俺がホストじゃなかったら
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#1 [ゆう]
お前をこんなに傷つけることはなかったのに。

お前を悲しませることはなかったのに。

だけどホストだったから、お前に逢えたんだね。


でもやっぱり、俺がホストだったから、こんな悲しい別れ方をしなきゃいけなかったんだ。

⏰:07/07/03 00:04 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#2 [ゆう]
この話しは、俺の過去の話しです。
俺の、忘れられない女の話しです。
普段あまり文章を書いたりしないんで読みにくかったり分かりにくかったりすると思いますが、よかったら読んでください

⏰:07/07/03 00:07 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#3 [ゆう]
ホストクラブ

ここが「ゆう」としての始まりだった

その時は確か、18歳の冬だった

俺のそれまでの18年間は空っぽだった

だからこの世界に足を踏み入れたのかもしれないし、この世界で過ごした4年間が綺麗な思い出になったのも、俺がそれまで空虚な生活を送っていたからかもしれない

⏰:07/07/03 01:43 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#4 [ゆう]
ホストになるまではメンズバーでバイトをしていたから、仕事はそう新鮮で未知なモノではなかった。

ただ最初は、目標もなく入った俺にはダルいだけの仕事だった

ナンバーも売り上げも関係ないと思ってた

最初は、ヘルプを上がる努力すらまともにしなかった

ただ先輩の席について当たり障りない手伝いをするだけの、何の魅力もない18歳の新米ホストだった

⏰:07/07/03 01:49 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#5 [ゆう]
「そこのおねーさん暇?」

寒い真冬の夜、駅前で俺は客引きをしていた

俺はキャッチが嫌いだった

この時だけは、ナンバー入ればこんなことしなくて済むのに、なんて考えた


「暇じゃないし」

俺が声をかけた女は鬱陶しそうに俺を避けて歩いた

⏰:07/07/03 01:53 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#6 [ゆう]
俺は気にせず横を歩く

「つめてーなおねーさん。うわっ、手も冷たいよ?」

俺はその女の手を握ってみた

そこで初めて女は歩くのをやめて、俺の顔を見た


「ホストってほんとウザい。特にこの時間こんな所で客引きなんかやらされてるショボいホストが一番ウザい」

女はそう吐き捨てまた歩きだした

⏰:07/07/03 01:57 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#7 [ゆう]
正直なんとも思わなかった

確かにこの時間こんな所で客引いてるホストなんて大抵はショボいし、知らないガキに手なんか握られたらウザいだろうし。

「そんなひどいこと言わないでさー意外とショボいホストも楽しいかもよっ」

俺はそう言うと持っていた手袋に自分の名刺を挟んで女に渡した

「女の人って手足冷やすとダメなんでしょ?じゃあ、気をつけてね」

軽く手を振ってすぐその場から離れた

女がこっちを見ているのが分かった

後にこの女が俺の太客になった

⏰:07/07/03 02:04 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#8 [ゆう]
この女が近いうちに連絡入れてくるのも、店に来るのも、なんとなく18歳の新米ホストなりに予想はしていた。

それはその真夜中、当然のように俺の携帯が鳴った

ディスプレイには知らない番号

さっきの女以外考えられなかったけど、俺は少し冷たく

「誰?」と言った

「あ、今日駅で会ったんだけどわかるかな」

女は控えめに言った

「ん〜‥‥‥あ!手袋のおねーさんだ!」

俺は少し考えるフリをした後、愛想よく答えた

「手袋ありがとう。あの‥あなたのお店の場所知ってるし、手袋も返したいから‥今週お店行くね」

「あー手袋返さなくていいよ!おねーさんにあげる」

この会話は、俺の予想そのままだった


ただ予想外だったのは、

この女がありえないくらい金持ちだったこと。

⏰:07/07/03 02:15 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#9 [ゆう]
「もらっていいの?でもやっぱり、お店には行こうかな‥ゆうくんって言うんだよね?」

「うん、ゆうだよー。いつか来てくれるの待ってるね!じゃあ、仕事中だから、またね。おやすみなさーい」

俺は手短に、でも愛想よく電話を切った


近くにいた先輩に、

「お前が本気出したらすぐ一人前のプレイヤーになれるのに」

って言われた

俺だってそんなこと分かってた

ただ今のこの、期待もされず見捨てられもしないポジションに居心地の良さを感じていた


だけど人は金で変わる
夜の世界で金を見ると、きっと上を目指す意欲が強くなる

その時の俺はまだ、そうなる前だった

⏰:07/07/03 02:25 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#10 [ゆう]
その週の金曜日、手袋のおねーさんが店に来た。

そして俺を指名した。

ほどよく暗い店内で真横に座る¨手袋のおねーさん¨は、この前駅で見た時よりずっと綺麗に見えた


「おねーさん久しぶり今日も手冷たいんだね笑」

俺はまた手を握ってみた

でも今日はウザそうな顔はしなかった。

「久しぶりさてと、何頼めばいいのかな‥?」

⏰:07/07/03 02:35 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#11 [ゆう]
「おねーさん、何も頼まなくていいよ。今日は初回だからね、3500円でハウスボトルとソフトドリンク飲み放題だよ

おねーさんは「え?ホストクラブってそんなんなの?気合い入れて来ちゃったじゃん笑」

そう言って初めて笑った

この人なんにも知らないんだなーと思った

お酒はあまり強くないって言ったから、ソフトドリンクを出した


また近いうち来るな、そう思った

⏰:07/07/03 02:39 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#12 [ゆう]
その日は普通な会話をした。駅で会った時のこと、手袋のこと、おねーさんの友達がこの近くのホストクラブに通ってること。

おねーさんは「また来るね」と言って、基本料金3500円+TAX25%であろう金額でお会計を済ませ、俺の見送りで店を出た。

この仕事を初めてからこんなに早く固定の客ができると思ってなかったから、その日の接客はいつもより気合いを入れた

この日がある意味本当の初出勤って感じだった

⏰:07/07/03 02:48 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#13 [ゆう]
それからおねーさんはよく店に来た。

飛び抜けて高くはないけど、全然安くもないボトルをちょくちょく入れてくれた

でもそれが、俺の価値をボトルに表されてるみたいで悔しくて、営業熱心にもなった


そっから調子が良くなったか運気が味方したか、俺を指名する人も増えて、いつの間にかヘルプは簡単に上がっていて、先輩が言う¨一人前のプレイヤー¨になりつつあった。

⏰:07/07/03 03:22 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#14 [ゆう]
しばらくして俺は店を変えた

未熟な新米ヘルプだった俺を誰も知らない店で働きたかった

前より店のレベルも少し上げた

もう、ここでもやっていける自信と顧客が俺にはあった

もとから女関係にまじめじゃなかった俺は、イロもマクラも平気で出来た

求めて来る客なら、おばさんとだって平気で寝た

俺は19歳になっていた

⏰:07/07/03 03:51 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#15 [ゆう]
¨手袋のおねーさん¨は店を変えても通ってくれた

そのうち、平気でドンペリとかリシャールを入れてくれるようになった

俺がだんだん遠くにいく気がしたのか、高いボトルを入れるのは俺をつなぎ止める方法にも見えた

¨手袋のおねーさん¨とは絶対寝なかった

寝たら離れる、そう思った

⏰:07/07/03 03:59 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#16 [ゆう]
ある日俺は客引きについて行った

客を引くつもりなんてなかった

ただ適当について来ただけだった


この日のお前との出会いが後に俺を変えた



もう街は夏の匂いがした

⏰:07/07/03 04:06 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#17 [ゆう]
その日の天気予報は曇りのち雨だった

街を歩く人たちのほとんどは傘を持っていた

俺たちがキャッチしている途中、タイミングを見計らったかのように雨が降り出した

街を歩く人たちは傘をひらいたり雨宿りをしたり様々だった

俺はコンビニで傘と煙草を買って外に出た


俺は雨が大好きだった

⏰:07/07/03 15:47 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#18 [ゆう]
ひとりの女を見つけて、俺の足が止まった

誰もが急ぎ足で歩く中、その女だけが傘もささないで立ち止まって雨に濡れていた

派手に巻かれた髪、綺麗なドレス

見た目はもろ、キャバ嬢だった


ただものすごく、寂しそうな顔をしていた

なんとなく、俺に似てると思った

⏰:07/07/03 15:53 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#19 [ゆう]
「風邪ひくよ」

俺はその女に近寄って傘をさした

女は俺の顔を見るなり

「あ、○○のマクラ営業ホストだ」

そう言った

俺は笑った
「なんで店の名前まで知ってんの笑」

マクラなのは否定しなかった

「マクラホストには詳しいの。ね、あたしあんたの店行きたい」


これがお前との出会い

⏰:07/07/03 16:10 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#20 [ゆう]
「名前は?」

「レナ。あんたユウでしょ?」

「よく知ってんね」

「ホスラブでたまにあんたのスレ見るよ」

「あぁ、あのデマと中傷ばっかりの掲示板ね。俺もボロカス書かれてんのかな」

「でもマクラ営業はデマじゃないでしょ?」

「まぁね」

俺らは店に行く途中こんな会話をした

レナは俺より1歳年上のハタチのキャバ嬢だった

⏰:07/07/03 16:18 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#21 [ゆう]
「ねぇ、ユウは何でホストになったの?」

レナが突然聞いた

「んー、早く家出たかったからかな。寮あって稼げる仕事って水商売しか思いつかなくて」

俺はこの手の話しが嫌いだった

他人に過去を詮索されるみたいで、いつも適当に返していた

他の子ならいつも「そうなんだ」で終わるのに、レナは違った

⏰:07/07/03 16:47 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#22 [ゆう]
「何で早く家出たかったの?」

レナが食いついてきた

「中学に上がった頃おかんが家出して帰ってこなくなって、親父も他の女の家に住み着いてたから俺一人暮らしみたいなもんでさ。

学校行かなくても何も言われないし好き放題してたんだけど、やっぱ親のスネかじんのは嫌じゃん。

だから中学卒業してすぐメンズバーで働いて家出たんだよね」


俺はここまで喋って後悔した。今日会ったばっかりの女に何ベラベラ喋ってるんだろうと思うと恥ずかしくなった。

だけど逆に、もう会うこともなさそうだしいいかな、とも思った

⏰:07/07/03 16:54 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#23 [ゆう]
レナは

「あたしとそっくり」

とだけ言った

俺は何も聞かなかった

他人に興味のないフリをするのが俺の癖だった


それからまた他愛のない話しをしてレナはチェックを済ませた

レナはホストクラブに慣れていた

俺とレナは番号を交換した

その日は

「また来るね」
「今度店行くよ」

という口約束を交わして終わった

その時お互いに何の感情もなかった

⏰:07/07/03 17:06 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#24 [(´T`Pq⌒みなみ]
読んでます
頑張って(。・・b

⏰:07/07/03 17:37 📱:D902i 🆔:☆☆☆


#25 [ゆう]
みなみちゃんありがとう

⏰:07/07/03 19:10 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#26 [ゆう]
営業時間が終わった頃、同期のトウヤが俺に近づいてこう聞いた

「今日ユウ指名してたキャバ嬢、○○のレナちゃんだよね?」

「そうみたい。もしか有名?」

「んー‥顔かわいくて評判いいけど、ホスト狂いらしいよ。ホストに貢ぐためにキャバ入ったみたいだし」

俺は内心「バカな女」

そう思った

⏰:07/07/03 19:11 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#27 [ゆう]
次の日からまた普通に俺のいつもの生活が続いた

レナとはあの後2通のメールで終わった

きっと今レナがハマってるホストに比べたら俺なんか、気の利かない19歳のガキに過ぎないんだろうな、そんなことを思ったらどうしても

「また来てね」っていう営業メールすら出来なかった

⏰:07/07/03 19:23 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#28 [ゆう]
今日は¨手袋のおねーさん¨と同伴で店に入る予定だった

