うまく言えない
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#201 [サな]
うちは一気に怖くなった。

七瀬がいなくなってから即行曜に電話をかけた。

「もしもし曜っ…七瀬に曜の存在バレたよ…!」

「そっか。とりあえず今から佳基そっちにやるからH市まで来い」

曜は冷静だった。

もうこうなることはわかってたんだろう。

⏰:08/12/13 12:37 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#202 [サな]
しばらくしていつものところに佳基さんが来た。

うちが車に乗ると、佳基さんが言った。


「曜、今みんなに手まわしとるから大丈夫で。」

いや、そういう問題じゃない。

うちは曜の周りが傷つくのも嫌だ。

迷惑かけたくない…。

「佳基さん、うちもう嫌だよ…」

⏰:08/12/13 12:44 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#203 [サな]
「何でや?」

「みんなに傷ついてほしくない。こんなことになってみんなに迷惑かけるなら、もううちが七瀬の言うとおりにすればいいんやないかなって…」

「ほんまにそれでええんか?」

「…わからん」



それから何も喋らずに、うちは曜の家に着いた。

⏰:08/12/13 12:56 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#204 [サな]
曜の家に入ると何人か人がいた。

「あ、じゃあ俺ら出るわ」

その人たちはそう行って出て行った。

「紗奈」

「…曜、もうやめよっか」



もうこれ以上迷惑かけられない。

うちが七瀬のところにいけば…

それで終わりにできる。

⏰:08/12/13 15:20 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#205 [サな]
「うち、七瀬んとこに行くから」


七瀬なんか大っ嫌い。

曜が大好きで仕方ない。

何が正しくて何が間違いかなんかわからない。

でも、曜をこれ以上振り回したくない。





曜、大好き。

⏰:08/12/13 15:23 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#206 [サな]
「お前は七瀬が好きなんかよ?」

「…うん」

好きじゃないよ。
うちが好きなのは曜やもん。

「…それがほんまなら俺は別に引き止めんよ。紗奈が幸せになれるんならそれでいいよ」


幸せって何?

曜が傷ついてまで一緒にいるのが幸せ?

自分の気持ちを押し殺して七瀬のとこに行って過ごすのが幸せ?

⏰:08/12/13 15:28 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#207 [サな]
どっちも幸せなんかじゃない。

うちは幸せにはなれないと思う。

七瀬のところに行っても

曜のところにいても。



でも、曜のことはやっぱり好き。

だから、曜のためにも七瀬のところに行く。

⏰:08/12/13 15:32 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#208 [サな]
悲劇のヒロインみたいに思うかもしれない。

だけど、本当にそうするしか考えられなかった。

「曜、ばいばい」


うちは曜の家を出た。


我慢してた涙が一気に溢れ出した。

曜が大好き。

ただそれだけなのに。

⏰:08/12/13 15:36 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#209 [サな]
うちはM市に帰った。

駅前には七瀬がいて、こっちを睨んできた。


「七瀬、話ある」

うちは七瀬を連れて、駅から少し離れた公園に行った。

⏰:08/12/13 15:38 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#210 [サな]
「うち、曜とは本当に付き合ってなかった。でももういいから。曜と関係切ってきた。アドレスも番号も消したから」

「俺とよりもどしてくれるわけ?」

「…うん。いいよ」


何でかな。
…何でなんだろ。

もう七瀬しかいないんだろうな…。

⏰:08/12/13 15:42 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#211 [サな]
七瀬はうちをベンチに押し倒してきた。

深い深いキスをして、服の上から胸を触ってきた。

「七瀬…やだっ無理…」

「俺の方が無理。どんだけ待たせたと思っとるんな?」

七瀬は更にエスカレートしてくる。

もうすでに辺りは暗くなっていた。

それをいいことに七瀬はどんどん服を脱がせていく。

うちはされるがままだった。

⏰:08/12/13 15:52 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#212 [サな]
嫌だった。

気持ち悪くて仕方なかった。

曜がいい。

曜やないと嫌だ。





七瀬なんか大っ嫌い…

⏰:08/12/14 01:57 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#213 [サな]
家に帰って泣き崩れた。

ただ幸せになりたいだけなのに。


その"ただ幸せになる"っていうことは、簡単じゃないって思い知らされた。



うちはその日から学校に行かなくなった。

家にずっといて、七瀬から呼び出されれば行く。


そんな生活をしていた。

⏰:08/12/14 02:02 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#214 [サな]
志乃から電話が掛かってきても出なかった。

