俺がホストじゃなかったら
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#205 [ゆう]
「俺どんなイメージだよ!笑」
「いやーとても好きそうには見えないっすね笑」
母親と父親からあまり愛された記憶がないからか、俺は子供が大好きだった
絶対俺なら自分の子を大切にする
そう昔からずっと思っていた
:07/08/01 02:32 :D902iS :☆☆☆
#206 [ゆう]
「あー早く子供ほしいな。レナと結婚したいなー」
俺がそう呟いた
ルイはびっくりしながら
「ユウさんがそういうこと言うの珍しいっすね。俺、いっつもユウさんが何考えてるか全然わかんないっすもん」
と言って笑った
その日は夕方にルイと別れてマンションに帰った
:07/08/01 15:51 :D902iS :☆☆☆
#207 [ゆう]
「ただいまー」
返事はない
レナも今日休みのはずなんだけどな
どっか行ってんのかな
てか今日の子供めっちゃ可愛かったなー‥
子供生まれたらどんな名前にしよう
レナと俺の子なら絶対かわいいし!
そんなことを考えると自然に笑顔になってしまう
:07/08/01 18:54 :D902iS :☆☆☆
#208 [ゆう]
緩んだ頬に気づいて慌てて煙草に火をつける
俺なに一人で笑ってんだよ‥
レナと付き合ってから、らしくない自分がいる
こういうの、幸せって言うのかな
そんなことを考えてた
その時俺の携帯が鳴る
:07/08/01 18:59 :D902iS :☆☆☆
#209 [ゆう]
「ユウくん?今からちょっと早いけど飲みに行かん?あと4人ぐらいうちの従業員いるんだけど」
電話の相手はナンバー2のケン
レナいないし、別にいっか
「行く行くー」
「おー良かった、じゃあ一旦店の前まで来てなー」
まだ夕方6時前だった
俺は店まで向かった
:07/08/01 19:04 :D902iS :☆☆☆
#210 [ゆう]
店の前にはケンたちが待っていた
「おーユウくん来た!とりあえず腹減ったから居酒屋行こう」
店の前に集まった意味ってあったのかな?と思いつつ駅に向かって6人で飲み屋街を抜ける
あれ?
:07/08/01 19:11 :D902iS :☆☆☆
#211 [ゆう]
飲み屋街を抜けようと歩いている俺らの横を通り過ぎた女に目が行く
私服にサングラス、髪はゆるく巻いてあるキャバ嬢みたいな女
間違いなくレナだった
声をかけようとした時はもう遅かった
レナは『60分15000円〜』
って書いてある看板の店のビルの中に入って行った
:07/08/01 19:36 :D902iS :☆☆☆
#212 [ゆう]
「ユウさんどうしました?」
後ろを向いて立ち止まっている俺に気づいた後輩が声をかけてきた
「いや、なんでもないよっ」
俺は笑って歩きだした
「ヘルスなんかガン見しちゃってー。行きたいの?笑」
ケンが冗談でそう言った
やっぱあれは誰がどう見てもヘルスの店だよな‥
:07/08/01 19:40 :D902iS :☆☆☆
#213 [ゆう]
この前のセイヤの言葉を思い出す
『○○っていうヘルスで働いているのも知ってるかな?』
「‥なぁ、ケン、あの箱ヘル何ていう店?」
「あー確か○○だっけ」
それはセイヤが俺に言った店の名前と同じだった
『それも俺の紹介って知ってた?』
頭の中でセイヤの言葉が繰り返された
:07/08/01 19:50 :D902iS :☆☆☆
#214 [ゆう]
その日はアホ程酒を飲んだ
何も考えたくなかったから、何も考えれない程飲んだ
ひとりじゃ帰れなかった俺を、同じ寮の後輩が介護して部屋まで運んでくれた
午前1時
もうすぐレナの帰宅時間だった
:07/08/02 03:55 :D902iS :☆☆☆
#215 [ゆう]
「ユウさん今日どうしたんです?いつも考えて飲むじゃないですか」
俺は、意識はあるものの喋れない程飲んでいたから返事すらろくにできなかった
もう散々だ
これで何回目だよ?
