俺がホストじゃなかったら
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#291 [ゆう]
「その時ぐらいに俺、自分の客が店に来るためにソープで働いてるって知ったんです。ハタチのバースデーの時でした」
俺はエリコさんを思い出した
「他に俺の客で風俗の子とかキャバの子って沢山いるけど、その人は違いました。その人、俺と出会った時は普通のOLさんでした。俺のせいで、ソープで働くようになって、俺の太客になりました。俺がその人を変えてしまいました」
:07/08/17 10:50 :D902iS :☆☆☆
#292 [ゆう]
タツミさんは何も言わないでずっと俺を見ていた
「それで俺、すげー落ち込んで。俺がホストじゃなかったらこの人の人生は狂わなかったんだって、そう思いました」
「そんな時、ずっと俺を支えてくれてたのは、レナでした。それからちょっとして、成り行きでレナは俺の家に住むことになって、ちょっとの間二人で暮らしてました」
俺は、溶けていくグラスの氷をずっと見ていた
:07/08/17 11:59 :D902iS :☆☆☆
#293 [ゆう]
「でも二人暮らしはすぐ終わりました。レナの電話を聞いちゃって。俺は都合良く使ってるだけだって、寝床にしてるだけだって、そう言ってました」
タツミさんの表情が曇った
「で、部屋出てってもらいました。しばらくの間めっちゃ落ち込んだし女癖も前よりもっと悪くなって。だから、刺されたこともありました」
俺は笑って言った
タツミさんは苦笑いだった
:07/08/17 13:32 :D902iS :☆☆☆
#294 [ゆう]
「だけどしばらくしてレナが店に来ました。謝りに。あの電話は誤解だって言ってました」
「本当に誤解なのか?」
タツミさんの問いに俺は
「わかりません。でもその時の俺は、好きな女は信じるしかねーだろと思って、許して、また一緒に住み始めました」
そう言った
:07/08/17 13:35 :D902iS :☆☆☆
#295 [ゆう]
「それからまた成り行きで、付き合うことになりました。その時レナはキャバ辞めてて、昼間働いてました。だけど付き合って少し経って、またキャバ嬢に戻りました。でも本当は、セクキャバでした」
「お前の店に通うために?」
タツミさんは静かに俺に聞いた
:07/08/17 13:41 :D902iS :☆☆☆
#296 [ゆう]
「レナがセクキャバで働いてるって知った時に問いつめたら、そうやって言ってましたね。俺の店に行きたいからだって。だから俺、また思ったんです。俺がホストじゃなかったらレナはこんな思いしなくて済んだのにって。それで、店には来るなって言ってレナにはセクキャバ辞めてもらいました」
タツミさんは口を挟まず真剣に俺の話しを聞いてくれていた
:07/08/17 13:45 :D902iS :☆☆☆
#297 [ゆう]
「そしたら次はレナ、風俗で働いてて。気づかなかった俺も悪いんですけど。レナ、セイヤに金払ってたんです。店にも通ってるみたいで。セクキャバもヘルスも全部、セイヤのスカウトでした。セイヤとはもう切れてると思ってたからめっちゃショックでした」
タツミさんはため息をついて
「なんでそんな女‥」
と言った
:07/08/17 13:50 :D902iS :☆☆☆
#298 [ゆう]
「俺、レナに依存してたんだと思います。まともな恋愛とかしたことなくて、本気で好きになったのも、レナが初めてでした」
タツミさんは笑って
「お前は相変わらずどうしようもねー男だな」
って言った
:07/08/17 13:52 :D902iS :☆☆☆
#299 [ゆう]
「まぁさすがの俺もキレて、真剣別れも考えました。だけど、子供ができたんです」
タツミさんは驚いたように顔を上げた
「俺昔から子供大好きで。なんか、怒ってるのも忘れるぐらい嬉しくて。3度目の正直みたいに、許して、結婚するって決めました」
:07/08/17 13:56 :D902iS :☆☆☆
#300 [ゆう]
「それから毎日考えるのは子供のことばっかりでした。俺、嬉しくて、おもちゃとか服とか家具も揃えちゃって。名前の本も買いました」
タツミさんは、俺が小学校を卒業してから両親が家を出てったことも知っていたから、この話しの時の表情は穏やかだった
「俺すげー楽しみで、絶対いい親になるって決めました。だけど、子供、産まれないんです」
:07/08/17 14:01 :D902iS :☆☆☆
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