俺は手袋のおねーさんをエリコさんと呼んで

エリコさんは俺をゆーちゃんって呼んだ


俺は基本的に、5歳以上離れてるお客さんには少し可愛らしく接するようにしていた

エリコさんは俺の何を買って毎晩クラブに通ってくれているのか分からなかった

だけどエリコさんは19歳のガキのこの俺に、一夜でかなりの大金を使うようになっていた

俺にとっていい客だった

⏰:07/07/03 19:38 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#29 [ゆん]
あげます

⏰:07/07/04 00:36 📱:F902iS 🆔:☆☆☆


#30 [ゆう]
ゆんちゃんありがとう助かります

⏰:07/07/04 01:14 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#31 [ゆう]
それでも俺はやっぱりエリコさんは抱かなかった

エリコさんは一度だけ「何であたしとはやらないの?」って聞いてきたことがあった

俺は「エリコさんは特別ってか大切だから」

そう言っておいた


エリコさんは、俺がマクラホストだってことに多分気づいてたから、この言葉の力は大きかった

俺はさりげなくエリコさんにイロをかけてた

エリコさんはそれ以来もっと店に来るようになった

悲しいけど、これが俺の仕事だった

⏰:07/07/04 01:14 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#32 [ゆう]
「ごめん今日は行けない仕事抜けれないんだ

今日月末の締め日だった

けどエリコさんは店には来れなかった


まぁいっか。
今月けっこー来てくれてたし

そういえばエリコさんの仕事って知らないや


そんなことを思いながら
「了解しましたお仕事がんばって

と適当にメールを返した

締め日に俺だけ暇なのはなんとなく嫌だから何人かに連絡を入れて店に呼んだ

だけど別にボトルを入れさせたりはせず、普通の客には最低チェックの
1万5000円で帰したりもした

俺のこういう、たまに仕事や売り上げに欲がない所も顧客には好かれていた

⏰:07/07/04 01:37 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#33 [ゆう]
「来てあげたよーマクラホストゆうくん

声の主はレナだった

俺は、もう二度と会わない相手だと思ってたから驚いた

けど驚きや感動を隠すのも俺の癖だった

「なによーもっと嬉しそうな顔してよね」

レナは俺に構わず喋り続けた

「急に暇になっちゃったから来ちゃった。今日締め日でしょ?ちょっと貢献してあげる」

俺は「本命ホストん所行かなくて平気なの?」っていう言葉を飲み込んで「ありがとう、じゃあ奥の席座ろっか」

と言った

⏰:07/07/04 01:44 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#34 [ゆい]
   
まじ.おもろい
見てるから更新
頑張ってなっ!!
  

⏰:07/07/04 01:50 📱:P702iD 🆔:☆☆☆


#35 [ゆう]
ゆいちゃんありがとうめっちゃ嬉しい

⏰:07/07/04 02:15 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#36 [ゆう]
「今日はね、お話聞いてほしくて来たの」

席につくなりレナが言った

「へー。なに?」

「ユウくん‥超興味なさそうじゃん笑」

「興味なくても話しぐらい聞けるよ笑」

興味ないフリの俺に、レナは話し出した

「あたしさー、ちょっと前まで駅ビルのブティックのshop店員だったの」

「うん」

「ずっと憧れてたんだー。服屋の店員さん。高校出て、やっとなれたの」

俺は適当に相槌を打つだけだった

⏰:07/07/04 02:16 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#37 [ゆう]
「でもね、たまたま行ったホストにハマっちゃってさ。shopのお給料だけじゃ足らなくなっちゃった」

レナは笑い話みたいに話した

俺は笑わなかった

「それでね、そのホストくんに系列店のキャバ紹介されて働くことになっちゃってさー。今に至るわけ。バカみたいでしょ?」

本当にバカだと思った

⏰:07/07/04 02:19 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#38 [ゆう]
「あたし実家住みでさーホスト通ってるせいで未だにスネかじってるよ笑」

俺は
「そのホストのこと好きなの?」
と聞いた

「んーわかんない。あたし別に太客じゃないしね。なんかもっとすごい人いっぱいいるし。ただ、あの人に投資するのが快感になってる」

俺は呆れた
でもそれ以上に心配になった

ホストに貢ぐ子の大抵は、キャバの収入だけじゃ足りなくてヘルスやソープに流れる子が多かった

少なくとも俺が知ってる奴らはそうだった

他の子なら関係ないけど、なぜかレナがそうなるのは嫌だった

⏰:07/07/04 02:25 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#39 [ゆう]
「服屋、好きなんでしょ?まだ割り切れるなら、辞めて服屋戻った方がいいよ」

俺は真剣に意見していた

レナは少しびっくりしたような、嬉しそうな顔で

「ありがとう」

とだけ言った
ホスト通いを辞めるとは思えなかったし、第一俺が言える立場じゃなかった

⏰:07/07/04 02:29 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#40 [ゆう]
それから季節は冬になった

俺もホストになって1年が経とうとしていた

エリコさんに出会った季節でもあった

相変わらずエリコさんは俺の太客だった

レナとも頻繁に連絡を取り合ったり、普段遊んだりもした

もとから女タラシだからか、知らない間にイロカノも増えた

マクラはあまりしなくなった

売り上げもまぁまぁ好調で店では結構いい位置にいた

エリコさんは去年の手袋をまだ大切そうに持っていた

⏰:07/07/04 02:48 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#41 [かおリ]
頑張れっ+。

⏰:07/07/04 03:01 📱:N901iC 🆔:☆☆☆


#42 [ゆめ]
読んでます咐x

⏰:07/07/04 03:32 📱:M-SKIN 🆔:☆☆☆


#43 [ゆう]
かおりちゃんとゆめちゃんありがとう
これからもよろしく

⏰:07/07/04 03:33 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#44 [ゆう]
この頃街はいつもよりキラキラしてた

今日はクリスマスイブだった

俺の今年のクリスマスイブは、エリコさんと同伴で店に入り、アフターで別の太客と店を出るといった過ごし方だった

エリコさんはドンペリの白黒ピンクロゼを各種大量に開けたりした

エリコさんのこの日の夜のチェックは97万円だった

⏰:07/07/04 03:34 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#45 [ゆう]
俺はエリコさんの職業が気になった


初めて会った時エリコさんはOLみたいな制服だった

けどOLからこんな金が出てくるとは思えなかった

だけどなんとなくエリコさんには聞けなかった

聞いたら終わってしまいそうだったから

俺は汚い人間だ

⏰:07/07/04 03:38 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#46 [あい]
気になる―
ずっと読んでるよ
頑張ってね

⏰:07/07/04 03:53 📱:N703iD 🆔:☆☆☆


#47 [ゆう]
あいちゃんありがとう
がんばります

⏰:07/07/04 04:11 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#48 [ゆう]
それからまた変わらずの生活で月日は流れてた

そんな中、俺の誕生日がやってきた

店では俺のバースデーイベントが開かれた

ちょっと前から営業かけといたかいあって、たくさんの人が来てくれた

もちろんエリコさんも来てくれた

レナはドンペリの白だけ入れて10分で帰った。

この日はシャンパンが飛ぶように入った

そんな中エリコさんは

リシャールとロマネを入れて、ルイ13世を入れようとした





もう俺は聞くしかなかった

⏰:07/07/04 04:12 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#49 [ゆう]
「エリコさん、ボトル入れる前に聞いて?」

「なに?今日はゆーちゃんのバースデーだよ楽しまなきゃ

「エリコさん、何の仕事してるの?」

もう予想はついていた


エリコさんは黙った
でも笑顔のままだった


「ゆーちゃん、あんたそれでもホストなの?」

エリコさんは俺と目を合わせて言った

「客がどんな仕事してようと、ゆーちゃんのためになれば同じでしょ」

⏰:07/07/04 04:17 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#50 [ゆう]
「ホストを好きになって、会いたいからお店に通って、喜ぶ顔が見たいからボトル入れて、ゆーちゃんの一番のお客さんになりたいからいっぱいお金稼いで‥別にいいじゃない」

エリコさんは小さな声で言った

「だから、なにして働いてるの?」

俺の問いにエリコさんはしばらく沈黙してから


「ソープで働いてる」

そう言った

⏰:07/07/04 04:22 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#51 [ゆう]
俺は目の前が真っ暗になった気がした

俺のせいでエリコさんの人生を狂わせてしまった

ただその思いだった

その日はもうチェックをしてもらう気にもなれず、半ば強引に俺にツケて帰ってもらった

その後も俺のバースデーは続いた

俺はうまく笑えていただろうか?

⏰:07/07/04 04:25 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#52 [ゆう]
閉店後のソファーで少し眠った俺を起こしたのはトウヤだった

「元気ないねー忙しかったもんな。あ、誕生日おめでとう」

俺は力なく笑った

「なぁ、ソープってどれくらい稼げるの?」

「そりゃピンキリだろ、俺の知ってる子なら500は稼いでる。なんで?ユウ、ソープ嬢にでもなるつもり?笑」

トウヤの冗談にもうまく笑えず俺は「バカか」とだけ言った

⏰:07/07/04 04:31 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#53 [ゆう]
「まぁ500なんて少ない方じゃね?だってソープなんてあんなん、最終手段だろ」

トウヤはそういうとスタッフルームに消えていった

最終手段‥


俺はいつからエリコさんをそこまで追いつめた?


他人事だと思ってた
まさか俺が人をここまで変えてしまうとは思いもしなかった

⏰:07/07/04 04:37 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#54 [ゆう]
俺は家に帰って今日来てくれた人全員にお礼のメールを入れた

合間合間電話をかけてくる子もいたから、送りきるのに2時間かかった

なんだか眠れそうになかった

そんな時玄関のインターフォンが鳴った

レナだった

⏰:07/07/04 04:54 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#55 [ゆう]
「ハッピーバースデー

玄関のドアをあけるとレナがケーキの箱とプーさんのぬいぐるみを持って立っていた

素直にホッとした自分に気づいた

「ごめんねーあんなショボいボトルしか入れれなくて。ほさ、ケーキ買って来たから一緒に食べよ

レナは俺の部屋に上がり込むとテレビの上にプーさんを飾ってくれた

⏰:07/07/04 04:59 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#56 [ゆう]
「元気ないねー。疲れた?なんかあった?」

俺はレナに全部話した

一年前にエリコさんに出会ってから今日さっきまでのことを


レナには何でも喋ってしまう自分が怖かった

レナは黙って話しを聞いてくれた

⏰:07/07/04 05:02 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#57 [虎]
ぉもろい俺も夜の世界で働いてたからちょっと気持ちわかるし頑張って更新してな

⏰:07/07/04 08:44 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#58 [ゆう]
虎さんありがとうこれからも見てやってください

⏰:07/07/04 09:22 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#59 [ゆう]
俺は全部を話した

別に綺麗事じゃない、ただ自分のお客さんでそういう人を出したくなかった

それに、俺に貢ぐためにそこまでする人がいるとは思わなかった

レナは「わかるわぁー」

と言った

「ホストに恋する、なんてそんなもんでしょ。ユウが喜ぶ顔が見たかったんだよ。ユウのお客さんの中で一番になりたかったんだよ。ユウは悪くないよ。仕方ないんだよ」


そんなもん?
俺には分からなかった

俺のせいで体を売ったエリコさん


分からなかった

⏰:07/07/04 09:24 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#60 [すぅな]
最初からずッと読んでるょ

頑張って

続き待ってるネ

⏰:07/07/04 09:29 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#61 [ゆう]
俺はエリコさんにお礼のメールをした