こういう嘘は突き通せよな‥
:07/08/02 03:59 :D902iS :☆☆☆
#216 [ゆう]
「じゃ、俺明日大学あるんで部屋戻りますね!ユウさんお大事にしてくださいね」
そう言って後輩は部屋に戻った
俺はリビングのソファーに丸まって寝ていた
その時玄関のドアが開いた
レナの帰宅だった
:07/08/02 04:12 :D902iS :☆☆☆
#217 [ゆう]
「ただいまー‥ってナオキどうしたの?」
「飲んでた」
レナはリビングに入るなり俺に近づいて
「酒くさっ。潰れるなんてらしくないじゃん」
と言った
俺は少しの間黙ったあと
「今日なにしてたの?」
それだけやっと聞けた
:07/08/03 13:00 :D902iS :☆☆☆
#218 [ゆう]
「なにって‥お仕事」
ごめん、もうレナを信じることは難しいよ
「ヘルスの仕事?」
俺の言葉にレナは驚いた顔をした
「ナオキどうしたの?酔ってる?」
「酔ってない。ヘルスかそうじゃないか聞いてんの」
そう言うとレナがいきなり泣き出した
:07/08/03 13:08 :D902iS :☆☆☆
#219 [ゆう]
俺はただ、泣いて謝るレナをぼーっと見てた
「何でヘルスで働いてんの?そんなに金いるの?」
俺の問いにレナは
「ナオキのお店行きたくて‥」
と言った
:07/08/03 13:55 :D902iS :☆☆☆
#220 [ゆう]
「ふざけんなよ、彼女のお前が俺の店来る意味ってあんの?つーか前もそうやって言ってセクキャバやってたじゃん。だからセクキャバ辞めてもう俺の店にも来るなって言ったじゃん。だから最近は来なかっただろ、なのにヘルスで働いてんのは何でだよ」
俺はキレて一気に喋った
レナはびっくりしてた
そしてレナがありえないことを言った
:07/08/03 13:58 :D902iS :☆☆☆
#221 [ゆう]
「あたし、お金渡さなきゃいけない人がいるの‥」
直感でセイヤだと分かった
「セイヤさんだろ?今の店もセイヤさんに紹介してもらったんだろ?」
レナは黙っていた
「なんの金なんだよ」
俺は聞いた
:07/08/03 15:10 :D902iS :☆☆☆
#222 [ゆう]
「あたし‥この前働いてたセイヤに紹介されたセクキャバ、最低出勤日数働かないで飛んだらしくて、あたしを紹介したセイヤに責任がまわったらしくて‥それでそのお金‥」
「は?そんなんあいつの嘘に決まってんじゃん。最低出勤日数とかせいぜい10日間とかじゃん、お前騙されてんだよ」
「でもなんか‥スカウトの仕事って大変らしくて、あたしが飛んだから店から信用なくしたって言われて‥」
:07/08/03 15:15 :D902iS :☆☆☆
#223 [ゆう]
「お前さぁ、この世界どんだけ飛ぶ奴とかいると思ってんの?そんなんお前から金取る口実だろ!」
「そんなんじゃないと思うよ‥」
俺は完全にキレた
俺がここまで言っても分からない?そこまでセイヤを信じてる?かばうの?
