俺がホストじゃなかったら
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#1 [ゆう]
お前をこんなに傷つけることはなかったのに。

お前を悲しませることはなかったのに。

だけどホストだったから、お前に逢えたんだね。


でもやっぱり、俺がホストだったから、こんな悲しい別れ方をしなきゃいけなかったんだ。

⏰:07/07/03 00:04 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#2 [ゆう]
この話しは、俺の過去の話しです。
俺の、忘れられない女の話しです。
普段あまり文章を書いたりしないんで読みにくかったり分かりにくかったりすると思いますが、よかったら読んでください

⏰:07/07/03 00:07 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#3 [ゆう]
ホストクラブ

ここが「ゆう」としての始まりだった

その時は確か、18歳の冬だった

俺のそれまでの18年間は空っぽだった

だからこの世界に足を踏み入れたのかもしれないし、この世界で過ごした4年間が綺麗な思い出になったのも、俺がそれまで空虚な生活を送っていたからかもしれない

⏰:07/07/03 01:43 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#4 [ゆう]
ホストになるまではメンズバーでバイトをしていたから、仕事はそう新鮮で未知なモノではなかった。

ただ最初は、目標もなく入った俺にはダルいだけの仕事だった

ナンバーも売り上げも関係ないと思ってた

最初は、ヘルプを上がる努力すらまともにしなかった

ただ先輩の席について当たり障りない手伝いをするだけの、何の魅力もない18歳の新米ホストだった

⏰:07/07/03 01:49 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#5 [ゆう]
「そこのおねーさん暇?」

寒い真冬の夜、駅前で俺は客引きをしていた

俺はキャッチが嫌いだった

この時だけは、ナンバー入ればこんなことしなくて済むのに、なんて考えた


「暇じゃないし」

俺が声をかけた女は鬱陶しそうに俺を避けて歩いた

⏰:07/07/03 01:53 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#6 [ゆう]
俺は気にせず横を歩く

「つめてーなおねーさん。うわっ、手も冷たいよ?」

俺はその女の手を握ってみた

そこで初めて女は歩くのをやめて、俺の顔を見た


「ホストってほんとウザい。特にこの時間こんな所で客引きなんかやらされてるショボいホストが一番ウザい」

女はそう吐き捨てまた歩きだした

⏰:07/07/03 01:57 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#7 [ゆう]
正直なんとも思わなかった

確かにこの時間こんな所で客引いてるホストなんて大抵はショボいし、知らないガキに手なんか握られたらウザいだろうし。

「そんなひどいこと言わないでさー意外とショボいホストも楽しいかもよっ」

俺はそう言うと持っていた手袋に自分の名刺を挟んで女に渡した

「女の人って手足冷やすとダメなんでしょ?じゃあ、気をつけてね」

軽く手を振ってすぐその場から離れた

女がこっちを見ているのが分かった

後にこの女が俺の太客になった

⏰:07/07/03 02:04 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#8 [ゆう]
この女が近いうちに連絡入れてくるのも、店に来るのも、なんとなく18歳の新米ホストなりに予想はしていた。

それはその真夜中、当然のように俺の携帯が鳴った

ディスプレイには知らない番号

さっきの女以外考えられなかったけど、俺は少し冷たく

「誰?」と言った

「あ、今日駅で会ったんだけどわかるかな」

女は控えめに言った

「ん〜‥‥‥あ!手袋のおねーさんだ!」

俺は少し考えるフリをした後、愛想よく答えた

「手袋ありがとう。あの‥あなたのお店の場所知ってるし、手袋も返したいから‥今週お店行くね」

「あー手袋返さなくていいよ!おねーさんにあげる」

この会話は、俺の予想そのままだった


ただ予想外だったのは、

この女がありえないくらい金持ちだったこと。

⏰:07/07/03 02:15 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#9 [ゆう]
「もらっていいの?でもやっぱり、お店には行こうかな‥ゆうくんって言うんだよね?」

「うん、ゆうだよー。いつか来てくれるの待ってるね!じゃあ、仕事中だから、またね。おやすみなさーい」

俺は手短に、でも愛想よく電話を切った


近くにいた先輩に、

「お前が本気出したらすぐ一人前のプレイヤーになれるのに」

って言われた

俺だってそんなこと分かってた

ただ今のこの、期待もされず見捨てられもしないポジションに居心地の良さを感じていた


だけど人は金で変わる
夜の世界で金を見ると、きっと上を目指す意欲が強くなる

その時の俺はまだ、そうなる前だった

⏰:07/07/03 02:25 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#10 [ゆう]
その週の金曜日、手袋のおねーさんが店に来た。

そして俺を指名した。

ほどよく暗い店内で真横に座る¨手袋のおねーさん¨は、この前駅で見た時よりずっと綺麗に見えた


「おねーさん久しぶり今日も手冷たいんだね笑」

俺はまた手を握ってみた

でも今日はウザそうな顔はしなかった。

「久しぶりさてと、何頼めばいいのかな‥?」

⏰:07/07/03 02:35 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


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