「今日は来てくれてありがとうハタチの誕生日、エリコさんに祝ってもらって嬉しかったよでももう、お店には来ないでね。良かったら、店の外で会いたい。連絡してくれればいつでも行くから

俺は普通を装って送った

もうエリコさんにお金を出させたくなかった

エリコさんのお金が、どこから出ているのか知ってしまったから

⏰:07/07/04 09:32 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#62 [ゆう]
すぅなちゃんありがとうこれからもよろしくね

⏰:07/07/04 09:43 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#63 [ゆう]
エリコさんとはもう、それっきりだった

俺の知らないうちに、店まで未収を払いに来たと幹部に聞いた


200万


俺はこの仕事が怖くなった

しばらくの間は、太客逃がして残念だなとも言われた

後でレナから聞いた話し、ホスラブには

「ユウのホンカノはソープ嬢」とか「ユウは太客にソープさせてる」とかいう噂が書き込まれていたらしい

俺は知らず知らずエリコさんの心と体を傷つけた

ピルを飲んで客と生でヤって‥

エリコさんはその仕事をどんな気持ちでやったのかな

⏰:07/07/04 09:44 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#64 [ゆう]
それからまた月日が経った

俺は仕事を続けていた

その頃俺の一番の太客は女社長だった

俺の営業の仕方は少し変わり始めていた

そしてがむしゃらにナンバー入りを目指すようになった

この時の俺に、エリコさんが投資していた価値はなかった

心の冷めた人間になっていた

この時エリコさんと出会っていたら、エリコさんはきっとソープ嬢になってまで俺に貢がなかっただろう

そう考えると、今の俺の方がいいとさえ思った

俺が魅力をなくせば、本当に傷つく人は減る

頭のどこかでそう考えた

⏰:07/07/04 15:08 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#65 [ゆう]
変わっていく俺をレナは何も言わずに見ていた

ただ、たまに真面目な話しをする時は

「エリコさんのことはもう気にしちゃだめだよ。夜の仕事ではよくあることだしさ」

と言った

俺はレナに

「本命ホストにハマるのはいいけど、頼むからそいつのためだけに風俗に流れるのはやめて」

何度も言った

レナはそのたびに

「わかってる」

と言っていた

⏰:07/07/04 16:29 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#66 [唯]
更新頑張れ〜


まいんち
読んでるぜ

⏰:07/07/04 16:57 📱:P702iD 🆔:☆☆☆


#67 []
読んどるよっ
続き気になリます
頑張って〜

⏰:07/07/04 21:09 📱:SH902i 🆔:☆☆☆


#68 [我輩は匿名である]
感想やめてくれへん?

⏰:07/07/04 21:31 📱:SH902iS 🆔:☆☆☆


#69 [ゆう]
唯ちゃんちゃんありがとう

感想スレ立てちゃいましたよかったらそっちもよろしく

⏰:07/07/05 01:15 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#70 [ゆう]
俺の太客の女社長はホストに狂ってる人間だった

飲み屋街ほとんどのホストクラブにボトルをキープしているような女だった

気に入ったホストには惜しみなく金を使う女だった

特に気に入ったホストは家に連れ込んで寝るような女だった

俺もそんなホストの一人だった

ごくたまに、女社長のマンションで違うクラブのプレイヤーにはち合わせることもあった

⏰:07/07/05 01:15 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#71 [ゆう]
この女から金を絞り取ることに罪悪感は感じなかった


ある日俺は女社長に呼ばれマンションへ来ていた

慣れた手つきで908号室のドアをあける

すると別のホストが玄関にいた

「あ、ごめん今帰るから」

そう言うとそのホストは靴をはいてさっさと外へ出た

俺はただそいつを見ていた

どっかで見た顔‥

どっかの店の売れっ子だろうな

としか思わなかった

その日はいつも通り女社長を抱いて、俺の店へ行った

⏰:07/07/05 01:22 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#72 [ゆう]
この日の夜はアフターも女社長だった

もう正直うんざりだった

俺たちはバーにいた

すると向こうの方からレナが歩いて来るのが見えた

俺の気分はなぜか上がった

けどすぐに、話しかけようとした自分にストップをかけた






レナが一緒にいた相手は、今日俺が女社長のマンションの玄関で会ったホストだった

⏰:07/07/05 01:28 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#73 [ゆう]
俺は言い表せない気持ちになった

なんとなく、だけどすごく嫌な気持ちになった


俺と寝た女社長

女社長と寝たあのホスト

レナが貢いでるホスト




そんなことばかりが頭を回った

俺は平然を装っていた
女社長は俺の様子に気づいた

「あの子はいいプレイヤーだわ」

⏰:07/07/05 09:32 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#74 [ゆう]
「売り上げのためならどんな手段だって使う子よ」

女社長は、レナが貢いでるホスト「セイヤ」のことを俺に話した


セイヤは元スカウトマン。

つまり、女の子にキャバや風俗の仕事を紹介して、店から報酬を受ける。今でもその仕事を副職にしているらしい。

「あの子にうまく騙されてキャバクラや風俗に流れる子は沢山いるわ。今一緒にいる子も確かそうね。金のためなら女を利用する‥あたしはあの子のそういう残酷な所が好きよ。」

俺は微笑んで女社長の話しを聞いていた

本心は、今すぐにでもセイヤって奴を殴りたかった

⏰:07/07/05 09:44 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#75 [ゆう]
この時からかな

俺の中でレナは特別な存在だと気付き始めたのは

けど別に何をするわけでもなかった

普通にお互いの店に行ったり普段遊んだりもした



だけど嫌なことは続くものだった


それは系列店に引き抜かれて手伝いに行った時のこと

⏰:07/07/05 12:06 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#76 [ゆう]
「ユウくん助かるよー」

愛想のいい笑顔で俺に喋りかけて来たのはこの店の代表。

「使えないと思った人間はすぐ切っちゃうから、今日のイベントまでに間に合わなくて。でも1週間前から店のHPにユウくん達が来るって告知はしといたから、今日は楽しみにしてるよ」

そういうと代表はまた、他店からヘルプに来た別のホストに喋りかけていた


この店はまだオープンしたばかりの、俺が働いてるクラブの系列店。

この仕事を最低3時までには切り上げて、閉店までには自分のクラブへ戻るつもりだった

⏰:07/07/05 19:59 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#77 [ゆう]
この日は主にフリーや新規のテーブルにつくことになった

何席かまわった所で


「ユウ?ユウって○○のユウ?」

そう言ったのは、27歳くらいのOL風の女


その女は俺のクラブと名前を知っていた

「そうです、ゆうっていいます」

俺はニコッと答えた


「‥あたし、エリコの友達」



さすがの俺もその時の笑顔はきっとひきつっていた

⏰:07/07/05 20:43 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#78 [ゆう]
「そうなんですか、エリコさん、元気ですか?」

俺は冷静に女に尋ねた


「‥はぁ?元気だとでも思う?」

明らかに女は俺を嫌っていた

だって俺は、この女の友達をソープ嬢にまでさせてしまったホスト

いい人、なんて要素ひとつもない


薄れかけていた痛みみたいな感覚が蘇る

⏰:07/07/05 20:49 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#79 [ゆう]
「ふざけないでよ。エリコはあんたのせいで仕事もやめて、風俗で働いたのよ」

「今は‥エリコさん、何のお仕事されてるんですか?」

「あんたに関係あんの?もしエリコがまだ風俗してたら、また金づるにでもする気?」

「そういうつもりじゃなくてただ、最近連絡とれないから気になって」

「はぁ!?マジでふざけんな!あんたがもう店に来るなって言ってエリコを切り捨てたくせに!」

女は大声を上げた

奥にいる代表と目が合う


「店出て。ファミレスかどっかで話そう」

女は静かにそういうと、先に店を出た

⏰:07/07/05 20:56 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#80 [§まいこ§]
がんばれぇ

超ぉもろ

⏰:07/07/05 22:59 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#81 [ゆう]
まいこちゃんありがとう

⏰:07/07/06 01:35 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#82 [ゆう]
俺は近寄ってきた代表に

「アフター行ってきます」

とだけ言って店を出た
代表は了解してくれた


ファミレスに向かうタクシーの中は無言だった

俺は、少しの間逃げていたことに今直面している


窓の外を見ながらそう思った

⏰:07/07/06 01:36 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#83 [ゆう]
「エリコは今普通に事務で働いてる」

すこし人が少ないこの時間のファミレス、俺たちは奥の喫煙席に座った

先に口を開いたのは女だった

落ち着いた様子だった


「あたしも結構、ホストクラブには行くの。サイトの掲示板も見てる。あんたのことは知ってたし、エリコからも話しは聞いてた」

⏰:07/07/06 01:43 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#84 [ゆう]
「エリコ、ずっと前はホストなんか大嫌いだった。あたしが行ってても、やめときなよって言う子だった。でもあんたに出会って変わった」

俺は黙って話しを聞いていた

「キャッチされたホストに手袋もらっちゃったって嬉しそうに言ってた。今でも持ってるよ」

うつむいてた視線を少し上げてみた
女は喋り続けた

「ホスラブとかで見てみたらさ、エリコが言ってるホストまだ18歳って言うじゃん。店にも行きだして。ほんと、止めれば良かった」

⏰:07/07/06 01:52 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#85 [ゆう]
「それからだいぶ経って、ユウってホストを好きになったって報告された。あんたに高いボトル入れだした頃からヘルスで働きだしてた。あたしも最初は知らなかったんだけど‥掲示板見ててもさ、あんたはイロマクホストとかみんな言ってたしいいイメージなんてなかった」

俺は迷っていた

「それが俺の仕事だから関係ない」って最低な人間として終わらすか

「俺も後悔してる、直接謝りたい」と弁解するか

⏰:07/07/06 02:01 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#86 [ゆう]
「とにかくあたしが許せないのは、エリコをソープで働かせたことと、そういう仕事してるからって汚く思ったのか知らないけど、知った途端もう店に来るななんてひどくない?エリコ傷ついたよ。今も」


「違う」

俺はおもわずハッキリとそう言ってしまった

「俺は確かにエリコさんをソープで働かせてしまいました。でもエリコさんがソープで働いてるって聞いた時も、汚いだなんて思わなかった」

「じゃあなんなの?」

「ただ‥俺のせいでソープで働いてるって知った以上、もう金は出させたくなかった。だから、店の外で会おうって。店には来ないでって」

「そう言ったの?」

「言ったけど‥どうとらえたかは分からない。ただ、軽蔑したからとかそんな理由じゃない」

「でもエリコさんには言わないでください」

俺はそう続けた


「なんで?」

女は顔をしかめた

⏰:07/07/06 02:15 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#87 [ゆう]
「生半可に謝ったり優しくしたりしてまた店に来たら嫌なんで」

俺が、迷って出した答えはこれだった

本当は会って謝りたい

けどまた店に来るようになったらどうする?

