俺がホストじゃなかったら
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#282 [ゆう]
「ユウさん何か元気ないっすよー」

ルイはそう言って、飲んでいたコーラをストローでブクブクさせた

「やめろよ汚ねーだろ」

俺が注意するとルイは嬉しそうに

「今の、父親っぽいっすね!」

と言った

⏰:07/08/13 23:42 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#283 [ゆう]
俺はその『父親っぽい』って言葉に涙が出そうだった

なれるはずだったのに‥


「どうしたんすかユウさん!‥泣いてるんです?」

俺は小さな声で

「子供、ダメになったんだ」

それだけ言った

⏰:07/08/13 23:47 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#284 [ゆう]
「え‥流産したんですか‥?」

俺は顔を横に振った

「‥‥堕ろしたって‥」

俺は我慢できずに下を向いて少し泣いた

「なんで‥?」

ルイはそう俺に聞いたけど、そんなこと俺が一番知りたいこと

⏰:07/08/13 23:52 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#285 [ゆう]
俺はただ

「わかんね」

とだけ言った

その後特に会話をするわけでもなく、ファミレスを出て別れた

俺の向かった先は、タツミさんのアパートだった

⏰:07/08/14 04:30 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#286 [ゆう]
ここに来るのは何年かぶりだった

インターフォンを鳴らすとタツミさんが走って来てドアを開けてくれた

「ナオキ?どうしたん?」

タツミさんは俺を本名で呼んだ

なんか懐かしくて癒された

⏰:07/08/14 16:14 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#287 [ゆう]
「まぁ飲めよ」

俺をリビングのソファーに座らせたタツミさんがオレンジジュースを出してくれた

「いただきます‥うわっ」

オレンジジュースじゃなかった

「酒入ってる、最悪っすね」

俺は笑いながら言った

⏰:07/08/17 02:51 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#288 [ゆう]
「バカか!この俺がソフトドリンクなんか出すと思うな!俺お手製のスクリュードライバーだよ」

タツミさんは自信満々にそう言った

「あはは、タツミさん、スクリュードライバーはウォッカっすよ。これ多分、ジン入ってます」

俺は笑った

昔からタツミさんはどこか抜けてる

それが素直に面白かった

⏰:07/08/17 02:57 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#289 [ゆう]
「‥なんだ、ナオキちゃんと笑えるじゃん」

タツミさんは安心したように言った

「何があったか、言いなさい」

タツミさんが優しく俺に視線を向けた

タツミさんはやっぱり、俺の父親的存在だなぁ

この時改めて思った

⏰:07/08/17 02:59 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#290 [ゆう]
「俺、ずっと前から好きな女がいるんです。多分、俺が19歳の時から」

俺は静かに話し始めた

ひとつひとつ、大切に思い出しながら


「俺が好きになった女は、ホストにハマってキャバで働くようになった子でした。セイヤってわかりますか?○○の代表の。担当はそいつでした」

「あぁ‥わかるよ」

タツミさんはたまに相槌をうった

⏰:07/08/17 10:39 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#291 [ゆう]
「その時ぐらいに俺、自分の客が店に来るためにソープで働いてるって知ったんです。ハタチのバースデーの時でした」

俺はエリコさんを思い出した

「他に俺の客で風俗の子とかキャバの子って沢山いるけど、その人は違いました。その人、俺と出会った時は普通のOLさんでした。俺のせいで、ソープで働くようになって、俺の太客になりました。俺がその人を変えてしまいました」

⏰:07/08/17 10:50 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


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