志乃には何も話してない。

あの後何があったかも、曜とどうなったかも。


いっつも一緒にいてくれたのは志乃なのに。

⏰:08/12/14 02:06 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#215 [サな]
10月に入ってから、知らない番号から電話があった。

…曜だ。

うちは何回も掛かってくるその番号には、一切出ないようにした。

担任からもしょっちゅう電話がかかってきた。

学校に来いって、それだけだけど。

⏰:08/12/14 02:11 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#216 [サな]
このままだと単位が危ない。

そう言われて、うちは行くしかなかった。

10月も終わりかけた頃、うちは久しぶりに学校に行った。


教室に入ると志乃の姿。

志乃は驚いた顔でこっちを見た。

⏰:08/12/14 02:29 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#217 [サな]
「志乃…ごめん」

うちがそう言うと志乃は近づいてきた。

「ちょっと外出よっか」

うちは志乃に連れられて外へ出た。

授業中は絶対に人が通らないテニスコート。

うちらはそこに置いてあるベンチに座った。

⏰:08/12/14 18:31 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#218 [サな]
「紗奈の口からちゃんと聞きたい。噂でだいたいのことは聞いとるけど、何が真実かなんかわからんから。ちゃんと紗奈から事実を聞きたい。」

「うん…」

うちは志乃に話した。

あの後曜に会って、七瀬と居ると決めたこと

もう誰も巻き込みたくないということ。

学校に来てなかった1ヵ月間、何をしてどう過ごしていたか…。

⏰:08/12/14 18:44 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#219 [サな]
「あんた不器用すぎるよ。自分の気持ち殺して幸せになんかなれるわけないやん。馬鹿やない?いい加減素直になりや。曜くんが紗奈を好きで、紗奈が曜くんを好きで…それでいいやん!?七瀬くんなんかにビビってどーするん!?周りが守ってくれる、曜くんが守ってくれるって言いよるんやろ!?頼ればいいやん!」

⏰:08/12/14 22:42 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#220 [サな]
志乃の言葉は凄い心に響いた。

頼ればいい、確かにそうなんだけど、うちの性格上、人に頼るのは嫌いだった。

それから、今更曜のところに行って、曜はどう思うのか…。

⏰:08/12/14 22:49 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#221 [サな]
そんなことを考えながら、結局曜には連絡も何もしなかった。

ただ、七瀬とは別れた。

これでいい。

結局振り出しに戻る。



曜と出会う前のように、

男とは関わらないように。


それでいいんだ。

それがいいんだ。

⏰:08/12/17 00:45 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#222 [サな]
2年も終わりに近づいてきた。

進路について色々担任に聞かれる時期。

うちは県をでたかった。

七瀬のいないところで過ごしたかった。

"●●大学"

うちは大学を志望した。

馬鹿だから馬鹿な大学しか行けないから、某県で一番偏差値が低いくらいの大学。

親には迷惑かけっぱなしだけど、親はうちが大学というところに行くということ自体を喜んでくれた。

⏰:08/12/17 00:52 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#223 [サな]
こんな娘でごめんねって本気で思った。

馬鹿ばっかりしてごめんねって…。





そして春休みになった。

⏰:08/12/17 00:58 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#224 [サな]
春休みに入ってすぐのことだった。





携帯が鳴る…






090********




…誰?

⏰:08/12/17 01:01 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#225 [サな]
「俺やけど…わかる?」















「…佳基さん?」

⏰:08/12/17 01:03 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#226 [サな]
電話の主は佳基さんだった。

頭の中がハテナでいっぱいになる。


佳基さんがなんでうちの番号…?



「曜の携帯から勝手に番号取った。ごめんないきなり。」

「いいけど…何?」

「今から会える?」

「いや…無理」

⏰:08/12/17 01:06 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#227 [サな]
「ほんなら電話でええから聞いて」

「何?」










「曜、まだ紗奈ちゃんのこと好きやから」

⏰:08/12/17 01:07 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#228 [サな]
「…どんだけ前の話しよん?」

「曜はあれからずっと紗奈ちゃんのこと好きやったんやって。もし紗奈ちゃんがまだ曜のことちょっとでも好きなら、曜に会いに来てやって…」

「なんで佳基さんがそんなこと言うん?」

「あいつ元気ないから…。聞いたらまだ紗奈ちゃんのこと好きやって言うから…。余計なお世話かもしらんけど…」

⏰:08/12/17 01:12 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#229 [サな]










「もう曜のこと好きやないから」







⏰:08/12/17 01:14 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#230 [サな]
「…そっか。そんならええんや。ごめんな。元気でやりや」