俺のこと最低なホストだと思って、嫌いになって店に来なくなったんなら、それでいい

今のままがいい

そう思った

女も納得した

⏰:07/07/06 08:14 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#88 [ゆう]
「あんたのこと最低でカスなホストだと思ってたけど‥そこまで最低ってわけじゃないみたいね」

別れ際女はそう言って、タクシーに乗り込んだ

もう夜は明けようとしていた

俺は店まで歩くことにした

⏰:07/07/06 09:15 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#89 [ゆう]
「何しょんぼりしてんの、色恋枕営業ホストくん」

振り返ると、仕事帰りのレナが立っていた

「俺はそんな営業しませーん」

「よく言うわ笑」

「レナこんなとこで何してんの」

「歩きたい気分だったから送りパスしちゃったー」

レナは明るく笑った

「レナの家ここから歩きなんかめっちゃ遠いじゃん!笑」

やっぱバカな女だな
何かあったんだろうな、と俺は思った

「俺の部屋帰っとけば?」

俺はそれだけ言うとキーケースごとレナに手渡して店に戻った

レナも、俺の住む寮に向かって歩きだしていた

⏰:07/07/06 11:42 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#90 [ゆう]
その日俺が部屋に戻ったのは朝9時だった

レナは俺のベッドで眠っていた

「うわぁ‥寝床とられた」

俺は仕方なく床で寝ることにした

それにさえ少し幸せを感じた

人を好きになるのは、ものすごく久しぶりのことだった


俺もいつの間にか眠った

⏰:07/07/06 11:50 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#91 [ゆう]
俺は2時間後に目が覚めた

まだ正午にもなってなかった

レナは相変わらずスースー言って寝てる

俺はコンビニに行って、弁当と洗顔と化粧落としと歯ブラシと‥とりあえずレナがいりそうなやつを買って帰った

「おかえりぃ」

レナは起きてた

「おはよ、弁当食える?何か色々買って来たけど」

「ありがとー!さすがホスト、気が利くなぁ」

それからレナは

「生活してける材料があるから」

と、しばらく俺の部屋に居座ることになった



俺とレナの同棲?が始まった

⏰:07/07/06 16:17 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#92 [ゆう]
するとレナは突然こうきりだした

⏰:07/07/06 16:21 📱:N902i 🆔:☆☆☆


#93 [ゆう]
「私やっぱりできない!」

⏰:07/07/06 16:22 📱:N902i 🆔:☆☆☆


#94 [ゆう]
「何でだよ!」

⏰:07/07/06 16:23 📱:N902i 🆔:☆☆☆


#95 [ゆう]
「だってジョニーデップのモノマネなんかできる訳ないじゃない」レナはこう返した

⏰:07/07/06 16:24 📱:N902i 🆔:☆☆☆


#96 [ゆう]
「いいか、付き合う前に言ったじゃないか俺はモノマネフェチだって」

⏰:07/07/06 16:25 📱:N902i 🆔:☆☆☆


#97 [ゆう]
突然のレナの涙だった
その瞬間俺は呆然とした
なんて馬鹿なフェチだったのだろう
自然と涙がでてきた
「ごめんな、ごめんな・・」

⏰:07/07/06 16:27 📱:N902i 🆔:☆☆☆


#98 [ゆう]
しかし次の瞬間レナは驚くべきことを口にした
「私・・・・やる!」
寝耳に水いや晴天の霹靂だった

⏰:07/07/06 16:29 📱:N902i 🆔:☆☆☆


#99 [ゆう]
レナのモノマネは始まった。
数万人規模のオーディエンスが固唾を飲んで見守ったレナの第一声は・・・・

⏰:07/07/06 16:32 📱:N902i 🆔:☆☆☆


#100 [ゆう]
「Hello・・・・」
つたない英語だがはっきりと彼女は口に英語を口にした

⏰:07/07/06 16:33 📱:N902i 🆔:☆☆☆


#101 [ゆう]
しかし第一声を発してから約10秒間沈黙が流れた。
恐ろしく長く感じられた。しかしその後オーディエンスから物凄いブーイングを受けた

⏰:07/07/06 16:36 📱:N902i 🆔:☆☆☆


#102 [ゆう]
「もうダメだ・・・・」そう思った俺はレナにリタイアのサインを送ろうとしたその時、レナは流暢な英語でこう切り返した

⏰:07/07/06 16:38 📱:N902i 🆔:☆☆☆


#103 [ゆう]
「I'm sorry I have kept you waiting so long. I'm OK.Don't worry」

⏰:07/07/06 16:40 📱:N902i 🆔:☆☆☆


#104 [我輩は匿名である]
N902i荒らしてんなょ

⏰:07/07/06 17:22 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#105 [あゆ]
荒らし止めて下さい主に失礼にも程がありますょ

⏰:07/07/06 18:13 📱:SH902iS 🆔:☆☆☆


#106 [ぁぉぃ]
ホントひどぃッッ

ゅぅクン
応援してます

⏰:07/07/06 19:49 📱:SH903iTV 🆔:☆☆☆


#107 [月]
荒らしウザイ‥けどウマイ‥

⏰:07/07/06 21:44 📱:D703i 🆔:☆☆☆


#108 [ゆう]
荒らされてる

俺がオーダーてやつしなかったからですね迷惑かけました
夜また更新します


俺以外の方は

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2463/

こちらにお願いします

⏰:07/07/06 22:17 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#109 [ゆう]
「○○のレナちゃんと付き合ってんの?」

ふたり暮らしにも慣れて充実した日を過ごしていた時、トウヤが俺に聞いてきた

「は?なんで?」

俺はびっくりして聞き返す

「ホスラブ見てさー。なんか色々書かれてるよ」

「またそのサイトかよ」

「まぁ見てみなって」

そういうとトウヤは俺に携帯を差し出した

⏰:07/07/07 11:20 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#110 [ゆう]
『この前ユウのマンションに○○のキャバ嬢が入ってくの見た』

『それレナだよ』

『たまに店でも見るよね』

『あの女ユウくんの何?』

『付き合ってんのかな?』

『でもレナは○○のセイヤに貢いでるよ』

『↑うわー最低!ユウくんを騙してるんだね』

『変な女にひっかかってユウくんかわいそう』

『レナきもい』

『性格悪そうだよね』

『ユウのことだから、レナに色かけてんじゃない?』

『どっちにしろレナって奴むかつく!』

『レナ消えろ』

⏰:07/07/07 11:27 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#111 [ゆう]
俺はびっくりした

自分の客の中にこんな子がいるんだ‥

その驚きの反面、レナを悪く言われて無性に腹が立った


やっぱ俺と関わる奴みんな不幸になっちゃうな

そうも思った

⏰:07/07/07 11:30 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#112 [ゆう]
「付き合ってないよ」

それだけ言うと俺はトウヤに携帯を返した

トウヤは

「ふーん、寝床にされてるだけか。ま、レナちゃんには気をつけな」

と言いスタッフルームに入っていった

レナの良さなんて、客やトウヤには分からない

俺だけが知ってる


そう思ったんだ

⏰:07/07/09 15:24 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#113 [ゆう]
「寝床にしてるだけだよ」





それは真夜中だった
この日は店が休みの日だったから俺は家で寝てた

レナも出勤の日じゃなかった

俺はトウヤに言われた言葉がまた聞こえた気がして目を覚ました






声の主はレナだった

⏰:07/07/09 15:34 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#114 [ゆう]
「あはは、うっそマジでー。ホスラブでもあたしボロカスだもんねー。ユウの家転がり込んでからまた一段と。こんな人気あったんだ、ユウって」

レナは少し声のトーンを抑えて誰かと電話していた

「まぁねー。男前だし結構優しいよー。でもやっぱいい人止まりなホストって感じー?あたしさ、足と飯はいたんだけど、家がなかったからさー。実家は嫌だったしマジ丁度良かったー」

俺は寝たふりをしていた

「あたしはセイヤ一筋なの!ユウみたいなさ、客がソープ嬢になって罪悪感感じてるようなお人好しに魅力は感じないかなーって。しかもキャラ作ってるしさー。人によって可愛い系で売ったりするけど、実際は超冷めてるよー。そういう所は腹黒くてあたし好みなのにねー。残念だよねー」



次の日俺はレナに


「寮にレナ住まわしてるのが店にバレたし俺も客を部屋に呼べないから、悪いけど実家帰って」

と言って合い鍵を返してもらった


俺の恋はここで終わった

⏰:07/07/09 15:50 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#115 [ゆう]
俺はしばらくの間落ち込んだままだった

初めての失恋だった

ってか、物心ついた頃から今まで、誰かを好きになったことってなかった

付き合った人数は結構いたけど、ただそれだけだった

20歳にしてやっと、初恋と初失恋を経験した

今まで女を傷つけて来たそのツケがまわってきたのか?

そう思うくらい、俺のショックは大きかった

⏰:07/07/09 16:01 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#116 [ゆう]
「ユウもレナに利用された男のひとり」

これで話しは片付いた

それからもちろん、レナと会うことはなかった

トウヤは俺を元気づけるために、俺をキャバクラに連れ回した

俺の傷は癒えぬまま、女癖がまた悪くなっていくだけだった


そんな時期にハルカに出会う

ハルカは最近よく店に来る、俺の客だった

⏰:07/07/10 16:06 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#117 [ゆう]
ハルカは細客だったけど、無茶に飲ますようなこともしないし、ちょっとの間席を離れてヘルプに任せていても怒らない、いわゆる「休憩場所」だった

「お前の席が一番落ち着く」

そう言う度にハルカはニコニコ笑っていた

そんなに積極的じゃない、ホストと現実を割り切ってる子だと思ってた


だけどそれは突然だった

⏰:07/07/10 16:13 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#118 [ゆう]
「付き合って?」

俺は耳を疑った
こんなことはよくあること

だけどそれを言ったのはハルカだった

「ごめんもう付き合ってると思ってた笑」

内心びっくりしながら俺はふざけて返した

ハルカからこんなこと言われるなんて思ってもみなかったから

⏰:07/07/10 16:23 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#119 [ゆう]
本当か嘘か、色カノか本カノかも分からない所から俺たちの付き合いは始まった

だけどそれはすぐ分かることだった



付き合うことになった日のハルカの来店から一週間が経った

いつもなら2日に一回のペースで店に来ていたから、おかしいと思ってハルカに電話をかけた

⏰:07/07/10 16:28 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#120 [ゆう]
「はい。ユウくん?」

ハルカは3コール目で出た

「ハルカ?最近会いに来てくれないじゃん。なんかあった?」

「‥だって彼女だから店に行くのはおかしいでしょ」

そう言われて俺はやっと気づいた

ハルカは本気だったんだ

俺は、軽はずみにOKしたことを後悔した

⏰:07/07/10 16:35 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#121 [ゆう]
「その子やばいって」

そう言ったのはトウヤだった

「客とホストとして知り合った男に、真剣にそんなこと言うとか相当だね」

確かに俺もそう思った

けど今更ハルカを傷つけることは、俺が嫌だった


だけどその気持ちがハルカを傷つけた

俺はただのバカだった

⏰:07/07/11 01:17 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#122 [ゆう]
ハルカとは店以外で会うことになった

ハルカは俺の『彼女』になった

それから毎日のように「早くホスト辞めて」「いつ辞めるの?」「あたしが本当の彼女だってみんなに言って」とか言うようになった

俺は正直それに疲れてた

けど誤魔化すだけで何も言えなかったんだ

⏰:07/07/11 01:21 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#123 [ゆう]
ハルカの行動はだんだんエスカレートしていった


ハルカには、手首を切る癖があった

俺が仕事に行く度に

「腕を切った」

というメールや電話が来た

だから少しの間仕事を休んでみても、今度は「辞めてくれないから」という理由で手首を切った

店からは「ユウに休まれると困る」と言われ、まさに板挟みだった

俺は頭がおかしくなりそうだった

⏰:07/07/11 02:20 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#124 [ゆう]
『ユウなんか早くホスト辞めろ』『本カノはハルカって子だよ』『ユウ辞めろ』

ホスラブの俺のスレにはこんな書き込みがあるとトウヤが教えてくれた

直感でハルカだと分かった

本気で辞めることも考えた

けど‥どうしてもハルカのためにこの仕事を辞めることは考えられなかった

俺は最低な人間

それは分かってた

⏰:07/07/11 02:25 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#125 [ゆう]
ある日

