うまく言えない

Ｈ市の水野…

聞いたことある。

七瀬の連れだったっけな？

とか思ったけど、考えるのが面倒になってやめた。

まあどうせその辺の奴は七瀬の連れだろうって。

そんな電話したことなんか忘れて２週間がたった。

久しぶりに家に帰ってゆっくりしていたときだった。

～♪～♪
着信"水野くん"

水野…水野…あぁ、水野!

って感じで思い出して電話に出た。

「お前電話してこいやー」

水野くんが言った。

「いやいや、自分がしてこい」

「待っとったのにしてこんし」

「待つくらいならしてこい」

「てか今から遊ぼー」

「はい無理ー」

「うわ。即答かい！ちょっとは悩め」

「すっぴんとスエットとかキモイやん」

「大丈夫可愛い可愛い」

「見たこと無いくせに」

「俺の妄想やし」

「妄想すんなきもちわるい笑」

「絶対前岡ちゃんＳやろ」

「よく言われるー」

「で、遊ぼー！」

「いや、無理やって」

そんなやりとりをしつつ、世間話も交えつつ、なんだかんだで３時間も話してた。

切るﾀｲﾐﾝｸﾞも無いし話がつきるわけでもないし。

どんなタイミングで切ったか忘れたけど、電話切って即行寝た。

それから毎日電話が来るようになった。

毎日毎日、遊ぼーって言われた。

毎日毎日、うちは断った。

顔も知らんのに、こいつ誰でもいいんやろうなって思った。

あれだけ電話しても、メールしようなんて話にはならなかった。

「いい加減遊べば良いやん」

志乃が呆れるように言った。

「あいつ絶対チャラいし。」

「あんたが言えることやないやん笑」

「失礼な」

「遊んでみるくらいええんやない？前向きにとらえれば顔を気にせん人やってことやろ？」

「もし七瀬の連れやったらどーすん!?」

「大丈夫やって」

そんな話をしていると着信。

水野くんだった。

「今回誘われたら絶対遊びーよ。じゃないと家おいだすよ」

志乃に若干脅されつつ電話に出た。

「前岡ちゃんおはよう！」

「おはようやないよ笑もう11時やん(夜の)」

「俺ドラキュラやもん」

「あほ？笑」

「やから遊ぼー」

「何でそっから遊ぼーに繋がるんよ」

志乃に目をやると遊びに行けって合図してた。

「遊ぼーってばー」

甘え口調で言ってくる。

「んー、いいよ」

「……まじで!?」

「は、誘っといて何それ！笑」

「やって、いっつも断るやん！まじびっくりしたわ」

「冗談なん？冗談なんやったら遊ばん」

「冗談やないし！今からＭ駅行く」