佳基さんはそう言うと電話を切った。











涙が溢れ出した。

⏰:08/12/17 01:16 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#231 [サな]
ほんまはな、まだ曜のこと好き。


大好きで仕方ない。




…でもな、結局は
自分が素直になれんだけなんよ。




なんだかんだで結局逃げてばっかりで


向き合おうとしてないのはうちなんよ。

⏰:08/12/17 01:20 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#232 [サな]
なんでも勝手にほいほい決めて

後悔して泣いて


自分が向き合ってないのに

幸せになりたいなんて

馬鹿やんな。



曜…うちは曜のこと

ほんまに大好きや

⏰:08/12/17 01:22 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#233 [サな]
曜が大好きやから涙が溢れる。

もうどおしたらええんかわからんくて

ほんまに自分馬鹿や…って思って

涙が溢れる…。



曜、なんでこんなうちを

好きでおってくれるん?

曜ならうちより良い女と

絶対付き合えるやん。

⏰:08/12/17 01:26 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#234 [サな]
なのになんでうちなん?

何でこんな面倒くさい女なん?






うちはどうするのが一番正しいん?





素直やなくてごめんな…

⏰:08/12/17 01:28 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#235 [サな]
うちは1週間後、電車に乗った。




…行き先はH市。










⏰:08/12/17 01:33 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#236 [サな]
駅から出ると懐かしい光景。

いつものように溜まっている人たち。

うちが向かう先は曜の家…



ではなくて、佳基さんのところ。





あの、曜が連れて行ってくれた溜まり場。

⏰:08/12/17 01:35 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#237 [サな]
中にはいると佳基さんの声が聞こえた。

更に奥に入る。


「佳基さん…」

「紗奈ちゃん…!?」


周りはかなりざわついていた。


うちは佳基さんのところに行って
佳基さんに抱き付いて声を上げて泣いた。

⏰:08/12/17 01:38 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#238 [サな]







「佳基さんっ…ごめんな…うち、嘘ついた…」

「どしたんや?」

「うち…うち…曜のことまだ大好きや…」





⏰:08/12/17 01:40 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#239 [サな]
「…そうか。言いに来てくれてありがとな」

うちは化粧ボロボロになっていた。





やっと言えた。





これが自分の素直な気持ちやから…。



⏰:08/12/17 01:43 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#240 [サな]
「みんな聞いたか?そーゆーことやからな。また忙しくなるで!笑」



みんなが守ってくれる。

みんな迷惑やなんて思ってない。

今度はみんなを頼りたいから…。







みんなありがとう。

⏰:08/12/17 01:45 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#241 [サな]
うちは佳基さんの車に乗った。

行く場所は1つ。

曜の家だけ…。


うちは崩れた化粧を車で直した。

佳基さんは横で笑ってた。



そして曜の家の前についた。

⏰:08/12/18 00:09 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#242 [サな]
「あとは紗奈ちゃんひとりで行きや」

「えっ…佳基さんも来てや…」

「俺が行ってどーすんや」

「…よし。うん。行ってくる!!」




うちは曜の家に入った。

⏰:08/12/18 00:11 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#243 [サな]
変わらない家。

だけど懐かしく感じた。


曜の部屋の前に行って、大きく一回深呼吸してからドアを開けた。

⏰:08/12/18 00:13 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#244 [サな]
入った瞬間曜と目があった。




二人とも無言で時計の音だけが聞こえた。






「…紗奈」

⏰:08/12/18 00:16 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#245 [サな]
.





その声を聞いた瞬間涙が溢れた。




曜のことで、何回涙を流しただろう。





でもその涙は、曜のことが好きだから流れる涙なんだ。

⏰:08/12/18 00:18 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#246 [M I]
毎日見させてもらッてます更新頑張ッてくださぃ
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⏰:08/12/18 01:23 📱:SH906i 🆔:n9YAKRsA


#247 [サな]
.






「…曜」







久しぶりに会った曜は、少し大人びて見えた。

⏰:08/12/18 01:24 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#248 [サな]
M Iちゃん
ありがとうございます
最後まで読んでくれたら嬉しいです
あとアンカーありがとうございます!!

⏰:08/12/18 01:26 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#249 [サな]
髪が黒くなって、髪が伸びていた。

落ち着いた雰囲気の曜は、今までとは違う格好良さがあった。



「こっちおいで」


曜は手招きしてうちを呼んだ。
うちは頷いて曜の横に座った。

⏰:08/12/18 01:29 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#250 [サな]
「何で来てくれたん?」







答えは1つだけ。









「曜が好きやからやよ」

⏰:08/12/18 01:31 📱:D905i 🆔:☆☆☆


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