俺がホストじゃなかったら
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#241 [ゆう]
「みんな言ってますよ、ユウは柔らかくなったとか、人間らしくなったとか。俺、最近のユウさんしか知らないんで、ユウさんって優しいっすよねってみんなに言ったら、ちょっと前まではとんでもなかったよーって言われました笑」
「そうなんだ笑」
俺はびっくりした
そんなに俺変わったんだ
レナと付き合ってからかな?
なんか嬉しかった
:07/08/05 12:45 :D902iS :☆☆☆
#242 [ゆう]
それから俺とレナの子供は、レナのお腹の中で順調に育っているはずだった
俺は、産まれて来るはずの子供をずっと待ち遠しくしていた
もうあの子は俺のところへ戻って来てくれないのかな?
:07/08/06 20:05 :D902iS :☆☆☆
#243 [ゆう]
「ナオキ、ホストやめるの?」
レナが俺に聞いた
「んー、まだ辞めない。てか俺新しい店任されるし辞めれないっしょ」
俺が答える
「そーだよねぇー」
ちょっと素っ気なかったかな?
今思うと俺は少し自己中だったかな
:07/08/06 20:13 :D902iS :☆☆☆
#244 [ゆう]
その夜俺らは婚姻届けを書いた
「あたしから書きたーい」
レナは子供みたいにハシャいでた
続けて俺も緊張しながら名前を書いた
『直輝(ナオキ)』
久しぶりに本名を漢字で書いたなぁ
その日はお互い名前だけ書いて、レナの印鑑が実家にあるから、また今度子供が産まれるまでに全部書いて役所に出そう、ってことになった
:07/08/06 20:59 :D902iS :☆☆☆
#245 [ゆう]
レナとは色々あったし、何度も嘘つかれたり隠し事されたり裏切られたけど‥最後に信じてみよう
今までのこと全部忘れよう
その頃季節は真夏だった
クーラーなしじゃ死ぬほど暑い
昼過ぎに店が終わって家に帰るといつもレナがクーラーをかけて待っている
:07/08/06 21:19 :D902iS :☆☆☆
#246 [ゆう]
「ただいまー‥あつっ」
玄関を開けるとムワッと夏特有の暑さが俺を迎えた
「あっ、おかえり」
レナがリビングから出て来た
「暑くね?クーラーかけなかったの?」
俺はシャツをパタパタ仰いだ
:07/08/06 21:22 :D902iS :☆☆☆
#247 [ゆう]
「あぁクーラーかけるの忘れてた!暑いよね、今からつけるね」
俺は忘れるわけねーだろと心の中でレナに突っ込んだ
「今までどっか行ってたの?さっき家ついたとか?」
俺の問いにレナは
「ずっと家にいたよ」
と言っていた
こんな暑い部屋によくいれたな
俺はその時それしか思わなかった
:07/08/06 21:25 :D902iS :☆☆☆
#248 [ゆう]
ある日俺は同業周りで他の店のイベントに顔を出しに行っていた
その店は、セイヤがナンバーワンを勤める店だった
正直マジで嫌だった
「まさかユウくんが来てくれるとは思ってなかったよ」
そう行って俺に近づいて来たのはセイヤ
「仕事なんで、嫌々ですけど」
俺は愛想良く返した
:07/08/06 23:05 :D902iS :☆☆☆
#249 [ゆう]
「あ、俺子供産まれるんです」
ニコッと笑ってやった
セイヤは驚いた顔で
「‥レナとの子共?」
って聞いてきた
「そうっす。結婚するんで」
セイヤは黙ってた
ただ、何か可哀想なものを見るような目で俺を見た
:07/08/06 23:09 :D902iS :☆☆☆
#250 [ゆう]
セイヤの態度が気になったけど、適当にシャンパンを卸してすぐ自分の店に戻った
帰り際、セイヤに
「もうレナに近づかないでくださいね」
と言った
その時、この俺の言葉は無力だった
:07/08/09 10:32 :D902iS :☆☆☆
#251 [ゆう]
その頃の俺は、子供の部屋を見ると嫌なことも忘れられた
赤ちゃんのベッドや沢山のおもちゃを見ると、もうすぐ産まれてくる自分の子供が楽しみで、その日嫌なことがあっても自然と癒されたんだ
昔からの俺の客には
「最近ユウ楽しそう」とか「柔らかくなった」とか言われるようになった
ずっと友営でやって来てる子には結婚することも子供ができたことも打ち明けた
:07/08/09 10:38 :D902iS :☆☆☆
#252 [ゆう]
ある日俺は、本屋で赤ちゃんに名前をつける時に参考になる本を買って帰った
レナと本を見ているうちに、画数とか色々含め、女の子だったら桜って名前がいいねって話した
それから毎日、暇があればその本を読んでた
『直輝』
この名前を俺の親はどんな気持ちで俺につけたんだろう?