俺はハルカを部屋に呼んだ

ハルカは嬉しそうにやって来た

そんなハルカに俺は別れを告げた

「俺にはこの仕事しかない。ハルカと出会えたのも俺がホストだから。この仕事辞めるとか今は考えられない。それをハルカが理解できないなら俺ら一緒にはいれないよ」

俺はそう言った

ハルカの表情が変わる

⏰:07/07/11 02:28 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#126 [ゆう]
「別れるなら死ぬから!!」

ハルカはそう叫ぶとキッチンまで走っていった

俺は嫌な予感がしてすぐ追いかけた

ハルカがキッチンにおいてある包丁に手をかけた

「ここで死んでやる!」

ハルカは包丁を自分にむける

「やめろよ」

俺が近寄った瞬間ハルカは思いっきり包丁を振り降ろした

⏰:07/07/11 02:32 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#127 [ゆう]
その時の状況は、よくわからなかった

ただ、ハルカは無傷

俺の左腕には包丁がざっくり深く入った


俺はハルカを止めようとして抱きついた

多分その時に刺さったんだと思う

俺はホッとしたからか、すごい疲れて息が切れてた

冷や汗もいっぱい出た

⏰:07/07/11 02:36 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#128 [ゆう]
ハルカは何が何だか分かんないみたいに泣いてた

俺はとりあえずハルカを落ち着かせて、タクシーを呼んでハルカを家に帰らせてから病院に行った

何針か縫ったけど別に平気だったし、腕で良かったって何回も思った

ハルカが無事で良かったって何回も思った

⏰:07/07/11 02:41 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#129 [ゆう]
それからハルカはすんなり別れてくれた

何度も何度も謝られたけど、別に俺はこれで良かったんだと思っていた

ハルカの腕を切らせたのは俺

そう思う気持ちがあったから、何も言えなかったし何も言うこともなかった

ハルカの真剣な気持ちを甘く見た俺が悪かった


それからもハルカはたまに店に来た

その時は前みたいに喋れる二人だった

⏰:07/07/11 02:55 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#130 [ゆう]
それから季節は冬になった

俺は少し冬が嫌いになっていた

クリスマス
正月
俺の誕生日

クラブではイベントが沢山あった

一夜で動く金は桁が増えたりする

女に金を使わすのに少しトラウマを覚えていた

だからと言ってホストは辞めなかったし営業だってした

このままじゃホストとして使い物にならない

そう自分に言い聞かせた


俺は矛盾してたんだ

⏰:07/07/11 10:07 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#131 [ゆう]
月日は流れ、いくつかイベントが終わり、俺はいつの間にか21歳になっていた

店ではナンバー2か3あたりをウロウロしていた

きっとナンバー1を目指すこともできたけど、ナンバー1になるには何か抵抗があった

この頃は可もなく不可もない毎日だった

レナに失恋してからずっとこんな感じだった

トウヤには「女々しすぎる」と何度も言われた

それは俺も思うことだった

⏰:07/07/11 12:07 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#132 [ゆう]
「ユウ?」
「うわー!ユウくん!」

出勤前に店の通りを歩いていると後ろから誰かに名前を呼ばれた

振り向くと

「うわ!タツミさんとユキちゃん!」


タツミさんってのは俺が中学卒業してからすぐメンズバーで働いてた時にすごくお世話になった人

ユキちゃんは毎日飲みに来てたお客さん。

俺はこの二人が大好きだった

⏰:07/07/11 12:21 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#133 [ゆう]
「めちゃくちゃ久しぶりっすね!」

「ほんとだよ、ユウが全然店に顔見せに来ないからな」

何気ない会話がすごく懐かしくて不思議と癒された

「ユウくんかっこよくなったねー!今○○でホストしてるらしいじゃん、結構ユウくんの名前出てるよ」

ユキちゃんが俺をペタペタと触りながらうれしそうに言った

「お前、俺んとこで働きだした時ってまだ16歳だったもんな。立派になったなぁ」

そう言ったタツミさんが目を細めて俺を見た

⏰:07/07/12 00:28 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#134 [ゆう]
親がいない俺にとってこの二人は、メンズバーで働いてた当時、親みたいな存在だった

また店に顔を出すと約束して、その日は別れた

俺は煙草を買うためにコンビニに寄った

出勤前の知り合いのキャバ嬢やホストが沢山いた

適当に声をかけ合ってレジに並んだ

⏰:07/07/14 13:15 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#135 [ゆう]
「ナオキ‥?」

俺は、認識してから振り向くまでに少し時間がかかった

でも確かに俺のことだって分かった

この夜の街で俺の本当の名前を知ってるのはタツミさんとユキちゃん、あとはレナくらいしかいない

『ナオキ』

俺の本名だった

⏰:07/07/14 13:19 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#136 [ゆう]
「‥誰?」

俺を『ナオキ』と呼んだのは、どっかのクラブのママみたいなオバサンだった

けどやっぱりすぐ分かってしまう




俺の母親だった

⏰:07/07/14 13:22 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#137 [ゆう]
この女は、俺が中学生になると同時に家を出た

その前からあまり家にはいなかった

小学生だった俺には分からなかったけど、今なら分かる

この女はホストに狂っていた

息子と旦那を置いて、ホストを選んだ人だった

⏰:07/07/14 13:30 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#138 [ゆう]
俺は煙草を買ってコンビニを出た

俺を『ナオキ』と呼んだオバサンもついてきた


「どう?息子がホストになって」

俺はオバサンに聞いた

「‥少し前から知ってたわ‥会いたいと思ってたの」

「ふーん。こんな所にいるってことは、まだホストクラブとか通っちゃってんだ」

「‥お母さんね、悪いことしたと思ってる。ごめんね」

俺はイライラした

なんか、生理的に無理だった

⏰:07/07/14 13:37 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#139 [ゆう]
話すことなんかないと思った俺はオバサンを無視して歩きだした

オバサンは追いかけてくることはなかった

ただ後ろの方で

「お母さん今お金に困ってるの‥!」

そう言っていた

今更俺なんかには、こんな用事しかないらしい

少し悲しくなったけど振り向くこともせず、それからどこかで会うこともなかった

⏰:07/07/14 13:40 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#140 [ゆう]
会いたくない人に会ってしまった俺は少し機嫌が悪かった

そんな夜、最も会いたくない女が店に来た


その女は俺を指名した

その女は一番奥のテーブルに座っていた



レナだった

⏰:07/07/14 18:37 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#141 [ゆう]
「‥ひさしぶり」

レナは気まずそうに、ちょこんと座っていた

あぁ、やっぱり俺、この女好きだなぁ‥

そう思った


「すげー久しぶりじゃん!元気だった?」

俺は普通に接した

このテーブルにつく前にトウヤに

「レナちゃんはユウを裏切ったんだから‥もうあんま深入りすんなよ」

と釘を差してきた

それは俺も分かってた

でも、レナに会ってしまうとそんなことどうでもよくなってしまう

⏰:07/07/14 20:21 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#142 [ゆう]
久しぶりに会うレナは少し変わっていた

雰囲気が柔らかくなって、落ち着いてた

「あたしね、キャバ辞めたの」

レナが突然切り出した

「そうなんだ‥何で?」

「貢がなきゃいけない相手もいなくなったし、やっぱshop店員好きだからさ」

「セイヤさんは?」

「あの人はもういいや」

俺は素直にうれしかった

⏰:07/07/15 01:38 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#143 [ゆう]
「あの夜の電話、聞いてたんだよね?」

レナが気まずそうに切り出した

俺は、うん。とだけ言った

「あの電話の相手ね、ユウのお客さんだったの」

「え?」

「あたしと本気で付き合ってるって噂が流れててさ‥ユウのお客さんが、レナがいるならもう指名するの辞めようかな〜って言ってたから、気がないフリしたの」

⏰:07/07/15 02:52 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#144 [ゆう]
俺はなにも言わなかった

レナは話しを続けた

「ほんとはあんなこと思ってなかったよ。ただ、ユウのお客さんをあたしのせいで減らすのが嫌だったから‥あたしがああやって、ユウに気がないようなこと言えば大丈夫かなって思ったの」


信じていいのか?

そんな疑問はすぐ消えた

好きな女を信じないで誰を信じる?もうレナの悪い噂とかもどうでもよかった。俺はレナを信じる

きっと女に騙される奴はみんなこう思うんだろうなと思った

⏰:07/07/15 02:56 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#145 [ゆう]
「帰って来る?」

俺はレナに聞いた

レナは驚いた顔で

「いいの?」

って言った

「嫌ならいわねーよ笑」


俺はレナが大好きだった

何故かは分かんないけど、本当に大好きだった

⏰:07/07/15 03:09 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#146 [ゆう]
この日からまたレナと俺は一緒に暮らし始めた

トウヤは、やれやれって顔しながらでも応援してくれた

レナが夜の世界から足を洗ったから、俺たちの生活は真逆だった

レナが起きる頃に俺は仕事終わるし、レナが仕事終わる頃に俺は仕事に行く時間だった

けど楽しい毎日だった

⏰:07/07/15 03:15 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#147 [ゆう]
「ユウ最近元気よな」

営業が終わって、家に帰ろうとしていた俺にトウヤが言った

「そう?俺そんな分かりやすい?」

「うん。ユウ恋愛とか下手そうだし」

アフターがない日とか通常営業で終わる日は、レナが起きる時間に帰ってレナを起こすのが日課になっていたから、早く帰りたかった

⏰:07/07/15 04:51 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#148 [ゆう]
「俺さ、ホスト辞めるわ」



トウヤは確かにそう言った

「そうなんだ、何で?」

俺は別になにも思わなかった

トウヤは「夜の世界って怖いわ。もうこんな汚いこと続けていく自信ない」と言った

俺は、辞めれるトウヤがすごいなと思った

⏰:07/07/15 04:57 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#149 [ゆう]
確かに夜の世界は怖い


会いたくなったら金がいる

好きになったら金がいる

好きな人の一番になりたいならもっともっと金がいる

俺も夜の世界は怖いと思う

だけど俺にはこの仕事しかない

だから、

辞めて別の道を選べたトウヤがすごく羨ましかった

⏰:07/07/15 05:01 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#150 [ゆう]
「また俺の家ふつーに遊びに来いよ」

俺がそう言うとトウヤは

「やだよ、使用済みゴムとか普通に落ちてそうだし笑」

って冗談っぽく言った

「あ、俺、レナとやったことないよ」

俺の言葉にトウヤは少しびっくりした後、笑ってこう言った

「あはは、マジで?すげぇ、ユウが?ユウは本当にレナちゃんが好きなんだなー。がんばれよ、応援してる」


まぁこれからトウヤに会うことはなかったけど。

⏰:07/07/15 15:13 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#151 [ゆう]
「もしもし?リエ?今仕事終わったー、またメールするね」

「もしもーし、アヤカ?ごめん仕事だったー。昨日はありがとね」

「あ、ユカ?さっきありがとう楽しかった。また来てね」

「ナツミ〜最近会えないじゃんー。また飯でも行こうよ」

「キョウコ?忙しくて電話でれなかったーごめんね。またメールするね」

俺がこんな電話を立て続けにしていると、横からレナが

「あんた彼女何人いんのよ」

と言って来た

この日俺は早く店を上がって帰って来た日だった

⏰:07/07/17 03:19 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#152 [ゆう]
「うっせ、仕事なんだよ。つかれたーめんどくせー」

俺はそう言うと携帯を放り出した

「売れっ子は大変だね、色カノの世話とかしなきゃいけないから」

レナひ皮肉たっぷりに言った

前までは自分もこういう営業してたくせに

と思ったけど言わなかった

⏰:07/07/17 03:22 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#153 [ゆう]
「ねぇ、ユウにとってあたしってどんな存在?」

俺はびっくりして思いっきり振り向いた

「どんなって‥あれだよ、レナって感じ」

「なにそれー意味わかんない笑」

「悪いけど俺‥大切とか特別と思った人にしか本名教えないよ」


俺は勇気を出して言った
こんなこと言うのにいちいち緊張してたらホスト失格だなと思う程緊張した

部屋が静かになった

「‥ナオキ」

レナが呟いた

⏰:07/07/17 03:29 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#154 [ゆう]
「‥はい」

俺は返事してみた

レナは少し笑って

「あたしユウが好き」

確かにそう言った

「俺も、好き」

俺はそう言った


多分この日から俺らは付き合い始めた

俺はしばらく浮かれてたっけ

⏰:07/07/17 03:34 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#155 [ゆう]
その日からレナは俺のこと『ナオキ』って呼ぶようになった

それから、あんまり会えないからと言って、店に顔出すようになった

俺は金かかるからやめろって言ったけど、レナは

「最低チェックで帰るから」って言って聞かなかった

俺はそれならいいかと思った




それがいけなかった

⏰:07/07/17 03:39 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#156 [ゆう]
それからしばらくしてレナはキャバ嬢に戻った

「あたしやっぱりキャバの仕事の方が好きかも。ナオキとも時間合うしね。それに、お金貯めてやりたい夢があるんだ」

俺は最初「は?」と思ったけど、時間合うのは正直嬉しかったし、夢のために夜をやってる子は結構好きだった

だから反対しなかった

キャバならいいかと思った

⏰:07/07/17 14:34 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#157 [ゆう]
安易に了解したことが、この先の俺の、最大の後悔になる

俺はまだ知らずに幸せだった

レナは幸せだった?


