/uXs
#264 [ゆり]
いつも隼人と一緒にいるから
友達と飲むのも久しぶり。
「今日は隼人クンじゃなくて、うちらと飲んでよね〜!」
「わぁかってるよ(笑」
あたしは友達に両端を固められて
軽い監禁状態だった。
:06/06/02 18:02 :V703SH :Zfxg/uXs
#265 [ゆり]
横には友達、
前にはカッコイイって騒がれてた
一年男子が数人がいた。
「先輩ってあのギャル男っぽい先輩と長いんすか〜?」
「ん〜もうすぐ1年だよ〜」
「長いっすねー!いいな〜」
「てか付き合ってんの知ってるんだ?笑」
「だって先輩達目立ちますもん(笑」
:06/06/02 18:06 :V703SH :Zfxg/uXs
#266 [ゆり]
そんな会話をしながら、
あたしはカクテルを飲んでた。
隼人はどこかな?
とか気にしながら。
「先輩〜」
いつの間にか隣には
一年ナンバーワンボーイが。
爽やか系。
色が黒い隼人に見慣れてたから
なんか新鮮だった。
「なに?」
:06/06/02 18:18 :V703SH :Zfxg/uXs
#267 [ゆり]
「メアドとか聞いたらヤバイっすか?」
「ん〜ヤバイっすね(笑」
「えー!!彼氏厳しいんですか?」
「厳しいってか、泣いちゃう(笑」
あたしはただ単純に
隼人が嫌がるだろう事はしたくなかった。
爽やかな顔して以外にしつこかったから
「ちょっとトイレ〜」
そう言って席を立った。
:06/06/02 18:23 :V703SH :Zfxg/uXs
#268 [ゆり]
あたしは素足でペタペタ歩いてトイレに向かった。
そこで見たのが
隼人と4年の先輩だった。
(うわッ)
あたしは見ちゃいけないものを見てしまった、
そんな感じでまだ多少余裕はあった。
:06/06/02 18:27 :V703SH :Zfxg/uXs
#269 [ゆり]
「隼人くん〜ケー番教えてよ〜♪」
「やー…」
「就活とかの相談乗るしさ♪いーぢゃん♪」
「ん〜じゃあコレ」
そう言って隼人は携帯を開き
先輩に渡した。
あたしのさっきまでの余裕は
木っ端みじんになった。
前に進めばいいのか
戻ればいいのか
分からない。
:06/06/02 18:33 :V703SH :Zfxg/uXs
#270 [ゆり]
結局あたしは
静かに回れ右をして
席に戻った。
「先輩おかえり〜♪」
「ゆりチャンおかえり〜♪」
爽やかボーイと友達がお出迎え。
「ただいま〜混んでて入れなかったぁ」
やばい、泣きそう。
そう思いながら
笑った。
:06/06/02 18:37 :V703SH :Zfxg/uXs
#271 [ゆり]
「まぢかぁー!また後で行っといで♪」
周りは楽しい雰囲気。
こんなとこで泣けないし、帰ったりして雰囲気壊せない。
話して
笑って
はしゃいでいても
頭ん中は
さっきの光景ばかり。
普段のあたしなら
飛び蹴りでもアッパーでもかましてやるのに
実際
ただ頭が真っ白になるだけ。
平気なフリでいっぱいいっぱいだった。
:06/06/02 18:41 :V703SH :Zfxg/uXs
#272 [ゆり]
次の瞬間
追い打ちをかける様に
ベロベロに酔った隼人が来た。
「みんな飲んでるー!?」
ビール瓶を両手に持って、
ありえんくらいのハイテンション。
周りは盛り上がってたけど
あたしはそんな隼人見たくなかった。
「ゆりちゃん!ちょー来て〜♪」
そう言うと同時に
隼人はあたしの腕を掴んで違う席に連れていった。
:06/06/02 18:44 :V703SH :Zfxg/uXs
#273 [ゆり]
その席には
一年の女の子ばっかり。
あたしは強引に隼人に肩を抱かれた。
「俺の彼女のゆりちゃんでーすッッ♪」
「いえーぃッッ♪」
「綺麗〜♪お似合い〜♪」
女の子達はきゃぁきゃぁ盛り上がる。
無理矢理席に座らされ
皆に見られて
あたしは人形か。
屈辱感でいっぱいだった。
:06/06/02 18:49 :V703SH :Zfxg/uXs
#274 [ゆり]
雰囲気だけは壊さないように
笑顔で席を立って
戻ろうとした。
裏で隼人に手を掴まれた。
「どうした?」
「何が?」
「なんか機嫌悪い?」
「別に」
実際隼人はそこまで酔ってなかった。
だからかえってムカついた。
酔ったフリしてあれだよ。
:06/06/02 18:52 :V703SH :Zfxg/uXs
#275 [ゆり]
「離して?