その親二人に捨てられた今では、何も分からなかった
:07/08/09 14:41 :D902iS :☆☆☆
#253 [ゆう]
それから一ヶ月くらい経った時のこと
レナに行ってきますと言って家を出た俺は、店について俺を指名していた客を接客した後、携帯を忘れたことに気づいて家に取りに戻った
別に取りに戻らなくても良かったのに、その日は平日で店が暇だったし、本当になんとなくの行動だった
:07/08/09 15:19 :D902iS :☆☆☆
#254 [ゆう]
家についてインターフォンを鳴らす
レナは出なかった
おかしいなと思いつつ俺は鍵で部屋に入った
部屋にレナはいなかった
時刻は確か午前2時
俺はその場でレナに
『今なにしてる?』
ってメールを送った
:07/08/09 15:22 :D902iS :☆☆☆
#255 [ゆう]
少し経ってレナから返信が来た
『テレビ見てるよ〜もう眠いから寝そうだけど』
部屋にレナはいないしテレビもついてない
『どこでテレビ見てんの?』
そう送った
レナからの返信は
『家だよ』
:07/08/09 15:25 :D902iS :☆☆☆
#256 [ゆう]
『だよね、おやすみ』
そう送った後俺は店に戻った
何も知らなきゃ良かった
いつも、知って傷つくことばっかりだよ
:07/08/09 15:27 :D902iS :☆☆☆
#257 [ゆう]
店に戻ると、二部の時間帯なのに何でか一部の従業員がスタッフルームにいた
「あ、ユウさん!」
俺に用があったらしく、俺を見るなり駆け寄ってきた
「今日レナさん見たんです」
そいつは気まずそうな顔で俺に教えてくれた
セイヤが働いている店から、セイヤの送りで店から出て来るレナの姿を見たってことを
:07/08/10 00:23 :D902iS :☆☆☆
#258 [ゆう]
「お前それ教えてくれるためにここまで来てくれたの?」
俺は平然を装って言った
さっきの今っていう状況で、レナを信じられるわけない俺はかなりのショックを受けていた
そいつに軽く礼を言っていつものように仕事に戻った
:07/08/10 00:26 :D902iS :☆☆☆
#259 [ゆう]
俺はその朝、営業時間が終わってからトウヤに電話をかけてみた
トウヤが夜の世界から足を洗ってから、一切連絡の取り合いはなかった
だけどなんとなく、俺の中ではこいつが一番の友達だった
:07/08/10 00:29 :D902iS :☆☆☆
#260 [ゆう]
「もしもし」
何回か呼び出し音が鳴った後、眠そうな声で電話に出たトウヤ
声を聞くのはすごく久しぶりだった
「もしもし?ユウだけど分かる?」
「うわー久しぶり、どしたん?」
「ごめん起こした?」
「いいよ、もう起きる時間だし。ユウ仕事終わったんだ」
:07/08/10 00:32 :D902iS :☆☆☆
#261 [ゆう]
そんな会話をした後俺はトウヤに今の状況を話し始めた
レナと付き合ってから、二回隠れて風俗で働かれたこと
セイヤの紹介だったこと
セイヤに金を渡してたこと
子供ができて結婚すること
今日レナがセイヤの店に行っていたってこと
:07/08/10 00:35 :D902iS :☆☆☆
#262 [ゆう]
一通り話し終わったところでトウヤは
「お前、バカ?」
とだけ言った
俺も十分わかってる
何度も目を瞑っては裏切られて、それでも大好きなんだから
「昔からレナって子、いい噂ないじゃん。やめときな、ユウを大切にしないような女、ユウが大切にする必要ない」
トウヤはそう言った
:07/08/10 00:38 :D902iS :☆☆☆
#263 [ゆう]
トウヤの言葉に少し目頭が熱くなった
なんで俺はこんなにもレナのこと好きなんだろう?