俺はまだ分からないままだよ

⏰:07/07/17 15:08 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#158 [ゆう]
ある日の営業時間

「ユウくん、レナって子と付き合ってるの?」

そう聞いて来たのは俺の客のキャバ嬢だった

「なんでー?」

俺は水割りを作りグラスを拭きながら聞き返した

「よく店来てるし、なんとなく。レナって子、あたしの店に体入来たよ」

「そうなんだ。あ、今日お酒薄目にしといたよ」

「ありがと‥って話し反らさないでよ笑」

最近どの客もこんな話しばっかりだった

⏰:07/07/18 09:27 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#159 [ゆう]
そういえばまだレナの新しい店聞いてないや

また今度ボトルでも入れに行くかな

そんなことを考えたその日の朝。

営業時間が終わって家に帰るとレナがリビングでテレビを見てた


「ナオキおかえりー」

「ただいま。ね、レナ新しい店教えてよ」

「えぇ、やだよ」

「なんでー!教えてくれないと俺すねるからな」

「すねてれば?笑」

「教えてよー」

⏰:07/07/18 19:36 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#160 [ゆう]
「○○だよ。ビルの三階の」

やっと教えてくれた店の名前は、キャバクラに疎い俺も聞いたことある高級クラブだった

「おー、いい店で働いてんね」

「でしょ。他よりバック率高いしお給料いいよ」



確か俺の客にこの店の女の子いたっけ

そう思ったけどレナには言わなかった

レナの前で違う女の話しはしたくなかったから

⏰:07/07/18 19:41 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#161 [ゆう]
それから一度、レナが働く店に後輩を連れて行ってみた

でもその日レナは出勤じゃないみたいでいなかった

レナいますか?なんて聞ける雰囲気でもなく、その日は場内で適当に指名入れて飲んだ

また今度ちゃんといる日確認してから来ようと思った

後から聞いた話し、レナはその日違う店にヘルプに行ってたらしい

そう言ってた

⏰:07/07/18 23:31 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#162 [ゆう]
そのうちレナは俺の店で軽くチェックが10万になることが増えた

「最低チェックで飲むって約束だったじゃん」

俺がそう怒るとレナは

「だって今のクラブお給料いいからお金あるんだもん」

の一点張りだった

「だからって調子のんなよ。出禁にするよ」

「何も問題起こしてないのに出禁になるわけないじゃん笑」

まぁ確かにあのクラブにいれば稼げるだろうな

そう気にもとめなかった

⏰:07/07/18 23:38 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#163 [ゆう]
「ユウくーん!会いに来ちゃった!」

俺がテーブルにつくなり抱きついて来た女はマリナ。

俺の客
高級クラブのキャバ嬢

「マリナねー今のお店でナンバー3になったの!だからユウくんにドンペリ入れに来たの」

「すげーじゃん!今度俺も行くからね」

⏰:07/07/19 01:00 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#164 [ゆう]
「そういえばマリナの店って○○だよね?」

「そうだよぉ、この前ユウくんたちが来たって店の女の子が言ってた!」

マリナの店はレナが働いてる店だった

じゃあレナのこと知ってるかな

そんな軽い気持ちで聞いた

「レナって子いる?」

⏰:07/07/19 01:05 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#165 [ゆう]
「レナ?誰それ?うちにはいないなぁ」

「うっそ、そんな影薄い?笑」

俺は笑った

でもマリナは真剣に

「え、ほんとにいないよー?」


俺は笑ったままだった

ただ複雑な気持ちだった

⏰:07/07/19 01:12 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#166 [ゆう]
あれから何度も複雑な気持ちで、レナの

「いってきます」

を見送った

本当にあの店で働いてるの?

本当はどこで働いてるの?

その疑問がどうしても聞き出せなかった

レナが離れて行くのが怖かったんだ

⏰:07/07/22 14:45 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#167 [ゆう]
「離れてかないで」

それはある日の夜
同じベッドで寝てる時だった

レナは俺に抱きついて小さい声でそう言った

俺はレナの頭を撫でることしかできなかった

この時ちゃんと聞けば良かった

離れないって約束すれば良かった

きっとこの頃からレナの人生は変わり始めてたんだから

⏰:07/07/27 15:28 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#168 [ゆう]
「さっきユウさんの彼女さんファミマで見たっす」

そう喋りかけてきたのは後輩のルイ

「あーまじで。よくわかったね」

「出勤前かな、めっちゃ綺麗っすね、彼女さん。あっち系のキャバで働いてるとか勿体ないっす」
は?
俺は嫌な予感がした

⏰:07/07/27 22:29 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#169 [ゆう]
「ルイ、あいつの店知ってんの?」

「あ、えっと、言っちゃマズかったっすか!俺もホスラブで見た程度なんであんまハッキリわかんないんすけど、○○のセクキャバで働いてるみたいっす」


まじかよ

俺また嘘つかれてたんだ‥

⏰:07/07/27 22:36 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#170 [ゆう]
「どいつもこいつもホスラブかよ笑」

俺はショックを隠してそう言った

「ユウさんホスラブ見ないんすか?ユウさんのスレとかチェックした方がいいっすよ」

ルイはそう言って俺にホスラブのURLを送ってきた

俺は強がって

「絶対こんなん見ないし笑」

とか言った

⏰:07/07/27 22:47 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#171 [ゆう]
けどその日の夜、俺はレナのことが気になってホスラブに行ってみた

俺のスレには頻繁にすごい数の書き込みがあって少し驚いた

『ユウ最近枕しないね』

『色営もちょっと減ったかな』

『本命できたからね』

『それレナ?』

『あいつまだユウにまとわりついてんの?うざいし』

『レナと早く別れないかな』

『あんなんただの風俗嬢じゃん』

『セクキャバでしょ?』

『箱ヘルじゃない?』

『何でもいいけどとりあえず汚い』

⏰:07/07/27 22:53 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#172 [ゆう]
俺はしばらくボーッとしてた

俺の彼女が汚いって言われたから?

レナに嘘つかれたから?

レナが体を売りにしてるから?


よく分かんないけど、ずっとそんなことを考えた

⏰:07/07/28 01:49 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#173 [ゆう]
それから数日後

「もしもしレナ?今からレナのクラブ飲みに行くから」

「えっ、今日はやめときな、忙しいし」

「別にいいよ、待つから」

「今度にしよ、今度」

レナは俺が店に行くことをすごく拒んだ

当たり前だよね、ほんとはあのクラブじゃなくて、セクキャバで働いてんだもんね

⏰:07/07/28 02:25 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#174 [ゆう]
「なに?行かれて困ることでもあんの?」

「ないけど‥」

レナの態度にじれったさを感じた俺は

「おまえ今待機?店の前まで出て来いよ」

それだけ言って電話を切った

俺はルイから聞いた店の場所まで行ってレナが出てくるのを待った

⏰:07/07/28 02:27 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#175 [ゆう]
レナを待ってる間俺は落ち着かなくて立ったりしゃがんだりした

煙草も沢山吸った

30分くらいしてレナが気まずそうに店から出てきた

俺は

「おつかれ、とりあえずどっか店入ろ」

そう言った

⏰:07/07/28 02:31 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#176 [ゆう]
「なんでお店知ってたの?」

深夜のファミレス、席につくとレナはボソッと俺に聞いた

「なんで?じゃねーよ」

俺は完全にキレてた

それを押さえるのに必死だった

別に体を売る仕事に偏見はない

仕事だから

俺の客や友達にもヘルスの子は沢山いる

だけど俺と出会ってから体を売るようになるのはすごく悲しい

それがましてやレナだから‥

すごく悲しかった

⏰:07/07/29 09:37 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#177 [ゆう]
「いつから?」

俺は灰皿に煙草を押しつけながら聞いた

「夜に戻った時から‥」

あぁ、最近始めたんじゃないんだ‥

「なんで嘘ついたの?なんでセクキャバなん?」

「ごめん‥ナオキの店行きたかったし‥お金ほしかったから」

⏰:07/07/29 09:40 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#178 [ゆう]
俺のせい?

また俺は誰かを傷つけたの?

もう夜の仕事は嫌だ‥

そう思った

「もう店来ないでいいから‥店辞めて。普通のキャバにして」

それが俺に言える精一杯だった

それからレナは店を辞めた

ちょっとの間いい店を探して、クラブに入店した

⏰:07/07/29 09:46 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#179 [ゆう]
「辞めたいんですけど」
俺は閉店後、たまたま顔を出しに来たオーナーにそう言った

「なんで?ユウくん先月も先々月も売り上げと客動員数トップなのに」

「でも辞めたいですね」

「ユウくんに辞められたら困るよ。今さ、もう一つ系列店を出店する話しがあってさ、その店長をユウくんにやってもらいたいんだけど」

⏰:07/07/29 14:06 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#180 [ゆう]
正直嬉しい話しだった

だけど今は

「考えさせてください」

としか言えなかった


レナに体を売らせた俺

俺がホストじゃなかったら良かったのに

何度もそう思った

⏰:07/07/29 14:08 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#181 [ゆう]
だけどこの時の俺はまだ幸せだった

レナはどう思ってた?

これからあることなんか全く知らずに、俺はレナを愛してたよ

レナは、どう思ってた?