あたし向こうで飲むから」
「…わかった」
手の力が緩んだ瞬間
あたしは隼人から離れた。
トイレに入り
少し泣いた。
なんかよくわかんないけど
涙が出た。
:06/06/02 18:54 :V703SH :Zfxg/uXs
#276 [ゆり]
上を向いて
中指で涙を拭いて
鏡でチェックして
あたしは席に戻った。
友達は完全に潰れてて
隣に岩田くんがきた。
岩田くんは隼人の友達で、クラスメイト。
「ゆりちゃん、あいつちょっとヤバくない?」
あたしはカシスソーダを一口飲んだ。
「なんで〜?」
「やり過ぎっつーか、さっき一年の子の腰に手回してたし」
「…」
:06/06/02 19:01 :V703SH :Zfxg/uXs
#277 [ゆり]
「先輩とケー番も交換してたよ?」
「…ふ〜ん…やるね〜アイツも(笑」
何かごまかす様に
あたしは近くのグラスのお酒を飲み込んだ。
「苦いッ」
「あ〜それ俺のっすよ〜」
「あ、爽やかボーイの?いいじゃんいいじゃん!追加頼もうッ」
あたしはよくわかんないまま
夢中で違う事を考えようとしてた。
岩田くんは心配そうに
あたしを見ててくれた。
:06/06/02 19:06 :V703SH :Zfxg/uXs
#278 [ゆり]
それからあたしは
隼人の行く先も
行動も
聞こえてくる騒ぎ声も
全部見ないフリした。
午後9時。
「そろそろお開きだよ〜!!皆気をつけて帰ってね〜♪」
4年の先輩の声が響き渡る。
あたしは靴箱の鍵を手に取って
席を立った。
:06/06/02 19:10 :V703SH :Zfxg/uXs
#279 [ゆり]
「先輩!彼氏さんに飽きたら連絡下さい♪」
爽やかボーイはそう言って
アドを書いた紙をあたしに押し付け帰っていった。
「ゆ〜りチャン♪」
ご機嫌なテンションで肩を組んできた隼人。
あたしは
「酒臭い」
と一言言って手を払いのけた。
その時見たのが隼人と一年生の子のアイコンタクト。
:06/06/02 19:16 :V703SH :Zfxg/uXs
#280 [ゆり]
「彼女怒っちゃったんですかぁ?」
「なんかそうみたい」
そんなやりとりが
目だけで行われてた。
そして違う一年生の女の子軍団が
「先輩かっこい〜♪」
とかはしゃぎながら帰ってく。
それに「お疲れね〜♪」とか笑顔で手を振る隼人。
こんな気持ち
なんて言えばいいの?
:06/06/02 19:23 :V703SH :Zfxg/uXs
#281 [ゆり]
あたしは友達に笑顔でバイバイを言って
足早に店を出た。
早く誰もいない所に行きたかった。
歩きながら
涙は出てた。
(あたし涙腺緩過ぎ)
涙を拭いて
スピードを上げた。
交差点を渡ってる途中で
手を掴まれた。
:06/06/02 19:32 :V703SH :Zfxg/uXs
#282 [なみ☆]
頑張って
:06/06/02 21:21 :N900iS :piV1i12I
#283 [ひLI]
:06/06/02 22:39 :N901iC :edp75stM
#284 [ゆり]
なみチャン☆ひいチャン☆いつも応援してくれてほんとありがとッ(´∀`*)♪ちょっと更新するからよかったら読んで下さい☆
:06/06/03 10:48 :V703SH :ip8fjOhw
#285 [ゆり]
「離して」
あたしは冷たい声でそう言った。
それでも隼人は手首を強く握り
離さなかった。
あたしはもう
言葉で言えない感情に支配されてて
涙を堪える事だけに必死だった。
「何怒ってんの?」
息が整わないまま隼人が言う。
「…もういいから、離して」
:06/06/03 10:50 :V703SH :ip8fjOhw
#286 [ゆり]
不快。
この無神経な言葉も
強く握られる手の感触も
1年の女の子達も
メアド交換してた先輩も
今向けられてる視線も
街のネオンも
車のクラクションの音も
排気ガスの匂いも
全部が不快。
:06/06/03 10:55 :V703SH :ip8fjOhw
#287 [ゆり]
崩れちゃったね
二人に1番必要だった
二人を繋いでた
信頼が。
「話し聞けって…」
そう言って隼人はあたしを裏道に連れて行った。
不快な音や匂いが消えた。
だけど手の感触だけが残ってる。
「あたしは話す事なんてないよ」
:06/06/03 10:57 :V703SH :ip8fjOhw
#288 [ゆり]
その言葉に
最初隼人は逆切れした。
何もしてない、だとか
楽しめって言ったのはお前だろ、とか。
あたしは黙って聞いた。
聞くだけ情けなくなった。
何も言わないあたしに
今度は謝りだした。
調子乗りすぎた、だとか
皆を盛り上げたかったんだ、とか。
:06/06/03 10:59 :V703SH :ip8fjOhw
#289 [ゆり]
あたしは黙って聞いてたけど、
もう馬鹿馬鹿しくって、
薬指の証を外した。
生まれて初めてのペアリングだった。
別れの言葉と一緒に
隼人に投げた。
:06/06/03 11:01 :V703SH :ip8fjOhw
#290 [ゆり]
悲しい?