「そうだよな‥俺おかしいわ。でもやっぱ子供も産まれるしさ」
俺はそう力なく言った
「あぁそっか、そうだったな。んーまぁもう深入りはすんなよ!じゃあ俺もうすぐ仕事だから行くわ。何かあったら連絡して」
トウヤはそう言って電話を切った
:07/08/10 10:34 :D902iS :☆☆☆
#264 [ゆう]
俺はレナに話す覚悟で家に帰った
でも別れることだけはしたくなかった
俺はなぜか、どうしようもなくレナが好きだったし、産まれてくる子供の顔だって見たい
俺はあの子の父親だから
多分この時の俺は、レナの口から直接
「セイヤとは何もない」
って言葉が聞きたかったんだろう
:07/08/11 00:18 :D902iS :☆☆☆
#265 [ゆう]
決死の覚悟で部屋に入った
レナはいなかった
ありえねーだろ、もう朝8時過ぎてるし
レナに電話をかけてみたけど、出たのはレナじゃなくて
「こちらはNTTドコモです‥」
っていうガイダンスだった
電源切ってんのかな
:07/08/11 00:28 :D902iS :☆☆☆
#266 [ゆう]
もういーや
投げやりな気持ちでベッドに横たわった
目が覚めたら夕方だった
思い体を起こしてシャワーを浴びた
レナの帰宅はまだだった
電話も繋がらないまま
:07/08/11 01:42 :D902iS :☆☆☆
#267 [ゆう]
結局レナは俺が仕事に行く時間になっても帰って来なかった
何かあったのか心配になったけど、やっぱり何度かけても電源は切れたままだった
その日何度も
「ユウくん今日携帯気にしてるね」
って言われた
:07/08/11 02:10 :D902iS :☆☆☆
#268 [ゆう]
その日営業時間が終わって家に帰ると、レナがリビングのソファに座って雑誌を読んでいた
「ただいま」
「おかえりー」
おかえり、と言ったレナは少し酒の匂いがした
「どこ行ってたの?」
俺はそれを聞かずにはいられなかった
:07/08/11 04:29 :D902iS :☆☆☆
#269 [ゆう]
「女友達と家飲みしてたー」
レナは雑誌から顔を上げようとしなかった
「携帯、切ってた?」
「うん充電なくてーごめんね」
「出掛けるならちゃんと言ってってよ、心配するじゃん」
「ナオキごめんねー。さ、もう寝ようよ」
レナは気にする素振りもなく俺の言葉さえ流した
:07/08/11 04:33 :D902iS :☆☆☆
#270 [ゆう]
「レナ、ちゃんと聞いてる?」
「わかってる!だってナオキは仕事忙しいし別にあたしが遊ぶくらいいいじゃん!」
レナは少し声を張り上げた
「は?遊ぶなとは言ってないし仕事は仕事だろ」
俺はカチンと来てきつく言ってしまった
:07/08/11 04:38 :D902iS :☆☆☆
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