⏰:07/07/29 20:16 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#182 [ゆう]
それからレナとは普通に今まで通り過ごした

新しく出す系列店の店長を任されることを話すと自分のことのように喜んでくれた

レナも、今働いてるクラブは働きやすくていいと話してくれた

後輩を連れて2、3回飲みにも行った

全てが上手く行ってた

⏰:07/07/29 20:24 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#183 [ゆう]
それからレナは店には来なくなった

だけどイベントには必ず来て、シャンパンタワーをやりたがった

俺が「金は使うな」

と言うとレナは決まって

「ユウっていうナンバー1ホストの彼女がボトル一本とかだけなんて、あたしのプライドが許さない」

とか何とか言って聞かなかった

⏰:07/07/29 20:51 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#184 [ゆう]
それから月日が経った

相変わらず俺とレナの関係は順調だった

俺は真剣にレナとの結婚を考えていた

ホストを辞めても困らないように勉強もし始め、取れる資格は片っ端から取れるだけ取った

レナも料理を覚えだした

毎晩、ふたりの将来や結婚生活、子供は男がいいか女がいいか、なんて話しをするのが楽しかった

⏰:07/07/29 20:59 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#185 [ゆう]
毎日ゆっくりと時間が流れている気がした

だけどそんな幸せは長くは続かなかった


それは俺の22歳のバースデーイベントの日

たくさんの人が来てくれた

ひとつのテーブルに5分いれたらいい方だった

同業周りで他店からもナンバー入りのホストや知り合いのホストが顔を出してくれた

⏰:07/07/29 21:05 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#186 [ゆう]
俺が一人の客の送りを終わらせ店に戻ろうとした時、後ろから声をかけられた

「誕生日おめでとう」

振り返った俺は驚いた

声の主は、以前レナの担当ホストだったセイヤだった

⏰:07/07/29 21:07 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#187 [ゆう]
「ありがとうございます。じゃあ、俺、客待たせてるんで」

俺はそう言ってその場を立ち去ろうとした

俺はこの男が大嫌いだ

レナにキャバクラを紹介して夜の世界に連れ込んだ男

レナに貢がせた男

レナが貢いだ男

ただの嫉妬かもしれない

でも俺はこの男が大嫌いだった

⏰:07/07/29 21:12 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#188 [ゆう]
「ユウくん忙しいみたいだし、今日はゆっくり喋れそうにないね。教えたいことがあるから、また来るよ」

そう言ってセイヤは帰って行った

俺はすぐレナのことだと分かった

気になりつつも仕事に戻ってなんとかいつもより長い営業時間を終わらせた

⏰:07/07/29 21:15 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#189 [ゆう]
どこがそっくりですか?ホストの話しだから似てるってだけじゃなくて話し自体が一緒なんですか?

今まで俺にあったことを書いてるんで、話しがそっくりとか言われてもよくわかんないです

俺が全部書き終わってから、その話しに似てたなら何言われても仕方ないけど、まだ途中なのにパクリとかそっくりとか言われたら、この先何を書いても信じてもらえなくなるから困るんですけど

⏰:07/07/30 14:54 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#190 [ゆう]
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2463/

⏰:07/07/30 14:55 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#191 [ゆう]
みんなありがとう今からまた書きます

------------------

それからセイヤがまた店に来たのは一週間が経ってからだった

「ちょっと待っててね」

俺はそう言うとテーブルにグラスを残し、ついていた客をヘルプに任せセイヤが待つ奥のテーブルへ行った

「こんばんは〜」

セイヤが俺を見るなり、のんきにそう言った

⏰:07/07/31 02:54 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#192 [ゆう]
「教えたいことって何すか」

俺は無愛想に言った

「その感じからすると、もう大体分かってんじゃない?」

‥こいつの言い方むかつく

そう思ったのをぐっと我慢して

「レナのことですか?」

と言った

⏰:07/07/31 02:58 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#193 [ゆう]
「レナ、ねぇ」

そう言ったセイヤは俺を見下したように笑った

「あいつどこで働いてるか知ってんの?」

セイヤの問い掛けに俺は

「どこって‥○○ってクラブですけど」

と言った

⏰:07/07/31 03:00 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#194 [ゆう]
「じゃあ俺がスカウトもしてるってことは知ってる?」

は?何こいつ

「自分の客とかにヘルスとか紹介して金稼いでるんですよね」

俺はそう言った

「あはは、そうだね。じゃあ、レナが俺の客だったことと、俺がレナにキャバクラを紹介したのは知ってた?」

⏰:07/07/31 03:04 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#195 [ゆう]
「だから、全部知ってますけど」

セイヤのじれったい問いかけに我慢の限界で、イライラした口調でそう言った

「そうなんだ。じゃあ、レナにセクキャバ紹介したのも俺ってのは、もう知ってたかな?」

セイヤがあり得ないことを言った

レナとはとっくに切れてるはず

信じられなかった

⏰:07/07/31 03:08 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#196 [ゆう]
俺はびっくりして、多分少しの間喋れなかったんだろう

その間にセイヤが続けた

「じゃあ、今働いてるクラブ、実は週1回しか出勤してなくて、本業として○○っていうヘルスで働いてるのも知ってるかな?それも俺の紹介って知ってた?レナは沢山働く子だから、レナの給料から俺に回るバック料も結構良くてね」

⏰:07/07/31 03:14 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#197 [ゆう]
「は?お前ふざけんなよ」

俺は静かにそう言った

「あんまり怒らないで。レナから俺に言って来たんだから。仕事紹介してって」

「そんなわけないだろ」

「ユウくんは何も知らないで騙されてるんだ、可哀想に」

セイヤは余裕で俺の言葉を交わしていく

『騙されてる』

その言葉が頭に響いた

確か昔も言われたっけ

俺がレナに騙されてるって‥

⏰:07/07/31 03:20 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#198 [ゆう]
「レナはそんな女じゃねーよ」

俺がそう言うと

「そっか、まぁ信じる信じないはユウくんの勝手だよね。ごめんね、忙しい中お邪魔して。ユウくんの作った水割り美味しかったよ、ごちそうさま」

そう言ってセイヤはチェックを済ませて店を出ていった

⏰:07/07/31 03:24 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#199 [ゆう]
「いいんすか?追いかけて殴った方がいいっすよ」

近くのテーブルで話しを聞いていたルイが俺に近寄ってきた

「いいよ、あんな男信じてないし俺はレナを信じるし、客待たせてあるし」

そう言って客が待つテーブルに戻った

なんで仕事を優先したんだろう

追いかけて殴れば良かった


俺が仕事を優先するような奴じゃなかったら今でもレナは俺の隣にいましたか?

⏰:07/07/31 03:28 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#200 [ゆう]
「いってきまーす」

玄関からレナの声が聞こえる

もうすぐ18時
レナが出勤する時間だった

「はーい、いってらっしゃい」

俺は必ず毎日玄関まで行ってレナを見送る

昨日のセイヤの話しが気になったけど、俺はあんな奴は信じてなかった

レナが俺に嘘ついてヘルスで働いてるわけがない

⏰:07/07/31 11:06 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#201 [ゆう]
俺はレナを信じてる

レナはそんな女じゃない

セイヤとはとっくに関係を切ったはず

セイヤのくだらない嘘なんかに付き合ってる暇なんかねーよ

そう思いながら、俺はいつもより早く出勤の用意をし始めた

⏰:07/07/31 11:12 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#202 [ゆう]
その週の休日の昼


「ユウさん買い物付き合ってくださいよー!」


ルイのこの一言で俺たちはデパートに来ていた

「すいませんなんか休みの日まで付き合ってもらって」

「いいよ俺暇だしさ」


腹が減った俺たちは適当に飲食店に入って昼飯を食った

⏰:07/08/01 02:18 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#203 [ゆう]
俺らが座った横の席に、まだ2歳か3歳くらいの子供とその母親が座っていた

「あの子めっちゃユウさんのこと見てますよ」

ルイが小さい子を指さす

「うわ‥めっちゃかわいー」

俺はそう言って子供に手を振った

⏰:07/08/01 02:23 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#204 [ゆう]
「えええええぇぇぇ!」

急にルイが驚いたような声を出した

「なんだよ」

「ユウさん子供好きなんすか!?」

「めっちゃ好き。早く子供ほしい」

「えええええぇぇぇ!意外すぎ!子供とか嫌いそう!どけよガキ!とか言って蹴りそうっすよ!」

⏰:07/08/01 02:26 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#205 [ゆう]
「俺どんなイメージだよ!笑」

「いやーとても好きそうには見えないっすね笑」


母親と父親からあまり愛された記憶がないからか、俺は子供が大好きだった


絶対俺なら自分の子を大切にする

そう昔からずっと思っていた

⏰:07/08/01 02:32 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#206 [ゆう]
「あー早く子供ほしいな。レナと結婚したいなー」

俺がそう呟いた

ルイはびっくりしながら

「ユウさんがそういうこと言うの珍しいっすね。俺、いっつもユウさんが何考えてるか全然わかんないっすもん」

と言って笑った

その日は夕方にルイと別れてマンションに帰った

⏰:07/08/01 15:51 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#207 [ゆう]
「ただいまー」

返事はない

レナも今日休みのはずなんだけどな

どっか行ってんのかな

てか今日の子供めっちゃ可愛かったなー‥

子供生まれたらどんな名前にしよう

レナと俺の子なら絶対かわいいし!

そんなことを考えると自然に笑顔になってしまう

⏰:07/08/01 18:54 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#208 [ゆう]
緩んだ頬に気づいて慌てて煙草に火をつける

俺なに一人で笑ってんだよ‥

レナと付き合ってから、らしくない自分がいる

こういうの、幸せって言うのかな

そんなことを考えてた

その時俺の携帯が鳴る

⏰:07/08/01 18:59 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#209 [ゆう]
「ユウくん?今からちょっと早いけど飲みに行かん?あと4人ぐらいうちの従業員いるんだけど」

電話の相手はナンバー2のケン

レナいないし、別にいっか

「行く行くー」

「おー良かった、じゃあ一旦店の前まで来てなー」

まだ夕方6時前だった

俺は店まで向かった

⏰:07/08/01 19:04 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#210 [ゆう]
店の前にはケンたちが待っていた

「おーユウくん来た!とりあえず腹減ったから居酒屋行こう」

店の前に集まった意味ってあったのかな?と思いつつ駅に向かって6人で飲み屋街を抜ける



あれ?

⏰:07/08/01 19:11 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#211 [ゆう]
飲み屋街を抜けようと歩いている俺らの横を通り過ぎた女に目が行く

私服にサングラス、髪はゆるく巻いてあるキャバ嬢みたいな女

間違いなくレナだった

声をかけようとした時はもう遅かった




レナは『60分15000円〜』

って書いてある看板の店のビルの中に入って行った

⏰:07/08/01 19:36 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#212 [ゆう]
「ユウさんどうしました?」

後ろを向いて立ち止まっている俺に気づいた後輩が声をかけてきた

「いや、なんでもないよっ」

俺は笑って歩きだした

「ヘルスなんかガン見しちゃってー。行きたいの?笑」

ケンが冗談でそう言った

やっぱあれは誰がどう見てもヘルスの店だよな‥

⏰:07/08/01 19:40 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#213 [ゆう]
この前のセイヤの言葉を思い出す

『○○っていうヘルスで働いているのも知ってるかな?』


「‥なぁ、ケン、あの箱ヘル何ていう店?」

「あー確か○○だっけ」

それはセイヤが俺に言った店の名前と同じだった

『それも俺の紹介って知ってた?』

頭の中でセイヤの言葉が繰り返された

⏰:07/08/01 19:50 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#214 [ゆう]
その日はアホ程酒を飲んだ

何も考えたくなかったから、何も考えれない程飲んだ

ひとりじゃ帰れなかった俺を、同じ寮の後輩が介護して部屋まで運んでくれた

午前1時

もうすぐレナの帰宅時間だった

⏰:07/08/02 03:55 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#215 [ゆう]
「ユウさん今日どうしたんです?いつも考えて飲むじゃないですか」

俺は、意識はあるものの喋れない程飲んでいたから返事すらろくにできなかった

もう散々だ

これで何回目だよ?

