言葉
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#178 [あい]
またクリスマスが近づいてきた。
その日、仕事が終わり、しゅうと会う約束をしていたから、急いで待ち合わせ場所に向かおうとしていた。
施設を出て、歩いている時だった。
あたしは足を止めた。
前にいたのは、しゅうのお母さんだった。
「どうも。しゅうから、あなたの事いろいろ聞いて、会いに来ました。言ってる事わかる?」
あたしは頷いた。
なんだろう…
まさか会いにくるなんて。
思ってもなかった。
:09/03/02 01:50 :F706i :☆☆☆
#179 [あい]
ポケットに入ってる携帯がブーッブーッと鳴っている。
あたしは携帯を見た。
【仕事終わった?】
しゅうからのメールだった。
あたしはお母さんを見る。
すると「しゅう?」って聞いてきた。
あたしから携帯を取り、電源を切る。
「しゅうが来たら、うるさいから。」
そう言い、あたしに携帯を返してきた。
:09/03/02 01:54 :F706i :☆☆☆
#180 [あい]
「話したいの。」
しゅうのとこ行かなきゃ。
でも話って…何?
ベンチに座り、煙草に火を付けるしゅうのお母さん。
【あの、しゅうにメールしていいですか?一緒にいる事は言わないんで。今日会う約束してるんです。】
あたしはノートを見せる。
「どうぞ。」
あたしは携帯を開いた。
:09/03/02 11:50 :F706i :☆☆☆
#181 [あい]
電源を付け、しゅうにメールを打つ。
【ごめん。仕事長引きそうだから、家で待ってて。】
何?
あたし何でこんな手震えてんの?
しゅうにメールを送り、お母さんの方を向く。
「あなた凄いわね。耳聞こえないのに仕事して。しゅうと同い年でしょ?若いのに、あたしより偉いわ。」
あたしはじっと口の動きを見る。
:09/03/02 12:20 :F706i :☆☆☆
#182 [!]
続けて
:09/03/02 18:16 :F902iS :☆☆☆
#183 [あい]
:09/03/02 19:59 :F706i :☆☆☆
#184 [あい]
「しゅうは何で、あなたの事好きになったんだろうね?」
ちょっと笑った表情。
【何でそんな事思うんですか?】
あたしはノートに書いた。
吸ってた煙草を地面に捨て、ブーツで消すしゅうのお母さん。
「だって、しゅうが前付き合ってた子は耳聞こえたから。」
しゅうの元カノ。
1年半付き合ってた子だ。
:09/03/02 20:04 :F706i :☆☆☆
#185 [あい]
「あたしが家行くと、その子絶対いてね。住みついてるの?って思った。」
…………。
「あたしんちなのに。勝手な事してくれるわ。」
あたしは、えっ?って思った。
何でそう思うかな。
「「全然帰ってないのに、あたしんち?」」
あたしは手話で言ってしまった。
戸惑った顔をするから、間違えた事に気づき、ノートに書いた。
【全然帰ってないのに、あたしんちですか?】って。
:09/03/02 20:32 :F706i :☆☆☆
#186 [あい]
「はい?」
そう言われ、あたしはまたノートに書いた。
【お金渡す時しか帰ってきてないのに、あたしんちって。しゅうはずっと1人だったんですよ?】
あたしは顔を見た。
ノートを見て笑うお母さん。
「1人じゃないよ。彼女がいたもん。」
【彼女は家族じゃないです。しゅうはお母さんがいなくて、寂しかったはずです。】
しゅうは泣いてたから。
あたしはわかる。
:09/03/02 20:43 :F706i :☆☆☆
#187 [あい]
「ずっと1人だったから、慣れてるから平気だよ。これからも。」
本当にそんな事思ってんの?
ノートに書くのも嫌だ。
話せたら…耳が聞こえれば…
あたしはそう思った。
【慣れるわけないですよ。しゅうは、お母さんの子なんですよ?男だからって、高校生だからって、家族が離れ離れは辛すぎますよ。これ以上、しゅうに辛い想いさせないで下さい。】
早く書いたから、字ぐちゃぐちゃだった。
:09/03/02 20:52 :F706i :☆☆☆
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