言葉

｢｢手話できるんですか？｣｣

あたしも手話で返す｡

｢｢うん｡お母さんが耳聞こえないから｡ﾌﾟﾚｾﾞﾝﾄ探し？｣｣

あたしは頷いた｡

｢｢じゃあ一緒に見ない？｣｣

彼女が見ていたピアス｡
見た瞬間にこれにしようと思った｡

しゅうは左に2個付けてるからそのピアスともう1つ別のを買った｡

ﾌﾟﾚｾﾞﾝﾄ用に箱に入れてもらい可愛いﾗｯﾋﾟﾝｸﾞ｡

店に出て､彼女にお礼を言って帰ろうと思った｡

｢｢よかったら話さない？｣｣

あたし達は喫茶店に入った｡

彼女の名前は千尋｡
1つ上の高校2年生｡

｢｢彼氏にﾌﾟﾚｾﾞﾝﾄ？｣｣

袋に指差し､聞いてきた｡

｢｢違うよ｡彼氏じゃないけど､男の人｡｣｣

｢｢そっか｡何かいいね｡その人の事好きなの？｣｣

あたしは頷いた｡

｢｢明日過ごすの？｣｣

｢｢はい｡｣｣

千尋はケーキを食べながら､いいね､いいねって｡

｢｢千尋ちゃんは彼氏いないの？｣｣

｢｢いないよ｡でも､好きな人はいるんだ｡その人にあげようと思って｡｣｣

千尋もピアスを買っていて､それを見ながら嬉しそうに言ってた｡

｢｢絶対喜ぶよ｡頑張って!｣｣

ちょっと悲しそうな顔をする千尋｡

｢｢どうしたの？｣｣

｢｢好きな人と話した事ないの｡｣｣

千尋の話はこうだった｡
その人は違うｸﾗｽの人で､サッカー部のエース｡
そりゃあモテる人で､高校入学してすぐ一目惚れしてずっと好きなんだって｡

｢｢いつも休み時間にはその人の周り女の子ばっかでね｡話かけらんない｡｣｣

｢｢でもﾌﾟﾚｾﾞﾝﾄ買ったんだし､渡さなきゃ｡｣｣

｢｢あたし頑張る!!あいちゃん､ありがとう｡｣｣

それからもいろいろ話してアドレスを交換して､あたし達は別れた｡

25日｡
待ち合わせ場所に着いた時､しゅうはバイクに乗って待っていた｡

｢｢ごめん｡待った？｣｣

｢｢超待った～｡｣｣

｢｢本当？｣｣

｢｢嘘だよ｡バーカ｡｣｣

ニコッとしゅうは笑い､あたしの髪をくしゃくしゃにしてきた｡

スポッとしゅうは､あたしにヘルメットを被せてきた｡

あたしは嬉しくて､下を向いた瞬間ヘルメットが下に落ちてしまった｡

｢｢わりぃ｡いつも男ばっか乗せてるからデカいな｡｣｣

そう言うと､しゅうが顔を近づけてきて､ヘルメットの調節をしてきた｡

｢｢待って!!ヘルメット取るよ｡｣｣

｢｢お前バカかっ｡ヘルメット被りながら調節した方がいいに決まってんだろ｡取って調節して､次キツかったらどうすんだよ｡｣

｢｢そっか｡｣｣

しゅうの顔が近い｡
恥ずかしかった｡

調節が終わり､次は頭を振っても落ちない｡ピッタリ!!

｢｢ありがとう｡｣｣

｢｢いいよ｡てか､恥ずかしかったの？｣｣

何でそうゆう事聞くかな…｡

｢｢なわけないでしょ｡｣｣

｢｢本当かよ～｣｣

ニヤニヤしながらしゅうは言ってた｡

｢｢とりあえず行くぞ｡｣｣

そう言ってしゅうはバイクにまたがった｡
あたしは正直バイクに乗りたくなかった｡

乗りたくないというか､乗るのが怖かった｡