俺がホストじゃなかったら
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#283 [ゆう]
俺はその『父親っぽい』って言葉に涙が出そうだった
なれるはずだったのに‥
「どうしたんすかユウさん!‥泣いてるんです?」
俺は小さな声で
「子供、ダメになったんだ」
それだけ言った
:07/08/13 23:47 :D902iS :☆☆☆
#284 [ゆう]
「え‥流産したんですか‥?」
俺は顔を横に振った
「‥‥堕ろしたって‥」
俺は我慢できずに下を向いて少し泣いた
「なんで‥?」
ルイはそう俺に聞いたけど、そんなこと俺が一番知りたいこと
:07/08/13 23:52 :D902iS :☆☆☆
#285 [ゆう]
俺はただ
「わかんね」
とだけ言った
その後特に会話をするわけでもなく、ファミレスを出て別れた
俺の向かった先は、タツミさんのアパートだった
:07/08/14 04:30 :D902iS :☆☆☆
#286 [ゆう]
ここに来るのは何年かぶりだった
インターフォンを鳴らすとタツミさんが走って来てドアを開けてくれた
「ナオキ?どうしたん?」
タツミさんは俺を本名で呼んだ
なんか懐かしくて癒された
:07/08/14 16:14 :D902iS :☆☆☆
#287 [ゆう]
「まぁ飲めよ」
俺をリビングのソファーに座らせたタツミさんがオレンジジュースを出してくれた
「いただきます‥うわっ」
オレンジジュースじゃなかった
「酒入ってる、最悪っすね」
俺は笑いながら言った
:07/08/17 02:51 :D902iS :☆☆☆
#288 [ゆう]
「バカか!この俺がソフトドリンクなんか出すと思うな!俺お手製のスクリュードライバーだよ」
タツミさんは自信満々にそう言った
「あはは、タツミさん、スクリュードライバーはウォッカっすよ。これ多分、ジン入ってます」
俺は笑った
昔からタツミさんはどこか抜けてる
それが素直に面白かった
:07/08/17 02:57 :D902iS :☆☆☆
#289 [ゆう]
「‥なんだ、ナオキちゃんと笑えるじゃん」
タツミさんは安心したように言った
「何があったか、言いなさい」
タツミさんが優しく俺に視線を向けた
タツミさんはやっぱり、俺の父親的存在だなぁ
この時改めて思った
:07/08/17 02:59 :D902iS :☆☆☆
#290 [ゆう]
「俺、ずっと前から好きな女がいるんです。多分、俺が19歳の時から」
俺は静かに話し始めた
ひとつひとつ、大切に思い出しながら
「俺が好きになった女は、ホストにハマってキャバで働くようになった子でした。セイヤってわかりますか?○○の代表の。担当はそいつでした」
「あぁ‥わかるよ」
タツミさんはたまに相槌をうった
:07/08/17 10:39 :D902iS :☆☆☆
#291 [ゆう]
「その時ぐらいに俺、自分の客が店に来るためにソープで働いてるって知ったんです。ハタチのバースデーの時でした」
俺はエリコさんを思い出した
「他に俺の客で風俗の子とかキャバの子って沢山いるけど、その人は違いました。その人、俺と出会った時は普通のOLさんでした。俺のせいで、ソープで働くようになって、俺の太客になりました。俺がその人を変えてしまいました」
:07/08/17 10:50 :D902iS :☆☆☆
#292 [ゆう]
タツミさんは何も言わないでずっと俺を見ていた
「それで俺、すげー落ち込んで。俺がホストじゃなかったらこの人の人生は狂わなかったんだって、そう思いました」
「そんな時、ずっと俺を支えてくれてたのは、レナでした。それからちょっとして、成り行きでレナは俺の家に住むことになって、ちょっとの間二人で暮らしてました」
俺は、溶けていくグラスの氷をずっと見ていた
:07/08/17 11:59 :D902iS :☆☆☆
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