:07/08/03 15:18 :D902iS :☆☆☆
#224 [ゆう]
「いくらだよ‥もうそれ俺が払うから。セイヤって人にもう会わないで」
レナがヘルスで働くぐらいなら俺が金出して早く終わらせたい
そう思って言った言葉にレナは
「それはできない‥」
と言った
:07/08/03 15:21 :D902iS :☆☆☆
#225 [ゆう]
「もうお前なんなんだよ!好きな女に風俗で働かれて他の男に金払ってるの知った俺の気持ちも考えろよ!」
俺は完全にキレていたけど酒のせいで動けなかった
潰れるまで飲んでて良かった
きっとシラフだったらキレて何するかわかんない
レナを殴ってたかもしれないから
それ程むかついたから
:07/08/03 15:24 :D902iS :☆☆☆
#226 [ゆう]
レナはキレた俺にただ泣きながら「ごめんなさい」と何度も言った
俺は、もうこの女とは別れよう。そう思った
どれだけ好きでも、どれだけ愛しても、こんなんじゃ意味ないよ
この女と結婚するとか、この女が最後とか、そんな夢もう捨てよう
信じてた俺がバカだった
そう思った
:07/08/04 02:24 :D902iS :☆☆☆
#227 [ゆう]
とりあえず俺は部屋を出た
その日は漫画喫茶に泊まった
レナには別れをまだ切り出せなかった
どれだけ裏切られてもやっぱり失うのは怖い
俺は本当にレナに愛されてたのかな?
俺って誰かに愛されたこと、あるのかな?
:07/08/04 02:28 :D902iS :☆☆☆
#228 [ゆう]
それからしばらく友達、後輩、ルイ、ケンたちの部屋を泊まり歩いた
ある日俺は部屋に戻った
理由はレナからの電話
「話しがあるから戻ってきて」
この時のことは今でも、きっと一生忘れられない
:07/08/04 04:12 :D902iS :☆☆☆
#229 [ゆう]
久しぶりに会うレナはなんだか痩せて見えた
リビングのテーブルに二人向かい合って座った
普通の話しじゃないと思った
レナはなかなか切り出さない
「どうした?」
俺はできるだけ優しくそう言った
:07/08/04 04:14 :D902iS :☆☆☆
#230 [ゆう]
「子供できたの」
レナは確かにそう言った
俺の子供なんだろう
この前まで別れようと思ってたのに、なぜかすごくすごく嬉しかった
「まじで!?」
この時の俺はきっと子供みたいに喜んでた
:07/08/04 04:17 :D902iS :☆☆☆
#231 [ゆう]
「え、いいの?」
喜んでいる俺を見て驚いたレナがそう聞いてきた
「ダメなわけないじゃん!つーか、おろしたら逆に嫌だよ。元気な子産んでほしい」
俺のありのままの本心を伝えた
レナは泣いてた
:07/08/04 04:19 :D902iS :☆☆☆
#232 [ゆう]
俺とレナの子供が、レナのお腹の中に宿った
涙が出る程嬉しかった
不安なんかより全然、父親になれることの喜びの方が大きかった
22年間生きてて一番幸せな瞬間だった
子供が生まれる前に、落ち着いたら籍を入れる約束をした
:07/08/04 04:23 :D902iS :☆☆☆
#233 [ゆう]
すぐに寮を出て新しいマンションに移った
レナと、俺と、子供のための新居
必ず毎日寝る前、元気な子が生まれますようにって頭ん中で呟いてから眠りについた
レナは仕事を辞めた
:07/08/04 04:38 :D902iS :☆☆☆
#234 [ゆう]
「ユウさん、最近めっちゃ機嫌いいっすね」
ルイが俺に言った
「あぁ、子供生まれるんだ♪」
「まじっすか!?いつです!?」
「あと10ヶ月ぐらいかかるんじゃない?俺、父親だよ」
「良かったっすね!夢、叶いましたね!おめでとうございます!」
ルイは祝福してくれた
:07/08/04 04:42 :D902iS :☆☆☆
#235 [ゆう]
それから俺は、どこかに買い物に行って赤ちゃん用品を目にする度、必ず何かを買って帰った
レナにはいつも
「気が早いよぉ」