こういう嘘は突き通せよな‥

⏰:07/08/02 03:59 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#216 [ゆう]
「じゃ、俺明日大学あるんで部屋戻りますね!ユウさんお大事にしてくださいね」

そう言って後輩は部屋に戻った

俺はリビングのソファーに丸まって寝ていた

その時玄関のドアが開いた

レナの帰宅だった

⏰:07/08/02 04:12 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#217 [ゆう]
「ただいまー‥ってナオキどうしたの?」

「飲んでた」

レナはリビングに入るなり俺に近づいて

「酒くさっ。潰れるなんてらしくないじゃん」

と言った

俺は少しの間黙ったあと

「今日なにしてたの?」

それだけやっと聞けた

⏰:07/08/03 13:00 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#218 [ゆう]
「なにって‥お仕事」

ごめん、もうレナを信じることは難しいよ

「ヘルスの仕事?」

俺の言葉にレナは驚いた顔をした

「ナオキどうしたの?酔ってる?」

「酔ってない。ヘルスかそうじゃないか聞いてんの」

そう言うとレナがいきなり泣き出した

⏰:07/08/03 13:08 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#219 [ゆう]
俺はただ、泣いて謝るレナをぼーっと見てた

「何でヘルスで働いてんの?そんなに金いるの?」

俺の問いにレナは

「ナオキのお店行きたくて‥」

と言った

⏰:07/08/03 13:55 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#220 [ゆう]
「ふざけんなよ、彼女のお前が俺の店来る意味ってあんの?つーか前もそうやって言ってセクキャバやってたじゃん。だからセクキャバ辞めてもう俺の店にも来るなって言ったじゃん。だから最近は来なかっただろ、なのにヘルスで働いてんのは何でだよ」

俺はキレて一気に喋った

レナはびっくりしてた

そしてレナがありえないことを言った

⏰:07/08/03 13:58 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#221 [ゆう]
「あたし、お金渡さなきゃいけない人がいるの‥」

直感でセイヤだと分かった

「セイヤさんだろ?今の店もセイヤさんに紹介してもらったんだろ?」

レナは黙っていた

「なんの金なんだよ」

俺は聞いた

⏰:07/08/03 15:10 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#222 [ゆう]
「あたし‥この前働いてたセイヤに紹介されたセクキャバ、最低出勤日数働かないで飛んだらしくて、あたしを紹介したセイヤに責任がまわったらしくて‥それでそのお金‥」

「は?そんなんあいつの嘘に決まってんじゃん。最低出勤日数とかせいぜい10日間とかじゃん、お前騙されてんだよ」

「でもなんか‥スカウトの仕事って大変らしくて、あたしが飛んだから店から信用なくしたって言われて‥」

⏰:07/08/03 15:15 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#223 [ゆう]
「お前さぁ、この世界どんだけ飛ぶ奴とかいると思ってんの?そんなんお前から金取る口実だろ!」

「そんなんじゃないと思うよ‥」

俺は完全にキレた

俺がここまで言っても分からない?そこまでセイヤを信じてる?かばうの?

⏰:07/08/03 15:18 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#224 [ゆう]
「いくらだよ‥もうそれ俺が払うから。セイヤって人にもう会わないで」

レナがヘルスで働くぐらいなら俺が金出して早く終わらせたい

そう思って言った言葉にレナは

「それはできない‥」

と言った

⏰:07/08/03 15:21 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#225 [ゆう]
「もうお前なんなんだよ!好きな女に風俗で働かれて他の男に金払ってるの知った俺の気持ちも考えろよ!」

俺は完全にキレていたけど酒のせいで動けなかった

潰れるまで飲んでて良かった

きっとシラフだったらキレて何するかわかんない

レナを殴ってたかもしれないから

それ程むかついたから

⏰:07/08/03 15:24 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#226 [ゆう]
レナはキレた俺にただ泣きながら「ごめんなさい」と何度も言った

俺は、もうこの女とは別れよう。そう思った

どれだけ好きでも、どれだけ愛しても、こんなんじゃ意味ないよ

この女と結婚するとか、この女が最後とか、そんな夢もう捨てよう

信じてた俺がバカだった

そう思った

⏰:07/08/04 02:24 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#227 [ゆう]
とりあえず俺は部屋を出た

その日は漫画喫茶に泊まった

レナには別れをまだ切り出せなかった

どれだけ裏切られてもやっぱり失うのは怖い

俺は本当にレナに愛されてたのかな?

俺って誰かに愛されたこと、あるのかな?

⏰:07/08/04 02:28 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#228 [ゆう]
それからしばらく友達、後輩、ルイ、ケンたちの部屋を泊まり歩いた

ある日俺は部屋に戻った

理由はレナからの電話

「話しがあるから戻ってきて」

この時のことは今でも、きっと一生忘れられない

⏰:07/08/04 04:12 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#229 [ゆう]
久しぶりに会うレナはなんだか痩せて見えた

リビングのテーブルに二人向かい合って座った

普通の話しじゃないと思った

レナはなかなか切り出さない

「どうした?」

俺はできるだけ優しくそう言った

⏰:07/08/04 04:14 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#230 [ゆう]
「子供できたの」



レナは確かにそう言った

俺の子供なんだろう

この前まで別れようと思ってたのに、なぜかすごくすごく嬉しかった

「まじで!?」

この時の俺はきっと子供みたいに喜んでた

⏰:07/08/04 04:17 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#231 [ゆう]
「え、いいの?」

喜んでいる俺を見て驚いたレナがそう聞いてきた

「ダメなわけないじゃん!つーか、おろしたら逆に嫌だよ。元気な子産んでほしい」

俺のありのままの本心を伝えた

レナは泣いてた

⏰:07/08/04 04:19 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#232 [ゆう]
俺とレナの子供が、レナのお腹の中に宿った

涙が出る程嬉しかった

不安なんかより全然、父親になれることの喜びの方が大きかった

22年間生きてて一番幸せな瞬間だった

子供が生まれる前に、落ち着いたら籍を入れる約束をした

⏰:07/08/04 04:23 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#233 [ゆう]
すぐに寮を出て新しいマンションに移った

レナと、俺と、子供のための新居

必ず毎日寝る前、元気な子が生まれますようにって頭ん中で呟いてから眠りについた

レナは仕事を辞めた

⏰:07/08/04 04:38 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#234 [ゆう]
「ユウさん、最近めっちゃ機嫌いいっすね」

ルイが俺に言った

「あぁ、子供生まれるんだ♪」

「まじっすか!?いつです!?」

「あと10ヶ月ぐらいかかるんじゃない?俺、父親だよ」

「良かったっすね!夢、叶いましたね!おめでとうございます!」

ルイは祝福してくれた

⏰:07/08/04 04:42 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#235 [ゆう]
それから俺は、どこかに買い物に行って赤ちゃん用品を目にする度、必ず何かを買って帰った

レナにはいつも

「気が早いよぉ」

と笑われた

楽しみで仕方なかった

俺は絶対自分の子を大切にする

自分と同じ思いは絶対させない

そう強く思った

⏰:07/08/04 12:57 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#236 [ゆう]
レナがたまに自分のお腹を触りながら

「早く会いたいなぁ、明日にでも生まれてくれないかな」

と言っているとこを見た時なぜかすごくレナを愛しく感じた

やっぱりこの女を好きで良かった

そう思ったんだ

⏰:07/08/04 13:01 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#237 [ゆう]
それから最大限にレナをいたわった

「いやいや俺がするよ」

が口癖になってた。笑

産婦人科にも一緒に行った

「あなたがお父さんですか?」

って病院の先生に聞かれた時嬉しくて思わず

「はい!!!」

とバカでかい声で返事をして笑われた

⏰:07/08/04 13:12 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#238 [ゆう]
毎日毎日、子供は女か男かって言い合った

元気に生まれて育ってくれたらいいねってレナは言ってた

なにもかもが順調だった



俺はすごく幸せだったよ

⏰:07/08/04 23:55 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#239 [ゆう]
「なんすか!?この部屋!!」

それは、新しい自分のマンションにルイを呼んだ時のこと

ルイは一つの部屋を見つけ次第そう叫んだ

「あぁ、子供の部屋」

俺は普通にそう答えた

その部屋には赤ちゃんのベッドやおもちゃ、家具なんかが、(俺なりに)綺麗に揃えて置いてある

⏰:07/08/05 12:36 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#240 [ゆう]
「もう今から産まれてもいいってぐらい準備いいっすね〜」

「だって楽しみじゃん!」

そんな会話の後ルイは急に

「俺はまだこの店そんな長くないけど、みんなユウさんは変わったって言ってますよ」

なんて言い出した

「え?何で?」

俺はびっくりした

俺が変わった?

⏰:07/08/05 12:40 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#241 [ゆう]
「みんな言ってますよ、ユウは柔らかくなったとか、人間らしくなったとか。俺、最近のユウさんしか知らないんで、ユウさんって優しいっすよねってみんなに言ったら、ちょっと前まではとんでもなかったよーって言われました笑」

「そうなんだ笑」

俺はびっくりした

そんなに俺変わったんだ

レナと付き合ってからかな?

なんか嬉しかった

⏰:07/08/05 12:45 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#242 [ゆう]
それから俺とレナの子供は、レナのお腹の中で順調に育っているはずだった

俺は、産まれて来るはずの子供をずっと待ち遠しくしていた

もうあの子は俺のところへ戻って来てくれないのかな?

⏰:07/08/06 20:05 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#243 [ゆう]
「ナオキ、ホストやめるの?」

レナが俺に聞いた

「んー、まだ辞めない。てか俺新しい店任されるし辞めれないっしょ」

俺が答える

「そーだよねぇー」


ちょっと素っ気なかったかな?

今思うと俺は少し自己中だったかな

⏰:07/08/06 20:13 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#244 [ゆう]
その夜俺らは婚姻届けを書いた

「あたしから書きたーい」

レナは子供みたいにハシャいでた

続けて俺も緊張しながら名前を書いた

『直輝(ナオキ)』

久しぶりに本名を漢字で書いたなぁ

その日はお互い名前だけ書いて、レナの印鑑が実家にあるから、また今度子供が産まれるまでに全部書いて役所に出そう、ってことになった

⏰:07/08/06 20:59 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#245 [ゆう]
レナとは色々あったし、何度も嘘つかれたり隠し事されたり裏切られたけど‥最後に信じてみよう

今までのこと全部忘れよう

その頃季節は真夏だった

クーラーなしじゃ死ぬほど暑い

昼過ぎに店が終わって家に帰るといつもレナがクーラーをかけて待っている

⏰:07/08/06 21:19 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#246 [ゆう]
「ただいまー‥あつっ」

玄関を開けるとムワッと夏特有の暑さが俺を迎えた

「あっ、おかえり」

レナがリビングから出て来た

「暑くね?クーラーかけなかったの?」

俺はシャツをパタパタ仰いだ

⏰:07/08/06 21:22 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#247 [ゆう]
「あぁクーラーかけるの忘れてた!暑いよね、今からつけるね」

俺は忘れるわけねーだろと心の中でレナに突っ込んだ

「今までどっか行ってたの?さっき家ついたとか?」

俺の問いにレナは

「ずっと家にいたよ」

と言っていた

こんな暑い部屋によくいれたな

俺はその時それしか思わなかった

⏰:07/08/06 21:25 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#248 [ゆう]
ある日俺は同業周りで他の店のイベントに顔を出しに行っていた

その店は、セイヤがナンバーワンを勤める店だった

正直マジで嫌だった


「まさかユウくんが来てくれるとは思ってなかったよ」

そう行って俺に近づいて来たのはセイヤ

「仕事なんで、嫌々ですけど」

俺は愛想良く返した

⏰:07/08/06 23:05 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#249 [ゆう]
「あ、俺子供産まれるんです」

ニコッと笑ってやった

セイヤは驚いた顔で

「‥レナとの子共?」

って聞いてきた

「そうっす。結婚するんで」

セイヤは黙ってた

ただ、何か可哀想なものを見るような目で俺を見た

⏰:07/08/06 23:09 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#250 [ゆう]
セイヤの態度が気になったけど、適当にシャンパンを卸してすぐ自分の店に戻った

帰り際、セイヤに

「もうレナに近づかないでくださいね」

と言った


その時、この俺の言葉は無力だった

⏰:07/08/09 10:32 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


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