言葉
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#5 [あい]
この人は何を言ってるんだろう…

あたしはノートを取り出しペンで書いた。


「ごめんなさい。」

ノートを渡した時、彼は不思議そうな顔をしていた。

「お前喋れねぇの?」

ゆっくり喋ってきた彼。
口の動きで何となくわかった。



あたしは頷いた。

⏰:09/02/07 13:25 📱:F706i 🆔:☆☆☆


#6 [あい]
「耳が聞こえない。」

あたしはまたノートに書き彼に見せた。


驚いた感じの表情。

彼があたしからノートとペンを取って、何か書き始めた。


「俺、耳聞こえないやつ初めてなんだけど!」


その人の字はものすごくでかかった。

下に
「ぶつかってわりぃな。気をつけろよ。」

と書いてあった。


彼の顔を見たら

「じゃあな。」って手をあげて走って行ってしまった。



急いでるんだろうな…

これがあたしとしゅうの出会い

⏰:09/02/07 13:30 📱:F706i 🆔:☆☆☆


#7 [あい]
あたしはその日の夜ノートを見ていた。

「道聞いてもいいですか?」

この文字を見せても
いつもあたしは素通りされる。



「ごめんなさい。」

あの人は素通りしなかった。
もっと嬉しかったのは
その人もノートに書いて答えてくれた。



初めての事だったから
すごい嬉しかった。

⏰:09/02/07 13:37 📱:F706i 🆔:☆☆☆


#8 [あい]
それから数日過ぎた。
あたしはいつものようにボランティアが終わり

家に向かってる時だった。

肩を叩かれたから振り向いたら
あの時の人だった。
今日も制服を着ていた。

後ろには友達もいて、
学校帰りなのだろう。

手を上げて

「よぉ。また会ったな。」

って言っていた。



あたしは頷いた。

⏰:09/02/07 13:49 📱:F706i 🆔:☆☆☆


#9 [あい]
「言ってる事わかんの?」

彼はそう言った。


あたしは笑いながらノートに書いた。


「口見れば何となくわかるよ。だからゆっくり喋って?」


そしたら…

「わかった。俺の名前はしゅう。お前は?」


「あたしはあい。」

ノートを見ながらしゅうは手でOKとやっていた。


友達の名前はこうすけ。
こうすけも不思議そうにあたしのノートを見ていた。

⏰:09/02/07 14:27 📱:F706i 🆔:☆☆☆


#10 [あい]
しゅうとこうすけは
あたしの家から近い高校に通う1年生。

あたしとタメだった。


こうすけは彼女と待ち合わせをしてると言い
あたし達と別れた。


「帰らないの?」

ノートに書きあたしはしゅうに見せた。

するとしゅうは頷いた。

「ちょっと話そうぜ。」

あたし達は駅前のマックに移動した。

⏰:09/02/07 22:59 📱:F706i 🆔:☆☆☆


#11 [あい]
しゅうは本当に綺麗な顔をした人だった。

あたしがわかるように
ゆっくりゆっくり話してくれた。

口は悪いけど、悪い人ではないってわかったよ。

「彼女いないの?」

あたしは聞いた。

「いるわけねぇだろ。いたらあいと今話してねぇよ。」


笑ってしゅうは言ってたけど…

それが嘘って事はすぐ知っちゃったんだよね。

⏰:09/02/07 23:05 📱:F706i 🆔:☆☆☆


#12 [あい]
「アド交換しない?」

しゅうが言ってきてあたし達はお互いのアドを教えた。

耳が聞こえる友達。
小さい時にしかいた事がないから
あたしはすごく嬉しかったんだよ。

耳が聞こえなくなった時から出来たのはみんな耳が聞こえない人。


それが嫌な訳じゃないけど
あたしはいつの日か
耳が聞こえる人は遠い人って感じてたから…


しゅう…本当に嬉しかったんだよ。

⏰:09/02/08 00:58 📱:F706i 🆔:☆☆☆


#13 [あい]
しゅうは毎日メールをくれた。

学校であった事、バイトの事、しゅうの趣味、嫌いな食べ物。

いろいろしゅうは教えてくれた。




その日あたしは休みだった。
日曜だったため、学生は休み。
町には私服でいる学生っぽい人達がいっぱい。

⏰:09/02/08 01:06 📱:F706i 🆔:☆☆☆


#14 [あい]
あたしは本屋にいた。
雑誌を見ながらふっと窓を見るとしゅうがいた。


女の子と手を繋ながら。

あれ?彼女いないって言ってなかったっけ?

最近できたのかな?

あたしはそう思ってた。

でも何だか切なかった。

⏰:09/02/08 01:16 📱:F706i 🆔:☆☆☆


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