と笑われた
楽しみで仕方なかった
俺は絶対自分の子を大切にする
自分と同じ思いは絶対させない
そう強く思った
:07/08/04 12:57 :D902iS :☆☆☆
#236 [ゆう]
レナがたまに自分のお腹を触りながら
「早く会いたいなぁ、明日にでも生まれてくれないかな」
と言っているとこを見た時なぜかすごくレナを愛しく感じた
やっぱりこの女を好きで良かった
そう思ったんだ
:07/08/04 13:01 :D902iS :☆☆☆
#237 [ゆう]
それから最大限にレナをいたわった
「いやいや俺がするよ」
が口癖になってた。笑
産婦人科にも一緒に行った
「あなたがお父さんですか?」
って病院の先生に聞かれた時嬉しくて思わず
「はい!!!」
とバカでかい声で返事をして笑われた
:07/08/04 13:12 :D902iS :☆☆☆
#238 [ゆう]
毎日毎日、子供は女か男かって言い合った
元気に生まれて育ってくれたらいいねってレナは言ってた
なにもかもが順調だった
俺はすごく幸せだったよ
:07/08/04 23:55 :D902iS :☆☆☆
#239 [ゆう]
「なんすか!?この部屋!!」
それは、新しい自分のマンションにルイを呼んだ時のこと
ルイは一つの部屋を見つけ次第そう叫んだ
「あぁ、子供の部屋」
俺は普通にそう答えた
その部屋には赤ちゃんのベッドやおもちゃ、家具なんかが、(俺なりに)綺麗に揃えて置いてある
:07/08/05 12:36 :D902iS :☆☆☆
#240 [ゆう]
「もう今から産まれてもいいってぐらい準備いいっすね〜」
「だって楽しみじゃん!」
そんな会話の後ルイは急に
「俺はまだこの店そんな長くないけど、みんなユウさんは変わったって言ってますよ」
なんて言い出した
「え?何で?」
俺はびっくりした
俺が変わった?
:07/08/05 12:40 :D902iS :☆☆☆
#241 [ゆう]
「みんな言ってますよ、ユウは柔らかくなったとか、人間らしくなったとか。俺、最近のユウさんしか知らないんで、ユウさんって優しいっすよねってみんなに言ったら、ちょっと前まではとんでもなかったよーって言われました笑」
「そうなんだ笑」
俺はびっくりした
そんなに俺変わったんだ
レナと付き合ってからかな?
なんか嬉しかった
:07/08/05 12:45 :D902iS :☆☆☆
#242 [ゆう]
それから俺とレナの子供は、レナのお腹の中で順調に育っているはずだった
俺は、産まれて来るはずの子供をずっと待ち遠しくしていた
もうあの子は俺のところへ戻って来てくれないのかな?
:07/08/06 20:05 :D902iS :☆☆☆
#243 [ゆう]
「ナオキ、ホストやめるの?」
レナが俺に聞いた
「んー、まだ辞めない。てか俺新しい店任されるし辞めれないっしょ」
俺が答える
「そーだよねぇー」
ちょっと素っ気なかったかな?
今思うと俺は少し自己中だったかな
:07/08/06 20:13 :D902iS :☆☆☆
#244 [ゆう]
その夜俺らは婚姻届けを書いた
「あたしから書きたーい」
レナは子供みたいにハシャいでた
続けて俺も緊張しながら名前を書いた
『直輝(ナオキ)』
久しぶりに本名を漢字で書いたなぁ
その日はお互い名前だけ書いて、レナの印鑑が実家にあるから、また今度子供が産まれるまでに全部書いて役所に出そう、ってことになった
:07/08/06 20:59 :D902iS :☆☆☆
#245 [ゆう]
レナとは色々あったし、何度も嘘つかれたり隠し事されたり裏切られたけど‥最後に信じてみよう
今までのこと全部忘れよう
その頃季節は真夏だった
クーラーなしじゃ死ぬほど暑い
昼過ぎに店が終わって家に帰るといつもレナがクーラーをかけて待っている
:07/08/06 21:19 :D902iS :☆☆☆
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