虚しい?
ううん、何より悔しい。
あたしにだって女としてのプライドがあるから。
隼人はコンクリートに落ちた指輪を無視して
背を向けたあたしの手を取った。
離して、と言う言葉も無視して
無理矢理キスをした。
:06/06/03 11:13 :V703SH :ip8fjOhw
#291 [ゆり]
唇を重ねて
全部なかった事にできたなら
どれだけ楽だろう。
あたしは涙が堪えられなかった。
もうどうしようもない
あたしだってなんとか出来るなら
なんとかしたい。
でももう戻れないよ。
:06/06/03 11:16 :V703SH :ip8fjOhw
#292 [ゆり]
子供みたいに泣くあたしを
隼人が無理矢理引っ張って
連れて入ったのはホテルだった。
適当に部屋番号を押して
エレベーターに乗った。
手は強く握られたままで、
目は合わさない。
隼人がこんなに強引になったのは初めてだ。
あたしはもう抵抗する気もなくなって、
黙って部屋に入った。
:06/06/03 11:19 :V703SH :ip8fjOhw
#293 [ゆり]
部屋に入ると
隼人は重い溜め息を吐いて
ベットに腰を下ろした。
「本当…ごめん」
その謝罪の言葉が
現実を連れて来て
あたしは唇を噛んだ。
ただ涙を堪えた。
:06/06/03 11:21 :V703SH :ip8fjOhw
#294 [ゆり]
こんな事くらいで泣きたくない
うるさく言いたくない
傷付いたなんて思いたくない。
これ以上涙を流さない事が
あたしのくだらないプライドを守る
精一杯だった。
さっきまでとは別人の様に
頭を抱えてうなだれる隼人がいた。
隼人は自分の隣を手で叩き、
来いと催促した。
:06/06/03 11:22 :V703SH :ip8fjOhw
#295 [ゆり]
あたしは黙って彼の隣に座った。
どうせ強引に抱かれるんだろう
と思いながら。
すると手を握られた。
強かったけど、
とても優しく感じた。
「許してもらうつもりはないけど…
また信じさせるから」
下を向いたまま、
隼人はそう言った。
:06/06/03 11:26 :V703SH :ip8fjOhw
#296 [ゆり]
また信じさせる?
たった3時間で
一年間積み上げたものを
簡単に壊したくせに。
チャラ男だった隼人を
あたしは信じてなかった。
どうせ浮気するんだろうって諦めてた。
やっぱり裏切られた時に
傷付くのが恐かったから。
だけど隼人は本当に変わって、
毎日あたしを想ってくれてた。
だからいつの間にか信じていたんだ。
:06/06/03 11:28 :V703SH :ip8fjOhw
#297 [ゆり]
別に内緒で会った訳でも
キスした訳でも
体の関係があった訳でもない。
こんなの世間じゃ
浮気なんて言わないのかもしれない。
こんな些細な事で…って
周りだって思うだろうし
自分だって情けないよ。
だけどそれだけ信じてた。
信じてたから。
:06/06/03 11:30 :V703SH :ip8fjOhw
#298 [ゆり]
あたしは隼人にキスをして
舌を絡ませながら上にまたがった。
「…早くやれば?
どうせ最後にもう一回やってから別れたいんでしょ?」
あたしは冷めた声で言った。
こんな最後に
感動的な馴れ合いなんて必要ない。
:06/06/03 11:33 :V703SH :ip8fjOhw
#299 [ゆり]
男はそんなもん…
あたしはそれだけの女。
そうやって割り切っていた方が楽。
心まで求めるから、
こんな風に傷付く。
あたしはもうこんな生き方しか出来ないし、
きっとこんな愛し方しか出来ないんだ。
ごめんね。
いつからこんなに弱くなったんだろう。
:06/06/03 11:35 :V703SH :ip8fjOhw
#300 [ゆり]
「…待って…話し」
隼人の声が少し震えた。
胸が痛んだ。
だけどもう無理じゃん。
戻れないじゃん。
あたしは苛立ちとか
切なさとか
ぐちゃぐちゃな感情で
隼人にキスをした。
隼人は何かをぶつけるように
あたしを抱いた。
:06/06/03 11:37 :V703SH :ip8fjOhw
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